『夢幻災禍のサンディーヴァ』 GM:いちま


PC1:"ロストシグナル" 久遠仁くどう じん (キャラシート) PL:scatter
PC2:"スモークスタック" 永良えいらゆづり (キャラシート) PL:日向
PC3:"興津比売命オキツヒメノミコト" 穂村姫乃ほむら ひめの (キャラシート) PL:今日日
PC4:"ドイスラッシャー" 亜藤蘭介あとう らんすけ (キャラシート) PL:がんとす

本編ログ|雑談ログ

目次

◆Preplay◆

GM:それでは時間になりましたので、セッションを始めて行きたいと思います。
GM:名前を呼ばれた人はキャラシを貼って自己紹介をお願いします。
GM:PC1の久遠さん!
久遠仁:はい!
久遠仁:(キャラシート)
久遠仁:久遠仁(くどう じん)です。22歳のUGNエージェント。
久遠仁:いつでも騎士甲冑じみたガスマスクを外さない、怪しい風貌の男です。
GM:いつでもなんだ
GM:職質いっぱいされそう
久遠仁:されます
久遠仁:でも性格は気さくで朗らかなほうなので、みんな仲良くしてくれると嬉しいです
GM:その実優しいお兄さんというわけね
久遠仁:そう 弟と妹が居ます
久遠仁:かつて身体改造(非人道的じゃないやつ)の被験者に立候補しており、常に高速での機動が可能になっていますが
久遠仁:その代償として過度の負荷が掛かり、ガスマスクが手放せません
久遠仁:性能的には行動値が23あります。
GM:めちゃはやハヌマーンだぜ
久遠仁:そこから強い素手を作り、餓狼の爪や復讐の刃、デビルストリングなどを合間合間にバシバシ差し込んでいく形です
GM:強いエフェクトがいっぱいあるぜ
久遠仁:そんな感じです!よろしくお願いします!
GM:よろしくね!そんな久遠さんのハンドアウトがこちら

・HO1:久遠迅(PL:すきゃっとさん)
シナリオロイス:北条サイカ
"ブリンクブレイド"北条サイカは5年前に君が保護したオーヴァードの少女である。
事件で両親を失いUGNの施設に引き取られた彼女の事を、君は折に触れて気にかけていた。
一時期は塞ぎ込んでいる事もあったようだが、現在は心身共に回復し、本人の希望からチルドレンとして前線で活動しているようだ。
久々に小さな警邏任務で顔を合わせる事になった昨日も、変わらず元気な様子を見せていたのだが。その彼女が前触れもなく行方不明になった。
折しも付近で発生し始めた大規模失踪事件の捜査に、君は志願して参加する──その一日目に、異変は起きた。

GM:知り合いのチルドレン女子が行方不明になります
久遠仁:心配だな~
久遠仁:探さなきゃ
GM:話が早くて助かるぜ さすが行動値23のおとこ
久遠仁:見つけます
GM:きっと見つかるよ~ 頑張ってね
久遠仁:頑張ります!よろしくお願いします

GM:じゃあ次!
GM:永良さん!
永良ゆづり:はいさい!
永良ゆづり:(キャラシート)
永良ゆづり:永良ゆづり(えいら-)。高校生のUGNチルドレンです。
永良ゆづり:性格は温厚で情に厚く誠実と公正さを重んじますが、
永良ゆづり:初対面の人には塩対応と見た目の胡散臭さで感情を覆い隠します。
GM:顔がいいな……
永良ゆづり:褒めても煙しか出ないわ
GM:かわいいじゃん
永良ゆづり:幼少期は家族を人質に取られ、やむを得ずFHの大規模テロ活動に加担しており
永良ゆづり:その過酷な経験から猜疑心と警戒心が根付きました。
永良ゆづり:UGNに引き取られて以降は、テロ犠牲者への贖罪のため任務に勤しんでいます。
GM:かわいそう……
永良ゆづり:レネゲイドに反応して自然発火する灰煙の生成・操作能力を持っています。
永良ゆづり:また、自身が信頼に値する人間・品物の保有するレネゲイドに限り、
永良ゆづり:浸透することでレネゲイド能力を爆発的に強化させる特性もあるとか。
GM:発火する煙、ハヌサラの表現としてかっこいいな~
永良ゆづり:データはユーティリティガン積みハヌサラ白兵。
永良ゆづり:ロイス管理、火力支援、バディム、範囲攻撃と卑しく役目を稼ぎます。
GM:最強エンブレムだ
永良ゆづり:暗殺者っぽく振舞いつつ人の支援もいっぱいして頑張ります、よろしくお願いします!
GM:よろしくね~!そして永良さんのハンドアウトはこちら

・HO2:永良ゆづり(PL:ひなたさん)
シナリオロイス:”サンディーヴァ”
"モングレル・チェスト"は、過去に滅亡したとあるFHクランに伝来していたレネゲイド呪物である。
その実体は数多のオーヴァードの血を煮詰めた呪匣であり、そこに納められた血を取り込んだ者を強力なオーヴァードへと覚醒させる機能を持つ。
十三年前にUGNの研究施設から盗み出されたこの品は、長らく行方不明になっていたが、製薬会社をカヴァーとするFHセル"アモーガ"の研究施設に保管されていることが判明。君は、その拠点制圧と奪還の任務を受領した。
──しかしながら、君が向かった時点で既に"アモーガ"は壊滅していた。
夥しい死体の山の先で、君は一人の女が"モングレル・チェスト"を粉砕する瞬間を目撃する。
彼女は”サンディーヴァ”と名乗り、君の追跡を振り切ってその姿を消した。妙に馴れ馴れしい問いかけを残して。
「私と一緒に来ない?きっと、幸せにしてあげるよ」

GM:なんかヤバそうなやつに因縁をつけられます
永良ゆづり:煙使いを煙に巻くとはいい度胸ね
GM:かっこいい
永良ゆづり:逆に巻き返してやる気持ちで頑張ります!
GM:絶対ろくでもないやつなので頑張って追い詰めてやってください
永良ゆづり:倒すぞ~~

GM:ネクスト!穂村さん~
穂村 姫乃:うむ。
穂村 姫乃:(キャラシート)
穂村 姫乃:穂村姫乃。日本各地を旅する一介の野良オーヴァード。
GM:今回唯一の無所属枠ね
穂村 姫乃:神への信仰を起源に持つレネゲイドビーイングじゃ。生まれて数百年ほどが経っとる。
GM:竈神!
GM:家事力とか高そう
穂村 姫乃:元となったのは興津比売命。兄神の興津彦命の化身も同時に生まれたが、ここ数百年はあっとらん。
GM:ほぼずっと会ってない
穂村 姫乃:ま、アイツじゃし生きとるじゃろ。そのうちバッタリ会うかもしれん。
GM:悪い奴らに捕まってたりしないといいね……
穂村 姫乃:長生きなので気も長いんじゃな。あと逸れた時期的にお互い連絡手段持っておらなんだ。
穂村 姫乃:GMにそう言われるのめちゃ怖いんじゃが。
GM:大丈夫大丈夫
穂村 姫乃:ううむ……。ともあれ、現世に馴染みつつ楽しく放浪者をやっとるぞ。
GM:今度も良い出会いがあるといいねえ
穂村 姫乃:うむ。期待をしておこう。
穂村 姫乃:能力はブラム=ストーカー/サラマンダー。能力を宿した血を媒介に色々するぞ。
穂村 姫乃:与えた相手を古代種に覚醒させられるし、燃やしてダメージ源にも出来る。
GM:前半すご
穂村 姫乃:そのために抱擁取っとるからな。微調整をすれば古代種に覚醒させずに一時的強化にも使える。
穂村 姫乃:まあこの血のせいで狙われたりもしとるんじゃが。人の子不老好きじゃからな。
GM:覚醒枠導きお姉さんもできてしまうわけね
穂村 姫乃:まあ紹介はこの辺りかの。みなよろしく頼むぞ。
GM:よろしく~ そんな穂村さんのハンドアウトはこちら!

・HO3:穂村 姫乃(PL;今日日さん)
シナリオロイス:日下部ルリカ
その日、君はたまたま通り掛かった緑坂市内で、幽霊めいた半透明の少女に出会う。
彼女は日下部ルリカと名乗り、自分の姿に気付いて不審がる君の素性を探ろうとするような言動を取って来た。
その折、ワーディングめいた侵蝕と共に一帯が黒い帳に鎖されていく異常状況が発生する。
その中に閉じ込められかかった君だが、ルリカに身を挺して弾き出される形で侵蝕圏内を脱した。
「君の仲間達を連れてきてほしいんだ」「さもないと、全部が塗り潰される」
彼女はそう言い残し、闇に鎖される街の中へと消えた。

GM:通り掛かった街でなんかいかにもヤバいことが起きてます
穂村 姫乃:神と幽霊が出会うとはまた現代らしからぬシチュじゃな。
穂村 姫乃:まあ儂パチモンじゃけども。
GM:ほんとのところ幽霊なのかなんなのかは君の目で確かめてくれ
穂村 姫乃:確かめてやろう。よろしくお願いします。
GM:一人じゃ大変だと思うのでUGNとかばんばん頼ってってね
GM:よろしくお願いします~

GM:ではさいご!亜藤さん~
亜藤 蘭介:は。
亜藤 蘭介:(キャラシート)
亜藤 蘭介:市外からN市第十二支部に転属した新参エージェント、亜藤蘭介(あとう・らんすけ)です。童顔なのを気にしております。
亜藤 蘭介:そのクセ厳しい顔つきをしているのでよく誤解されますが、人付き合いは割といい方です。
GM:12支部員!
亜藤 蘭介:魔境!
GM:実は今回唯一の既稼働キャラでもある
亜藤 蘭介:そうなんです
亜藤 蘭介:後述の理由からエージェントとしての実力は中の下くらい。本人の談。
亜藤 蘭介:というのも過去、チルドレン時代の任務で出来の良かった双子の妹(ピュアサラ)が亡くなり、蘭介自身も死にかけました。
亜藤 蘭介:何とか一命は取り留めましたがその際、何の因果かピュア・モルフェウスから妹と同じサラマンダー・シンドロームが覚醒し後天的クロスブリードになっております。
GM:ピュアサラは強いからな……
亜藤 蘭介:しかしサラマンダーの方はロクなエフェクトを行使出来ず、モルフェウスの方もピュアと比べて圧倒的にレネゲイドの出力が低下。一時はUGNから除籍も勧められました。
亜藤 蘭介:それを固辞した後、死にもの狂いの鍛錬を経て、何とか前線に復帰出来るレベルの白兵戦闘技術を会得したと同時、気づけば自身のモルフェウス能力も"変異種"と定義される特殊なものへと変貌を遂げておりました。
亜藤 蘭介:その後はエージェントとしていくつかの任務を経て、今に至るようなかたち。苦労してきたぜ。
GM:めちゃ・努力の人だ……
亜藤 蘭介:戦闘はシザリパとドッペルゲンガーを用いた簡易装甲無視+ガード不能の一撃をそこそこの火力で出せるのがウリです。っていうか殆どそれしか出来ません。
亜藤 蘭介:今回は250点環境ということでカバーリングやバステ解除、珍しい所では砂の騎士団も実験投入しております。上手いこと活用出来たらいいなと思いました(小学生)
GM:砂の騎士団ほんとに持ってて二度見しちゃった
GM:揺るぎなき心も珍しいよね……
亜藤 蘭介:見せてやりますよ 彼の力を
亜藤 蘭介:あ、それと
亜藤 蘭介:初期ロイスについてですが、いちまGMの事前許諾を経て、セッション開始前から『妹』のロイスをSロイス指定させて頂いております。
亜藤 蘭介:カラード環境だと色々と使いみちが豊富そうなので、こちらも上手いこと使えていけたらいいなとの思いがあります(中学生)
亜藤 蘭介:そんな感じです!
GM:あっ今回はそういう感じです 上級見て、まあできていいんじゃない?って思ったので……
亜藤 蘭介:有り難く…
GM:というわけで亜藤さんのハンドアウト!

・HO4:亜藤 蘭介(PL:がんとすさん)
シナリオロイス:"飯綱"
君はN市支部に所属するUGNのエージェントだ。
今回は東京近郊・緑坂市のUGN支部長"飯綱"の依頼を受け、一般人の連続大量失踪事件の捜査について協力する事となった。
閉鎖空間内にいた人間が一斉に消失する明らかなR案件であり、オーヴァードによる誘拐事件である可能性が最も濃いと見られている。被害規模も数百人に上り、支部としても隠蔽工作に追われている状況だ。
しかし事件の捜査が始まってまだ間もない頃、緑坂市の日常は崩壊した。

GM:近隣の支部から協力要請を受けました
亜藤 蘭介:俺が見事解決に導いて……アレ……崩壊してません?
GM:ギリギリで持ちこたえ……うーん……
亜藤 蘭介:うおおもう行くしかねえ!がんばります
GM:その意気さえあればなんとかなるぜ!よろしくね
亜藤 蘭介:おねがいします!

GM:じゃあ自己紹介も終わったので
GM:トレーラー貼ってから本編へと移っていきましょう

日常は暗転した。XX月XX日午前8時より、僅かに20分の激動。
東京近郊・緑坂市で突如として発生する異界化現象。
不明異常事象コード”ヴァンノワール”──今なお拡大を続ける黒い帳の領域。
時を同じくして発生した、数百人規模の集団行方不明事件。
その最初期の犠牲者に名を連ねるUGNチルドレン。夢魔の因子を持つ少女。
十三年越しに補足された感染性呪物匣”モングレル・チェスト”。
それを砕く不明超人、”サンディーヴァ”を名乗る女。

街は微睡む。
君達の気付かぬところで。少しずつ。

「これは夢です。だから──
その内側を観測することはできません。
他人の夢を覗き見ることができないように。
それに立ち入ろうとする者は、自分ではない記憶に呑まれます。
深い夢に沈んだ者が、不自然な事態も当然と受け入れてしまうように」

君達もまた、例外ではない──必ず呑み込まれる。真実を求め、そこへ立ち入るのならば。

偽りを振り払い、夢幻を砕け。
それがいかに甘く儚くとも。

Double Cross the 3rd Edition
「夢幻災禍のサンディーヴァ」
ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

◆Opening00:久遠仁◆

GM:久遠さんのみ登場可能なシーンです。過去回想なので、登場侵蝕は不要です。


GM:---
GM:5年前 関東地方緑坂市 美萩山山中
GM:---
GM:8月某日、夏の只中。数日ぶりに雨の降った日曜日。
GM:薄暗い曇り空の向こうからも、太陽はぬるい熱気を送り込んでくる。
GM:そこに混じる蝉の鳴き声、獣の血の匂い。……そう、血だ。
GM:いま君の前には、動かなくなった数体の野犬が倒れている。
GM:至ってありふれた任務だった。オーヴァード化した害獣の駆除。
GM:君の実力であれば、造作もない仕事だっただろう。
久遠仁:黒のスーツに甲冑めいたマスクを被った異様な人影が、獣の死骸の中で佇んでいる。
久遠仁:軽く息を吐くと同時、手にした剣の刀身が別の生き物のように蠢き、掌から身体に吸い込まれていく。
久遠仁:「……さて……」
久遠仁:靴の爪先で辺りの地面を叩く。そう固くはない。
久遠仁:(……墓を作ろうと思ったが……)
久遠仁:(……こういうの、処理班に渡したほうがいいんだろうか?勝手に埋めては怒られるかな……)
久遠仁:蝉の声を聞きながら、しばし考え込む。
久遠仁:「いや、聞いてみるか……」
久遠仁:端末を取り出し、支部に連絡を取ろうと番号をプッシュする。
GM:──ざ わっ
GM:不意に、空気が変質する。花を煮詰めたような甘い香り。
GM:傍らを飛んでいた羽虫が、目を回して地に落ちていく。
久遠仁:「!」
GM:《ワーディング》だ。出処はここより幾らか離れた、山麓のあたり。
GM:何者かは分からないが──その出力からして、今しも片付けた相手よりも上だと分かる。
久遠仁:(一匹仕留め損なったか?いや、これは……)
久遠仁:「……墓は後だな」
久遠仁:迷いは無かった。一秒も経たぬ内に、男の姿は影さえ残らず消えていた。

GM:……人気のない山中に、煉瓦造りの洋館が一軒。
GM:乱雑に開かれたままとなっている金属の門扉が、ぐらりぐらりと風に揺れている。
GM:そして、一帯を包む異質な空気──その出処は、エントランスホールにあった。
GM:戦場である。既に何人かの死体が転がり、カーペットを汚している。
GM:その中で《ワーディング》を放っていたのは一人の少女だった。
GM:年は十歳にも満たない程度だろうか。眼差しは朦朧として、口元からは血が垂れている。
血塗れの少女:「っ、うぁあ……あぁっ……!」
GM:じたばたと折れた手脚を動かし、獣のように荒い息を吐いて、喉元を押さえつけられている。
GM:獣めいたその豪腕の主は、不釣り合いに痩せて細身の男だ。
獣腕の男:「クソッ、ツイてねえよなあ……」
獣腕の男:「こっちにまともに戦える戦力はいないって聞いてたのによォ」
獣腕の男:「なーんで二人もやられてんですかねぇ!」
獣腕の男:閃光、続けて殴打音。
血塗れの少女:「っ、がぁ……!」
血塗れの少女:電撃そのもののような膝蹴りによって、少女の矮躯が大きく拉げた。
血塗れの少女:しかし、間を置かずして傷は癒えていく。《リザレクト》。
獣腕の男:「お前も、ガキだから殺るの後回しにしてやろうかと思ったのによォ」
獣腕の男:「目の前で身内皆殺しにされたくらいで、変なやる気起こしてんじゃねえよ」
獣腕の男:「恩を仇で返しやがって。なあ?」
獣腕の男:ゴガッ!バギッ!
獣腕の男:八つ当たりめいた、鈍い打撃音が何度も響く。
血塗れの少女:「っ、ふ……ぁ……」
獣腕の男:「……それで、何だ?」
獣腕の男:腫れ上がった少女の顔を、嗜虐に色づいた眼差しで覗き込む。
獣腕の男:「さっき覚醒したてで、うちの雑魚どもを三人もノしたって」
獣腕の男:足元に倒れている、仲間と思しき人影に視線をやり。
獣腕の男:「そいつは、お前よォ……」
獣腕の男:「お前、十分バケモノだわ。ただのカスならここで殺してやってたんだけど」
獣腕の男:「そんだけ強けりゃ価値があるからなァ。ああ、商品価値な」
獣腕の男:「うちの上司も『子供は宝だ』っつってたしな~」
獣腕の男:「……つーわけで、殺しはしねえからよ」
獣腕の男:バヂ バチッ!
獣腕の男:右手で少女を押さえたまま、獣めいた左腕にいっそう烈しい電撃が迸る。
獣腕の男:「そろそろ限界だろ?安心して寝とけや」
獣腕の男:その一撃が、今にも振るわれようと──
久遠仁:ひゅ、と、男の耳に風切り音が届く。
久遠仁:それに気付くより早く、男の頭を衝撃が貫き、脳がシェイクされた。既にその顎に、知覚外の速度で柄頭が叩き込まれている。
獣腕の男:「っ!?」
獣腕の男:「か、っ……!」その一撃に頭蓋ごと弾き上げられ、視界がひっくり返る。
久遠仁:僅かに鞘走った刀身を収める。鍔鳴りの音。
久遠仁:薄暗がりの中、騎士めいた兜を被った異様な人影が、男を見下ろしている。
獣腕の男:「なんっ……だ」
獣腕の男:衝撃で外れかかった顎を片手で乱暴に嵌め直しながら、目の前に現れた敵を睨み上げる。
久遠仁:「……君」
久遠仁:男に背を見せ、表情の読み取れない顔を少女に向ける。
久遠仁:「立てるかい?」
血塗れの少女:「ぁ……」朦朧と、夢を見ているような様子だったが。
血塗れの少女:君の声に気づくと、怯えたように後退る。
血塗れの少女:「っ、あ……やだっ……!」
血塗れの少女:覚醒直後であること、肉親を目の前で失ったこと。
血塗れの少女:そういった事情を知らずとも、錯乱・暴走に近い状態に陥っていることは想像できるだろう。
血塗れの少女:「っ、ぐ……うううっ……」
血塗れの少女:《アドレナリン》《リザレクト》《ワーディング》《リザレクト》《快楽の香気》《リザレクト》
血塗れの少女:少女の身体から、更なるレネゲイドが溢れ出す。明らかに自身の意思で制御できていないエフェクトの暴発。
久遠仁:「……」
久遠仁:そのエフェクトに僅かに酩酊と眩暈を覚えながら、ゆっくりと歩み寄り、少女の前に屈み込む。
久遠仁:それは彼女を安心させる為でもあったが、余計に怯えさせない為でもあった。
久遠仁:「大丈夫」
久遠仁:「もう終わったからね」
久遠仁:即ち、背後にいる男の姿を──その末路を見せない為。
獣腕の男:(……舐めやがって)
獣腕の男:仕留めたと思って油断している、と見たのだろう。
獣腕の男:いつの間にか立ち上がり、音もなく振りかぶっている。
獣腕の男:手の甲より伸びる、毒針めいた鋭利な器官──それを、無防備な背に突き立てようと。
久遠仁:──ぼとり
久遠仁:何か小さなものが床に落ちる。
久遠仁:それは男の指先だ。切り裂かれ、思い出したように血が滲んでいる。
獣腕の男:「──ぇ」
獣腕の男:ほんの僅かな、驚愕の声。男にできた反応は、たったそれだけだ。
久遠仁:気付いた時には、男の両腕に、夥しい数の赤い線が走っている。
久遠仁:それは傷口に、断面になって、ぼとぼとと地に落ち、スライスされた肉片と化す。
久遠仁:叫ぼうとしたその喉にも、同じように、赤い線が走った。
獣腕の男:自身が如何なる攻撃を受けたのかも、眼の前の相手がどうやって己を補足したのかも、何一つ理解しないまま
獣腕の男:視界が朱に染まり、声もなく崩れ落ちる。
久遠仁:それを背中越しに確かめて、改めて少女に向き直る。
血塗れの少女:「ぅ、あ……」依然として、少女の暴走は止まる様子はない。
血塗れの少女:「……おとう、さん……おかあ、さん」
血塗れの少女:君のことも見えているのか、いないのか。朦朧とした様子で、うわごとのように呟く。
血塗れの少女:「どこ、いっちゃったの……あたし……」
血塗れの少女:「のど、かわいて……」
久遠仁:「……」
血塗れの少女:少女のすぐ足元には、彼女の両親らしき遺体が見える。最も、少女はその存在すら視界に入らないのか
血塗れの少女:あるいは、見ないように逃避しているのか。
血塗れの少女:またあるいは、夢でも見ているのか。
久遠仁:身を寄せ、少女を包むように抱き締める。視界を覆い、なるべく体温が伝わるように。
久遠仁:「……大丈夫」
久遠仁:「もう大丈夫だ」
久遠仁:「怖いものはもう、いない。終わってしまったよ」
血塗れの少女:「ぁ……」その声に反応して、少しずつ少女の発するレネゲイドが弱まっていく。
血塗れの少女:子が親に抱きしめられた時のように、少しずつ緊張がほどけていくのを感じるだろう。
血塗れの少女:……不意に、君の肩に歯を立てられたような感覚が走る。
久遠仁:「……ん……」
血塗れの少女:抱きしめられた腕の中で、少女が噛み付くようにして。白い歯が君のジャケットを引っ掻いている。
久遠仁:(……吸血衝動か……)
久遠仁:経験上分かる。暴走した吸血衝動は、他者の血液を得ないことには、そう生半に収まるものではない。
久遠仁:訓練もしていない、覚醒したばかりの彼女では猶更だろう。
血塗れの少女:「っ、ぁ……か、はぁっ……」
血塗れの少女:君に身体を寄せながら、熱っぽい息を苦しげに零している。
久遠仁:シャツの襟元を緩め、はだけさせ、無防備な首元を少女の眼前に晒す。
久遠仁:「いいよ」
久遠仁:そう言って頷きかける。
血塗れの少女:「あ……」一瞬、その仕草に戸惑ったようにも見えて。
血塗れの少女:しかし次の瞬間には、ぐいと頭を寄せて君の首元に噛み付いている。
血塗れの少女:小さな水音を立てながら、慣れない様子で君の血を吸っていく。
久遠仁:落ち着かせるように頭を撫でながら、その僅かに痺れるような痛みに耐える。兜があって良かったな、と思う。
血塗れの少女:「ん、っ……ぅっ……」
血塗れの少女:しばらくそうしていると、少しずつ少女の身体から力が抜けていく。
久遠仁:「…………。 ……落ち着いたかい?」
血塗れの少女:……やがて、この場に立ち込めていた《ワーディング》がたち消えた。
血塗れの少女:少女が意識を失ったのだろう。君に噛み付いたまま、小さな寝息を立てている。
久遠仁:「おや……」
久遠仁:起こさないよう、ゆっくりと慎重に少女を抱き上げて、周囲を見渡す。
GM:君の他に、動くものはこの場ない。
GM:ただ生臭い惨劇の残り香ばかりが、広いエントランスを覆っている。
久遠仁:……間に合ったと、果たして言えるのだろうか。自分がもっと速く辿り着けていれば、まだ助けられる者がいたかもしれない。
久遠仁:少なくとも、彼女が受ける苦しみは、もっと少なくて済んだはずだ。
久遠仁:彼女のこれからの人生を想い、暫時瞑目する。
血塗れの少女:「……ぅ……おとう、さん」
血塗れの少女:寝言だ。君の腕の中で、僅かに身を捩る。
血塗れの少女:夢を見ているのだろう。あるいはそれは、自分を抱く君の腕の感触が喚起したものなのか。
血塗れの少女:「やっと、帰ってきたんだ……」
血塗れの少女:「もう……おそい、よぉ……」
血塗れの少女:君の服の裾を、ぎゅっと掴んでいる。離れていくことを恐れるかのように。
久遠仁:「……ああ」
血塗れの少女:「あたし、ずっと……いいこにして」
血塗れの少女:「待ってたん……だから……」
血塗れの少女:発した言葉はそれきりで。少女はそのまま、深い眠りへと落ちていった。
久遠仁:「……大丈夫だから」
久遠仁:少女の顔、血で張り付いた髪を、撫でるようにどかして。
久遠仁:「今はまだ、おやすみ」
久遠仁:そうして、少女を抱え上げ、閉ざされた屋敷の扉を開いた。

GM:では、これが5年前のことなので
GM:この事件の後。君が知った事の顛末について、情報を開示しておきます。

・情報公開「北条家襲撃事件の顛末について」
5年前、資産家である北条家が数名のオーヴァードに襲撃され、住人と、北条家に雇われていた民間のボディガードを含めた合計5人が殺害された事件。
犯行はレネゲイド犯罪組織・ギルドの戦闘部門に所属するオーヴァード3名によって行われたが、目の前で父と母を惨殺された8歳の娘・北条彩花がオーヴァードに覚醒し、激しく抵抗。その後、別任務で付近に滞在していた”ロストシグナル”の介入によって彼女は保護された。
また、彩花の母・清花についてはジャームだった事が判明しているが、戦闘能力はなかったため、ほぼ無抵抗に殺害されたようだ。現在その遺体はUGNの手で検査・処分された。

・情報公開「北条家について」
北条清花は数年前にジャーム化しており、夫である北条稔は彼女の治療手段を求めた結果、「ジャーム化の治療を行う」と標するギルドの研究支部の一つ”カドゥルー”に多額の治療費・研究支援費を支払っていた。
このために北条家の経済状況はかなり悪化しており、北条稔は多くの資産を売却し、親戚とも絶縁状態にあったようだ。
北条稔も当初は”カドゥルー”に協力的だったものの、やがて彼らが犯罪組織である事に気づき、研究施設から強引に清花を連れ出したようだ。
その際、"カドゥルー"が所持していたジャーム化治療に関する研究資料を持ち出そうとしていたために、敵対行動および契約破棄と見做され粛清された……というのが襲撃事件の実態である。
また、北条稔がUGNに助力を求めなかったのは、単にその存在を知らずにいた為だと思われる。
なお、この件を切欠にして1年後、"カドゥルー"はUGNの作戦により壊滅させられている。

GM:以上になります。


GM:シーン終了。ロイスのみ可能です。
久遠仁:北条さんは固定ロイスなので無しで!
GM:OK!

◆Opening01:永良ゆづり◆

GM:登場は永良さんのみです。登場侵蝕をどうぞ。
永良ゆづり:1d10+32
DoubleCross : (1D10+32) → 10[10]+32 → 42

永良ゆづり:トップスピード
GM:ガンと上がっちゃった


GM:---
GM:24日前 緑坂市 オフィス街
GM:---
GM:平日、深夜近い頃。
GM:人払いがされた駅前のビル街に、君達のチームの他に影はない。
GM:夕方まで降っていた雨の香りが辺りに漂い、見る者のいないネオンサインが煌々と光っている。
GM:君達が目当てとするのは、白い8階建てのオフィスビル。
GM:エントランス前に置かれた白色のプレートには「株式会社 トチノ薬品」の文字が小さく刻まれていた。
GM:バブル期に創設されて以後、二度の倒産の危機を迎えつつも現代まで続いた製薬会社。
GM:それがFHの拠点へと作り変わったのは、二度目の経営危機を個人的辣腕によって立て直した当代社長が就任した折のことと予想されている。
GM:その人物こそが、崎坂世良。あるいはFHエージェント"ヴィローシャナ"──"アモーガ"のセルリーダーにして、EXレネゲイドたる呪物"モングレル・チェスト"の所有者。
GM:君達の部隊は今、彼女が潜伏するその建物内へと突入しようとしている所。
"フェザリー・リード":「こちら、"フェザリー・リード"。並びに西側班4名、突入準備は完了しています」
"フェザリー・リード":君の持つ通信機から、涼やかな女の声がする。
"フェザリー・リード":"フェザリー・リード"。君達とは反対側の入口に備えている班、その小隊指揮を行っているチルドレンの少女。
"フェザリー・リード":「そちらはどうです?何か、報告すべき異常は」
GM:君の目に異常と言えるような出来事は、今の所ない。
GM:こうして君達の気配を察知し慌てて出てくる影がないのは、ある意味で不気味と言えるかもしれないが。作戦が順調であることの証左でもある。
永良ゆづり:「……こちら、"スモークスタック"。特に異常は見られない」淡々と報告する、黒ジャージの少女。
永良ゆづり:「現時点で、我々に気付いている様子もない……のは、喜ばしいと取れるか微妙だけれど」
永良ゆづり:「兎も角、こちらも準備は完了した。いつでもいける」
永良ゆづり:目深にハッチング帽を被り直しつつ、とんとんと靴先の帳尻を合わせる。
永良ゆづり:任務前のルーティーン。暗殺者然とした、簡易的な作法。
"フェザリー・リード":「結構。中で待ち構えている可能性には気を付けてください」
永良ゆづり:「勿論。そちらも気を付けて」
"フェザリー・リード":「では、10秒後に突入を」
永良ゆづり:「了解」
"フェザリー・リード":「それと、緊急時のため、この回線は開いたままに」
永良ゆづり:「了解」
永良ゆづり:口から吹き出した煙が、夜空を押しのけ立ち昇っていく。
GM:じゃき、と方々で小さな金音がする。君の同僚たちが戦闘装備を構える気配。
GM:かくして君達は、"アモーガ"セルの拠点へと踏み込んだ訳だが──。

GM:---
GM:トチノ製薬オフィスビル 1F
GM:---
GM:──君達が対面したのは、武装した敵エージェントではなく。
GM:血の匂い。無数の死体。
GM:それら血肉を苗床として通路を塞ぐほどに繁茂する、病的に黒い樹木。
GM:そこら中に倒れているのは、いずれも"アモーガ"セルの構成員であろうか。
永良ゆづり:「──これは」目下の惨状を眺め、かすかに表情が歪む。
同僚A:「うは、えげつねぇッスね……」
同僚A:君の半歩後ろを歩くチルドレンの少年が、僅かに息を漏らす。
"フェザリー・リード":「戦闘の痕跡……いえ、虐殺と言うべきかしらね」
"フェザリー・リード":通信機の向こう。別口から突入した彼女達もまた、同じような光景を眼にしているようだ。
永良ゆづり:「我々以外の敵対勢力、だろうか」
永良ゆづり:死体の一つに顔を寄せ、血の鮮度を確認する。
"フェザリー・リード":「"アモーガ"の敵、である事は間違いないでしょうけど……」
"フェザリー・リード":「私達の味方……のやり口には見えないですね」
"フェザリー・リード":「死亡者達には、ろくな抵抗ができた痕跡もない……加えて」
"フェザリー・リード":「ドアの裏側や、窓という窓が、樹で覆うようにして塞がれていました」
GM:君達が突入した入口もそうなっていた。強引に破壊して突破したが。
永良ゆづり:「こちらも同様」
"フェザリー・リード":「一人も逃さず殺す、と……」
"フェザリー・リード":「過剰に強い悪意を持っているようにも見えます。……無論、断言はできませんが」
永良ゆづり:「大した手並みには違いないけれど……怨恨、あるいは快楽的な衝動に則った所業の可能性がある」
永良ゆづり:「いるのかしら、まだこのビルに」
同僚A:「っ……」君の傍で小さく息を呑む。
"フェザリー・リード":「その可能性が高いと見るべきかと……ふむ」
"フェザリー・リード":「……上階へと続く、比較的通れそうな階段を見つけました」
"フェザリー・リード":「私達の班は、このまま上階に向かいます。そちらは、地下階の探索をお願いできますか」
永良ゆづり:「……了解」
同僚A:「はあ、ラッキー……なんすかね。地上階の方が階数は多いし……」
GM:先んじて建物の構造を把握するくらいの事は当然、全員がしている。
永良ゆづり:「それは、どうかな。第三勢力の目的が、我々と同じだとしたら」
永良ゆづり:「自ずと"モングレル・チェスト"の在処でかち合う羽目になる。覚悟はしておいて」
同僚A:「ああ……それもそうですよね」少し落胆したように肩を落とす。
同僚A:「まあ、"アモーガ"との全面衝突を避けれたのはありがたい、と見るべきか……」
永良ゆづり:「……それ、本気で言ってる?」
同僚A:「う……すいません」
永良ゆづり:「"アモーガ"の面々が死体として転がってることから、その勢力は同等かそれ以上の戦力を有している」
永良ゆづり:「一番拙いのは、敵勢力の仔細を掴めず、"チェスト"を取り逃し、我々までも総崩れすること」
同僚A:「……ウス。警戒を怠らないようにします」ばつが悪そうに頭を下げる。
永良ゆづり:「分かってくれればいい、ごめんね」
同僚A:「いや、永良サンが謝ることじゃあ……」
同僚A:「じゃなかった。"スモークスタック"さんが……とにかく、その」かぶりを振って。
同僚A:「ご教示ありがとうございますって事で」
永良ゆづり:「……死んでほしくないからね」
永良ゆづり:「信頼に値する人が、私の目の前で」
永良ゆづり:それきり同僚から目を背け、丸眼鏡を手の甲で直す。
永良ゆづり:「兎も角、私達も行動を開始しましょう」
同僚A:「……」君の言葉に、何かを問いかけようとする素振りを見せて、やめる。
同僚A:「ええ、了解です」
GM:樹海めいた建物の中で、間もなく君達は地下へと続く階段を見つけた。

GM:---
GM:トチノ製薬オフィスビル B4F
GM:---
GM:階下に進むほど、繁茂する樹木の密度と、レネゲイドの気配は濃くなっていった。
GM:その変化が、君達の向かう先に「それ」が居る事を仄めかしている。
GM:また、セルとしての運用拠点も地下施設の側を軸としていたのだろう。
GM:火器・武器庫や対オーヴァード用の拘束施設など、通常の医薬研究施設には見られるはずもないものが目についてくる。
同僚A:「っ……やっぱり、近づいてるん……ですかね」より酷く変質した遺体を目にして、小さく呟く。
永良ゆづり:「……ええ、きっと居る」警戒心が身体に張り詰め、吸い込んだ空気が重く圧し掛かる。
GM:──と、そのとき
GM:叫び声のようなものが聞こえる。君達が居る少し先の廊下、防火扉の向こうから。
永良ゆづり:「!」
同僚A:「……!」
"フェザリー・リード":「……何か、ありました?」向こう側にも聞こえたのだろう。声を潜めて訊ねる。
永良ゆづり:「我々の位置から見える防火扉。その先から人の叫び声が聞こえた」
"フェザリー・リード":「……そう、そちら側にいたんですね」
"フェザリー・リード":「こちら側は、不審人物等の気配はありませんでした。私達も今からそちらへ向かいますが……」
GM:君はこのままここで合流を待っても構わないが、
GM:扉の向こうで叫び声が聞こえたと言うことは、今なお生存者がそこにいる可能性を示唆してもいる。
GM:それを踏まえて、どちらを選んでも大丈夫です。利益・不利益が発生する選択肢ではありません。
永良ゆづり:「……難しいな。合流するのが確実だが、時間が惜しい」
永良ゆづり:「まだ生存者がいるかもしれないし、逃げられては事だ」
永良ゆづり:「我々は先に突入する」
"フェザリー・リード":「それは……」一瞬、迷うような素振りを見せるが
"フェザリー・リード":「……分かりました。気を付けて」
永良ゆづり:「止めないのね」
"フェザリー・リード":「なっ、何ですか。私だって……」
"フェザリー・リード":抗議するような声を上げる中に、息を切らしているような音が混じる。急いで階段を駆け下りているのだろう。
永良ゆづり:「最悪、私が身体を張って他の班員を逃がす。後はお願いね」
永良ゆづり:二本一対の金属棒を両の手に携え、掌でくるくると旋回させる。
永良ゆづり:峨嵋刺。中国武術に伝わる暗器の一種。
永良ゆづり:仕事前の調子を確かめる様に、一頻り遊ばせたのち再び強く握り込む。
GM:君のチームのチルドレン達は、守ると言った君の言葉に安堵した……訳ではないだろうが。息を呑んで防火扉に向かい、警戒態勢を取っている。
永良ゆづり:「では」
永良ゆづり:臆することなく、しかし音を立てずに踏み込み。
永良ゆづり:防火扉をゆっくりと開け放つ。
GM:……そこは通信施設めいた部屋だ。
GM:無数のモニターや計器が壁一面に広がり、しかし今はそのどれもが黒い枝によって蝕まれ破壊されている。
GM:立ち入った瞬間に君が眼にしたのは、その中央。黒い人影が、今しも一人の女の首根を掴み、縊るところ。
GM:気管との繋がりを絶たれて、掠れるようにか細い断末魔を吐いたその首が、リノリウムの床に転がった。
GM:その素性を知っている。今作戦の最優先警戒対象……だった人物。"アモーガ"セルリーダー、"ヴィローシャナ"崎坂世良。
黒い人影:「……あれ」
黒い人影:それを行ったのは、黒い人影だ。他に言いようもない。
黒い人影:淀んだ澱のような空気に覆われて、その姿が判然としない。声ばかりは、若い女のものだった。
永良ゆづり:「君がやったのかな」
永良ゆづり:他の班員より一歩前に出て、黒い影に淡々と呼び掛ける。
黒い人影:「ここの生き残り……?いや」驚くが、すぐに君達に敵意を向ける様子はない。
黒い人影:「UGNの人、とかかな。いきなり攻撃してこないし……」
永良ゆづり:「……まぁ、このビルに所属する者ではない。とだけ」
黒い人影:「外にはバレないようにしたつもりだったんだけど……」
永良ゆづり:「関係ないさ。今しがた、私達も侵入したクチだ」
黒い人影:呟くその手には、小さな匣を持っている。
黒い人影:"モングレル・チェスト"、呪い匣たるEXレネゲイド──13年前に盗み出された危険遺産。
黒い人影:今しも"ヴィローシャナ"から奪ったのだろうか。
永良ゆづり:"チェスト"は既に視認している。逃さぬため、思考を巡らせながら影との会話を続けようと。
永良ゆづり:「……で、そういう君はどこの誰なのかな」
黒い人影:「どこの誰、か……」
黒い人影:「難しい問いかけだな。少し前なら、迷わず答えられた気がするんだけど……」
黒い人影:「まあ、どこの誰でもないよ。でも、名前ははっきりしてる」
"サンディーヴァ":「"サンディーヴァ"だ。今の私は、"サンディーヴァ"」
"サンディーヴァ":黒い澱のレースの向こうで、微かに白い歯が見えた気がする。笑っているのだろうか。
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"ね。私は"スモークスタック"」
"サンディーヴァ":「"スモークスタック"さん、ね。それで……」
"サンディーヴァ":「君は、これが欲しいの?随分、気にしてるみたいだけど」
"サンディーヴァ":手にした匣を無造作に見せやる。
永良ゆづり:「目敏いな。その通りだ」
"サンディーヴァ":「ああ、ダメだよ」
"サンディーヴァ":「これはもう、誰にも使わせない……使わせちゃいけない」
永良ゆづり:「奇遇だな。私も同意見だ」
永良ゆづり:「君の様な得体のしれない者が持つには、危険すぎ──」
"サンディーヴァ":匣を持つその右手が、揺れる。
"サンディーヴァ":一瞬の内に。女の纏う黒い澱が、この部屋を覆う程に膨張する。
GM:神経を撫で、溶かされるような感覚。警戒しながら"サンディーヴァ"と向かい合い、君の会話の成り行きを見守っていた同僚達が、気を失ったように倒れていく。
永良ゆづり:少しずつ床を這うように流れていた紫煙が、堰を切った様に密度を増す。
永良ゆづり:永良ゆづりが立ち回る空間に、煙が満ち足りる程優位になる。
永良ゆづり:「……それ以上妙な動きをすれば、攻撃する」
GM:その紫煙が、彼女の放った侵蝕から君を守ったのだろうか。最も、その侵蝕は余波である。
"サンディーヴァ":次の瞬間。金属の蓋を引き裂き、箱を押し潰しながら、女の掌に黒い樹が生え育った。
"サンディーヴァ":その生育過程に軋み、磨り潰されるようにして。
"サンディーヴァ":君の目の前で、"モングレル・チェスト"は粉砕される。
永良ゆづり:「!」
"サンディーヴァ":「──はい、これで」
"サンディーヴァ":そうして一瞬で育った樹も。次の瞬間には全ての水気を失ったようにして枯れ、砕けた。
"サンディーヴァ":「私達の悪夢はおしまい」
永良ゆづり:「……なるほどな、破壊が目的だったか」
"サンディーヴァ":「そう。目的は一致してたみたいだけど、まあ……君達を信用する理由もないし」
"サンディーヴァ":「これは私がやらなきゃいけない事だったから」
永良ゆづり:「そうか。それで私達の責務の一つは今、潰えてしまったが」
永良ゆづり:「新たな責務が積まれた様だ」
永良ゆづり:立ち込める煙は班員達を覆い、永良ゆづりの周囲にも纏わりつく。
"サンディーヴァ":「……優しいね。仲間の事が心配?」
永良ゆづり:「そりゃ大事にするさ。これ以上抱えたくないのでね」
"サンディーヴァ":「あはは、良い子だなぁ」
"サンディーヴァ":「その歳で、好きで戦ってる訳でもないでしょうに」
永良ゆづり:「だがそれは相対的なモノだ。君に対して良き振舞いを見せるかは別の話だ」
永良ゆづり:「"私達の悪夢"、"やらなければならない仕事"だと言ったな。仔細を洗い浚い吐いて貰おうか」
永良ゆづり:「セルの本拠を単独で瓦解させ、"チェスト"を破壊するだけの能力を有する」
永良ゆづり:「到底放っておける者ではなくなってしまったからな」
永良ゆづり:右足を一歩踏み込み、態勢を低く、峨嵋刺の刺針を影に向けて構える。臨戦態勢。
"サンディーヴァ":「ただ強いから、放っておけないって?」
"サンディーヴァ":「なかなか理不尽な話だなぁ、それ。強くならなきゃ生きていけない子だっているのに」
"サンディーヴァ":構える様子はない。ごく自然体でそこに立っている。
永良ゆづり:「強いだけならまだしも、知り過ぎている」
永良ゆづり:「我々に仇為そうとして、その"チェスト"が邪魔だった可能性も残っている」
"サンディーヴァ":「……勝てると思うの?」
"サンディーヴァ":ほんの僅かに、殺気のようなものが匂い立つ。
永良ゆづり:「みすみす見逃して、不毛な死を増やすぐらいなら」
永良ゆづり:「チャレンジしてみるさ」
永良ゆづり:目の前を影を観察する。僅かな揺らぎや隙が少しでも見えれば、それを射抜かんと。
"サンディーヴァ":「ふうん……」
"サンディーヴァ":「……良いな。君のこと、気に入ったかも」
"サンディーヴァ":黒い影が、口元に円弧を描く。笑っているのだろう。
永良ゆづり:「そうか。では私も気に入りたいから降伏してくれないか」
永良ゆづり:「今ならまだ、我々の手助けをしてくれたという扱いにもできる」
"サンディーヴァ":「それは無理かな。やらなきゃいけない事があるし……」
"サンディーヴァ":「君の組織はきっと、それを止めようとするもの」
永良ゆづり:「バレてるか」
"サンディーヴァ":「だけど、君個人と戦いたくないのは本当だよ」
"サンディーヴァ":「だから……ねえ、私と一緒に来ない?」
"サンディーヴァ":「きっと幸せにしてあげるよ」
永良ゆづり:「…………」
"サンディーヴァ":「連れてってあげる。そうやって、終わる宛もない戦いに身体を張ったりなんてしなくていい所に」
"サンディーヴァ":「義務も、責任も、使命も……君を縛ってるもの全部をほどいて」
"サンディーヴァ":「ありのまま、優しい君として生きられるように」
"サンディーヴァ":「私が、してあげる」
永良ゆづり:「無理だな」
永良ゆづり:「私の手は既に汚れている。終わる宛のない戦いを背負うことが不幸なら」
永良ゆづり:「私こそ相応しい。そして責務をなるべく消化したら地獄に落ちる」
永良ゆづり:「気遣いは結構だ」
永良ゆづり:相対した当初から変わることなく、淡々と。
"サンディーヴァ":「……凝り固まってるなぁ。誰がそんな風にしたのか……」息を吐いて。
"サンディーヴァ":「……長話、しすぎちゃったみたい」
永良ゆづり:「そうか。ではどうする」
"サンディーヴァ":「君の勧誘は、また今度……ううん」
"サンディーヴァ":「帰るよ。目下の用事は済ませたしね」
"サンディーヴァ":どろり、と。女の姿が崩れる。
"サンディーヴァ":床に浸透する水のように溶け、消える。
"サンディーヴァ":姿の消えた後に、声が響く。
"サンディーヴァ":『私は、"サンディーヴァ"』
"サンディーヴァ":『苦痛と、後悔と、呪いそのもの』
"サンディーヴァ":『だからこそ、甘い夢を探してる』
"サンディーヴァ":その気配もすぐに消失する。《瞬間退場》
永良ゆづり:「…………」戦闘姿勢を崩し、脱力した様に立つ。
GM:と、次の瞬間。君達のいる部屋へと、駆け込んでくる複数の足音。
"フェザリー・リード":「"スモークスタック"、皆さん、状況は……!?」
永良ゆづり:「ん。遅かったね"フェザリー・リード"」
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"なる黒い影に"チェスト"を壊され、そのまま逃走された」
"フェザリー・リード":「……申し訳ありません」君と歳の近い、銀髪の少女。少し縮こまったように頭を下げる。
永良ゆづり:「大丈夫。皆無事だったし」
"フェザリー・リード":「そう、ですか……分かりました。詳しい事情は後で伺いますが……」
永良ゆづり:「急いでくれたみたいだしね」彼女の肩の揺れ動く様子を眺めながら。
"フェザリー・リード":「そっ……そりゃあ、急ぐでしょう!あんな……」
"フェザリー・リード":続く言葉に詰まり、かぶりを振る。「……貴方は、どうなんですか?」
"フェザリー・リード":「何か、目をつけられていたようでしたが……変なことは、されていませんか」
永良ゆづり:「見ての通り、私も無事。だが、奴さんに気に入られたみたいでね」
永良ゆづり:ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
永良ゆづり:窄めるように口に咥える。その隙間から紫煙が吐き出され、天井に昇り詰めていく。
永良ゆづり:「これから、忙しくなるかもなぁ……って」
永良ゆづり:「……あ、"ヴィローシャナ"はそこで死んでる。この様子じゃ最後の一人だったみたい」
永良ゆづり:峨嵋刺の先端を、床に転がる死体へ。
"フェザリー・リード":「……」無表情にその遺体を見やって。「この施設の制圧自体は、完了したようですが」
永良ゆづり:「ならば、我々は一度ビルの外へ戻り待機しましょう。事後処理部隊にも連絡を……」
"フェザリー・リード":「いえ。残留している樹木が、職員に害を加えないとも限りませんから」
永良ゆづり:「……む、確かに」
永良ゆづり:「では、道すがらに一通り炙っておこう。手伝ってくれる?」
"フェザリー・リード":「ええ、勿論」
"フェザリー・リード":「結果的に……貴方達の班に、大変な仕事を任せる風になってしまいましたし」
永良ゆづり:「ありがとう」
"フェザリー・リード":「礼を言うのはこちらですっ」
"フェザリー・リード":背を向けたままそう言って、自身の班員達に残留物の清掃指示を出していく。
永良ゆづり:────"サンディーヴァ"。単純な戦力差を鑑みれば、私が勝てる可能性は相当低かっただろう。
永良ゆづり:あの場で我々が生き残るためには、あの影から敵意を削ぎ、そのまま退散してもらうしかなかった。
永良ゆづり:私の振舞いが功を奏して……か、どうかは分からないが。
永良ゆづり:兎も角、死をこれ以上不必要に背負うのも、手放すのも御免だ。
永良ゆづり:口に咥えた白い棒を嚙み砕くと、"フェザリー・リード"に追随する形で清掃に取り掛かることにした。

GM:シーンカットです。ロイスのみ可能。
永良ゆづり:"サンディーヴァ"/興味/○警戒 で取得。以上!
GM:OK!

◆Opening02:久遠仁◆

GM:久遠さんのOPです。登場侵蝕をどうぞ!
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を1D10(→ 9)増加 (40 → 49)
久遠仁:ウッ
GM:でっかい…


GM:---
GM:14日前 N市 市街地
GM:---
GM:東京近郊・N市。十三地区制度によって秩序を維持する──すなわちは、そうするだけの必要があった、国内UGNきっての危険地帯。
GM:採算にわたって世界の危機の起点となり、波乱の渦中にあったのもひとまずは去年までのこと。
GM:今は一通り落ち着いたその街に、君がかつて救い出した少女の所属する支部があった。
北条サイカ:「えへへ、先輩と任務なんて久しぶりですねぇ」
北条サイカ:君の隣を歩く、制服姿の少女。桜色の髪と、つり眼がちの整った容姿。
北条サイカ:「警邏っていうと、去年まではワイバーンとかいっぱい出てきてたんですけど」
北条サイカ:「今年は大分数を減らしたみたいなんですよねぇ。あたしも数えるくらいしか見てないんです」
久遠仁:「そうさなぁ……」出会ったころから変わらない、仮面に長身の、異様な風貌の男。「いつ振りだったかな……ワイバーン?」
北条サイカ:「あ、知ってます?ワイバーン。なんか、オーヴァード同士が話してると嗅ぎつけて寄ってくるとかいう」
久遠仁:「知らないなあ。ワイバーンっていうと、あれかい?小さいドラゴンみたいな……」
久遠仁:革の手袋を着けた手でわやわやと形をジェスチャーする。
北条サイカ:「あ、そうそう。大体そのイメージで合ってます」
北条サイカ:「ギャース!ってつんざくようなうるさい声で鳴くんですよね」
久遠仁:「そんなのがいたのか……やっぱりとんでもない街だな、ここは……」
北条サイカ:「まあ、そういうのが一気に減ったってことで。前よりも落ち着いて話せるの、ちょっとハッピーです。ふふ」
北条サイカ:元より人の声を引きやすい声を持つ娘だが、君を前にするとそのトーンは更に少し甘くなるきらいがある。
北条サイカ:言ってしまえば随分と、懐かれているようだ。君がその違いを聞き取っているかどうかは分からないが。
久遠仁:「うーむ……確かに前よりN市の事件を聞くのは減ったような気がするなあ」ぼんやりと考え込むように。
久遠仁:「じゃあ、最近はそんなに忙しくないのかい」
北条サイカ:「そうですねぇ。色々起きてることはありますけど、前に比べるとかなり」
北条サイカ:「先月なんて、学校の欠席0日だったんですよ。えへへ」
久遠仁:「本当かい?そいつは偉いな」
久遠仁:「久々に会うが、元気そうで安心したよ」
久遠仁:「学校はどうだ?楽しいかい。友達は出来た?」
北条サイカ:「先輩こそ、元気そうで何よりで……ええ、いっぱいできましたよっ」
北条サイカ:「うちの支部長、色々気を回してくれる人みたいで。潜入のための転校とかも、あたしの周りの子はまだ誰も」
北条サイカ: 「任務ならしょうがないとはいえ、せっかく仲良くなった子と離れるのはいやですもんね」
久遠仁:「うん、うん……そりゃあ良かった。何よりのことだ」大きく頷く。「支部長さんにも、後でお礼を言っておかないとな」
北条サイカ:「えへへ……あと、あたしと同じタイプのキュマイラの人とも友達になったんです。学校じゃないですけど」
久遠仁:「へえ!それは幸運だったなあ。同じ能力の人なんて、そうそう知り合えるものじゃあないからな」マスク越しに声が弾んでいるのが分かる。
北条サイカ:「たぶん、先輩よりも年上の人なんですけど……10歳くらいのお子さんがいるって言ってたかな。優しくて、素敵なお姉さんです」
北条サイカ:「へへ、そうそう。能力で辛いこととか色々、分かる~ってなってもらえて……」
北条サイカ:「……先輩のそれも、大変そうですもんね」
北条サイカ:言いながら、君の被っている重厚なマスクに視線をやる。
久遠仁:「俺かい?俺はいいんだよ」冗談めかして掌を振る。「もう慣れたものさ。困るのはまあ、食事の時と、職質を受ける時くらいかな」
北条サイカ:「え~、めちゃめちゃ困るじゃないですかっ。日に三度以上でしょ」
北条サイカ:「ごはんだけじゃなくて、飲み物とかもあるし……」
久遠仁:「そっちはな、実はストローで行けるんだ」
北条サイカ:「あっ、ストローでいけるんだ……」
北条サイカ:いかめしいマスク越しにストローでジュースを啜る姿を想像して、くすりと笑う。
北条サイカ:「ていうか、先輩の衝動ってあれでしょ。あたしと同じ……」
久遠仁:「まあ、そうさなあ」
久遠仁:頷く。久遠の持つ衝動は、吸血衝動に分類されるものだ。
久遠仁:「まあ、逆に……我を失っても誰彼構わず噛みつかずに済むから、助かっているところはあるな。ははは」冗談めかして朗らかに笑う。
北条サイカ:「あー……」どこか共感する所があるような頷き。
久遠仁:「そうそう。仕事の方はどうだ。能力の制御は?上手いこと行ってるのかい」
北条サイカ:「制御はもうバッチリですよ。あたしもそろそろ、チルドレンとしては一人前って言われてきてますし」得意げな顔。
北条サイカ:「定期健診だって、ずっとクリアーしてます」
北条サイカ:「パックさえちゃんと毎日飲んでれば大丈夫だって、先生も言ってました」UGNから支給される血液パックのこと。
久遠仁:「そいつを聞いて安心したよ。うん、良かった」
久遠仁:仮面越しに表情は見えないが、うんうんと頷く。
久遠仁:「仕事のことで何か悩みでもあれば、いつでも相談してくれよ」
久遠仁:「年頃の子の事は、俺にはちょっとばかり難しいからな。それくらい、役に立ってやらないと」
北条サイカ: 「年頃の……あー、いやいや」
北条サイカ:ひとりでに何に思い当たったのか、微かに頬を染めて首を振る。
北条サイカ:「大丈夫、大丈夫ですって!」
北条サイカ:「ていうか、先輩にはもう十分よくしてもらってますし……」
北条サイカ:「返すのはあたしの方、みたいな……」
久遠仁:「何?はははっ!そんなこと、子供が気にするものじゃあないさ」
北条サイカ:「ええー、だって……」不服そうに頬を膨れさす。
北条サイカ:「だって、全部先輩のおかげなんですよ」
北条サイカ:「あたしがこうやって無事に暮らしてるのも、あたしがUGNで戦おうって思ったのも」
北条サイカ:「先輩が助けてくれたからだし、先輩に憧れたからなんですよ」
北条サイカ:「ちょっとくらい返したいと思ったって、いいじゃないですか」
久遠仁:「そう思うなら、北条が元気で居てくれるのが何よりだよ」
久遠仁:ぽん、と軽く頭に手を置くように撫でて。
北条サイカ:「わっ」驚いたように、肩を震わせる。
久遠仁:「そうあってほしいと思って、やってるんだからな。俺が」
久遠仁:「せっかくなら楽しんでくれ」
北条サイカ:「……うう」
北条サイカ:子供だからとあしらわれるのは、ある意味でいつものことだったが。どこか不服げに俯く。
北条サイカ:「そうやってかっこいいこと言いながら突き放すの、ずるいです」
久遠仁:「かっこいい?」小首を傾げ「……はははっ!そんなこと言うの、北条だけだぞ」呵呵と笑う。
北条サイカ:「えっ……や、変な意味じゃないですよ……!?素直な感想っていうか……」
北条サイカ:「ふ、普通じゃないですか?今みたいなこと言われたら、誰だってかっこいいと思いますよ……!?」
久遠仁:特に気にしない様子で「まあ一応、書類上とはいえ後見人なんだ」
久遠仁:「もし何かあれば相談してくれよ。俺なんかで良ければな」
北条サイカ:「うう……分かりました」
北条サイカ:ひとりでに慌てていたが、久遠さんのあんまりな落ち着きっぷりを見て冷静になった。
北条サイカ:「でも……だったら、ほらっ」
北条サイカ:「先輩も、あたしに相談とかしていいんですからね」
久遠仁:「うん?」虚を突かれたように。
北条サイカ:「これでも、いろいろ経験してますし。……きっと、力になれることだって、ありますしっ」
北条サイカ:とん、と拳で自分の胸のあたりを叩いて主張する。
久遠仁:「北条にそんなことを言われるとはな……」腕組みして考える。やや感慨深そうに。
久遠仁:「よし、分かった。その時は頼りにさせてもらうよ」
北条サイカ:「えへへ、任せてくださいっ」

GM:……そんな会話があってから数日後、君が知った事には。
GM:北条サイカは行方不明になった。
GM:手がかりは何も残されておらず、自ら望んで失踪したとも、攫われたとも分からない。
GM:同時期、N市近隣の緑坂市にて、集団失踪事件が発生。
GM:彼女もまたその被害者であるかもしれない可能性を思い、君は自ら志願して事件の捜査に加わる事になった。そして──

GM:シーン終了。ロイスのみ可能です。
久遠仁:やはり固定ロイスなので無し。 WH/北条サイカ ○庇護/心配 です
GM:OK!

◆Opening03:亜藤蘭介◆

GM:登場は亜藤さんのみです。登場侵蝕をどうぞ。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 8)増加 (34 → 42)


GM:---
GM:2日前 UGN緑坂市支部 応接室
GM:---
GM:東京近郊・緑坂市。
GM:中央の小山岳地帯によって二つに隔てられる地形となるこの街のUGN拠点は、南北を繋ぐ中間の鉄道駅である。
GM:この支部の人員ではないものの、協力要請を受けて派遣されこの支部へとやって来た君は
GM:駅員制服を着た支部スタッフに案内された君は、対談用の個室へと案内された所。
"飯綱":「集団失踪事件です。いや、誘拐と言った方が良いでしょうね」
"飯綱":君の対面に腰掛ける支部長の"飯綱"─張り付いた面のような笑みを浮かべる長身の男は、前置きもなしにそう切り出した。
GM:尚、彼はコードネーム以外の名で極力呼ばれたがらない。
GM:本名を知るらしい何人かも、どうも強く口止めをされているらしく、教えてくれることはなかった──事前に拝領した書類でも省略されていた。そういう訳で、君はこの男の本名を知らずない。
"飯綱":「一件目の現場は、バスの車内です」
"飯綱":「平日朝の通勤時間帯に、人通りの少ない道半ばで停車している所を発見されました」
"飯綱":「見れば──中に人は運転手を含めて誰もおらず、車体だけが捨てられたような状態になっていたと」
"飯綱":足元に置いていたバッグからファイリングされた資料を取り出し、君の目の前に並べていく。
亜藤 蘭介:目の前に並べられた資料を手に取り、慣れた手付きでページを捲っていく。
亜藤 蘭介:小柄な男だった。
亜藤 蘭介:中高生と然程変わらない背丈。短く刈り揃えた灰がかった髪に、子どものように幼気な容貌。
亜藤 蘭介:しかし、深く刻まれた眉間の皺に、鋭く暗い瞳の色は。
亜藤 蘭介:見た目の年齢以上の老獪な印象を、見る者に抱かせた。
亜藤 蘭介:「概要だけ、掻い摘めば」
亜藤 蘭介:「何らかの。組織的誘拐といった印象を受けますが」
"飯綱":「妥当な見解ですね。無論、その筋でも捜査を進めていますが……」
亜藤 蘭介:「この事件を。"飯綱"殿直々に、ご説明してくださるということ」
亜藤 蘭介:「私が、此処に呼ばれたということ」
亜藤 蘭介:「……FHですか?」
"飯綱":「ええ。先日壊滅を確認した"アモーガ"に限らず、こちらの市でもFHの活動は相当数あります」
"飯綱":「……ですが、私や捜査担当者の感じたこととしては」
"飯綱":「むしろ……組織だって動いているにしては、あまりにも足取りを掴めないと」
"飯綱":「頭数を揃えて物の流れを作ろうとすれば、それだけ尾は長くなるというもの」
亜藤 蘭介:「特異な力を所持した、個人の犯行」
"飯綱":頷く。「我々とて、市内の裏社会にそれなりに警戒網を張り巡らせています。……しかし、そういった筋に全くかかる様子がない」
亜藤 蘭介:「そういった筋の人間の可能性も、薄い。となると……」
"飯綱":「特定の個人か、それに近い勢力……おそらくは、強力な空間転移能力を持つ者」
"飯綱":あくまで推測ですがね、と付け加えつつ。
亜藤 蘭介:「バロールにオルクス……」「モルフェウス能力者あたりも、入ってきますか」
"飯綱":「ええ。後は、ウロボロスによるそれらの模倣も」
亜藤 蘭介:「……一件目、ということは」
"飯綱":「……二件目は、走行中の電車車両。三件目は、上映中の映画館にて」
亜藤 蘭介:「随分と大胆だな……」
"飯綱":「そこから数えること、これまでに6件。被害者の数は、特定できているだけで1027人」
"飯綱":張り付いた笑みを浮かべたまま、淡々と口にする。
亜藤 蘭介:「……1027人?」
亜藤 蘭介:僅かに目を見開いて。
"飯綱":「全くお恥ずかしい限りです」
亜藤 蘭介:「いえ、責める意図は……」
亜藤 蘭介:失礼しました、と頭を下げる。
"飯綱":「今の所、捜査の成果は捗々しくなく……またこれほどの数となると、支部として情報封鎖と記憶処理にも大きなリソースを割かれているのが現状です」
"飯綱":「ここは一つ恥を重ねて、他支部の方にも力をお借りしたいと考えた次第です」
亜藤 蘭介:緑坂市支部は。決して小さな規模の支部といった印象は受けないが。数が数だ。
亜藤 蘭介:裏方で奔走する彼らに同情の念を覚えながら。
亜藤 蘭介:「私を任命して頂いた理由は、存じ上げませんが」
亜藤 蘭介:「任務を承る以上。全力で事に当たらせて頂きます」
"飯綱":「ありがとうございます」抑揚のない声で言う。
"飯綱":「私としては、近隣支部に協力要請を出したまでです。貴方が選抜された理由までは、存じませんが……」
"飯綱":「……N市、という事であれば。そちらのチルドレンが一人、消息不明になっているようです」
"飯綱":「貴方の支部とは別の所属ですがね」
亜藤 蘭介:「……名をお聞きしても?」

GM:では、そうですね。この辺りで
GM:現時点での事件に関する情報を公開しておきます。

・情報公開「連続失踪事件について」
ここ1週間程度の期間において、東京近郊・緑坂市を中心に発生している大規模集団失踪事件。停車中のバス車内やコンサートホール等の閉鎖空間から一斉に人が消失する事態が繰り返し発生し、累計被害者は千人近くにのぼる。犯人は何らかの空間転移能力を使用したものと見られるが、詳細は不明。
また、この事件に先立って10日程前、UGNチルドレンである"ブリンクブレイド"北条サイカが消息不明となっている。
現時点での直接的な関連性は不明だが、N市と緑坂市は電車で20分程度の距離にあり、緑坂市は北条サイカが過去に暮らしていた街であり、近親者の墓もある。彼女が何かの理由でこの街を訪れていた事は考えられる。

GM:亜藤さんはもらった資料とか飯綱との会話とかから、上記の内容を知ることができます。
亜藤 蘭介:ありがとうございます!

亜藤 蘭介:「北条サイカ……第五支部か」
"飯綱":「何か思う所が?」
亜藤 蘭介:生憎と面識は無いが。それでも、共に魔街に迫る脅威を戦い抜いた戦友には違いない。
亜藤 蘭介:UGNとして。
亜藤 蘭介:「私はあの市では、まだまだ新参者ですが」
亜藤 蘭介:「限りない恩があります。あの街に、あの支部に」
亜藤 蘭介:強い意志が宿った瞳で"飯綱"に目を向けて。
"飯綱":「……ふむ」少し考えるように顎に指を置いて。
"飯綱":「先程は、君を選んだ理由は私にはないと言いましたが」
"飯綱":「来てくれたのが君でよかった」
"飯綱": 「今は、そのように感じています。個人的な意見としてね」
"飯綱":世辞とも付かない調子でそう口にして。
亜藤 蘭介:「……は」
亜藤 蘭介:「恐縮です」
亜藤 蘭介:気恥ずかしそうに頬を掻いている。
"飯綱":「それでは、"ドイスラッシャー"。少しの付き合いになるでしょうが」
"飯綱":「どうぞ、よろしくお願い致します」
"飯綱":長い背を折りたたんで、深く頭を下げる。
亜藤 蘭介:「最善を尽くします」
亜藤 蘭介:「"飯綱"殿」
亜藤 蘭介:同じように深々と頭を下げて。


GM:シーン終了。ロイスのみ可能です
亜藤 蘭介:"飯綱" P○尽力/N不信感 で取得します。
GM:不信られてる……OK!

◆Opening04:穂村姫乃◆

GM:最後に、穂村さんのオープニングです。登場侵蝕をどうぞ
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 1)増加 (41 → 42)
GM:落ち着き!
穂村 姫乃:省エネじゃな


GM:---
GM:15分前 緑坂市
GM:---
GM:緑坂市、よく晴れた夏の日の朝。
GM:決まった住所を持たない旅人である君はこの日、これといった宛のない道中でこの街を通りがかっていた。
穂村 姫乃:艶やかな黒髪を高い位置で結い、パッチリと開いた眼には金の輝きを湛えた女性。
穂村 姫乃:整った顔立ちからは年齢が伺えず、まだ幼い少女のようにもとうに成人を越しているようにも見える。
穂村 姫乃:夏の時期だからか恰好はひどく軽装で、コートを詰め込まれたらしい鞄が少し膨れている。
穂村 姫乃:「いやー、快晴快晴」
穂村 姫乃:街を前に愉快そうにそう言って伸びを一つ。夜通し歩き詰めだった体を伸ばす。
穂村 姫乃:(朝餉に丁度の時間。着くと見込んで歩いて正解じゃったなぁ)
穂村 姫乃:(しばし街を歩いて回って、優雅にブランチとでも洒落こもうかの。そんくらいの余裕はあるはずじゃし)
穂村 姫乃:財布の中身をぼんやり思いだしながら、まだ静かな街道を歩く。
穂村 姫乃:睡眠も休憩も取っていないはずの足取りに疲れは見えない。人外の身であるゆえに。
穂村 姫乃:(後は宿をどうするかじゃよな。流石に今日は一泊したい)
穂村 姫乃:(ならばホテルを探すか……あ、いや。今週のジャンプまだ読んどらんかったな)
穂村 姫乃:(どこぞでネカフェか満喫を探すか。会員になってるとこあると良いんじゃが)
穂村 姫乃:そうして今日の予定を考えながら歩いている最中だった。
GM:君がその少女の姿を見つけたのは、何気なく通り掛かった公園での事だ。
???:「……」
???:ブランコに腰掛けて、ぼんやりと空を仰ぎ眺めていた。
???:青白く、空に溶けるような色の髪を風に靡かせている。
???:否、比喩ではなく。よく見ればその姿は、身に纏う服ごと薄らと透けていた。
???:「……ん」
???:君の視線に気付いたらしく、ふと見つめ返す。視線が交わる。
???:「きみ、きみ」ちょいちょいと手招きする。
???:小柄な少女だ。背丈も君とそう変わらない。
穂村 姫乃:「……ふむ」
穂村 姫乃:招かれるままに歩み寄り。
穂村 姫乃:「お主、見るからに透けとるようじゃが。儂らの同輩か?」
???:「んっ、同輩……?」
???:驚いたような、あるいは答えに迷うような様子を見せて。
???:「透けて……ああ、そうだね。多分、まだ定着しきってないんだろう……」
???:「幽霊、と言えばそういう感じかもしれないけど」誤魔化すように笑って。
???:「同輩と言うにはそっちこそ、透けちゃいないみたいだ。ペンキでも塗ってるの?」
穂村 姫乃:「いや、どちらかというとマネキンごと用意したようなもんじゃの」
???:「ああ、そういうタイプの……昔、本で読んだことあるな」
???:「……なんて、冗談言ってる場合じゃなかった」
穂村 姫乃:「霊とはまた少し違うからのぅ。同輩と呼ぶのは括りが雑じゃったか」
穂村 姫乃:「ともあれ互いに人外に違いは無いよう……ふむ?」
???:「ねえ、君。この街の事には詳しいかな」
???:「ちょっと、案内をして欲しくってさ。私、来たばっかりって感じだから」
穂村 姫乃:「ううむ、すまんが儂も旅の身でな。滞在歴は30分というところじゃ」
穂村 姫乃:「なんならお主の方がまだ長いじゃろ」
???:「ああ、そうなんだ……いや、どうかな」落胆したともはっきりしない様子。
???:「私、それより短いかも」
???:「そうだな、じゃあ……」
???:また少し言葉に迷うように、指でくるくると宙に円を描いて。
???:「正義の味方」
???:「……みたいな人達って、この辺にいないかな?」
GM:……幽霊であるかどうかはさておいても。
GM:目の前の少女がオーヴァードか、何らかのレネゲイド事象によって発生した存在である事はおよそ間違いない。
GM:それが「正義の味方」などと口にするのだから、十中八九UGNの事を示唆しているのだろう……と想像できて良いだろう。
穂村 姫乃:「正義の味方か」
???:「その……ちょいと用件があってね。もしそういう人達がいるのなら、お話したいのさ」
穂村 姫乃:(……ま、とりあえずあいつらに投げておけば問題もないじゃろうし)
穂村 姫乃:自分も旅の中で何回だか何十回だか関わった経験もある。町ごとなどで差はあれど、概ね健全な互助組織と認識している。
穂村 姫乃:確かこの町に支部があったと聞いたような覚えもある。いつの記憶か知らんから怪しいけどまあ多分ある。
穂村 姫乃:恐らくは同輩(レネビ)の身。ここで会ったのも何かの縁。道案内くらいはしてもよかろう。
穂村 姫乃:「うむ。恐らくじゃったがそういう連中が居る筈じゃ」
穂村 姫乃:「ちょいとばかし待ってもらえば確認の宛もある。案内くらいは出来るじゃろ」
???:「わ、助かる……!」ぱあ、と表情を明るくして手を合わせる。
日下部ルリカ:「あ……そうだ、私の名前。日下部ルリカっていうんだけど」
日下部ルリカ:「君の名前、聞いといてもいい?」
穂村 姫乃:「ルリカか。良い名じゃな、今どきで」
日下部ルリカ:「今どき……?そういうもんなのかな」首を傾げる。
日下部ルリカ:「でも、うん。気に入ってる名前なんだよ」褒められたことに嬉しそうに笑う。
穂村 姫乃:「うむうむ。名は大事じゃからな。気に入るに越したことは無い」
穂村 姫乃:「というかそうじゃ、名乗っとらんかったわ。儂は穂村姫乃という」
日下部ルリカ:「姫乃……なるほど、確かにちょっと古風かも」
日下部ルリカ:「それじゃあ、よろしく。姫乃……」
穂村 姫乃:「じゃろ?つけたのが昔じゃから今の流行りには合わんのよな」
穂村 姫乃:「読みだけでも変えようか、最近割と真剣に悩んどっての……」
日下部ルリカ:「ええ?いいと思うけどなぁ」
日下部ルリカ:そう言って、立ち上がって君に付いて行こうとして。
GM:──ぞわり、と。君達の背が逆立つ。
GM:細胞を揺さぶる強力なレネゲイドの熱が、風となって肌を撫でていく。
GM:周囲で、一般人が次々に倒れていく様子が見える。《ワーディング》、いや──
GM:──「夜が降りて来た」。
GM:ごく直感的に形容をするならば、その言葉が相応しい光景であった。
GM:頭上から太陽は消えて、ビルと青空を飲み込みながら──どろりとした巨大な闇の帳が、
GM:今しも君達を閉じ込めるように降下して来ている。
日下部ルリカ:「……うわ、まずったな」
日下部ルリカ:苦々しげに呟く。「もう始まっちゃったか」
穂村 姫乃:「これはまた、随分大仰にやらかすやつが居たもんじゃな」
穂村 姫乃:口調は変わらないものの、鋭い瞳で空を見上げ。
日下部ルリカ:「あんまり、目立つことはしたくないんだけど……」
日下部ルリカ:「説明してる時間もなさそうだ。失礼」
日下部ルリカ: 無造作に、その手が君の背に触れる。
穂村 姫乃:「その口ぶり。お主、心当たりが」
穂村 姫乃:問いかけが途切れる。
日下部ルリカ:そこでふと、声が小さくなって
日下部ルリカ:何か恐ろしい幽霊の話でもするような声音で、君に囁く。
日下部ルリカ:「姫乃。君は、逃げるんだ」
日下部ルリカ:「仲間を連れて来て。もう一度、ここへ」
日下部ルリカ:「さもないと、全部が塗り潰される」
日下部ルリカ:「そして、その時はどうか」
日下部ルリカ:「──気を付けて。夢に溺れないように」
日下部ルリカ:とん、と軽く背中を押される。
日下部ルリカ:それだけで次の瞬間、君の身体は放物線を描いて空を飛んだ。何のエフェクトが使われたとも判別つかないまま。
GM:そうして、山の斜面に沿うようにして打ち上げられた君は
GM:街そのものが黒い直方体の帳に鎖される瞬間を見た。
GM:とうにその影は遠く小さくなって、どんな表情をしているともつかないルリカの姿と
GM:鎖された街の中に聳え立つ、高層ビルほどの高さを持つ黒い異形の大樹。
GM:……見えたものはそれきり。広葉樹の枝のクッションを通過して、君は山の只中に落下した。
GM:流石に身体が痛むだろうが、オーヴァードであれば問題ない程度の負傷だ。
穂村 姫乃:「ぬうぅ……なんじゃあのお化け樹木」
穂村 姫乃:「朝も早くから堂々と、どこの阿呆じゃマジで」
穂村 姫乃:木の枝や葉に塗れたままのそのそと茂みから這い出して。
穂村 姫乃:「……借りを作ってしまったか」
穂村 姫乃:溜息交じりにそう零す。
穂村 姫乃:詳しい事情は一切分らんが、あの時ルリカがどうにか自分を逃がした事実だけはよく分かる。
穂村 姫乃:カノジョの忠告もまた、耳に残っている。
穂村 姫乃:故に。この場に居ない彼女へ宣言するように、言の葉を口にする。
穂村 姫乃:「一時の縁、一度の恩。踏みにじったなら我が名が廃る」
穂村 姫乃:「興津比売命の名に懸けて。その願い、儂が承った」
穂村 姫乃:「少し待っとれルリカ。この儂が正義の味方になってやろう」
穂村 姫乃:神託を読み上げるかのように朗々と声を張った後。
穂村 姫乃:「……ま、まずは支部を探すとこからじゃけど」
穂村 姫乃:一度肩をすくめ、パラパラと体中に着いた木クズを払いながら歩きだす。
GM:突如として緑坂市に降り落ちた黒い異物。
GM:後にUGNに"ヴァンノワール"と呼称されるそれは、緑坂南部の街と人を飲み込み、時折じわりと滲むように輪郭を揺らめかせながら
GM:山から見下ろす景色の一部を切り取ったように、そこに存在している。今も尚。

GM:シーン終了。ロイスのみ可能です。
穂村 姫乃:ルリカに〇借り/よう分からんで取得!
穂村 姫乃:以上!
GM:はあい

◆Middle01:情報収集◆

GM:次は支部のブリーフィング室での合流シーン……なのですが、まず情報項目が開示されます。
GM:これら全ての調査が完了したところで、調査事項の共有と合流を兼ねたシーンに移ることになります。
GM:つまり、全部開けないと進めません。
亜藤 蘭介:なんだって
永良ゆづり:わぁお
久遠仁:アワワ……
穂村 姫乃:なんてこった
GM:現在公開される情報項目は以下です。

・"サンディーヴァ"について 情報:FH-9
・"ヴァンノワール"について 知識:レネゲイド-8
・"アモーガ"セルについて 自動成功
・"モングレル・チェスト"について 情報:UGNまたは情報:FH-8
・失踪者達について 情報:噂話-7

GM:また、前提の情報として以下の内容も共有しておきます。

・情報公開「北条サイカについて」
N市第五支部のUGNチルドレン。13歳。5年前の事件で保護されたのち、本人の希望もあって訓練後にチルドレンとしてUGNに所属した。シンドロームはキュマイラ/ソラリス。 サキュバスの因子を持ち、自身の血液を摂取させることで相手に「幸福な夢」を見せる異能者。そうした夢を通して相手の記憶に干渉する「記憶探索者(メモリーダイバー)」でもある。 思春期。

GM:以上です。難易度が自動成功なものについては、登場し判定を宣言する必要はあるけど、判定自体は成功になるという感じです。
GM:"アモーガ"の拠点はもう制圧したし、後は情報を持っていくだけだから……みたいな感じのあれです
亜藤 蘭介:はーなるほど…
久遠仁:なるほど……
亜藤 蘭介:5項目あるんですが
亜藤 蘭介:1人がアモーガ自動獲得→次の情報項目に挑戦
亜藤 蘭介:みたいな形は踏めるのしょうか
GM:自動獲得でも手番としては消費するので、再度登場侵蝕は振ってもらう必要があります
亜藤 蘭介:ん!了解です!
永良ゆづり:なるほど……
穂村 姫乃:最低でも誰かが1回は再登場する計算か……
久遠仁:こいつはコトだぜ
亜藤 蘭介:低めな人が挑戦する形になるのかなあ
GM:あ。ここに出てない項目が増えた場合、それも開けていく必要があります
亜藤 蘭介:マジ?
永良ゆづり:なんてこと
亜藤 蘭介:こいつはコトだぜ
穂村 姫乃:めちゃ多いかもじゃん
GM:説明はそれくらいかな……判定したい方は登場侵蝕を振った後、それぞれ判定を行ってください。
久遠仁:アモーガを最後に回して その時一番低かった人に登場して開けて貰いますか
亜藤 蘭介:承知~
穂村 姫乃:はーい
久遠仁:いやアモーガから派生する可能性もあるが……まあとりあえず……
亜藤 蘭介:ロール的に失踪者を開きたい気持ちもありますが
亜藤 蘭介:加護あるし何でもいけるかもの気持ち
永良ゆづり:やっていきませう
穂村 姫乃:コネなしならヴァンノワールが一番良いからそこ行こうかな
穂村 姫乃:とりあえず登場
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 4)増加 (42 → 46)
久遠仁:UGNだけあるからモングレル・チェストかな……?
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を1D10(→ 2)増加 (49 → 51)
永良ゆづり:私がバディムあるから
永良ゆづり:モングレルやりたい気持ちもある
永良ゆづり:42+1d10
DoubleCross : (42+1D10) → 42+5[5] → 47

久遠仁:じゃあ何か余ったとこ行きます
亜藤 蘭介:じゃあ自分サンディーヴァ行きますね
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 9)増加 (42 → 51)
亜藤 蘭介:ぐええ
永良ゆづり:>"モングレル・チェスト"について 情報:UGNまたは情報:FH-8
永良ゆづり:4dx+2>=8 コネ付き
DoubleCross : (4DX10+2>=8) → 5[1,1,2,5]+2 → 7 → 失敗

亜藤 蘭介:永良ーッ
久遠仁:そんな……
永良ゆづり:噓でしょ……財産点1点使います……
GM:あ、一応財産使用可です
GM:では公開

・"モングレル・チェスト"について
過去に壊滅したFHクラン"アナンタ"に伝来していた木匣状のEXレネゲイド。遺産(レガシー)に分類される性質を持ち、特定の契約者を定める。"アモーガ"ではセルリーダーの"ヴィローシャナ"が契約していたが、"モングレル・チェスト"の破壊に際して"サンディーヴァ"に殺害されている。
実体は無数のオーヴァードの血液を収めた呪匣であり、そこより掬った血液を他者に摂取させることでオーヴァードへの覚醒、対象が既にオーヴァードである場合にはその能力を変質化させる。(あくまで被験者が負荷に耐えることができた場合の話。"アモーガ"の研究資料によれば、成功例は20%程度である)いずれの場合も被験者はオルクス・シンドロームに類する能力を発症する。

亜藤 蘭介:ありがとうございます~
亜藤 蘭介:では・"サンディーヴァ"について 情報:FH-9
亜藤 蘭介:《砂の加護》使用。判定ダイス+4
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (51 → 54)
亜藤 蘭介:6dx>=9
DoubleCross : (6DX10>=9) → 9[1,4,6,6,6,9] → 9 → 成功

亜藤 蘭介:あぶに
永良ゆづり:お見事!
久遠仁:やったね
穂村 姫乃:ナイス!
GM:では公開

・"サンディーヴァ"について
"アモーガ"セルの記録に残る実験体であり、"バース"シリーズと呼ばれる戦闘オーヴァードの一体。記録によれば彼女らは同士討ちによるレネゲイド濃縮実験の対象となっており、彼女がその唯一の生き残りであると見られている。すなわち、"アモーガ"セルの壊滅は個人的な復讐行為であるのだろう。
セル内部での記録上のコードネームは"サタニアン・ガーデン"。濃縮実験を経て以降、Sañjīva──等活地獄の具現を自称しているものと思われる。
→「・"バース"シリーズについて 情報:FH9」が項目追加されます。

久遠仁:増えた!
亜藤 蘭介:追加ァ!
穂村 姫乃:増えやがった!
永良ゆづり:なるほどね……
久遠仁:とりあえず ・失踪者達について 情報:噂話-7
久遠仁:クソザコ社会で素振りします
GM:どうぞー
久遠仁:2DX>=7
DoubleCross : (2DX10>=7) → 5[3,5] → 5 → 失敗

久遠仁:ミ~ッ
亜藤 蘭介:仁!!!!!!
永良ゆづり:バディム
久遠仁:ヤッタ~~
亜藤 蘭介:ナイスバデム
GM:素晴らしい連携
穂村 姫乃:流石有能チルドレン
永良ゆづり:一文無しになっても貢ぐことは可能

・失踪者達について
失踪者達の共通項と言える程のものはない。「緑坂市近辺」で「なるべく多くの頭数」を揃えようとしたように見える。
また、被害のあった現場からは非常に高出力の《猫の道》を使用した反応が記録されている。通常であれば個人が移動するための小さな異空間を生成する能力が極端に発達した結果、数百人規模の人間を一度に攫う使途で使いこなしている──この犯人は、極めて規格外のオルクス発症者であると予想される。

永良ゆづり:私が自動成功で再登場しとけば、もう一回バディム使えるわね
久遠仁:法の抜け穴っぽい
GM:そうなりますわね
亜藤 蘭介:法にも穴はあるんだよな…
穂村 姫乃:あ、そうしてもらえると助かる
永良ゆづり:47+1d10 では再登場
DoubleCross : (47+1D10) → 47+4[4] → 51

永良ゆづり:>・"アモーガ"セルについて 自動成功
永良ゆづり:自動成功!
GM:判定無しで公開!

・"アモーガ"セルについて
緑坂市にて活動していたFHの研究系セル。活動内容は専らオーヴァードの製造実験、および他セルへの実験体オーヴァードの売却。セルリーダーは""ヴィローシャナ"先坂世良。現在その構成員はほぼ全てが"サンディーヴァ"に殺害されており、組織としての機能は停止している。
製薬会社をカヴァーとし、直接的な破壊活動を行うことがなかったために長らくUGNの眼を欺いていた。13年前の"モングレル・チェスト"入手にあたっても、犯行そのものは外部のマーセナリーに依頼していたようだ。
なお、"アモーガ"セルの拠点が存在した株式会社トチノ製薬は緑坂市南部にあり、現在は"ヴァンノワール"に呑み込まれている。

穂村 姫乃:見るからに碌でもない……
GM:以上です。後見えてるのはバースとヴァンノワールですね
穂村 姫乃:では"ヴァンノワール"についてを行きます
穂村 姫乃:3dx+1>=8
DoubleCross : (3DX10+1>=8) → 10[2,9,10]+10[10]+6[6]+1 → 27 → 成功

穂村 姫乃:なんかすべてを悟ったんじゃけど
永良ゆづり:ブン回し
亜藤 蘭介:古代種の出目ヤバない?
永良ゆづり:黒幕か……?
久遠仁:ヤバすぎ
GM:すごいぜ
穂村 姫乃:儂悪いレネビじゃないのじゃ

・"ヴァンノワール"について
緑坂市南部にて発生し、市内全域の30%程度を覆っている異界領域。高さは600m程度の円柱形状。発生当初はかなりの速度で膨張を続けていたが、UGNのオルクス・バロール人員が侵蝕阻止措置を行っている事もあり、現在その膨張速度は0.5km/h程度にまで低下している。もっとも、この包囲も人的リソースの問題から、そう長く維持することはできないだろう。
周辺住民の避難は完了したが、既に15万人規模の一般市民が内部に取り込まれたものと推定されている。境界面は黒い帳で覆われており、中を観測する事は不可能。また、一度中に入ると生物・非生物を問わず外に出ることも不可能と見られている。
また、領域境界面を解析したところ、北条サイカのものと類似したレネゲイド反応が認められている。

GM:以上です。追加項目とかはなし
穂村 姫乃:見るからにヤバなんじゃが
久遠仁:助けてくれ
亜藤 蘭介:ウソじゃん
永良ゆづり:貴方が助けるのよ
GM:頑張って~
亜藤 蘭介:あとは
亜藤 蘭介:・"バース"シリーズについて 情報:FH9
亜藤 蘭介:これですか
GM:ですです
穂村 姫乃:儂が一番侵蝕マシじゃし、儂が行くか
亜藤 蘭介:よろしいですか
久遠仁:お願いします~
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 3)増加 (46 → 49)
穂村 姫乃:おしおし
亜藤 蘭介:マジで登場侵蝕がうまい
久遠仁:生きるのが上手い
GM:では全公開
穂村 姫乃:あ、判定まだしとらん
GM:あ、そうじゃん
穂村 姫乃:1dx>=9
DoubleCross : (1DX10>=9) → 2[2] → 2 → 失敗

GM:眠くてぼけぼけしていた
穂村 姫乃:んん、バデムほしいな
永良ゆづり:はぁい、バディム
穂村 姫乃:これで5で、財産4入れて成功!
亜藤 蘭介:感謝…
GM:お金持ち!では公開
永良ゆづり:やったぜ
久遠仁:すごい
穂村 姫乃:残りは2

・"バース"シリーズについて
"アモーガ"セルが"モングレル・チェスト"を用いて生み出した実験体オーヴァード群。全員が強力なオルクス発症者であり、特定概念に特化した領域操作系の能力を有する。外部での実戦運用に出されることはほとんどなく、"アモーガ"セルが保有する施設内部でランク評価制の戦闘を繰り返し行っていた。恒常的な総数は40人程度であり、下位10名程度は廃棄されるなどして頻繁に入れ替わっていた。
"モングレル・チェスト"は遺産の代償として「より強く濃縮された血をこの箱に注ぎ、捧げる」事を契約者に求める。"アモーガ"セルおよびリーダーの"ヴィローシャナ"はこれを繰り返し、領域能力者としての極点に至ることができれば、新宇宙の創造すらも可能になると考えていたようだ。最も、現段階でのデータを見るに、濃縮実験が滞りなく進んでいたとしても宇宙創生などというものは机上の空論の域を脱しないと思われる。……が、それでも通常のオーヴァードとは一線を画した個を生み出すには至っている。
また、本来"モングレル・チェスト"の血を分け与えられたオーヴァードは、その契約者の命令に逆らうことは不可能となる筈である。"サンディーヴァ"が如何にして"ヴィローシャナ"への復讐を可能にしたのかは不明である。

GM:全ての情報項目をクリアしたので、次の共有シーンに進めます。(連続したシーンなので再登場は不要です)


GM:---
GM:UGN緑坂市支部 北部セーフハウス ブリーフィング室
GM:---
GM:緑坂市北部、カヴァーは市民会館となっている緑坂市支部のセーフハウスに君達は集まっていた。
GM:あるいは招集を受けて、あるいは自ら支部を頼りに行く形で。
GM:山岳部にある支部本体までが"ヴァンノワール"に呑まれる事こそはなかったものの、今後の再膨張に備えて支部は現在、こちらに拠点機能を移管している。
GM:長机の置かれた会議室に、君達を含めた十数人の支部員・協力者が座っていた。狐目の男が、おもむろに口を開く。
"飯綱":「……状況を再度、確認しましょう」
"飯綱":「緑坂市南部にて、空間異常化現象が発生……今より3時間程前の事です」
"飯綱":「現在は、南部区域のほぼ全てを呑み込んでおり……」
"飯綱":「此度、この異常事象について詳細な情報を持つという協力者の方をお招きしております」そう言って、穂村さんの方を見る。
"飯綱":「"興津比売命"……UGNイリーガルとして活動実績のある人物です。信頼に足ると言っていいでしょう」同席する他の人々に、軽く説明する。
穂村 姫乃:「詳細と言えるか分からんがの」
穂村 姫乃:スーツの群れの中では少し浮く軽装の女が声を上げる。
穂村 姫乃:「ちょいと事情があって先ほど少し宙を飛んでな。そのときに市の全景を見下ろした」
穂村 姫乃:「それからするに、あの領域は今この街の3割がたを飲み込んどる」
亜藤 蘭介:「(バロール能力者なのか?)」
亜藤 蘭介:何処と無く浮世離れした雰囲気を持つ彼女に怪訝な視線を向けながら、耳を傾ける。
久遠仁:「3割。そいつはひどい」
久遠仁:パイプ椅子に行儀よく座っているが、中世の騎士めいた兜を着けた外見からすると却って異様に見える。
穂村 姫乃:「目にしたものも居るかもしれんが、そのサイズが突如現れたというよりは中央部から膨れ上がったという様相じゃな」
穂村 姫乃:「そして膨張は今も続いとる。この支部の面々で抑え込んどるそうじゃが、完璧とは言えん」
永良ゆづり:「……お勤めご苦労様という他ないね」
永良ゆづり:頬杖をついて、机に自重を預ける様に行儀悪く座っている。
穂村 姫乃:「全くじゃな。そして、人が勤めとると言うことは限りがあるということじゃ」
穂村 姫乃:「そのうち限界が来る。もう一度あの速度で膨らみ始めたら、もう手が付けられんくなるぞ」
"飯綱":「ええ……彼らの侵蝕や体力も、管理する必要がありますからね」
永良ゆづり:「喫緊の対応が必須というわけね」
穂村 姫乃:「そうなる」 鷹揚に頷いて。
亜藤 蘭介:「……中に入る住人の安否は?」
亜藤 蘭介:挙手をしながら問いかける。
穂村 姫乃:「安否に限らず中の様子は一切不明。中から出てきたものも居らん」
穂村 姫乃:「あれじゃ、ブラックボックスみたいなもんじゃな」
亜藤 蘭介:「外側から観測することは不可能か……」
"飯綱":「一方通行のフィルター……のようなものがかかっているのでしょうね」
"フェザリー・リード":「……」永良さんの座り方に何か言いたげな顔を見せるが、まあ疲れてるだろうしな……とひとり言葉を飲み込んでいる。
永良ゆづり:「………」何か言いたげな同僚の顔を見て、すっと居住まいを正す。
久遠仁:「領域自体については?分析は進んでるのかな。バロール系ですか、オルクス系ですか」
穂村 姫乃:「それなんじゃが、領域の表面からなんぞここらの人員のレネゲイドが検出されたらしい」
穂村 姫乃:そうじゃったな?と支部長へ話を振る。
"飯綱":穂村さんの言葉に頷いて。
"飯綱":「UGN、N市第五支部チルドレン、"ブリンクブレイド"……北条サイカ」
久遠仁:「北条サイカ?」思わず声を上げる。
久遠仁:「本当ですか、そりゃ」
"飯綱":「ええ。彼女のレネゲイドに一致する組成が、"ヴァンノワール"の外壁より検出されたと」
永良ゆづり:「……チルドレンの名前が出るのか」罰が悪そうな表情で。
久遠仁:「ううん、どういうことだ……関わってるとは思っちゃいたが……」腕組みをして。
"飯綱":「そうした報告を受けています。……貴方がたとしては、穏やかではないことでしょうが」
"飯綱":久遠さんと亜藤くんの方をちらと見て言う。
亜藤 蘭介:「(ここでその名か……)」
亜藤 蘭介:ちら、と兜を着用した彼の姿を横目で見る。
亜藤 蘭介:北条サイカ。彼女の書類上での後見人の名が、確か────
永良ゆづり:「そこな仮面の方、知り合いだろうか」
久遠仁:「ああ、失礼。“ロストシグナル”、久遠仁です」
久遠仁:「コレについてはご容赦ください。体質でして」兜を軽く叩き
久遠仁:「ええ、“ブリンクブレイド”は個人的な知人でして、兼ねてから彼女が巻き込まれたと思しき、緑坂市内での失踪事件の調査に当たっていました」
久遠仁:「結果としては……失踪者に関しては特筆すべき共通点は無く、とにかく無差別に数をかき集めているという印象を受けました」
久遠仁:「ただ、現場の痕跡から、犯人らしき人物の手掛かりは得ていましてね」
久遠仁:「オルクスの局所的空間操作……ああ、《猫の道》と言った方が通じやすいかな?」
亜藤 蘭介:「……猫の道?」
亜藤 蘭介:自身もこの目で見たことは有るが。アレはあくまで使用者個人が移動する程度の異空間しか生成することの出来ないものだ。
久遠仁:「ええ。本来は壁なんかを個人が通り抜ける程度の類のもんですが……」
久遠仁:「そいつの、極めて大規模なバージョンが行使された形跡がありました」
久遠仁:「それこそ、何百人も一気に掻っ攫えるくらいのやつです」
"フェザリー・リード":「……私にも、同種のエフェクトを使える知人がいますが」顔を顰める。「想像がつきませんね……」
永良ゆづり:「なるほど。そうやって、大量に飲み込まれた内の一人としてレネゲイドの残滓が表立ったと」
久遠仁:「そうかもしれませんな。犯人はかなり……いや、極めて強力なオルクス能力者ということは確かです」
久遠仁:「今回の件と、無関係ではないかと」
"飯綱":「ええ、私も同意見です。……少なくとも、その可能性は無視できません」
久遠仁:「まあ、しかし、私はこの辺りには疎くてですね」肩を竦める。「心当たりに関しては、皆目見当も付きません」
久遠仁:「その辺り、どうでしょう?どなたか」
"飯綱":「超出力のオルクス能力……そうした人物との遭遇報告を、近頃伺いましたが」
穂村 姫乃:「あ、儂に心当たりがあるぞ」
穂村 姫乃:ブンブンと手を振る。
"飯綱":「おや、貴方の方にも心当たりが」
穂村 姫乃:「うむ。恐らくここらにあるはずのセルの話じゃ」
穂村 姫乃:「オルクス能力者を集めて蟲毒をやっとるセルがあると聞いたことがある」
永良ゆづり:「……"アモーガ"セル?」
穂村 姫乃:「それじゃ、それ」
"フェザリー・リード":「……あいつらですか」
久遠仁:「蟲毒って言うと……あれですか、所謂濃縮体(エンリッチト)の類かな」
穂村 姫乃:「なんでも強く濃縮された血を捧げる必要のある遺産があるとかでな。それに捧げるためのものらしい」
穂村 姫乃:「そしてその遺産の能力によって新しくオーヴァードを作り出す、というサイクルを回しとるとか」
穂村 姫乃:「儂の能力とも少しばかり近いものがあってな。それで噂を聞いた」
"フェザリー・リード":「血を捧げる遺産、というと……"モングレル・チェスト"ですか。私達が追っていた」
"フェザリー・リード":「……そして、破壊された」
穂村 姫乃:「なんと。既に壊されとったのか」
永良ゆづり:「ええ、私の目の前で粉みじんにされた」手をひらひら。
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"か」
久遠仁:「壊された? “サンディーヴァ”……それが下手人ですか」
亜藤 蘭介:「……奴についてはこちらの方でも調査は済んでおります。後ほど説明させて頂きますが」
穂村 姫乃:「ふむ。その遺産には能力によって影響を与えたものを持ち主に服従させる機能があったとも聞いた」
穂村 姫乃:「その噂が真ならば、その"サンディーヴァ"とやらは影響を受け取らんのか、もしくはその機能さえ克服したのか……」
穂村 姫乃:「いずれにせよ、相応の力の持ち主じゃろうな」
永良ゆづり:「"アモーガ"セル。"ヴィローシャナ"を首魁とし、製薬会社のカヴァーを被ってオーヴァード製造実験を行う研究系列のFHセル」
永良ゆづり:「先日そこの"フェザリー・リード"と共に、その"モングレル・チェスト"回収と制圧を兼ねてセルに襲撃したのだけど」
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"と名乗る女の影が先んじてセル人員を壊滅、"チェスト"を破壊してそのまま行方を晦ました」
永良ゆづり:「……セルの拠点、トチノ製薬はちょうど異常領域の中にあるわね」
"フェザリー・リード":肯定するように頷く。
"フェザリー・リード":「我々で地下から最上階まで一通り探索しましたが、セル側の生存者はいませんでした」
"フェザリー・リード":「文字通りの皆殺し、です」
亜藤 蘭介:「徹底しているな」
久遠仁:「そりゃ穏やかじゃないな。怨恨ですかね」
"飯綱":「その辺り、何か分かったことはありますか。"ドイスラッシャー"」
"飯綱":「"サンディーヴァ"の素性に関する調査を終えたという事でしたが」
亜藤 蘭介:「は」
亜藤 蘭介:一礼しつつ言葉を紡ぐ。
亜藤 蘭介:「……彼奴の所属する……いや。していた"アモーガ"セルは」
亜藤 蘭介:「外部のFHマーセナリーに頻繁に依頼を行っていたようです。以下は」
亜藤 蘭介:「UGNで拘束しているその内の1人を尋問した際に得た情報となります」
亜藤 蘭介:「"スモークスタック"率いる小隊が接触したオーヴァード、"サンディーヴァ"は」
亜藤 蘭介:「"バース"シリーズと呼称される戦闘オーヴァードの一体であり」
亜藤 蘭介:「先の"興津比売命"殿が申されていた、レネゲイド濃縮実験、唯一の生還者だと」
"飯綱":「唯一の生還者……なるほど、それは」
"飯綱":「怨恨としては十分でしょうね」
"飯綱":自らの経験に照らしてその境遇を想像しつつ、しかし表情を変えないまま。
永良ゆづり:「ちょっと待って。それは"サンディーヴァ"が"チェスト"の権能で生み出されたってこと?」
永良ゆづり:「"モングレル・チェスト"は"ヴィローシャナ"を契約者として定めていた。本来なら逆らうことはできない」
穂村 姫乃:「なら、さっきの推論は後者だったということか」
穂村 姫乃:「その"チェスト"とか云う遺産の能力を超えるほどの力を得たか、あるいは踏み倒す手段を見つけたか」
"フェザリー・リード":「濃縮体実験の結果として成長した力が、"チェスト"の許容量を上回っていたとか……?」口にしつつも、釈然とはしない様子で首を傾げる。
永良ゆづり:「……ならば何故、"チェスト"を破壊しなければならなかったのか」
永良ゆづり:「その前段階で"ヴィローシャナ"をズタボロにしていた。既に、契約に逆らうだけの力は持っていたはず」
永良ゆづり:「逆なら分かるのだけど……」くるくると、肩に掛かったブロンドヘアの先を弄る。
"フェザリー・リード":「それは……」
穂村 姫乃:「そこもまた不可解よの。超えているならわざわざ壊さんでも放置すればよいしな」
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"が如何にして契約者である"ヴィローシャナ"をその手にかける事が出来たのか?」
亜藤 蘭介:「ああ。その手法までは定かでは無いが」
"飯綱":「そもそもの動機が怨恨、という話であれば……道具までもが憎くなった、ということで"チェスト"の破壊までは説明が付けられるでしょうが」
久遠仁:「うーむ……シンプルに考えれば、その“サンディーヴァ”が今回の……“ヴァンノワール”を引き起こしている張本人と見ていいだろうか」
久遠仁:「仮にそうだとすれば、目的は何かな。既にチェストは壊し、復讐も果たしているわけだ」
"飯綱":「……ええ。現在起きている事象とまでは、接続しない」
永良ゆづり:「町の三割を飲み込む程の力を備えて、復讐以上の何かを……」
亜藤 蘭介:「……Sañjīvaの意味は」
亜藤 蘭介:ぼそりと呟く。
亜藤 蘭介:「"等活地獄"だ」
亜藤 蘭介:「殺生を犯したものが落ちる地獄のひとつ、だと」
亜藤 蘭介:「……"サタニアン・ガーデン"というセル内でのコードネームを捨て、その名を自称している」
久遠仁:「仏教ですか。八大地獄の一つだったかな」
久遠仁:「ますます穏やかじゃなくなってきたなァ」
穂村 姫乃:「自ら地獄を名乗るか」
穂村 姫乃:「わざわざ八大の一つを選ぶあたり、それなりの意図もありそうじゃなぁ」
永良ゆづり:「名乗る際に、少し言い淀んでいた。それが理由か」
"フェザリー・リード":「単にセルから与えられた名を捨てたかっただけにしては、どうも……それ以上の何かがありそうですね」
"フェザリー・リード":「まあ、ジャームの思考など往々にして理解し難いものではあるでしょうが」
久遠仁:「……」兜の下、無言の内に考え込む。
久遠仁:こんな事件に巻き込まれて、北条サイカは無事なのだろうか。領域の形成に関わっているというならば、少なくとも今は生きていると見ていいだろうか。
永良ゆづり:「恨みが積もって、地獄でも作り出そうとしてるのかしらね」
久遠仁:「大規模無差別テロのような?あり得る線ですね」
永良ゆづり:「正しくジャームらしい、傍迷惑な思考回路。現時点では推測の域を出ないけれど……」
永良ゆづり:「……"飯綱"支部長」
"飯綱":「何でしょう、"スモークスタック"」
永良ゆづり:「私達はどうすればいいかしら」
"飯綱":「……そうですね。現時点ではやはり、情報が不足しています」
"飯綱":「かと言って、後手に回り続ける訳にもいかない状況ではありますが。目下は解析班の情報を待ちながら、避難範囲の拡大と……」
永良ゆづり:「"外部"から得られる情報は、タカが知れているでしょうね」
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"は能力で樹木を生え伸ばしていた。そして、件の異常領域も大樹らしきモノが見えたと聞いている」
永良ゆづり:「術者は内部に居る可能性が高いでしょう。膨張する地獄を形成する内向きの力なのですから」
"飯綱":「……現時点で、調査人員が六名」
"飯綱":「数時間前に踏み込んだきり、音信不通となっています」
"フェザリー・リード":「……その六名も、本格的な戦闘能力を持ったメンバーではなかった。そうでしょう」支部長の言葉に重ねるように言う。
久遠仁:「まあ、外からではどうしようもないのなら……」
久遠仁:腰に下げた刀に触れる。
久遠仁:「中に入るしかないでしょうな」
"飯綱":「……」貼り付けた笑みが崩れかかる。じっと、君達の顔を見る。
"飯綱":「……"スモークスタック"。貴方の予想については、同意しますが……」
"飯綱":「言うまでもなく、突入はリスクの高い行為です。少なくとも……」
"飯綱":「一度踏み込めば、解決まで外に出ることは叶わないと見るべきだ」
永良ゆづり:「そうでしょうね。下手を打てば……いや、打たなくとも」
永良ゆづり:「命の保証は煙の如く揺らぐ」
"フェザリー・リード":「……命の保証、と言うなら」
"フェザリー・リード":「数万人の無辜の市民が、今もあの内側に閉じ込められています」
"フェザリー・リード":「無論、生死こそ不明ですが……まだ、3時間」
"フェザリー・リード":「間に合う可能性があるなら、向かう価値はあるでしょう」
"フェザリー・リード":まっすぐに"飯綱"の目を見る。「私達は、UGNです」
永良ゆづり:「……貴女も、真面目な癖に結構無鉄砲な所もあるよね」
亜藤 蘭介:「"ヴァンノワール"の膨張対策に当たっている人員の体力も考慮すると」
亜藤 蘭介:「状況は火急であると。見受けられます」
穂村 姫乃:「それにの、支部長殿」
穂村 姫乃:「儂、ちょいと約束があってな。あの中に入らんといかんのじゃよね」
"飯綱":「……約束、ですか」
穂村 姫乃:「そうじゃ。正義の味方を連れてこい、とな」
穂村 姫乃:「最悪儂一人でも行くが、本職が居るに越したことは無い」
穂村 姫乃:「どうやら適任のものも居るようじゃしな?」
穂村 姫乃:そう言って、一同を見渡す。
久遠仁:「この仕事に決めた時から、畳の上で死ねるなんて期待しちゃあいませんよ」
亜藤 蘭介:「違いない」
亜藤 蘭介:薄く笑って。
久遠仁:「許可が頂けるなら、一秒でも早く行ってやりたいところです」
久遠仁:「それに、個人的な事情もあるものでしてね」
永良ゆづり:「私も別に、一人でも……というか、一人で行くつもりだった」
永良ゆづり:「正義の味方ではないけれど……これ以上、無為な死を背負いたくないからね」
亜藤 蘭介:「支部長」
亜藤 蘭介:「ご命を。頂けますか」
"飯綱":「……」口元からは笑みの消えたまま。深く息を吐いて。
"飯綱":「随分と、勇気ある部下を持ったものです」
"飯綱":「……二つ」右手の指を立てる。
"飯綱":「突入作戦の実施を認めるにあたって、貴方がたにお伝えする事があります」
"飯綱":「一つ。少なくとも私の側からは、これを指示として強制することはしません」
"飯綱":「降りたくなったならば、いつでもそう言っていただきたい」
"飯綱":「二つ。……"フェザリー・リード"は先程、一般市民を護るためにと言いましたが」
"飯綱":「UGNが守るべきものの中には、貴方達の命も入ります」
"飯綱":「生きて戻るため、最善を尽くすように」
"飯綱":そう言って、椅子から立ち上がる。
"飯綱":「……つくづく、この仕事は頭を下げる事が多い」
"飯綱":「結局、それが本質なんでしょう。責任を取り、人を使うというのは」
"飯綱":「どうか、皆さん」糸目を見開き、君達一人一人の目を見据えて。
"飯綱":「この"飯綱"が、よろしくお願いします」そうして、深く一礼した。

GM:シーンカット。ロイス、購入が可能です。
永良ゆづり:ロイス保留。購入はボディマ
穂村 姫乃:ロイスは保留、購入はダメ元メイド服
久遠仁:ロイス保留、応急手当キット
久遠仁:2DX+2>=8
DoubleCross : (2DX10+2>=8) → 7[1,7]+2 → 9 → 成功

穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 3[3]+1 → 4 → 失敗

久遠仁:確保して以上!
亜藤 蘭介:ロイス保留、ボデマ狙い
穂村 姫乃:どうにもならん。以上!
亜藤 蘭介:2dx+1>=13
DoubleCross : (2DX10+1>=13) → 5[4,5]+1 → 6 → 失敗

亜藤 蘭介:無
亜藤 蘭介:以上~
永良ゆづり:2dx>=12
DoubleCross : (2DX10>=12) → 3[1,3] → 3 → 失敗

永良ゆづり:バディム……
亜藤 蘭介:みんな遠い!
永良ゆづり:仕方なし。以上です
GM:みんな以上のようね ではカット!

◆Middle02:突入◆

GM:全員登場です。登場侵蝕をどうぞ~
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を1D10(→ 5)増加 (51 → 56)
永良ゆづり:51+1d10
DoubleCross : (51+1D10) → 51+1[1] → 52

亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 6)増加 (54 → 60)
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 4)増加 (49 → 53)


GM:---
GM:緑坂市 山麓部 住宅街地区
GM:---
GM:所は緑坂市南部の北端、白い一軒家の立ち並ぶ区画。
GM:日常的に上り下りしていればよく足腰の鍛えられそうな急斜面、それを数百メートルほど下った所に
GM:光一つ反射しない黒壁、"ヴァンノワール"の最前線が見えている。
GM:既に一般市民の避難は完了しているが、
GM:領域侵蝕を封鎖するために集められたUGNのオーヴァード達、その支援治療を行う医療スタッフ、護衛役の戦闘オーヴァードらの姿が周囲には見えている。
GM:もっとも、突入部隊として参加するのは君達5人だけだ。
"フェザリー・リード":「……改めて、名乗っておきますね」
"フェザリー・リード":「慌ただしくて、きちんと挨拶もできないままでしたから」
"フェザリー・リード":怜悧な印象を与える銀髪の少女が、君達に向かって話しかける。
羽海束沙:「"フェザリー・リード"羽海束沙(はねうみ・つかさ)です」
羽海束沙:「できることは射撃と演算、格闘も少し。どうぞ、よろしく」
羽海束沙:抑揚はなく、しかしはっきりとした声で、すらすらと口にする。緊張している様子はない。
永良ゆづり:「真面目ね」
羽海束沙:「な……真面目も何も、私はいつも通りでしょうが」
永良ゆづり:「"スモークスタック"永良ゆづり」
永良ゆづり:「近接格闘特化……あと、煙の立つ所に火を生む力がある。よろしく」
永良ゆづり:ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
久遠仁:「やあ、これはご丁寧にどうも」鷹揚に頷き、兜の飾り羽が揺れる。
久遠仁:「“ロストシグナル”久遠仁です。能力は……」
久遠仁:小石を拾い上げ、宙に放る。一瞬、何かが手元で閃く。
久遠仁:地に落ちると同時、小石が切り分けられたケーキのように八等分されて転がった。
久遠仁:「こういう感じかな。今回はよろしくどうぞ」
亜藤 蘭介:「疾いな」
亜藤 蘭介:まるで目で追えなかった。
穂村 姫乃:「おおー」 ぱちぱちと拍手。
久遠仁:「ハハハ、これしか能が無いもんで」
永良ゆづり:「手練れねぇ」咥えた白い棒の先端から、一筋の糸の様な煙が昇っていく。
穂村 姫乃:「ちなみにめちゃくちゃ自然じゃからスルーしとったんじゃが、ゆづりのそれは良いのか?」
穂村 姫乃:彼女が指に挟んだ白い棒を刺して。
亜藤 蘭介:「……能力の類に必要な嗜好品ならば看過出来るが」
亜藤 蘭介:「未成年だろう。あまり感心はせんな」
亜藤 蘭介:タバコらしきものを口にする彼女を見て。
永良ゆづり:「大丈夫、これココアシガレット」
永良ゆづり:かみ砕き、飲み込む。
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「失礼した」
久遠仁:「それなら安心だ」
穂村 姫乃:「成程」
羽海束沙:「いつも思いますけど、紛らわしいですよね、それ……食べるか煙出すか、どっちかにできないんですか?」
永良ゆづり:「え……いやだって、煙出せる能力者になったら」
永良ゆづり:「誰でもやりたいことじゃない?ココアシガレットで喫煙を偽装するやつ」
羽海束沙: 「なっ。そんな理由で……」
羽海束沙:絶句してこめかみを抑える。
久遠仁:「そうさなあ……」
久遠仁:「確かに」
穂村 姫乃:「ううむ、儂は自前で吸えるからなぁ。よう分からん」
永良ゆづり:「……と、失礼。話の腰を折ってしまったわね。自己紹介」
永良ゆづり:「あ、副流煙に害はないわ。何なら火力支援の効果もあるし」
亜藤 蘭介:「そいつはありがたい。……楽しむのは自由だが」
亜藤 蘭介:「上の前では止めといた方が良いと思うぞ。査定に響く」
永良ゆづり:「貴方も真面目ね」
亜藤 蘭介:「頭に"クソ"を付けて良く言われる」
亜藤 蘭介:言葉を続けて。
亜藤 蘭介:「……外部から招集されたエージェント、"ドイスラッシャー"亜藤蘭介だ」
亜藤 蘭介:「所属は……"ブリンクブレイド"、北条サイカと同じN市だ」
久遠仁:「へえ、N市!そいつは凄い」
久遠仁:「骨が折れるでしょう、あそこの仕事は」
穂村 姫乃:「あぁー、あれじゃろ。魔窟の」
羽海束沙:「なんでも今の緑坂のような事が、毎週のように起きていたとか……」
永良ゆづり:「N市所属ともあれば、実力は保証されたようなもの。頼もしい」
亜藤 蘭介:「これでもそこそこ、エージェントとしての経験は積んできたつもりだったが」
亜藤 蘭介:ふるふると首を振って。「彼処での1ヶ月を過ごす疲労度は。他所の1年の比では無いな」
亜藤 蘭介:「生憎だが」
亜藤 蘭介:「俺はまだまだ新参者でね。彼処での実力の方も下から数えた方が早い」
亜藤 蘭介:「能力は……近接白兵戦闘を主とした、多角的な攻撃が得意、だな」
久遠仁:「いやいや、そう謙遜しなくとも。若いのに大したものだとも」
穂村 姫乃:「若いのに、ということはお主は成人か?」
穂村 姫乃:他二人は未成年という前提で。
久遠仁:「ああ、俺は22……」
亜藤 蘭介:「……年齢は」
亜藤 蘭介:「26だ……」
久遠仁:「えっ!?」
羽海束沙:「えっ」思わず声が漏れる。
永良ゆづり:「えっ」煙草を咥えていたら落としていた。
亜藤 蘭介:「気にしないでいい」若干声が震えている。
久遠仁:「にじゅうろ……ああ、いや。これはとんだ失礼を」
久遠仁:「申し訳ない。その……若々しく見えたもので」
永良ゆづり:「……やはり、苦労してるんだね」一人納得したふうで。
羽海束沙:「……失礼いたしました」言い訳がきかないと思って頭を下げる。
亜藤 蘭介:「………おう」
亜藤 蘭介:「まあ、俺の話はいいさ」
亜藤 蘭介:「次は。"興津比売命"殿だったか」
穂村 姫乃:「うむ、そうじゃな」 こほんと一つ咳払いをして。
穂村 姫乃:「"興津比売命"はいわゆるコードじゃ。名は穂村姫乃と名乗っておる」
永良ゆづり:「何とも神々しいコードネームね」
穂村 姫乃:「実際起源(オリジン)が神じゃからな。お主らで言うところのレネゲイドビーイングじゃ」
永良ゆづり:「(見た目がフランク過ぎて実感が沸かない……)」
亜藤 蘭介:「神、とは……」
久遠仁:「ははァ、そいつは凄い……」
久遠仁:「あるのかい?神社とか」
穂村 姫乃:「おお、あるぞ。少なくとも50年前に里帰りした時はあった」
久遠仁:「凄いな。拝んでおいたほうがいいかな」
穂村 姫乃:「……70年前じゃったかな。ちょっとあやふやじゃが潰れとらんならまだあるはずじゃ」
羽海束沙:「50年、って……そんなに前から」
羽海束沙:「レネゲイドビーイングが世界的に増加したのは、二年ほど前からと言うことですが……こういった例もあるものなのですね」
永良ゆづり:「流石は神のRB。年齢も桁が違ってそうね」
穂村 姫乃:「慧眼じゃの。数えとらんが最低で700くらいは経っとるはずじゃ」
亜藤 蘭介:「なっ……」
羽海束沙:「ななひゃく……」
久遠仁:「じゃあ鎌倉あたりの生まれってことか。大先輩だな、こりゃ」
穂村 姫乃:「じゃからまあ、ほら。年相応に見えんというのはお主だけの悩みでもないぞ」
穂村 姫乃:ぺしぺしと亜藤君の背を叩く。
亜藤 蘭介:「……有難う?」
亜藤 蘭介:大分意味合いが異なる気もしないでもないが、礼の言葉を口にしておく。
永良ゆづり:「(人間の感覚には700歳に対応する"年相応"がないのだけどね……)」
穂村 姫乃:「うむ。ちなみに能力もそれ絡みでの」
穂村 姫乃:「UGNでは"古代種"と呼ぶんじゃったか。儂の場合だとまんますぎるが」
穂村 姫乃:「あと儂の血にその力が含まれとるせいで、迂闊に飲むと飲んだ側も古代種になりうる」
羽海束沙:「血に……"チェスト"に能力が近いとは、そういう意味だったんですね」
久遠仁:「飲ませたことがあるのかい?」
穂村 姫乃:「儂から飲ませたことは無いな。他者に利用されたことはあるやもしれんが」
穂村 姫乃:「一応燃やして灰にすれば効力は消える。そして幸いなことに儂は火の力を持っておる」
穂村 姫乃:「元が竈神、火の神じゃからな。故に普段は燃やし尽くすようにしとるので、そうそう無いはずじゃとは思うが……」
亜藤 蘭介:「組織によっては喉から手が出るほど欲しい体質だろうに……」
永良ゆづり:「さらっと流してるけど、なかなか悍ましい話してるよソレ」二本目のココアシガレットを口に咥える。
久遠仁:「苦労してそうだ。健康と長寿が欲しくない奴は居ないからなあ」
穂村 姫乃:「マジでの。人の子、不老好きすぎじゃろ」
穂村 姫乃:「実際普段から狙われたりもまあまあする。故に旅をしとるという面もある」
羽海束沙:「というと、あまり好きじゃないんですか?貴方自身は」
穂村 姫乃:「いやぁ……。儂は元からそういうもんじゃから好きも嫌いも無いが」
穂村 姫乃:「なったらなったで面倒というのは想像つくじゃろ」
羽海束沙:「ああ、そうです……よね」
久遠仁:「そういうもんですか、やっぱり」
久遠仁:「……ところで、今回は何だって協力を?有難い限りじゃあるが……」
穂村 姫乃:「ん、さっき話したじゃろ。約束があっての」
亜藤 蘭介:「約束……」
亜藤 蘭介:「知人か?」
穂村 姫乃:「否。会ったのは今日じゃな」
穂村 姫乃:「この街の公園に居った御同輩じゃ。確認はしとらんが、透けとったしまあ普通の人間ではなかろう」
穂村 姫乃:「なんぞ事情があったか、あるいはこの件について知っとったようでな。正義の味方に会いたいと話しておった」
羽海束沙:「……正義の味方、ですか。どうも意図が読み切れませんが」
永良ゆづり:「なんならそのRB、事件の重要参考人じゃないの?」
穂村 姫乃:「儂も細かくは分からん。が、そやつに庇ってもらったお陰で儂は今ここに居る」
久遠仁:「しかし……今日会ったばかりの相手との約束の為に?」
久遠仁:「情に厚いと言うべきか、酔狂と言うべきか。古代種ってのは、皆そうなのかい?」
穂村 姫乃:「さあなぁ。しかし、言った通り儂はそやつに恩がある」
穂村 姫乃:「なら返さんと名が廃る。それにまあ、他の古代種がどうかは知らんが」
穂村 姫乃:「情に厚くなきゃ旅などせんし、そも俗世に関わりもせんわ。山奥で隠居する方が楽に生きられるじゃろ」
永良ゆづり:「なる、ちゃんとご利益があるってことね」
久遠仁:「ハハハ!成程、納得だ」
亜藤 蘭介:「そうか」少しだけ口元を緩めて。
亜藤 蘭介:「その御同輩にも、話を伺う必要があるみたいだ」
亜藤 蘭介:「無事を祈ろう」
羽海束沙:「……起源種別レジェンド。RBが、信仰という力によって形を保つものなら」
羽海束沙:「今日まで貴方への信仰が衰えずに続いたのは、そのスタンスの結果なのかもしれませんね」
穂村 姫乃:「ふむ、意識したことは無かったが。そうだとするならこう生きてきた甲斐もあるな」
GM:と……そこで、亜藤さんの端末が鳴ります。支部長からの通信だ。
亜藤 蘭介:「失礼」懐から端末を取り出して。
亜藤 蘭介:「こちら、"ドイスラッシャー"」
亜藤 蘭介:端末をいそいそとスピーカーモードに設定し。
"飯綱":「"飯綱"です。こちら側の準備は整いました」
"飯綱":「以後の突入の時機については、貴方がたの判断にお任せします」
"飯綱":「それと……最後に一つ。今後の連絡についてですが」
亜藤 蘭介:「は」
"飯綱":「改めて言うまでもないことですが……現状でも"ヴァンノワール"の内部に入ることは可能な訳です」
"飯綱":「つまり、こちらからの一方的な通信電波であれば、貴方がたの方で受信できる可能性はあります」
"飯綱":「君達の突入から30分後と……以後三時間おきに、貴方の端末にこちら側の情報を送ります」
"飯綱":「受信可能かどうか、確認をお願いします。加えて、もし可能な状況になったのであれば応答をお願いします」
"飯綱":「以上です。……ご健闘を」
亜藤 蘭介:現時間を確認後、首肯しながら応答し。
亜藤 蘭介:「委細、承知致しました」
亜藤 蘭介:「突入班5名、全力を尽くします」
亜藤 蘭介:通信を切断後、皆に向き直る。
亜藤 蘭介:「準備は?」
永良ゆづり:ふーっ、と。勢いを付けて煙を吐き出す。
永良ゆづり:「問題ないよ」
羽海束沙:「いつでも行けます」
穂村 姫乃:「万事問題なし。いつでも行けるぞ」
久遠仁:兜越しに、聳える巨大な領域を見上げる。
久遠仁:「行きましょう」
GM:かくして君達は、見通す事のできない夜色の幕へと踏み込んだ。
GM:その向こう側に、掴むべき何かを求めて。そして──

GM:シーン終了。ロイス購入が可能です……それと
GM:NPCカードを獲得します。
亜藤 蘭介:ワオ!
永良ゆづり:わぁい!!
久遠仁:何だろ~

NPCカード:”フェザリー・リード”羽海束沙
①「鵺白羽」
タイミング:オート、命中判定前
制限:ラウンド1回
PC一人の命中判定のダイスを+10個、攻撃力を+10する。

②「バディムーヴ」
タイミング:オート、任意の判定前
制限:ラウンド1回
PC一人の判定達成値を+3する。

穂村 姫乃:だーれだ?
穂村 姫乃:あ、便利!
GM:便利に使ってね
亜藤 蘭介:ありがてぇ~~~!
久遠仁:便利すぎ~~~
永良ゆづり:助かり過ぎてしまう
永良ゆづり:さておき、ロイスはまだ保留。購入はもう一回ボデマ
穂村 姫乃:こっちもロイスはまだ保留かな
永良ゆづり:2dx>=12
DoubleCross : (2DX10>=12) → 7[2,7] → 7 → 失敗

久遠仁:ロイスとりあえず保留で……ボデマかな
亜藤 蘭介:どうしようかな~~ん~~保留しとこう まだ会話チャンスありそうだしネ
久遠仁:2DX+2>=12
DoubleCross : (2DX10+2>=12) → 5[4,5]+2 → 7 → 失敗

穂村 姫乃:購入はダメ元メイド服
永良ゆづり:うーんせちがらし。以上です
久遠仁:ダメ!以上
穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 2[2]+1 → 3 → 失敗

亜藤 蘭介:ボデマ狙いましょう
穂村 姫乃:キットも買えん。以上!
亜藤 蘭介:3dx+1>=12
DoubleCross : (3DX10+1>=12) → 9[3,7,9]+1 → 10 → 失敗

亜藤 蘭介:おっこれは
永良ゆづり:バデム!
亜藤 蘭介:やっぴ~!
亜藤 蘭介:じゃあバデムしてくれた永良ちゃんにパスしよ
永良ゆづり:わぁい!!
亜藤 蘭介:着な!
永良ゆづり:あざます~~装備!!
GM:みんな以上かな ではいきます

◆Masterscene01:Liberation◆

GM:──君達は、夢を見る。
GM:それは、戦いの記憶だ。
GM:物心ついた頃からずっと、陽射しの届かない地下区画で育てられていた。
GM:子供らしい自由はなく、命じられるままに戦い、都合の良い道具として育てられた──これは、そこから脱却するための決起。
GM:恐怖はあった。「もはや後戻りできない」という事実は、身の竦む重圧を生む。
GM:もしもこの反抗が失敗し、再び彼らに囚われる身となることがあれば、どのような目に遭うか。想像するだけで背筋が冷えた。
GM:だが、それ以上に。
GM:君達の人生を管理していた、蛇のような目をした白衣の研究者達が一人、また一人と目の前に倒れ伏して行く姿を見る度に、湧き起こる高揚感があった。
GM:その熱が、身を凍えさせる恐怖を麻痺させていった。

GM:……どれほどの時間が経っただろうか。
GM:スピーカーから、君達のリーダーの声が響く。それは即ち、奴らの要──情報室を占拠したという事だ。
 :「聞け。──俺達の、勝ちだ!」
GM:首に掛けられていた識別票を乱暴に外す。
GM:命令違反を咎める忌まわしい電流は、もはや発生する事はない。
 :「俺達を縛るものは、もうどこにもない!俺達は──」
GM:どこかで歓声が上がった。
GM:周囲にいた何人かが、あるいは君達自身もがその後に続く。
 :「俺達は、自由だ!」
GM:その胸を満たすのは、陶酔的な熱狂。そして、これから先に続く未来への期待だった。

???:Eロイス「虚実崩壊」によって展開されている効果が適用されます。
GM:君達の持つハンドアウトの内容が変更されます。内容は以下の通り。

・共通ハンドアウト
君達はFHセル"アモーガ"で実験体として生まれ育った"バース"シリーズのオーヴァードだ。
研究者達に兵器として扱われ、命令されるままに戦闘を繰り返す日々を過ごしていた君達は、やがては普通の日常を求めてクーデターを引き起こした。それが、3ヶ月前のこと。
君達が掲げた新たな旗印の名は、"天馬"セル。空を往く獣のように、自らの夢を追って自由に暮らすことを願う者達の集うところ。
「これまでのように、誰かの都合に縛られるという事はない。ここを去りたければ、追いかけることもしない」
「俺の願いは、ただ──お前達が自分の夢を見つけて、自由に生きてくれる事だ」
この緑坂市において君達は、これまでの人生の中で最も自由な日々を過ごしていた──願わくば、この日常がいつまでも続くようにと。

GM:これが全員分の。続いて個別のハンドアウトを展開します。

・個別ハンドアウト:久遠仁
シナリオロイス:"マーシャル・ヘイヴン"天城マコト
君は"天馬"セルの一員として自由な日々を得たものの、具体的な夢をまだ見つけられずにいる少年少女の一人だ。
天城マコトは実験体時代から君と仲の良かった友人であり、君達のセルのリーダーでもある男だ。3ヶ月前の反乱を主導し、"アモーガ"を乗っ取る形で新たなセルを立ち上げた。
この日、彼は自分の夢だった喫茶店を開業し、開店祝いに仲間達を呼んで祝賀会を行っていた。今日からは"アモーガ"の跡地の代わりに、この店が仲間達にとっての居場所になるのだと彼は語る。
……そうして無事に開店祝いも終わったという時、見知らぬ少女が君に声をかけてきた。
「ごめんなさい、あたしのせいで」
「ついて来てください。そうすれば……分かるように、なりますから」

・個別ハンドアウト:永良ゆづり
シナリオロイス:"サタニアン・ガーデン"桜崎ニア
君は"天馬"セルの一員として自由な日々を得たものの、具体的な夢をまだ見つけられずにいる少年少女の一人だ。
桜崎ニアは、基本的に競争相手同士である"バース"実験体の中にあってやや異質な、何かとお節介な気質の少女だった。再三の拒絶を半ば押し切られるようにして、君達は腐れ縁のような仲になっていた。
この日、宛もなく街を歩いていた君は、大通りの交差点でビラ配りをしていた彼女を目にする。
「あ、丁度よかった!ゆづりちゃん、喉乾かない?」やや強引に連れられた先は、開店準備中の喫茶店。メニューの味見をさせられる君の前で、彼女は自らの夢について語る。

・個別ハンドアウト:穂村姫乃
シナリオロイス:"メルクリカル・スカイ"日下部ルリカ
君は"天馬"セルの一員として自由な日々を得たものの、具体的な夢をまだ見つけられずにいる少年少女の一人だ。
施設時代からの君の友人である日下部ルリカもまた、君と同じように、これといった目標も持つことができずにいるセルメンバーの一人だった。
それならばまずは「普通の感覚」に近付いてみようと、共に街に出歩いてゲーセンやカラオケを巡り、若者らしい遊びに興じてみることにした。
そんな折、彼女は君に対して奇妙な事を問うてくる。

・個別ハンドアウト:亜藤蘭介
シナリオロイス:"アースリー・ケイヴ"水上ケイ
君は"天馬"セルの一員として自由な日々を得たものの、具体的な夢をまだ見つけられずにいる少年少女の一人だ。
差し当たっての目標も不自由もなく、どこかのんびりした日々を過ごす君はしかし、戦いの中で自分の力が衰えていく可能性に漠然とした恐怖を抱いていた。
実験体時代からの友人である少年・水上ケイも同じように感じていたらしい。「戦闘訓練に付き合ってほしい」という頼みを聞いてやる事にした君は、忌まわしい思い出の残る"アモーガ"の訓練施設へと足を運んでいた。
……そうした戦闘の度に、ふと気にかかる。己の力を行使する時に姿を見せる少女の影。知らないはずなのに、知っている気がする相手。

GM:ハンドアウトは以上となります。
久遠仁:???????????????????????
亜藤 蘭介:以上となりますじゃないが
穂村 姫乃:儂、儂は……?
穂村 姫乃:少女……?
永良ゆづり:私達はFHの実験体だったのか……知らなかった……
GM:少女です
GM:また、PL向けのメタ情報として以下をお渡ししておきます。
GM:これはPCは把握してない情報ですが、ロール指針としてPLに状況を把握してもらうためのものです。

PL用情報:ハンドアウトを書き換えられたPCについて
・君達は自分の過去について細かく思い出すことができない。UGNとしての任務についてはもちろん、この世界にいない家族や友人のことも。
・緑坂市南部から外に出ることはできない。
・その他にも様々な違和感や矛盾が存在するが、そこをそれ以上掘り下げて疑うことができない。
・多くの記憶を失った反面、君の中には"アモーガ"の実験体オーヴァードとして生きた架空の記憶が存在している。
・ハンドアウトに「少年少女」とあるように、成人している人は身体が概ね14~18歳程度の年齢になる。
・これらは本来のハンドアウトを取り戻すまで続く。

GM:以上です。質問があれば答えられる範囲でお答えします。
GM:今日は概ねここで切るので、次回セッションまでの間に質問投げてもらうのでも大丈夫です。
久遠仁:なるほど………………
亜藤 蘭介:はい…………………………
久遠仁:やったなマコト!  またぼくらのコンビで勝負を決めたな!
永良ゆづり:なるほどね、完璧に理解したわ
穂村 姫乃:そっか……儂は、いや私は……
GM:次以降のシーンですが、更新されたハンドアウトに基づいてそれぞれのオープニングシーンに移っていきます。
GM:また今後のシーンでは登場侵蝕による上昇が不要となります。
GM:ただしそのかわりに、──螟「逡──梧ア壽沒蛟──、縺?轤ケ縺壹▽荳頑?縺励∪縺吶?──────
GM:久遠仁の?????を5増加 (0 → 5)
GM:永良ゆづりの?????を5増加 (0 → 5)
GM:穂村 姫乃の?????を5増加 (0 → 5)
GM:亜藤 蘭介の?????を5増加 (0 → 5)
GM:以上です。

◆Opening00':羽海束沙◆

GM:マスターシーンです。PCの登場はありません。


GM:---
GM:緑坂市 みなみ緑坂駅前
GM:---
GM:平日の夕方。帰宅ラッシュ近い時間帯にしては、どこか人通りのまばらな駅前の通り。
GM:──というのも、この街の外に繋がる電車を誰も利用できない(しようという考えが思い浮かばない)からなのだが。
GM:この場の誰一人として、その事実に違和感を抱くことはない。
GM:勤め人はぼんやりとした眼差しで街を徘徊し、一日の責務を果たしたと思いこんで家路につく。
GM:……羽海束沙もまた、そうした中で微睡む者の一人だった。

羽海束沙:初夏の生暖かな風が頬を撫でて、空を見上げれば未だ見慣れない真っ赤な夕空が広がっている。
羽海束沙:……3か月。ほんの3か月前まで、私達はあの金属壁に覆われた地下施設で暮らしていた。
羽海束沙:こうして空の下を好き勝手に歩けるようになった事に、未だ少し慣れない感覚がある。
羽海束沙:始めの一ヶ月と少しで、目下の私達のセルを取り巻く一通りの事は落ち着いた。
羽海束沙:いま考えなくてはいけないのは、未来のことだった。それも、個人的な。
羽海束沙:「君達には自分の夢を見つけて、そのために生きてほしい」とマコトは言う。
羽海束沙:だけど、今日までただ必死で戦いを続けて生きてきた私は、そんな理想を描く力がどうも欠けていたらしい。
羽海束沙:……私と同じように生きてきた子の中には、迷わず自分の夢のために歩き出している子もいるから、ある種の才能なのかもしれないけれど。
羽海束沙:周りの真似をして、制服を着て学校に通うような事をしてもみた。
羽海束沙:セル内部に立ち上がったスポーツクラブに混ぜてもらったり、絵画や彫刻に手を出したりもした。
羽海束沙:別に、面白くなかった訳じゃない。楽しんでいたとは思う。
羽海束沙:ただ、どれも漠然と「違う」と感じていた。
羽海束沙:自分のやるべきことは、もっと他にあるような……
羽海束沙:なんて。我ながら、子供のような我儘だと思うけれど。
羽海束沙:……ふと、そのとき
羽海束沙:広場にシートを敷いて、ギターを弾く少女の影が目に入った。
羽海束沙:路上ライブだ。……特に人気も腕もない素人なのだろう、足を止めているのは2、3人といった所だった。
羽海束沙:しかしそれでも、私にとってみれば物珍しい光景である。
羽海束沙:少し近寄って見てみると、そこで歌っているのは見知った顔だった。
???:白い長髪を無造作になびかせ、華奢な脚を折り畳むように座り込んでいる。
萩原カノン:萩原カノン。あるいは"カノンボール・シアター"。同じ"天馬"セルの仲間だけど、あまり人と関わりたがるタイプではなかった少女だ。
羽海束沙:こういった姿は、どうも少し意外に見える。
羽海束沙:(……あの子、音楽とか好きだったんだ)

GM:ここでNPCに関する既知の情報を出します。

・情報公開「萩原カノンについて」
バース03”カノンボール・シアター”萩原カノン。ランキング3位。
臆病で物静かな少女。一時期別のFHセルに所属していたが、何らかのトラウマ的経験があったらしく、あまり人と関わりたがらない。最近は少しずつ"天馬"セルの皆に対しては心を開いてきていた。
領域の特質は錬金支配。自身の操作する領域内部において、体積の許容する限りの理想金属体を生成する事が可能。攻防を相兼ねた大質量の飽和錬成に、大抵のオーヴァードは対抗手段を持たなかった。

GM:以上です。

羽海束沙:足を止め、耳を傾ける。
羽海束沙:俯き、ギターを弾きながら歌い続ける少女は、こちらの姿に気づくこともない。
萩原カノン:「──"どうして私達は 自分を赦してあげられないの"」
萩原カノン:「"背負いたくもないもの背負って 行きたくもない場所に行くんだ"」
羽海束沙:落ち着いた曲調のバラードだった。傷ついて疲れ果てた兵士が、戦わなくていい理由を探している歌。
羽海束沙:リズムはありふれていて、声量は不安定で、ピッキングはぎこちない。
羽海束沙:だけど、どこか耳を傾けてしまう力があるように感じられた。
萩原カノン:「"chesspiece syndrome 自分の救い方なんて"」
萩原カノン:「"どこの誰にも 教わらなかったからさ"」
羽海束沙:それはあるいは、彼女が自分の知る世界で感じた言葉を歌っていて
羽海束沙:その同じ世界で、私達は一緒に生まれ育ったからなのだろう。
萩原カノン:演奏を終えて、一礼。淡々と楽器を片付け始める。
GM:まばらな拍手が鳴って、僅かに集まっていた通行人達も、そこらへと散り始める。
萩原カノン:「あ……」そこでようやく、知人の顔に気付いたらしい。
羽海束沙:「ああ、その……」
羽海束沙:勝手に聴いていた事に、なぜか気恥ずかしさを覚えてしまいながらも。
羽海束沙:「素敵だったわ」拍手を止めて、そう声をかける。
萩原カノン:「……えっと」長い睫毛をしばたかせる。少し言葉に迷って。
萩原カノン:「お世辞じゃない……?」
羽海束沙:「何よ。普通に本心なんだけど……」
羽海束沙:「技術の巧拙と創作物の良い悪いは、また別でしょう」
萩原カノン:「……う。その」
萩原カノン:「私、自分でまだまだ下手だなって思うから……」
萩原カノン:「……ごめん。めんどくさくて」俯いたように頭を下げる。
羽海束沙:「……別に、謝ることないけれど」
羽海束沙:「何、ミュージシャンにでもなりたいの?貴方」
萩原カノン:「……」びくり、と肩が動く。眉を微かに動かして、頬を染める。
羽海束沙:「いや、そんなとこで今更恥ずかしがらなくても……」
羽海束沙:「こんなとこで歌ってる時点でよっぽど高いハードル越えてるんじゃん……」
萩原カノン:観念したように、こくりと頷いて。
萩原カノン:「……ずっと前、私がここじゃないセルに居て」
萩原カノン:「生まれて初めて、人を殺して……その、帰りに」
萩原カノン:「街頭の、大きなスクリーンで。歌ってる人を見たの」
羽海束沙:「……」
萩原カノン:「……その歌に救われたとか、心が洗われたとか」
萩原カノン:「そんな綺麗な話じゃないんだけど」
萩原カノン:「その人が……すごく、輝いていて、楽しそうだったから」
萩原カノン:「……羨ましかったんだ」
萩原カノン:「世界には、あんな生き方もあるんだって、思った」
萩原カノン:「もちろん……そんなの、私には無理だって諦めてたけど」
萩原カノン:「……今は、諦める理由もなくなったから」
羽海束沙:「……そっか」
羽海束沙:どこか眩しいものを見るように、目を細めて。
羽海束沙:「ねえ。貴方がほんとに歌手になれるかは、わかんないけど」
羽海束沙:「貴方がなりたいものには、結構近づいてるんじゃないかって思うよ」
羽海束沙:「だって、いま私」
羽海束沙:「『楽しそうだし、輝いてるな』……って、思ったもの。貴方のこと」
萩原カノン:「……!」
萩原カノン:「ぁ……ありがとう」
羽海束沙:「ううん」
羽海束沙:ずっと迷っていた心が、すこし晴れたような気がした。
羽海束沙:彼女のように、自分の願いを追いかける仲間が、ちゃんと望む場所に辿り着けるようにする。その手伝いをすること。
羽海束沙:学校に通えてなくたって、超常の力を持っていたって、普通に夢を追いかけられる環境を作ること。
羽海束沙:それはきっと、私が心からやりたいことの一つなんだろうと。
羽海束沙:……彼女と話したおかげで、そう気づけたから。
羽海束沙:「礼を言うのは、私の方」
萩原カノン:「……あの」
萩原カノン:「また、ここで。16時」
萩原カノン:「だいたい毎日、歌ってるから……仕事とかなければ、だけど」
萩原カノン:「気が向いたら来て。次は……」
萩原カノン:「……次は、もっと上手くなってる。はず、だから」
羽海束沙:「ふふ……そうなんだ」
羽海束沙:私自身の未来の事は、やっぱりまだ分からないけれど。
羽海束沙:一つ未来の楽しみが増えた、と思う。
羽海束沙:彼女がいつか、輝かしい舞台に立つような日が来るのかもしれないと。
羽海束沙:「じゃあ、期待してる」
羽海束沙:ひらひらと手を振り、背を向ける。
羽海束沙:去っていく足取りは、ここへ来た時よりも幾分と軽かった。


GM:シーンカット。

◆Opening01':亜藤蘭介◆

GM:亜藤くんのみ登場です。前回説明したように、登場侵蝕はありません。
GM:亜藤 蘭介の?????を1増加 (5 → 6)


GM:---
GM:緑坂市 旧"アモーガ"施設内部 B2F戦闘訓練場
GM:---
GM:3ヶ月前に君達が制圧した"アモーガ"の施設は、現在全て"天馬"セルの管理下に置かれている。
GM:"アモーガ"セルの管理下における"バース"シリーズは、日々互いを戦い競い合わせることで能力の成長を促されていた。
GM:要するに、この無機質なタイル張りの空間で君達が向かい合う事は、何度となく経験したルーティーンである訳だ。
GM:これまでと違うのは、その戦いを命じられて行うのではなく、自主的にやろうとしていること。
GM:それと、カメラ越しに君達を評価査定する研究員達がいないことだろう。
水上ケイ:「……っし。こっちは準備いいぜ」
水上ケイ:君と向かい合う位置について柔軟をしていた男が、歯を見せて笑う。
水上ケイ:短い金髪をオールバックにした、凶相の大男だ。

・情報公開「水上ケイについて」
バース02"アースリー・ケイヴ"水上ケイ。ランキング2位。
喧嘩っ早く、血の気の多い性格。基本的にバトルマニアだらけの"バース"シリーズの中でも、強くなることに人一倍の拘りを持つ。
領域の特質は獣因子操作。領域内に触れた生物の身体構造を書き換える能力者。自身の肉体の内部を領域化し、日々の自己成長操作によって異常な発達を遂げている。素手による戦闘能力にかけてはセル内でも無二な上、身体形状変化による飛び道具・搦め手も身に着けている。

亜藤 蘭介:「……何度も言うけどよ」
亜藤 蘭介:目の前の獣じみた笑みを浮かべる男とは対照的に、まだあどけなさの残る表情を浮かべた少年が口を開く。
亜藤 蘭介:「俺でいいわけ? もっとランク上の奴とか。幾らでも居るだろうよ」
亜藤 蘭介:黒色のトロンボーン・ケースから己の得物を抜き。上段に構えつつため息を吐く。
水上ケイ:「なんでって……そりゃあ」ぽりぽりと頭をかいて。
水上ケイ:「ある意味物好きなんだよ。俺も、お前も」
亜藤 蘭介:「……あーそういうシュミは……ん?」
亜藤 蘭介:「俺も?」
亜藤 蘭介:含みの有る言い方に首をひねる。
水上ケイ:「ある意味、平和になったからだろ。理由もなく進んで戦いたがる奴とか、そういねえんだよ」
亜藤 蘭介:「……まー、そうだろうよ」
水上ケイ:「ましてや俺が相手ってなるとな」
水上ケイ:「お前はなんだかんだ言って、付き合ってくれるじゃねえか」
亜藤 蘭介:「………」ばつが悪そうに頬を掻く。
亜藤 蘭介:「逆だから、かな」
水上ケイ:「……逆?」首をかしげる。
亜藤 蘭介:「ちょっと前までは、考えられなかっただろ」
亜藤 蘭介:「当たり前に、下らない話で盛り上がって」
亜藤 蘭介:「当たり前に、温かいメシを食うことが出来て」
亜藤 蘭介:「当たり前に、柔らけえベッドの上で眠ることが出来る」
亜藤 蘭介:「こんな日々、さ。考えられなかっただろ。だから……」
亜藤 蘭介:「もう二度と、あんな悪夢はごめんだ」
亜藤 蘭介:柄を固く握りしめる。
水上ケイ:「……ああ、なんだ」
水上ケイ:「やっぱ、気が合うじゃねえか」
亜藤 蘭介:「かもな」
亜藤 蘭介:「平和だからこそ。俺たちは。備えねえといけねえんだ」
亜藤 蘭介:「来いよ。ランク2位」
亜藤 蘭介:「下剋上される準備も出来たか?」
水上ケイ:「はっ……威勢が良いじゃねえか、67位」
水上ケイ: 「先手一発、取らせてやるよ。下剋上チャンスだ」親指で自分の喉を指し示す。
水上ケイ:「それくらい、妥当なハンデってやつだろ」
水上ケイ:構えるでもなく、直立。無防備に君の初撃を待っている。
水上ケイ:甲皮による防御はおろか、領域の展開すらも行わない。
水上ケイ:あるいは行った所で、君の持つ得物に対しては無力だと理解しているのかもしれないが。
亜藤 蘭介:「ったく」はっ、と笑って。
亜藤 蘭介:「後悔するんじゃ」
亜藤 蘭介:言葉を切って、即座に地を駆ける。
亜藤 蘭介:間合いを詰め、身を捻りながらの一閃。
亜藤 蘭介:「(余裕ぶりやがって)」
亜藤 蘭介:内心で舌打ちしつつ、そのまま身を引き裂かんと得物を振るうが。
水上ケイ:「……っ!」歯を食いしばり、血を噴き出しながら堪える。
水上ケイ:ただ純粋な生命力によって、君の攻撃を受けきった。《リザレクト》の発動──にすら、至らない。
亜藤 蘭介:「(浅ェ!)」
亜藤 蘭介:幾度の模擬戦を重ねても、なお予想を遥かに上回るタフネス。
水上ケイ:そうして、一撃を受けきってから──動き出す。自らの血を頬に被りながら、横転。
水上ケイ:同時、弾くような蹴りを放ち間合いを取り直して。
亜藤 蘭介:「ぐっ────」
水上ケイ:「っ──さァて」片手で頬の血を拭いながら。
水上ケイ:「戦うか」
水上ケイ:両手をだらりと伸ばし、構えた。極小の領域展開、開いた十本の指を覆うように。
水上ケイ:ぎらり、と金属刃めいた超硬度の黒爪が瞬時に伸びきる。
亜藤 蘭介:崩れそうになった体躯を制御しながら、僅かに眉を潜める。使うか?
亜藤 蘭介:「(まだ、だ!)」
水上ケイ:「行くぞ」不意に、身を沈める。
水上ケイ:ともすれば消えたと見えるような前傾姿勢──昆虫めいて脚を折り曲げ、地を這い迫る。
亜藤 蘭介:雄叫びを上げ、目を凝らす。重要な器官を狙うものだけを得物で斬り落とし、他はそのままに。
亜藤 蘭介:「(ここだ!)」
水上ケイ:──ガッ ギィン!!
水上ケイ:広げた両手の切っ先が抱くように通過しようとして、僅かに弾かれた。
亜藤 蘭介:黒爪を弾いたのは。蘭介自身ではなく。
亜藤 蘭介:蘭介の放つレネゲイドに呼応し集束した、ヒトを象った瓦礫の破片。
亜藤 蘭介:畳み掛ける。
水上ケイ:「っはぁ!やるな!!」歓喜にも似た咆哮。
亜藤 蘭介:《炎の理》
亜藤 蘭介:五指に灯った小さな火が、吸い込まれるようにヒト形のそれに色を付けていく。
亜藤 蘭介:変異種であるモルフェウス能力者の、自身のみが行使できる能力。
亜藤 蘭介:"同位体(ドッペルゲンガー)"と呼ばれる、その姿は。俺と瓜二つの外見である。
亜藤 蘭介:筈だった。
???:「……」
???:そこに現れたのは、君の似姿ではなく
???:ウェーブがかった美しい金髪と、真紅の瞳を持つ少女だった。
亜藤 蘭介:「───────」
亜藤 蘭介:記憶にない少女の姿だった。
亜藤 蘭介:セル内のメンバーにも、自由を経てからも。こんな少女に出会った覚えなどない。
亜藤 蘭介:なのに。
亜藤 蘭介:「は………?」
亜藤 蘭介:視界が霞む。
亜藤 蘭介:心臓を掴まれたように、その身が止まる。
亜藤 蘭介:訳が分からない。今、ただひとつ分かるのは。
亜藤 蘭介:この隙を逃すほど、あいつは甘くないということだけ。
水上ケイ:「──っ!」初撃を弾かれた直後。いつの間にか背に生えた数本の腕と尾が、床を叩いている。
水上ケイ:その反動が崩れかけた姿勢を支え、更なる踏み込みを生み出す。
亜藤 蘭介:我に返った時には、既に水上は目の前。
水上ケイ:攻め手は上段と下段より同時。振り下ろす獣爪と伸び上がった尾先──
水上ケイ:その挟撃に打ち据えられて、君の意識は絶えた。

GM:君が目を覚ましたのは、硬い訓練場の床の上だ。
GM:何があったか、すぐに思い出せるだろう。傍では大男が医療キットを手に、慣れた手付きで君の傷を手当していた。
亜藤 蘭介:「んがッ……」
水上ケイ:「……おう。起きたか」
亜藤 蘭介:全身がまだ悲鳴を上げているような鈍い痛みを必死で堪えて。
亜藤 蘭介:「あんがとよ」礼を口にして。
水上ケイ:「こっちの台詞だっての」
亜藤 蘭介:「はあーっ……何だよ、アレ……」
亜藤 蘭介:ごろりと、床に大の字に。
水上ケイ:「どうしたんだよ、お前。最後、急に止まったように見えたが……」
亜藤 蘭介:「どうしたも何も……」
亜藤 蘭介:「見えただろ? 俺の分体。知らない女の子のツラになってたじゃん」
亜藤 蘭介:「あんなの初めてだよ。スゲー動揺しちゃって、このザマ」
水上ケイ:「ああ……なんか、いつもと違うことしようとしたのかと思ったんだが」
水上ケイ:「そういう訳でもねえんだな」
水上ケイ:こちらも心当たりはないという様子で。
亜藤 蘭介:「違うようなことをしようとしていたのは、本当」
亜藤 蘭介:「いつもと同じように攻めても、お前には通用しねえし」
亜藤 蘭介:「工夫してかないと、勝てないじゃん」
水上ケイ:「ああ。そうだな……あそこで弾かれたのは驚いたわ」
水上ケイ:「よく集中できてたし、良い手筋だったと思う」
亜藤 蘭介:「……へへっ」
亜藤 蘭介:実力を知っているだけに、真っ当に褒められるとこそばゆいものがある。
水上ケイ:「しかし……まあ、謎だよな」顎に手を置いて、首を傾げる。
水上ケイ:「知ってるやつが出てくるってんなら、なんか予想も立てられそうなもんだが」
水上ケイ:「マジで知らない相手なのか?」
亜藤 蘭介:「………う~~~~ん」
亜藤 蘭介:頭を抱えて何とか思い出そうと試みるも。
亜藤 蘭介:「知らねえ………と、思う。けど」
亜藤 蘭介:「知っている気もする……」
亜藤 蘭介:「みたいな……?」
水上ケイ:「なんだそりゃ……」
水上ケイ:「つったら、逆に……やろうと思えば、知ってるやつの影も出せたりすんのかな」
水上ケイ:「それだったら、チームでの揺動とかに使えたりしそうなもんだが」
亜藤 蘭介:「どうだろ? 多分、出来ないと思うぜ」「エンジェルハイロゥやソラリスみたいな能力って訳でも無いしさあ」
亜藤 蘭介:「あくまで自分と瓜二つの分体が創造可能である能力……だったかな」
亜藤 蘭介:思い返すも忌々しい、研究者どもが口にしていた自身の能力の定義をそのまま声に出して。
水上ケイ:「そういうもんなのか……俺はどうもその辺の感覚はわからんから、練習する価値はあるんじゃないか?と言いたくなってしまうが」
亜藤 蘭介:「天才野郎がよぉ……」
水上ケイ:「クク……ま、無理ならそれでいいんだ」
水上ケイ:「無理してぶっ壊れたんじゃ、あいつらとやってること同じだしな」
亜藤 蘭介:「ん。だな……」
亜藤 蘭介:ならもっと加減しろよ、という言葉を飲み込む。マジで手心加えられてもムカつくし。
水上ケイ:「……理由はうまく説明できねーんだけどよ」
水上ケイ:「俺も、正直ちょっと焦ってんだ」
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「意外だな」
水上ケイ:「なんつーか、全部上手く行き過ぎてるっていうか……」
水上ケイ:「だからこそ、ぶっ壊れんのが怖いっつーか」
水上ケイ:「"ヴィローシャナ"だって、大概やばい敵だったけどよ」
水上ケイ:「世界には、もっと強くてとんでもないやつがいるわけだし」
亜藤 蘭介:「……下手に得ちまったからこそ」
亜藤 蘭介:「失うのが、恐ろしい」
水上ケイ:「……ああ」
水上ケイ:「俺や強いやつだけ生き残ったって、意味ねえしな」
水上ケイ:「そういう滅茶苦茶なのを相手にして。全員、欠けずに守りきろうって考えたらよ」
水上ケイ:「まだまだ、全然足んねえんだろうなって……」
亜藤 蘭介:「……お前は本当に」
亜藤 蘭介:「仲間想いの優しい奴だよな。全然顔に合ってねえのに」
亜藤 蘭介:くく、と思わず笑いが溢れてしまう。
水上ケイ:「……チッ。褒めるかバカにするか、どっちかにしろっつーの」
水上ケイ:「反応に困んだろうが」
水上ケイ:それでも、どこか緊張のほぐれたように伸びをして。
水上ケイ:「……飯でも食いに行くか」
亜藤 蘭介:「駅前のラーメン屋がいいな」
水上ケイ:「またか?まあ、俺も好きだけどよ」
亜藤 蘭介:「クーポン持ってる。餃子付き」
水上ケイ:「お、ナイスじゃねえか」
水上ケイ:「その後コンビニも行こうぜ。新しく発売したプリンが気になっててよ」
亜藤 蘭介:「いいぜ。プリン……くっ。くくっ……」
水上ケイ:「ああ?ンだよ。めちゃくちゃ美味いだろうが、プリン」
亜藤 蘭介:「それ以上その面でその三文字を口にするんじゃねえ。死んじまう」
水上ケイ:「バーカ、勝手に死んどけよ……おら、行くぞ」
水上ケイ:照れ隠しかどうかは分からないが、すたすたと急ぎ足で出口へと歩き出す。
亜藤 蘭介:傍らに置いてあったケースを背負って。水上の後に続く。
亜藤 蘭介:確かな満足感と。満たされることのない何かが。
亜藤 蘭介:頭の中で渦巻いている。
亜藤 蘭介:"あの少女"は。何故
亜藤 蘭介:悲痛そうな表情を浮かべていたのか。
亜藤 蘭介:考えても、考えても。答えは出なかった。


GM:シーンカット。ロイスのみ可能です。
亜藤 蘭介:水上ケイ P○好敵手/脅威 で取得します。
GM:OK!

◆Opening02':穂村姫乃◆

GM:登場は穂村さんのみ。登場侵蝕は不要です。
GM:穂村 姫乃の?????を1増加 (5 → 6)


GM:---
GM:緑坂市 繁華街地区 ゲームセンター
GM:---
GM:平日昼のゲームセンター店内。
GM:ハイテンポなアニメソングをBGMに、どの筐体とも知れないブザー音があちこちで絶え間なく鳴っている。
GM:君達の目の前の液晶には、鈍い呻き声を発するゾンビの群れ。手には玩具の拳銃。
日下部ルリカ:「っと、またいっぱい来たねぇ」
日下部ルリカ:「左側任せていい~?」
日下部ルリカ:君の隣のブースに立つ少女が、どこか気の抜けた声音で言う。
穂村 姫乃:「勿論。そっちが手を抜くようなら右側も手出すかもよ?」
穂村 姫乃:傍らに立つ友人へ向けにっと笑って見せる。
穂村 姫乃:初めてこのゲームをプレイしているとは思えないほどに慣れた手つきでゾンビを殲滅していく。
日下部ルリカ:「ふふ、挑発的じゃん」嬉しそうに笑って、こちらも慣れた手付きでゾンビを一掃していく。
GM:君達の連射音と共に、閃光が明滅する。青褪めた肌の死体があちこちで弾け飛んで
GM:やがて、閉鎖されていた研究所からの脱出ムービーが流れ始めた。ゲームクリアのようだ。
日下部ルリカ:「ありゃ、もう終わりかな」
穂村 姫乃:「思ったより楽だったね」 言いながらルリカへとハイタッチ。
日下部ルリカ:「いえーいっ」ぱちん、とタッチを受ける。
穂村 姫乃:「研究所からの脱出って言うから、もう二山くらいあるかと思った」
日下部ルリカ:「ふふふ、こちとら経験者だもんねぇ」
日下部ルリカ:冗談っぽく笑って言う。
穂村 姫乃:「ね。まあアレよりキッツいゲームなんてないだろうけどさ」
GM:──君達が自由を勝ち取ったクーデターと、"天馬"セルの設立から3か月。
GM:生まれて初めての自由な日々を謳歌する君達は、この日も「普通の年頃の学生」に倣って一日を遊び倒していた。
GM:駅前のモニュメント前で写真を撮り、屋台の変わった形の焼き菓子を頬張り、今はこうしてゲームセンターを訪れていたところ。
GM:あと1時間後には、何やらいま一番流行っているらしい映画を見る運びになっている。

GM:ここで、既知の情報として以下を開示します。

・情報公開「日下部ルリカについて」
”メルクリカル・スカイ”日下部ルリカ。バース・ランキング11位。
どこか眠たげな雰囲気の少女。戦いの絶えない環境で育ちながら、どのような状況でも落ち着いているやや変わった気質を持っている。戦闘自体にあまり積極的でなく、技術・能力出力とも上位ランカーと比較すれば数段落ちる。
領域の特質は速度支配。領域内の物体を現在の移動ベクトルに対して減速/加速させる。複数本の暗器を得物とし、加速による一撃離脱や超減速による時間差投擲に習熟する。

日下部ルリカ:「さーて、まだ映画まで時間あるよね。次は何しよっかな……」
日下部ルリカ:筐体に銃を戻して、ふらふらとその辺りを歩き出す。
穂村 姫乃:「銃撃つのはぶっちゃけゲームじゃなくても出来るし、なんかゲームらしいやつやんない?」
穂村 姫乃:「アレとかさ」 そう言って立ち並ぶリズムゲームの筐体たちを指さす。
日下部ルリカ:「や、逆に玩具だとどんな感じか気になったんだよね……おっ」
日下部ルリカ:「なんだろ、これ。タイミングよく踏めばいいのかな」
日下部ルリカ:一人、先にプレイしていた人の画面を横からそろりと覗き込みながら。
穂村 姫乃:「多分矢印通りに踏む感じ?結構体動かすやつだ」
穂村 姫乃:同じく覗き込んで。 「これ行ってみる?」
日下部ルリカ:「オッケー、やろやろ」
日下部ルリカ:筐体に近づいてコインを入れながら。
日下部ルリカ:「……お、こっちは対戦モードと協力モードとあるんだ」
日下部ルリカ:パネルを操作していた指が止まる。
穂村 姫乃:「ほほう」 すっと目を細めて。
穂村 姫乃:「手を組むか剣を取るか。二つに一つという訳だ」
日下部ルリカ:「姫乃ちゃんはどっちにしたい?」
日下部ルリカ:「私を敵に回すのが怖いなら協力してあげてもいいよ?なーんて」
穂村 姫乃:「私にはこれと決めてる人生の指針があってね」
穂村 姫乃:「ズバリ、『選ぶなら面白そうな方』」
穂村 姫乃:そう言って横から手を伸ばし、勝手に対戦モードを選択する。
日下部ルリカ:「あはっ」愉快そうに笑う。
日下部ルリカ:「いーよ。吠え面かかせたげる」袖をまくりながら、パネルの上に移動する。
穂村 姫乃:「その台詞、そのままお返ししてあげよう」
穂村 姫乃:鞄を付属のボックスに放り込み、パネルの上で身構える。

GM:じゃあ先に勝敗の判定しましょうか。「回避」または「芸術:ダンス」で
穂村 姫乃:回避の方で振ります!
穂村 姫乃:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 6[1,4,6] → 6

穂村 姫乃:びみょい
日下部ルリカ:こっちは芸術の方で
日下部ルリカ:流石に侵蝕Bは抜いておくか……
日下部ルリカ:5dx
DoubleCross : (5DX10) → 10[4,5,6,8,10]+8[8] → 18

穂村 姫乃:めちゃ上手いじゃん
日下部ルリカ:ふふんす

日下部ルリカ:「おっ……なるほど、こういう感じね」
日下部ルリカ:パネルを踏む感触を少しずつ確かめるようにしながら、軽快に踏んでいく。
穂村 姫乃:「む、う……」
穂村 姫乃:特別身体能力が高いタイプではない。流れる譜面を凝視しながら必死に足を動かしていく。
日下部ルリカ:「よっ、と……」
日下部ルリカ:目の前の画面にひたすら集中している様子で、少しずつ口数も少なくなっていく。
穂村 姫乃:同じく無言。完璧には追いつけないながらも無心で矢印を追いかけて。
穂村 姫乃:(……?)
穂村 姫乃:一瞬。
穂村 姫乃:まるで流れる譜面に見覚えがあるかのように、あるいは同じステップを踏んだことがあるかのように足が自然と動いて。
穂村 姫乃:内心で首を傾げるうちにも譜面は流れ去っていく。
日下部ルリカ:こちらは、君の側がどうなっているのかも意識の外にあるようだ。ただ黙々と譜面を消化し続けて、
日下部ルリカ:「んん……あ、終わりか」
日下部ルリカ:ふう、と息を吐いて。
穂村 姫乃:「はぁーっ……はぁーっ……」
日下部ルリカ:「やあ、何個かミスっちゃったな……でも中々じゃない、これ?」
日下部ルリカ:ほぼパーフェクト手前くらいのスコア表を見て、ふふんと得意げに笑う。
穂村 姫乃:「え、マジ?初見で?」 完全に肩で息をしており、言われてようやく画面を見上げる。
日下部ルリカ:「ほほう、姫乃ちゃんも中々頑張ったね」君の方のブースを覗き込みながら。
穂村 姫乃:「うっさい……今ルリカに言われても嫌味にしかなんないやつじゃん……」
穂村 姫乃:初見にしてはマシだが、決して良いとは呼べない数値。
日下部ルリカ:「や、ごめんごめん……私はほら、戦闘でも身体かなり動かすタイプだし」
日下部ルリカ:「能力が能力だもん……や、エフェクトはもちろん使ってないけどね?」
日下部ルリカ:「それでも、動体視力とか鍛えられてるっていうか」
穂村 姫乃:「そりゃエフェクト使ったらズルじゃん。反則でペナルティだよそんなん」
穂村 姫乃:筐体についているバーに寄り掛かりながらどうにか息を整えて。
穂村 姫乃:「それで言ったら体動かさないし銃使わないのに、今もさっきもかなり良い線行ってない?私」
日下部ルリカ:「それだよね。射撃訓練とかしたことあるっけ?」
穂村 姫乃:「ぜーんぜん?前からRC一本だし」
日下部ルリカ:「へえ、そりゃほんとに才能かも」素直に感心した様子。
穂村 姫乃:「マジか。私にこんな秘められた才能が」
穂村 姫乃:「こっからプロゲーマーでも目指してみようかな」
日下部ルリカ:「ゲームにプロなんてあるの?」
穂村 姫乃:「あるよ、あるある。今どきプロって概念は何にでも存在するもんだし」
穂村 姫乃:言いながら鞄を拾って。
日下部ルリカ:「ええー、私も目指してみよっかなあ」
日下部ルリカ:そんな事を話しながら、次のゲームを探して歩き出す。
穂村 姫乃:「良いねぇ。二人でタッグ組んで大会でも出てみよっか」
穂村 姫乃:その横に並びながら、少しの違和感。
穂村 姫乃:(……なんかまるで、知ったようなこと言っちゃったな)
日下部ルリカ:「そういえば、この店でもちょっとした大会とかやってるみたいだよ」
日下部ルリカ:「さっき張り紙で見た。今日じゃなくて来月だけど……」
穂村 姫乃:なんにでもプロは存在する、なんて。三か月前までリズムゲームがどういうものかも知らなかったくせに。
穂村 姫乃:「お、なら特訓する時間もあるじゃん」
日下部ルリカ:「やっちゃいますか?チーム名とか決めて……」
穂村 姫乃:パッと思考が切り替わる。つまらない過去ではなく楽しい未来について。
日下部ルリカ:「……むっ、あれは」ふと足を止める。
穂村 姫乃:「もう一人二人くらい誘っても良いかもね。ほら、久遠とか……」
日下部ルリカ:視線の先には、UFOキャッチャーの筐体。
穂村 姫乃:「ん?」 こちらも視線の先を覗き込んで。
日下部ルリカ:「や、あのでっかいウサギのクッションいいなーって」
日下部ルリカ:「寝心地良さそうだし……部屋に持って帰って抱きしめたいかも」
穂村 姫乃:「ほうほう。なら勝ち取るしかないですな」
穂村 姫乃:「というかめっちゃかわいいな。私も普通に欲しい」
日下部ルリカ:「いいよね……よし、やるっきゃないと見た。映画の時間まで後ちょっとだし」流れるようにコインを投入。
穂村 姫乃:「頑張れ~」 ひとまず応援の構え。
日下部ルリカ:「んー……」じっとパネルの説明を見て。
日下部ルリカ:「……簡単すぎない?」
日下部ルリカ:「タイミングよく2回押すだけ、なんて……」
日下部ルリカ:呟きながら、小さな手でタン、タンと迷いなく操作パネルを叩く。
日下部ルリカ:果たして狙いの場所で止まったアームは、クッションに紐付くラベルを引っ掛け……
日下部ルリカ:しかし、アームが重さに耐えられずにだらりと伸び、落としてしまう。
日下部ルリカ:「ええ~、そんなのあり……?」
穂村 姫乃:「これ、アーム弱いね。マジで取れるのかな」
日下部ルリカ:「どう引っ掛けても取れる気が……ううん」
穂村 姫乃:「あ、ひょっとして連打前提とか?ちょっとずつズラしてくみたいな」
日下部ルリカ:目を凝らして筐体の中をじっと覗き見ながら。
日下部ルリカ:「……それしかないかも。今のでちょっとだけ動いたし……」
日下部ルリカ:「……多分、あと20回……いや、もう少し……?」頭の中で見積もっているらしい。
穂村 姫乃:「んー。それだけやったら出来そうなのもすごいけどさ」
穂村 姫乃:「映画間に合わなくない?」
日下部ルリカ:「そうなの……」
日下部ルリカ:「後は……正攻法じゃなければ、なんとでもなるけど……」髪をくるくると弄る。
日下部ルリカ:「それやったら実質負けだからなぁ……」
日下部ルリカ:能力を使う事を言っているのだろう。
穂村 姫乃:「じゃあさ。とりあえず今日は他の獲物で許してやらない?」
穂村 姫乃:「どーせ明日も来れるんだし」
日下部ルリカ:「……むむ。そうするかぁ」
日下部ルリカ:「何も取れないまま帰るってのは流石に、女が廃るもんね」
穂村 姫乃:「そうそう。例えば手近なとこでこれとか」
穂村 姫乃:そう言ってクッションの横の筐体を差す。中身は同じシリーズらしいうさぎのストラップ。
穂村 姫乃:表情違いのうさぎたちが山のように積まれている。
日下部ルリカ:「お、かわいい」
日下部ルリカ:「じゃあ、そいつをセットで貰っていこうか。私と姫乃ちゃんでお揃いにしよ」
日下部ルリカ:そう意気込むと、財布からもう一枚の500円玉を取り出した。

GM:---
GM:緑坂市 繁華街 バーガーショップ
GM:---
GM:映画館を出た君達は、すぐ近くのファストフード店に立ち寄った。
日下部ルリカ:「ふぃ~、お疲れお疲れ。すごかったねぇ」
日下部ルリカ:メニューにある中で一番高い値のついた期間限定のハンバーガーを頼んで、もそもそと食べている。
穂村 姫乃:「あんなド派手なもんなんだね、映画」
穂村 姫乃:ダブルチーズバーガーのセットに期間限定のシェイクとパイ、おまけにナゲットまで並べている。
日下部ルリカ:「ね。普通の人間が殴り合ってるのとか、あんな派手に見せれるもんなんだなあ」
日下部ルリカ:「かなり感心しちゃったよ」
日下部ルリカ:「あと、主役の親友役の人がイケメンだった」
穂村 姫乃:「分かる。主役食ってたとこあったよね」
穂村 姫乃:「でも私はあっち派だな。敵の幹部の金髪君」
日下部ルリカ:「あ~、あいつも確かに顔良かったよね」
穂村 姫乃:「でしょ。もうちょい出番欲しかったな……」
日下部ルリカ:「でもナンパ癖あるのはそれだけでちょっと萎えちゃうんだよな、私」
穂村 姫乃:「あぁー。ルリカがそうなの、なんか納得がある」
穂村 姫乃:「でも良くない?ナンパだって機会の一種だよ」
日下部ルリカ:「ううーん、そうかもしれないけど……」
穂村 姫乃:「こっちから行かなくても向こうから声かけてくれるって点だけでも評価出来るじゃん」
穂村 姫乃:「あの手のキャラ、たまに何をどうすれば恋路まで進展すんのみたいなの居るし」
日下部ルリカ:「そういうもんかなあ……?正直、恋愛とかしたことないし分かんないや」
日下部ルリカ:「ただ、もしやるなら友達からがいいかなーっていうか」
日下部ルリカ:「ナンパだと最初からいかにも『男と女!』って距離感になるのが、ちょっとなーって」
穂村 姫乃:「なるほどねぇ。ルリカを狙うならまずはお友達からってことか」
穂村 姫乃:「いずれ役に立つかもしれないし覚えとこ」
日下部ルリカ:「何に役立てるんだよ~」けらけらと笑いながらポテトをつまんで。
日下部ルリカ:「ね、今度だけどさ」
穂村 姫乃:「ん?」 ずず、とシェイクを飲み干す。
日下部ルリカ:「私、電車に乗ってみたいんだよね。ほら」
日下部ルリカ:「あの、駅から出てる"はずの"やつ」
日下部ルリカ:じっと君を見ている。口元は弧を描いたままだが、目がどこか笑っていない。
穂村 姫乃:「ああ、アレか」
穂村 姫乃:まだ目にしたことは無いはずのそれを思い浮かべて。
穂村 姫乃:「良いんじゃない?遠出とかもしてみたいしさ」
日下部ルリカ:「だよね。私も、気になるもん」
日下部ルリカ:「この街の外が、どうなってるのかとか」
穂村 姫乃:「例えば……」
穂村 姫乃:そう言いかけて、具体例が何も出てこなくなる。
穂村 姫乃:(……あれ)
穂村 姫乃:閉鎖空間で育ったせいか、この街以外の光景を何も思い浮かべられない。
穂村 姫乃:「……パッと出てこないけどさ。でも、きっと楽しいし」
穂村 姫乃:だから例は諦めて言葉を継ぐ。
日下部ルリカ:「……うん」何かを察したように頷きながら。
日下部ルリカ:「いつか、行けるといいよね」
日下部ルリカ:「ちょっと、この間できた友達がさ」
日下部ルリカ:「街の外の事に詳しいみたいだったから、気になるなーって思ったんだ」
日下部ルリカ:いろいろ聞ける前に別れちゃったんだけどね、とぼやきながら。
穂村 姫乃:「へーえ。良い友達だね」
穂村 姫乃:「私らだけだと不慣れだろうし、その子に案内とか頼んでも良いかもね」
日下部ルリカ:「あー、そうだね……今度、紹介しよっか」
日下部ルリカ:「ちょっと事情があって、すぐには無理かもしれないんだけど」
日下部ルリカ:「……会わせてあげるよ。必ずね」
穂村 姫乃:「そっか。まあいつでも良いよ」
穂村 姫乃:「これからは、いくらでも自由に時間を使えるんだしね」
穂村 姫乃:そう笑いながらパイの最後の一口を飲み込んだ。
日下部ルリカ:「……そうだね」何かを誤魔化すように、微笑んで
日下部ルリカ:うさぎのストラップをぎゅっと握ると、大切そうに胸ポケットに仕舞った。


GM:シーンカット。ロイスのみ可能です
穂村 姫乃:ルリカにはもう取ってるから感情だけ変えとこ
穂村 姫乃:〇友情/悔しいで!以上

◆Opening03':永良ゆづり◆

GM:永良さんのみ登場です。登場侵蝕はありません。
GM:永良ゆづりの?????を1増加 (5 → 6)


GM:---
GM:緑坂市 住宅街地区
GM:---
GM:"天馬"セルは"アモーガ"から収奪した資金を元にアパートやマンションの不動産を幾つか購入していた。
GM:半分は組織として恒常的な収入を得る為であり、後の半分は君らのような構成員を住まわせる為だ。
GM:実験体時代にも、君は上位ランカーとして比較的良い私室を与えられていたものの、マンションの1LDKでの暮らしは比較にならないほど快適だろう。
GM:数少ない不便と言えば、食事の用意を自分でする必要がある事だったが。それも、食事の味だけで十分に釣りがくるような話だ。
GM:そういう訳で、少し近場のコンビニにでも食糧を調達しに出かけた折の事だった。
GM:真夏日である。
GM:眩しい陽射しがアスファルトに照り返し、籠った熱気を帯びている。
GM:そこに、やたらと元気のいい女の声が響いた。
桜崎ニア:「こちらっ、新装開店でーす!クーポン付いてますのでよろしければどうぞ!」
桜崎ニア:表通りへと続く交差点のあたりで、黒いワンピースの給仕服に身を包んだ少女がビラを配っていた。
桜崎ニア:「って、ゆづりちゃんじゃん!」
桜崎ニア:やや遠目に君に気づくや、すたすたと駆け寄ってくる。
桜崎ニア:よりも少し背の高いその少女は、君のよく知っている人相だ。

GM:ここで既知情報の公開。

・情報公開「桜崎ニアについて」
バース04”サタニアン・ガーデン”桜崎ニア。ランキング4位。
朗らかで親しみやすい年長の少女。気立てがよく、誰とでもすぐに打ち解ける。一方で戦闘時には笑みが消え、一切の容赦がなくなる。
領域の特質は植物支配。自身の因子を種子としてレネゲイド汚染された樹木を生育し、毒撃や拘束を交えた狡猾な戦術を得意とする。3位以上のランカーと比較すると戦闘力に関しては一段落ち、4位以上に上がれた事はない。

永良ゆづり:「……こんな暑い日に元気ね」汗を拭いつつ、一歩遠ざかりながら。
桜崎ニア:「やー、そりゃ暑いよ?でも、声出さなきゃわざわざ暑い中出てきてやってる意味ないもの」
桜崎ニア:「おかげで、この通り。ビラもほとんど配り終えたとこだし」
桜崎ニア:言いながら、あと数枚になったビラを無造作にハンドバッグに突っ込んで。
永良ゆづり:「ふぅん。なんかバイトでも始めたの?」
桜崎ニア:「バイト……まあ、バイトのようなもんではあるかな?身内のだけど」
桜崎ニア:「ていうか、ちょうどいいや。ゆづりちゃんさ」
桜崎ニア:「やっぱ今日、暑いでしょ。喉乾いてない?」
永良ゆづり:「身内。じゃあ、セルの誰か……うん?」
桜崎ニア:「誰かっていうか、マコトのだよ。まだ準備中だけどねえ」
永良ゆづり:「あぁ、"マーシャル・ヘイヴン"。確かに、そういうタイプだったけども……」
永良ゆづり:「そりゃあ乾いてる。だから、飲み物とか買いに行こうと思ってて」
桜崎ニア:「そしたら、おいでおいで。ご馳走したげるから」
桜崎ニア:そう言うと、当然君が付いてきてくれるという確信を持った足取りで、すたすたと先を歩いていく。
永良ゆづり:「……まだ、行くって言ったわけじゃないけど」
桜崎ニア:「えっ」
桜崎ニア:立ち止まり、振り返る。
桜崎ニア:「別に、あれだよ?お金とか取らないし……」
永良ゆづり:「そりゃまぁ。御馳走ってことならねぇ」
永良ゆづり:「……ま、別にいいよ。やることないし」
桜崎ニア:「あ、やった」ぐっとガッツポーズ。
永良ゆづり:彼女に追随しようと歩き始める。
永良ゆづり:「断ったってかなり食い下がるでしょう」
桜崎ニア:「そんなこと……あるかも」
桜崎ニア:「もしかして、迷惑?こういうの」
永良ゆづり:「…………別に」目深に帽子を被り直し、小声で呟く。
永良ゆづり:彼女の世話焼きとしてのしつこさは、実験体時代からよく知っている。素直に従った方が楽だということも。
桜崎ニア:「ん、そっか」少し嬉しそうに応じてから。
桜崎ニア:「……あ、でも」
桜崎ニア:「先にほんとのこと全部話さないと、怒られるやつの気がしてきた。かも」
永良ゆづり:「……何、いきなり」
永良ゆづり:「ホットしか飲み物ないとかならすぐ帰るけど」
桜崎ニア:「いや……大したことじゃないんだけどね?」
桜崎ニア:「その、練習の時に作りすぎたアイスが……いっぱいあって」
桜崎ニア:「食べるの手伝ってほしかったっていう……」
永良ゆづり:「なるほど、その残飯処理ってワケか」
桜崎ニア:「の、残り物じゃないよ?ちゃんと美味しく作れてるし……!」
桜崎ニア:そんな会話をしながら、坂道を登った先にある「準備中」の札がかけられた喫茶店へと入っていく。
永良ゆづり:「まぁ、いいよ。この真夏日にぴったりだしね」
永良ゆづり:「どうせ付き合うなら、当分食べなくても済むくらいまで食べるからね」
桜崎ニア:「へへ、頼りにしちゃお」
桜崎ニア:笑って言いながら、君を適当な席へと案内する。
桜崎ニア:明るい木材の床に、白系の壁紙で整えた内装の店だ。
桜崎ニア:「"天馬"の拠点とかも、少しずつこっちに移してるみたいよ。地下室あるしね」
桜崎ニア:バックヤードに姿を消しながら、君に聞こえるくらいの声で話す。
永良ゆづり:「近場に食事処があるのは利点ね。作るのめんどくさい時、結構あるし」
桜崎ニア:「ずっと、あいつらの使ってた拠点を使ってるのも……なんか気分良くないでしょ?って」
永良ゆづり:店内のクーラーが齎す冷気を心地よく享受する。極楽。
永良ゆづり:「それはそう」
桜崎ニア:「はい、っと」
桜崎ニア:君の目の前。オレンジジュースの注がれたグラスと、銀製の器にどっかりと盛られたバニラアイスを置いた。
永良ゆづり:「うわ、でっか」
桜崎ニア:「ふふ。ところが、まだまだあるのよ」
永良ゆづり:「それ自慢するとこ?」
永良ゆづり:ずずず、とジュースをグラス半分ほど飲み干す。喉の潤い確保。
桜崎ニア:「う……私の管理が甘かったせいですが……」
永良ゆづり:「分かってるならよろしい。じゃあ、食べてみていい?」
桜崎ニア:「どうぞ、どうぞ」
永良ゆづり:ぱくりと一口。ほどよい甘さと冷たさが心地よく舌の上に広がる。
永良ゆづり:「ん。お店の味」
桜崎ニア:「へへ、そうでしょ?」得意げに笑いながら、自分の分のグラスを手に向かいの席に座る。
永良ゆづり:「ええ。来て正解だった」ぱくぱくと食べ進めていく。
桜崎ニア:「おかわりも沢山あるからねえ」
永良ゆづり:「ありがと」
桜崎ニア:こちらも喉が渇いていたのだろう、ジュースを半分くらいまで一気に飲み干す。
桜崎ニア:「ふふ……私はもうさっき、行けるだけ詰め込んだとこだから。多分いま、お腹がバニラ味になってる」
永良ゆづり:「太りそう」
桜崎ニア:「まあ……私はほら、そういう余分なあれは」
桜崎ニア:「適当な植物さん達に吸わせちゃうから」
永良ゆづり:「便利なこって。私もよくそいつ等に抉られた記憶ある」
桜崎ニア:「あはは、もうしないから許してって」
桜崎ニア:「……まあでも、太る心配なんてのも贅沢な話よね」
桜崎ニア:「あっちじゃ食事量とか全部管理されてたしなあ」
永良ゆづり:「……そうね」からん、とスプーンを落とす。一皿のバニラアイスは既に胃の中へ。
桜崎ニア:「お、流石。……どうする?もう一杯いく?」
永良ゆづり:「戦闘に支障が出るのを避けたかったのでしょうけど……ええ、お願い」
桜崎ニア:「味に飽きたら、はちみつとかナッツとかもあるよ」
永良ゆづり:「助かる。そうね……じゃあはちみつで」
桜崎ニア:「はいはーい」バックヤードの冷凍庫から、先程よりも少し控えめに盛ったアイスを運んでくる。
桜崎ニア:「ほら、はちみつね。どうぞどうぞ」
桜崎ニア:トッピングも一緒に持ってきていたらしい。チューブに入ったものを手渡す。
永良ゆづり:「……楽しそうね」一連の動作を、しずしずと眺めながら。
桜崎ニア:「え?まあ……」
桜崎ニア:「そりゃね。楽しくなきゃ、自分からやってないよ」
永良ゆづり:「そらそう。貴女にはお似合いだと思うよ」
桜崎ニア:「へへ。まあ……正確に言うと、ちょっとだけ違うんだけどね」
永良ゆづり:気持ち多めに蜂蜜を垂らして一口。独特な甘ったるさが口内に染み渡る。
永良ゆづり:「うん?」
桜崎ニア:「や、私のやりたいこと。ウェイトレスの仕事が、っていうよりは……」
桜崎ニア:「マコトの夢を手伝うこと、って感じ」
桜崎ニア:「……その、今の所はね。今の所」ちょっと照れたように付け足す。
永良ゆづり:「……え、何?貴方達そういうことになってんの?」
桜崎ニア:「そういう……?あ」首を傾げて。
桜崎ニア:「 いやいや、そういうんじゃないから。違う違う」
桜崎ニア:ぶんぶんと手を振って否定する。
桜崎ニア:「そういう……そういう方面のあれは、全然思わないし……」
桜崎ニア:「いや、全然ってのもなんか失礼だけど……」
永良ゆづり:「そ……確かに。人の夢を手伝うなんて、如何にも貴女がやりそうなことだし」
永良ゆづり:心なしか、ちょっと残念そうな様子で。アイスを大きめに掬ってほおばる。
桜崎ニア:「とにかく、そういうのじゃなくってさ……うん」
桜崎ニア:「なんていうか……ほら」
桜崎ニア:「あいつ、ずっと一番だったでしょ。ランキング」
桜崎ニア:「私や他の奴らだって、どうせあいつには勝てないって思ってたし」
桜崎ニア:「実際、それくらいの差があったと思うし」
永良ゆづり:「ええ。清々しいくらいに圧倒的だった」
永良ゆづり:「だからこそクーデターを先導するに相応しい人だったけども」
桜崎ニア:「……だったら別に、ほっといても自分が処分対象になることはないんだし」
桜崎ニア:「そもそも……あんな世界で育って、周りのやつと仲良くする必要だって、別になかったし」
永良ゆづり:「そう宣う割には、昔からやたらしつこかったじゃない」
桜崎ニア:「しつこかった?」
永良ゆづり:「ええ、それはもう」
桜崎ニア:「……あっ、私の事か」少し遅れて気づく。
桜崎ニア:「私のはさ、その……ちょっと違うんだ。不純、っていうか」
桜崎ニア:「あんな世界に生きてて、擦れていく自分がイヤだったから」
永良ゆづり:「……へぇ」
桜崎ニア:「できる限り、周りに『優しく』したいって思ってた」
桜崎ニア:「誰かってよりは、きっと、自分のために。自分が、ちゃんと……」
桜崎ニア:「兵器とかじゃなくて、『人間』でいられるように」
永良ゆづり:「ちゃんと志に根差したお節介だったのね。ちょっと意外」
桜崎ニア:「志……まあ、そういう言い方もできるかもだけど」
桜崎ニア:どこか納得しない様子で、ちゅるるとグラスの残りを飲み干して。
永良ゆづり:「いいじゃない。正直、今ので結構ポイント上がったわよ」
桜崎ニア:「それは……嬉しい、けども」
桜崎ニア:くるくると長い髪を指で弄びつつ。
永良ゆづり:「自分が心地よく生きる為に、私達を利用してたってことでしょ?」
桜崎ニア:「まあ、そうだよ……だからさ」
桜崎ニア:「やっぱり……あいつの方が、『本物』だって思ったんだよね。私は」
桜崎ニア:「私をクーデターに誘った時」
桜崎ニア:「『全員救う』って言ったんだ。それで、ほんとにやって見せた」
永良ゆづり:「ええ、大したものよね」
桜崎ニア:「……そもそもさ。私達が、まともに口を利いたり出来てたのも、あいつの態度のおかげだったんだよ」
桜崎ニア:「一番強くて、誰も文句の言えない奴が、そういう態度でいたから」
桜崎ニア:「……そうでなきゃ、私達。普通に話すことだってできてなかった気がする」
永良ゆづり:「…………」
桜崎ニア:「まあ……要するに、憧れたんだよな」ぐ、と両手で伸びをしながら。
桜崎ニア:「……本物になりたかったんだ」
永良ゆづり:「本物」
桜崎ニア:「自分の為に、そういうのを演じてるんじゃなくて」
桜崎ニア:「自然に生きてるだけで……あいつみたいに、誰かの希望になって」
桜崎ニア:「本当の意味で、仲間を救うことのできるような人間にさ」
桜崎ニア:「私のやってたことなんて、小手先のお節介だったもの」
永良ゆづり:「……私からすれば」
永良ゆづり:「心の底からの善意も、自身を取り繕う偽善も同じに見えるけどね」
桜崎ニア:「……そうなのかなあ」
永良ゆづり:「だって、どちらも見返りが自己完結しているから」
桜崎ニア:「……」
永良ゆづり:「他人からは想像以上に内面が見えないもの。私が貴方に対してそうだった様に」
桜崎ニア:「それは……そう、だよね」
永良ゆづり:「だから、貴女のお節介は」
永良ゆづり:「……決して、悪いものではなかった」
桜崎ニア:「……!へへ」
桜崎ニア:綻んだ表情を見せて。
永良ゆづり:「んん……やっぱり、貴女といると調子狂うわ」
桜崎ニア:「そりゃ、嬉しいな。とっても」
永良ゆづり:入店した際に外していた帽子を、目元を隠すために再び被り直す。
桜崎ニア:「なーに、照れちゃってさ。屋内で帽子とか必要ないでしょ~?」
桜崎ニア:笑いながらつんつんと帽子のつばを突く。
永良ゆづり:「や、やめて」払いのける様に手を振る。
桜崎ニア:「あは、ごめんごめん。アイスのおかわり、いる?」
永良ゆづり:「……ええ。追加お願い」二皿めもいつの間にか完食済み。
桜崎ニア:「はあい、よろこんでっ」軽い足取りでバックヤードへと向かう。
永良ゆづり:その様子を遠巻きから眺めつつ、向こうに悟られないように。
永良ゆづり:少しだけ、口元をほころばせて。
永良ゆづり:──ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
永良ゆづり:口直しも兼ねて、窄めるように咥えこんで。
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:少しだけ逡巡し、そのまま嚙み砕いた。

桜崎ニア:(……でも、やっぱり、私はさ)
桜崎ニア:(みんなをあそこから逃がす事なんて、自分一人じゃ全然考えなかったんだ)
桜崎ニア:(本当に、同じなのかな)
桜崎ニア:(もしも、いつかまた……)
桜崎ニア:(みんなの日常を、壊すような脅威がやって来たら)
桜■■■:あるいは、全て壊れてしまった後には。
桜崎ニア:(私に、何ができるんだろうか)


GM:シーンカット。ロイスのみ可能です。
永良ゆづり:"サンディーヴァ"にはロイス取ってるんだよね。どうしようかな
GM:別人として取得してもいいですよ もちろん取らなくてもいいけど
永良ゆづり:んん……
GM:一応シナリオロイスではあるけど データ上同じキャラとして扱う感じでやりたいならそれでも良い感じ
永良ゆづり:したらば、"サンディーヴァ"を上書きしよう
永良ゆづり:桜崎ニア/○信頼/隔意 で。
GM:なるほど、OKです~
永良ゆづり:あ、やっぱ信頼→連帯感で
GM:あ、了解~

◆Opening04':久遠仁◆

GM:全員登場です。登場侵蝕はありません。
GM:久遠仁の?????を1増加 (5 → 6)
GM:永良ゆづりの?????を1増加 (6 → 7)
GM:穂村 姫乃の?????を1増加 (6 → 7)
GM:亜藤 蘭介の?????を1増加 (6 → 7)


GM:---
GM:カフェ・エニフB1F "天馬"セル拠点 事務室
GM:---
GM:"アモーガ"は性質上、それなりに他セルや犯罪組織との繋がりも多いセルだった。
GM:それらはあくまでもビジネスとしての関係であり、情による報復のような事態が発生する事はなかったが。
GM:実際に設立直後の"天馬"セルに仕掛けてきたのはむしろ、"アモーガ"の遺産を目当てにした連中だった。
GM:中でも直接的な武力を以て仕掛けてくる連中の制圧と、彼らに先んじてそれらを回収しきること。
GM:それら"天馬"セルの最初の課題は、最初の一ヶ月で実質的には完了した。
GM:ここ数週間手をかけていたのは、表社会における情報の整理と修復……
GM:要するに、UGNに余計な目をつけられるリスクを下げるための作業だった。……どれほど効果があるのかは定かでないが。
天城マコト:「……ああ、あと少し」
天城マコト:デスクトップのPCに向き合っていた茶髪の少年が、伸びをしながら言う。
天城マコト:「こっちの申請が受理されれば、殆ど終わり……のはずだ」
天城マコト:カタン、とキーを叩いて。どこかくたびれた声。

GM:例によって情報公開をします。

・情報公開「天城マコトについて」
バース01”マーシャル・ヘイヴン”天城マコト。ランキング1位。
穏やかだが、どこか堅苦しい喋りをする少年。名実ともにバース・シリーズにおける最強のオーヴァードであり、"天馬"セルのセルリーダー。事前の根回しによって"バース"実験体の半数以上を説得し、クーデターを成功に導いた立役者。
領域の特質は結合支配。自身の展開する領域に触れたものを自在に融解させる。副産物として白色の発火放熱現象が伴う。

久遠仁:「セル運営ってのも、色々と苦労が多いもんなんだなぁ」
久遠仁:どこか感心したような声。パーカーにジーンズのラフな私服だが、厳めしい騎士のようなマスクはそのままだ。
久遠仁:「すまんな、あまり助けになれなくて」
天城マコト:「ああ。まあ、分かっていた事ではあるんだが……」キーを叩きながら喋っている。
天城マコト:「何、俺とて詳しかった訳じゃない。頭脳労働は他の仲間に頼りっきりだ」
天城マコト:「ここに残ったのは、頭脳労働というより……ただ手のかかる作業だとも」
天城マコト:「手順も殆どまとめてもらったしな。どうも……権利の関係上、俺が直接やった方がいい事が多いらしくてな」
久遠仁:「なに、人の手を借りられるのも、ひとつの大事な技能さ」
久遠仁:「あんたは立派だよ、天城。歴史上、革命家がそのまま良い為政者になることなんてのはそうそう無いが……」
久遠仁:「あんたは、しっかりやり遂げてる。もっと誇っていいことだぜ」
天城マコト:「はは……その言葉は嬉しいが」
天城マコト:「誇るとか、そういうのは苦手なんだ。どうにも……その」
天城マコト:「嫌われそうな気がしてな」
天城マコト:いたって真面目くさった顔で言う。
久遠仁:「……嫌われる?おいおい、そいつは……」
久遠仁:「……ハハハッ!そんな謙虚な気概があれば、無用な心配だとも」
久遠仁:「皆あんたに感謝してるんだ、天城。少しは息を抜いてもいいんじゃないか」
天城マコト:「そうか?まあ……こう見えて、実は臆病だからな。俺は」
天城マコト:「どん責め苦よりも、仲間だと思ってたやつに嫌われることが一番キツい」
天城マコト:「むむ……これでも、それなりに好き勝手しているつもりなんだがな」
久遠仁:「ふむ……そんなに不安かい」
天城マコト:「こんな店を開きたいと言ったのも、俺の個人的な希望だ」指で天井を指し示す。
天城マコト:「不安……という程でもないが」
天城マコト:「現状が上手く行き過ぎているきらいはあるからな」
久遠仁:「そうさなあ……」
天城マコト:「"天馬"自体……良くも悪くも、緩い統率の組織だ。時間が経てば、去っていく者も出るだろう」
天城マコト:「祝福できる出立であればいいが……まあ、そうでなければその時だ」
天城マコト:「……お前こそ、どうなんだ。久遠」
天城マコト:「随分、こっちの仕事を手伝ってもらっている気がするが」
久遠仁:表情の読み取れない兜を天城に向ける。
久遠仁:「うん?俺かい」
久遠仁:「そうさな、俺は皆が元気で居られりゃあ、それでいいと思ってたんだがな」
久遠仁:「そいつは、あんたに叶えてもらっちまったからな」
久遠仁:「これからどうするべきか、悩んでるのさ。ハハハ」
天城マコト:「何を。お前だって、一緒に戦っただろうに」
天城マコト:「叶えてもらった、はないだろう。一緒に叶えた、と言ってくれ」
天城マコト:「でなければ、俺が寂しい」
久遠仁:「嬉しいね。ありがたい言葉だとも。誇りになるよ」
天城マコト:「うむ。まあ……前向きに考えて悩んでるのなら、それはいい事だ」
久遠仁:「ああ。田舎で米でも作ろうかと思ってるんだが、どうかね」
天城マコト:「本気かい?そうだったら、うちの店に仕入れることも考えたいもんだが」
天城マコト:「……正直な事を言うとだな。俺は」
天城マコト:キーを叩いていた手を止めて、少し重い声音になって。
天城マコト:「今のような"天馬"セルという形は、長く持って五年じゃないかと思っている」
天城マコト:「FHのセルなんてのは、どう上手くやったってそんなものだ。客観的な事実としてな」
天城マコト:「無論、今がずっと続くなら、それに越した話はないが……」
久遠仁:「ほう……」少し首を傾げて。「成程、あんたらしい現実的な見方だ」
久遠仁:「そいつを、どう思うんだい?仮にそうなったら、あんたはどうする?」
天城マコト:「内緒だぞ。流石に、あまり大っぴらに皆の前で言えることじゃない」
天城マコト:「そういう訳だから……それまでに、皆に自分の生きる道を見つけてほしいと思ってる」
天城マコト:「できれば、戦う必要のない方向で……というのは、俺の個人的な願いだがね」
久遠仁:「あんたの場合……それがここってわけかい」軽く天井を見上げる。
天城マコト:「悪くないだろ?」
久遠仁:「ああ。俺はこういうセンスにはどうも疎いが……居心地の良さそうな店だとも」
天城マコト:「それに、新しい当座の拠点も欲しかった所だしな」
天城マコト:「あのビルをいつまでも使ってたんじゃ、どうも辛気臭い」
久遠仁:「俺も、あんたの意見には概ね同意だ」
久遠仁:「だがな……天城、一ついいかい」
天城マコト:「ん。何かな」
久遠仁:「さっきの不安の話に戻るようだが……あんたはもう少し、皆を信じてもいいんじゃあないかと思うぜ」
久遠仁:「なまじ何でも出来ちまうから、自分で何とかしようとしたくなるのもわかるが……」
久遠仁:「しかし、もう少し気を抜いてもいいと思うんだ」
久遠仁:「さっきも言ったろ、人の手を借りられるのはひとつの技能だ。それは、そいつを信じて仕事を任せてるってことだからな」
天城マコト:「……」ふむ、とまばたきをして。
久遠仁:「あんたはもう、その入り口に立ってるはずなのさ」
久遠仁:「そう何でも心配してばかりじゃあ、疲れちまうだろ。あんたも、皆もさ」
久遠仁:「少しは、皆を信じて任せてみても、いいんじゃあないか」
久遠仁:「息が詰まるのは、俺だけで十分だとも」
久遠仁:兜を軽く叩いて、冗談めかして笑う。
天城マコト:「……ああ。そうだな……いや、最後の一言は承服しかねるが」
天城マコト:「お前の言ったように、ずっと皆の手を借りてる……あのクーデターの時から、ずっとだ」
天城マコト:「その事はよく自覚してるし、そこまで自信家じゃないつもり……だったんだが」
天城マコト:「言われてみれば確かに、お前の言う通りだ。色々と……一人で考えすぎていたかもしれない」
天城マコト:「次からは……考えに困ったら、もっと他人を頼らせてもらう事にするよ。君とか、ニアとか」
久遠仁:「そんなに真面目に反省しなくたっていいんだが」笑って
久遠仁:「その固ささえどうにかすりゃあ、もっと親しみやすくなるんだがな。ハハッ」
天城マコト:「な……すると、他にどうしろと言うんだい」
久遠仁:「まあ、俺なんかで良ければ、いつでも呼んでくれよ」
久遠仁:「俺もあんたには感謝してるからな。少しは力になりたいのさ」
天城マコト:「……ああ。覚えておこう」
天城マコト: 「……っと、よし」モニターの何らかを確認して、ぱんと手を叩く。「終わりだ」
天城マコト:立ち上がって、ぐっと伸びをする。
久遠仁:「おう、お疲れ様だな」
天城マコト:「中々……戦いとは別種のキツさがあるな。普通の人間も大概、こういう苦労をしているのか……」
天城マコト:「いや、こちらこそ。手伝ってくれて助かったさ」
久遠仁:「缶で良ければ、それ、飲んでくれ」
久遠仁:伸びをするまでは無かったはずの缶コーヒーが、いつの間にか天城の目の前、机上に置かれている。
天城マコト:「おっ……ありがとう」
天城マコト:「……先を越されたな。こっちが飲み物でも出そうと言いかかった所だったんだが……」
天城マコト:缶のトップを開けながら、ふふと笑って。
久遠仁:「日下部なんかには、使い走りに丁度いい能力なんて言われたよ」肩を竦める。
天城マコト:「……なるほど。人の力を上手く借りるにも、技量が必要というわけだ」
天城マコト:やはりな、と真面目くさった顔で頷く。
久遠仁:「まだまだ親しみやすさには遠そうだな……」
天城マコト:「むむ……そちらもまた技量か」
天城マコト:言いながら、缶のコーヒーを飲み干して。
天城マコト:「……さて、そろそろ良い時間だな。こっちの仕事も片付いた事だし」
天城マコト:立ち上がり、時計を見上げながら。
久遠仁:「皆来る頃か。出迎えが居ないとな」
GM:今晩は天城が開くとなったこの喫茶店の開店祝いとして、メンバー達を招いて祝賀会をする事になっていた。
GM:時刻はもうそろそろ、日も暮れる頃合いだ。
天城マコト:「ああ。それに……ある程度の仕込みは、昨夜のうちに済ませているとはいえ」
天城マコト:「支度をニア達にばかり任せきりでは、この店を開いた意味がない」
天城マコト:そう言って、地上へと続く階段に足をかける。
天城マコト:「コーヒーの返礼だ。好きなドリンクを用意しよう」
天城マコト:空になった缶を振って見せながら、笑って言う。
久遠仁:「それじゃ、緑茶でも貰おうかな」
久遠仁:ゆっくりと立ち上がり、天城の後に続いた。

GM:一階に出てみれば、既に店内の座席には料理が並べられ始めている所だった。
GM:気が早い何人かは既に席について、談笑を始めている。
桜崎ニア:「おっ、二人ともお疲れ~」
桜崎ニア:バックヤードで大皿にサラダを盛り付けていた少女が、君たちを振り返る。
久遠仁:「おや、出遅れたかな」
桜崎ニア:「や、まだまだ始まってないよ。仁さんは好きなとこかけちゃって」
桜崎ニア:「マコトはドリンクのオーダー取って回ってくれない?料理の方はなんとかなりそうだからさ」
久遠仁:「ふむ。却って邪魔になりそうだ。お言葉に甘えるとするよ」
天城マコト:「ああ、任された」エプロンを身に着けながら応答する。
久遠仁:「ハハハ、なかなか様になってるじゃないか、天城」
天城マコト:「はは、そうかい?嬉しいね」
天城マコト:「さて、緑茶だったな。無論邪魔だから、という訳じゃないが……席で待っていてくれ」
天城マコト:「客らしくしてくれた方が、俺もやり甲斐がある」
久遠仁:「ああ、それじゃあお願いしよう」カウンターに腰掛けて、何とは無しに店内を眺める。
永良ゆづり:──からん、と来客を示すベルの音と共に店の扉が開く。
永良ゆづり:「……見知った顔がここまで揃ってるのは久々ね」
穂村 姫乃:「確かに~。天城とかめっちゃ久しぶりじゃない?最近籠りきりだったし」
穂村 姫乃:その後ろからひょいっと顔を覗かせる。
亜藤 蘭介:「何日ぶりだっけか。……おっ美味そう」続いて店内へと。テーブルの上の料理に目を凝らしながら。
久遠仁:「おお、何だか珍しい取り合わせじゃないか」
永良ゆづり:「偶然そこで一緒になってね」
天城マコト:「やあ、いらっしゃいませ……」
天城マコト:「……どうも、身内に言うには違和感があるな。この言葉」一人で呟いて首を傾げながら。
亜藤 蘭介:「ははっ。けど似合ってるぜ、その姿も」
永良ゆづり:「ああ、お勤めご苦労様。”マーシャル・ヘイヴン”」
天城マコト:「ああ……仕事についちゃ、少し立て込んでいたが。先程無事片付いた所だよ」
穂村 姫乃:「挨拶はお帰りとかで良いんじゃん?こっちもお邪魔しますって言いたくないしさ」
天城マコト:「ふむ……それもそうだな。俺としても、ここは皆にとっての帰る場所にしたい」
穂村 姫乃:そのまま真っ先に席について。 「私アイスココア一つ!」
永良ゆづり:「こんな時くらい、ゆっくりすればいいのにね。オレンジジュース」その隣に座る。
久遠仁:「ついさっき似たような説教をしたところでね。勘弁してやってくれ」永良の言葉に笑う
天城マコト:「オレンジとアイスココアだな。蘭介はどうだ?」
亜藤 蘭介:「コー……いや、アイスコーヒー。ブラックで」
天城マコト:「アイスコーヒーだな、承った。少し待っていてくれ」そう言って、別のテーブルにも注文を取りに向かう。
永良ゆづり:「貴方のお人好しも似たようなもんでしょ。きっと手伝いとかしてたんじゃない?」
久遠仁:「なに、俺はそう大したことはしてないさ…… 皆元気そうだなぁ。何よりだ」
亜藤 蘭介:「久遠も相変わらず……」
亜藤 蘭介:「元気だよな? 分からねえよ。相変わらず」
亜藤 蘭介:じっと兜を見ている。
久遠仁:「ハッハッハ!元気、元気だとも」
永良ゆづり:「暑苦しい。見ているこっちが」
久遠仁:「そいつはすまんとしか言えんなあ」
穂村 姫乃:「まあほら、久遠はいつも声が元気だし」
穂村 姫乃:「元気が無くなったら喋りで分かるでしょ」
亜藤 蘭介:「まあ、確かに……聞いたことないから、何とも言えないが……」
亜藤 蘭介:「想像出来るか? 鬱になったこいつ」
永良ゆづり:「難しいわね……」
久遠仁:「おいおい、人を底抜けの陽気莫迦みたいに……」
穂村 姫乃:「違うの?」
永良ゆづり:「かくいう貴女達も息災そうね、何より」
穂村 姫乃:「ふふん。私も元気がデフォですので」
久遠仁:「それこそ、穂村が落ち込んでいる姿も想像できんなあ」
亜藤 蘭介:「あー。分かるな……」
永良ゆづり:「そうね。なんか、貫禄の乗った安泰さとかそういうのある」くるくると髪先を弄りながら。
穂村 姫乃:「そうでしょうそうでしょう」 満足そうにうんうんと頷いてから。
穂村 姫乃:「でも安泰って言ったらゆづりもじゃん?フラットというかさ」
亜藤 蘭介:「永良は……なんつーか」
久遠仁:「平熱?」
亜藤 蘭介:「感じが変わった……気がするな」
永良ゆづり:「意見が分かれると逆に気になるわね……」
亜藤 蘭介:「前はもっと刺々しかったっつーか、ソフトになった?っつーか……ううん。勘違いかも」
久遠仁:「良いことじゃないか」
永良ゆづり:「そりゃあ、刺す相手じゃなくなったから……」
永良ゆづり:「……私の事は、別にいいじゃない」
亜藤 蘭介:「物騒すぎる!……いや、事実だけどよ」
穂村 姫乃:「まあ前はね。顔合わせるのって大半手合わせのときだったし」
穂村 姫乃:「こうやって駄弁ればまた印象も変わるってもんでしょ」
永良ゆづり:「不思議なモノよね。こんな風に集えるなんて、昔は思ってもみなかった」
久遠仁:「全くだ。人生、何が起きるか分からんもんだな」
亜藤 蘭介:「今でも、思うよ」
亜藤 蘭介:「夢でも見てるんじゃねえかって」
穂村 姫乃:「ほっぺでもつねったげよっか」
亜藤 蘭介:「やめろ」
久遠仁:「ハハハ。夢だとしたら、覚めないでほしいもんだな」
穂村 姫乃:「そう遠慮せずに~」 ウリウリと頬を人差し指で付く。
亜藤 蘭介:抵抗しても無駄だということは分かりきっているので、成されるがままぐりぐりされている。
永良ゆづり:「……そう、ねぇ」
永良ゆづり:頬杖をついて、そこかしこで談笑する"天馬"セルの面々を眺める。
永良ゆづり:「都合の良すぎるくらい、良い、夢」
穂村 姫乃:「まあでも、良いんじゃない?夢だってんならさ」
穂村 姫乃:「都合が良すぎるくらいで良いよ。本当なら夢ってのも自由には見れないんだから」
穂村 姫乃:「こんなに完璧な夢が見れてるの、お得でしょ」
永良ゆづり:「言えてる」
久遠仁:「そうさなあ。まあ、こんな夢を現実にするために、天城が頑張ってくれたんだ」
久遠仁:「我らがリーダーに感謝しつつ、今日は楽しもうじゃないか」
亜藤 蘭介:「ん。違いない……」
亜藤 蘭介:「天城! 手伝うか?」店奥に向かって声を上げる。
天城マコト:「何? 大丈夫だ!」遠くから声を大きくして応じる。
GM:そんな談笑をしている間にも、少しずつ席は埋まっていって。
GM:気がつくと、予定していた開会の時間を迎えている。
天城マコト:「さて……それじゃ、乾杯の挨拶と行こうか」フロアの中央で、アイスティーのグラスを手にして。
天城マコト:「皆、今日はよく集まってくれたな」
天城マコト:「今日は奢りだ。好きなように食べて帰ってくれ。店を潰さない程度にな」
天城マコト:「……それから、今日は一つ」
天城マコト:「皆に隠していた、ある秘密を告白するんだが」
天城マコト:いたって神妙な顔で、少し言葉を溜めてから。
天城マコト:「実を言うと俺は、もう何年も前にアイスクリームを食べたことがある」
天城マコト:「ケーキとか、ドラヤキもあったな」
天城マコト:「詳しくは省略するが、まあ……要約すると、"1位"の特権というやつだ」
天城マコト:「たまに、あいつらの気紛れでそういうものを与えられることがあった」
天城マコト:「普段の……栄養を塗り固めたようなタンパク質の棒なんかと比べたら」
天城マコト:「当然、そういう食事は驚くほど美味しいと感じた」
天城マコト:「皆もこの感覚に近いものを、外に出て、初めてまともな料理を食べた時に経験しただろうと思うが」
天城マコト:「……ずっと、小さな引っ掛かりになっていたんだ」
天城マコト:「お前達を差し置いて、俺一人だけが、そういう幸福を知っていた事が」
天城マコト:「こうして言葉にすると、自分でもびっくりするほど小さな理由だが」
天城マコト:「気がついたら、こんな風にだ」
天城マコト:「自分の手で、人に美味しいものを振る舞いたいと思うようになっていた」
天城マコト:「何。人の夢なんて、得てしてそういうものなんだろう」
天城マコト:「滑稽だと思うなら、今夜の笑い草にでもしてくれればいい。……嫌味じゃないぞ?」
天城マコト:「覚えておいてくれよ」笑顔を浮かべて。「お前達が楽しそうにしてると、俺は嬉しいんだ」
天城マコト:「という訳で、だ」
天城マコト:「ひとまず、今日は祝ってくれ。お前達の好きなように、楽しいように」
天城マコト:「──乾杯!」
GM:一斉にグラスが打ち鳴らされる。そうして
GM:騒がしい声と共に、夜は更けていく。

GM:そうして、祝賀会は一通りに盛り上がったあと。
GM:少しずつ、席を立って家に帰る者たちが出てくる頃合い。
GM:君達も同じように、天城たちに挨拶を済ませて外へと出た。
GM:夏の冷たい夜空が君達を出迎える。
羽海束沙:「……ふう」少し火照った頬を、ぺしぺしと平手で触れて。
羽海束沙:「少し、はしゃぎすぎてしまったかも……もとい、食べ過ぎた気がする」
亜藤 蘭介:ぐっ、と伸びをして。「同感……」
永良ゆづり:「ええ、私も食費浮かすためにだいぶ食べてしまったけど……お店大丈夫かしらね」
穂村 姫乃:「天城も最後まで笑ってたし大丈夫でしょ。知らないけど」
永良ゆづり:「根っからの善人って話をつい先日聴いちゃったからね」
久遠仁:「楽しかったな。こんなに賑やかなのは初めてじゃないか?」
穂村 姫乃:「分かる~。なんだかんだ普段は皆結構バラバラだしね」
羽海束沙: 「どうだろ。3ヶ月前ぶり?」
亜藤 蘭介:「あの時はマジで必死だったからなあ。文字通り」
羽海束沙:「まあ、確かに。お祝いなんてしてる余裕はなかったものね」
永良ゆづり:「そうね、身も心もクタクタだった」
GM:と、その時
GM:不意に、亜藤さんの持つ端末が鳴る。
GM:何かのメッセージが届いたらしいが。
亜藤 蘭介:「ん……」バイブにしていた端末をポケットから取り出して。何となしに覗く。
GM:発信者名欄は、液晶にインクでも落ちたかのように異様な文字化けをしている。
GM:その中身も、所々が黒く汚されていて。
 :『こちらは■■■緑坂■■■、■■■の"■■"です』
 :『君達の突入から6時間が経過。これは3度目の■■通信になります』
 :『外部の状況に大きな変化は見られません。"■■■■■■■"膨張は依然として微拡大の傾向』
 :『確認できた■■■の数は12万人を越えました』
 :『加えて、■■■■の■■の構造解析の結果ですが……強い■■干渉作用がある事が判明しました』
 :『記憶■■■の■■者が関わっているだろう事を踏まえると、内部にいる人間の■■や■■を改竄されている可能性があります』
 :『■■■■■■であればある程度の耐性は期待できるでしょうが、気をつけてください』
 :『どうか、無事の■■を』
亜藤 蘭介:「何だ、これ」スワイプする指が止まる。
亜藤 蘭介:「スパムメールってやつ……?」
永良ゆづり:「どうかしたの?」
久遠仁:「どれ」肩口から覗き込む。
亜藤 蘭介:永良を始め、皆に画面を向ける。
GM:君達には、この送り主について全く心当たりはない。……ないはず、だが。
GM:これを見ているとどうにも、焦燥を掻き立てられるような感覚がある。
GM:……何か、大切なものを見落としてしまっているような。
GM:無視したくてもしきれない、大きな違和感。
永良ゆづり:「何これ、宗教的なアレ?」
永良ゆづり:「(に、しては────いや、しかし)」
穂村 姫乃:「……なんか」
穂村 姫乃:「単にスパムとか、宗教とかじゃなさそうな気、が、するような……?」
永良ゆづり:「……やっぱり、そう思う?」
久遠仁:「……」
GM:……だとしても、やがてそのまま時間が経てば、それは
GM:この世界の微睡みに、溶けて消えていく感覚であったのだろう。
久遠仁:「……オーヴァードの能力じゃあないか?これ」
久遠仁:「ブラックドッグの電子ドラッグだとか、オルクスの精神感応とか。不可能じゃないだろう」
久遠仁:「あまり見ない方がいいかもしれないな。他のセルの攻撃かもしれん」
亜藤 蘭介:「の可能性も、あるんだけど。……何だろうな」
亜藤 蘭介:「この、モヤモヤした膜みてーなのが……頭ン中を覆っている感覚……」
永良ゆづり:「ええ、その通り、なのだけど」
永良ゆづり:「……胸が騒ぐ。これを見落としては、いけないような」
永良ゆづり:「(文字化けをなんとか類推できないか。そうすれば、このメッセージの目的が)」
永良ゆづり:「(緑坂の何某に属する者が、外から内に突入する人間に対しての……)」
羽海束沙:「……一応、報告した方がいいかしら」
羽海束沙:「こうして連絡先を掴まれている事自体、一種の危機である訳だし……」
穂村 姫乃:「分かる。それにさ」
穂村 姫乃:「なんか、なんかなんだけど。攻撃って感じしないような……」
久遠仁:「攻撃じゃない……?」
久遠仁:「……じゃあ、何だい?」
穂村 姫乃:「……例えば、こう」
穂村 姫乃:「警告とか、忠告、みたいな……」
羽海束沙:「何、それ……尚更、気味が悪い話」顔を顰める。
羽海束沙:「……やっぱり、天城達に報告しましょうよ」
羽海束沙:そう言って、既に数十メートルほど離れている喫茶店の方へと踵を返そうとして。
GM:そうして話している君達の元に、近づいてくる足音がある。
GM:近くの路地の影から飛び出してきたのは、深くフードを被った小さな人影だ。
???:「……っ。本当に」
???:「本当に、来てたんだ……」
???:君達の方を見て、僅かに目を見開いたと分かる。
???:「先輩」
???:ばさり、とフードを外す。桃色の髪が印象深い、快活そうな少女だった。
久遠仁:「?」
久遠仁:ただの通りすがりだろうか。僅かにそちらに目を向けるが、然程気にはしない。
???:「……思い出せないんですね」どこか痛ましい表情で、目を伏せる。
亜藤 蘭介:「……? 久遠」
亜藤 蘭介:「あの子……お前を見て、話してるんじゃないのか?」
永良ゆづり:「……知り合い?」
久遠仁:「……?」
???:「……みなさん。あの」続く言葉に、しばし迷った様子で。
久遠仁:「先輩って……」後ろを見回して、他にそれらしき相手がいないことを確認して
久遠仁:「もしかして、俺に言ってるのかい?」
???:「……はい。そうです」小さく頷いて
???:「いえ」
???:「貴方だけじゃなくて。皆さんにお願いがあります」
穂村 姫乃:「私らに?」
???:小さな声で、君達の応答を待つでもなく。急ぐように言う。
???:「何も言わず、あたしに付いてきてほしいんです。静かに、目立たないように」
???:「そうすれば全部、わかるようになります」
???:「この街の、おかしなところ」
???:「あなた達が感じていた、違和感の正体」
???:「忘れてるもののこと、全部……」
永良ゆづり:「…………」訝しみながら少女に目を向けるが。しかし、どこか真に迫る感じを拭えない。
羽海束沙:「……何を、言って」
???:「変なことを言ってるように見えるかも、しれません……けど」
???:「……」また言葉に迷って。かぶりを振って。「これしか言えません」
???:「あたしを、信じてください」
久遠仁:「ふむ……」一同を振り向き「どうする?」
久遠仁:「罠にすれば、もっと上手いやり口があると思うが」
亜藤 蘭介:「んん……そうだな」
亜藤 蘭介:「嘘を付いていたりしているようには、見えないってことは確かだ」
穂村 姫乃:「んー……。私は久遠にお任せで」
穂村 姫乃:「知り合いっぽいの久遠だし。久遠が信用できるなら信用するでいいよ」
亜藤 蘭介:「俺は穂村に賛同」
羽海束沙:「……そうね。私も、同じ意見」
羽海束沙:「何かあっても、このメンバーなら対処できるでしょうし……」
永良ゆづり:「分からないことが立て続けね。関連性がある……かも、分からないけど」
永良ゆづり:「……そうね、皆と同じで」
???:「……」固唾を呑んで、あるいは何かに見つかることを恐れているように。君達の会話の成り行きを見守っている。
久遠仁:「おいおい、俺かい?参ったな……」
久遠仁:「そうさなあ……」
久遠仁:悩むように腕組みして、兜越し、じっと少女の顔を見据える。
???:「……」ぎゅっと唇を噛んで、その視線を受け止める。
久遠仁:「うーむ……」
久遠仁:「こんな綺麗な子、会えば忘れはせんと思うんだがなあ……」
久遠仁:「……よし」意を決したように大きく頷く。
久遠仁:「決めた。行ってみるとするよ、俺は」
久遠仁:「どうにも、嘘をついているようには見えんしな」
???:「あ……」
久遠仁:「騙されたら、その時はその時だ。ははは」
???:半ば諦めかけていたのか、僅かに驚く声を漏らして。
???:「ありがとう、ございます。それじゃあ、失礼……」
GM:……君達が、彼女の言葉に同意した。それそのものが、事の最後の鍵となる。
???:──《ワーディング》
GM:ふらり、と君達の視界が眩む。世界がひっくり返る。
GM:次の瞬間、君達が立っていたのは夜の路地裏ではなく──。


GM:シーンカット。ロイスのみ可能です。
永良ゆづり:保留。以上
亜藤 蘭介:上に同じく保留します。
穂村 姫乃:保留です。以上!
久遠仁:"マーシャル・ヘイヴン"天城マコト ○尽力/心配 で取得します。以上!
GM:OK!

◆Masterscene02:アスチルベのはな◆

GM:──君達は、夢を見る。
GM:自分ではない誰かの人生を。
GM:遠いスクリーンに映し出された、映画の中の出来事のように。

GM:ある日曜日。高級デパートのテラスデッキの光景。
GM:父母と娘の三人が、パラソルの下でジュースを飲んでいる。
:「ねえ、彩花ちゃん」母が口を開く。
 :「んー?」
:「そろそろ、欲しいものは決まった?」
:「ほら、今日は貴女のお誕生日のプレゼントを買いに来たのよ」
 :「あー、えっとねえ」
 :じゅるる、と大きな音を立てながら、娘はストローでグラスの中身を飲み干す。
 :「あたし、お花がいいな」
 :「庭でお花育てたいの」
:「ああ、そうだったわね。彩花ちゃんは、大きくなったらお花屋さんになりたいのよね」
 :「そうなのー」
:「む。そういうものを買うなら、ちゃんと責任を持ってお世話しなくてはいけないよ」そこで、黙って聴いていた父が口を挟む。
:「植物だって生き物なんだから。玩具と同じように扱う訳にはいかないんだ」諭すような口調で、娘の目を見て語りかける。
:「あら。それを言ったら、貴方だって」
:「小学生の時、アサガオの水やりを忘れて枯らしていたでしょ」
:「日記が書けなくて私に泣きついてきたの、覚えてるんだから」
 :「えー?お父さん、いけないんだー」
:「なっ、何年前の話だと……とにかく」
:「ちゃんとお世話する、って約束しなさい」
:「私のではなく、彩花のものになるんだからな」
:「ふふ、ごめんなさい。……ええ、そうよ、彩花」
:「ちゃんと毎日、忘れずにお世話してあげられる?」
 :「ん! やるよ!ちゃんとやる!」
:「……うん、良い返事だ」
:「それでは、決まりかな。生花店は1階だったか──」

GM:家路につく家族の車。その後部座席には、一鉢のアスチルベがあった。
GM:桜色の花を咲かせる多年草。
GM:娘がそれを選んだのは、母が零した何気ない一言だった。
:「綺麗よね、この明るい桜色。彩花ちゃんの髪とおんなじだわ」
GM:──まだはっきりとした物心がつく以前の、おぼつかない思い出。
GM:だけど、今は彼女の中に残るたった一つの、幸福な家族の記憶。

◆Middle03:覚醒◆

GM:全員登場です。登場侵蝕はありません。
GM:また、その他パラメータの上昇もありません。


GM:──君達が立っていたのは、どこかのデパートの屋上だ。
GM:青い空が遮るものなく広がっている。しかし、風は全く吹いていない。
GM:テラスに併設されたカフェや休憩用のベンチを歩く人々は、触れようとしても実体のない影法師だ。
GM:顔も服装も霞んだように朧気だ。凝視しようとしても、できない。データの読み込みが途中で止まっているかのように。
???:「──あっ、あの」
???:ただ一人、君達の前に立つ小さな女の子だけが鮮やかだった。
???:「ごめんなさいっ」かと思えばいきなり、狼狽えた様子で頭を下げる。
???:「その……今の、皆さんに見せるつもりはなかったんです。だけど……」
???:「他人を夢の世界に連れ込むと、どうしても『染めよう』とする動きが起きるみたいで」
???:「……申し訳ないです。なんとか止めれたので、もう害はないかと思いますが……」
久遠仁:「それじゃあ……今のは、君の?」
???:「……」俯くように頷く。
???:「あたし自身、ほとんど忘れていた記憶ですが……この力を使うと、どうも」
???:「思い出さないようにしていた部分を、優先的に喚起しようとするみたいで……」
久遠仁:「なに、別に謝ることはないさ。いい夢じゃないか」
久遠仁:「むしろ、覗いてしまって申し訳ないところだ」
???:「……そんなことは。皆さんの心に立ち入ったのは、あたしの方です」
穂村 姫乃:「立ち入ったって……え、いつ?」
???:「……そう、ですね」答えに迷う様子を見せて。
亜藤 蘭介:どこか呆けた表情で青い空を仰いだあと。
亜藤 蘭介:「さっき、この子が言っていた話と、関係あるんじゃないか?」
亜藤 蘭介:「この街の違和感とか……俺たちが、何かを忘れている……とか」
永良ゆづり:「"夢"、ね」通りすがりの朧げな人影に触れようとして、すり抜ける。
永良ゆづり:「情景やエキストラに実体や精彩がまるでない」
???:「ええ、この夢は解像度が低いです。これくらい質が低いと、今の程度の干渉で済みます」
永良ゆづり:「この子の見る夢に私達が放り込まれたか、あるいは……」
永良ゆづり:「私達が見ている夢に踏み込まれたか」
???:「"ここ"はあたしが作りました」永良さんに。
久遠仁:「それじゃあ、ここは君の夢ってことか」
???:「メモリーダイバーの能力で作られる仮想世界には、元になる記憶が必要になります」
???:「何もない場所に描くことはできないんです」
久遠仁:「へえ、そいつは大したもんだ」周囲を見回し、謎の褒め。
GM:記憶探索者(メモリーダイバー)。ソラリス・シンドロームの一部のオーヴァードが所持するディスクリプト。
GM:それが他者の記憶を読み取り、仮想世界として擬似的に体験することで記憶に干渉できる能力であると、皆さんは知っていてもいいです。
GM:同時に、それは本来他者をそこに招いたり、ましてや現実世界に干渉できるような性質のものではないということも。
穂村 姫乃:「えっ、待って待って。でもメモリーダイバーってそういうのじゃなかったよね?」
穂村 姫乃:「仮想世界作ったって他の人まで巻き込むとか、現実世界の上に展開するとか」
穂村 姫乃:「そこまでの力じゃ無かった気がするけど……」
???:「……本来なら、そうですね」穂村さんの言葉を肯定して。
永良ゆづり:「……なるほど、他者の記憶を依り代に製造された心象風景」
永良ゆづり:「それだけ強大な力を持つか、あるいは変質したオーヴァードということ、か?」
久遠仁:「ふむ。君の能力かな? それとも、別の?」
???:「仰るとおり、この場の裏で状況を紡いでいるのは、常軌を逸した能力拡張を繰り返したオーヴァード」
???:「あたしが今使ったのは、その片鱗のようなものです」
???:「先程言ったように、随分と粗い世界しか作れない」
???:「ですが、膨大な出力器官を用意して、現実と変わりない質感を再現できるのであれば……」
???:言葉を切って。君達の眼を、順番に見る。
亜藤 蘭介:「………」段々と熱を帯びていく頭を抱えて。
亜藤 蘭介:「つまり……そのオーヴァードが構築した世界の中に……」
???:「……夢は時に荒唐無稽で、現実からかけ離れたものです」
???:「だけど、夢を見ている間は、その違和感を疑うこともできない」
???:「何かを感じ取ることはあっても、すぐに気にならなくなってしまう」
???:「それが、『呑まれる』ということ」
???:「……ですが」
???:「ここならその汚染も、外の世界よりずっとマシなはずです」
???:「魄柱(アンカレイジ)による干渉もない」
永良ゆづり:「……ふぅん」
永良ゆづり:「ソラリス・シンドロームは門外だから、そういう夢操りの能力があるのだなぁ、くらいの感想だけど」
永良ゆづり:「この場で裏を引いている者が居り、その力を借りていると言ったわね」
???:「……ええ、言いました」
永良ゆづり:「ここに私達を連れ込んだのは、干渉されずに情報を共有するため?」
???:「それもありますが、何より……」
???:「目を覚ましてもらうためです」
久遠仁:「夢の中で、目を?」
亜藤 蘭介:「マジで夢だってのか……?」
永良ゆづり:「……つまり。私達が既に、その何某からの攻撃を受け、夢に囚われていると」
???:「状況をうっすらと認識した。『汚染されれている』という可能性に思い至った。そして、創造主の干渉を断った」
???:「その上で、皆さんほどのオーヴァードのような、他者のレネゲイドに対する基本的な抵抗力があれば」
???:どこか暗示をかけるように、あるいは懇願するように
???:「……そして、まだこちらに来て時間も浅いのであれば」
???:君達に向かって語りかける。
???:「……どうです?思い出せませんか?」
穂村 姫乃:「思い、出すって」

GM:というところで、判定に入ります。
GM:《意志》で判定を行ってください。目標値は10。
GM:全員が成功するまで繰り返します。
永良ゆづり:わぁお
GM:失敗した場合、その人の「?????」の数値が1点上昇して再挑戦となります。
亜藤 蘭介:こわいこわい
久遠仁:こわすぎ
穂村 姫乃:おっかないんじゃがー!
永良ゆづり:2dx+2>=10 思い出の一品+ブランケット
DoubleCross : (2DX10+2>=10) → 9[3,9]+2 → 11 → 成功

永良ゆづり:思い出しました
亜藤 蘭介:強い
GM:優秀
久遠仁:何の補正もない 厳しすぎるな……
亜藤 蘭介:仁さん加護いる?
久遠仁:欲しいかも
穂村 姫乃:3dx+1>=10
DoubleCross : (3DX10+1>=10) → 9[3,5,9]+1 → 10 → 成功

穂村 姫乃:いけたー!
永良ゆづり:優秀~
GM:NPCカードも使えるよ
久遠仁:強い
永良ゆづり:バディムも貢げる
亜藤 蘭介:あっ羽海ちゃん
穂村 姫乃:バデムが二枚もありますよ
永良ゆづり:バディムの重ね掛けってできましたっけ
穂村 姫乃:こんなに心強いことない
GM:言われてみるとどうだろう
GM:わからんので まあこのセッションではできる感じで進めましょう
亜藤 蘭介:りょうか~い
永良ゆづり:やったぜ
久遠仁:やった こりゃ余裕だぜ!
亜藤 蘭介:どうしようかな でもまあ一応あげますか
亜藤 蘭介:砂の加護を仁さんにどうぞ。ダイス+4!
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (60 → 63)
久遠仁:ありがたき幸せ
久遠仁:5DX
DoubleCross : (5DX10) → 10[3,3,4,4,10]+8[8] → 18

永良ゆづり:つっよ
亜藤 蘭介:2dx+4>=10 思い出の一品ブランケット
DoubleCross : (2DX10+4>=10) → 7[2,7]+4 → 11 → 成功

亜藤 蘭介:全員突破!
GM:え~みんな成功しちゃった
GM:すごいね
永良ゆづり:余りにも優秀
久遠仁:意思強すぎパーティ
穂村 姫乃:我ら優秀~

GM:では、そう言われて違和感に耳を澄ます君達は。
GM:……不意に。
GM:それら疑念・不快感・齟齬の糸が、一気に繋がったような感覚がある。
GM:夢想の世界に生きる君達の脳裏に、現実が流れ込む。
GM:明滅・混線。
GM:ノイズめいた誰かの/自分の/どこかで耳にした/聞き覚えのない声が、濁流めいて流れ込んでくる。
GM:─────「だって、全部先輩のおかげなんですよ」────「限りない恩があります。あの街に、あの支部に」────「数万人の無辜の市民が、今もあの内側に閉じ込められています」────「興津比売命の名に懸けて。その願い、儂が承った」─────「許可が頂けるなら、一秒でも早く行ってやりたいところです」───「これ以上、無為な死を背負いたくないからね」───「生きて戻るため、最善を尽くすように」────「殺生を犯したものが落ちる地獄のひとつ、だと」────「恨みが積もって、地獄でも作り出そうとしてるのかしらね」─────『苦痛と、後悔と、呪いそのもの』『だからこそ、甘い夢を探してる』────「気を付けて。夢に溺れないように」────「今はまだ、おやすみ」────────
GM:→「虚実崩壊」の影響解除。君達の持つハンドアウトが正常化されます。
GM:皆さんは本来の記憶についても思い出します。
GM:君達はFHの所属なんかではないし、
GM:"天馬"なんてセルはここへ来て初めて耳にしたし、
GM:緑坂市の南部はいま"ヴァンノワール"の侵蝕で大規模な被害が出ているはずだし、
GM:何より”バース”シリーズのオーヴァード達は、
GM:“ヴィローシャナ”らが行った蠱毒実験によってほとんどが全滅していると
GM:そういったことを、君達は思い出すでしょう。
羽海束沙:「っ……え。ちょっと……」青褪めた顔で、辺りを見渡す。
羽海束沙:「……中に入った人間が皆、出てこなかったのが。こういう理由だった、なんて……」
穂村 姫乃:「……ははぁ、これは」
穂村 姫乃:「我ながら随分見事に化かされたもんじゃな」
永良ゆづり:「────っ」軽く、立ち眩むように。
永良ゆづり:「あれだけ大口叩いて、容易く敵の術中に嵌っているなんて」
永良ゆづり:ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
永良ゆづり:窄めるように咥えこむと、先端から白く帯じみた煙が空へ昇っていく。
亜藤 蘭介:濁流のように流れ込む記憶の中で。最後に見えた妹の顔。浮かべていた悲しげな表情の意味にようやく気づいて。
亜藤 蘭介:「全く、情けない」
久遠仁:「……。……おいおい」
久遠仁:「……北条じゃないか」
久遠仁:少女に顔を向ける。
???:「……ああ。良かった」少し泣きそうな顔で微笑む。
???:「思い出したんですね。先輩」
久遠仁:「参ったなあ。俺、君を探しに来たんだぜ」
久遠仁:「これじゃあミイラ取りが何とやらだ。迷惑掛けちまったな。すまん」
???:「……です、よね」巻き込んでしまったという罪悪感からか、また表情を暗くして。
???:「それと、厳密には少し……違うんです」
???:「今、ここにいるあたしは……」
???:「北条サイカの記憶と人格を持って行動している、無関係の一般市民です」
???:「正確に状態を説明すると、そうなります」
久遠仁:「…………んん?」
永良ゆづり:「……もう少し説明が欲しいわね」
永良ゆづり:「UGN、N市第五支部チルドレン、"ブリンクブレイド"北条サイカ」
永良ゆづり:「貴女のレネゲイドはこの異界の表層で確認されている」
???:「そうなりますよね。……そうですね、まずは本物のあたしと区別するために」
"ビー"北条サイカ:「便宜上、"ビー"とでも呼んでください」
"ビー"北条サイカ:「単純にA、B、CのBです……他の呼び方が馴染むなら、そちらでも構いませんが」
"ビー"北条サイカ:「この肉体は、本来あたしではない人間のもの」
"ビー"北条サイカ:「だけど、今は精神干渉を受けて、あたしの人格と記憶を植え付けられた事で」
"ビー"北条サイカ:「『あたし』になりきった振る舞いをしている」
"ビー"北条サイカ:「心を夢に呑まれれば、『そうなる』んです。強烈な自己暗示だとでも思ってください」
"ビー"北条サイカ:「元の子の記憶も、肉体も、流し込まれた情報に沿って書き換えられて……その結果」
"ビー"北条サイカ:「あたしのそっくりな人間が、ここに存在している」
"ビー"北条サイカ:「そこにある夢の前に、あらゆる現実の矛盾は"修復"される」
"ビー"北条サイカ:「皆さんの身にも、覚えがあるんじゃないでしょうか」
永良ゆづり:「……ぐぅの音も出ないけれど」
穂村 姫乃:「あー……」 さっきまで口調さえ変わっていた自分を思い浮かべて。
"ビー"北条サイカ:「……背、伸びましたよね。さっきより」久遠さんを見やって言う。
"ビー"北条サイカ:「『夢骸体』と呼んでいます」
"ビー"北条サイカ:「人の見る夢によって形作られた、骸のからだ」
穂村 姫乃:「そこはまあ、納得するとして。つまり、お主にはわざわざそれをする必要があるということじゃよな?」
穂村 姫乃:「儂らとこうして話をするために」
"ビー"北条サイカ:「……ええ。必要な事だと判断しました」
"ビー"北条サイカ:「この状況を解決する手立てを探るために、この子の身体を借りて危険に晒すことが」
"ビー"北条サイカ:あえて感情を抑えて淡々と、事実を報告するように口にする。
久遠仁:「北条がそこまで言うからには、そうなんだろうな」
亜藤 蘭介:「当然の疑問も湧いてくるな」
亜藤 蘭介:「"ブリンクブレイド"本人は……一体何処に?」
"ビー"北条サイカ:「……ですから、お話します。あたしがこういう風になった経緯と」
"ビー"北条サイカ:「あたしが調べて知った範囲の……この世界の仕組みと、あたし達の敵のこと」

GM:という訳で、ここから
GM:"ビー"側で把握している情報が開示されます。
GM:一通り貼った上で内容について情報共有の体でさらえる会話をしていくのがいいかなの気持ちです。
GM:先に言っておくと項目は9個あります
穂村 姫乃:多い!
亜藤 蘭介:ボリューミー
永良ゆづり:そんなに
久遠仁:ヤバ!

・情報公開「この世界(夢界領域)について」
この世界は、"サンディーヴァ"が自身の能力と北条サイカの能力を複合させた事によって生成されている。
"サンディーヴァ"もとい、"サタニアン・ガーデン"の領域の特質は樹木の生育。他者の肉体に直接樹木を植え付ける事で、その能力を根から吸収し、生育によって増幅させた上で自身の使役する植物に行使させる事ができる。
現在、北条サイカから奪った能力を持たせた大樹「魄柱(アンカレイジ)」を市内に複数配置し、大規模な《ワーディング》を起動。
大幅に演算規模を拡張した「記憶探索者」の能力によって、各人物の人格を元にした架空可能性をシミュレートし、"サンディーヴァ"が理想とする仮想世界を生成した。
それらの情報を元に人々の精神に投影・強力な自己暗示効果によって汚染し、自身の望む架空の世界を擬似的に再現している。
夢界領域内に留まっている限り、この精神汚染を完全に防ぐ方法は存在せず、この領域の外に出る事もできない。
状況の解決のためには、全ての魄柱を破壊・機能停止させる必要がある。

・情報公開「夢界汚染について」
ソラリスの特質・記憶探索者は「他者の記憶を元にした仮想世界」を擬似的に体験する。この際に自分の元々の記憶と体験している仮想世界の境界が分からなくなってしまい、他者の記憶に「呑まれて」しまうケースがたまに存在する。現在、PCを含めたこの夢界領域に取り込まれている人々も、魄柱の精神干渉によって同様の状況に陥っているものと言える。

そうした場合においてUGNで対処法として教えられているのは、現実での自身の人間関係を思い出すこと、そうして自我を繋ぎ留めたなら、一刻も早くその仮想世界から離脱することだ。
……現状、この領域から完全に離脱することは不可能だが、"ビー"の能力を使って一時的に退避することは可能である。
また、そうして精神的に安定した状態になった際に、自分自身の絆を確かめる行動を取る(仲間同士で会話する・過去を回想するなど)ことで汚染の影響を低減することができる。→【汚染値制御判定】

・情報公開「【夢界汚染値】について」
"サンディーヴァ"の作り出した夢界領域に精神汚染を受けている程度を示すパラメータ。この数値が上昇するにつれ、キャラクターは現実世界への執着が薄れ、この夢界を「幸福な世界である」「自分が本来守るべきものである」と思い込むようになる。

下限値0、上限値なし。
【夢界汚染値】が25点を超えたキャラクターについて、PLは操作権を失う。
ただし、望むならタイタス1つを昇華することで「即座に【夢界汚染値】を-10点する」効果を使用できる。

各PCの【夢界汚染値】は、以下の条件を満たした場合に上昇する。
・夢界領域内でのシーンに登場すると+1点。
・戦闘不能状態になると+3点(即時蘇生した場合にもカウントする)。

GM:この情報が開示されたため、ステータステーブル上の「?????」が「夢界汚染値」に表記が改められます。

・【汚染制御判定】
技能:《意志》《RC》《交渉》のいずれか
難易度:8
退避領域のシーンにおいて、各PCが一度だけ判定可能。成功した場合、【夢界汚染値】の値がその時点で獲得している【制御値】点減少する。
同時に【制御値】D10点の侵蝕値を減少させてよい。
この処理の後、所持している【制御値】は0点になる。

・【制御値】計算式:以下を重複ありで加算する
汚染値制御判定に成功する……1点
夢骸体のオーヴァードおよび洗脳オーヴァードを倒す(自分の手でHPを0にする必要はなく、同シーンで戦闘不能になることを確認すればOK)……2点
魄柱を破壊する……2点
偽ハンドアウトに記載されたシナリオロイスを倒す(同上)……2点

・情報公開「この世界における蘇り(夢骸体)について」
実験によって"サンディーヴァ"を残して死亡したバース・シリーズの実験体達は、彼女の体内に残留したレネゲイド情報を元にして人格を再構築されている。もっともその物理的な素体は、夢に取り込まれた犠牲者達の肉体である。
夢界領域に精神を汚染され、夢の中に取り込まれてしまった人々は、自分が何者であったかを忘却し、植え付けられた他者の人格を自分のものだと思いこむようになる。身体や装飾も、そうした認識の汚染に伴い、植え付けられた記憶人格と矛盾しない形に変化・定着していく。結果、死んだはずの"バース"シリーズのオーヴァード達が蘇生したように「見せかけられて」いる。(この状態を"ビー"は『夢骸体』と呼んでいる)。

データ的には、夢界領域に取り込まれた犠牲者達がEロイス「ファイトクラブ」「無限を継ぐ者」を所持している状態となる。
彼らを戦闘不能状態にする事で、暫くのあいだ『夢骸体』の状態は解除されるものの、夢界領域そのものを破壊しない限り、一定期間後にはまた魄柱の干渉を受けて記憶人格を植え付けられる形で復活する事になるだろう。

・情報公開「”バース”シリーズの人数が実際よりも増えている事について」
"アモーガ"に残された研究資料によれば、本来の"バース"シリーズのオーヴァードは40人程度。しかし実際に夢界領域内部の"バース"シリーズは100人を超える。
これは、君達を含めた領域内に踏み込んだオーヴァード達が皆「元々"バース"シリーズのオーヴァードであった」過去を仮定・演算することで出力した偽の記憶によって精神汚染を受け、洗脳されているためだと思われる。
理由としては、単純に多くのオーヴァードを自分達の戦力として加えたかったことや、非オーヴァードよりも自我が強く精神汚染に一定の耐性を持つオーヴァードの人格を「夢骸体」の施術によって別の人格で上塗りする事が難しかったためだと思われる。
君達以外のオーヴァードはかなり汚染が進んでおり、退避領域に招いた所で自力で記憶を取り戻すことは難しいだろう。

・情報公開「ここにいる北条サイカについて」
"ビー"を自称する北条サイカの分身体。過去の北条サイカの精神を複写し、脳波の比較的近しい別の人間に植え付けたもの。技術としては夢骸体と同じ。

"サンディーヴァ"の手で魄柱を肉体に植え付けられ、強制的に能力を引き出される形で夢界領域を作り出す事となった北条サイカは、その瞬間に抵抗を行った。
一般人の精神にバース・シリーズの記憶を上書きする形で擬似的な蘇生を行う、『夢骸体』の術式──その処理の中に紛れ込ませる形で、「北条サイカの精神記憶」を持つ夢骸体を作り出した。
その後、何も知らない市民を装いながら領域内部の調査を行っていた所、UGNから派遣された君達の存在を知りコンタクトを行った。
この事は"サンディーヴァ"にはまだ把握されておらず、彼女もこの夢界領域内部の全てを知覚している訳ではないようだ。

・情報公開「北条サイカの本体について」
ここにいる"ビー"は、北条サイカの本体の精神を複写した分身のようなものである。
"サンディーヴァ"に拉致された後、彼女が生成した異空間にて謎の大樹を肉体に植え付けられてその能力を抽出・拡張された彼女は、大樹を介して肉体を操られる形で大規模な《ワーディング》を発動。多数の人間の精神に干渉し、"ヴァンノワール"および夢界領域を生成してしまった。
また、その過程で北条サイカの精神の一部を覗き見た"サンディーヴァ"は。彼女に同情するような態度を取り始めていた。
"ビー"が記憶を共有しているのはそこまでで、現在は追跡されないように本体との接続も途切れさせているため、これ以上の事は分からない。

・情報公開「退避領域について」
"ビー"が魄柱の力の一部を持ち出した為に、自身の記憶を元にして生成できる仮想空間。ここは"サンディーヴァ"の生成した夢界領域ではないため、諸々の精神汚染から一時的に逃れる事ができる。また、「この夢界領域のどこにも座標を持たない空間」であるため、解除時に夢界内の任意の地点に降り立つ事ができる。(夢界領域の外に出る事などはできない)
長時間の維持は難しく、また"ビー"の精神がひどく損耗するため、使用上限は残り三回と見られている。
また、これによって"ビー"の精神が消耗しきった場合、夢骸体である"ビー"の意識は消滅し、宿主の人間がその場に残されると予想される。


"ビー"北条サイカ:「……ひとまず、あたしの方で把握している事については」
"ビー"北条サイカ:「これで、一通りになります」
久遠仁:「……ふむ……そうか……」頷いて
久遠仁:「まあ、何はともあれ」
久遠仁:「一人で大変だったろう、北条」
久遠仁:「よく頑張ったな」
"ビー"北条サイカ:「あ……」頬を染めつつ、困ったように目を伏せる。
"ビー"北条サイカ:「……そんな。褒められる、事じゃ……」
"ビー"北条サイカ:「元々、あたしが身を護れていれば起きていない事態ですし……」
"ビー"北条サイカ:「今だって、褒められないことをしています」
久遠仁:「大事なのは最善を尽くすことだ。君はそれをやってる」
久遠仁:「知らない間に、一人前のチルドレンになっていたんだな。北条」
久遠仁:「俺も誇らしいよ」
"ビー"北条サイカ:「う……。……ありがとう、ございます」
"ビー"北条サイカ:頭を下げてその言葉を受け取る。
"ビー"北条サイカ:本来、こんな褒められ方をすればもっとわかりやすくはしゃぐ少女ではあったはずだが、それどころではないという意識なのだろう。
久遠仁:「しかし……問題はこれからどう打って出るかだな」
永良ゆづり:「この異界から出れないのなら、真っ当に壊すしかないってことね」
永良ゆづり:「その過程で自身への精神汚染を管理しつつ、水増しされた"バース"シリーズを凌ぎながら」
亜藤 蘭介:「市内の至る箇所に配置された……そう、"魄柱"だったか」
亜藤 蘭介:「順当に破壊することで、事態の解決に繋がると」
穂村 姫乃:「話を聞くに、それが力の源ということじゃしな」
穂村 姫乃:「依り代を無くして保てる規模の術でもあるまいて」
羽海束沙:「何にしても、その魄柱というものを見つけ出さなくてはいけませんね」
羽海束沙:「どの程度の大きさなのでしょうか。この街で過ごしていて……そのような奇妙な木を見た記憶は、私はありませんが」
"ビー"北条サイカ:ゆっくりと首を振る。「夢に呑まれている人には、見えないんです」羽海に。
"ビー"北条サイカ:「今の皆さんであれば、外に出た途端に目に入るはず」
GM:穂村さんは、"ヴァンノワール"の展開直後に、領域内部にそびえ立つ黒い樹木を見た事を思い出していていいでしょう。
穂村 姫乃:「ふむ。ならば儂がこの場に入る前に見たアレが魄柱だったんじゃろうな」
永良ゆづり:「ふぅん、分かりやすいことは良いことね」
久遠仁:「成程。探す手間は省けると」
久遠仁:「しかし、あちらも案山子じゃあない。全力で止めようとしてくるだろうな」
羽海束沙:「隠してるものではないというなら、相応に手を入れて守りはするでしょうね」
穂村 姫乃:「それはこちらも力を持って対処するしかなかろ」
穂村 姫乃:「それが出来ると見込まれたゆえに、儂らが此処に居るんじゃしな」
亜藤 蘭介:「多勢に無勢なのも事実」
羽海束沙:「その……夢骸体、でしたか。"ビー"さん」
羽海束沙:「それによって存在を再現された、本来は死者である"バース"の彼らは」
羽海束沙:「生前の能力よりも弱体化している、とか。そういった事はないんでしょうか」
亜藤 蘭介:「全ての"バース"シリースを相手に出来る戦力は俺たちには無い……」羽海さんの話に耳を傾けつつ。
永良ゆづり:「……そうね、やらなきゃいけないならやるけど」
永良ゆづり:「今まで私達が認識していたバース"シリーズ"のランク。アレが実情と同様だとすると脅威ね」
永良ゆづり:「"サタニアン・ガーデン"より上の3人は頭一つ飛び抜けて強かった気がするけど」
永良ゆづり:「出来るなら会いたくないわね」
"ビー"北条サイカ:「……」首を振って。「あたしの把握する限りは、むしろ強化されている傾向にあります」
"ビー"北条サイカ:「強大なジャームの力を介して、この世界に投影されている訳ですから」
久遠仁:「そりゃ、正面切るのは厳しそうだ」
久遠仁:「そうさなあ……。となると、取れる戦略としては、ゲリラ戦のような形になるかな」
"ビー"北条サイカ:「素体が人間であるせいか、彼らの振る舞いにはあまりジャーム的な傾向が顕著になることはありませんが」
"ビー"北条サイカ:「状態としては、彼らは皆ジャームであり。その域の力を振るうことができるはずです」
羽海束沙:「如何にして戦闘の数を減らしつつ、魄柱全てを斬り倒すか……ということ」
羽海束沙:「……こちらの有利は、現時点では『知られていないこと』でしょうね」
羽海束沙:「彼らはまだ、私達は何も知らない……"天馬"の仲間のままだと思っているはず」
永良ゆづり:「そうね、気づかれない内になるべく状況を進めたいところ」
久遠仁:「天城……“マーシャル・ヘイヴン”は強かったなあ」
亜藤 蘭介:「"アースリー・ケイヴ"も並ではない出力を誇るオーヴァードだった……」久遠の言葉に同調するように。
久遠仁:「しかし、気が重いなあ。ついさっきまで友人だった相手と戦うのは」
久遠仁:「そこまで狙ってのことじゃあないだろうが……」
永良ゆづり:「(バース04の方の"サタニアン・ガーデン"は、本人なのかしら)」
永良ゆづり:「(あるいは"バース"シリーズとしての夢骸体の一つでしかないのか。何れにせよ)」
永良ゆづり:「(……アイツの前で私は煙草を吸えなかった)」
羽海束沙:「……趣味の良いやり口じゃないのは、今更のことです」
亜藤 蘭介:「心情的な面で言えば、多少の心残りはあるが」
穂村 姫乃:「それでも、やらねばならんことには変わりは無かろう」
穂村 姫乃:「良かろうが悪かろうが、夢ってのは覚めるもんじゃ」
穂村 姫乃:「儂もまだ旅の途中じゃし。こんなところで眠りこけるわけには行かんでな」
羽海束沙:「奴らが大勢を攫って、無関係な市民を巻き込んで、街を鎖して……」あるいは自分自身に言い聞かせるように吐いて。
羽海束沙:「そんな奴らと戦わなければならない、なんて事は。ずっと昔に決めた話です」
永良ゆづり:「……考え方を変えれば」
永良ゆづり:「"バース"シリーズもこの世界に囚われた被害者よ」
永良ゆづり:「どれだけ心地良くとも、偽り。"サンディーヴァ"に手繰られた道化の人形」
永良ゆづり:「目を覚ましてやるべきだと、私は思う」
永良ゆづり:白い棒を口に放り込み、噛み砕く。
久遠仁:「結局のところ、桜崎……ああいや、どうもいかんな」
久遠仁:「“サンディーヴァ”の目的も、まだ分からないままだしな」
"ビー"北条サイカ:「ええ。彼女の目的に関しては……あたしもまだ、掴めていません」
"ビー"北条サイカ:「現状以上の目的があるのかどうかも、はっきりとは分かりませんが……」
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"の意図が何にせよ」
亜藤 蘭介:「魄柱の伐採に当たって。……"バース"の主要メンバー何れかと。奴との決戦は避けられんだろう」
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"は強大なジャームであり。目下、現状の戦力で打倒が可能である確信も無い」
亜藤 蘭介:「しかし、それでも。俺たちに敗北は許されない」
亜藤 蘭介:「俺たちが"UGN"である限りな」
永良ゆづり:「……覚悟は出来ている」
羽海束沙:「ええ。もう二度と、忘れることはありません……私達は、UGNです」胸の前でぐっと、拳を握り固める。
久遠仁:「ああ。頑張ろう…… …………」
久遠仁:「……頑張りましょう。いや、すいません。つい」
穂村 姫乃:それを聞いた後ぷはっと軽く噴き出して。
穂村 姫乃:「いやはや。駆け込んだ甲斐もあるというもんじゃな」
亜藤 蘭介:「笑うなよ……」
久遠仁:「いやァ、ついさっきまで同い年だったもんで……」
穂村 姫乃:「あいすまん。嫌味で笑ったわけではない」
穂村 姫乃:「何とも頼もしい正義の味方達じゃなぁと改めて感じ入っただけじゃって。見逃してくれ」
亜藤 蘭介:ばつのわるそうな表情で頬を掻いて。「……久遠も、接しやすい態度で構わんぞ」
亜藤 蘭介:「連携に難が生じても困る」
久遠仁:「え、本当かい?そいつは助かるなあ」適応が早い。
永良ゆづり:「遠慮ないわね」
亜藤 蘭介:「お前はもう少し……いや、いい」
羽海束沙:「……改めてそう言われると、奇妙な感じがしてきますね」大きく年齢の変わっていた久遠さんと亜藤さんを順番に見て。
久遠仁:「穂村さんなんてキャラ変わってたもんなあ」
永良ゆづり:「確かに。精神年齢が下がると喋り方が変わるのね」
羽海束沙:「そういえば……昔からああいう口調、というわけでもなかったんですね」
穂村 姫乃:「そこはまあ、しゃあないじゃろ」
穂村 姫乃:「別に今じゃってこれ使っとるのが完全に素という訳でもないからの」
亜藤 蘭介:「……えっ」素の反応。
永良ゆづり:「威厳とか貫禄とか、そういう話?」
穂村 姫乃:「うむ。流石に齢三桁も行かぬ人の子から『お嬢ちゃん』などと呼ばれるのは釈然とせんのでな」
穂村 姫乃:「こうして分かりやすい形で年寄りアピールをしとるという訳じゃ」
久遠仁:「神様ってのも大変なんだなァ……」
亜藤 蘭介:「処世術のようなものか……」得心がいったように頷いて。
永良ゆづり:「(年齢三桁の人間、割とレアだけどね……)」
羽海束沙:「ああ……少し、分かりますね」
羽海束沙:「私も、仕事に関する場ではつとめて硬い言葉を使うようにしています」
穂村 姫乃:「ま、そこは言葉の綾じゃて。それになお主ら」
穂村 姫乃:「コンビニだのネカフェだのでこの口調使えると思うか?」
"ビー"北条サイカ:「……ふふっ」想像して、すこし噴き出してしまう。
"ビー"北条サイカ:「失礼……」こほん、と咳払いして軽く頭を下げる。
亜藤 蘭介:「まあ……奇怪な目で見られることは間違いないだろう」
久遠仁:「そうさな。使い分けられるなら、使い分けるに越したことはない」
久遠仁:思うところのあるような顔(兜)をする。
穂村 姫乃:「そうそう。TPO大事じゃよな」
穂村 姫乃:「コンビニでプリン買うだけで変な顔されたくはないからのう」
羽海束沙:「色々、大変なんですね……」
永良ゆづり:「真面目ねぇ。一度や二度しか付き合いのない相手に、そんな気を遣わなくてもいいと思うけども」
久遠仁:「まあ、そういう心配も、まずは帰ってからだな」
穂村 姫乃:「そうじゃな。儂から始めといてアレじゃけど、少しばかり脱線が過ぎた」
"ビー"北条サイカ:「脱線、と言えばそうかもしれませんが……」
"ビー"北条サイカ:「先程も言った様に、こうしたとりとめのない会話が、"サンディーヴァ"の汚染から自我を保つ手段として有効なんです」
亜藤 蘭介:「時間は有限だが」
亜藤 蘭介:「こういう些細な会話が、俺たちにとっては。活力になるものだ」
亜藤 蘭介:「一石二鳥だな」"ビー"の言葉に頷いて。
永良ゆづり:「ええ。これ以上自分を見失うなんてまっぴらごめん」
"ビー"北条サイカ:「ええ。急ぐ必要はありますが、こうした会話が無駄という訳でもありません」
"ビー"北条サイカ:「この世界も、もう十数分は保つと思います」
"ビー"北条サイカ:「それまで、心の整理を付けるというのも良いかと……こうして退避領域を作り出す余力にも、限りがありますから」

GM:という所で
GM:【汚染値制御判定】を行いましょう。
GM:《意志》《RC》《交渉》の好きな技能で判定してください。難易度は8です。
永良ゆづり:2dx+2>=8 思い出の一品+ブランケット
DoubleCross : (2DX10+2>=8) → 7[1,7]+2 → 9 → 成功

GM:成功すると、【制御値】計算式に則った汚染値・侵蝕値の減少が発生します。
久遠仁:うーむ 交渉かな……
穂村 姫乃:RCで行こう
亜藤 蘭介:2dx+4>=8 思い出の一品、ブランケット 意志
DoubleCross : (2DX10+4>=8) → 6[4,6]+4 → 10 → 成功

GM:今回は成功による1点だけです。
穂村 姫乃:3dx+11
DoubleCross : (3DX10+11) → 7[3,4,7]+11 → 18

久遠仁:2dx>=8
DoubleCross : (2DX10>=8) → 6[3,6] → 6 → 失敗

久遠仁:ギャー
GM:仁さん……!
永良ゆづり:バディム
亜藤 蘭介:ナイスバデ
穂村 姫乃:すかさずのバデム
久遠仁:最強エンブレムありがとうございます
GM:バデムなら成功になっちゃうなあ
GM:では全員成功しましたので
GM:夢界汚染値を1点減らし、侵蝕値を1d10減らすことができます
久遠仁:ヤッタネ
亜藤 蘭介:ヤッター!
穂村 姫乃:わーい
亜藤 蘭介:夢界汚染値→7から6に
久遠仁:汚染値6>5
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 2)減少 (63 → 61)
亜藤 蘭介:ぴえん
穂村 姫乃:53-1d10
DoubleCross : (53-1D10) → 53-10[10] → 43

永良ゆづり:汚染値が7→6
永良ゆづり:52-1d10
DoubleCross : (52-1D10) → 52-2[2] → 50

久遠仁:56-1d10
DoubleCross : (56-1D10) → 56-5[5] → 51

穂村 姫乃:侵蝕が43、汚染値が6に減少
GM:この判定の演出としては、ここにいる他のキャラクターと会話したり、過去回想による会話シーンを行ったりという感じになります。
GM:それにあたって必要なNPCがいれば召喚します。また、特に必要ないかなという時は演出カットでもOKです。


亜藤 蘭介:「……時に」
亜藤 蘭介:「永良と羽海は、高校生だったか」
羽海束沙:「ええ。籍を置いていますし、通える範囲で通っています」
永良ゆづり:「さほど本腰入れたカヴァーではないわね。本職はあくまでこっち」
永良ゆづり:二本目の白い棒から紫煙を燻らしながら。
亜藤 蘭介:「大したものだよ」
亜藤 蘭介:「俺があの市に所属した頃。市のチルドレンのレベルに内心舌を巻いたものだが……」
亜藤 蘭介:「彼らと比べても。君らは、遜色ないレベルだと思う」
穂村 姫乃:「ほーう。あの魔窟の住人にも劣らんと」
亜藤 蘭介:「ああ。この年で小隊を率いる経験を得ている者も、そうはいまい」
羽海束沙:「……。ありがとうございます」少し目を見開いたあと、頭を下げて。
永良ゆづり:「どうも。実力を認められているのは、素直に嬉しい」
穂村 姫乃:「実際、アレじゃよな」
穂村 姫乃:「こんなにもオーヴァードだのジャームだのが蔓延るようになったのはここ最近じゃが」
穂村 姫乃:「それ故にというべきか、まだ年若いというのに能力・精神共に習熟しとる子らが随分と増えた気がするんじゃよな」
羽海束沙:「確かに……穂村さんの生きてきた時間を踏まえれば、そういう感想にもなるのでしょうね」
羽海束沙:「逆に言えば、それは……」
羽海束沙:「子供ですら、兵士にならなくてはいけない状況が増えているということ」
永良ゆづり:「……私は、今の境遇に慣れてしまったけど。同僚達を見ていると」
永良ゆづり:「本来、こんな風に世界の行く末を憂う必要なんてなかったはずなのに」
永良ゆづり:「……少し、やるせない気持ちになる」
羽海束沙:「……」永良さんの横顔をちらっと見てから。「……私、本部所属を目指しているんです」
羽海束沙:「ゆくゆくは、更にその上も」
亜藤 蘭介:「("慣れてしまった"か……)」少しだけ瞑目したあと。
亜藤 蘭介:「それが、夢か」
永良ゆづり:「……真面目ね」
羽海束沙:「真面目も、何も……いつまでも、このままという訳にはいかない。そうでしょう」
羽海束沙:「今。この世界の秩序を守るために、チルドレンという戦力が必要だということは」
羽海束沙:「どうしようもない事実ではあるわ。だけど……UGN(わたしたち)が、そんな世界を変えるというなら」
羽海束沙:「私達だって、変わらなくてはいけない。……誰かが、変えなくちゃ」
穂村 姫乃:「故にお主が手ずから変えに行く、と」
羽海束沙:「ええ」頷く。「……夢、という言葉が適切かは分かりませんが」
羽海束沙:「こうして戦いを続けた先で、私がやりたいことは、それです」
永良ゆづり:「バカが付くくらい真面目ね」
羽海束沙:「なんとでも言えばいいわ。鼻で笑われる覚悟くらいしてる」
永良ゆづり:「……失礼」
穂村 姫乃:「否、否。嗤うものか」
穂村 姫乃:「良い覚悟で良い夢じゃな」
亜藤 蘭介:「全くだ」
穂村 姫乃:「世の中に悪人は絶えんが、お主のような善人もまた絶えん」
穂村 姫乃:「だからこそ人の世に浸かる甲斐もあるというもんじゃ」
穂村 姫乃:からからと好々爺のような物言いをして笑う。
羽海束沙:「……ありがとう」
亜藤 蘭介:「永良は……心配しているんじゃないのか。君の実直さ、のようなものが」
亜藤 蘭介:「友達なんだろ?」
羽海束沙:「……心配、って。何をですか」
永良ゆづり:「ええと、その……言い方が悪かった」
永良ゆづり:「羽海の考えは凄く真っ当だし。事実、誰かが変革を齎さなければいけない」
永良ゆづり:「でも覚えておいて」
永良ゆづり:「それは、貴女だけがやる必要はない」
羽海束沙:「……ええ。大丈夫……大丈夫よ、分かってます」
羽海束沙:しばし瞑目して。
羽海束沙:「一人の無力さは、この世界で生きていれば嫌ってほど味わうもの」
永良ゆづり:「……上を目指すことが、一人で責を背負おうとしてる様に聞こえてしまったの」
永良ゆづり:「ごめん。偉そうな口を利いて」
羽海束沙:「……。いいえ」
羽海束沙:「大丈夫。ちゃんと、今の言葉は……貴方の優しさとして、受け取ったから」
永良ゆづり:「……そ」
穂村 姫乃:「いやはや、青春じゃのー。良きかな良きかな」
穂村 姫乃:いつの間にか笑みがニヤニヤと呼ぶべきものに変わっている。
亜藤 蘭介:薄く笑って頷いている。
羽海束沙:「……ですから、ええ」
羽海束沙:「然るべき時には、ちゃんと貴方の事も頼らせてもらいます。永良ゆづり」
永良ゆづり:「……ええ、まぁ、必要とあれば」目線を逸らそうと、目深に帽子を被り直す。

"ビー"北条サイカ:「えっと……」
"ビー"北条サイカ:自身が生成したデパートの屋上空間は、それなりの広さがある。こうして2グループに別れても、互いの会話が聞こえない程度には。
"ビー"北条サイカ:グループと言っても、こちら側は二人きりな訳だけれど。
"ビー"北条サイカ:「先輩は、その」
"ビー"北条サイカ:「いなくなったあたしを探しに来て、ここに入ってきた……んですよね」
久遠仁:「うん?ああ、そうだよ」
久遠仁:何気ない様子で頷く。
"ビー"北条サイカ:「……すみません、それは。色々、心配させちゃって」
久遠仁:「ハハハ!北条が謝ることじゃあないだろう」
久遠仁:「まあ、そりゃ心配はしたがね。こうして一先ず会えて良かったよ」
"ビー"北条サイカ:「……そう、ですね。あたしも」
"ビー"北条サイカ:「会えてよかった」
"ビー"北条サイカ:「心強いです。先輩がいま、ここに居てくれて……」
"ビー"北条サイカ:「……やっと、一人じゃなくて」
久遠仁:「そう言ってくれるんなら、来た甲斐があったってもんさ」
久遠仁:「しばらくここに居たんだろう?どんな風に過ごしてたんだい」
久遠仁:「飯は?ちゃんと食ってたのか」
"ビー"北条サイカ:「どんな風に……と言うと、そうですね」
"ビー"北条サイカ:君達に会った時から着ていた、黒いコートのフードに触れる。君の知る限り、彼女がこのような装いをしていた事はない。
"ビー"北条サイカ:「……あたしがこうして行動してることが、"サンディーヴァ"に知られたら」
"ビー"北条サイカ:「きっと、ただでは済まなかったと思いますから」
"ビー"北条サイカ:「この中に来ているだろう、他のUGNの人達とも……なんとか合流しようとしていたんですが」
"ビー"北条サイカ:「目立つ行動を取れない手前、中々見つけられなくて……」
"ビー"北条サイカ:「……食事は、ちゃんと取ってました。元々この体は、あたしのものではありませんし」
久遠仁:「ん……そうかい」頷いて
久遠仁:「つらかったろうな、それは」
"ビー"北条サイカ:「……つらい、なんてことは」静かに首を振って。
"ビー"北条サイカ:「それどころじゃなかったんです」
"ビー"北条サイカ:「……身体を借りたこの子だけじゃない」
"ビー"北条サイカ:「あたしが……あたしの力が、こんな状況を引き起こして」
"ビー"北条サイカ:「この街を……沢山の人を、巻き込んでしまって」
"ビー"北条サイカ:「それが全部、あたしのせいになるのは……」
"ビー"北条サイカ:「……死ぬよりも、ずっと怖かった」
久遠仁:「そうさなあ……」
久遠仁:少し屈んで、見えない視線を合わせるようにして。
久遠仁:「そりゃあ少し、思い詰めすぎなんじゃないかい、北条」
"ビー"北条サイカ:「……」どこか憔悴したような眼差しを君に向ける。
久遠仁:「君のせい?そんな訳が無いだろう。北条が好きでこの状況を引き起こしたとでも?」
久遠仁:「悪いのは北条を攫って、無理やりに利用した奴に決まってるだろう」
久遠仁:「君に責任なんて無いとも」
"ビー"北条サイカ:「……そんな、こと……」
久遠仁:「大体……悪く聞こえたなら謝るが、記憶探索者なんてのは、北条の他にもいるんだ」
久遠仁:「君がいなければ、他の誰かが利用されてた。そうじゃないか?」
"ビー"北条サイカ:「……先輩は」
"ビー"北条サイカ:「先輩は、優しいですね」
"ビー"北条サイカ:「分かってました。知ってました」
"ビー"北条サイカ:「この気持ちを伝えれば……先輩ならきっと、そう言ってくれるってこと」
久遠仁:「……そりゃあ、事実を言ってるだけだからな」
"ビー"北条サイカ:「許して欲しかったんです」
"ビー"北条サイカ:「自分以外の言葉で、君のせいじゃないって言ってほしかったから」
久遠仁:「言ったろう」
久遠仁:「君のせいじゃない」
"ビー"北条サイカ:「……うん」
"ビー"北条サイカ:「今は、その言葉を信じます」
"ビー"北条サイカ:目元を擦って、わずかに微笑んで見せる。
久遠仁:「その中で君は、最善手を探し続けて、こうして俺たちの目を醒まさせてくれた」
久遠仁:「北条の他には出来ないことだったとも」
久遠仁:言って、その頭に手を置く。撫でるというより、何か確かめるように。
久遠仁:「……ふむ」
"ビー"北条サイカ:「ありがとうございます……」
"ビー"北条サイカ:「……あの、何か?」
久遠仁:「……いや、何。見た目も心も、元の北条と変わらないって話だったかな?」
"ビー"北条サイカ:「ええ、そのはず……です」
"ビー"北条サイカ:「オリジナルのあたしの精神を、できる範囲でそのままコピーして来たので……」
"ビー"北条サイカ:「……いえ、もしかしたら。身体の細かな部分は、少し違いが出ているかもしれないですけど……」
"ビー"北条サイカ:言って、自分の体を捻って手や脚を確かめるように見ながら。
久遠仁:「ふむ……」少し考え込んで
久遠仁:「……ああ、いや、別に大したことじゃあなくてな」
久遠仁:「大きくなったな、と思ってな」
"ビー"北条サイカ:「……ふふっ」
"ビー"北条サイカ:「どうしたんですか、急に。ついこないだも、会ったばかりなのに……」
久遠仁:「いやあ、何。不意に思ってな……」
久遠仁:「初めて会った時なんて、こんなだったろう」親指と人差し指で、ひよこ豆程度の大きさを作る。
"ビー"北条サイカ:「ちょっ……そこまでじゃないですし!」
"ビー"北条サイカ:「ていうか、先輩もそういうボケするんですね……」
久遠仁:「何だい、そんなにお堅く思われてたかな」
"ビー"北条サイカ:「や、そういう訳でもないですけど……」
久遠仁:「ハハハ!まあ、少しは気が晴れたかな」
"ビー"北条サイカ:「……あ」ふと、頬の緩んでいた自分に気づいて。
"ビー"北条サイカ:「ほんとに、まだまだ敵わないな……」
久遠仁:「出来れば笑っていてくれよ、北条」
久遠仁:「その方が、俺も嬉しいからな」
久遠仁:わしわしと頭を撫でて、身を起こす。
"ビー"北条サイカ:「ん……ふふ。先輩の頼みなら、しょうがないですねっ」
"ビー"北条サイカ:つとめて明るい声を作りながら、いつものような笑みを浮かべて。
久遠仁:「ああ。さて、そろそろかな」
"ビー"北条サイカ:「ええ、そろそろここも維持できなさそうですから」
"ビー"北条サイカ:目立つ髪色と目元を隠すように、フードを被り直す。
久遠仁:「どれ、一働きするとするか」
久遠仁:「頑張ろうな、北条」
"ビー"北条サイカ:「はい、もちろんっ」
GM:その言葉と同時に、君達のいる世界は泡のように溶け出し──

GM:シーン終了。ロイス、購入が可能です。
GM:また、NPCカードを取得しました。

NPCカード:”ビー”北条サイカ
①「微小夢界・退避領域」
タイミング:オート
制限:シナリオ3回
効果:PC全員がそのシーンから退場する。これを使用した次のPC登場シーンでは【汚染値制御判定】を行うことができ、登場時に【夢界汚染値】の上昇は発生しない。

亜藤 蘭介:ヤッター!
久遠仁:つよ!
穂村 姫乃:助かり~
永良ゆづり:わぁい!
亜藤 蘭介:う~んロイスは迷うが…まだ保留で
亜藤 蘭介:ボデマ狙いますか
亜藤 蘭介:3dx+1>=12
DoubleCross : (3DX10+1>=12) → 9[2,4,9]+1 → 10 → 失敗

永良ゆづり:ボディマ
久遠仁:ロイスは保留かな……
亜藤 蘭介:財産2あるがう~む
久遠仁:2DX+2 ボデマ
DoubleCross : (2DX10+2) → 8[5,8]+2 → 10

永良ゆづり:の前に、バディムしとこう
亜藤 蘭介:あっ これは
穂村 姫乃:ロイス保留でメイド服チャレンジ
亜藤 蘭介:ありがたい…
穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 2[2]+1 → 3 → 失敗

穂村 姫乃:ダメダメのダメじゃな 以上!
永良ゆづり:あっ、違う、私もうボディマ着てた
亜藤 蘭介:では購入して着用!
久遠仁:こっちに羽海さんのバデム貰おうかな
羽海束沙:あげますよ~
永良ゆづり:えーっと、じゃあメイド服
永良ゆづり:2dx>=20
DoubleCross : (2DX10>=20) → 10[2,10]+10[10]+10[10]+10[10]+8[8] → 48 → 成功

亜藤 蘭介:???????
永良ゆづり:どうぞ~
GM:!???
久遠仁:?????????????
穂村 姫乃:最強の方?
亜藤 蘭介:有能チルドレンがよ
穂村 姫乃:ありがとうございます!
永良ゆづり:一文無しでも人に貢ぐことが出来る
永良ゆづり:ロイスは保留、以上で
久遠仁:最高級メイド服を横目に中古のボデマを装備して以上です
穂村 姫乃:最高級メイド服を装備して、改めて以上!
GM:ではみんな以上かな 次のシーンへ

◆Middle04:情報収集◆

GM:では、再度情報収集に移ります。
GM:先ほどと同様、全ての項目の調査完了で状況が進行します。
GM:また、このシーンに登場した場合は【夢界汚染値】が1点上昇します。
GM:以上を踏まえて、情報項目を開示しますね。

情報項目-2
・魄柱(アンカレイジ)について 情報:任意-10
・街の人々について 情報:噂話-9
・日下部ルリカの動向について 知覚-7
・敵対戦力について 情報:任意-11
・外部との連絡について 自動成功

GM:現時点では以上です。
永良ゆづり:また増えそうな感じがするわね
亜藤 蘭介:前回とおなじく
亜藤 蘭介:にこ以上開ける場合は再登場して汚染値を上げる感じですかね
永良ゆづり:とりあえず登場、汚染値6→7
GM:そうなります。
穂村 姫乃:こちらも登場
GM:判定したい方は登場の上ダイスロールをどうぞ
亜藤 蘭介:登場 汚染値6→7
亜藤 蘭介:ありがとうございます!
久遠仁:登場、5>6
穂村 姫乃:汚染値6→7に
亜藤 蘭介:さてどうしましょ
久遠仁:任意のどっちか行こうかな
亜藤 蘭介:知覚以外なら何でも大丈夫…かな?
永良ゆづり:知覚に自信のあるお方~
穂村 姫乃:キャラ的にルリカの動向抜きたいなと思ってました
亜藤 蘭介:がんばれ~
穂村 姫乃:知覚に自信はないけど固定値は1ある
穂村 姫乃:じゃあ皆様良ければ振ります
永良ゆづり:私も任意のどっちかかな……
永良ゆづり:やっちゃえ~~
GM:どうぞ~~
穂村 姫乃:2dx+1>=7
DoubleCross : (2DX10+1>=7) → 9[9,9]+1 → 10 → 成功

亜藤 蘭介:流石
穂村 姫乃:ふふん
久遠仁:やったね
永良ゆづり:ナイス
GM:では開示

・情報「日下部ルリカの動向について」
穂村姫乃の鞄のポケットの中に、彼女が残したと思われるメモ書きがあった。内容は以下。
「正義の味方の皆さんへ。私はあなたたちに協力したい。明日の11時、同じバーガー屋で待ってます。日下部ルリカ」
→「日下部ルリカに会いに行く」事が可能になりました。

亜藤 蘭介:現地協力者!
永良ゆづり:やったぜ
穂村 姫乃:やったぜ!
久遠仁:なんだって~
亜藤 蘭介:じゃあ噂話抜こうかな あたし
亜藤 蘭介:3dx>=9
DoubleCross : (3DX10>=9) → 5[1,4,5] → 5 → 失敗

亜藤 蘭介:へ な ち ょ こ
永良ゆづり:財産点1とバディムがあれば
亜藤 蘭介:あっ バデム3か
亜藤 蘭介:2だと思ってた じゃあ財産1入れます!
永良ゆづり:じゃあバデム
亜藤 蘭介:ありがと~~~!
久遠仁:やった~
亜藤 蘭介:残財産1
GM:では開示

・情報「街の人々について」
事態発生当時、市内に居て"ヴァンノワール"=夢界領域に取り込まれた人々は、魄柱による汚染によって世界の違和感(街の外に出ることができないなど)を認識できず、感じる事があってもすぐに気にならなくなるようになっている。
また、集団失踪事件の被害者達もこの街で精神汚染を受けながら暮らしているようだ。ただし、北条サイカの姿はどこにも確認できていない。
当初に数百人の誘拐を行った目的は、多数の人間の夢を同時にコントロールする事の試験の為だったと思われる。また、先んじて北条サイカが失踪したのは、彼女の能力をこの計画の基盤としているためだろう。

穂村 姫乃:なるほどねえ
亜藤 蘭介:ハハァ~
永良ゆづり:なるなる
久遠仁:許せねえよ……
久遠仁:・敵対戦力について 情報:任意-11
久遠仁:情報UGN コネ使用
久遠仁:4DX+3>=11
DoubleCross : (4DX10+3>=11) → 8[5,7,8,8]+3 → 11 → 成功

久遠仁:ぴったり
亜藤 蘭介:やる~
永良ゆづり:強い!
穂村 姫乃:お見事

・情報「敵対戦力について」
君達が魄柱の伐採を試みる場合、"バース"シリーズのオーヴァードとの全面的な戦闘は避けられないだろう。
下位のランカーと言えども戦力として十分計算できる戦闘能力を持っているため、100人近い数に膨れ上がっている彼らに対して君達だけで正面衝突を試みるのは無謀と言えるだろう。
なお、桜崎ニアは"サンディーヴァ"が自身の記憶から過去の自分自身を再現した夢骸体であり、現状はそれぞれ別の個体である。
また、現在の"サンディーヴァ"は夢界領域の安定と自身の目的にまつわる作業に専念しており、戦闘指揮を行える状況ではない。実質的な指揮能力はセルリーダーである"マーシャル・ヘイヴン"天城マコトが握っており、彼を行動不能にする事が組織としての"天馬"セルの機能破壊に最も有効な一手である事は間違いない。

また、"バース"の一部上位ランカーは共通したコンボ「領域送掌」を使用する。
これは「自身の手で敵対者に直接触れた上で、相手の肉体そのものを自身の領域によって侵蝕する」という技であり、使用者が持つ領域の性質によって発生する結果は異なる。

「領域送掌」の共通点としては以下。
・至近白兵単体攻撃である
・ある程度戦闘によるレネゲイドの活性化を必要とするため、戦闘開始後2ラウンド目以降に使用可能となる。
・コンボ内にGMが自作した専用エネミーエフェクトのデータ1つを含む。

永良ゆづり:あっ、やっぱり別個体なんだ
亜藤 蘭介:ヤバイ戦闘法が書かれているのですが
穂村 姫乃:自作してる!
久遠仁:天城か……
永良ゆづり:>魄柱(アンカレイジ)について 情報:任意-10
GM:どうぞ~
永良ゆづり:4dx+2>=10
DoubleCross : (4DX10+2>=10) → 7[1,4,6,7]+2 → 9 → 失敗

永良ゆづり:羽海ちゃーん……
亜藤 蘭介:友情コンボだ!
羽海束沙:羽海アシスト!達成値+3です
永良ゆづり:ありがとありがと!!
久遠仁:二人バデムを持つことで唯一の弱点が改善されている
穂村 姫乃:自分の判定には他人からバデムを使ってもらえばいいという解決
亜藤 蘭介:IQ100000000

・情報「魄柱(アンカレイジ)について」
"サンディーヴァ"が北条サイカの血肉とレネゲイドを土壌として生育した、強い精神干渉能力を持つEXレネゲイドの大樹。夢に精神を呑まれている人間には、その存在を観測できない。
"ビー"は現時点で4本の存在を把握している。それぞれが夢界領域を形成する他に、異なる機能を持つ──自身が受けた傷を回復する「修復」、時間流の操作によって魄柱の生育を早める「加速」、自己反撃機能である「迎撃」、新たな魄柱を生み出す「生産」である。
「修復」「加速」「迎撃」の三本の場所はそれぞれ「"アモーガ"拠点跡地付近」「カフェ・エニフ付近」「JRみなみ緑坂駅前」。
「生産」の魄柱については所在を確認できていないが、恐らくは重要度の高さゆえに、この世界と隣接しない"サンディーヴァ"が作り出した異空間にて安置されているものと思われる。
もっとも、その状況では魄柱の側からもこちらの世界に干渉することはできないため、他の全ての魄柱が破壊された場合には、夢界領域の維持のために出現する必要があるだろう。
また、北条サイカの本体が肉体に植え付けられた魄柱こそが「生産」の魄柱であろうと予想され、彼女自身も4本目と共にいるものと予想される。

永良ゆづり:なるほど……
亜藤 蘭介:ンン~~~~ 場所……そういうこと……
GM:また、追加で2個の情報項目が開示されます。

→・”サンディーヴァ”の目的について 知識:レネゲイド-12
→・魄柱(アンカレイジ)について② 知識:レネゲイド-11

亜藤 蘭介:知識…知識!?
久遠仁:知識か~
穂村 姫乃:ふふ、ちょうど持っとるんじゃよな~
亜藤 蘭介:神様…
亜藤 蘭介:自動も開けてないから3人出ないとですね
穂村 姫乃:いうて一回回さんとじゃから運頼みじゃけども
永良ゆづり:例によってバディム権を復活させるか
亜藤 蘭介:加護有るし行ってみようかナ
永良ゆづり:>・外部との連絡について 自動成功
GM:では判定なく公開
永良ゆづり:汚染値7→8になりました
亜藤 蘭介:汚染値7→8

・情報「外部との連絡について」
あれ以降、緑坂市支部からの通信は受信していない。
定期連絡は三時間おきに来るはずだったが、とうにその三時間は経過している。どうやら夢界領域の内部は、外部よりも時間の流れる速度が大きく早まっているようだ。過去の連絡記録を見るに、この世界で1日が経過する間に、外の世界では30分程度しか経っていない。倍率にして約50倍。
よって、打つ手に詰まったUGNが更なる援軍を投入してくるとしても、その頃には君達の精神は取り返しのつかない所まで汚染されてしまっているだろう。

穂村 姫乃:こちらも再登場で汚染値8に
久遠仁:ひえ~~
亜藤 蘭介:ゲッ 時の流れも
永良ゆづり:何ということ……
穂村 姫乃:えぐ……
亜藤 蘭介:穂村さん
亜藤 蘭介:自分、・魄柱(アンカレイジ)について② 知識:レネゲイド-11
亜藤 蘭介:こっちでもいいかな?
穂村 姫乃:良いぞ
亜藤 蘭介:任せてくれ
亜藤 蘭介:砂の加護!判定ダイス+4
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (61 → 64)
亜藤 蘭介:6dx>=11
DoubleCross : (6DX10>=11) → 7[1,2,5,6,7,7] → 7 → 失敗

亜藤 蘭介:カス!!!!!!!
永良ゆづり:どうしましょう……使う?
亜藤 蘭介:財産1切ってまたお願いするしかないよねえ
亜藤 蘭介:ごめん…
永良ゆづり:じゃあバディム2回目~
亜藤 蘭介:素寒貧になりました
久遠仁:汚染値余裕あるし一応出ようかな
GM:では公開
久遠仁:でもそれだとタイミング間に合わないか

・情報「魄柱(アンカレイジ)について②」
現時点で地上に生えている三本の魄柱は、それぞれの根が地下で絡み合う事によって互いに能力を共有し合っている。つまり、現時点では「修復」「加速」「迎撃」に相当する能力を3本全てが使用できる状態にあり、各機能を担当する魄柱を伐採することで使用できる能力も減少する。
また、以前の君達のように領域内の精神汚染された人々は基本的に魄柱の存在を知覚できないが、天城マコトを始めとした本来の"バース"のオーヴァード達は最初から"魄柱"の存在を守るべき対象として認識していたようだ。

永良ゆづり:そっか、OPの兼ね合いで1低いのか
永良ゆづり:ずる!!
亜藤 蘭介:穂村さんの結果見てからでもいいかも
穂村 姫乃:そうかも
GM:結果見てから途中で出てもOKです
穂村 姫乃:という訳なので残る”サンディーヴァ”の目的について 知識:レネゲイド-12を判定
GM:あとPC1なんだからそれくらいいいでしょ!
GM:どうぞ~
穂村 姫乃:3dx+1>=12
DoubleCross : (3DX10+1>=12) → 9[3,7,9]+1 → 10 → 失敗

永良ゆづり:あ、ずる!!はアンカレイジの方
永良ゆづり:おうふ……
GM:あ、そっちかごめん
穂村 姫乃:財産点で行けるな
GM:あと言い忘れたけど
亜藤 蘭介:信仰します
GM:羽海バディムーブは復活してることでいいです
亜藤 蘭介:おっ!
久遠仁:エ~ッ!?
GM:全員が行動したら「1ラウンド」だろと思うし……
穂村 姫乃:あ、ならお願い
永良ゆづり:そっちも使えるのか!
亜藤 蘭介:ありがた裁定
GM:悩んだけど この情報収集で1回しか使えないよりはそっちのがしっくりくるかと思ったので……
GM:というわけで公開

・情報「”サンディーヴァ”の目的について」
"サンディーヴァ"の目的は、ジャーム化した北条サイカの力を使用し、この夢界領域を現実として定着させることであると予想される。
過去に北条サイカと同じ「夢魔(サキュバス)」のキュマイラ因子を持つオーヴァードがジャーム化した際に、「夢と現実の境界を曖昧化する」性質を発揮した例が見られている。北条サイカの母である清花も、出力自体は微弱ながら、その特質を見せた1人であった事が”カドゥルー”の研究記録にも記されていた。
北条サイカの本体は現在、「生産」の魄柱を植え付けられた上で、"サンディーヴァ"の手で何らかの処置を受けてジャーム化を促進させられているものと思われる──彼女のジャーム化が果たされれば、この夢界領域の内容は現実世界へと定着し、大規模な現実改変が果たされる。
結果、両世界を隔てる"ヴァンノワール"は消失し──君達は無論、外の世界の人々までもが、ここで起きていることを異常事態として認識できなくなる。「緑坂市では何も事件は起きていない」という「事実」が過去を遡って全世界に定着する。

GM:これで情報は全てになります。
永良ゆづり:やば……
穂村 姫乃:ヤバなんじゃが
亜藤 蘭介:さっ……サイカッッッ
久遠仁:ゲーーーー
久遠仁:ふざけやがって……


GM:---
GM:緑坂市 繁華街 某カラオケチェーン店
GM:---
GM:君達は"天馬"セルの面々には気づかれないように、おのおのに調査した情報を持ち寄り
GM:このカラオケ店の個室に集まっていた。
GM:"ビー"も一緒だが、退避領域はそう何度も起動できるものではないという理由で、こうした密談程度であれば使用を控えることになっている。
穂村 姫乃:「お、新曲入っとる」 ポチポチとデンモクを弄っている。
亜藤 蘭介:「穂村……」呆れた目!
亜藤 蘭介:「確かにこうした密談に適した場所だとは思うが……」
久遠仁:「慣れてるなあ。俺はこういう時以外来ないからな」
"ビー"北条サイカ:「わざわざ歌うことでカモフラージュするような必要も、恐らくないと思います。ここでの活動の経験上」
"ビー"北条サイカ:「"サンディーヴァ"の監視はそこまで徹底してない。……そうでなければ、あたしはもうとっくに捕まっているはずですから」
羽海束沙:「全国のランキング……なんかは見れませんね、やっぱり」もう一つのデンモクを手に、通信エラーが起きることを確かめている。
永良ゆづり:「……通信と言えば、"飯綱"支部長からの定時連絡。アレ以降届いていない件だけど」
穂村 姫乃:「イヤほら、流石に歌いはせんって」
穂村 姫乃:言いながらひとまずデンモクを置いて話聞きますよアピール。
亜藤 蘭介:良かったとばかりに息を付いたあと。永良に視線を向ける。
亜藤 蘭介:「……北条と接触してから以降の連絡は」
亜藤 蘭介:「やはり無いか」
永良ゆづり:「いや、届きはしている。ただ、アテにならないだけ」
永良ゆづり:自前の端末をテーブルに置き、連絡の受信日時一覧を表示。
永良ゆづり:「直接的な電波妨害があるわけじゃない」
永良ゆづり:「ただ、異界の副次的効果……かどうかは知らないけど」
永良ゆづり:「外の世界よりも時の流れが加速しているみたい」
久遠仁:「ほう? 三時間おきの定時連絡が無いのは、そのせいかい」
羽海束沙:「つまり……支部長達が活動している外側では、あれからまだ3時間も経っていないと」
穂村 姫乃:「なるほどの。通りで今までの通信履歴が随分少ないはずじゃ」
永良ゆづり:「ええ。単純計算でおよそ50倍、外の世界における3時間は異界で6日間に相当する」
久遠仁:「50倍!そいつはまた……」
久遠仁:「早いところ出ないと浦島太郎になっちまうな。ハハハ」
永良ゆづり:「それゆえ外部からの援軍や支援は絶望的。レスポンスが遅すぎるからね」
永良ゆづり:「結局、私達で何とかしなければならない」
亜藤 蘭介:「前向きに考えよう」
亜藤 蘭介:「下手に期待するよりはマシだ」
穂村 姫乃:「うむ。覚悟も決まるというもんじゃな」
"ビー"北条サイカ:「そんなに……」外との時差があることには、薄々勘付いてはいたらしい。
久遠仁:「北条……思ったよりずっと長いこと、一人で頑張ってたんだな」
"ビー"北条サイカ:「……あたしも、外でまだそれだけしか経ってないとは思ってませんでした」
"ビー"北条サイカ:「もっと、慎重に状況を確認しておくべきだった……みんなに会えて、舞い上がってたのかも」
"ビー"北条サイカ:少し俯いて反省している。
亜藤 蘭介:「それでも」
亜藤 蘭介:「君が俺たちに接触を図っていなければ」
亜藤 蘭介:「まだ、俺たちはあの夢に囚われていたままだっただろう」
久遠仁:「ああ。何度も言うようだが、北条はよくやってくれたとも」
久遠仁:「問題なのは、これからどうするかだ」
穂村 姫乃:「うむ。ひとまずは情報共有じゃな」
永良ゆづり:「目下の問題から順に片付けていきましょう」
亜藤 蘭介:「となると……」
亜藤 蘭介:「"魄柱(アンカレイジ)"か?」
羽海束沙:「そうなるでしょうね」
羽海束沙:「あのオバケ大樹を伐採することが、私達の目下の目的ですから」前回の退避領域の後に外に出て見た、高層ビルほどの黒い大樹の姿を思い出しながら。
穂村 姫乃:「誰が担当じゃったっけ」
永良ゆづり:「……あ、それも私ね」
久遠仁:「そうさな。単なる木とは違うのかい?」
永良ゆづり:「ええ。EXレネゲイドの一種を宿した大樹」
永良ゆづり:「凶悪な精神干渉能力を誇り、夢に汚染された人間には認識すら許していない」
永良ゆづり:「北条さんが認識しているのは4本だったわね」
"ビー"北条サイカ:こくりと頷く。
永良ゆづり:「その内、3本は場所が分かった」
永良ゆづり:緑坂市の地図をばらっと開き、赤ペンで○を三つ付ける。
永良ゆづり:「"アモーガ"セルの拠点跡地、カフェ・エニフ、JRみなみ緑坂駅」
久遠仁:「あんなに大きな木なのに、一つ見つかっていないというのは……」
久遠仁:「どこか、隠されてでもいるのかい」
羽海束沙:「可能ではあるでしょうね。"サンディーヴァ"は恐らく、数百人の失踪者を自分の作り出した空間に隠していた」
永良ゆづり:「北条さん、魄柱の役割は確か……」
"ビー"北条サイカ:永良さんの言葉に頷いて。「損傷の修復、攻撃者に対する迎撃」
"ビー"北条サイカ:「新たな魄柱の生産。そして、その成長加速」
"ビー"北条サイカ:「この4つの内で見つかっていないものは、新たな魄柱を生産する魄柱です」
久遠仁:「新たに生成する……って、おいおい」
久遠仁:「そいつが残っていたら、幾ら切っても鼬ごっこになるんじゃあないか?」
永良ゆづり:「ええ。夢界領域の支柱を担っている魄柱のうち、『生産』を司る樹が最も重要視されたのでしょう」
"ビー"北条サイカ:「……そして、最初にあたしの本体が融合させられたのも。その生産の魄柱でした」
穂村 姫乃:「元々この異界自体サイカの能力を根拠に成り立っとるもんじゃしな」
穂村 姫乃:「その魄柱が始まりであり根源といったところか」
"ビー"北条サイカ:「……無尽蔵に生み出せる訳ではありません。特に『生産』の魄柱に関しては、あたしの肉体を仮宿にしているので」
永良ゆづり:「その4本目はさておき。まずは場所が割れた3本を破壊すべきでしょうね」
永良ゆづり:「役割が分かれているとはいえ、支柱の3/4を失えば夢界領域にも揺らぎや歪みが生じるはず」
"ビー"北条サイカ:「あいつは……"サンディーヴァ"は」少し言葉に迷って。
"ビー"北条サイカ:「少なくとも、あたしの身体を無茶に使い潰すことはないようにしていました」
"ビー"北条サイカ:「急いだほうが良いには違いありませんが。一日や二日で新しい魄柱が生まれることは、どうやっても不可能なはず……」
永良ゆづり:「それは、過度の権能稼働による消耗を避けるため?」
穂村 姫乃:「あ、そこなんじゃが」
穂村 姫乃:「ゆづりの言も外れてはおらんが、恐らくヤツの大目的のためじゃろうな」
羽海束沙:「大目的、ですか……?」
久遠仁:「……分かったのかい?」
穂村 姫乃:「うむ」 こくりと一つ頷いて。
穂村 姫乃:「ヤツの目的は、サイカをジャーム化させて能力を強化し、この異界を現実のものとすることじゃ」
久遠仁:「……」
久遠仁:「……何だと?」
"ビー"北条サイカ:「……」
"ビー"北条サイカ:一瞬、不安そうに視線を迷わせたが。すぐに膝の上でぎゅっと拳を握った。
"ビー"北条サイカ:「続けて、ください」
亜藤 蘭介:僅かの間、視線を久遠と北条に向けて、穂村に向き直る。
穂村 姫乃:「以前耳にした噂も込みの話じゃが。サイカの能力、つまり夢魔のキュマイラ因子」
穂村 姫乃:「それを持つオーヴァードがジャーム化する際に、夢と現の境を曖昧にするという現象が起きたことがあるらしい」
穂村 姫乃:「要はそれを大規模に起こそう、という目論見じゃろう」
穂村 姫乃:「生産の柱をサイカに植え付けた上で、サイカ自身の侵蝕を上げてジャームに堕とす。さすれば」
穂村 姫乃:「この異界と現実との境が薄れ、この異界そのものが本来の緑坂市として現実に根付く」
羽海束沙:「なっ……」驚きに目をしばたかせる。「そんな、ことが」
永良ゆづり:「現実を塗り潰すために、ここまで大掛かりな異界を……」
穂村 姫乃:「そしてヤツの理想の世界が実現する。……という寸法じゃな」
穂村 姫乃:やや腹立たし気に眉を顰めて説明を終える。
久遠仁:「…………」
久遠仁:黙り込む。鉄の仮面に覆われたその表情は伺い知れない。
"ビー"北条サイカ:「…………」
亜藤 蘭介:「思えば……失踪事件に先んじて、北条が失踪者リストの最初に名を連ねたのも」
亜藤 蘭介:「北条自身の能力を"鍵"と見込んでのものだったのだろう」
"ビー"北条サイカ:「……あたしでなければいけないのは、そういうこと、だったんですね」
永良ゆづり:「……確かに、その目標を実現するためには。数多の人材と燃料、そしてソレ向きの強力な骨子が必要になる」
永良ゆづり:「なるほど、よく出来てる。ゆえに……腹立たしいまでに、ジャーム的ね」
久遠仁:「させるものかよ、そんなこと」
久遠仁:平時と変わらないように響く声に、僅かに冷たい怒気が混じる。
久遠仁:「そうだろう」
亜藤 蘭介:「当然だ」
永良ゆづり:「勿論」
亜藤 蘭介:「俺たちの成すことは変わらん」
羽海束沙:「ええ」
穂村 姫乃:「うむ。それでこそ、じゃな」
"ビー"北条サイカ:「……」
"ビー"北条サイカ:「……みなさん、ありがとうございます。ええ」
"ビー"北条サイカ:「きっと、大丈夫です。あたし、これでももう……一人前、ですから」
"ビー"北条サイカ:「あいつに何をされたって、簡単にジャームになんかなってやりません。力の限り、抗ってやります」
"ビー"北条サイカ:「……ここにいるあたしが、そう思うんだから」
"ビー"北条サイカ:「あっちのあたしだって、そうするはずです」
"ビー"北条サイカ:一同を安心させるように、笑顔を見せる。
久遠仁:「……ああ。必ず間に合わせるとも」
久遠仁:「そう気負わず、ゆっくり待っているといい」
久遠仁:そう言ってこちらも安心させるように笑う。
"ビー"北条サイカ:「ふふ。じゃあ、ゆっくり期待してます」
羽海束沙:「そうね。少なくとも、今はまだ……その夢と現実との融合という現象は、発生していない訳ですから」
羽海束沙:「"ブリンクブレイド"自身も、堕ちてはいない事が保証されている……と見ていいでしょう」
久遠仁:「……ともあれ、問題になるのは相手のことだな」
久遠仁:「幸いまだ、そう怪しまれてもいないようだからな。潜り込んで探ってきた」
久遠仁:「知っての通り、今の"天馬"には100人近いオーヴァードがいる。やはり正面突破は厳しそうだ」
久遠仁:「桜崎ニアについても調べてみたが……特にこれといって怪しい動きは無かったな。"サンディーヴァ"と特別に繋がっているような……。別個体と見ていいかもしれん」
永良ゆづり:「……やはり、そうなのね」
永良ゆづり:「(実験体である自身の過去たる別個体を用意し、ただ夢の日常を送り続けさせる……か)」
久遠仁:「同時に、他のオーヴァードに指示を出しているような様子も無い。やはり、組織として中核となっているのは"マーシャル・ヘイヴン"の方で間違いないだろう」
亜藤 蘭介:「天城か……」
久遠仁:「ああ、それから……一部の上位ランカーには奥の手があるって噂も耳にしたんだが……誰か聞き覚えはあるかい?」
穂村 姫乃:「どうじゃったかな。儂、あんま上位勢と絡んどらんかったからなぁ」
亜藤 蘭介:「目の当たりにした事は無いが」
亜藤 蘭介:「以前、珍しく上機嫌だった水上……"アースリー・ケイヴ"に。そのような奥の手がある……と」
亜藤 蘭介:「聞いたことはある」
羽海束沙:「……私も、記憶にはありません」かぶりを振る。
久遠仁:「うむ……それぞれ効果は違うらしいが、領域がらみの技で、至近距離、それもレネゲイドが活性化した状態でないと使えんらしい」
久遠仁:「誰も見たことがないってのは、つまりそれだけの奥の手ってことだ。注意したほうがいいだろうな」
久遠仁:「しかし、やはり調べれば調べるほど、相手は強大だな」
久遠仁:「誰か他に、協力者でもいれば助かるんだが」
穂村 姫乃:その言葉にニヤリと笑みを浮かべて。
穂村 姫乃:「それなんじゃが。頼もしき正義の味方諸君に朗報があるぞ」
穂村 姫乃:「バッドニュースの後のグッドニュースというやつじゃな」
永良ゆづり:「え、この状況で良い知らせ、あるの?」
久遠仁:「ほう、そいつは楽しみだ」
亜藤 蘭介:「聞かせてくれ」
羽海束沙:「そこまで勿体ぶるなんて、余程なんでしょうね?」
穂村 姫乃:「ふふん。勿論」
穂村 姫乃:そう言って全員に見えるよう、テーブルの中心にメモを置く。
穂村 姫乃:"正義の味方の皆さんへ。私はあなたたちに協力したい。明日の11時、同じバーガー屋で待ってます。日下部ルリカ"
穂村 姫乃:メモにはそう書かれていた。
羽海束沙:「……」身を乗り出し、じっとそれを見つめて。
羽海束沙:「……これは、何処で?」
穂村 姫乃:「儂の鞄のぽっけに入っとった」
永良ゆづり:「日下部ルリカ、って……」
久遠仁:「なに、そういうことなのか?日下部が?」
亜藤 蘭介:「確か、"御同輩"と言っていた……」
亜藤 蘭介:「そうか、あの日下部か……」
亜藤 蘭介:バースシリーズとしての記憶と、エージェントとしての記憶を擦り合わせるように頷いて。
穂村 姫乃:「思い返せばルリカのやつ、何やら思わせぶりな口調をしとったからな。この状況を把握しとるのかもしれん」
久遠仁:「じゃあ、最初から?……何者なんだ、一体」
久遠仁:「北条、何か心当たりはあるかい」
永良ゆづり:「……経緯を鑑みれば、敵の様には見えない、けれど」
"ビー"北条サイカ:「罠……にしては、かなり回りくどい気はしますね……」
"ビー"北条サイカ:「……可能性としては、ですが」
"ビー"北条サイカ:久遠さんの言葉を受けて、口元に手を当てて考え込みながら。
"ビー"北条サイカ:「そもそも……夢骸体として蘇生した"バース"のオーヴァードが、魄柱を守ろうとするのは」
"ビー"北条サイカ:「この世界や仲間に対する執着によるもの、ですから」
"ビー"北条サイカ:「それよりも強い目的意識や衝動が、その人の中には存在する……のかも」
"ビー"北条サイカ:あまり自信のない語調で、推論を述べる。
亜藤 蘭介:「……見当、つくか?穂村」
穂村 姫乃:「ふむ。強いて言えばじゃが」
穂村 姫乃:「ヤツはこの世界に引き込まれる前から正義の味方に会いたいと言うておった」
穂村 姫乃:「この異界に入ってなお、その目的を忘れとらんのかもしれん」
久遠仁:「正義の味方、か……」
永良ゆづり:「随分と強靭な精神をお持ちなのね」
羽海束沙:「……あれ? そもそも、彼女は死人なんでしょう……"ビー"のように、生者の肉体を借りなければ活動できない。ならば、どうして異界の外側に……」
羽海束沙:「ああ、いや。だから透けていたのか……」
羽海束沙:呟いて、一人で納得している。
穂村 姫乃:「恐らく"サンディーヴァ"とは関係なく実態を保っておったんじゃろうな」
穂村 姫乃:「お主らの言うオリジン:ヒューマンというところか」
亜藤 蘭介:「成程」
亜藤 蘭介:「死後、ヒトがRBに転生のような形で新たな生命を授かる例もある」
亜藤 蘭介:「日下部がそうであるかは確証は無いが」
亜藤 蘭介:「……話を伺うべきだろうな」
永良ゆづり:「賛成」
久遠仁:「そうさな……貴重な協力者になってくれるかもしれん。逃す手はない」
久遠仁:「敵なら、いずれいつかは戦わねばならんわけだしな」
羽海束沙:「……まだ彼女を信用しきった訳ではありませんが、そうですね」
羽海束沙:「ひとまず、話を聞くべきではあるでしょう」
穂村 姫乃:「うむ。どちらに転ぼうと、儂らに損のある話ではない」
穂村 姫乃:「バーガー屋の場所も問題なく覚えとる。案内は任せろ」
永良ゆづり:「侵入者の対処法に、人海戦術という真っ当な手段があるからね」
永良ゆづり:「そこさえ気を付ければ、大惨事にはならないはず」
"ビー"北条サイカ:「……もしも、騙し討ちで包囲されるような事があったら。前みたいに力を使って、皆さんを逃します」
"ビー"北条サイカ:「だから、そういう意味でも最悪中の最悪にはならない、はず……」
永良ゆづり:「助かる。……ただ、その能力も限りがあるなら温存したいところ」
久遠仁:「そういうことなら、明日に備えて今日は休むか。時間が惜しい気はするが……」北条に僅かに顔を向けて。
久遠仁:「ああ、こっちの北条の体力の方も心配だ。無理はしないでくれよ」
"ビー"北条サイカ:「えっ……ああ」
"ビー"北条サイカ:「……そうですね。こんなこと言って、いざと言うときにへばってしまったら、ダサいじゃ済みませんから」
"ビー"北条サイカ:「皆さんも、ゆっくり休んでください。……きっと、厳しい戦いになります」

GM:シーン終了。ロイス、購入が可能です
永良ゆづり:ロイス保留。購入どうしようかな……
亜藤 蘭介:ロイスの保
久遠仁:2DX+2>=8 応急手当キット
DoubleCross : (2DX10+2>=8) → 6[2,6]+2 → 8 → 成功

亜藤 蘭介:応急手当とかかなあ
穂村 姫乃:ロイス保留でキットでも買っとくかな
久遠仁:確保で以上!
穂村 姫乃:1dx+1>=8
DoubleCross : (1DX10+1>=8) → 3[3]+1 → 4 → 失敗

穂村 姫乃:無理じゃった。以上
亜藤 蘭介:3dx+1>=8
DoubleCross : (3DX10+1>=8) → 9[1,3,9]+1 → 10 → 成功

亜藤 蘭介:かっちった
永良ゆづり:2dx>=8
DoubleCross : (2DX10>=8) → 9[1,9] → 9 → 成功

永良ゆづり:バディムの重ね打ちで成功に出来ないかな
亜藤 蘭介:違法バデムだ
GM:できることにします
亜藤 蘭介:最高~
永良ゆづり:じゃあ穂村さんにバディム!
羽海束沙:こっちからも差し上げます
穂村 姫乃:あ、助かる!
穂村 姫乃:では一個獲得して終わり!
永良ゆづり:こちらも以上
GM:ではカット!

◆Middle05:協力者◆

GM:では、次は日下部ルリカと密会するシーンになります。
GM:シーンプレイヤーは穂村さん。他の人は登場任意です。
GM:また、このシーンに登場した場合は汚染値が1点上昇します。
永良ゆづり:出ます!汚染値が9に。
久遠仁:出ます 6>7
亜藤 蘭介:出ます出ます 8→9
穂村 姫乃:こちらも汚染値が9に上昇
GM:OK では


GM:彼女のメモ書きで指定されているのは、どの街にもある大手チェーンのバーガーショップ。
GM:そこにある光景に、これといった異変はない。
GM:外との往来が絶えて久しいのに、どういう訳か人々がパニックになっていないのは、いつの間にかそこに食糧が「ある」からだと
GM:君達はこれまでの調査の過程で理解している。
GM:夢界が、能力や容姿すらも変えてしまうほどに、「人間の認識に強い影響を受ける」場所であるのなら
GM:ここで働く店員達が「食材の仕入れは行われているはず」だと疑わず認識している限りは──つまり、夢に呑まれているから
GM:世界はそのように動いていくのだ。
穂村 姫乃:「ここじゃな。確か昨日は隅の席に座った気がするが……」
穂村 姫乃:そう言って五人を先導する形で入店する。
久遠仁:異様なマスクに客たちの視線を集めながら入店してくる。周囲に他の敵がいないかそれとなく警戒しつつ。
羽海束沙:「それ、やっぱり目立たない……?どうにかならないの……?」同じように周囲を警戒しながら、小声で囁くように言う。
久遠仁:「いやぁ、こればかりはな……」やや困ったように笑う
"ビー"北条サイカ:「……」目深にフードを被り、久遠さんに隠れるようにしながらついていく。
永良ゆづり:「(……ひとまず、今の所は大丈夫そうか)」最後尾に付け、店内を見渡しつつ。
日下部ルリカ:「……お」ちょうどその座席。君達の姿を見つけたセーラー服姿の少女が、小さく手を挙げる。
日下部ルリカ:「ふふ、来てくれたんだ」机の上を見るに、三杯目となるコーラのストローから口を離して。
日下部ルリカ:「待ちぼうけにならなくて良かった」
穂村 姫乃:「当ったり前じゃろ。友人の誘いじゃぞ」 手を振り返しながら真っ先に席について。
日下部ルリカ:「ふふ、嬉しいこと言ってくれるね」
亜藤 蘭介:「日下部か……」穂村の後に続いて、席に腰を下ろして。
永良ゆづり:「何やら不思議な気分ね。知らないようで知っているような」
久遠仁:北条を席の奥側に隠すようにして座り「言えてるな。友人のような、初対面のような」
亜藤 蘭介:「特に親しい間柄でも無かったが」
亜藤 蘭介:「どこか浮世離れしたような……落ち着いた気質をしている印象だった」
亜藤 蘭介:変わっていないようだ、じろりと彼女を見る。
日下部ルリカ:「ま、あれだけの人数がいると、絡みの薄い筋もあるよねえ」
日下部ルリカ:「……その感じだと、皆ちゃんと思い出してるみたいだね」
穂村 姫乃:「うむ。そこは問題ない」
永良ゆづり:「バース・ランキング11位。”メルクリカル・スカイ”日下部ルリカ」
永良ゆづり:「今までは精神汚染を通して認識していたから、実質的に"初めまして"になるのよね」
日下部ルリカ:「んん、君とはそうなる……かな?」永良さんに。
日下部ルリカ:「姫乃ちゃんと遊びに出掛けたのは本当の事だけど……この辺はどうも、ややこしいよね」
日下部ルリカ:「捏造された記憶と、本物の記憶……私も正直、どこまでが本当かはっきりしないのさ」
永良ゆづり:「……確かにね。とりあえず、よろしく」帽子を外し、着席。
穂村 姫乃:「あの時の儂を儂と呼んでいいか、という話じゃなぁ」
日下部ルリカ:「なにせ、ほとんど全身ウソでできてるようなもんだもの」
日下部ルリカ:「……姫乃ちゃん、やっぱギャップがすごいな……最初に公園で話したから、知ってはいたけど」
永良ゆづり:「何もかもすっきりとはいかないけど。兎も角、これからすべき話は」
日下部ルリカ:「ああ……とりあえず、あれだ」
日下部ルリカ:「君達、どこまで状況を把握してるのかな」
日下部ルリカ:「そっちのピンクの子が、いろいろ調べて回ってたのは知ってたけど」無造作に"ビー"を手で示して言う。
"ビー"北条サイカ:「……!」びく、と肩を震わせる。
永良ゆづり:「この異界の成り立ちと首魁の目的、斬り倒すべき4本の樹」
日下部ルリカ:「お、優秀」
久遠仁:「……話に入る前に、まずはそちらの身許を明かしてほしいところだな」
久遠仁:「まだ手放しに信用できるとは言い切れないんでね。君の立場と目的は?」
日下部ルリカ:「身許……ああ、そういうことね」
日下部ルリカ:「とりあえず、書いた通りのつもりだよ」
日下部ルリカ:「私は君達に味方して、ここを壊したいと思ってる」
日下部ルリカ:「……なんて、口で言うだけじゃ足りないよな。ええと、そうだ」
亜藤 蘭介:「……ひとつ、いいか?」
日下部ルリカ:「ん、何?」
亜藤 蘭介:「本来、"バース"シリーズは例外なく、この世界の支柱とも呼べる"魄柱"」
亜藤 蘭介:「この樹を"守るべき対象"だと、強く認識を刻み込まれている……」
日下部ルリカ:「どうして私がそうじゃないのか、って?」
亜藤 蘭介:「ああ。その枠に、君が囚われていない訳」
亜藤 蘭介:「疑問が湧いたんだ。話の腰を折ってすまん」
日下部ルリカ:「……まあ、私は術者じゃないからね。ちゃんとした理屈は説明できないんだけど」
日下部ルリカ:「死人が蘇るのは、何かやり残した事があるからだ。所謂、未練ってやつ」
日下部ルリカ:「"バース"の皆を操ることにしたって、当人の心に反する指示を従わせることは、きっと難しい」
日下部ルリカ:「みんな、多かれ少なかれ……この街に蘇った事で、その未練を消化できてるんだろうさ」
久遠仁:「つまり、君にはその未練があると?」
日下部ルリカ:「マコトが言ってたでしょ? 好きなこと、やりたいことをやれって」
日下部ルリカ:「まあ、そういう感じ。でもって、それは」
日下部ルリカ:「君達に協力しないと、達成できなさそうだから」
羽海束沙:「……濁さずに言ってください」
日下部ルリカ:ふう、と息を吐いて。
日下部ルリカ:「……リベンジだよ」
永良ゆづり:「リベンジ?」
日下部ルリカ:「例の実験……知ってるよね。私達みんなが、殺し合わされたやつ」
日下部ルリカ:「私、最後の二人ってところまで生き残ったんだ」
亜藤 蘭介:「最後の二人というと……」
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"。いや、"サタニアン・ガーデン"」
日下部ルリカ:「そういうこと。で、負けたのが私」
永良ゆづり:「……へぇ」
日下部ルリカ:「……正確には、負けるしかなかった、って感じだけど」
日下部ルリカ:「何?意外だった?」
穂村 姫乃:「いや、正直そういうタイプじゃろうとは薄々思っとった」
穂村 姫乃:「が、そこまでとは思っとらんかったのも事実じゃな」
永良ゆづり:「筋道は通っているけど、見てくれは真逆のタイプだから」
日下部ルリカ:「はは。まあね……そう思われてるくらいが、やりやすいでしょ」
日下部ルリカ:「いつか、命懸けの戦いになった時に……なんて。こんな予想、当たって欲しくなかったけど」
久遠仁:「それじゃあ、何かい?リベンジってのは、文字通りの……」
日下部ルリカ:「ん、そのままだよ」
日下部ルリカ:「私は、ニアちゃんに……"サンディーヴァ"に勝ちたい」
永良ゆづり:「だから、"サンディーヴァ"やこの夢界を潰したい。そのために私達に協力する、と」
永良ゆづり:「随分と負けん気の強い」
日下部ルリカ:「……思うんだよね」
日下部ルリカ:「一人で生き残ったニアちゃんは、幸せな世界を作るためにこんなことをした」
日下部ルリカ:「その理由は、寂しいとかじゃなくて。ただ、自分が生き残った責任を取ろうとしたんだと思う」
日下部ルリカ:「だって、そうじゃないなら、自分とは別にニアちゃんを蘇らせるはずがないもの」
日下部ルリカ:「だから、考えちゃうんだ」
日下部ルリカ:「もしも私が、あそこで勝っていれば」
日下部ルリカ:「あの子に、あんなもの背負わせずに済んだだろうってさ」
日下部ルリカ:「……だから、次は私が勝つ。どんな手を使ったって」
日下部ルリカ:「あの子の生み出した呪いを全部、ぶっ壊してやるのさ」
穂村 姫乃:「……うむ」
穂村 姫乃:「良いな。とても良い」
穂村 姫乃:ニヤリと口の端を吊り上げるように笑って。
穂村 姫乃:「悔やめど悩まず、負けれど臆さず。呪いを壊すとのたまうその気概」
穂村 姫乃:「実に気に入った」
穂村 姫乃:「儂の見る目もまだ捨てたもんじゃないの。いやまあ今回さほど関係ない気もするが」
穂村 姫乃:言いながらルリカへと手を差し出して。
日下部ルリカ:「お……すると、みんな信用してくれる感じっぽい?」
穂村 姫乃:「少なくとも、儂は乗るぞ。今回は二つに一つという必要もない」
穂村 姫乃:「友人として。手を組もうではないか」
日下部ルリカ:「……ふふ。友達甲斐のあるやつ」くすりと微笑んで、穂村さんの手を取る。
久遠仁:「そうさな……意地と言うなら、動機としては十分だ」
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「不安要素があるのも事実だが」
亜藤 蘭介:「自分を下した強者に、何を賭してでも勝ちたい」
亜藤 蘭介:「その執念には、身に覚えがあるし……信用、出来るだろう」
羽海束沙:「……そうね、私も。ひとまず共同するという点では賛成です」
羽海束沙:「この状況で、少しでも戦力が増える事は……他のリスクを踏まえても、見逃せませんし」
羽海束沙:「彼女の言葉についても、嘘だとは感じませんでした」
永良ゆづり:「同意。今の言葉は十分、信頼に値するし」
永良ゆづり:「"サンディーヴァに勝つ"ところは、協力出来ると思う」
永良ゆづり:「ただ、それ以上の目的がある場合は邪魔させてもらうから」
永良ゆづり:「壊した夢界領域の残骸を乗っ取って、改めて街を飲み込み直すとかね」
日下部ルリカ:「……なんだ。そっちにも結構いるんだね、負けず嫌い」ふふと笑う。
日下部ルリカ:「でもって、そりゃ無理かなあ」永良さんに。
日下部ルリカ:「ずっと、考えてたんだ……どうやったら、この夢界に対処できるか」
日下部ルリカ:「次に打つべき手は、一つしかない」
日下部ルリカ:「……元々は、君達が敵対的だった時の説得材料にしようと思ってたんだけどね」

GM:という所で、ルリカから情報がひとつ開示されます。

・情報公開「魄柱の防御機能について」
魄柱は「加速」の機能を用いた時間流の操作によって、自身の表面を覆うように時空障壁を展開している。そこには異なる時間流の位相が傾斜を形成しており、結果として魄柱は君達に干渉することができるが、外部から魄柱に触れることはできない。
日下部ルリカの「速度支配」の特質を持つ領域を最大出力で衝突させれば、これを破り「加速」の機能を持つ魄柱を破壊し得るだろう。
ただし、この規模の能力行使を行えば、ルリカ自身は力を使い果たして消滅するだろう。


日下部ルリカ:「つまり、私一人じゃどうやっても無理だったのさ」
永良ゆづり:「なるほど。そりゃあ、終わった後に付け入る隙なんてない」
日下部ルリカ:「加速機能の魄柱……つまり、マコトの店の近くにあるやつだね」
日下部ルリカ:「あれの力で……魄柱の表面を包むようにして、自分に接近するものを1億分の1くらいの速度に減速させる領域を作り出してる」
日下部ルリカ:「こっちの側から近づこうとしても、普通にやったんじゃまず届かない」
久遠仁:「おいおい……ちょっと待ってくれよ」
久遠仁:「それじゃあ、何か?その話が本当なら……」
久遠仁:「君は君のリベンジの結果をその目で確かめられないじゃないか」
日下部ルリカ:「あはは」
日下部ルリカ:「じゃあ、他にどうしろって?」
日下部ルリカ:「……最後まで戦える方法があるなら、そうするよ」
永良ゆづり:「こちらに時間流を操作できるオーヴァードはいない」
日下部ルリカ:「……気合でどうにかできる話なら、どうとでもしてやるよ」
永良ゆづり:「そんな不確かなものに頼るのも難しい話」
日下部ルリカ:「それに、結果なら確かめられるさ」
日下部ルリカ:「消えたはずの私が、もう一度蘇ることがあったら」
日下部ルリカ:「それが敗北だ」
亜藤 蘭介:「どんな手を使ってでも、か……」
久遠仁:「……自分で出した結論と決意なら、こちらが口を挟むことでもない、か」
久遠仁:「責任重大だな、こいつは」
永良ゆづり:「大した覚悟と、未練ね」
永良ゆづり:「その結論を出すまでに、どれだけ時間がかかったことやら」
永良ゆづり:ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
永良ゆづり:「これ以上、人の死を背負うのは遠慮したかったんだけどね」
永良ゆづり:咥え込んだ棒の先端から煙がか細く、天井へと伸びていく。
日下部ルリカ:「そうさ……他にどうしようもないから、君達を信じることにするって言ってるんだ」
日下部ルリカ:「どうか、安らかに眠らせてくれよ」
穂村 姫乃:「むう」 一つ、口を尖らせて。
穂村 姫乃:「事情も分かったし、異論反論があるわけでもない。じゃが」
穂村 姫乃:「他にどうしようもないから、というのは少しばかり業腹じゃの」
亜藤 蘭介:穂村の言葉に、ふ、と僅かに口を歪める。
羽海束沙:「……なら、その怒りを向けるべき矛先も」
羽海束沙:「"サンディーヴァ"になるのかしらね」
穂村 姫乃:「否。これでも一応神の現身のようなもんじゃし、約束通り正義の味方を連れても来たし」
穂村 姫乃:「もう少し前向きに儂らの勝利を信じてくれんもんか、とな」
穂村 姫乃:「まあでも、あっさり術中にハマって寝呆けとったわけじゃしなー。信頼出来んかー」
穂村 姫乃:そうボヤキながらベターっと机に突っ伏す。
日下部ルリカ:「……いや、それは。そういう意味で言ったんじゃ」
日下部ルリカ:「本当なら最後まで私の手でやりたいけど、それが無理だから仕方なくってことで……」
永良ゆづり:「実際、まだ人に助けて貰っただけだからね」ふーっ、と。明後日の方向に煙を吐く。
久遠仁:「都合よくバロールでもいれば良かったんだがなあ。速いだけじゃあ突破できんものかね」
亜藤 蘭介:「久遠、お前行けるんじゃないのか」
亜藤 蘭介:「大分速かっただろう、アレ」
久遠仁:「そうさなあ……」顎をさすって「試してみる価値はあるかな」
穂村 姫乃:「あるいは、そうじゃな。ルリカの方を強化したら案外耐えれたりせんかの」
穂村 姫乃:「丁度良いことに儂そういうのちょっと得意じゃし」
羽海束沙:「それは……まあ、そうね。彼女の計算結果だけを信じきる理由も、こちらにはありません」
永良ゆづり:「そうねぇ。貴女の方策には、貴女の強度しか勘定に入ってないし」
日下部ルリカ:「っ……!か、勝手なことばっかり……!」
亜藤 蘭介:「別に、無いものねだりをしている訳じゃない」
亜藤 蘭介:「閉鎖されたこの状況下に置いて、利用できるものは何でも利用する」
亜藤 蘭介:「加速の"魄柱"を斬り落とした後、君が消えない可能性が少しでもあるのなら」
亜藤 蘭介:「そちらの方が、こちらにとってもメリットが大きいだけの話だ」
亜藤 蘭介:「君と同じように。俺たちも、手段は選ばない」
久遠仁:「ああ。やってみて損は無いんじゃないか?」
永良ゆづり:「いいんじゃない。死なないなら背負わなくていいし」
日下部ルリカ:「っ、うう……! そりゃ、そう言われたら……」
日下部ルリカ:「こっちだって、試すなとは言えないけどさ……!」
日下部ルリカ:「人の決心の重さを……!このっ……!」
穂村 姫乃:「そうじゃって。なあ、ルリカ」
日下部ルリカ:「……ん」
穂村 姫乃:「成仏の手伝いに抜擢されたというならそれもまた誇りではあるがな」
穂村 姫乃:「成仏するより今後も生きてく方がずっと良いというのは、そりゃそうに決まっとるじゃろ」
穂村 姫乃:「儂らまだゲーセン行って映画見てバーガー食っただけじゃぞ?」
穂村 姫乃:「カラオケだのボウリングだのダーツだのパフェだのファミレスだのマリトッツォだの」
穂村 姫乃:「現世には娯楽が絶えんからな。味わえるに越したことは無い」
穂村 姫乃:「お主だって知りたかろう。違うか?」
日下部ルリカ:「あ……」数秒、呆気にとられたようにまばたきをして。
日下部ルリカ:「……ありがと。うん、ほんとに」
日下部ルリカ:「君と、友達になれて良かった」
日下部ルリカ:「出会うのがもう少し早かったら、不味かったかも」
日下部ルリカ:「そうしたら……"サンディーヴァ"に勝つことなんて、どうでもよくなって」
日下部ルリカ:「君と、ずっとこの世界で過ごしていたいって思っちゃってたかもしれない」
穂村 姫乃:「ふふ。最高の褒め言葉として受け取っておこう」
日下部ルリカ:「……でも、そういうわけにはいかない」
日下部ルリカ:「もしも、全てが君の言うように上手く行ったって」
日下部ルリカ:「この身体は私のものじゃないんだ」
日下部ルリカ:「誰かの人生を乗っ取って生きるなんて、そういうの」
日下部ルリカ:「認めらんないでしょ?正義の味方はさ」
日下部ルリカ:どこか寂しげに微笑んで、そう言い切る。
久遠仁:「……そうか。君も北条と同じ……」
"ビー"北条サイカ:「……ええ。本来の"バース"のオーヴァードは、皆……」ずっと黙って成り行きを見守っていたが、久遠さんの言葉を肯定する。
"ビー"北条サイカ:「……戦闘オーヴァード同士の殺し合い。それは即ち、オーヴァードが再生限界を超えるほどの戦いです」
"ビー"北条サイカ:「彼らの本来の肉体は、跡形も残っていない……そして」
"ビー"北条サイカ:「いかに夢界領域であっても、遺体も何もない所から蘇生を行うことはできません」
"ビー"北条サイカ:「夢というのは、観測者がいて初めて成立するもの……ですから」
亜藤 蘭介:「仮に"サンディーヴァ"打倒までを共に果たしても」
亜藤 蘭介:「夢から覚めた後は……元の場所に還るだけ、か」
羽海束沙:「……そうあるべき、でしょう。本来、死んでいるはずの人間なんです」
羽海束沙:「"興津比売命"も、その。気持ちは分からないでもありませんが……その」
羽海束沙:「……どこかで、割り切る事は必要かと」
永良ゆづり:「……道理ね」
永良ゆづり:「けれど、私達はもう日下部ルリカの意志を聞いてしまった」
永良ゆづり:「もう死人としては扱えない」
穂村 姫乃:「……うむ」
永良ゆづり:「……だから、ってわけではないけど。どうせ、貴女の死を背負わなきゃいけないのなら」
永良ゆづり:「もう少し、背負い甲斐のある振る舞いを心掛けて貰えるかしら」
日下部ルリカ:「……」
日下部ルリカ:「ごめん……私も、ちょっと気が立ってたし」
日下部ルリカ:「どうせなら皆が別れやすいように、って思ってたから……」
穂村 姫乃:「……否。ルリカの謝ることではあるまいよ」
穂村 姫乃:「別れこそ随分経たが、死別というのは久方ぶりでな。少々感情的になった」
穂村 姫乃:「希望を見すぎて現が疎かになったら本末転倒じゃしの」
永良ゆづり:「……失礼。別に、責めているつもりはなくて」
永良ゆづり:「ただ、貴女は私達のことを"正義の味方"と称したけれども」
永良ゆづり:「厳密には異なる。我々が与し、護ろうとするのは、貴女の様な権能に囚われた者の日常」
永良ゆづり:「私達のことを気遣う必要なんてまるでないし」
永良ゆづり:「例え、貴女の命がこの夢界領域が潰えるまでのものだったとしても」
永良ゆづり:「なるべく。出来る限り。護らせてもらえないかしらね」
日下部ルリカ:「……ああ」
日下部ルリカ:「知らなかったんだ。ずっと、あの地下施設から出ずに暮らしていたから」
日下部ルリカ:「UGNって組織がある、って事は知ってたけど……」
日下部ルリカ:「どれも、人伝てに聞いた話くらいの知識でしかなかった」
日下部ルリカ:「……本当、生きてる内に君達に会いたかったよ」
日下部ルリカ:ふう、と深く息を吐いて。
永良ゆづり:「……ごめんなさいね」
日下部ルリカ:「ああ、いやいや。恨み言じゃないって」
日下部ルリカ:「君達は、今この瞬間に間に合った。ここにいて、私を助けてくれるって言う」
日下部ルリカ:「それだけで、感謝してもしきれないさ」
永良ゆづり:「それはそれは。とても、背負いがいのある意志だね」
永良ゆづり:満足したように、咥えた白い棒を口の中に放り込んだ。


GM:シーン終了。ロイス、購入が可能です。
GM:また、NPCカードを獲得します。

・NPCカード:バース11”メルクリカル・スカイ”日下部ルリカ
①「偏差投器・荒天象(スロウシフト・ストーム)」
タイミング:セットアップ
制限:シーン1回
効果:ラウンド中、PC全員の攻撃力を+10し、エネミーがドッジした場合のリアクションの達成値を「20」に固定する。

②「領域送掌」
タイミング:イニシアチブ
制限:シナリオ1回
効果:効果使用を宣言したキャラクターから距離:至近にある対象単体の発揮する持続能力効果一つを消去し、HPを0にする。この効果は攻撃として扱い、カバーリングの対象となる。

久遠仁:ヤバ
永良ゆづり:つよ~~
穂村 姫乃:つよ
亜藤 蘭介:デメリットあるのかな
亜藤 蘭介:とりあえずロイスは保留します
亜藤 蘭介:う~ん購入…ブルゲチャレンジしますか
穂村 姫乃:ルリカのロイスを〇尽力/無力に変更
永良ゆづり:日下部ルリカ/○親近感/悔悟 で取得
亜藤 蘭介:3dx+1>=20
DoubleCross : (3DX10+1>=20) → 10[6,8,10]+4[4]+1 → 15 → 失敗

亜藤 蘭介:結構惜しかった
亜藤 蘭介:以上
久遠仁:う~ん ロイス保留でブルゲ
久遠仁:2DX+2>=20
DoubleCross : (2DX10+2>=20) → 10[6,10]+6[6]+2 → 18 → 失敗

久遠仁:羽海さん~~
穂村 姫乃:購入はこっちもブルゲチャレンジで
穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 8[8]+1 → 9 → 失敗

穂村 姫乃:ダメじゃあ。以上!
久遠仁:NPCカードを使わせてもらって買います
羽海束沙:あっ呼ばれた どうぞ~
久遠仁:やったね 以上です
亜藤 蘭介:ナイスバデム
永良ゆづり:じゃあ購入はブルゲ
永良ゆづり:2dx>=20
DoubleCross : (2DX10>=20) → 10[4,10]+1[1] → 11 → 失敗

永良ゆづり:うーん、以上
穂村 姫乃:あ、ブルゲ良かったら儂がもらってもいいか?
穂村 姫乃:範囲もちじゃし
久遠仁:どうぞ!
穂村 姫乃:いざとなったらメイド服脱ぐし
穂村 姫乃:貰った~
久遠仁:メイド服を……
亜藤 蘭介:脱ぐ!?
GM:なるほどね
GM:さておき以上の気配

◆Middle06:作戦立案◆

GM:では、集まった情報を元に作戦を練るシーンです。
GM:各自の調査内容を持ち寄り、魄柱伐採の手順を相談していきます。登場する方はどうぞ。
GM:シーンプレイヤーは久遠さんです。
穂村 姫乃:登場!侵蝕値はこれで10!
永良ゆづり:汚染値9→10
亜藤 蘭介:出ます 汚染値9→10
久遠仁:登場、7>8に
GM:OK!では


GM:---
GM:緑坂市 繁華街地区 某アミューズメント施設内・ボーリング場
GM:---
羽海束沙:「……では、今後のことを整理していきましょうか」
羽海束沙:ボウリングのスコア表示を見上げながら、おもむろに口を開く。
羽海束沙:個室ではないし、一応は自然に遊んでいるような振る舞いをした方が良いと言われたため、その通りに従っている。
羽海束沙:「私達の最終目的は、この夢界領域の破壊、ひいては"サンディーヴァ"の討伐」
羽海束沙:「このために、これから合計四本の魄柱を破壊する必要があります」
羽海束沙:「うち一本は所在を捕捉できていませんが、"ビー"さんの話などから推測するに」
羽海束沙:「"サンディーヴァ"が作り出した異界に、"ブリンクブレイド"本人と共に隔離されています」
羽海束沙:「そして、夢界領域は魄柱なくして維持できません。つまり」
羽海束沙:「残りの三本を破壊すれば、四本目を引きずり出すことも可能だということ……ここまでは、認識相違ないでしょうか」
亜藤 蘭介:「ない」"G"が複数付いた己のスコアボードを睨みつけたあと、少しだけ不機嫌そうに。
穂村 姫乃:「異議なしじゃな」 ドリンクを片手に自分の欄にスペアの印を入れて。
"ビー"北条サイカ:「ええ。あたしも、大丈夫かと」
久遠仁:ボウリングの球を持つ手が消失し、ほぼタイムラグなしにピンが薙ぎ倒される。
久遠仁:「そういう話だったな」
日下部ルリカ:「うわっ……えっ、そういうのアリ?」久遠さんの結果を見て目を丸くしつつ。
日下部ルリカ:「あ、こっちも異議ないよ。大丈夫」
穂村 姫乃:「仁、お主のそれ大丈夫か?弾割れたりせんか?」
久遠仁:「加減はしているとも。ピンが飛んで行ったら得点にならんしな」
永良ゆづり:「私も異議なしよ」当然の様に紫煙を燻らして、傍らの座席に腰かけている。
羽海束沙:「貴方、それ係員に注意されたら面倒なことになるでしょう……っ」永良さんに
永良ゆづり:「……失礼、ここ最近吸えなかったから嬉しくて」ココアシガレットを噛み砕く。
羽海束沙:こほん、と咳払いをして。「……重要なのは、敵と正面衝突すべきではないという事です」
羽海束沙:「現在の"バース"のオーヴァードは、私達を除いて102人」
羽海束沙:「半数以上は、かつての私達のように取り込まれたオーヴァードですが……彼らの精神汚染は、私達の比ではなく進行してしまっています」
羽海束沙:「夢界領域そのものへの対処を完了する以外の方法で、彼らを救出することはまず難しいでしょう」
羽海束沙:「……あっ、私の番」慌てて立ち上がって、レーンの方に向かう。
亜藤 蘭介:「俺たちの様に。彼らに北条の能力を用いても、実の記憶を取り戻すのは不可能という訳だな」
"ビー"北条サイカ:「ええ……皆さんの時も、あそこに連れて入ってすぐに思い出せた訳じゃなかった」
"ビー"北条サイカ:「その十倍以上の進行を経験しているとなると……やはり、施しようがないかと」
久遠仁:「日下部が協力してくれただけで、御の字というところかな」
羽海束沙:歪みのないフォームで真っ直ぐにボールを転がし、あっさりストライクを取って戻ってくる。
羽海束沙:「ええ……そうね。それ以上を望むのは、現実的じゃないでしょう」
穂村 姫乃:「ならやはりこの六人、戦闘要員としては儂ら四人が全戦力という訳じゃな」
亜藤 蘭介:「となれば。可能な限り"バース"の目を掻い潜り」
亜藤 蘭介:「3本の"魄柱"への対処を順繰りに行っていく。之が最優先目標か」
永良ゆづり:「ヒットアンドアウェイで、集中的に各個撃破しかないわね」
久遠仁:「一気に倒す(ストライク)は無理があるだろうしなあ」
久遠仁:「となれば、問題なのは順番か」
羽海束沙:「分散して向かう……には、流石にこちら側の駒が不足していますね」
羽海束沙:「あと10人いれば話は違ったかも」
穂村 姫乃:「加速・生産・迎撃の3本じゃったか。どこから手を付けるかじゃな」
穂村 姫乃:「あ、束沙ナイスストライク」 そう言ってハイタッチの手を構える。
羽海束沙:「えっ……あ、はいっ」流されるままハイタッチに応じる。
日下部ルリカ:「順番なら、最初に加速の魄柱を壊すべきだね」
日下部ルリカ:「こいつは、さっき言ったように……自分に干渉しようとするものの速度を、極端に遅延させる領域障壁を作る力を持ってる」
日下部ルリカ:「でもって、魄柱の機能は地下の根を通して共有されてるから」
日下部ルリカ:「こいつを最初にぶっ壊さないと、どうにも手がつけられないってわけ」
"ビー"北条サイカ:「……そういうことに、なりますね」
永良ゆづり:「権能を司る魄柱を倒せば、残りの魄柱からも奪われ弱体化していくワケね」
亜藤 蘭介:「初手が鬼門だな」
羽海束沙:「で、その一本目のある場所が……"マーシャル・ヘイヴン"の店のすぐ近くですか」
羽海束沙:「よりによって、と言うべきか」
久遠仁:「しかし、順に倒していけば、後になるほど警備は厳しくなるはずだ」
久遠仁:「最初に"マーシャル・ヘイヴン"を相手どれるのは、ある意味では幸運でもある」
"ビー"北条サイカ:「ええ……侵蝕値が高まるほど、戦闘のリスク自体は高まりますから……」リザレクトが使えるかどうかとかの話をしている。
穂村 姫乃:「ふむ。奇襲の一番の利点は敵の想定外を付けることじゃしな」
穂村 姫乃:「それを最も利用できるときに敵の首魁を叩けるのはこちらにとって利になるじゃろ」
日下部ルリカ:「うん……それに、もし初手でマコトを落とせるなら」
日下部ルリカ:「"天馬"という組織そのものに大きな混乱を与えることができると思う」
日下部ルリカ:「今の所、そこの指揮系統に"サンディーヴァ"が噛んでる様子もないみたいだったし」
亜藤 蘭介:「……支柱、だったからな。奴は」
久遠仁:「……」
永良ゆづり:「……その場合、"天馬"の一員から見た私達は裏切者扱いになるのかしら」
穂村 姫乃:「まあ、そうなるじゃろうな」
穂村 姫乃:「儂らからすれば表替えっただけでも奴らにとっては裏切りじゃろう」
永良ゆづり:「単に、夢界で"天馬"セルメンバーの役割をこなすだけなら」
永良ゆづり:「その上から騙くらかして協力……或いは、見逃して貰いたいところだけど」
亜藤 蘭介:「どうだろうな」
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"の強制力の強さにも依存するだろうが……」
日下部ルリカ:「まあ。私みたいなのがいる以上、絶対に和解の目がない、とは言えないだろうけど……」
久遠仁:「話し合って分かって貰えたなら良かったんだが。どうもそいつも無理らしいからな」
亜藤 蘭介:「天城を打倒した後であれば。尚更だろうな」
永良ゆづり:「"バース"シリーズ自体が魄柱を守るために存在しているなら」
永良ゆづり:「本来の役割が持つ思考を無視してでも立ちはだかるでしょうね。あまり実の有る話ではないか」
羽海束沙:「まあ、全員敵になると考えるべきでしょうね」
亜藤 蘭介:「しかし、ランク1位か……」
日下部ルリカ:「何、勝てるかどうか不安?」茶化すように亜藤くんに言う。
亜藤 蘭介:「ああ」至極当然のように。
亜藤 蘭介:「確実に得られる勝利など何処にも無い。奴自身の強さは記憶にもある……」
日下部ルリカ:「正直でえらいや。んー」
日下部ルリカ:「まあ……ランクと言うのも、あくまで1対1での評価指標だしね」
日下部ルリカ:「多数対一の戦闘は考慮外だし、向こうだって経験不足だ。上手く囲んで叩くことができれば……」
亜藤 蘭介:「……成程」
亜藤 蘭介:「事実。濃縮実験において」
亜藤 蘭介:「最後に残ったのは、日下部と"サンディーヴァ"だ」
羽海束沙:「……そういえば、貴方」ルリカの方を見て。
羽海束沙:「さっき、本来の濃縮実験の時の事を覚えているような話をしていたでしょう」
羽海束沙:「であれば、"マーシャル・ヘイヴン"や……"サタニアン・ガーデン"以外のオーヴァード達が、どうやって倒されたのか」
羽海束沙:「知っているんじゃないの?それを元にすれば、少しは対策が……」
日下部ルリカ:「……いやあ。そいつは」困ったように視線を泳がせて。
日下部ルリカ:「もし覚えてたら、とっくに言ってると思わない?」
永良ゆづり:「道理ね」
穂村 姫乃:「ということは忘れとるのか?」
日下部ルリカ:頷く。「私が思い出せたのも、ほとんど最期の景色だけ」
日下部ルリカ:「魄柱が私を再構成する時に、そういうことを思い出さないようにロックをかけたみたい」
久遠仁:「抜け目がないな」
日下部ルリカ:「辛気臭い記憶は、このユートピアには不要ってことなんでしょ」
亜藤 蘭介:「奴なりの気遣いという訳か」
永良ゆづり:「よく出来たシステムだこと」
日下部ルリカ:「……まあ、でも。思い出せたってことは、『持ってない』わけじゃない」
日下部ルリカ:「何かの拍子に思い出せる可能性は……なくはない、かも……?」
久遠仁:「それに、"マーシャル・ヘイヴン"が過去に一度倒されたというのは、厳然たる事実であるわけだ」
久遠仁:「無敵じゃあない。そいつが分かれば十分だ」
穂村 姫乃:「まあ記憶とは概してそういうもんらしいからなぁ」
穂村 姫乃:「思いだせないとしても消えたわけでなく、思いだし方を忘れとるだけじゃとか何とか」
"ビー"北条サイカ:「……もしかしたら、あたしの力なら。思い出させることは、できるかも……」
永良ゆづり:「へぇ」
久遠仁:「本当かい?北条」
亜藤 蘭介:「そうか。記憶探索者……」
"ビー"北条サイカ:頷く。「その場合は少し、血を飲んで頂く事にはなりますが……」
久遠仁:「しかし、だいぶ体力を使うんじゃないか?」
"ビー"北条サイカ:「う。それは……」
"ビー"北条サイカ:否定できない。本来、数週間に一度しか使えないような能力だ。
久遠仁:「……なら、やめておこう」かぶりを振って「優先順位を間違っちゃいけない」
羽海束沙:「……そうね。取り囲まれそうになった時、離脱できる手段はどうしても必要」
亜藤 蘭介:「ああ。……俺たちの作戦に。北条の"退避領域への隔離"能力は必須だ」
亜藤 蘭介:「日下部。悪いが……」
日下部ルリカ:「や、気にしてないって。そもそも、私が思い出せないのが問題なんだし」
亜藤 蘭介:「自分の中に確かに在るものを、思い出すことが出来ない、というのは」
亜藤 蘭介:「中々堪えるものだ」
亜藤 蘭介:「何か出来ることがあれば、遠慮なく言ってくれ」
日下部ルリカ:「ん……そうするよ。ありがとね」ふわりとした笑みを返す。
羽海束沙:「……では、思惑通りに最初の魄柱を破壊できたとして」
羽海束沙:「残りの対処についてですが。二本目には、『修復』を伐採すべきだと考えています」
穂村 姫乃:「うむ。でなければ鼬ごっこになりかねんしな」
久遠仁:「順当なところかな」
羽海束沙:「ええ……魄柱の損傷再生。この特性が、どの程度まで効力を持つかはっきりと検証できた訳ではありませんから」
羽海束沙:「最悪、破壊した筈のものが生え直してくるようなリスクも考えられます」
亜藤 蘭介:「それは……御免被りたいものだ」
久遠仁:「ハハハ。そうなれば目も当てられんなあ」
永良ゆづり:「オーケーよ。異論なし」
"ビー"北条サイカ:「ううん……一応、あの能力の一部に接続していた身としては」
"ビー"北条サイカ:「流石に、そこまでの能力はない、だろう……とは思いますが」
"ビー"北条サイカ:「あ、異議とかじゃなくて。その、考慮に足るリスクだと思います」
"ビー"北条サイカ:「多分大丈夫じゃないかな、って言いたかっただけで……はい」
永良ゆづり:「1本目を切り落とす過程で『修復』よりも『迎撃』を先に潰すべきだと分かれば」
永良ゆづり:「そのタイミングで修正してもいいでしょう。身を以て知った情報になるのだから」
羽海束沙:「そうね。実際に発生する反撃の程度を見て考慮すればいいでしょう」
久遠仁:「そうさな。ともあれ、一先ずの順番は『加速』『修復』『迎撃』と」
久遠仁:「やあ、方針が立ったじゃないか。一歩前進だ」
穂村 姫乃:「ようやっと、といったとこじゃのう」
永良ゆづり:「ええ」満足したのか、新たなココアシガレットを取り出して咥える。
穂村 姫乃:「いや、実時間が酷く経っとる訳でもないのは分かっとるんじゃが。儂らの感覚としては数週間やられとったようなもんじゃし」
穂村 姫乃:「マージ厄介じゃなー、この異界は」
穂村 姫乃:はーあとわざとらしい溜息を付きながらベタっとテーブルに突っ伏す。
久遠仁:「そうさなあ。もう少し遅ければ、俺たちも戻って来られなかったかもしれんな」
久遠仁:「改めてよくやってくれたよ、北条は」
"ビー"北条サイカ:「いえ。皆さんあってのこと、ですから……あたし一人じゃ、何もできませんでしたし」
亜藤 蘭介:「もうひとり分の人生を歩んできたようなものだ」「……事態解決次第、関係者全員のケアは必須だろう」
永良ゆづり:「……でも、そのお陰で、まだ最悪ではない。出来る限りを尽くす余地を残して貰えた」
日下部ルリカ:「私はこのままなら最悪、一人で暴れようかなとも考えてたんだけどね」
穂村 姫乃:「ホント根性据わっとるな、ルリカ」
日下部ルリカ:「結局、それじゃただの無意味な八つ当たりだ。君らが来てくれたおかげで、ようやくまともな勝算が見えた」
日下部ルリカ:「へへ。お互い様」
穂村 姫乃:「ふふ、似た者同士ということか」
穂村 姫乃:「ならば、ルリカのそれに負けんよう。精々ド派手に暴れるとしようかの」
日下部ルリカ:「ふふふ。せいぜい私より目立ってみせな~」
日下部ルリカ:"いつも"と変わりない、砕けた笑みを浮かべて。
日下部ルリカ:「さて、と」息を吐いて、ゆっくりと立ち上がる。
日下部ルリカ:「それじゃ、勝ちに行きますか」

GM:シーン終了。ロイス、購入が可能です。
永良ゆづり:ロイス保留。購入どうしようかな
亜藤 蘭介:同じくロイスの保。
亜藤 蘭介:購入はう~ん、強化素材いってみましょう
久遠仁:うーん ロイス保留で……ブルゲ
穂村 姫乃:こっちもロイスは保
久遠仁:2DX+2
DoubleCross : (2DX10+2) → 7[5,7]+2 → 9

久遠仁:だめ 以上です
亜藤 蘭介:3dx+1>=15
DoubleCross : (3DX10+1>=15) → 6[4,6,6]+1 → 7 → 失敗

穂村 姫乃:ブルゲチャレンジします
亜藤 蘭介:無
永良ゆづり:強化素材 目標15
穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 4[4]+1 → 5 → 失敗

穂村 姫乃:無理じゃった。以上!
永良ゆづり:2dx>=15
DoubleCross : (2DX10>=15) → 10[10,10]+8[2,8] → 18 → 成功

亜藤 蘭介:永良さん??????
穂村 姫乃:強すぎ
永良ゆづり:買えました
久遠仁:やば
GM:前回に引き続きダイス最強女してる
永良ゆづり:私も使えないことはないけど亜藤くんにパス。
亜藤 蘭介:えっいいの!?
亜藤 蘭介:じゃあ有り難くいただきます…おいひい…
永良ゆづり:美味しいのかな……
GM:バディムとかもなさそうかな ではカット

◆Middle07:魄柱討滅-1 / カフェ・エニフの戦い◆

GM:全員登場です。登場する時は汚染値を1上昇させてください。
永良ゆづり:汚染値11!
久遠仁:登場します 8>9
亜藤 蘭介:登場。汚染値10→11
穂村 姫乃:登場します。これで11。


GM:---
GM:カフェ・エニフ付近 魄柱生育地点
GM:---
GM:襲撃時刻は深夜未明。冷たい風に包まれた人気のない通りを、君達は音もなく歩く。
GM:木造の喫茶店の裏手。やや不自然に開いた空間に、数百メートルの高さを誇る闇色の巨木が聳え立っている。
GM:前回訪れた時には、影も見えなかったが。認識阻害から解放された今となっては
GM:いっそ近付き難い気配すらも感じる、強烈なレネゲイドを帯びている。
GM:傍に同行しているのは、君達4人の他に羽海と日下部。"ビー"は戦闘領域から少し離れた場所で待機し、状況を見て撤退能力を起動する事になっている。
日下部ルリカ:「言っておくけど……鬼の居ぬ間に……みたいなのは」その影を視界に捉えた頃、呟くように言う。
日下部ルリカ:「期待しない方がいいよ」
日下部ルリカ:「もう"見つかって"る」
穂村 姫乃:「じゃろうな。ここはもうヤツの縄張りじゃし」
穂村 姫乃:「ヤツは特に縄張りの中の出来事に敏感な性質じゃからな」
久遠仁:「そいつは残念だ。結局は荒事になるか」
亜藤 蘭介:天を衝く巨木の先を見上げていた首を下げて。「奴は……何を想って」
亜藤 蘭介:「守っているんだろうな。この樹を」
亜藤 蘭介:「本能だけか?」
羽海束沙:「……結構でしょう。首魁を倒して指揮能力を潰す事も、目的の一つなのだから」
永良ゆづり:「本人に聞いてみた方が早くないかしら」顔を上げ、空高く伸びる大樹を眺めながら。
久遠仁:「しかし、改めて近くで見ると、ばかみたいにデカいなあ。ハッハッハ」手でひさしを作るように巨木を見上げる。
久遠仁:「切り倒したら切り倒したで大惨事になりそうだが、大丈夫かな」
天城マコト:「こんな時間に」《縮地》熱された風が、俄に揺らめく。魄柱の傍に降り立つ。
天城マコト:「わざわざ裏手に回るのは、どういう訳かと思ったが」
天城マコト:「……何事だ?」訝るような目。完全に事態を把握している訳ではないらしい。
久遠仁:「やあ、天城じゃないか」
永良ゆづり:「……こんばんは、"マーシャル・ヘイヴン"」
永良ゆづり:咥えていたシガレットを嚙み砕き、帽子を外して会釈。
穂村 姫乃:「良い夜じゃな」
天城マコト:「……さて。客って訳じゃなさそうだな」
天城マコト:「敵意を帯びている。嫌でも分かる」真紅の眼が、君達を刺している。
天城マコト:《熱感知知覚》。代謝を理性で掌握するような芸当でもできなければ、この男の前で感情を隠し切ることは不可能に近い。
久遠仁:「すまんなあ、天城。物は相談なんだが」
久遠仁:「この木、切らせてもらうわけにはいかんかな」
天城マコト:「……何故だ?」警戒するような声で応じた、次の瞬間。
魄柱:──ぞわり、と
魄柱:周囲を覆っていた空気が一変する。
魄柱:枝先から漏れ出した黒い極光が揺らめき、天城マコトに触れる。
亜藤 蘭介:「……」外見こそ"前"と代わり映えしていないものの。一層、鋭くなった目で彼を見やったあと。
亜藤 蘭介:「……何だ?」
天城マコト:「……ああ。いや」
天城マコト:「……そうか」
天城マコト:「…………そう、だったのか」
天城マコト:「ずっと……妙な感覚を覚えてはいたんだ」
天城マコト:「理由は分からないが。なぜかこの大樹の傍に、いなければいけないような」
天城マコト:「この身体が、自分のものではないような」
天城マコト:「……仲間であるはずのお前達が、仲間ではなかったような」うわ言のように呟く。
天城マコト:「起きているのに、夢を見ているような……生きているのに、死んでいるような」
天城マコト:「ずっと、無視して生きてきた。俺には、やるべき事が多くあるからと」
天城マコト:君達が、この世界に何度も違和感を覚えていたように。彼らもまた。
永良ゆづり:「今。その樹に何を言われたの?」
天城マコト:「……全部だよ、きっとな」永良さんに応じる。
永良ゆづり:「(意識その物を乗っ取るのではなく、あくまで自己の役割と立場を認識させるだけ、か)」
永良ゆづり:「(魄柱の操り人形ではなく、"マーシャル・ヘイヴン"天城マコトとして立ちはだかるの、なら──)」
久遠仁:「そうか……」顎をさすって
久遠仁:「それを知って、どう思う?」
久遠仁:「あんたはどうする、天城」
天城マコト:「……客観的に見て」こめかみを抑える。
天城マコト:「俺は、利用されてるんだろう」
天城マコト:「この樹が今、俺に上方を与えたのは。自己の防衛のため」
天城マコト:「俺に、戦う決意をさせるための……」
天城マコト:「……分かってる。だが、それでも」
天城マコト:「俺は。……俺は、"天馬"のリーダーだ」
天城マコト:「この世界で生きているあいつらを」
天城マコト:「俺が裏切るわけには、いかない」
久遠仁:「ふむ……」
久遠仁:「そこまで分かっていても、止まれんか」
久遠仁:「自分でも気付いてるんだろう?自分が間違っていると。それが分からないあんたじゃ……」
久遠仁:「……あー……」
久遠仁:不意に言葉を切って。
久遠仁:「……いや」諦めたようにかぶりを振る。
久遠仁:「……何となく、分かっていたよ」
久遠仁:「あんたはそう言うだろうって」
久遠仁:肩を竦める。「無駄だろうなあ、説得は」
亜藤 蘭介:ゆっくりと頷いて。
亜藤 蘭介:「誰よりも俺たち……いや」「セルメンバーを想い。居場所を守ろうとした男だ」
天城マコト:「……ならば、お前はなんだ。仁」
天城マコト:「どんな理由があって、俺の……俺達の前に立つ」
久遠仁:「俺はUGNだ」
久遠仁:「……自分でも忘れてたがね。この夢の、外から来た」
久遠仁:「悪いが、この夢は終わりにしなくちゃあならない。守るものと、取り戻したいものがあるんでな」
久遠仁:「あんたと同じさ。譲れんよ」
天城マコト:「……なるほど。お前自身の望みを見つけろと言ったのは俺だが」
天城マコト:「まさか、こうなるとはな……」
久遠仁:「すまんな」
久遠仁:「どうやらもう、支えてやれそうにない」
天城マコト:「……ああ。構わん」
天城マコト:「お前と戦うのは、はっきり言って最悪の気分だが」
天城マコト:「不思議と、躊躇はない」
天城マコト:「FHとはいえ、人並みの良識は捨ててないつもりだったが」
天城マコト:「俺も、壊れてるって事なんだろうな」
GM:Eロイス「ファイトクラブ」によって擬似的に再現された死者の肉体と人格。生者を仮宿としたジャーム。
GM:その妄執は、果たして。
天城マコト:「この世界を守るためなら」
天城マコト:「……仁。お前を殺すことだって、迷いなくやれそうだ」
久遠仁:「なに、責めはせんさ」
久遠仁:「結局、やることは同じなんだ」
久遠仁:「お互い譲れないというなら……決着を付けるしかないだろう」
天城マコト:《ワーディング》を、その応答に代える。
天城マコト:轟、と暴風が吹き荒れる。急激な加熱による気流現象。この男が生み出す灼熱の副産物。
天城マコト:足元に生えていた土と草木が蒸発し、真円を描く。

GM:では、衝動判定です。目標値は9。
GM:この判定に失敗しても暴走はしませんが、成功で汚染値が+1、失敗で汚染値が+3されます。
亜藤 蘭介:ヌニッ!
久遠仁:ギャッ
GM:また、このセッションでは
GM:衝動判定は戦闘ラウンド開始前に発生しているため、「1ラウンド1回」の回数制限は1ラウンド目に食い込まないものとします。
永良ゆづり:2dx+2>=9  思い出の一品+ブランケット
DoubleCross : (2DX10+2>=9) → 4[3,4]+2 → 6 → 失敗

亜藤 蘭介:う~んじゃあ使っておこう 砂の加護を自身に。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (64 → 67)
穂村 姫乃:3dx+1>=9
DoubleCross : (3DX10+1>=9) → 9[3,8,9]+1 → 10 → 成功

永良ゆづり:羽海ちゃん……!
亜藤 蘭介:5dx+4>=9 思い出ブランケット
DoubleCross : (5DX10+4>=9) → 8[3,3,4,8,8]+4 → 12 → 成功

久遠仁:1DX>=9
DoubleCross : (1DX10>=9) → 4[4] → 4 → 失敗

羽海束沙:アシスト!永良さんを成功に
亜藤 蘭介:汚染値11→12
久遠仁:失敗で汚染値9>12
穂村 姫乃:汚染値は12まで上昇
永良ゆづり:あざます!!では汚染値12
GM:ではまずエンゲージの開示

[ 魄柱・歳過(00) 、 “マーシャル・ヘイヴン”(13) ]
10m
 [ 久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:続けてルール・補足説明
GM:勝利条件:「魄柱・歳過」の破壊
GM:戦闘終了条件:”ビー”のNPCカードの効果①を使用すること
GM:ないとは思いますが、勝利条件を満たさないまま戦闘終了条件を満たした場合、ゲームオーバーになるのでご注意ください
GM:また、この戦闘でネームドエネミーを撃破しないまま戦闘終了した場合、それらのキャラクター全員との戦闘が後で発生します。
亜藤 蘭介:ひええ
GM:それと、ラウンド終了、クリンナップごとに「増援イベント」が発生します。
GM:詳細はその時にもう少し説明しますが、ダイス次第で敵側の援軍が出現したりしなかったりします。
穂村 姫乃:まあ基本全滅させて回る方が良いんだな……
GM:で、もう一つ。本セッションでは、PCであれば誰でも以下のアクションを取ることができます。ご活用ください。

・《戦線退避》
マイナーアクションで宣言することで使用可能。戦闘不能かつ効果に同意する自分以外のキャラクター1体を、エンゲージ表から離脱させる。(シーンから退場するわけではないが、以後その戦闘に参加できず、攻撃の対象にならなくなる)

GM:説明は以上です。あ、あと
GM:この衝動判定で暴走はしないと言ったけど、侵蝕は……上がる!
亜藤 蘭介:アッ!!!!
穂村 姫乃:了解
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2d10(→ 9)増加 (67 → 76)
久遠仁:びゃ~
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2d10(→ 11)増加 (43 → 54)
永良ゆづり:50+2d10
DoubleCross : (50+2D10) → 50+5[4,1] → 55

久遠仁:51+2D10
DoubleCross : (51+2D10) → 51+10[8,2] → 61


GM:ミドル戦闘を開始します。
GM:1ラウンド目。セットアップ。
久遠仁:なし。
亜藤 蘭介:なし。
天城マコト:《得意領域》《力場の形成》《苛烈なる火》
穂村 姫乃:無し!
天城マコト:攻撃ダイス+5、攻撃力+25。HP減少
永良ゆづり:私自体はないけれども、日下部さんのNPCカード①を宣言。
日下部ルリカ:はーい、では
GM:①「偏差投器・荒天象(スロウシフト・ストーム)」
タイミング:セットアップ
制限:シーン1回
効果:ラウンド中、PC全員の攻撃力を+10し、エネミーがドッジした場合のリアクションの達成値を「20」に固定する。

GM:以上の効果が適用されます。ダメージ出す時とかに覚えておいてね。
永良ゆづり:助かります!!
亜藤 蘭介:ありがと~!
穂村 姫乃:助かる!
久遠仁:最高~
GM:改めてイニシアチブ。
天城マコト:《加速する刻》
久遠仁:ずる!!!
亜藤 蘭介:コラ!
GM:あ、ごめん その前に演出やっとこ

日下部ルリカ:「……悪いね。私はしばらく、あっちに集中しなきゃいけないから」
日下部ルリカ:その場に膝をついて、集中する構え。魄柱を砕くための備えをする、という意味なのだろうが
日下部ルリカ:パフォーマンスだ。真実ではない。何らかの支援の用意を、とうに終えている。

GM:これだけ。改めてイニシアチブ。
天城マコト:《加速する刻》より、マイナーなし。
天城マコト:メジャー「天地溶滅」《雨粒の矢》《シングインザレイン》《焦熱の弾丸》《紅蓮の衣》《クロスバースト》オート《バーストブレイク》
天城マコト:対象はPC全員。
天城マコト:13dx+30
DoubleCross : (13DX10+30) → 10[1,1,2,3,5,5,5,6,7,8,8,9,10]+3[3]+30 → 43

GM:リアクションどうぞ。
久遠仁:やめなさい
亜藤 蘭介:ど、ドッジ!
久遠仁:6DX>=43 ドッジ
DoubleCross : (6DX10>=43) → 9[4,4,4,6,6,9] → 9 → 失敗

亜藤 蘭介:5dx+1>=43
DoubleCross : (5DX10+1>=43) → 9[3,4,6,8,9]+1 → 10 → 失敗

穂村 姫乃:ドッジしとこ
永良ゆづり:(4-3)dx+1>=43 ドッジ
DoubleCross : (1DX10+1>=43) → 8[8]+1 → 9 → 失敗

穂村 姫乃:3dx>=43
DoubleCross : (3DX10>=43) → 10[1,3,10]+10[10]+5[5] → 25 → 失敗

穂村 姫乃:めちゃ頑張ったんじゃけど!
穂村 姫乃:もったいないんじゃけど!
GM:がんばったねえ
亜藤 蘭介:努力を認められた
久遠仁:よかったね
天城マコト:5d10+66+5D10 ダメージ。諸々有効
DoubleCross : (5D10+66+5D10) → 27[10,5,1,7,4]+66+23[7,2,1,9,4] → 116

GM:カバーリング確認遅れたので、する人いればどうぞ!
永良ゆづり:失礼、ではダメージダイスを振る前に《炎陣》。亜藤くんをカバーして侵蝕57。
亜藤 蘭介:ありがとうございます!
GM:OK。では改めてダメージを受けてください
GM:一応ガードした人はダメージ+35です
永良ゆづり:ゆづぇーっ!!即死!!
穂村 姫乃:儂も死!
亜藤 蘭介:衣いって!!
久遠仁:無論死!
久遠仁:61+1D10 リザレクト
DoubleCross : (61+1D10) → 61+8[8] → 69

GM:戦闘不能になった人は、汚染+1されるのでその辺の処理もよろしくおねがいします。
永良ゆづり:57+1d10 リザレクト
DoubleCross : (57+1D10) → 57+5[5] → 62

穂村 姫乃:リザレクトしつつ汚染値は13まで上昇
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 9)増加 (54 → 63)
久遠仁:汚染値12>13
穂村 姫乃:穂村 姫乃のHPを9に変更 (29 → 9)
永良ゆづり:汚染値は13になって以上!
GM:では演出。

天城マコト:領域の主、オルクス。自身が因子を展開・制圧した空間について強大な権限を行使する異能者。
天城マコト:この系統の能力者同士の戦いにおいて勝敗を左右するのは、他の何よりも、領域そのものの操作能力の長短である。
天城マコト:──矛盾。例えば、「全てを溶かす熱能力」と、「絶対不壊の防壁を作り出す能力」なるものがあったとして、これらが互いに衝突すればどうなるか。
天城マコト:「どちらかの虚飾が破れる」──一般的には、それが真実だ。
天城マコト:だが、互いが常に己の因子展開を能力起点の前提とする者、オルクスであるならば──「領域を掌握した側が勝つ」。
天城マコト:そして。
天城マコト:天城マコトが、"バース"の中で「1位」の座を揺るぎないものにできていたのは──当然、
天城マコト:能力そのものの殺傷性は元より、領域掌握の技術に依った。
天城マコト:──その操作精度、達人(アデプト)の剣技にも抗しうる。
天城マコト:──その展開速度、ハヌマーンの一撃にも迫る。
天城マコト:──その展開範囲、視界内の全て。
天城マコト:焔は副産物だ。君達を襲うのは、姿のない牙。
天城マコト:一触即蒸発、触れたものを溶かし崩壊させる因子領域そのもの──地を削り、空を飲み干し、君達の命を奪わんとする。
久遠仁:「ぐあ、ッ……」苦悶の声を上げつつ、自ら加速して分解された身体を急速再生させる。「直接やり合うのは初めてだが……」
久遠仁:「理屈で速い性質か。まずいな、苦手なタイプだ」
亜藤 蘭介:視認する間もなく直感的に判断する。埒外の出力を持って繰り出されるそれ。
亜藤 蘭介:せめて致命的な箇所だけを、己がレネゲイドで防護せんとした矢先。
永良ゆづり:疾走し、流転する白煙が。亜藤蘭介の周囲を巻くように吹き荒ぶ。
永良ゆづり:永良ゆづりの生成する煙は、猛るレネゲイドそのもの。
永良ゆづり:精巧にして濃密なる領域の中であれど、僅かな揺らぎと弛みを生み出すことは可能。
永良ゆづり:もっとも無力化したわけではない。しわ寄せは自身に還ってくる。
永良ゆづり:「────っ、かは」永良ゆづりの体躯が霧散し、レネゲイドの高ぶりを代償として瞬時に再生する。
亜藤 蘭介:晴れた煙のあと。身代わりとなった少女を一瞥し。瞬間だけ険しい表情を見せたあと。
亜藤 蘭介:「永良」感謝の言葉など彼女は必要としていまい。
亜藤 蘭介:「行けるか?」得物の柄を固く握りしめて。標的を改めて見定める。
永良ゆづり:「……勿論」
亜藤 蘭介:「良し」
永良ゆづり:「(……しかし、身を焦がすことよりも)」
永良ゆづり:「(夢に喰われる隙を生む意味で、そう何度も致命傷を受けるべきではない、か)」
穂村 姫乃:「ふむ。確かに迅く、鋭いな。しかし――」
穂村 姫乃:炎の影に隠れるように迫る領域にタイミングを合わせる形で再生を行う。
穂村 姫乃:それは炎として姫乃の身体を駆け巡り。火の粉が散った後、彼女の髪と瞳の色が変わっている。
穂村 姫乃:「あくまで副産物とはいえど、炎を相手に倒されるわけには行かんなぁ」
穂村 姫乃:火の神、興津比売命。その化身が顕現した。
天城マコト:「……加減をしたつもりはない。それでも、立つ者はいるだろう……と考えるのが戦闘というものだが」
天城マコト:融解の波濤が一通り伝搬したあと、抉りぬかれた焦土の中。なおも立ち上がる君達を見て、呟く。
天城マコト:「全員か。勘弁してほしいものだな……偽りとはいえ、仲間だった記憶のある相手を」
天城マコト:「何度も傷つけるというのは」吐き捨てる。続く攻撃に備える。

GM:イニシアチブ23。久遠さんの手番です。
久遠仁:マイナーでコンボ【陣雲】
久遠仁:≪骨の剣≫+≪死招きの爪≫
久遠仁:攻撃力24の素手を作成します
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を7増加 (69 → 76)
久遠仁:メジャーでコンボ【絶影】
久遠仁:≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:全力移動でエンゲージしつつ天城くんに攻撃します
GM:どうぞ!
久遠仁:8DX7+7
DoubleCross : (8DX7+7) → 10[2,2,3,3,7,9,9,10]+10[2,3,8,10]+10[9,10]+3[1,3]+7 → 40

天城マコト:リアクション。ドッジ《幸運の守護》
天城マコト:13dx+30
DoubleCross : (13DX10+30) → 10[1,1,1,3,3,4,4,5,5,8,9,9,10]+4[4]+30 → 44

久遠仁:は!?
日下部ルリカ:NPCカードの効果で20に。
GM:命中です。ダメージどうぞ。
久遠仁:ヤバ…………
永良ゆづり:こわわ……
久遠仁:ダメージ出します
久遠仁:5D10+24+5 装甲有効
DoubleCross : (5D10+24+5) → 16[2,3,5,5,1]+24+5 → 45

久遠仁:出目悪
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (76 → 80)
GM:ルリカで攻撃力+10してるから55かな
久遠仁:そうだ
天城マコト:喰らいます。まだまだ平気
GM:演出どうぞ

久遠仁:「残念だよ天城。仮初とはいえ、あんたのことは気に入ってた。いや、今でも気に入ってる──」
日下部ルリカ:前触れはない。久遠仁の動きの起こりよりも速い、事前の打ち合わせによるタイミングの同調。
日下部ルリカ:どこからともなく投擲されたナイフが、天城マコトの背を狙い飛翔した。防御のために展開していた領域に衝突。溶解。
日下部ルリカ:火花を散らした時間は、僅かに一秒も保たない。刃は溶け落ちて、しかし
天城マコト:「……!」その火花は、領域能力者同士の相互干渉。
天城マコト:自身を覆って半球状に展開した攻性防壁に、僅かに間隙が生じる。
久遠仁:「本当にざ」
久遠仁:地を蹴る。
久遠仁:急速に、極限まで鈍化する時間感覚。無音の世界に潜航し、一振りの刀を携えて足を踏み出す。
久遠仁:踏み散らした草、蹴り出した土がゆっくりと宙を舞う。
久遠仁:全てが静止した中を、久遠だけが動いている。実時間では刹那にも満たぬ内に、彫像のように凍り付いた天城のもとへと辿り着く。
久遠仁:柄を握り締める。鞘から刀身を引き抜いていく。抜刀と同時に、逆袈裟に刀を振るう。
久遠仁:白刃が月光を反射して、煌めく。
久遠仁:刃が服の繊維を破り、天城の脇腹に差し込まれる。その下の皮膚を裂く。肉を斬る。骨を断つ。
久遠仁:天城の身体に、真っ直ぐな刃創が刻み込まれる。
久遠仁:その傷に、動かぬままの表情に、兜越しに僅か視線を向けて。
久遠仁:ひゅる、と刀身を返す。続けざまに二度。
久遠仁:振り抜いた体勢から、逆方向に柄頭を戻す。顎を打ち抜き、衝撃に皮膚と髪が波打つ。
久遠仁:ようやく、最初の傷口から血飛沫が噴き出てくる。
久遠仁:それに触れるより先に、切り裂いた脇腹に回し蹴りを叩き込む。
久遠仁:顎からの衝撃が伝わるより先に、胴に別ベクトルの衝撃。
久遠仁:逆方向の運動エネルギーに、刻んだ傷口が無理やり引き裂かれるように開かれる。
久遠仁:それを見て、静かに刀を収める。
久遠仁:時間が戻ると同時、鍔鳴りの音が響いた。
久遠仁:「──ん 念だ」
天城マコト:「が、ッ……!」噴き出した血飛沫が、自身の領域に触れて蒸発する。真紅の蒸気が風に吹かれる。
天城マコト:「……お前の速さは、知っていた、つもりだったが……」傷を再生しながら踏みとどまる。
日下部ルリカ:「……一応、刃先は抗レネゲイド加工なんだ。少しくらいなら、君の領域だって耐えられる」
久遠仁:「いやァ……」表情を映さぬ兜から、天城を見据える。
久遠仁:「こっちも、殺したつもりだったさ」
日下部ルリカ:先程から動いていない。膝をついて、魄柱を刈り取る一撃を放つ備えをしているまま。
日下部ルリカ:「投げておいた。ここに来る前に」
日下部ルリカ:「ずっと"減速させ続けて"ある。私の思念一つで、そいつらは速度を取り戻す」
日下部ルリカ:「君の力とはいえ、闇雲に焼いて届く距離じゃない」
日下部ルリカ:「狙い撃つにしても、視認はまず不可能だ」
日下部ルリカ:「光の伝達速度を変えれば、見え方なんてどうとでも偽装できる」
日下部ルリカ:かなり調整に苦労はするけど、という言葉を飲み込んで。
日下部ルリカ:「さて、あと何本あるかな」不敵な笑みを作り、浮かべる。

GM:イニシアチブ。行動値9、永良さんへ
永良ゆづり:はいさーい
永良ゆづり:マイナーで戦闘移動して、天城マコトに接敵。
GM:失礼、イニシアチブ13が天城なんですが
GM:ここは待機してます。そのままどうぞ。
永良ゆづり:はいさい!
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》
永良ゆづり:対象は天城マコト!
GM:どうぞ!
永良ゆづり:あ、命中判定前に羽海さんのNPCカード①を使用します。
羽海束沙:了解です。命中ダイスを+10してね
永良ゆづり:ありがと~~!では改めて!
永良ゆづり:(7+10)dx7+6
DoubleCross : (17DX7+6) → 10[1,2,2,2,3,4,4,4,5,6,6,7,7,7,8,8,9]+10[2,2,5,6,9,9]+10[4,10]+10[9]+10[10]+2[2]+6 → 58

GM:ダイスつよつよ魔人
天城マコト:ガードします。
久遠仁:ダメージ前に
久遠仁:《餓狼の爪》 +24してください
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を3増加 (80 → 83)
GM:グワーッ
永良ゆづり:わぁお!ありがたい!!
永良ゆづり:そして順番は前後して申し訳ないですが、羽海さんのNPCカード②バディムも使用し、達成値を61に!
GM:OK!ダメージどうぞ
永良ゆづり:(7+1)d10+14+10+10+24 装甲無視
DoubleCross : (8D10+14+10+10+24) → 44[6,8,3,5,10,2,8,2]+14+10+10+24 → 102

GM:やば……
天城マコト:オート《融解》ダメージ21軽減
天城マコト:残りは喰らいます。それでも流石にかなり痛い……
永良ゆづり:ぐぬぬ。こちらは侵蝕66になって以上!
GM:演出どうぞ!

羽海束沙:銃声が一つ。空へ向けて放たれたそれは、糸で吊るされたように異様な円弧を描く。
羽海束沙:.3XXコーディネイト弾。使用者の意思に感応し、ごく僅かに変形する特殊弾薬。
羽海束沙:羽海束沙がそれを用いるのは、殺傷性の向上ではなく、空気抵抗の調整のために。
羽海束沙:ノイマン・シンドロームの頭脳を以て、自在の弾道を導出する。鉛弾を翼に変える"フェザリー・リード"。
羽海束沙:飛翔し、天城マコトの視線を誘う──融解領域に接触すると同時、炸裂。閃光が一瞬ばかり視界を塞ぐ。
久遠仁:直後、ガクン、と天城の体勢が崩れる。
天城マコト:「っ……!?」
久遠仁:知覚外からの攻撃。その脚の裏側、アキレス健が切り裂かれている。
永良ゆづり:「(……なんと、頼もしい。短期決戦が望ましいのは共通見解か)」
天城マコト:痛みを堪え、瞬時に思考する。急所ではない、動きを封じるための斬撃。であれば、本命が──
永良ゆづり:僅かな思考だがそれすらも断ち切り。"本命"としての行動を、音も気配も無く開始する。
永良ゆづり:両腕をぐん、と払う様に振り。袖先から二本一対の金属棒を取り出す。
永良ゆづり:携えるは"峨嵋刺"。中国武術に伝わる暗器の一種。
永良ゆづり:中指に嵌め込んだ金輪を支点とし、掌で旋回させると。
永良ゆづり:自身の周囲を吹き荒ぶ白煙が、巻き込まれる様に峨嵋刺に纏わっていく。
永良ゆづり:疾走。獣めいて態勢は低く。体躯のばねに弾かれるかの如く夜闇を駆け抜け。
永良ゆづり:肉薄。間合いは瞬かず疾く。靴裏が食い込む程に地を蹴り、黒き影を擲つ。
永良ゆづり:貫き穿つは、天城マコトが心の臓腑。
永良ゆづり:即ち。全身に余すところなく伸びる血脈の中枢にして、炉心。
永良ゆづり:あれだけ強大かつ緻密な領域制御を施しているのだ。
永良ゆづり:流れている筈だ。溢れん限りに猛り狂うレネゲイドが。
天城マコト:「──か、はっ」然り。炉心であり、源泉だ。
天城マコト:そこに流れる血と熱が。差し込まれた刃を融かし、押し出さんと溢れて──
永良ゆづり:それこそが。永良ゆづりの権能が真価へ至るための着火石。
永良ゆづり:────炸裂。爆壊。熱焼。
永良ゆづり:峨嵋刺を介して、体躯の中に流し込まれた煙が燃え盛り、焦がし尽くさんと牙を剥く。
天城マコト:「っ……!」身体を捻り、損傷を再生しながら、その焦煙から強引に距離を取る。
天城マコト:回復しきってはいない。胸に開いた孔は塞がりきらず、流血を続けている。
天城マコト:「見事な、連携だ……少し、羨ましい」
永良ゆづり:「それはどうも」淡々と呟いて、バックステップで瞬時に距離を取る。

GM:イニシアチブ。行動値5、亜藤さん。
亜藤 蘭介:はーい
亜藤 蘭介:マイナーで天城くんに戦闘移動、接敵。
亜藤 蘭介:メジャー、コンボ:"羅紗切"。《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》+《砂塵霊》
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を10(→ 10)増加 (76 → 86)
亜藤 蘭介:対象はもちろん天城くん。
GM:OK!命中どうぞー
亜藤 蘭介:11dx7+6
DoubleCross : (11DX7+6) → 10[1,1,2,4,4,5,6,6,7,7,7]+10[6,8,10]+10[1,9]+1[1]+6 → 37

永良ゆづり:届け、私のバディム!!
亜藤 蘭介:永良…!
亜藤 蘭介:40になりました
天城マコト:回避できない!リアクションはガードで。
亜藤 蘭介:ではダメージいきまーす
亜藤 蘭介:5d10+31+10
DoubleCross : (5D10+31+10) → 19[1,2,7,3,6]+31+10 → 60

亜藤 蘭介:装甲を無視!
GM:ぐおお
天城マコト:かなり痛いが……耐えてる!
亜藤 蘭介:それでこそ
GM:演出どうぞ!

亜藤 蘭介:永良が距離を獲った刹那。迫る小さな影。
亜藤 蘭介:己が内で練ったレネゲイドを、足裏を通して地に向けて放ち。
亜藤 蘭介:勢いよく突き出た"ヒトの両腕"を模した土塊を足場に宙を飛ぶ。弾丸のように。
亜藤 蘭介:大上段から振り下ろした鈍色の刃が。天城マコト目掛け振り下ろされる。
天城マコト:──睨み上げる。視線は、その速度に追いついている。
天城マコト:見えているのであれば、捉え融かせる。それが彼の領域だ。本来ならば。
日下部ルリカ:一瞬早くに着弾した刀剣が、炸裂。異なるオルクスの因子を撒き散らし、その支配域を撹乱する。──刃筋が通る。
亜藤 蘭介:胸前目掛け振るった刃が砕ける。
亜藤 蘭介:「どちらが現で、どちらが夢か」
亜藤 蘭介:「今のお前に問うても意味はあるまい」
亜藤 蘭介:"マーシャル・ヘイブン"、"メルクリカル・スカイ"、魄柱。
亜藤 蘭介:周囲取り巻く強大なレネゲイドの余波か。斬撃の衝撃に依るものか。
亜藤 蘭介:"刃を象った、ただの土くれ"が全て地に還ったあと。
天城マコト:「っ……!?」見えていた。だからこそ、眼前の対手の得物が四散するという状況に虚を突かれる。
亜藤 蘭介:その手に握っていた、日下部ルリカのナイフが。月の光に照らされ、妖しく煌めいて。
亜藤 蘭介:一歩で袈裟斬りにその守護を断ち。二歩目の返す刃でその源を断つ。
亜藤 蘭介:「俺の世界を救うために」
亜藤 蘭介:「悪いが、手段は選んでいられない」
天城マコト:領域が四散する。血飛沫が舞う。
天城マコト:並のオーヴァードであれば数度は息絶えているだろう損傷を数度重ね、本来の防御能力を封じられ。
天城マコト:それでも尚、純粋な生命力によって立ち続ける。
天城マコト:それが纏う殺気も、気力も、吹き荒れる熱も。止む気配はない。

GM:イニシアチブ。行動値4、穂村さん。
穂村 姫乃:うむ。マイナーとメジャーでそれぞれコンボと行こう。
穂村 姫乃:神憑り始め:オリジン(レジェンド)Lv5+氷の回廊Lv1
穂村 姫乃:精神判定の達成値+10、飛行状態で天城達のエンゲージへ戦闘移動、移動距離+2m、侵蝕率+3
穂村 姫乃:神事起こし:蝕む赤Lv5+ブラッドスパイクLv3+災厄の炎Lv5
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)、攻撃力+24、ランク5の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+8
穂村 姫乃:狙いは勿論天城一人。行くぞ
GM:ぎえーっ 来なさい!
穂村 姫乃:4dx+24
DoubleCross : (4DX10+24) → 9[1,3,7,9]+24 → 33

天城マコト:20超えてる!ガード!
永良ゆづり:《凍てつく刃》攻撃力+1D+15
永良ゆづり:侵蝕69になって以上。
穂村 姫乃:助かる。ではダメージ!
穂村 姫乃:24+4d10+1d10+15
DoubleCross : (24+4D10+1D10+15) → 24+32[10,8,5,9]+1[1]+15 → 72

穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を11(→ 11)増加 (63 → 74)
GM:ひゃえ~
天城マコト:喰らいます。耐えてる。
穂村 姫乃:耐えるか。だがランク5の邪毒は受けてもらうぞ。
穂村 姫乃:すまん、ルリカの+10忘れとったから実ダメージ82じゃった。
GM:なるほどね……!
天城マコト:累計248ダメージ。HP247なので戦闘不能
天城マコト:《燃える魂》復活します。
GM:また、ここでルールという程でもない特殊ルールの説明
GM:一部のエネミーが侵蝕4d10級のエフェクト使用時、回想現象が発生する事があります。
GM:この内容はPC達は把握できていいです。ビーの時と同様に漏出している感じ。
久遠仁:なるほど
GM:説明以上。演出どうぞ。

穂村 姫乃:「さて。それでは精々神様らしく」
穂村 姫乃:「神事でも起こすとしようか」
穂村 姫乃:赤く染まった瞳を細め。紅く変わった髪を揺らし。先と変わらぬ不敵な笑みを浮かべて。
穂村 姫乃:「援護を頼むぞ、ルリカ」
日下部ルリカ:「オッケー、任せて。合わせる」
穂村 姫乃:一歩、二歩。歩みは緩やかだ。急ぐ必要などないかのように。
穂村 姫乃:「うむ、心強い。ああ、そう言えば天城。先ほど何故と問うていたな」
穂村 姫乃:「まあ儂に聞いた訳じゃないんじゃろうけど。言いたいから勝手に答えてやろう」
天城マコト:「……ああ。誰だって、そうだろう」
天城マコト:「自分達の望みを、否定すると言うなら。理由と覚悟を知りたくもなる」
穂村 姫乃:「然り。なら答えよう」
穂村 姫乃:「一つには旅を続けるため。一つにはこの街を救うため。そして何より」
天城マコト:静かな声で会話に応じながら、呼吸を整える。敵の動き出しに、気を張り詰める。
穂村 姫乃:「友人の覚悟に応えるため」
穂村 姫乃:「命を張るには充分過ぎるじゃろ?」
天城マコト:「……ああ。そういう話なら」
天城マコト:「俺も、よく知っている」
穂村 姫乃:「じゃな。お主はそういう男じゃ」
穂村 姫乃:二ッと笑うと同時に動く。右手で天城へと掴みかかるように。
天城マコト:「譲れないんだろう。よく分かった……だから」
天城マコト:「躊躇はない。初めから」焔が疾る。気中の微小粒子を融解・発火させる故の副産物。
天城マコト:一瞬のレネゲイドコントロール。空間を削り融かす領域の牙が、突き出された右腕を呑み込む。
穂村 姫乃:こちらも躊躇うことは無い。牙がそこにあると知りながら、なお右腕を突き出して。
穂村 姫乃:――食い破られた右腕から鮮血が飛び散る。
穂村 姫乃:「ルリカ!」
日下部ルリカ:声をかけられるより早く。彼女が右腕を突き出した瞬間に、その意図を察している。
日下部ルリカ:距離450メートル、マンションの屋上より。コンマ1秒での着弾。
日下部ルリカ:飛散した鮮血を纏い、朱に染まった刃が。天城マコトの胸部を抉り貫いている。
穂村 姫乃:「通ったな」
穂村 姫乃:瞬間、夜闇に包まれた裏通りが炎によって照らされる。
天城マコト:「ッ……!!」
穂村 姫乃:飛び散った鮮血がそのまま炎に姿を変えて襲い掛かる。ナイフを通し撃ち込まれた血が天城の体内を焼き焦がす。
穂村 姫乃:ほんの一滴に至るまで、全て。興津比米命の血肉にして神の力を宿す雫。
穂村 姫乃:不死を与える薬であり、熱を齎す炎であり、穂村姫乃の操る牙。
天城マコト:体内からの侵蝕に対して、領域による防御はもはや無意味だ。
天城マコト:突き立てられたナイフを融かし消そうとも、骨肉を滅するその焔が止む事はない。
穂村 姫乃:「全く、こうでもせんと通らんのがお主の怖いとこじゃよな」
穂村 姫乃:ずたずたに裂けた右手をふらりと振る。しかし口元には変わらず笑みを湛えて。
穂村 姫乃:「じゃが。通ったからには逃がさんぞ」
天城マコト:「っ……グ、かっ……」どれほどの力があろうとも、火焔そのものを融かす事は不可能だ。
永良ゆづり:重なること。先刻、天城マコトの体内に流入した白煙の残滓が。
永良ゆづり:霊験灼然なる炎舞への供物となり。焚き付け、搔き回し、猛々しく賛美する。
穂村 姫乃:「ゆづりの火種も残っとる。その火はもはや、お主が死ぬまで消えはせん」
穂村 姫乃:先の攻撃で撃ち込まれた煙を飲み込んで、炎は更に燃え盛る。
天城マコト:「ッ……」ゆらり、と影が揺れて。初めて膝をつく。
天城マコト:声が乾いて、視界が眩む。生来、ほんの数度しか自覚した事のない感覚。己の戦闘能力の限界。
天城マコト:──その感覚に、誰かの声と。忌まわしい記憶が重なる。
天城マコト:この世界で、本来の地獄(サンディーヴァ)を知らぬ演者たちを以て、幸福な夢を描くため
天城マコト:"サンディーヴァ"が封をしていたもの。その一端が、ここに至って解けていく。

天城マコト:──最初は、難しいことを考える必要もなかった。
天城マコト:目の前の敵に勝つ事だけが正しい行いで、それ以外のあらゆる出来事は、関わるべきではない些事か悪徳だ。そういう世界に生きてきた。
天城マコト:そんな中で、俺は少しばかり勝つ事が上手かった。
天城マコト:本気でかかってくる相手を、どれも容易に打ち倒す事ができた。
天城マコト: 次第に手を抜いて、楽に勝つ事を覚え始めた。
天城マコト:それでも十分に周りを圧倒できたから、研究者どもも文句など言わなかった。

天城マコト:……何もかもが、楽勝だった。
天城マコト:だから変わった。ある種、必然の結果として。
天城マコト:余裕は慈悲を産む。
天城マコト:富豪がいつだって寄付する宛を探しているのと同じ話だ。
天城マコト:「強い」とはそういうことだ。
天城マコト:「これ以上無闇に相手を傷付ける事はない」、などと選択する権利がこの手にある。
天城マコト:目の前の相手の苦悶と嘆願に、耳を貸してやる選択肢が生まれる。
天城マコト:だから──いつしか俺は、蹴落とすべき競争相手達の事を、見捨てられなくなっていた。
天城マコト:月に数度、ランキング下位層の彼らがどこか別の場所に連れて行かれて、代わりの数人が補充される──
天城マコト:幼少の頃から目にしていた当たり前の世界の営みを、許し難いとすら感じるようになっていた。

天城マコト:"アモーガ"でのランク戦は、戦闘データの採取と検体の成長が目的だ。必ずしも殺し合う必要はない。
天城マコト:「だから、仇と思わず仲良くすればいいだろう」
天城マコト:そんな事を皆に嘯くようになった。
天城マコト:つい先程まで傷つけ合っていた相手に、笑って握手の手を差し伸べた。
天城マコト:欺瞞だ、と言われても仕方がない。現実は大して変わっていない。
天城マコト:此処は日の届かない地下で、俺達は首に掛けられた識別票に刻まれた名で呼ばれる、あいつらの実験動物だ。
天城マコト:それでも、「一番強いやつ」がそういう振る舞いを始める事には、幾らかの意味があった。
天城マコト:俺達は少しずつ……本当に、ごく少しずつ。年相応の人間らしく結束していった。
天城マコト:言葉を交わすうちに、互いのことが分かってきた。
天城マコト:好きな食べ物、好きな本、生きてきて嬉しかったこと、悲しかったこと、いつか将来やりたいこと。
天城マコト:それが分かった時、俺達の為すべきことは
天城マコト:俺が持つ力の使い道は、一つだと思った。
天城マコト:信頼できる仲間達を束ねて、このセルをひっくり返す。俺達ならば
天城マコト:それが、できると思った。
天城マコト:……思っていたんだ。

GM:──ゴ ッ
GM:研究室の床に、鈍い音が響く。
GM:それが、自分の首が落とされた音なのだと、天城マコトは僅かに遅れて理解した。
"ヴィローシャナ":「……君達ほどの怪物を作り出しておいて」
GM:頭上から、声が響く。
GM:人を見下したような溜息だ。だが、今の彼にそれを見返す余裕もない。
GM:瞼が縫い付けられたように、まばたき一つ儘ならない。
"ヴィローシャナ":「何の安全装置も用意しないと思ったかい」
GM:領域生成。何度となく繰り返してきた工程。
GM:思念一つで熱を走らせ、どんな金属・硬皮だろうと溶かし切るその技が、今。彼女の前では何一つ機能しなかった。
GM:目の前のこの女を殺そうとした途端、全身を激痛が苛んでいた──まるで、自分の体が自分のものではないかのように。
"ヴィローシャナ":「──忘れていたかね。いや、こういう日のために、気づかせないようにしていたのだが」
"ヴィローシャナ":「君達は最初から最後まで、私のものだ」
GM:黒い匣を撫でながら、声が告げる。
"ヴィローシャナ":「もしも私が君達に『隠し事を全て話せ』と命じれば、君達はそうする」
天城マコト: ……そんな。
"ヴィローシャナ":「『ここで私と話した事を忘れろ』と命じれば、君達の脳はそうなる……隠し事をしようなどと、どうやっても無理な話だ」
天城マコト:だったら、初めから。
"ヴィローシャナ":「そうとも。初めから、君達に自由なんてなかったのさ」
"ヴィローシャナ":悪魔が、口元に弧を描いて笑う。
"ヴィローシャナ":「……ああ、"絶望した"かい?」
"ヴィローシャナ":「それは良かった。無駄話をした甲斐があるというものだ」

GM:……足音が、遠のいていく。
GM:追いかけるはおろか、一瞥する事すらできず、
GM:地に伏した虫のごとくに、「1位」の男は死にゆく。
GM:最期に襲ってきたのは、取り返しの付かない罪悪感だった。
GM:仲間達にかけた言葉が、自らの内で反響する。
天城マコト:何が、「俺達ならあいつらに勝てる」だ。
天城マコト:「誰一人死ななくていいようにする」だ。
天城マコト:仲間たちに、あるはずもない希望を見せてしまった。
GM:その罪を思いながら、天城マコトの命は潰えた。
GM:……それが、「一度目」の記憶。
GM:この楽園で幸福な夢に耽らせるために、"サンディーヴァ"が思い出すことのないように改竄していた悪夢。
GM:限界を越えた戦闘が、いま、そのメッキを剥がした。だから。

天城マコト:──「本物の俺」は
天城マコト:最期まで、思っていたんだ
天城マコト:もしも、次の機会が
天城マコト:「死んだあとの世界」なんてものがあるのだとしたら
天城マコト:俺は、あいつらにどうやって詫びればいいのだろうか

天城マコト:俺のせいで──叶うはずのない夢を見てしまった
天城マコト:その夢のためになら、命を懸けたっていいと言ってくれたあいつらに
天城マコト:どんな償いを、してやれるだろうか
天城マコト:俺のせいで──ニアが。その成れの果て(サンディーヴァ)が
天城マコト:こんな夢(せかい)を、紡ぎあげたのだとしたら──
GM:微睡みが、現実へと回帰する。
GM:限界を越えて焼き尽くされたはずの男の肉体に、もう一度。灯が点る。
天城マコト:「──今の、俺に」
天城マコト:「できること、は……ッ!」
天城マコト:咆哮する。赤熱する真紅の領域が、男の輪郭すらも融かして。
天城マコト:一体の幽鬼が、君達の前に立ちはだかる。
穂村 姫乃:「……ただの一度で折れるお主でもなかったか。そりゃあそうか」
穂村 姫乃:立ち上がったその姿に驚くでもなく、どこか納得を持って呟いて。
穂村 姫乃:「良かろう。お主が燃え尽きるその瞬間まで」
穂村 姫乃:「儂らもまた折れはせん」

GM:イニシアチブ、行動値0。魄柱・歳過の手番。
魄柱・歳過:行動しません。こいつのメジャーアクションは自己再生しかないが、今はHP最大のため。
GM:待機手番イニシアチブ、行動値13。"マーシャル・ヘイヴン"の行動
天城マコト:メジャー「天地溶滅」《雨粒の矢》《シングインザレイン》《焦熱の弾丸》《紅蓮の衣》《クロスバースト》オート《バーストブレイク》
天城マコト:対象はPC全員。
天城マコト:13dx+30 命中
DoubleCross : (13DX10+30) → 10[1,1,1,1,1,1,3,5,7,7,8,8,10]+2[2]+30 → 42

亜藤 蘭介:イカれ固定値!
亜藤 蘭介:ドッジを試みます
穂村 姫乃:ヤバなんじゃよな
亜藤 蘭介:6dx+1>=42
DoubleCross : (6DX10+1>=42) → 7[1,1,6,6,7,7]+1 → 8 → 失敗

穂村 姫乃:ダメ元ドッジ
亜藤 蘭介:ニャン
永良ゆづり:(5-3)dx+1>=42 とりまドッジ
DoubleCross : (2DX10+1>=42) → 6[4,6]+1 → 7 → 失敗

穂村 姫乃:5dx>=42
DoubleCross : (5DX10>=42) → 8[2,2,3,6,8] → 8 → 失敗

久遠仁:コンボ【万籟】《復讐の刃》でリアクション放棄反撃
久遠仁:7DX9+7 リアクション不可
DoubleCross : (7DX9+7) → 10[1,2,3,5,6,6,9]+6[6]+7 → 23

久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (83 → 89)
永良ゆづり:ダメージダイスを振る前に《炎陣》。久遠くんをカバーして侵蝕71。
久遠仁:ありがとうございます~~~
GM:OK。他はカバーとかないかな
亜藤 蘭介:れいのごとく侵蝕アレなので…大丈夫です!
GM:ダメージ出します。
天城マコト:5d10+66+5D10 ガードするとダメージ+35
DoubleCross : (5D10+66+5D10) → 30[7,10,6,3,4]+66+33[9,10,6,6,2] → 129

GM:復讐の刃もどうぞ
久遠仁:3D10+24+5+10 装甲有効
DoubleCross : (3D10+24+5+10) → 22[7,5,10]+24+5+10 → 61

永良ゆづり:死!!リザレクト!!
穂村 姫乃:こっちもリザ!
永良ゆづり:71+1d10
DoubleCross : (71+1D10) → 71+7[7] → 78

亜藤 蘭介:死亡!リザレクト。
GM:61!
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 4)増加 (74 → 78)
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 2)増加 (86 → 88)
穂村 姫乃:穂村 姫乃のHPを4に変更 (9 → 4)
永良ゆづり:汚染値14、HP7で蘇生して以上!
亜藤 蘭介:HP2,汚染値13。
天城マコト:そのダメージは……まだ生きてます。
久遠仁:マジで!?
穂村 姫乃:こちらも汚染値14に上昇
GM:マジです。
穂村 姫乃:燃える魂のレベルやば
亜藤 蘭介:燃えすぎ魂だ
GM:では演出。

天城マコト:「……燃え尽きる、ものか。俺は……」
天城マコト:「俺は……"1位"だ。俺達の中で……誰よりも、強い……!!」
天城マコト:"マーシャル・ヘイヴン"より発された緋色の因子帯が、見る間に世界を彩っていく。
天城マコト:破壊の波濤領域が、一瞬の内に君達へと押し寄せる。
天城マコト:強風を吹き起こし、灼熱の渦を描く。
天城マコト:一撃で並のオーヴァードであれば焼き殺せる程の火力、しかしそれすらも彼の攻撃の本質ではない。
天城マコト:暴風が吹き込むのは、強烈な寒暖差の結果だ。
天城マコト:舞い踊る火炎は、全てを灼き融かす領域が気中の微生物群を呑み込んだからだ。
天城マコト:触れるもの全てを融かすそのこの一瞬を生き延びるには、赤熱する因子に触れられるより早く、自身のレネゲイドを以て領域そのものに干渉する他ない。
天城マコト:音に近い速度で全方位から押し寄せ、埒外の出力を持つそれらに。
天城マコト:──できなければ死ぬ。《リザレクト》が効果を発揮するよりも早く、跡形も残らず肉体は消し飛ぶ。
天城マコト:この男が「殺意」を抱くとは、そういう事だ。
穂村 姫乃:「言ったじゃろ」
穂村 姫乃:既に発生している炎を持って領域に抗う。それでもなお肉体の損傷は激しいが、リザレクト出来る範疇には収めた。
穂村 姫乃:「炎では儂を打ち取れん」
亜藤 蘭介:空気が揺らいだ直後、踏みしめた土が蘭介を覆うように球状に。
永良ゆづり:「──────っ」世界すら覆い尽くさんとするかのごとく、荒れ狂う灼熱の暴風。
亜藤 蘭介:己がレネゲイドを帯びた即席の防護壁はしかし。灼熱の炎に、瞬く間に溶解されて。
亜藤 蘭介:「ぐ、うっ……!」どす黒く変色した肌、焼け付く臓腑を辛うじて再生し、男は今だ立っている。
永良ゆづり:直感する。この攻撃は、天城マコトの全身全霊なる一撃だと。
永良ゆづり:それは同時に、"最強"が見せた最大の隙。ならば、私のすべきことは。
永良ゆづり:疾走し、流転する白煙が。久遠仁の周囲を巻くように吹き荒ぶ。
永良ゆづり:例え、保てるのは僅かな時の中でも。灼熱の轟風を遮るだろう。
永良ゆづり:先刻、彼が見せた珠玉の神速があれば。きっと、突ける筈だと信じて。
久遠仁:「──恩に着る」
久遠仁:白煙により、灼熱の嵐に、『最強』の領域に、僅か生まれた間隙。
久遠仁:吹き荒れる業火の渦を一直線に貫いて、一陣の疾風が吹き抜ける。
久遠仁:「天城!!」
久遠仁:その声が、音が、届くよりも迅く。
天城マコト:「……!」読みは正しい。いかにこの男といえども、この規模の攻撃を放った上で、反撃に備える猶予などない。
久遠仁:既に、“マーシャル・ヘイヴン”の心の臓には、深々と白刃が突き立てられ、貫いている。
久遠仁:返り血が、鉄兜を赤く染める。
天城マコト:──否、必要ないはずなのだ。一帯を塵に還すあの領域を凌ぐのみならず。
天城マコト:一瞬の内に潜り抜けて反撃に転ずる者の存在など、本来考慮する必要がない。だが、
天城マコト:それを為した男は、今。眼前に居る。
天城マコト:「ぐ、っ……仁ッ……!」
久遠仁:「……もう」深々と刃を突き立てた至近距離で、兜からくぐもった声がする。
久遠仁:「やめにしないか。天城」
久遠仁:「十分だろう」
久遠仁:「あんたはもう、十分戦った」
天城マコト:「……十分な、ものか……ッ!」突き立てられた刃を、払い除ける。
天城マコト:「俺ならできる、と言ったんだ……!」
天城マコト:「あいつらを、説得したのは……」
天城マコト:「俺自身であると同時に、俺の力だ」
天城マコト:「俺が、強いから。俺になら、できると信じたから」
天城マコト:「だから、あいつらは付いて来た……!」
久遠仁:「……証明か」
久遠仁:「それとも、贖罪か」
久遠仁:「言ったろう、天城」
久遠仁:「あんたは、一人で背負い込みすぎるよ」
天城マコト:「……そうかもしれない。だが、こればかりは変わらん」
天城マコト:「"マーシャル・ヘイヴン"が折れることは、許されない。……俺が、許さない」

GM:クリンナップ。
天城マコト:邪毒の処理が入ります。15点のHP喪失
天城マコト:生存しています。
久遠仁:い……生きてる……
亜藤 蘭介:オイオイオイ
穂村 姫乃:うっそじゃろ
永良ゆづり:なんてこと
GM:でもって、敵側の増援判定
GM:ここでは1d100を振って出目に応じた敵が増えたり増えなかったりするのですが
GM:今回は固定イベントです。
GM:エンゲージ表を更新します。

[ 魄柱・歳過(00) 、 “マーシャル・ヘイヴン”(13)、”サタニアン・ガーデン”(11)、
  久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:桜崎が参戦しました。では演出。

天城マコト:……穂村姫乃が焚べた火種は、なおもこの男の身を蝕み続けている。
天城マコト:その進行に対処する術はない。自身の並外れた生命力を頼みに永らえるにも、限界が近い。
天城マコト:(……だが、勝つしかない)
天城マコト:(俺が力尽きるよりも早く。全員を、仕留める)
天城マコト:殺意が研ぎ澄まされていく。この男は果たして、諦めることをしない。
天城マコト:……不意に。よろめきかかったその身体を、黒い樹木が支える。
桜崎ニア:「……マコト。みんな」
桜崎ニア:魄柱を除いておよそ無事な物ひとつない焦土の中に、無傷の少女が降り立つ。
天城マコト:「……ニア。お前……」
桜崎ニア:何かを言おうとした彼を静止して。
桜崎ニア:「……状況は分かってるよ。さっき、その樹に教えられた」
永良ゆづり:「……桜崎、ニア」焼塵と化した体躯を修復しながら、その姿を捉えて。
桜崎ニア:「信じたくは、なかったけどさ」
桜崎ニア:息を吐いて、君達を見据える。
桜崎ニア:「この状況を見ると、信じるしかないし」
桜崎ニア:「……説得も、いらないよね」
永良ゆづり:「こんばんは。説明は不要みたいね」
桜崎ニア:その眼差しが、冴えた殺気を帯びて。
桜崎ニア:「殺してやるよ。裏切り者ども」
桜崎ニア:吐き捨てる。人骨めいた漆黒色の枝が生育・展開する。
永良ゆづり:「……それでこそ」再生具合を確かめる様に、両手の峨嵋刺を一層強く握り締める。
永良ゆづり:「貴女が"桜崎ニア"で在り続けるためには、そうするしかないわよね」
永良ゆづり:「この異界に生きる『人間』ならば、私達を排除するしかない」
久遠仁:「……参ったな、こいつは」呻くように言う。
亜藤 蘭介:夢界事件の張本人たる"サンディーヴァ"と。眼前で天城の其の背を支えている桜咲ニアはあくまで別の個体である。
亜藤 蘭介:それでも。本来の己を取り戻し、消し去ったはずの己が。頭の片隅で悲鳴を上げている。
桜崎ニア:「……知った風な口を」
穂村 姫乃:「知っておるよ。ひと時とはいえともに時間を過ごしたじゃろう」
穂村 姫乃:「故に理解できる。儂らとお主らは、もはや二度と相容れん」
穂村 姫乃:「裏切ったも表替えったも、お主らにとっては何も変わらんのじゃしな」
永良ゆづり:「……そう。私達は貴方達の日常をただ壊しに来たわけじゃない」
永良ゆづり:「ただ、己が責を思い出しただけ」
桜崎ニア:「……分かってるわよ。私達の存在が、歪で、知らない誰かの日常を蝕んで存在してることも」
桜崎ニア:「その中に、貴方達の守るべきものがあるだろうことも」
桜崎ニア:「だから何? 私達は、私達よ」
桜崎ニア:「他の都合なんて知らない。"仲間"を害するものは、みんな敵だ」
永良ゆづり:「……勿論。だから、私達を精一杯、裏切り者と罵り、潰し、除こうと臨みなさい」
永良ゆづり:「その意志を含めて、貴方達の死は全て背負っていく」
永良ゆづり:「構えろ、”サタニアン・ガーデン”」
桜崎ニア:「……紳士的なこと。試合じゃないのよ、これは」
桜崎ニア:「殺したければ、いつでも来ればいい」
天城マコト:「……助かった。良い時間稼ぎになった」不意に、呟く。「全て"見えた"」
天城マコト:赤熱する領域が、鋭く伸びて空を疾る。
天城マコト:分岐すること数十条、未だ薄暗い空に蜘蛛糸めいた模様を描いた。
天城マコト:「……今までの戦闘の中で、大凡の位置を絞っていた。後は」
天城マコト:「熱があるなら、捉える事はできる」
GM:知覚に長けた者であれば聞こえたかもしれない。遠く、無数の金属が落ちる音。
日下部ルリカ:「……相変わらずめちゃくちゃするよね。けどまあ」
日下部ルリカ:「それで全部って言い切っちゃうのは、甘さかなぁ」
日下部ルリカ: 左手で耳に触れる。「ブラフを言っている」サイン。
日下部ルリカ:本当に全て叩き落されている。

GM:2ラウンド目。

[ 魄柱・歳過(00) 、 “マーシャル・ヘイヴン”(13)、”サタニアン・ガーデン”(11)、
  久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:セットアップから。
亜藤 蘭介:ありません。
永良ゆづり:なし!!
久遠仁:なし
天城マコト:《得意領域》《力場の形成》ダイス+5、攻撃力+10
桜崎ニア:《得意領域》《力場の形成》ダイス+5、攻撃力+10
GM:ではイニシアチブへ。
天城マコト:《加速する刻》
亜藤 蘭介:コラッ
天城マコト:マイナーなし。
天城マコト:メジャー「領域送掌」《コンセントレイト》《紅蓮の衣》《炎神の怒り》《炎の刃》《アマテラス》《クロスバースト》《トータルクリメイト》オート《バーストブレイク》
天城マコト:対象は穂村さん。
GM:で、これに関しては先にエフェクトの解説。

・エフェクト情報「トータルクリメイト」
タイミング:メジャー 技能:白兵 難易度:対決 対象:単体 射程:至近
このエフェクトの射程・対象は変更できない。
このエフェクトを組み合わせた攻撃で対象が戦闘不能になった場合、タイタス昇華効果・アイテム・エフェクトによってその戦闘不能を回復することができない。
戦闘開始2ラウンド目以降にのみ使用可能。1ラウンド1回、シナリオLV回。

穂村 姫乃:おっかないんじゃけど!?
久遠仁:死んじゃう
穂村 姫乃:タイタスすら不可ってマジかお主
天城マコト:12dx+5@7  命中
DoubleCross : (12DX7+5) → 10[1,2,3,3,4,5,6,7,7,8,9,10]+10[1,2,4,5,10]+6[6]+5 → 31

GM:リアクションどうぞ。
穂村 姫乃:とりあえずドッジ
穂村 姫乃:5dx>=31
DoubleCross : (5DX10>=31) → 10[1,3,6,7,10]+4[4] → 14 → 失敗

亜藤 蘭介:ダメージ前に
亜藤 蘭介:《砂の結界》で穂村さんをカバーリング。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2(→ 2)増加 (88 → 90)
穂村 姫乃:すまん、助かる!
GM:OK。ではダメージ出します
天城マコト:4d10+42+5D10 ガードするとダメージ+35
DoubleCross : (4D10+42+5D10) → 21[10,6,2,3]+42+28[9,3,2,4,10] → 91

亜藤 蘭介:50回くらい死にます
亜藤 蘭介:戦闘不能。
GM:復活しなくても汚染は+1されるので、よろしくね
亜藤 蘭介:おっと失礼
亜藤 蘭介:汚染値14!
GM:OK!では演出。

天城マコト:「──普通なら俺は」
天城マコト:「こいつを使う必要がない。使わなくても、生み出される結果は同じだからだ」
天城マコト:「ただ溶けて消える。……それでも」
天城マコト:「殺しても死にきらない相手というのはいる」
天城マコト:不意に。疾走、跳躍。格闘戦とて、この男の弱みではない。
天城マコト:「触れることを許さない場」を身に纏っている事は、近接距離の戦闘において圧倒的なアドバンテージですらある。
天城マコト:後方・左右・上方・逃げ場を絶つように、穂村姫乃の周囲を真紅の風が覆う。
穂村 姫乃:「……は」
天城マコト:そうして、本命は正面から。その左掌に、異常なまでの濃度のレネゲイドが渦を巻いている。
穂村 姫乃:薄く笑う彼女の頬を汗が伝う。目前に迫る死に背筋を冷たい何かが走り抜ける。
天城マコト:「炎で死ぬことはないと言ったか」
天城マコト:領域の侵蝕支配に対抗する、最大の術が。領域そのものへの干渉であるのならば
天城マコト:これは、それを強引に突破するための奥の手。
天城マコト:形態は単純な掌底なれど、触れれば致命の対人侵略。
穂村 姫乃:「……ああ。死なんさ」
穂村 姫乃:致命であると理解しながらなお笑ってそう嘯く。
天城マコト:「その言葉、覆してやろう」「──領域送掌」
亜藤 蘭介:瞬間。背後。左右。上方へと。穂村姫乃を囲うように。
亜藤 蘭介:大地からごぼり、と音を立て。次々と具現化されるヒト型の土塊が。熱風を遮らんと、その身を挺して砕け散り。
亜藤 蘭介:天城が跳躍すると共に。彼女の元へと。疾風の如く、駆け出していた男が。
亜藤 蘭介:致命の一撃に胸を穿ち抜かれ、がくりと膝をつく。
天城マコト:「──!」格闘は弱点ではないが、本領でもない。その不意に対応するほどの絶技は持たない。
穂村 姫乃:「蘭介!?」
天城マコト:だが、敵であることに変わりはない。止まず、撃ち貫く。
天城マコト:接触と同時に、超精度の領域操作。続く掌握・支配は一瞬。
亜藤 蘭介:「ごっ、がっ──────!」
天城マコト:亜藤蘭介の体内を制圧した因子群が、肉体の分子運動を支配する。
天城マコト:それが齎すのは、過程ではなく結果。血を・臓腑を・骨を、一切崩壊せしめるもの。
天城マコト:代謝が働かなければ、再生は機能しない。
天城マコト:意識が消えれば、心を繋ぎ止めるものもない。
久遠仁:「亜藤さん……!」
亜藤 蘭介:内を循環するレネゲイドが霧散していく。当然の如く再生する筈のそれすらも役目を果たさない。
亜藤 蘭介:光を失った目で、天城を見る。
亜藤 蘭介:「─────お前は」「強い」
亜藤 蘭介:「しかし」ひゅう、ひゅうという虫の息で。
亜藤 蘭介:「強者故に─────疵瑕が、ある……」
天城マコト:「……」
亜藤 蘭介:意識を必死で繋ぎ止め。古代種の少女に視線を移し。
亜藤 蘭介:「済まんが」
亜藤 蘭介:「後を頼む」
穂村 姫乃:「……うむ。うむ!」
亜藤 蘭介:その言葉を最後に。地に伏せ、その活動を止める。
穂村 姫乃:「頼まれよう。ゆっくり休んでいてくれ」
永良ゆづり:「(……これが、領域送掌。一撃で再生も修復も不可能……なんて滅茶苦茶、な)」
穂村 姫乃:労わるように自身のコートを彼へとかけ、天城へと向き直る。
穂村 姫乃:「神の首は取り損なったな、天城」
穂村 姫乃:「この通り、後も任されてしもうた。お主にはくれてやれんなぁ」
天城マコト:「……。ならば、届くまで繰り返すだけだ」
日下部ルリカ:「だけど、そう何度も続けて撃てるものじゃない」
日下部ルリカ:「いくら君だって、そこは変わりない。……次の機会は、やらない」
日下部ルリカ:吐き捨てながら、君達の後方に泡状の魔眼を連ねて展開する。戦闘不能者の身体を逃がすための加速・減速経路。

GM:イニシアチブ23。久遠さんの手番
久遠仁:マイナーで《戦線退避》、亜藤さんを退避させます
亜藤 蘭介:ありがとうございます。
GM:OK。では亜藤さんはエンゲージ表からいなくなります
亜藤 蘭介:あとは頼む!
久遠仁:メジャーで≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:対象は天城!
久遠仁:9DX7+7
DoubleCross : (9DX7+7) → 10[1,2,3,4,5,8,9,9,9]+6[2,5,6,6]+7 → 23

久遠仁:あっヤベ
GM:あっもう振っちゃってた
GM:ううん 支援使うって見学室で先に言ってはいたし 使うなら振り直しても……いいよ
久遠仁:ほんとに!?
GM:ほんとだよ
久遠仁:慈悲深きGMに感謝しつつ羽海さんの支援効果を使わせて頂きとう存じます
羽海束沙:まかせて。ダイス+10よ
久遠仁:うお~~
久遠仁:19DX7+7
DoubleCross : (19DX7+7) → 10[1,2,3,3,4,4,4,5,5,5,6,6,6,7,8,8,9,10,10]+10[2,4,6,7,8,10]+10[6,7,9]+10[6,9]+10[9]+5[5]+7 → 62

久遠仁:跳ねた!
GM:うわっ
GM:マジか クソッ……甘いこといってNPCカードを無駄遣いさせる我が作戦が……
天城マコト:ドッジします。
天城マコト:13dx+30>=62
DoubleCross : (13DX10+30>=62) → 10[1,1,2,3,4,4,5,5,7,7,9,10,10]+9[6,9]+30 → 49 → 失敗

GM:無理!命中です
久遠仁:怖すぎる
久遠仁:ダメージ!
羽海束沙:攻撃力も+10しておいてくださいね
久遠仁:ありがたい……
久遠仁:7D10+24+5+10
DoubleCross : (7D10+24+5+10) → 47[9,7,6,6,4,10,5]+24+5+10 → 86

GM:おおう。そのダメージは
天城マコト:残りHP21、装甲値10。耐えません
天城マコト:復活もなし。
久遠仁:やった……
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (89 → 93)
GM:演出どうぞ!

久遠仁:「……一人ずつ、確実に仕留める……か」
久遠仁:「この局面で、まだ少しも諦めていない。本気で勝つ気でいる」
久遠仁:「あんたらしいよ、天城」
久遠仁:「一緒に居たのはほんの少しだが……それは分かる。嫌という程な」
天城マコト:「……」
久遠仁:「UGN(こんな仕事)をしてるとな、よく思うことがあるんだよ」
久遠仁:「もっと別の、違う形で出会いたかった……ってな」
久遠仁:「あんたとも、そうだ」
天城マコト:「……その気持ちは、俺にも分かる」
天城マコト:「だが、"仕方ない"。そうやって、一つずつ諦めを付けていく」
天城マコト:「そうだろう?」
久遠仁:「……」
久遠仁:顔の見えない兜越しに、天城を見据える。
久遠仁:「もう一度……いや。何度でも聞くぞ」
久遠仁:「投降してくれないか」
天城マコト:「……ならば。何度でも、答えよう」
天城マコト:「俺は、折れない」
天城マコト:「お前達を降し、この夢(せかい)に日常を取り戻すまで」
天城マコト:「何があろうと、決して」
久遠仁:既知の諦観と感心、納得の入り混じった息を吐く。
久遠仁:「……だろうなァ」
羽海束沙:銃声。歪な形状に加工された鉛弾。円弧を描いて飛翔するそれは
羽海束沙:天城マコトの背後へと回り込み──しかし、通過。その隣の少女が展開した、黒い樹木の枝へと中る。
桜崎ニア:「っ……!?」
羽海束沙:折れた枝先が弾け、矢の如くに飛ぶ。オルクスの領域因子を宿したその切っ先が、"マーシャル・ヘイヴン"の領域に干渉。歪ませ、切り開く。
久遠仁:それと同時、“ロストシグナル”の名の通り。
久遠仁:久遠仁の姿は、天城マコトの視界から消えていて。
久遠仁:……鍔鳴りの音が響く。
久遠仁:それは、彼の背後から聞こえた。
久遠仁:「……疲れたろう。天城」
久遠仁:「ゆっくり休んでくれ」
天城マコト:「ぁ……」気力。体力。とうにその限界を越えて、かろうじて保たれていた生命としての機能が。
天城マコト:張り詰めた糸が切れる時のように、その瞬間に限界を迎えた。
桜崎ニア:「っ……!? マコトっ……!」
天城マコト:崩れ落ちる。殺気と、闘志と、その他一切の気力が失われたように、その眼には力がなく。
天城マコト:「……ああ」
天城マコト:男は、己の果てを悟った。
天城マコト:「すまない、ニア。……無理を、しすぎた、らしい」
天城マコト:「悪いが、後は……」
天城マコト:──後は任せた、と言うべきだ。
天城マコト:"天馬"の長として。仲間達のリーダーとして。
天城マコト:俺達の夢は、まだ終わっていない。
天城マコト:"サンディーヴァ"が無事でいる限り、この夢は、自分達の現身は、いずれまた再構築されうる。
天城マコト:もう一度。……いいや、何度でも。
天城マコト:俺達の夢が叶うまで、彼女(ニア)は諦めない。
天城マコト:そう信じている。理解している。……他ならぬ、俺がそうなのだから。
天城マコト:だから──
天城マコト:「……後は、好きに生きてくれ」
天城マコト:気づけば、そう口にしていた。
天城マコト:「"天馬"のことはいい」
天城マコト:「死んだやつらの事は、もう、いいんだ」
天城マコト:「お前の、自由に。お前だけの、幸せを……」
桜崎ニア:「ッ……!!」
天城マコト:(……ああ、仁。つくづく、お前の言う通りだったよ)
天城マコト:(俺というやつは、最期まで)
天城マコト:(人を使うのが、下手……だった……)
天城マコト:……夢骸体。生者の身体に、他の意識を植え付け模倣した存在。その再現限界。
天城マコト:天城マコトという少年の、意識が消える。
天城マコト:残されたのは、彼の依代となっていた……僅かに面影を残した、無力な少年の身体ひとつ。
桜崎ニア:その傍ら。膝をついて、両の拳を握りしめたまま。
桜崎ニア:「……違うんだよ」
桜崎ニア:こんな時だというのに、涙は出ない。目の前に敵が居て、今は戦うべきだからだ。
桜崎ニア:「そうすべき」だと判断すれば、できてしまう。どんな痛みも苦痛も、引っ込んでいく。自分は、そういう人間だ。
桜崎ニア:……それでも、引っ込んだそれを無理矢理に引っ張り出して、声を震わせながら。言葉を吐く。
桜崎ニア:「君は、何も分かってない」
桜崎ニア:「私の夢は……私の、幸せは」
桜崎ニア:「君達と一緒にしか、いないのに」
桜崎ニア:届かない声を零す。呼応するように、彼女を取り巻くように黒い樹木が背を伸ばす。
桜崎ニア:「……諦めないよ。まだ、終わってない」
桜崎ニア:「こいつらを潰せば……また、取り戻せる」
桜崎ニア:「もう一度、君に会える」
桜崎ニア:「今度こそ、私が……私の、手で」
桜崎ニア:「みんなを、救うんだ」
久遠仁:「……」
久遠仁:その身を返り血で濡らすことすら無い、絶速の騎士。
久遠仁:物言わぬ兜から、桜崎ニアを──”サタニアン・ガーデン”を。在りし日の“サンディーヴァ”を見据えた。
永良ゆづり:「……そう。それでこそ、貴女よ」
永良ゆづり:焦げ落ちた帽子を投げ払い、眼前に立つ少女を見据える。
永良ゆづり:「ならば私は全身全霊を以て、もう一度貴方達を土に還す」
桜崎ニア:「……やってみなよ」真っ直ぐに、その眼を見つめ返して。
桜崎ニア:「特別に、教えてあげる。どうして"4位"の私が」
桜崎ニア:「あの戦いで、最後まで勝ち残れたのか」

GM
GM:イニシアチブ。行動値11、"サタニアン・ガーデン"の手番。
桜崎ニア:マイナー、《無形の爪牙》素手データを変更。
桜崎ニア:メジャー「領域送掌」《コンセントレイト》《無形の影》《シャドースクラッチ》《形なき剣》《完全なる世界》《能力強奪》《能力膨張》
桜崎ニア:対象は久遠さん。
久遠仁:ウギャーッ
GM:先に例によってエフェクト効果開示。

・エフェクト情報「能力膨張」
タイミング:メジャー 技能:白兵 難易度:対決 対象:単体 射程:至近
このエフェクトの射程・対象は変更できない。
《能力強奪》と組み合わせて使用する。
このエフェクトを組み合わせた判定は<白兵>で行い、ドッジリアクションの対決技能は<回避>となる。
この攻撃による与ダメージ時に《能力強奪》と同様の効果が発生する。
また、この《能力強奪》で取得したエフェクトのレベルと最大レベルを+LVする。
戦闘開始2ラウンド目以降にのみ使用可能。1ラウンド1回、シナリオLV回。

GM:尚、こいつは1ラウンド目最後に登場したので、「2ラウンド目以降」の条件を満たせてるものとします。
久遠仁:ひぇ~~っ
桜崎ニア:13dx+3@7 命中
DoubleCross : (13DX7+3) → 10[1,3,3,5,5,6,6,7,7,7,7,8,10]+10[1,2,5,5,7,10]+10[8,10]+10[1,9]+10[9]+10[10]+6[6]+3 → 69

GM:めちゃやる気出すじゃん
久遠仁:《復讐の刃》……!
久遠仁:7DX9+7 リアクション不可
DoubleCross : (7DX9+7) → 10[2,3,5,7,7,10,10]+10[2,9]+4[4]+7 → 31

久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (93 → 99)
GM:カバーあります?
永良ゆづり:まず《炎陣》使用。侵蝕80になって久遠くんをカバー。
久遠仁:有難い……
GM:OK。ではダメージ出します。久遠さんもダメージだしていいよ
永良ゆづり:続けて《凍てつく刃》。ダメージ+1D+15もどうぞ
永良ゆづり:侵蝕83。
久遠仁:やった~~
桜崎ニア:7d10+35 諸々有効
DoubleCross : (7D10+35) → 45[8,7,8,8,9,3,2]+35 → 80

久遠仁:4D10+24+5+1D10+15
DoubleCross : (4D10+24+5+1D10+15) → 25[4,6,9,6]+24+5+2[2]+15 → 71

GM:つよ……
永良ゆづり:即死!!リザ!!
永良ゆづり:83+1d10
DoubleCross : (83+1D10) → 83+5[5] → 88

桜崎ニア:だいぶ削られますが生存。
永良ゆづり:HP5、汚染値15!
桜崎ニア:命中したので、永良さんから《炎陣》を剥奪。レベル10で取得します
久遠仁:ヤバ
永良ゆづり:ぎにゃーっ!!
GM:では演出。

桜崎ニア:「私は、マコトみたいにさ」
桜崎ニア:「大勢の相手を一度に相手取れるほど、器用でも埒外でもない。だから」
桜崎ニア:《ワーディング》と共に展開した黒い霧の領域の向こう。いつもの笑みは消えている。
桜崎ニア:手の甲から伸びだした黒い枝が、悪魔の爪めいて。両腕に捩り備わる。
桜崎ニア:……君達の知る限り、彼女が最も得意とするのはRC型のエフェクト操作だ。すなわち、これは──
桜崎ニア:「だから、"貰う"よ」
桜崎ニア:静かに音もなく、久遠さんの背後へ回っている。爪を食い込ませ、掌で首筋に触れようとする。
永良ゆづり:──否。その首元に触れるより先に、差し挟まれるは無形の白き影。
永良ゆづり:干渉するのは力の流れ。掌の向かう先が大きく逸れ、白煙を手繰る永良ゆづりの右腕に誘導される。
永良ゆづり:だが無効化には至らない。あくまで、矛先を自身に向けるだけ。
桜崎ニア:「っ……!」崩される。純粋な体術の技量であれば、彼女の方が上手。
桜崎ニア:だが、止まることはない。突き出された爪が防御を引き裂き、本命たる掌が
桜崎ニア:永良ゆづりの肩口に触れる。「領域送掌」
桜崎ニア:桜崎ニアの場合、それは──"サンディーヴァ"が北条サイカに打ち込み、魄柱の元となる樹木を育てたものと同系のもの。
桜崎ニア:敵オーヴァードの肉体そのものを「苗床」とし、その力を吸い上げた樹木を生育する──
桜崎ニア:数秒の内に全身の力が抜けて、立つことすらままならなくなる感覚。
桜崎ニア:炭のように黒い樹皮を持つ樹が、君の身体より生え伸びて育っている。
桜崎ニア:濁った紫色の果実が一瞬にして実り、白煙と共に弾ける。分解されたその力が、"サタニアン・ガーデン"の領域へと溶け込んでいく。
永良ゆづり:「────あ」がくん、と。体躯を支える力が抜け落ちる。
久遠仁:振り向きざま、久遠の輪郭が白煙と溶け合うように霞む。
久遠仁:永良の身体から伸びた闇色の幹と、その主である桜崎ニアの身体に、無数の剣閃が走る。
久遠仁:「永良!」
永良ゆづり:「……これ、は」"吸い取られた"感覚が、レネゲイドの奔流と共に全身を巡る。
久遠仁:「助かった、が──大丈夫か……!?」
永良ゆづり:「わ、からない。今、一体、何が……?」
永良ゆづり:体内に侵入した樹枝の傷を再生し、すぐに立ち上がる。だが、喪失感だけは拭えない。
桜崎ニア:「……。本当は、その速度が欲しかったんだけど」切り裂かれた傷口を一瞥。久遠さんの方を、忌々しげに見やる。
桜崎ニア:「これが答え」少女の周囲に、闇色の煙が取り巻くように浮かぶ。
桜崎ニア:「手段さえ選ばなければ、私の庭は際限なく膨張する」
久遠仁:「……ウロボロスか。能力の模倣……」
久遠仁:「……いや。強奪か」
日下部ルリカ:「……そうだ、そいつは……他人の力を奪っていく。ごめん、今のを見て思い出した」連鎖的に記憶が喚起されている。
永良ゆづり:「その煙、私の……」それも、自身の権能より遥かに高い強度で行使して。
永良ゆづり:「……でも、あの煙では自身を護れない」
永良ゆづり:「それに。どのみち、立ち塞がる貴女を打ち倒さねばならない」
穂村 姫乃:「すべきことは変わらん、という訳じゃな」
羽海束沙:「……そうね。あれ以上あいつが育ちきる前に、蹴りを付けましょう」
永良ゆづり:周囲に溶け落ちた白煙を、自らの周囲を流転させ、纏わせていく。
GM
GM:では、行動値9。永良さんの手番
永良ゆづり:はいさい
永良ゆづり:マイナーなし
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》
永良ゆづり:対象は桜崎ニア!
永良ゆづり:9dx7+6
DoubleCross : (9DX7+6) → 10[1,1,2,3,4,7,9,9,9]+10[4,6,9,9]+5[3,5]+6 → 31

桜崎ニア:ドッジ。《幸運の守護》
桜崎ニア:10dx+8>=31
DoubleCross : (10DX10+8>=31) → 10[1,3,4,6,7,7,10,10,10,10]+10[1,3,9,10]+10[10]+10[10]+1[1]+8 → 49 → 成功

永良ゆづり:わぁ……
GM:そんなことあるんだ
GM:回避成功です。演出どうぞ。

永良ゆづり:永良ゆづりを中心として旋回する白煙が、急速に密度を増していく。
永良ゆづり:やがて嵐の如き疾風を束ねて。打ち出された弾丸の様に地を蹴り奔る。
永良ゆづり:狙いは桜崎ニア、その体躯が正中。白煙の疾風に乗って峨嵋刺を突き立てようと、両腕を振り上げる!
桜崎ニア:……樹木の生育領域。"サタニアン・ガーデン"の領域因子が最も浸透しやすいのは、土の中だ。
桜崎ニア:たとえ"マーシャル・ヘイヴン"の領域が削り尽くした地表であろうとも──彼女の領域は、既に
桜崎ニア:その足元へと及んでいる。間欠泉の如く、無数の闇色の枝が吹き出して、四肢を刺し封じんとする。
永良ゆづり:「!?がっ……」だが突き立てる前に、両手両足を枝に刺し穿たれ。
永良ゆづり:仕方なく、彼女の反対方向へと地を爪弾き、距離を取る。傷自体は軽いが、それよりも。
永良ゆづり:「(……おかしい、攻め手に使う力は奪われてない筈なのに)」
桜崎ニア:「……マコトとやり合って、あれを食らって。まだそんなに元気に動けるんだ」
桜崎ニア:「奪い甲斐がありそう」
桜崎ニア:酷薄に、射竦める。先の一撃と併せて、君の心に怯えを植え付けようとするかのような。
永良ゆづり:「っ、く……」自身を射差す瞳の鋭さに、一歩後ずさる。
永良ゆづり:「(……まさか、そんな)」驚きと共に、認めざるを得なかった。
永良ゆづり:恐れが根付いたことを。もう一度あの枝に踏み込まれ、今度こそ全ての力を奪われることへの。
羽海束沙:「……大丈夫よ」君の後ろから、静かに声をかける。
永良ゆづり:「……羽、海」
羽海束沙:「次は、貴方に近付かせない。その前に私が撃ち抜く」
羽海束沙:「だから、大丈夫」
羽海束沙:根拠などない。ただ、この場で君に前を向かせるためだけの言葉。
永良ゆづり:「いや、わ、たし、は……」平常を取り繕うとして、言い淀み。
永良ゆづり:「……ごめん、お願い」
羽海束沙:「任せて」言い切る。銃口を構える。

GM:では行動値4。穂村さんの手番
穂村 姫乃:マイナーはなし。メジャーで再びコンボ。
穂村 姫乃:神事起こし:蝕む赤Lv5+ブラッドスパイクLv3+災厄の炎Lv5
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)、攻撃力+24、ランク5の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+8
穂村 姫乃:これで今度はニアと柱の両方を攻撃しよう
GM:OK。命中どうぞ
穂村 姫乃:4dx+24
DoubleCross : (4DX10+24) → 10[1,2,4,10]+3[3]+24 → 37

永良ゆづり:バディム!
穂村 姫乃:助かる!これで40!
GM:ではリアクション
久遠仁:このラウンドもう無いし
久遠仁:怖いから羽海さんのバディムも入れましょう
永良ゆづり:確かに余っていた
穂村 姫乃:確かに
羽海束沙:あ、そうね。では入れて43
桜崎ニア:《幸運の守護》ドッジ
桜崎ニア:10dx+8>=37
DoubleCross : (10DX10+8>=37) → 10[1,1,3,5,6,6,7,8,8,10]+9[9]+8 → 27 → 失敗

穂村 姫乃:マジで怖いんじゃけど
久遠仁:ダメージ前に《餓狼の爪》
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を3増加 (99 → 102)
久遠仁:100を超えたのでダメージ+30です
魄柱・歳過:こちらは《復讐の刃》
桜崎ニア:で、先程奪った《炎陣》によるカバーリング。
穂村 姫乃:まあニアに二倍通るなら良しじゃな
GM:魄柱にダメージは入らないが、魄柱の防御機構はそこまで気が利かないのでそのことをニアは把握してない。
穂村 姫乃:あ、そうなんじゃ
GM:ダメージどうぞ
穂村 姫乃:24+30+5d10
DoubleCross : (24+30+5D10) → 24+30+25[1,2,8,5,9] → 79

魄柱・歳過:8dx@7
DoubleCross : (8DX7) → 10[1,2,4,5,6,7,7,7]+10[1,4,8]+2[2] → 22

魄柱・歳過:3d10+20 諸々有効
DoubleCross : (3D10+20) → 17[9,3,5]+20 → 37

穂村 姫乃:メジャー分侵蝕上げてからリザレクト
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を8増加 (78 → 86)
GM:で、79から装甲差し引いて倍になって……
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 10)増加 (86 → 96)
穂村 姫乃:重いんじゃが!
桜崎ニア:HPは0に
桜崎ニア:《原初の黒:ラストアクション》手番獲得
桜崎ニア:《原初の虚:燃える魂》復活します
穂村 姫乃:厄介なことしよるなお主!
久遠仁:ヒーッ
GM:4d10級エフェクトのため、後で回想が発生。
GM:演出どうぞ。
GM:あ、いや
GM:違う手番の行動
桜崎ニア:マイナーなし
桜崎ニア:メジャー「ミュルクヴィズ」《コンセントレイト》《無形の影》《シャドースクラッチ》《紅の刃》《散滅の腕》《蝕む赤》《縛鎖の空間》《完全なる世界》
桜崎ニア:単体なので、対象は……攻撃してきた穂村さんで
桜崎ニア:16dx+8@7 命中
DoubleCross : (16DX7+8) → 10[2,2,3,3,3,3,5,5,7,8,9,9,9,10,10,10]+10[1,2,5,5,6,7,8,10]+10[2,2,7]+1[1]+8 → 39

桜崎ニア:命中で 持続エフェクト効果を消去 重圧・放心 邪毒レベル5
穂村 姫乃:えげつないんじゃけど!?
穂村 姫乃:ドッジ!
穂村 姫乃:5dx>=39
DoubleCross : (5DX10>=39) → 9[2,4,5,8,9] → 9 → 失敗

桜崎ニア:4d10+39 諸々有効
DoubleCross : (4D10+39) → 25[10,2,5,8]+39 → 64

穂村 姫乃:無理!またリザ!
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 6)増加 (96 → 102)
穂村 姫乃:穂村 姫乃のHPを6に変更 (10 → 6)
穂村 姫乃:あ、それでアレじゃ 汚染値がさっきのも合わせて2上がって今16じゃな
GM:OK では改めて演出へ

久遠仁:久遠がコートの懐に手を入れる。金属の擦れる、小さな音が響く。
久遠仁:瞬間、桜崎の腹と肩口が撃ち抜かれ、地面に深々と穴が穿たれる。
久遠仁:何の変哲もない硬貨を、ただ投擲しただけの攻撃。
久遠仁:だがその速度は、ライフル弾の銃口初速を遥かに超えている。
桜崎ニア:「か、っ……」
穂村 姫乃:「うむ、流石」
穂村 姫乃:その間に彼女がしたことは一つ。
穂村 姫乃:自身の左の指先で、右の手首をすうとなぞっただけ。しかし。
桜崎ニア:血を吐き、たたらを踏む。僅かの時間、意識が逸れる。
穂村 姫乃:まるで手品のように、あるいは悪趣味な映画のように。なぞった通りの傷が開くとそこから鮮血が溢れ出す。
穂村 姫乃:傷に似合わぬ質量は、地に着くと同時にばしゃりと跳ねて。まるで意志を持つようにニアと柱へ飛散する。
穂村 姫乃:その一つ一つが鋭利な針となり、敵を穿たんと飛び掛かる!
桜崎ニア:「っ……!」一瞬、自らの背後に聳える黒い巨木の方へと視線をやり。
桜崎ニア:両手を前へと翳す。無数の黒枝と共に煙が帯めいてたなびき、針の嵐を防がんとするが。
永良ゆづり:黒い煙を妨げるかのように、白い煙が忍び寄り、絡みついていく。
永良ゆづり:「(……近寄れないなら。せめて、この位は!)」
羽海束沙:銃声が一つ。先程までの曲射ではない。一直線に飛翔した弾丸は、桜崎ニアの眼前を過る。
羽海束沙:それが、無数に放たれた針と衝突する──弾き飛ばされたその一本が、見開かれた彼女の右眼へと突き刺さった。
桜崎ニア:「ぐ、っ……!?」片目から血を流す。僅かに気が逸れる。煙の操作を妨げられ、護りが薄くなる。
桜崎ニア:黒い森の防壁が切り開かれ、無数の血の針が少女の肉体へと突き刺さる。
穂村 姫乃:同時に、着火。
穂村 姫乃:闇色の木々さえ燃やさんと、赤と橙と黄が爆ぜる。煌々と周囲を照らし出す。
穂村 姫乃:「皆が手練れなお陰で暴れやすくて助かるな」
桜崎ニア:「っ、あ……ああああッ!」燃え上がる。少女の肉体を、彼女が展開した木々を喰らい、薪として。
桜崎ニア:膨張する焔の情景の向こう側で、その輪郭が
桜崎ニア:どさり、と。崩れ、倒れ伏す音を聞いた。
桜崎ニア:熱に溶かされる意識の中で。走馬灯が明滅する。
桜崎ニア:……もうひとりの己が封をした、悪夢の記憶。

桜崎ニア:──生まれついて戦争に向いていた。
桜崎ニア:能力ではなく、心の構造がだ。
桜崎ニア: 知ってるやつが死んだって、平気なフリして戦える子供だった。
桜崎ニア:それが君の長所だろうと、私に戦い方を教えた師は言っていた。
桜崎ニア:自分が元々いたセルが壊滅した時も、迷わず降伏を選んだ。
桜崎ニア:師匠や仲間の敵討ちだなんて、身を危険に晒すだけだと分かっていたから。
桜崎ニア:既に包囲されていた状況で生き残るためには、それが一番マシな未来だと判断した。
桜崎ニア:私と意見を違えて最後まで抵抗を続けた連中は、果たして目の前で殺された。
桜崎ニア:……私が見殺しにした。
桜崎ニア:だって仕方ないでしょう、と自分に言い聞かせた。
桜崎ニア:新しいセルに来て、得体の知れない血を飲まされる事も。
桜崎ニア:その副作用で一週間のたうち回って、身体の隅々まで切り開いて調べ尽くされることも。
桜崎ニア:実験体として、不自由な生活の中で毎日のように戦わされる事も。
桜崎ニア:そうしなければ死ぬしかなかったのだから、そうした。
桜崎ニア:それだけの話なんだって。

桜崎ニア:……そんな言い訳をしている自分が、大嫌いだった。
桜崎ニア:自分がどこか壊れてるのは分かっていた。
桜崎ニア:初めから狂っていた、こんな人生でも
桜崎ニア:普通が何かってことくらいは、知っていた。
桜崎ニア:……普通の人間になってみたかった。
桜崎ニア:あの時見殺しにしたみんなと、「同じ」になりたかった。……寂しかったんだ。
桜崎ニア:だから。せめて外面くらいはと、仲間の前では優しい女の子の真似をして。

天城マコト:「サタニアン……ふむ」
天城マコト:「やはり、普段遣いにはどうも長いな。ここの命名は、いつもそうだ」
桜崎ニア:……そんな時に、あいつに出会った。
天城マコト:「ニア、と呼んでいいか。呼びやすくて、親しみが持てる。それに……」
天城マコト:「その方が、人間らしいだろう」
桜崎ニア:私と同じ出生。戦うばかりの境遇に生きていて、誰かに優しくする事を知っていた人。
桜崎ニア:私に、人としての名を贈ってくれた人。
桜崎ニア:……彼に付いていけば、変われるんじゃないかと思ったんだ。
桜崎ニア:クーデターを成功させて、皆が自由になった先で
桜崎ニア:年頃の子供と同じような日常を、過ごし続けた先でなら。
桜崎ニア:こんな自分でも、みんなと同じ「普通」になれるんじゃないかって
桜崎ニア:そんな風に、期待してたんだ。

GM:……スピーカーから、けたたましいベルの音が鳴る。
GM:聞き慣れた館内放送の合図。
GM:私達の地獄の幕開けは、昼食の時間を告げるいつもの放送と変わらない、無機質な機械音によって告げられた。
アナウンス:「──2XXX年XX月XX日09時25分。現時刻を以て、当施設は廃棄」
アナウンス:「並びに、最終実験を開始します」
アナウンス:「施設内に残存する"バース"残存オーヴァード39名は、これより戦闘を開始」
アナウンス:「他オーヴァードの全滅を目的として行動してください」
アナウンス:「本実験においては、これまでの演習と異なり、殺害行動が推奨されています」
アナウンス:「本実験は無期限に行われ、生存者が一名以下となった時点で完了と見做し──」
桜崎ニア:「……え」
桜崎ニア:──頭の中が真っ白になった。途中から、アナウンスの内容もほとんど頭に入って来ていない。
桜崎ニア:最終実験? 他オーヴァードの全滅?
桜崎ニア:私達の計画が、露見した?決行はまだ、先のはず。ただの偶然?
桜崎ニア: 思考が渦巻く。分からない──何も。
桜崎ニア:(違う)
桜崎ニア:(……大丈夫。きっと、問題はない)
桜崎ニア:こういう理不尽に抗うために、私達は準備をしてきた。
桜崎ニア: "バース"の上位戦力は皆、既に私達の計画に賛同してくれている。その実行が早まっただけのこと。
桜崎ニア:こんな指令に従う者は、一人としていないはずだ。
桜崎ニア:何より、私達の側には──マコトがいる。
桜崎ニア:セルリーダーを含めた研究員達の中に、本気を出した彼に匹敵するオーヴァードは、いない。
桜崎ニア:だから大丈夫だ。
桜崎ニア:あの「1位」が、"マーシャル・ヘイヴン"が、他の誰かに負ける事なんて──
アナウンス:「──最後に、先行失格者について情報を共有します」
アナウンス:「計画への協調が見られないオーヴァードについては、同様の処置を以て対応します」
アナウンス:「どうぞご留意ください」
GM:アナウンスが切断される音と同時に、天井のスピーカーに備え付けられたプロジェクタが光を放つ。
GM:目の前の廊下の壁に、どこかの映像を映し出された。
GM:同じ壁の色……平時は実験体に立ち入りが許されないこの施設のどこか、だろうか。
桜崎ニア:「────ぁ」
桜崎ニア:その光景を眼に映して。私は、声を失った。
桜崎ニア:映し出されたのは、白いリノリウム床の上に置かれた人の頭部。動脈がまろび出て、そこに繋がるべき胴体はない。
桜崎ニア:生気を失った赤い瞳の持ち主を、私はよく知っている。
桜崎ニア:他ならぬ天城マコトの、首だった。
桜崎ニア:「嘘……だ」
桜崎ニア:「そんなこと……あるはず……だって」
桜崎ニア:「皆で、生きて自由になろう、って……言って……」
桜崎ニア:「私……私、は……」
桜崎ニア:希望だったはずのものを失って、私達は──私は。

桜崎ニア:……果たして、私は、どこまでも戦争に向いていた。
桜崎ニア:大切な人が死んだって、平気で戦い続けられるから。
桜崎ニア: 仲間だと思ってた彼らを、必要なら躊躇なく殺められるから。

桜崎ニア:──だって、仕方ないでしょう?
桜崎ニア:そうしなければ、私が殺される。
桜崎ニア:反抗なんて、無理にきまってる。
桜崎ニア:あのマコトが、何もできずに殺されたんだ。
桜崎ニア:……他に、どうしようもなかったんだ。

桜崎ニア:大嫌いな言い訳を呟きながら、一人また一人と、奪い殺す。
桜崎ニア:とうに動かなくなった相手の身体を、執拗に、何度も、己の領域で侵蝕して、搾り尽くす。
桜崎ニア:仲間と呼んだ相手の生命を、自分が生き延びるための糧とする。
桜崎ニア:……そうしているうちに、自分の中で、少しずつ命が混ざっていく感覚があった。
桜崎ニア:力の熱が腹のあたりをぐるぐると渦巻いて、自分が強くなっていってるのが分かった。

桜崎ニア:……なんのために?
桜崎ニア:私の夢は──大好きな人の夢を手伝う事も、普通の人間らしく生きる事も
桜崎ニア:もう二度と、叶いっこないのに。
桜崎ニア:無理に人の命を踏み躙って生きる理由なんて、どこにもないはずなのに。
桜崎ニア:なんで、私は生き残ろうとしているんだろう。
桜崎ニア:私なんかが。
桜崎ニア:そう思っていても、手は止まらない。判断に迷いはない。

桜崎ニア:いつか聞いた、師匠の言葉が脳裏に蘇る。
GM:──「君の気質は、兵器に向いている。誰かに使われる武力という意味だ」
桜崎ニア:ああ、つくづくその通り。
桜崎ニア:正し過ぎて、もう二度と聞きたくない呪いの言葉。
GM:──「だから、自分を大事にする事を覚えろ。でなければ、すぐ野垂れ死ぬ事になる」
GM:──「覚えておけ。君自身が死んだ後には、何も残らない。何もだ」
桜崎ニア:……耳を貸さなければ良かった。
桜崎ニア:あんたのせいで、私は死ぬ事が怖くなったんだ。
桜崎ニア:あんたなんかが育て親だったせいで、私は──

桜崎ニア:「……違う」
桜崎ニア:燃え盛る火焔の向こう。声がする。
桜崎ニア:「違う。違う、違う、違う……!」
桜崎ニア:生命を振り絞るがごとき、爆発的なレネゲイド。刹那に繁殖が延焼を上回る。
桜崎ニア:燃え盛りながら、それよりもより速い速度で。漆黒の木々が生え拡がる。
桜崎ニア:「あの時と同じ、なんかじゃ、ない!」
桜崎ニア:「誰も死なない!死んだって、またやり直せる……!」
桜崎ニア:「だから……!だから、今度こそ、私は……っ」
桜崎ニア: 「私のためじゃ、なくて」
桜崎ニア:「みんなの、ために……!」
桜崎ニア:立ち上がる。その心臓に、真紅の熱が点る。
桜崎ニア:この地に残留した"マーシャル・ヘイヴン"のレネゲイドを糧とし、身に取り込んだ。
桜崎ニア:領域展開。少女を取り巻く、高さ数十メートルの円柱。
桜崎ニア:その空間を埋め尽くすように、黒い艶を帯びた細身の樹木が一秒で育ちきる。
桜崎ニア:竹よりも硬く、緑檀よりも重く、芒よりもしなやかな理想樹木。
桜崎ニア:「あいつを」
桜崎ニア:「殺せ」
桜崎ニア:少女の声に呼応する。彼女が生やし育てた木々のその全てが、否
桜崎ニア:彼女のレネゲイドと根源を同じくする、魄柱の枝々までもが。この瞬間、その殺気に付き従う。
桜崎ニア:──穂村姫乃の視界を埋め尽くすほどの、数百の枝。その全てが、一個の生物の如く振るわれる鞭。
桜崎ニア:それがもたらすのは、しなり打つ、というよりも鎌鼬に斬られるが如き切断。
桜崎ニア:同時に、切先から傷口に流し込まれる。彼女の体内に含まれる数百種の毒草因子を培養・配合を繰り返し育て上げた、彼女の庭(ガーデン)にのみ実る唯一猛毒。
桜崎ニア:視力を奪い、聴覚を破壊し、皮膚を腐蝕させ、筋肉を弛緩させ、心臓・肝臓・肺を硬直させ、毛髪と骨を溶かし、レネゲイドを衰弱させる──凡そあらゆる害を、その一振り一滴が孕んでいる。
穂村 姫乃:それを躱す技量はない。ただされるがままに打ち据えられる。
穂村 姫乃:「か、は」
穂村 姫乃:レネゲイドそのものによって構成された体が――本来毒など効くはずもない体が、蝕まれていく。
穂村 姫乃:「……はは」
穂村 姫乃:それでも、笑みを絶やさない。
穂村 姫乃:「いやあ、堪えるのうこれは」
穂村 姫乃:言葉と裏腹に、何の痛みもないかのように。
穂村 姫乃:「蟲毒というのは昔からあったもんじゃが。こうして強者が生まれるからこそやるものもまた絶えんのじゃろうな」
穂村 姫乃:泰然と、悠然と。
穂村 姫乃:「まあ」
穂村 姫乃:神様のように笑って見せる。
穂村 姫乃:「儂を殺すには足らなんだがな!」

GM:行動値0。魄柱・歳過は、前回と同様に行動なし。
GM:クリンナップ。
GM:邪毒の処理。ニアに15点のHPダメージ
桜崎ニア:生存しています。
穂村 姫乃:こっちも15ダメージ
GM:あ、ですね
穂村 姫乃:んん……蘭介に〇連帯感/心配で取って昇華しよう
亜藤 蘭介:おっ戦闘継続
亜藤 蘭介:がんばって!
GM:OK。汚染値は上げておいてね
GM:でもって、敵の増援判定。
GM:1d100
DoubleCross : (1D100) → 90

穂村 姫乃:殺すに足らんって言った矢先じゃし……。汚染値は17に
GM:ふむ……
久遠仁:これ以上増援あるの??
GM:毎ラウンド判定があります。トループとかが来る
GM:これに包囲される前に離脱しようねっていうのが退避領域でもあるので……
GM:ただ今回は誰も来ませんね。
永良ゆづり:良かった……
GM:エンゲージもそのまま。演出は省略でいいかな
穂村 姫乃:本当に良かった

GM:ラウンド3。セットアップ。
永良ゆづり:なし!!
桜崎ニア:《得意領域》《力場の形成》ダイス+5、攻撃力+10
GM:みんなないかな。ではイニシアチブ
穂村 姫乃:あ、待って
GM:待ちます!
穂村 姫乃:一応ブルゲを打っておく。行動値が9、侵蝕率が107に上昇
GM:OK。
GM:では改めてイニシアチブ
GM:行動値23の久遠さん
久遠仁:はい
久遠仁:マイナーなし
久遠仁:メジャーで≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:対象は桜崎さん。
GM:支援などなければ命中どうぞ。
久遠仁:羽海さんの支援を貰って判定します
久遠仁:20DX7+7
DoubleCross : (20DX7+7) → 10[1,2,2,2,3,4,4,5,6,6,7,7,8,9,9,9,9,10,10,10]+10[1,1,2,3,7,8,8,9,9,10]+10[1,2,3,3,6,7]+1[1]+7 → 38

永良ゆづり:バディム!
久遠仁:助かりすぎる
久遠仁:41!
GM:OK。ではリアクション
桜崎ニア:《幸運の守護》ドッジ
桜崎ニア:10dx+8>=41
DoubleCross : (10DX10+8>=41) → 9[1,2,3,3,5,5,7,8,8,9]+8 → 17 → 失敗

GM:命中です。ダメージどうぞ
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメージ+1D+15
久遠仁:助かりすぎる
永良ゆづり:先ほどの行動で侵蝕+4の92で、今回の刃で+3の95。以上!
久遠仁:ダメージ!
久遠仁:5D10+30+10+10+1D10+15 装甲有効
DoubleCross : (5D10+30+10+10+1D10+15) → 34[6,3,10,6,9]+30+10+10+8[8]+15 → 107

桜崎ニア:その数字は……倒れます。復活もなし。
GM:演出どうぞ。

久遠仁:「……そうかい」
久遠仁:漏出した桜崎の記憶と想念を前に、神速の男が暫時足を止める。
久遠仁:「そりゃあ、譲れなかろうな」
久遠仁:「あんたも。天城も。そりゃあそうだ」
桜崎ニア:「……」足を止めた意図を訝るような眼。警戒は解かず、張り詰めたまま。
久遠仁:「だが、あんたが──“サンディーヴァ”が。その為に踏みつけにしているものは」
久遠仁:「俺にとって。そして他の、どこかの誰かにとって」
久遠仁:「あんた達のそれと同じくらい、譲れない、守りたいものなんだよ」
桜崎ニア:「……だから、力で決める。そうでしょう」
久遠仁:「ああ」
桜崎ニア:「私達は、そうやって来た。他に、大事なものを勝ち取る方法なんて、知らない」
久遠仁:柄に手を伸ばす。静かに右脚を引き、半身に構える。
久遠仁:「悪いな」
久遠仁:「踏み躙らせてもらう」
桜崎ニア:「……来いよ。喰ってやる」獰猛に睨みつける。大地が揺れる。
桜崎ニア:黒煙と共に無数の枝が、久遠仁を取り巻くように立ち並ぶ。
永良ゆづり:宣言に呼応するかのごとく。久遠仁の周囲に白煙が旋回し、纏わりついていく。
永良ゆづり:永良ゆづりが従える煙は、他者のレネゲイドに反応して発火する性能を持つ。
永良ゆづり:だが、こと"信頼に値する者"が携えるレネゲイドであれば、その性能は大きく変質する。
永良ゆづり:齎すのは、レネゲイド能力の爆発的強化。
永良ゆづり:強靭なる怪力は、より強靭に。剛健なる護壁は、より剛健に。
永良ゆづり:───神速なる疾駆は、更なる神速へと。
羽海束沙:──銃声が一つ。それから、反射するような金鳴りの音が立て続けに響く。
羽海束沙:張り巡らされた枝々の隙間を、乱反射するような跳弾。一つ跳ねる毎にそれらを削り折る。
羽海束沙:最大多数の木々を砕ける経路を演算した。漆黒の包囲の中に、僅かに間隙を産む。
久遠仁:煌々と燃え盛る炎を纏った黒影が、姿勢を更に低くする。地を這う獣めいた、抜刀術の構え。
久遠仁:それは最速の構え。引き絞られた弓矢のように。撃ち出す弾丸は自分自身だ。

久遠仁:──斬撃。
久遠仁:桜崎ニアの心臓が、頚椎が両断される。
久遠仁:桜崎の視界から、久遠の姿が消える。
久遠仁:視界の中で、火の粉が散る。
久遠仁:鍔鳴りの残響が、その耳に届く。
久遠仁:傷口が開く。
桜崎ニア:「っ あ 」
久遠仁:血飛沫が噴き出す。
久遠仁:それらは刹那の内に、順番に巡ってきて。
久遠仁:そして、最後に。
久遠仁:至極、恐ろしいほど緩慢に。逃れられぬ死が訪れる。
桜崎ニア:……胸の灯火が吹き消える。開かれた瞳孔が、絶望に染まる。己の果てを理解してしまったがために。
桜崎ニア:「……う、ああ」
桜崎ニア:「ごめんなさい」
桜崎ニア:「ごめんなさい、みんな」
桜崎ニア:みんなのために戦うなら、どんな無茶だってできる。そう思っていたはずなのに。
桜崎ニア:今度こそ、自分が生き延びるためではなく。みんなを救うために戦うと決めたのに。
桜崎ニア:「……やっぱり、私じゃダメだった」
永良ゆづり:「…………」誰の目にも明らかに、桜崎ニアは死に絶えようとしている。
永良ゆづり:なのに、峨嵋刺を握る私の両手は、未だ震えていた。
永良ゆづり:遠巻きに敵の目論見へ横やりを入れ、味方に僅かな施しを与えることしか出来なくなった。
永良ゆづり:「……ニア」
桜崎ニア:「……」言葉はない。仰向けに倒れたまま、ただ、力なく見上げる。
永良ゆづり:「済まなかった」
永良ゆづり:「私達がもっと早く、貴女に。"アモーガ"セルに、辿り着けていれば」
永良ゆづり:「そんな想いなどさせなかった」
桜崎ニア:「……何、それ」
桜崎ニア:「そっちが勝ったくせに。ひどい顔してんの」
永良ゆづり:「…………」顔を逸らす。
永良ゆづり:「私達には責がある。"桜崎ニア"の願いを、叶えさせることはできない」
永良ゆづり:「代わりに貴女を、貴方達の想いを。全て背負うつもりでいた」
永良ゆづり:ゆっくりと、倒れ伏す桜崎ニアの元へ歩み寄る。
永良ゆづり:「……いたんだが、な」
桜崎ニア:「……余計なお世話」
桜崎ニア:「分かってると思うけど……まだ、"天馬"が負けたわけじゃないから」
桜崎ニア:「私の想いは、私の仲間に託す」
永良ゆづり:「そうか」
桜崎ニア:「大体……そうやって。いちいち、倒した敵の事まで背負い込んでたら」
桜崎ニア:「きりがないでしょ。そんなの……」
永良ゆづり:「……ああ。今、それを痛感している」
永良ゆづり:「お前に力を奪われてから、傍に近寄るのが怖くなった」
永良ゆづり:「私は、自身が思うよりずっと、弱かったみたいでな」
永良ゆづり:「なぜ、"サタニアン・ガーデン"よりランクが低かったのか分かったよ」
桜崎ニア:「でも、懲りたって風には見えないけど」
永良ゆづり:「……懲りてはない。ただ、負けただけだ」
永良ゆづり:「貴女の想いの重さに」
桜崎ニア:「……」目を丸くする。この期に及んで何を言うのかと思えば、それが自分への賞讃だとは。
永良ゆづり:「……なぁ」
永良ゆづり:「もし、貴女の言う通りに私達が負けて、この世界が現実になって」
永良ゆづり:「再び私達があの日常に飲み込まれることになったら」
永良ゆづり:「……もう一度、アイス奢ってくれ」
桜崎ニア:「……はっ」
桜崎ニア:目を閉じる。腕で目元を隠す。
桜崎ニア:「ほんとに、馬鹿なやつ」
桜崎ニア:「……。考えとく」
永良ゆづり:「……よろしく」
桜崎ニア:微かに震えていたその身体が、止まる。
桜崎ニア:その肉体から、"なにか"が喪失したような気配。
GM:それと、同時に
GM:空を覆う如くひしめいていた木々が、最後に一度。ぞわり、と鼓動するように揺れて。
GM:黒い灰となり崩れ去る。……煤けた風の向こう、ただ一つ残るは
GM:漆黒の巨木。この異界の礎。魄柱(アンカレイジ)が一つ。
永良ゆづり:「(……私に、こんな迷い事を吐かせるくらいに、弱さを自覚させたんだ)」
永良ゆづり:「(決着が付くまでに、立ち直せるだろうか)」
永良ゆづり:闇の中に聳え立つ巨木を見据えながら。

GM:イニシアチブ9。穂村さんと永良さんが同値かな
GM:どちらからでもどうぞ
穂村 姫乃:ではこちらが。
穂村 姫乃:NPCカードの日下部ルリカを使用。対象は魄柱で。
日下部ルリカ:OK、では
GM:②「領域送掌」
タイミング:イニシアチブ
制限:シナリオ1回
効果:使用者から距離:至近にある対象1体の発揮する持続能力効果一つを消去し、HPを0にする。この効果は攻撃として扱い、カバーリングの対象となる。

日下部ルリカ:この効果を魄柱・歳過に対して発動。
GM:これにより、魄柱・歳過の持つ「究極存在」の効果が解除。あらゆるHP減少効果を無効化するステータスが解除され
GM:並びに、HPが0になります。討滅完了。
GM:ミドル1戦闘、勝利条件達成となります。
GM:では演出。

穂村 姫乃:"天城マコト"も"櫻崎ニア"も消滅し、守るものの居なくなった怪樹。
穂村 姫乃:「なあ、ルリカ」 それを背にするようにルリカへと振り向いて。
日下部ルリカ:「……ん」
日下部ルリカ:"マーシャル・ヘイヴン"達との戦闘を支援するために、この距離に出る必要があった。
日下部ルリカ:灼熱の融解現象と黒い枝牙の刺突を何度も身に受けて、再生代謝はとうに機能していない。
穂村 姫乃:「お主と共にやれるのは、此処までなんじゃよな」
日下部ルリカ:傷ついた手脚を丸めるように屈み込んで、その右掌だけは無傷のまま守り抜いている。顔を上げる。
日下部ルリカ:「……悔しいけど、そうなりそうだ」
穂村 姫乃:「そうか……」 一度、僅かに目を伏せた後。
穂村 姫乃:「……儂らは」
穂村 姫乃:「儂らは、お主の願いに叶ったか?」
穂村 姫乃:「お主の願った正義の味方になれたじゃろうか」
日下部ルリカ:「……もちろん」
日下部ルリカ:「みんな、本当によくやってくれた。……この状況まで、辿り着けた事さえ」
日下部ルリカ:「正直、できすぎなくらいだと思ってる」
日下部ルリカ:「ありがとう。……そして、ここからは」
日下部ルリカ:「私の、仕事だ」
日下部ルリカ:片足を引きずり、歩き出す。
穂村 姫乃:「……なら」
穂村 姫乃:ひょいとその傍らに歩み寄ると、腕を取り歩みを支えて。
穂村 姫乃:「肩くらい貸すのが友人の仕事じゃな」
日下部ルリカ:「……最後まで、格好つかないなあ」ふふ、と困ったような笑みを浮かべる。
日下部ルリカ:(……失血で目眩がする。負傷箇所を数えるのも馬鹿らしい)
日下部ルリカ:(コンディションは最悪。だけど)
日下部ルリカ:(気分は、いつになく冴えてる)「……うん」
日下部ルリカ:「今なら、やれる」
日下部ルリカ:魄柱の前に立ち、向かい合う。
日下部ルリカ:数時間をかけて練り上げ・圧縮を繰り返した微小領域。それを、己の右手に纏うようにして。
日下部ルリカ:ただ平たく開いた掌を、押し付けるように繰り出す掌底。
日下部ルリカ:魄柱から光が漏れる。距離、1メートル。
日下部ルリカ:突き出した掌が、緩やかな遅滞の波に包み込まれる。
日下部ルリカ:たった1メートルを疾るその掌打を、半年後まで届かせない。隔絶的な減速領域。
日下部ルリカ:"サンディーヴァ"。10年以上に渡る戦闘訓練を通した選別の果て、"バース"シリーズの中でも強力な40体のレネゲイドを濃縮させた頂点の個。
日下部ルリカ:いま日下部ルリカの目の前にあるのは、それが数日の集中を費やして練り上げた力の結晶。
日下部ルリカ:時間速度の操作に長けたその一柱の源には、生前の日下部ルリカのレネゲイドも使われている。上位互換、と言ってもいい。
日下部ルリカ:……領域能力者同士が互いの法則を押し付け合えば、どうなるか。
日下部ルリカ:日下部ルリカは痛いほど知っている。より強い領域によって場を制圧した方が勝つ。
日下部ルリカ:領域の強さとは、因子の密度。操作できる因子の総量は、能力者の出力。
日下部ルリカ:「11位」という数字が全力の力比べによるものではなかったとしても、自分のオーヴァードとしての才能は、最上位よりも一段落ちる。
日下部ルリカ:ジャーム化によって力を高めた今とて、それは向こうも同じ条件──普通にやれば届かない。
日下部ルリカ:(……分かってる。思い知ってる。何度も何度も何度も敗けてきた中で)
日下部ルリカ:(だから考えてきた。だから研鑽してきた)
日下部ルリカ:(自分のレベルの力を、彼らの領域に届かせるにはどうすれば良いか)
日下部ルリカ:すう、と息を吸い込む。地をいっそう深く踏みしめる。
日下部ルリカ:「──こんな、デクに」
日下部ルリカ:繰り出した右手が、歪む。掌を薄く覆う碧色の領域が、より薄く圧縮されていく。
日下部ルリカ:より硬く、より密に──その僅かな空間に、自身の全身のレネゲイドを注ぎ込む。
日下部ルリカ: 「負けて、られるか……ッ!!」
日下部ルリカ:……ゆっくりと、止まっていた右手が動き始める。
日下部ルリカ:強大な領域に罅刻むように。
日下部ルリカ:0.5メートル/年の遅滞の極みから、激しい熱を帯びて、少しずつ動き始める。
GM:そして、その刺激に呼応するように──
魄柱・歳過:《復讐の刃》
魄柱・歳過:無数の枝が刃のように伸びて、敵対者の肉体を引き裂こうとする。
日下部ルリカ:平時であれば、再生力に任せて耐える選択肢もあった。
日下部ルリカ:しかし、余力を残すように努めたとはいえ"マーシャル・ヘイヴン"達との交戦の直後。心身の限界は近い。
日下部ルリカ:練り上げた領域を一度乱してしまえば、取り返しは付かない。
日下部ルリカ:彼らの死闘も、無為に終わる。
日下部ルリカ:「ッ……!」
日下部ルリカ:《黒星招来》
日下部ルリカ:──少女の身体を覆う碧色の領域が、膨張し障壁を形成する。
日下部ルリカ:規模は違えども、理屈は同じだ。この数秒、攻撃が届くのを遅らせる。
日下部ルリカ:届ききる前に、魄柱(こいつ)を壊す。
日下部ルリカ:……意識が朦朧とする。限界を超えた加速に精神が摩耗する。
日下部ルリカ:他者の肉体を借りて動く今のルリカにとって、精神の摩耗とは自己の磨滅である。
日下部ルリカ:……それが、どうした。
日下部ルリカ:あと40センチ。30。25。届け。届かせさえすれば、壊せる──

日下部ルリカ:……刹那の忘我。意識を失ったような、あるいは夢を見ているような。
日下部ルリカ:いつか、どこかで交わした言葉。遠い将来の話。
 :「ルリカは、どうだ。ここから出たら、やってみたいことはないか」
 :「へえ?私は……」
日下部ルリカ: ──あの日、自分は何と言ったのだったか。
日下部ルリカ:朧気な私の影は、少し言葉に迷ってから、
日下部ルリカ:それでも初めから胸の内は決まっていたような時間で、答えを出した。
 :「そうだね。旅が、したいかなぁ」
 :「どこか遠く……全然知らない国に行って」
 :「知らない景色ばかりで、言葉も通じなくて」
 :「ああ、どうしようかな……って」
 :「困り果てて、空でも見ながら……昼寝でもしたいな」
日下部ルリカ:──ああ。そうだ。そうだった。
日下部ルリカ:自分の心だけは、夢に穢されていないつもりで
日下部ルリカ:結局、一番大事な部分を塗りつぶされていたらしい。
日下部ルリカ:それでも。こうして最後には、自分で思い出したのだから
日下部ルリカ:心のどこかに、ずっと引っかかっていたのだろう。
 :「ちょっと、冗談じゃないよ?」
 :「だって、こんな狭い施設の中じゃ、私達」
 :「道に迷って、途方に暮れることもできないじゃん」
 :「つまらなくない?そんな人生」
日下部ルリカ:……そうだ。"サンディーヴァ"の打倒が、私の願いなら
日下部ルリカ:遠い世界に旅立つことが、私の夢だった。
日下部ルリカ:だから──今にして思えば。それも、理由の一つだったのかもしれない。
日下部ルリカ:私が、この甘い箱庭に溺れなかったのは。
日下部ルリカ:"サンディーヴァ"が私の中からそれを削り取っていたのは。
日下部ルリカ:私の夢は、この世界では決して叶えられないから。

日下部ルリカ:ずっと、自由になりたかった。
日下部ルリカ:枷を壊して、どこか遠くへ行きたかった。
日下部ルリカ:……だけど。まもなく私は、永遠にこの世界を去って
日下部ルリカ:ようやく思い出した夢は、叶うこともない。

日下部ルリカ:(──なんて、今更思い出したからって後ろ髪引かれるのは)
日下部ルリカ:(ちょっとダサすぎてナシだ)
日下部ルリカ:(やり遂げるさ。最後まで)
日下部ルリカ:……そうだ。自由になりたかった。
日下部ルリカ:自分を戒めるものを全て、壊してやりたいと感じていた。
日下部ルリカ:この想いは。衝動は。私だけのものだから
日下部ルリカ:この役目はきっと、私にしか果たせない。あの時と同じように。
日下部ルリカ:──ニアの体内を蝕む、"モングレル・チェスト"の呪縛を砕いて
日下部ルリカ:彼女の意思を、"ヴィローシャナ"の思惑から自由にした時のように。
日下部ルリカ:あの時は、私が勝つわけにはいかなかったけれど。
日下部ルリカ:今度こそは、私が勝つ。
日下部ルリカ:「──あああぁぁぁッ!!!」
日下部ルリカ:──遂に、その右手が。魄柱の表皮に触れる。

日下部ルリカ:Eロイス「破壊神顕現」発動。
日下部ルリカ:魄柱が持つEロイス「究極存在」、並びに魄柱・歳過を破壊します。

日下部ルリカ:日下部ルリカの領域送掌。
日下部ルリカ:それは加速支配能力の精密かつ暴力的な運用によって齎される、切断現象である。
日下部ルリカ:少女の掌が一打を叩き込んだ、直径10数センチの空間。
日下部ルリカ:伝達する衝撃、それが生み出したごく僅かな速度を、
日下部ルリカ:自身の領域作用によって超加速させる──左右に二分した、その片側だけに。
日下部ルリカ:結果、断裂する。
日下部ルリカ:瞬間的に生じた超高速の速度、尋常の物理現象の埒を超えるエネルギーが、
日下部ルリカ:一つだったはずの物体を、二つに引き裂く──

魄柱・歳過:──ずるり、と
魄柱・歳過:そこに聳え立っていた巨木が、縦にずれる。
魄柱・歳過:天頂近いその大樹を、亀裂が縦に走り上がる。歪みが、見る間に大きくなって
魄柱・歳過:やがて本来の姿を失ったそれは、灰となって砕け落ちる。
日下部ルリカ:「っ、は……はは」
日下部ルリカ:「どうだい。見た、か……」
日下部ルリカ:「今度、こそ……」
日下部ルリカ:一瞥する。傍らに倒れ伏した、「ニアだった少女」を。
日下部ルリカ:「……私の、勝ちだ」
日下部ルリカ:その言葉はきっと届かなかっただろうが。
日下部ルリカ:それでも、その宣言は、日下部ルリカの人生にとってきっと必要な言葉だった。
日下部ルリカ:そうして──障壁の突破と、魄柱の破壊。
日下部ルリカ:その二つに力を注ぎきった少女もまた、その場に崩れ落ちる。
穂村 姫乃:少女の身体が地に伏せきる前に、それを抱きかかえるようにして支える。
穂村 姫乃:「いやはや、見事なもんじゃったな」
日下部ルリカ:「っ……あ」受け止められたことに、微かに驚いたような声を出して。
日下部ルリカ:「……へへ」くたりと微笑む。
穂村 姫乃:「流石はルリカというべきか。見事な完勝じゃった」
穂村 姫乃:こちらも、変わらず笑んでいる。口調も普段の通り軽く。だけど。
日下部ルリカ:「ありがと」
穂村 姫乃:その頬を、一つ二つと水滴が伝っていく。
日下部ルリカ:「もしかしたら……と。ちょっとは期待してたんだけどさ」
日下部ルリカ:「ごめん。やっぱり、もう」
日下部ルリカ:「限界だ」
日下部ルリカ:力なく吐く。君に抱きとめられたまま、身を起こして立ち上がる事もできない。
穂村 姫乃:「そうじゃよなぁ」
穂村 姫乃:どれだけの無理をしたか、この目で見ていたのだ。それに今更否を唱えられる訳もない。
穂村 姫乃:だから、代わりに。
穂村 姫乃:「なあ、ルリカ」
穂村 姫乃:「勝ったとはいえ、まだこの世に未練はあるんじゃろ」
穂村 姫乃:彼女の夢を垣間見た。旅をしたい、と。
穂村 姫乃:「なら、今度こそ化けて出てくれんか」
穂村 姫乃:「それで儂に憑りついて、一緒に旅をせんか」
日下部ルリカ:「……っ。はは」泣きそうな顔で笑う。
日下部ルリカ:「いいな……その、話。すごくいい」
日下部ルリカ:「本当に……そう、なったら」
日下部ルリカ:「いい……のにな……」
穂村 姫乃:「そうじゃろ。めっちゃ良いじゃろ」
日下部ルリカ:言葉に泣き声が混ざる。
穂村 姫乃:「じゃから、そう願ってくれ。そうしたら案外叶うかもしれん」
穂村 姫乃:「お主の願いが叶ったように、夢も叶うかもしれんじゃろ」
日下部ルリカ:「っ……ああ……」
日下部ルリカ:「いい、のかな……もう一つ、お願い事なんて……」
日下部ルリカ:「神様って、そういう欲張りなの……許して、くれるんだ……?」
穂村 姫乃:「当り前じゃろ。神頼みなんて欲張ってナンボじゃし」
穂村 姫乃:「友人の願いも叶えん神なんざ、誰だって願い下げじゃろうが」
日下部ルリカ:「っ……そっか。姫乃が、そこまで言うなら……」
日下部ルリカ:「そう、しよう……うん」
日下部ルリカ:「……だから、さ」
日下部ルリカ:力なく、ゆっくりと手を動かす。
日下部ルリカ:「これ……預かっててよ」
日下部ルリカ:胸ポケットから取り出した。眠たげな目をした、コミカルなうさぎのストラップ。
日下部ルリカ:あの日のゲームセンターで、君達が一つずつ手に入れたもの。
穂村 姫乃:「……」 驚いたように瞬きをした拍子に、また新しく涙が零れて。
穂村 姫乃:「ああ、確かに」
穂村 姫乃:「承った」 しっかりとその掌からストラップを受け取る。
日下部ルリカ:「……うん」
日下部ルリカ:「また、会った時……返してもらうから。約束」
日下部ルリカ:「それまでは、その子が」
日下部ルリカ:「君の旅の、相棒代わりって事で」
穂村 姫乃:「うむ。儂、気は長い方じゃからな」
穂村 姫乃:「ゆっくり待とう。それこそ旅でもしながら、のんびりと」
穂村 姫乃:「何百年でもお主を待つから。ちゃんと、会いに来てくれ」
穂村 姫乃:「この子らを目印にな」
穂村 姫乃:自身の鞄につけた笑い顔のうさぎの横に、眠たげなうさぎを並べてみせる。
日下部ルリカ:「うん……守るよ。どれだけかかるか、分からないけど」
日下部ルリカ:「必ず、会いに行くよ……」
日下部ルリカ:「親友との、約束だもん」
穂村 姫乃:「ああ、約束じゃ」
日下部ルリカ:顔色から生気が失われていく。肩で息をする、その震えすらも徐々に弱まっていく。
日下部ルリカ:「だから……約束したんだから、"さよなら"は、なしだ」
日下部ルリカ:「またね、姫乃」
穂村 姫乃:「またな、ルリカ」
日下部ルリカ:その言葉を最後に、静かに目を閉じて
日下部ルリカ:その肉体は、ただ事件に巻き込まれた無力な少女のものへと還っていく。
穂村 姫乃:少女を優しく地に下ろし、立ち上がる。
穂村 姫乃:永久の別れを告げたわけでなく、ただ再会を誓っただけ。だからその口元は未だ微笑みを絶やさず。
穂村 姫乃:だけど、瞳から零れる涙もまた。暫く絶えることは無かった。

GM:戦闘勝利条件を達成しました。
GM:ただし、このままここに留まっているとクリンナップ毎に増援が来てしまうので
GM:戦闘終了条件は、「”ビー”のNPCカードの効果①を使用すること」となっています。
GM:使用しますか?
久遠仁:使用します。
GM:了解です。これを以て、ミドル戦闘を終了します。


GM:シーンカット。ロイスのみ可能です。
亜藤 蘭介:保留します。以上
久遠仁:保留します。
穂村 姫乃:ルリカへのロイス感情を〇友情/寂寥へ変更します
穂村 姫乃:以上です
永良ゆづり:桜崎ニア/○連帯感/隔意→桜崎ニア/○執着/隔意 に変更します。以上
GM:了解です。では進行。

◆Masterscene03:にどめのやくそく◆

GM:──またしても君達は、夢を見る。
GM:自分ではない誰かの人生を。否、かの少女の過去を。
GM:遠いスクリーンに映し出された、映画の中の出来事のように。

 :小学校が、初めてのゴールデンウィークに入って間もない頃だった。
 :お母さんが、急に熱を出して寝込んだ。
 :病院では普通の風邪だろうと言われたらしいけれど
 :そのまましばらく経っても、熱が下がる様子はなかった。
 :家族旅行の計画もキャンセルする事になった。
 :ちょっぴり残念ではあるけれど、どちらにしてもそんな状況で楽しめるはずもないし。
 :「代わりに何か買ってあげようか」とお父さんが言ってくれたのも、大丈夫だよ、と遠慮しておいた。あたしはいい子なので。
 :いい子だからもちろん、こういう時くらいお母さんを看病してあげたい気持ちはあったけれど
 :「感染るかもしれないから部屋には入らないでね」とお父さんには言われていたから、部屋でおとなしく連休の宿題を片付けたりしていた。
 :お母さんが元気になったら、次の週末には一緒に遊園地に行けるだろうか、なんて事を考えながら。

 :……そんなあたしが、お父さんとの約束を破ってしまったのは
 :夜中にトイレに向かった時、お母さんの寝ている部屋から変な声を聞いたからだ。
 :呻き声? オバケ? どちらにしても、お母さんが心配だ。
 :何度かドアを叩いて声をかけても、返事は返ってこなかった。
 :扉に近付いたとき、鼻先に何か血生臭い匂いが漂った。
 :咄嗟に嫌な予感が過ぎって、お父さんを呼びに行くという事も思いつかなかった。
 :「お母さん、ほんとに大丈夫……!?」
 :バタン、と乱雑な音とともに扉が開く。
 :真っ暗な部屋のベッドの上に、薄ぼんやりと人影があった。……じゅるじゅると、何かを啜るような音。
 :「こんな時間に、ごはん食べてるの……?」
 :壁のスイッチを探り、灯りをつける。
 :照らし出されたのは、腕に歯を突き立てて血を啜る、お母さんの姿だった。
 :「──ぇ、あ」
 :自分の腕、ではない。
 :肘から先を捥ぎ取ったような肉体の断片を、両手で抱えている。
 :──誰の腕?どうやって手に入れた? 殺したの?
 :お父さんは無事?血を吸う、化物?本当に、これはお母さんなの?
 :──色んな思考が、頭の中をぐるぐるとして。
???:「さい、か……」
 :目の前の女が、顔を上げる。視線が交わった。
 :青く染まったその眼は、どこか正気を失っていたように見えた。
 :まるで、私自身の事さえも、血の入った水袋としか見えていないんじゃないかって思うほどに──

 :……気がつくと、背を向けて駆け出していた。
 :部屋の扉を閉める事すらも忘れて、お父さんがまだ仕事をしていた書斎に飛び込んで
 :わんわんと泣きつきながら、要領の得ない説明をした。
 :その日の後のことは、よく覚えていない。
 :一瞬だけ目に入った、私の知らないお母さんの姿がどうしても頭から消えなくて
 :いつ寝たのかもよく分からないまま、気がつくと夜が明けていた。

 :次の日の朝、お父さんは何事もなかったかのように私を起こして、朝食を作った。
 :お母さんの姿は、どこにもなかった。
 :あたしは──お父さんが無事でいてくれた事への安堵と、お母さんがどうなったのか分からない不安の間で
 :何かを確かめる事も、問いかけることも恐ろしくて。何も言葉が出てこなかった。
 :お父さんと向かい合って、ただ黙って。味のしないパンをミルクで流し込みながら
 :昨日見たものが、全部ただの夢だったら良いのになと思っていた。
お父さん:「……母さんは、誰も殺してない」
 :しばらく無言が続いたあと、お父さんがそんな風に口を開いた。
 :あたしの都合のいい妄想は、全部なかった事になった。
お父さん:「人を食ったりなんて、していない」
 :……いつになく、威圧するような言葉だった。
 :お父さんは確かにちょっと厳しい人だったけれど、あたしに向かってそんな言い方をした事は、それまで一度もなかった。
お父さん:「わかってくれるな。……彩花は、いい子だもんな」
 :「……」
お父さん:「母さんはただ、"病気"で寝てるだけなんだ」
お父さん:「……治す方法は、必ず見つけるから」
 : 「……うん」
 :それ以上、あたしは何も言えなくて。項垂れるようにゆっくりと頷いた。
 :それから、もう一度。
 :「お母さんの寝ている部屋には、絶対に入ってはいけないよ」とお父さんと約束した。
 :あたしもこの時はもう、何があっても約束を破るつもりはなかった。
 :……大人だから。お父さんに任せれば、きっと何もかも上手く行く。大丈夫、なんて。
 :そんな都合のいい夢想にすがって。

◆Middle08:退避・寝室◆

GM:全員登場です。登場侵蝕と汚染上昇は不要です。


GM:──"ビー"の能力で戦線から撤退した君達が、次に目を覚ましたのは
GM:どこかの洋館の廊下だった。
GM:窓の外は暗く、4つほどある扉はどれも、固く閉じて開くことはできない。
GM:時折、扉の向こうから雫の垂れるような音ばかりが聞こえる。
"ビー"北条サイカ:「……その、本当に……すみません」俯いている。
"ビー"北条サイカ:「また、嫌なものを見せてしまって」
久遠仁:「……今のは……」周囲を見回す。
久遠仁:「……いや、ここは……」
久遠仁:足を踏み入れたのは一度きりだが、記憶に刻み込まれている。忘れるはずもない。
"ビー"北条サイカ:「……退避領域の素になる記憶は、あたしももっと穏当なものにしたいと思っているんですが」
"ビー"北条サイカ:「噴き上がろうとしてるみたいなんです」
"ビー"北条サイカ:「ずっと、押さえつけてたもの……無意識に忘れようとしてたものが」
GM:久遠仁は知っている。君がこの少女を保護した直後、彼女は精神的なショックから色々な記憶が曖昧になっていた。
GM:あの日の事件のこと。そして、両親にまつわる思い出のこと。
久遠仁:「……」事件記録を思い出す。彼女の母親は、あの日以前から既に────。
久遠仁:「……ここが、夢の中だからかな」
"ビー"北条サイカ:「……。そうなのかも、しれません」
"ビー"北条サイカ:「それよりも……怪我の方は、大丈夫ですか。皆さん」
羽海束沙:「平気……って言いたい所ですけど」
羽海束沙:「正直、かなり堪えてます。特に、"ドイスラッシャー"が受けた傷は……」
久遠仁:「そうだ……亜藤さんは?」
亜藤 蘭介:低い呻き声を漏らしつつ。寝ていた身体をゆっくりと起き上げる。
永良ゆづり:「……大丈夫そう、かしら」
穂村 姫乃:「すまんの、蘭介。儂を庇ったばかりに」
亜藤 蘭介:薄目で辺りの様子を伺って。「此処は……そうか、"ビー"の」
穂村 姫乃:「うむ。柱は無事撃破した。傷の具合はどうじゃ?」
亜藤 蘭介:「問題ない────と、言いたい所だが」
亜藤 蘭介:険しい顔。眉を潜めて。「領域送掌。領域掌握者の極技」
亜藤 蘭介:「覚悟はしていたが。これほどとは」
久遠仁:「まあ、しかし。そう悪いことばかりじゃあないさ」
久遠仁:「あの二人を相手に、一人も死なずに済んだ。その上に、目標である木の伐採も成功した」
亜藤 蘭介:再生機能だけではない。自身が紡いできた絆すら、消しうるあの一撃の感覚が脳裏に過ぎって。
亜藤 蘭介:「二度は喰らいたくないものだが」「ああ。最初の難関は……」
羽海束沙:「……」一人も死なずに、という所で穂村さんの方を一瞥するが。何も言わない。
久遠仁:「良い出だしじゃないか……日下部のおかげだ」
亜藤 蘭介:そこで。空色の髪の、朗らかに笑う彼女の姿が何処にも見えないことに気づいて。
永良ゆづり:「…………」壁に寄りかかり、壁の窓から昏い外を眺めている。
亜藤 蘭介:「そうか……そうだな」深く頷く。
穂村 姫乃:「うむ。上々と言えよう」
穂村 姫乃:目元は未だ赤いが、もう涙は零していない。
"ビー"北条サイカ:「……身体の傷は、もちろんですけど」
"ビー"北条サイカ:「精神的にも……その」
"ビー"北条サイカ:「とりわけ肉体的な衰弱の隙を突いて、夢界は人の心に強く根を張るみたいですから」
羽海束沙:「そっちの"治療"も必要、というよね。ええ……分かっています」
羽海束沙:「私達のリミットは、"ブリンクブレイド"のジャーム化。急ぐ必要は当然、あるけれど」
羽海束沙:「……途中で心が折れては、為せる事も為せないものね」

GM:では、ここで汚染値制御判定を行います。
GM:技能は《意志》《RC》《交渉》のいずれか。難易度は7です。
GM:前回より難易度が1減っているのは、慣れと魄柱伐採による影響です。
永良ゆづり:《意志》で判定。思い出の一品+ブランケット使用
穂村 姫乃:RCで判定
久遠仁:交渉で判定
永良ゆづり:4dx+2>=7
DoubleCross : (4DX10+2>=7) → 6[2,3,4,6]+2 → 8 → 成功

穂村 姫乃:6dx+14
DoubleCross : (6DX10+14) → 10[2,3,6,6,7,10]+8[8]+14 → 32

久遠仁:4DX>=7
DoubleCross : (4DX10>=7) → 10[5,6,7,10]+7[7] → 17 → 成功

亜藤 蘭介:《意志》にて ブランケットと思い出の一品
亜藤 蘭介:3dx+4>=7
DoubleCross : (3DX10+4>=7) → 10[2,2,10]+8[8]+4 → 22 → 成功

GM:お、みんな無事成功
GM:では制御値の計算ですが
GM:汚染値制御判定に成功する……成功したので1点
GM:夢骸体のオーヴァードおよび洗脳オーヴァードを倒す(自分の手でHPを0にする必要はなく、同シーンで戦闘不能になることを確認すればOK)……マコト、ニア、ルリカで合計6点
GM:魄柱を破壊する……破壊したので2点
GM:偽ハンドアウトに記載されたシナリオロイスを倒す(同上)……久遠さん、永良さん、穂村さんは2点
GM:亜藤さんは9点、他の3人は11点となります。
GM:この数値分、汚染値を下げた上で
GM:この数値D10点、侵蝕率を下げることができます。
GM:各々どうぞ。
亜藤 蘭介:しつもんです
亜藤 蘭介:この場合自分は9D10になるのですが
亜藤 蘭介:この侵蝕下げダイスの数は9以下の値で変更可能になりますでしょうか?
GM:振るダイスを減らしたいってことです?
亜藤 蘭介:可能なのかな~?と
亜藤 蘭介:基本はそのまま振るアレではあります!
GM:ううーん……できないことにしましょう バックトラックだとできないし
亜藤 蘭介:了解です!ありがとうございます!
久遠仁:汚染値13>2
久遠仁:102-11D10 侵蝕率
DoubleCross : (102-11D10) → 102-51[9,8,2,2,3,1,3,5,3,9,6] → 51

GM:どうしても増やしたかったらジェネシフトとかしてね
亜藤 蘭介:汚染値14→5
穂村 姫乃:汚染値は17点から6点まで減少。侵蝕率は……
亜藤 蘭介:90-9d10
DoubleCross : (90-9D10) → 90-37[2,5,1,1,3,9,4,7,5] → 53

穂村 姫乃:107-11d10
DoubleCross : (107-11D10) → 107-79[7,3,6,6,10,6,10,5,9,10,7] → 28

永良ゆづり:では汚染値が15-11=4に。
穂村 姫乃:マジで言っとる?
亜藤 蘭介:減ったねえ!
永良ゆづり:95-11d10
DoubleCross : (95-11D10) → 95-59[8,8,7,2,7,8,4,2,7,1,5] → 36

久遠仁:出目やば
穂村 姫乃:初期値より減って28になった……
GM:流石にばらつくよなこのシステム……

亜藤 蘭介:廊下の壁を背に、片膝を立て座っている。
亜藤 蘭介:握力も次第に戻ってきた。拳をゆっくりと開閉し、具合を確かめて。
穂村 姫乃:「動けそうか?」
穂村 姫乃:その向かいで壁に凭れ掛かるように立っている。
亜藤 蘭介:「ああ。万全とは言い難いが」
亜藤 蘭介:「次までには、動けるようにするとも」
穂村 姫乃:「うむ、心強い」
穂村 姫乃:「本来ならば万全に動けるようになるまで休みたいとこじゃが、そうもいかんしなぁ」
亜藤 蘭介:「全くだ。……聞いたぞ」
亜藤 蘭介:「桜咲の領域送掌を永良が。続いた桜咲の渾身の一撃をお前が。その身に受けたと」
穂村 姫乃:「ああ、あれはなかなか効いたな」
穂村 姫乃:けろりとした顔でそう答える。
亜藤 蘭介:「……身体構造の差異こそあるものの」
亜藤 蘭介:「何だか、情けない気分だ」
亜藤 蘭介:平然とした彼女の表情を見て。少しばかり溜息をつく。
穂村 姫乃:「いや、天城のそれと桜崎のそれでは性質も何も異なるじゃろ」
穂村 姫乃:「お主が割り込まず儂があれを食らえば、儂とてしばらくは使い物にならんかったろうよ」
亜藤 蘭介:「結果として……あの判断は。間違っていなかっただろう」
亜藤 蘭介:「複数を相手取るのが苦手な駒と」
亜藤 蘭介:「卓越した技量と火力を兼ね備えた、多面的な攻撃能力を有する穂村なら……」
亜藤 蘭介:「天城マコト、桜咲ニア、そして"魄柱"の。今だ健在していた3つの脅威に対して有効に働くのは、どちらなのか。論ずるまでもあるまい」
穂村 姫乃:「ふむ……」
穂村 姫乃:「なるほど、戦士の視線で見ればそうなのかもしれんが」
穂村 姫乃:「儂としてはあの判断を正しいだの間違いだので語るのは少し、違うというか」
穂村 姫乃:「いや、それ話すよりこっちが先じゃな」
亜藤 蘭介:「む」
穂村 姫乃:そう言って、蘭介に対し深々と頭を下げる。
亜藤 蘭介:少しだけ首を傾げて。目を僅かに見開いて。
穂村 姫乃:「礼を言わせてくれ」
穂村 姫乃:「お主に庇われたお陰で、儂はルリカと再会を約束できた」
穂村 姫乃:「友人とただ別れるでなく、笑って話が出来た」
穂村 姫乃:「もう一度会えると信じる権利を得た」
穂村 姫乃:「お主のお陰じゃ。ありがとう」
亜藤 蘭介:暫くの後。その言葉を噛みしめるように瞑目してから。ぽつりと呟く。
亜藤 蘭介:「礼は、いいさ」
亜藤 蘭介:「お互いに有していた能力さえ、真逆であったのなら。俺は……彼処で己の身を呈してまで、お前を庇う事は……」「無かっただろう」
亜藤 蘭介:「しかし……」
亜藤 蘭介:そこで視線を彼女から外して。宙を見る。
亜藤 蘭介:「日下部ルリカは俺たちの推察とは異なり。奴もまた、"サンディーヴァ"によって生み出されたこの夢界世界の住人のうちのひとり、だった」
亜藤 蘭介:穂村の煌めく金色の瞳と視線を交わす。
亜藤 蘭介:「しかし、それでも」
亜藤 蘭介:「"別の形"で……また、同じ道を共に歩く事の出来る日は」
亜藤 蘭介:「いつか、きっと来ると」「俺も。信じてみたい」
穂村 姫乃:「ああ、願ってくれ」
穂村 姫乃:「再びルリカが現れるとすれば、それは儂と同じ種としてになるじゃろう」
穂村 姫乃:「そして起源は人の思いとなる。何もかも仮定の話になるがな」
穂村 姫乃:「じゃが。ルリカを思う人間が居ることはきっと無為にならん」
亜藤 蘭介:深く頷いて。「その時が、何時になるのか」
亜藤 蘭介:「検討もつかない。悠久の刻を生きる、お前たちの歩みに……」
亜藤 蘭介:「俺たちは、既に道を外れているかもしれん」
亜藤 蘭介:「だから……その時は」
亜藤 蘭介:温かな笑みを浮かべながら。
亜藤 蘭介:「亜藤蘭介も礼を述べていたと。告げてくれるか」
亜藤 蘭介:「"興津比売命"どの」
穂村 姫乃:「うむ」 こちらも満面の笑みを浮かべ。
穂村 姫乃:「我が二つ名に懸けて。その願い、承った!」
亜藤 蘭介:満足気に首肯して、ゆっくりと立ち上がる。
亜藤 蘭介:「これでひとつ、憂いが無くなった」
亜藤 蘭介:「……真の意味で日下部の願いに応えるためにも。元凶である"サンディーヴァ"の打倒は」
亜藤 蘭介:「果たさねば、ならんな」
穂村 姫乃:こちらも頷いて。
穂村 姫乃:「休息も取れたようじゃし。残りの憂いを断ちに行くとしようかの」
亜藤 蘭介:「全てが終わったら……」
亜藤 蘭介:「上質な酒でも振る舞わせてくれ」「旅の話でも肴にな」
穂村 姫乃:「任された。酒が尽きるまで話してやろう」
亜藤 蘭介:「……程々にな?」

羽海束沙:「……」廊下の片隅に座り込んで、黙々と銃器の手入れをしていた。
羽海束沙:ふう、と溜息を吐いて顔を上げる。
羽海束沙:「その……前提として」
羽海束沙:「これは、貴方の能力に信頼を置いてないとか。そういう話ではないのだけれど」
永良ゆづり:「……ん」その傍らで、窓の縁に頬杖を付いてずっと外を眺めている。
羽海束沙:「大丈夫?……その」
羽海束沙:しばし言葉に迷って。
羽海束沙:「……あんな風な貴方は、初めて見たから」
永良ゆづり:「……能力自体は問題ない」
永良ゆづり:「桜崎ニアを倒した時点で元に戻った……」
羽海束沙:「それに関しては……良い報告だけれど」
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:「…………」
永良ゆづり:続く言葉を言い淀む。今、問われたものがソレでないことは分かっている。
永良ゆづり:「……情けない、所を見せてしまった」
羽海束沙:「……責めているのではないわ。むしろ」
羽海束沙:「もっと見せてほしいし、知りたいと思ってる」
永良ゆづり:「……知り、たい?」
羽海束沙:「……。一人だけで背負う必要はない、と」
羽海束沙:「そう言ったのは、貴方よ」
永良ゆづり:「確かに、そう言ったが」
羽海束沙:「だけど、知らない苦悩を分け合う事はできない。……違う?」
永良ゆづり:「……ああ、間違ってない。間違ってないが……少し、困っている」
羽海束沙:「……と言うと?」
永良ゆづり:「何しろ、私も初めての経験だったんだ」
永良ゆづり:「敵味方問わず、今日まで私は出会った全ての者の死を背負ってきた、と思っているし」
永良ゆづり:「自分の命が尽きるまで、ずっとそうするつもりだった」
永良ゆづり:「……だが。桜崎ニアの領域送掌を喰らって、能力を奪われた時に」
永良ゆづり:「私は、その資格を失いかけたんじゃないか、と思ったんだ」
羽海束沙:「……。これは、前提の確認になるのだけど」
羽海束沙:「貴方にとって、"人の死を背負う"というのは」
羽海束沙:「死んだ人の分まで、誰かを守るために戦うこと……で、いいのかしら」
永良ゆづり:「真面目だな」
羽海束沙:「そんなことは……今のは、必然的な流れでしょう」
羽海束沙:「失う資格というものが、具体的に何に関するものなのか、という話になるのは……」
永良ゆづり:「そもそも、こんな益体もない話に付き合ってくれるのが、そうだと言ってる」
羽海束沙:「それは……だって、こんな特異な状況ですもの。仲間のメンタルを気にかけるのは……」
永良ゆづり:「……答えは、いいえだ」
永良ゆづり:「私達の仕事には、不慮の死や必然の死が付き纏う」
羽海束沙:「……」
永良ゆづり:「望んだ死となるのはごく僅かだろう。きっと、死に齎した者への憎悪を抱いて息を引き取る筈だ」
永良ゆづり:「私にとって"死を背負う"とは、その憎悪の矛先を自分に向けることだ」
永良ゆづり:「UGNに仇為す輩であれば、死を齎す引き金となって」
永良ゆづり:「UGNに与する者、或いは無関係の者であれば、私が死に至らせたのだと思わせて」
永良ゆづり:「そうやって、死者の恨み辛みを掻き集めていく」
羽海束沙:「……理屈は分かる。けど」
永良ゆづり:「……けど?」
羽海束沙:「なんだか……聞いていて、腹が立ってくる話ね」
羽海束沙:「貴方だって、血の通った人間でしょうに」
永良ゆづり:「……誰かが、必ず背負わねばならないんだ」
羽海束沙:「痛みも、苦しみも、人並みに感じるだろうのに……なんだか、今の話は」
永良ゆづり:「それは、手の汚れた私こそ相応しいのだから」
羽海束沙:「貴方自身が、人間扱いされていないようで……」
永良ゆづり:「ならば私がやるべきだと思っている」
永良ゆづり:「……そりゃあ、私が私を人間扱いしてないから」
羽海束沙:「……貴方自身がどう思っていようと」
羽海束沙:「私は、貴方を一人の人間として尊重したいわよ」
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:「手が汚れてるから、何? 誰かを守るために戦うことが、そんなに罪深いこと?」
永良ゆづり:「……もっと前だ。私がUGNに入る前」
永良ゆづり:「FHの手先となって、自身の権能を行使し、無関係の人間を巻き込んで死に至らせた」
永良ゆづり:「その後UGNに保護され、経過観察のちチルドレンに所属させられた」
羽海束沙:「な……」
羽海束沙:僅かに、驚いたようにまばたきをして。
羽海束沙:「……。だから、自分を許せないの?」
永良ゆづり:「大量の人の命を奪ったのは事実だ」
永良ゆづり:「UGNに所属する以上、標的を始末する任務もある」
永良ゆづり:「わざわざ、何の罪も持たない者が手を汚す必要はない」
永良ゆづり:「最初から汚れてる奴が、纏めて背負った方がマシだってこと」
羽海束沙:「…………」静かに、重い息を吐いて。
羽海束沙:「……貴方も、大概」
羽海束沙:「他人のこと言えないくらい真面目よね」
永良ゆづり:「……そう、だろうか」
羽海束沙:「ええ、そうよ。私に言わせるくらいなんだから」
羽海束沙:「まあ、捻くれてはいるけど」
羽海束沙:「不誠実と言っても良いわ。……大分、肝心な所を端折ったでしょう。今の話」
羽海束沙:レンズ越しの碧い眼が君へと向けられる。一方的で、断定的な声音。
羽海束沙:「貴方みたいな優しい人が、わけもなく無関係な人を手に掛けるはずがないもの」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「目敏い、な」
羽海束沙:「普通よ。貴方という人を知っていれば、誰だってそう思う」
永良ゆづり:羽海束沙の予想は正しい。
永良ゆづり:永良ゆづりがFHの手先となって大規模テロに加担した理由。それは、セルに家族を人質に取られたから。
永良ゆづり:「……仮に、そうだったとして」
永良ゆづり:「はい、じゃあ悪気はなかったからと、私は許されるのか?」
永良ゆづり:「オーヴァードが起こした事件ゆえ、司法の場で裁かれることも出来ず、被害者の親族に私という加害者が認識されることもなく」
永良ゆづり:「のうのうと、正義の味方みたいな面をしてこの場に立つ私は、どうすればいい?」
羽海束沙:「……」
羽海束沙:「……許される方法なんて、ないでしょうね。だけど」
羽海束沙:「だからと言って、貴方が自ら罰を受けるというのは。……それは、違うわ。認められない」
羽海束沙:「私が、認めたくない」
羽海束沙:「もしも、貴方が手にかけた罪のない人の遺族が」
羽海束沙:「正当な怒りを以て、貴方の命を奪おうとしたのなら」
羽海束沙:「私は、絶対にそれを止めるもの」
永良ゆづり:「……束沙なら、きっとそうするだろうな」
永良ゆづり:「正しいよ。貴女の言うことは、きっと」
羽海束沙:「……自分を罰したいという、貴方の気持ちは。分からなくもない」
羽海束沙:「だけど……貴方が責めを負い傷つく事は、別の悲しみを産む」
永良ゆづり:「……そう、なのか?」終始、淡々としていた口調が。少しだけ崩れる。
羽海束沙:「当たり前、でしょう」
永良ゆづり:「なるべく、私の行いで悲しむ者が出ないよう、心掛けていたつもりだったが……」
羽海束沙:「仲間なのよ。私達……」
永良ゆづり:「……仲間、だから。悲しむと」
羽海束沙:「だから、って……いうか」
羽海束沙:「仲間なのもあるし、貴方のことを信頼しているし、個人として好感を持っているから……」
永良ゆづり:「…………」目を丸くする。
羽海束沙:言ってから少し恥ずかしくなったのか、僅かに視線を逸らして。
永良ゆづり:「それは……ごめん、なさい」
羽海束沙:「…………いいけど」
羽海束沙:「……。私、そんなに冷たい奴だと思われていたの?」
永良ゆづり:「あ、いや……志の高い、私なんかよりずっと真っ当な人だと思ってた、けど」
永良ゆづり:「でも、本末転倒だな。折角、人を巻き込まないための行いだというのに」
羽海束沙:「き、急にすごい褒めるわね」
永良ゆづり:「……嘘が付けないんだ」
永良ゆづり:「だから、なるべく取っ付きにくい様に、服装とか癖とか喋り方とか」
永良ゆづり:「人から好感を持たれない様に、してきたから」
羽海束沙:「……じゃあ。やっぱり失敗してるわね、それ」
永良ゆづり:「えぇ……」
羽海束沙:「貴方、評判いいもの。確かに、話しかけに行く子は少ないかもしれないけど……」
永良ゆづり:「そ、そうなんだ……そっかぁ……」
羽海束沙:「この間の……"アモーガ"を制圧した作戦の時だって。すごく頼もしかった、って言われてたわよ」
永良ゆづり:「……分かった。分かったから、もういい」
羽海束沙:「意外と優しいし面倒見良い、とかも……ああ、うん」
永良ゆづり:半ば強引にポケットへ手を突っ込み、小さな箱を手に取る。
永良ゆづり:「……じゃあ、私の行いが既に破綻してたってことか」
羽海束沙:「まあ……結論としては、そのようね」
永良ゆづり:「それなら、喜んでいい。桜崎ニアに能力を奪われた時、その方針で続けていくのも難しい、って実感したから」
羽海束沙:「悪者ぶるの、やめるってこと?」
永良ゆづり:「狼狽えるあまり、今際の際の彼女に恨まれようとしてあの体たらくだからな」自嘲気味に
永良ゆづり:「彼女に嫌われるどころか、まるで真逆の言葉しか出てこなかった」
永良ゆづり:「……束沙を悲しませたくないからな」
羽海束沙:「……ああ。そういうこと、だったの」
羽海束沙:「あ。え……」
永良ゆづり:白い棒を箱から抜き、窄めるように口に咥える。先端より紫煙が吐き出され、天井に昇り詰めていく。
羽海束沙:名指しでそう言われて、咄嗟に言葉に詰まり。
羽海束沙:「……いや。私だけじゃなくて、皆を、よ」
羽海束沙:取り繕うように、そう付け足す。
永良ゆづり:「あぁ、勿論」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「……ありがとう」
永良ゆづり:聞こえるか聞こえないほどに小さく、呟く。
羽海束沙:「……うん。どういたしまして」
羽海束沙:こちらも、呟くような声でそう応じた。

"ビー"北条サイカ:「……」廊下の壁に背を預けて、自分の掌を見つめている。
"ビー"北条サイカ:ぐっぱ、と握ったり開いたりして。
久遠仁:その隣、同じように壁に背を預けている。頭部を覆う兜越しには、どこを見ているのか、何を考えているのかも読み取れない。ともすれば寝ていようが分からないだろう。
久遠仁:「どうかしたかい、北条」
"ビー"北条サイカ:「ん……や、なんて事はないんですが」
"ビー"北条サイカ:「それなりに脱力感はあるけど、まだしばらくは大丈夫かな……という」
久遠仁:「……本当かい?無理はしないでくれよ」
久遠仁:「きつかったらすぐに言うんだぜ」
久遠仁:「君はどうにも、抱え込みすぎるところがあるようだからな」
"ビー"北条サイカ:「ええ、分かってます。この身体の元々の持ち主のためにも……」
"ビー"北条サイカ:「むむ……そう見えます?」
久遠仁:「……」以前──ほんの少し前にも、別の相手に同じことを言ったなと思い出しながら。「そうだよ」
"ビー"北条サイカ:ちょっと不服げに君の顔を見上げる。顔というよりも兜だが。
"ビー"北条サイカ:「う……ばっさり肯定しますねえ」
久遠仁:「俺たちにも大人として面目ってもんがあるからな。北条にばかり無理させられんさ」あえて冗談めかして言う。
"ビー"北条サイカ:「面目も何も……あんな激しい戦いを勝ちきったんですから」
"ビー"北条サイカ:「十分すぎるくらい立ってるでしょ、そこは」
"ビー"北条サイカ:「この上いつもみたく気遣われてたら、あたしこそ立場がありませんってば」
久遠仁:「その上で格好を付けたいのさ」肩を竦めて。「背中を見せるのが俺たちの務めだからな」
久遠仁:「……ここにいるのは、つらくはないかい。北条」暗い廊下を見渡す。
"ビー"北条サイカ:「ここ、って……ああ」一緒に視線を追って、言わんとする事を理解して。
"ビー"北条サイカ:「……いやあ。ついさっきまで、あたし自身もほとんど忘れてたことですしね」
"ビー"北条サイカ:「なんか、そうだったんだーっていうか……まだあんまり、自分の事として実感がないっていうか」
"ビー"北条サイカ:どこか空々しい声色。
久遠仁:「だが……それでも、君のことだろう」
久遠仁:「思い出すのが、良いことなのか、悪いことなのかは分からんが……」
久遠仁:「元気の出るものじゃない」
"ビー"北条サイカ:「……。いい気分がしないのは、あんなものを見せつけられた皆さんも同じでしょう」
"ビー"北条サイカ:「それに、あたしは……ちょっとばかし、良かったなとは思ってるんです」
"ビー"北条サイカ:「……話としては聞いてたけど。お父さんとお母さんの思い出、ほとんど覚えてなかったから」
久遠仁:「……そうかい。そうだったな、君は」
久遠仁:「俺も……ここに来て思い出したよ。と言っても……ずっと覚えてたことだがね」
久遠仁:僅かに天井を仰ぐようにして。
久遠仁:「君と初めて会ったときのことだ」
"ビー"北条サイカ:「……」
久遠仁:「……こいつは、誰にも言ったことが無かったんだが……」
久遠仁:「実を言うとな、あの頃。迷ってたんだよ」
久遠仁:「この仕事を辞めようかって」
"ビー"北条サイカ:「えっ……」目を見開く。
"ビー"北条サイカ:「それは……何か、理由が……?」
久遠仁:「そうさなあ……」
久遠仁:少しの間があって。
久遠仁:「……元々、俺はどうにも、戦うってことが好きになれんのさ」
久遠仁:「切った張った、傷付けて傷付けられて、殺して殺されて」
久遠仁:「そういうのが、どうにも合わないタチでね」
久遠仁:ハハハ、と笑って。
久遠仁:「それに……こんな仕事をしてると、どうしようもなくつらいことが、山ほどあるだろう」
"ビー"北条サイカ:「……」
久遠仁:「自分がしているのが本当に正しいことか、悩むようなこと。それでも手を下さなきゃならんこと」
"ビー"北条サイカ:何も言えなかった。どれも、否定しようもないくらい当たり前の話だ。
久遠仁:あの喫茶店で天城マコトと交わした、束の間の会話が脳裏を過る。
"ビー"北条サイカ:人を傷つければ自分の心が傷つくくらい、仁さんが優しいことも。
"ビー"北条サイカ:この仕事が、残酷な現実と隣り合わせであることも。
久遠仁:そして、彼を斬った──殺した時の感触が、未だに掌に残っている。
久遠仁:「警察や軍人だったら、まだ良かったんだろうな」
久遠仁:「法や国、そういう大きなものの為に動いて、自分をその一部に出来る」
久遠仁:「だが俺たちは……UGNは。どうしようもなく難しくて、答えの出ない問題に対して」
久遠仁:「それでも自分の頭で考え、答えを出して。それを自分の責任として背負わなきゃならん」
久遠仁:「そいつに、どうにも疲れ果てちまってな」
久遠仁:「あの頃は、本気で辞めようかと悩んでたんだ。FHやそのエージェントが関わらない、EXレネゲイドの処理なんかを回して貰ってな」
"ビー"北条サイカ:……だったら、あたしの憧憬は。
"ビー"北条サイカ:この人のような守り手になりたいと思って、UGNで戦うことを決めた。人生の動機は。
"ビー"北条サイカ:彼の心を無視した、身勝手な押し付けだったのだろうか。
"ビー"北条サイカ:「……ごめんなさい」
"ビー"北条サイカ:そう思ったら、自然と口が開いていた。
久遠仁:「……?」
久遠仁:「どうして北条が謝るんだい」
"ビー"北条サイカ:「だって……」
"ビー"北条サイカ:「だって、あたしは……先輩のそういう気持ちなんて、何も分かってなくて」
"ビー"北条サイカ:「……勝手に、一方的に、憧れてたんです」
"ビー"北条サイカ:「あたしの命の恩人は。知らない誰かのために身体を張って戦える、ヒーローみたいな人なんだって」
"ビー"北条サイカ:「……本当に先輩がどう感じてるのかなんて、ちゃんと見えてなかった」
久遠仁:「……ふむ」顎に手をやり
久遠仁:「北条」
久遠仁:「俺は結局、今もこうしてエージェントを辞めちゃいないだろう」
久遠仁:「どうしてか分かるかい」
"ビー"北条サイカ:「……」視線を迷わせる。少し考え込んでから、ゆっくりと首を振る。
久遠仁:「……」
久遠仁:笑う。表情を映さぬ兜越しであっても、雰囲気でそれが分かる。
久遠仁:「君だよ」
久遠仁:「北条のお陰だ」
"ビー"北条サイカ:「……あたし、ですか?」
"ビー"北条サイカ:驚きを隠さない声。
久遠仁:「……あの時」
久遠仁:「俺があの場に居なければ。オーヴァードで、UGNでなければ」
久遠仁:「きっと、君を助けることは出来なかった。自惚れじゃあなく、それは事実だと思う」
久遠仁:「……俺がしてきたことに、意味はあったんだと」
久遠仁:「俺がやるべきことはこれなんだと、その時ようやく分かった」
久遠仁:「君を助けて……助けられて。そう思った」
"ビー"北条サイカ:「……そう、なんですか」少し俯いて、頷く。
久遠仁:「……だが……」
久遠仁:「同時に、後悔した」
"ビー"北条サイカ:「……なんだか、変な感じです。あたしは、一方的に助けてもらった側なのに……」
"ビー"北条サイカ:「……」
久遠仁:「俺がもっと速ければ、君の苦しみを少しでも減らせていたかもしれない」
"ビー"北条サイカ:後悔、という言葉を聞いて。眼差しに動揺が浮かぶ。
"ビー"北条サイカ:「……やめて、ください」
久遠仁:「君の御両親も……助けることが出来ていたかもしれない」
久遠仁:「……」
"ビー"北条サイカ:「そんなの、おかしいです……貴方が、反省する事なんて」
"ビー"北条サイカ:「一つもない……あるはず、ないんですから」
久遠仁:「……それでも……考えてしまうのさ」
久遠仁:「あの時俺が、一分一秒でも早ければ……って」
久遠仁:「……だから、決めたんだ」
久遠仁:「俺は迷わない」
久遠仁:「迷いは足を鈍らせる」
久遠仁:「その足では、辿り着くべき場所へも辿り着けない。本当に大事な時に間に合わない」
久遠仁:「彼らの──」
久遠仁:「切り伏せるべき相手を、理解する努力はしよう。その想いは汲もう。自ら背負うこともしよう」
久遠仁:「だが決して、迷うことはしない」
久遠仁:「俺は、何が大切か。優先するべきなのか。それを間違えない」
"ビー"北条サイカ:「……それは」
"ビー"北条サイカ:呪いじゃないか、と思った。
"ビー"北条サイカ:人を傷つける事が嫌いな、優しい人に。その心に
"ビー"北条サイカ:僅かでも止まれば取りこぼすものがあると、刻みつけてしまった。
"ビー"北条サイカ:「……それでも、やっぱり。先輩がいくらそう思ったって」
"ビー"北条サイカ:「間に合わない時は、間に合わないですよ」
"ビー"北条サイカ:「"バース"の人達と、何もかも取り返しがつかなくなってから出会ってしまったみたいに」
"ビー"北条サイカ:「お父さんとお母さんの事だって」
"ビー"北条サイカ:「何もかも、仕方なかっただけなんです」
"ビー"北条サイカ:「貴方が迷ったせいなんかじゃ、ない」
久遠仁:「そうかもしれんなあ」小さく、常よりも力無く笑う。
久遠仁:「だが、それでも」
久遠仁:最後まで投降に応じなかった、天城マコトと桜崎ニアの姿を思い出す。
久遠仁:「……諦めたくないのさ」
久遠仁:「その答えは……」
久遠仁:「『仕方ない』ってのはさ」
久遠仁:「最後までやり切った奴しか、言っちゃいけないものだと思うからな」
"ビー"北条サイカ:「…………」
"ビー"北条サイカ:「……じゃあ、もしも」
"ビー"北条サイカ:「もしも……必要になったなら」
"ビー"北条サイカ:言葉を躊躇う。ゆっくりと息を吐いてから、
"ビー"北条サイカ:兜越しに真っ直ぐ、君の目を見る。これから発する言葉が決して冗談ではないというように。
"ビー"北条サイカ:「あたしの事も、迷わずに斬れますか」
久遠仁:「…………」
"ビー"北条サイカ:「"現状"がどうなっているかは、分かりませんが。あたしの自我が複写された時点での記憶で」
"ビー"北条サイカ:「あたしの身体の本体は、"生産"の魄柱と強固に結びついています」
"ビー"北条サイカ:「……時間が経過した今は、更に癒着が進行している可能性もある」
"ビー"北条サイカ:「無事に切り離す手段があるかは、分かりません」
久遠仁:一時、彫像のように固まって。やがて、ゆっくりと息を吐く。
久遠仁:「無理だろうなあ」
久遠仁:「そりゃあ、無理だよ」
久遠仁:兜から笑声を漏らす。
久遠仁:「優先順位を付けると言ったろう」
久遠仁:「一番は君だからな」
"ビー"北条サイカ:「な……」絶句する。
"ビー"北条サイカ:「い、一番……? どうして……」
久遠仁:「どうしてって……?」
"ビー"北条サイカ:「だっ……だって」
"ビー"北条サイカ:「あたしなんて、ただ先輩に助けられただけの子供で……」
"ビー"北条サイカ:「何も恩なんて返せてないし、貴方のためにしてあげられた事なんて……」
"ビー"北条サイカ:「……そんなの、分かりません。理由が……」
久遠仁:「そりゃあ、大事だからさ。他にあるかい」
久遠仁:「家族と同じくらいにな」
"ビー"北条サイカ:「っ……!」
久遠仁:「前にも言ったろう?北条には元気で、笑っていてほしいのさ」
久遠仁:「恩返しなんて、それで十分だ」
"ビー"北条サイカ:崩れ落ちるように、座り込む。顔を覆う。
久遠仁:「それが一番、俺の救いになる」
久遠仁:「……北条?」
久遠仁:「おい、どうかしたかい。大丈夫か?」
"ビー"北条サイカ:「……だっ……だって」
"ビー"北条サイカ:「どうしようもなくて、あたしが命を落とすことになっても、誰も恨まないって……」
"ビー"北条サイカ:「あたしは、UGNのチルドレンで、みんなを救うために戦ってて」
"ビー"北条サイカ:「そうするのが正しくて、だから……」
"ビー"北条サイカ:「……やっと、覚悟、固まった所だったのに」
"ビー"北条サイカ:顔を上げない。僅かに涙声が交じる。
"ビー"北条サイカ:「貴方に、そんな風に言われたら」
"ビー"北条サイカ:「どうしていいか、分からない……」
久遠仁:「あー……」困ったように兜に触れて
久遠仁:「そいつは、悪いことしたかな」
久遠仁:「だが、まあ。そんなことにはならんよ」
久遠仁:「その為に皆、こうして頑張ってるんじゃないか」
久遠仁:泣きじゃくる子供にそうするように、大きな掌が屈んだままの頭をわしわしと撫でる。
"ビー"北条サイカ:「……」小さな背を小刻みに震わせて、撫でられるがままになる。
久遠仁:「すまんなあ。ただ、ずっと北条に言いたかったのさ」
久遠仁:「あの時の謝罪と感謝──」
久遠仁:「……遅くなって、悪かった」
久遠仁:「それと」
久遠仁:「俺に助けられてくれて、ありがとうな。北条」
"ビー"北条サイカ:「……謝らなくていいって、言ったのに」
"ビー"北条サイカ:「お礼を言うのだって、あたしの方なのに……」
"ビー"北条サイカ:どこか疲れて拗ねた子供のような声で吐き出す。
"ビー"北条サイカ:「……でも、受け取りました」
"ビー"北条サイカ:ごしごしと袖で目元を擦りながら、顔を上げる。
"ビー"北条サイカ:「それと、一つだけ」
久遠仁:「うん?」
"ビー"北条サイカ:「大人はこういう時、相手を励ますために上手く言葉を選んだりする事もあるって聞きますけど」
"ビー"北条サイカ:「あたしは、その……子供なので」
"ビー"北条サイカ:「言われたこととか、全部本気にしますからね」
久遠仁:「……」
久遠仁:「…………?」首を傾げる
久遠仁:「うん、本気で言ってるが……?」
"ビー"北条サイカ:「……なら、いいです」少し満足そうな笑みを浮かべて、ふいと視線を逸らす。
"ビー"北条サイカ:「そろそろ、時間です」
GM:夜の廊下の風景が少しずつ、霞んでいく。緑坂のビル街と重なり、混ざり合う。
GM:退避領域の再現解除。
久遠仁:「そうか……」壁から背を離し、腰に差した刀を確かめる。
"ビー"北条サイカ:「ここの外での時間経過は、まだ十数分です。魄柱の防衛機能が働いたとしても」
"ビー"北条サイカ:「統率を失った"天馬"側の防備は、まだ整ってはいないはず……」
久遠仁:「それじゃあ、行ってくるとするか」
GM:そうしてまたひとつ、夢幻が晴れる。
GM:薄明るい朝の空を背に、聳える魄柱は二つ。

GM:シーン終了。ロイス、購入が可能です
亜藤 蘭介:穂村姫乃 P○信頼/N嫉妬 で取得。
久遠仁:ロイス保留でブルーゲイル購入
永良ゆづり:羽海束沙/○信頼/羞恥 で取得
久遠仁:2DX+2
DoubleCross : (2DX10+2) → 9[6,9]+2 → 11

亜藤 蘭介:調達の前に応急手当を自身に。
久遠仁:だめ あっそうだ 応急キット使います
亜藤 蘭介:1+2d10
DoubleCross : (1+2D10) → 1+16[6,10] → 17

久遠仁:8+2D10
DoubleCross : (8+2D10) → 8+12[5,7] → 20

亜藤 蘭介:結構かいふく
久遠仁:もう一回
永良ゆづり:まずは応急手当一応使っとこう
久遠仁:20+2D10
DoubleCross : (20+2D10) → 20+9[7,2] → 29

永良ゆづり:5+2d10
DoubleCross : (5+2D10) → 5+12[7,5] → 17

久遠仁:以上です
永良ゆづり:強化素材 目標15
亜藤 蘭介:ブルゲ狙おうかな
永良ゆづり:2dx>=15
DoubleCross : (2DX10>=15) → 6[4,6] → 6 → 失敗

亜藤 蘭介:2dx+1>=20
DoubleCross : (2DX10+1>=20) → 7[4,7]+1 → 8 → 失敗

亜藤 蘭介:ふふ
永良ゆづり:無理!以上
亜藤 蘭介:以上で~
穂村 姫乃:ロイスは保留、購入はブルゲチャレンジ
GM:羽海の出番もなかったようね
穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 6[6]+1 → 7 → 失敗

穂村 姫乃:儂も無理!以上!
GM:OK!
GM:では進めます~

◆Middle09:魄柱討滅-2 / トチノ薬品ビル前の戦い◆

GM:2本目、再生機能の魄柱に攻撃を仕掛けるシーンです。全員登場。
GM:例によって汚染値を上げておいてください。
永良ゆづり:汚染値4→5
穂村 姫乃:汚染値6→7に
亜藤 蘭介:汚染値5→6
久遠仁:汚染値2>3


GM:---
GM:緑坂市 オフィス街
GM:---
GM:最初の魄柱の破壊に成功してから十数分。まだ夜も明けきらない緑坂市のオフィス区画。
GM:トチノ薬品ビル──"アモーガ"セルの拠点として利用されていた地上8階、地下5階の建造物だ。
GM:永良と羽海にとっては、現実世界にて突入作戦を行い、"サンディーヴァ"に遭遇した場所でもある。
GM:……"二本目"は、そのビルに隣り合う空き地に聳え立っていた。
GM:周囲にガラス・コンクリート片が散らばっている事から、元々あった建物を突き破るように生え育ったのだろう。
GM:その異変に気付く者はいない。君達がはじめ誰も魄柱の存在に気付けなかったように。
GM:……この建造物はクーデターの成功と共に"天馬"が接収したものの、好んで居着く者はごく僅かだった。
GM:"マーシャル・ヘイヴン"の撃破から、そう時間が経っていない。"ビー"の能力で擬似的な転移を以てここに到達した君達の前に、防備らしい防備は敷かれていない。
水上ケイ:ただ、一人の男が。怪樹に背を預けるようにして立っているばかりだ。
永良ゆづり:「……"アースリー・ケイヴ"、水上ケイ。ランク2位」空き地に降り立つと共に、その男を捉える。
亜藤 蘭介:じゃり、と地を踏みしめて。やはりか、と。口には出さずに。凶相の大男を見定める。
水上ケイ:「……勝ったらしいな。マコトに」君等を目に止めて、動くこともなく言う。
穂村 姫乃:「耳が早いのう。まだ精々十数分前の話じゃというのに」
久遠仁:「六人がかりで、だがね」
穂村 姫乃:「この速度なら誰とも会わんで済むかとも期待したが……。そう甘くは行かんか」
永良ゆづり:「なら、私達がここに来た理由もご存じだよね」
水上ケイ:「気づくに決まってるだろう。あいつがフルで能力を使ったんだ」
水上ケイ:「この町にいりゃ、アホでも気づくさ」
永良ゆづり:「その樹を切り落とす。邪魔するなら押し通る」
水上ケイ:「……ああ。グダグダと御託を並べるつもりもねえよ」
水上ケイ:「俺達は、互いのやろうとしていることが許せねえ」
水上ケイ:「敵同士ってやつだ。初めから」
亜藤 蘭介:「………」
水上ケイ:「……馴れ合う方が、どうかしてたんだろうよ」
久遠仁:「……どうにも、説得は期待出来そうにないな」
亜藤 蘭介:「久遠、すまないが……」
水上ケイ:「当たり前だろうが。お前らは、既に」
水上ケイ:「仲間に手を出した」
亜藤 蘭介:ひとつだけ、問いたいことがある。と。水上に目をやって。
水上ケイ:目に僅かに力が籠もる。未だ一歩も動かないまま、君達を射抜く。
永良ゆづり:「…………」周囲を旋回するように白き煙影が吹き荒んでいく。既に臨戦態勢。
亜藤 蘭介:「水上」
亜藤 蘭介:「かつてお前は、言っていたよな」
亜藤 蘭介:「己だけが生き残っていても。意味はないと」
亜藤 蘭介:「己が居場所を。己が友を。その全てを。守るために」
水上ケイ:「……あァ。言ったな」
亜藤 蘭介:「牙を研いできたのだ、と」
亜藤 蘭介:かつて、彼と親しげに付き合っていた小柄な男の外見上に。大きな変化は無いが。
亜藤 蘭介:暗く、巌しい瞳の色で。己が敵を見据えたその双眸は。互いの立ち位置が、以前とは明確に異なることを示していた。
亜藤 蘭介:「この世界も、お前が守るべき仲間も」
亜藤 蘭介:「仮初の命で存えた、幻影に過ぎない」
亜藤 蘭介:「……天城も、桜咲も。既にお前を残して先へと向かった」
水上ケイ:「……」
亜藤 蘭介:「それでも」
亜藤 蘭介:「それでも、お前は……」
亜藤 蘭介:「その爪を振るうのか」
水上ケイ:「……夢だろうが、幻だろうが」
水上ケイ:「俺の目に映るあいつらは、間違いなく"生きて"いた」
水上ケイ:「一緒に戦って、一緒に飯を食って、一緒に笑った」
水上ケイ:「そうやってあいつらと過ごした時間は、本物だ。俺にとってはな」
亜藤 蘭介:「……死を賭してでも、守るべきほど?」
水上ケイ:「……はっ」
水上ケイ:「他に、どこに命の使い道がある」
亜藤 蘭介:「愚問だったか」同調するように薄く笑って。
亜藤 蘭介:片鋏状の得物を担ぐように構える。
亜藤 蘭介:ああ、畜生。
亜藤 蘭介:分かっていたさ。
亜藤 蘭介:全く。全く、奴とは。
亜藤 蘭介:虫唾が走るくらいに───気が合う。
亜藤 蘭介:「良かろう」
亜藤 蘭介:「ならば。俺も全力を以て貴様に挑む」
亜藤 蘭介:「"バース67"にして、UGNエージェント」
亜藤 蘭介:「“ドイスラッシャー”亜藤蘭介が。貴様を処断する」
水上ケイ:「……バース02、"アースリー・ケイヴ"」
水上ケイ:「"天馬"セルのエージェント」
水上ケイ:「来いよ。……お前らが、"1位"を倒したんだとしても、関係ねえ」
水上ケイ:組んでいた両腕を解く。構えを取る。殺気が満ちていく。
水上ケイ:「自分より強い相手に立ち向かうのは」
水上ケイ:「あいつより、誰より」
水上ケイ:「俺が、一番慣れてんだからよ」

GM:衝動判定です。目標値は9。
GM:この判定に失敗しても暴走はしませんが、成功で汚染値が+1、失敗で汚染値が+3されます。
亜藤 蘭介:砂の加護を永良さんに。
穂村 姫乃:3dx+1>=9
DoubleCross : (3DX10+1>=9) → 10[7,10,10]+8[1,8]+1 → 19 → 成功

亜藤 蘭介:+4どうぞ。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (53 → 56)
久遠仁:1DX>=9
DoubleCross : (1DX10>=9) → 10[10]+5[5] → 15 → 成功

永良ゆづり:ありがとう~!!
久遠仁:汚染値3>4
GM:前回同様、衝動判定は戦闘ラウンド開始前に発生しているため、「1ラウンド1回」の回数制限は1ラウンド目に食い込まないものとします。
亜藤 蘭介:1dx+4>=9 思い出ブランケット
DoubleCross : (1DX10+4>=9) → 6[6]+4 → 10 → 成功

穂村 姫乃:めちゃ冷静じゃったわ 汚染値が8に
永良ゆづり:6dx+2>=9 砂の加護+一品ケット
DoubleCross : (6DX10+2>=9) → 9[2,3,5,8,9,9]+2 → 11 → 成功

亜藤 蘭介:汚染値6→7
永良ゆづり:汚染値5→6!
亜藤 蘭介:56+2d10
DoubleCross : (56+2D10) → 56+14[7,7] → 70

永良ゆづり:36+2d10
DoubleCross : (36+2D10) → 36+9[4,5] → 45

穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2d10(→ 11)増加 (28 → 39)
久遠仁:51+2D10
DoubleCross : (51+2D10) → 51+11[2,9] → 62


GM:では、ミドル戦闘2を開始します。まずはエンゲージの提示

[ 魄柱・再火(00)、 “アースリー・ケイヴ” (06) ] 
10m
 [ 久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:続けて、諸々の条件を確認します。
GM:勝利条件:「魄柱・再火」の破壊
GM:戦闘終了条件:”ビー”のNPCカードの効果①を使用すること
GM:補足1:前回同様、ここでネームドエネミーを撃破しないまま戦闘終了した場合、それらのキャラクター全員との戦闘が後ほど追加で発生します。
GM:補足2:前回同様、クリンナップごとに「増援イベント」が発生します。ダイスで敵側の援軍が出現します。
GM:以上です。

GM:それでは、セットアップから。
亜藤 蘭介:ありません。
永良ゆづり:なし!
水上ケイ:なし
久遠仁:なし。
穂村 姫乃:なし!

GM:では1ラウンド目、イニシアチブから。
GM:行動値23。久遠さんどうぞ
久遠仁:マイナーで≪骨の剣≫+≪死招きの爪≫
久遠仁:メジャーで≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:水上くんにエンゲージしつつ攻撃します
GM:どうぞ!
久遠仁:8DX7+7
DoubleCross : (8DX7+7) → 10[1,1,3,3,5,7,8,8]+10[3,6,8]+10[8]+5[5]+7 → 42

水上ケイ:リアクション消費で《竜鱗》を使用。
久遠仁:ゲーッ
久遠仁:ダメージ!
GM:どうぞ!
久遠仁:5D10+24+5
DoubleCross : (5D10+24+5) → 33[4,9,10,3,7]+24+5 → 62

久遠仁:装甲有効です
水上ケイ:ちょっと喰らいました。全然元気。
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (61 → 65)
GM:演出どうぞ!

久遠仁:水上が臨戦態勢に入った瞬間、突風めいて影が走る。
久遠仁:剣を抜き放った体勢、一息にも満たぬ瞬間で、既に水上を斬りつけている、が。
久遠仁:「……速さではこちらが上だが」
久遠仁:「……流石に硬いな」
水上ケイ:「……ほう」刃が肌に突き立てられる時には、既に防御態勢を取っている。
水上ケイ:人肌一枚の裏側にあるの、白黒の縞模様を描く甲殻めいた機構。
水上ケイ:「真っ向受けて刃ごと砕くつもりだったが」
久遠仁:「こっちも、落としたつもりだったんだがな」トントンと自らの首を叩く。
水上ケイ:「想定以上だ。ランクの数字なんて、宛にするもんじゃねぇな」
久遠仁:「いやァ、どうかな」
久遠仁:「『2位』は伊達じゃあないらしい」
水上ケイ:僅かに溢れた甲殻の欠片が地に落ちるのを見遣り、呟く。

GM:続けて行動値9、永良さん
永良ゆづり:はいさーい
永良ゆづり:マイナーで接敵
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》対象は水上ケイ
GM:命中どうぞ!
永良ゆづり:7dx7+6
DoubleCross : (7DX7+6) → 10[1,2,2,4,7,8,10]+5[2,3,5]+6 → 21

永良ゆづり:ひぃん
GM:おっと
水上ケイ:ドッジします
水上ケイ:17dx+10>=21
DoubleCross : (17DX10+10>=21) → 10[2,3,4,5,5,6,6,6,7,7,8,8,9,9,9,10,10]+10[8,10]+2[2]+10 → 32 → 成功

永良ゆづり:わぁ……
GM:成功
GM:演出どうぞ~

永良ゆづり:「(……あの堅さ。愚直な攻撃の積み重ねではジリ貧になりそうか)」
永良ゆづり:「(ダメージを通すために、こちらも相応の地固めが必要になる)」
永良ゆづり:「(ならば)」地をつま弾き、疾駆。白煙の群れと共に水上ケイの元へ。
水上ケイ:「その煙は──」
永良ゆづり:右手に携える峨嵋刺を回転させ、勢いで膨れ上がった煙を束に。
水上ケイ:地を蹴り跳躍すると同時、両肩に展開した翡翠色の翼を翻した。「寄せる訳にはいかねぇな」
水上ケイ:後退と同時に放たれた砂塵・暴風が、煙ごと永良の身体を払い飛ばす。
永良ゆづり:白蛇めいた逞しさを造形し、男ごと薙ぎ払おうとする、が。
永良ゆづり:「────っ、なるほど」翼の繰り出す豪風が、忽ちに煙を霧散させていく。
水上ケイ:……自身の因子に触れた生物の身体構造を書き換える領域能力。
水上ケイ:拒絶意思を持つオーヴァードには強い抵抗が為されるため、それを攻性に用いることは難しいが
水上ケイ:自身の体内を領域化する事で、肉体構造を際限なく改変・増強する事ができる異能。
永良ゆづり:「(権能の強度に甘んじず、巧みに使いこなす。2位は伊達ではない、か)」攻め手を失って、即時に距離を取る。
水上ケイ:非戦闘時ですら、この男はその操作・集中を絶やさなかった。己の身を改造し、あらゆる戦闘状況に対応できる武器(からだ)を練り上げた。
永良ゆづり:「(……だが、身体の内へ特化している。つけ込むならそこ)」
永良ゆづり:空き地全体を覆い尽くす大気に、僅かながら霞がかかった。

GM:行動値6、水上の手番。
水上ケイ:手番放棄のち《加速する刻》未行動のまま行動を行います。
水上ケイ:マイナー、《完全獣化》《破壊の爪》
水上ケイ:メジャー「ウィルド・ジャクト」《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《鬼の一撃》《形なき剣》《要の陣形》《深き傷痕》
水上ケイ:対象は久遠・永良
水上ケイ:29dx+11@7 命中
DoubleCross : (29DX7+11) → 10[1,1,2,2,3,3,3,3,4,5,5,6,6,6,6,7,7,7,7,8,8,8,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,5,5,6,7,8,8,9,9,10]+6[1,1,3,3,5,6]+11 → 37

永良ゆづり:ダイスの数多っ
久遠仁:《復讐の刃》
GM:ガードすると攻撃力+30、受けるとこのシーンで次に行う攻撃の攻撃力-20
久遠仁:6DX9+7 リアクション不可
DoubleCross : (6DX9+7) → 10[2,6,7,8,8,9]+10[9]+7[7]+7 → 34

GM:また、このタイミングでの復讐の刃にこの攻撃減算は入らないものとします
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (65 → 71)
久遠仁:はーい
永良ゆづり:4dx+1>=37 まずはドッジ。
DoubleCross : (4DX10+1>=37) → 9[4,5,8,9]+1 → 10 → 失敗

永良ゆづり:《炎陣》久遠くんをカバー。
穂村 姫乃:ドッジ
GM:あ、穂村さんはまだ
GM:射程外だから……
穂村 姫乃:あ、ごめんなさいぼけてた
久遠仁:カバーありがたい……
亜藤 蘭介:よしよし
永良ゆづり:メジャーの侵蝕+4と、カバーの侵蝕+2で51に。
GM:いいのよ というわけでダメージ。
水上ケイ:4d10+50 攻撃力-20 諸々有効 ガードすると+30
DoubleCross : (4D10+50) → 22[3,1,9,9]+50 → 72

永良ゆづり:ぎゃあん!!死!!
久遠仁:4D10+24+5
DoubleCross : (4D10+24+5) → 26[6,7,5,8]+24+5 → 55

GM:復讐ダメージもどうぞ
永良ゆづり:51+1d10
DoubleCross : (51+1D10) → 51+10[10] → 61

水上ケイ:竜鱗もないので流石に結構食らってしまう
GM:演出いきます

水上ケイ:全ての生物が同じ大きさになった場合、最強の膂力を持つのは昆虫であるという説があるが──結論から言うと、そうはならない。
水上ケイ:筋力は全身の体積ではなく面積に比例する。小さい生物であるほど、自重に対する膂力の割合は高くなる。
水上ケイ:自重の数十倍もの重量を持ち上げるアリの筋力は、人間と同じサイズまで拡大されたならば、全く損なわれる。
水上ケイ:……だが、あくまで「そのまま」拡大した場合だ。
水上ケイ:たとえば、一本の腕の中に、数百億。
水上ケイ:自重の百倍の重量を持ち上げる最強のアリ種の脚を模した筋肉構造があり──それら全てが、さながら鎖のように連結し、膂力を加算しているのだとすれば。
水上ケイ:荒唐無稽な話である。自然界ではおよそありえない身体組成、だが、
水上ケイ:領域内における肉体構造の自在操作──"アースリー・ケイヴ"の能力と、
水上ケイ:それを調整し育て上げ、「一筋の筋肉」の機能として馴染ませるために費やされる、時間と気力があったならば
水上ケイ:可能となる。
水上ケイ:両腕・両脚・背筋・腹筋・そして眼筋──自身の全身を構成するあらゆる筋肉において、同じ処置を施すことが。
水上ケイ:その肉皮の内側は際限なく発展・成長を続けた唯一無二の進化領域。
水上ケイ:純粋な身体能力において、"バース"の中で並ぶ者はいない生物。"アースリー・ケイヴ"。
水上ケイ:──狩猟者の跳躍。一呼吸で眼前へ。
水上ケイ:振るわれる豪腕は嵐にも似ている。
水上ケイ:強打の風圧が風を纏い、軌道上にある骨肉を鈍い音と共に折り砕く──そして、一向に止まぬ。
水上ケイ:弾き、折り、砕く。対象が拳で捉えられぬ形へと潰れるまで、間隙なく降り続ける暴力渦。
永良ゆづり:肉体の強化に賛美された屈強なる爪撃。受け止めることは不可能、避けることも至難。
永良ゆづり:ゆえに、捌くには搦手を使うしかない。
永良ゆづり:狩り手の振るう腕が我々に当たるまでに、かならず大気を経由し
永良ゆづり:押し退ける必要がある。生み出す風の力も凄まじいものだ。
永良ゆづり:それを利用する。先刻の攻撃で、周囲にある大気には永良ゆづりの白煙が溶け込んでいる。
永良ゆづり:だが、水上ケイの極めた一撃に作用させるのは強度から現実的ではない。
永良ゆづり:だから、作用させるのは"外"。
永良ゆづり:水上ケイの攻撃による豪風の向きを往なし、久遠仁の身体を攻撃範囲から押し出す。
永良ゆづり:結果、残った自身の肉体が薙ぎ払われ、千切られようとも。
久遠仁:そうして生まれた、刹那の無風空間。破壊の渦から逃れ得て──
久遠仁:同時、再突入。嵐の間隙を貫いて、絶速の太刀風が吹き抜ける。
水上ケイ:──防御の為に最大硬度を得た外殻は、その運動性を損なう。
水上ケイ:どれほど水上ケイが自身の肉体改造に専心しようとも、その理を覆すことはできなかった。
久遠仁:拳を振り抜いたその体勢、関節構造に幾度もの斬撃が『重ねられる』。
水上ケイ:「っ……!?」
久遠仁:「成程確かに、攻防共に至高の域だ」
久遠仁:「だが、それらを同時に行使することは出来ない」
水上ケイ:伸び切ったその腕の節より、血が噴き出す。嵐が止む。
永良ゆづり:「────見事」抉れ潰れた体躯を、レネゲイドの狂騒と共に取り戻しながら。
永良ゆづり:事前の伝達無しで自身に作用する風力を即時に掌握し、更に攻撃に転じられる者など、オーヴァードの中でも決して多くはない。
久遠仁:「相手が一人ならばそれで事足りただろうが──」
久遠仁:永良ゆづりを振り返り
久遠仁:「生憎俺たちはそうじゃない」
水上ケイ:「……成程な。"俺達"か」息を吐く。外れた関節が蠢き、繋ぎ直されていく。
水上ケイ:「覚えがなくもねェ。同じ意志の元に団結した連中ってのは、つくづく強い」

GM:行動値5、亜藤さん。
亜藤 蘭介:はい。
亜藤 蘭介:マイナーで水上に接敵。
亜藤 蘭介:メジャー、コンボ:"Doislash"。《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》+《砂塵霊》+《ドッペルゲンガー》
GM:命中どうぞ
亜藤 蘭介:同時に羽海さんのNPCカードの①の効果を宣言。
亜藤 蘭介:①「鵺白羽」
タイミング:オート、命中判定前
制限:ラウンド1回
PC一人の命中判定のダイスを+10個、攻撃力を+10する。

羽海束沙:了解。ダイスを増やしておいてくださいね
亜藤 蘭介:有り難く!
亜藤 蘭介:22dx7+6
DoubleCross : (22DX7+6) → 10[1,2,2,2,2,2,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,8,8,10]+10[8,9,9]+10[6,9,9]+10[6,7]+10[8]+3[3]+6 → 59

永良ゆづり:バディム!
亜藤 蘭介:やった!
亜藤 蘭介:達成値62!
水上ケイ:リアクション放棄、《竜鱗》。
亜藤 蘭介:ではダメージを。
GM:どうぞ~
亜藤 蘭介:7d10+36+10
DoubleCross : (7D10+36+10) → 39[4,6,2,8,8,10,1]+36+10 → 85

永良ゆづり:《凍てつく刃》
亜藤 蘭介:オッ!
亜藤 蘭介:すみません、追加で振ってよろしいでしょうか…?
GM:振りな!
亜藤 蘭介:ありがとう!
永良ゆづり:わぁい!ではダメージ+1D+15どうぞ
亜藤 蘭介:85+15+1d10
DoubleCross : (85+15+1D10) → 85+15+3[3] → 103

GM:ヒエ~ッ
亜藤 蘭介:越えたぜ。100を
永良ゆづり:侵蝕は64で以上!
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を15(→ 15)増加 (70 → 85)
GM:じゃあ一番大きい装甲を引いて……
亜藤 蘭介:シザリパの悪法!
亜藤 蘭介:一番防具が高い装甲を無視します
亜藤 蘭介:裸なら竜鱗を貫通するが…
GM:防具じゃないけど竜鱗を無視……でいいよねこれ
GM:そのつもりでデータ組んでるので、そうします
亜藤 蘭介:わーい倒れよ!
水上ケイ:めちゃめちゃ食らったが……倒れません
亜藤 蘭介:しぶとい!

亜藤 蘭介:周囲の砂利、ガラス、コンクリート片。それら全てが蘭介の傍らに集束し、形を成していく。
亜藤 蘭介:それはエンジェルハイロゥ・シンドロームが生み出す幻でもなく。
亜藤 蘭介:ブラム=ストーカー・シンドロームが操る従者でもない。
亜藤 蘭介:"変異種(イレギュラー)"と呼称されるモルフェウス能力者のみに赦された妙技にして。
亜藤 蘭介:失った魂の片割れの顕現。
亜藤 蘭介:許されることのない戒めの楔にして、決意の墓標。亜藤蘭介が。己が魂に銘肝した"幻影(ドッペルゲンガー)"。
亜藤 蘭介:片鋏を構える。左右八相。合わせ鏡のように双つの影が疾走すると同時。
羽海束沙:軽やかに銃声三連。削り取られた異形の銃弾が、弧を描いて空を舞う。
羽海束沙:それぞれが首裏と脚の腱を狙うコース。否、フェイント。
羽海束沙:フォークボールめいた落下で地に飛び込むと同時、火花が弾ける。男を取り巻くように砂煙を巻き上げる。
永良ゆづり:巻き上がった砂煙に意志が埋め込まれたかのように。水上ケイの肉体に覆い被さっていく。
永良ゆづり:視界の遮蔽に加え、十全な身動きを阻害させるための迅速なる方策。必然、対応手は限られる。
水上ケイ:警戒、後退。瞬時に翼と四肢を動かし、煙の封鎖より逃れんとする。
亜藤 蘭介:舞い上がる砂塵から逃れんとする異形の男。その背後。
亜藤 蘭介:周り込むように接敵を終えた、二人の男が立っているその場所は。己が間合いの領域である。
亜藤 蘭介:得物を振り下ろす。切っ先の狙いは。先駆けて久遠仁が放った刃により、僅かに欠けていた首元の甲殻。
亜藤 蘭介:既に修復は終えている筈の箇所。
水上ケイ:「……!」反応、翻る。全身の硬化。翡翠色と黒色が入り混じったような甲殻が身を覆う。
水上ケイ:自然界生物の最高硬度部位。シャコの捕脚をベースに真珠とクロカタゾウムシのバイオミネラルの組成を混合・発展させた、超硬度の異常進化甲殻体。
亜藤 蘭介:然して。己の記憶は言っている。肉体操作の修復とて、無尽蔵ではない。
亜藤 蘭介:加えて久遠の連撃。奴は何度、その能力を行使したか。
亜藤 蘭介:寸分違わずに交差する二振りの刃。斬痕は一重。
亜藤 蘭介:「何度でも」
水上ケイ:然り。瞬間的な集中、体内領域操作。代謝の活性化。硬化・再生・補修・硬化──"ドイスラッシャー"が断つは、そのサイクルの間隙。
亜藤 蘭介:「何度でも、俺は振るう」
亜藤 蘭介:水滴が石を穿つように。
亜藤 蘭介:堅牢な装甲を。凝縮した肉の鎧を。水上ケイの内領域を。紙のように切り裂いて。刃に鮮血が迸る。
亜藤 蘭介:「お前は?」
亜藤 蘭介:「どうする。"アースリー・ケイヴ"」
水上ケイ:「ッ……!」破砕音。声を上げる事はない。歯は強く食いしばられたまま。
水上ケイ:しかし、引き裂かれた肉体は確実に悲鳴を上げている。……追いつかれている。再生と防御の速度に。
水上ケイ:「……愚問だ。俺は……」
水上ケイ:「手を伸ばす。一人でも多く、仲間を守るために」
亜藤 蘭介:「──────」瞬間、目を見開いて。
亜藤 蘭介:「だろうな」静かに、また刃を突きつける。
亜藤 蘭介:水上ケイ        P○好敵手/脅威→水上ケイ        P○憧憬/脅威 に変更します。

GM:行動値4。穂村さんの手番です。
穂村 姫乃:ではまずマイナーでコンボ。
穂村 姫乃:神憑り始め:オリジン(レジェンド)Lv5+氷の回廊Lv1
穂村 姫乃:精神判定の達成値+10、飛行状態で戦闘移動、移動距離+2m、侵蝕率+3
穂村 姫乃:移動先は勿論水上達のエンゲージに。そしてメジャーで更にコンボ。
穂村 姫乃:神事起こし:蝕む赤Lv5+ブラッドスパイクLv3+災厄の炎Lv5
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)、攻撃力+24、ランク5の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+8
GM:対象どうぞ~
穂村 姫乃:対象は柱と水上の二体。判定も行くぞ。
穂村 姫乃:6dx+24
DoubleCross : (6DX10+24) → 7[1,3,4,4,5,7]+24 → 31

GM:えーと、では
魄柱・再火:《復讐の刃》
水上ケイ:自分の分に関してはドッジしてから、柱をカバーリングする構え。
GM:あ、羽海バディムまだあるけど使う?
穂村 姫乃:その前にダイスの数間違えてたのに気づいたので振り直していいです?
GM:どうぞ!
穂村 姫乃:3dx+24
DoubleCross : (3DX10+24) → 4[1,3,4]+24 → 28

穂村 姫乃:バデムもお願いします
羽海束沙:OK。これで改めて31
GM:で、リアクションはさっきと同じ
水上ケイ:17dx+10>=31 回避
DoubleCross : (17DX10+10>=31) → 10[1,1,1,1,1,2,5,5,5,6,6,7,8,9,9,9,10]+3[3]+10 → 23 → 失敗

穂村 姫乃:マジで怖い
GM:ダメージどうぞ
GM:こちらも復讐の刃いきます。
穂村 姫乃:4d10+24
DoubleCross : (4D10+24) → 19[5,10,3,1]+24 → 43

魄柱・再火:8dx@7
DoubleCross : (8DX7) → 10[1,2,3,4,4,5,5,9]+3[3] → 13

魄柱・再火:2d10+20
DoubleCross : (2D10+20) → 10[6,4]+20 → 30

GM:えーと、カバーして素の装甲引いてから倍になって……
穂村 姫乃:装甲で10弾いてもダメじゃな。リザレクト。
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を11増加 (39 → 50)
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 5)増加 (50 → 55)
穂村 姫乃:穂村 姫乃のHPを5に変更 (13 → 5)
穂村 姫乃:汚染値は8から9に
水上ケイ:まだ生きてます。
穂村 姫乃:硬いのう……演出行くぞ
GM:どうぞ!

穂村 姫乃:「ふむ」
穂村 姫乃:一歩離れた位置から攻防を見届けた後、歩み出る。それに合わせ。
穂村 姫乃:火の粉が舞ったかと思えばその瞳と髪が深紅に染まっている。
穂村 姫乃:「なるほど硬い。真っ向から力押しするにはちと侵蝕が足りんの」
穂村 姫乃:臨界点を超えれば、彼女の血は常以上に熱く燃え盛る。その温度であればあるいは攻略も可能だったかもしれない。
穂村 姫乃:しかしそれはあくまで仮定の話だ。現に今、彼女の持ちうる最大の火力を放ったとしても致命の傷にはなり得ないだろう。
水上ケイ:「ふかすじゃねえか。いつもすぐ手ぇ抜いてた割にはよ」
水上ケイ:「……そいつが、お前の本気か」
穂村 姫乃:「うむ。まあ手を抜いていたことは認めるが、だからと言ってそう目くじらを立てんでくれ」
穂村 姫乃:「徒人として生きていた儂では使いようのない業故な。自身が何者か思いだした今じゃからこそ万全を持って戦える」
穂村 姫乃:穂村姫乃の異能の粋は、その全てが神としての御業である。
水上ケイ:「手の内隠してたのはお互い様だが……話が見えねぇな」
水上ケイ:初めて見るその形態を前に、いっそう警戒を強くする。
穂村 姫乃:血によって徒人に力を与える。血を媒介に炎を操る。人ならざらる身であるゆえに、人以上に異能を使いこなす。
水上ケイ:「オーヴァードはそりゃ、徒人じゃねえだろうが。テメェが何者だって言うんだ」
穂村 姫乃:自身が人であると記憶を改変されてしまった"穂村姫乃"は、必然として力の一部を失っていた。
穂村 姫乃:紅に染まった神としての姿もその一部。故に。
穂村 姫乃:今の穂村姫乃は、必然水上ケイの知る彼女より数段強い。
穂村 姫乃:「そうじゃの。一部ではこう呼ばれとる」
穂村 姫乃:ゆるりとした仕草で指先が彼女自身の腕をなぞる。同時、そこには赤い線が浮かび上がり――。
穂村 姫乃:「興津比売命。すなわち」
穂村 姫乃:吹きあがるように舞った鮮血が水上ケイへと降り注ぐ。
穂村 姫乃:「火の神と」
水上ケイ:「っ──!」神と宣った、その言葉に驚きを見せる余裕もない。降り注ぐその鮮血が、危険なものであると直感している。
水上ケイ:回避──間に合わない。何より、今の自分は守護者である。背後の魄柱にあれを触れさせる訳にはいかないと即座に判断。
水上ケイ:翼を以て風を巻き起こす。迫る赤い雨を吹き返し──
羽海束沙:──同時に着弾。風を縫うように飛翔した鉛弾が、翼の付け根を射抜いた。風が止む。
水上ケイ:「な、っ……」拡げた腕と翼を以て、受け止めることになる。
穂村 姫乃:穂村の血液は、その性質もまた武器の一部とする。
穂村 姫乃:あるいは鱗と鱗の継ぎ目に入り込み、あるいは翼に沁み込み、あるいは硬化していない肌に突き刺さり。
穂村 姫乃:堅牢な筈の水上の体内へと侵攻していく。
穂村 姫乃:「さて」
穂村 姫乃:そして十分な量の血液が付着したその瞬間を計ったように。
穂村 姫乃:一斉に発火。外から、中から。水上ケイを焼き尽くさんと燃え盛る。
水上ケイ:それが危険であることは分かっている──瞬時に身体を竜巻めいて捩り、血を振り払わんとするが、足りず。
水上ケイ:「が、あぁっ……!」
水上ケイ:突き詰めた不朽の肉体は、耐火性能とて妥協はしていない。だが、それも外側からの話だ。
水上ケイ:己の装甲を間断ない連携によって切り崩されていた事が、ここに至って致命となる。
穂村 姫乃:「お主がタフであることはここまででようく分かっとる。じゃが」
穂村 姫乃:「こうなってしまえば儂の炎からは逃れられん。どれだけ待とうが、暴れようがな」
水上ケイ:……そう、致命となるはずだ。いかに超人であろうとも。だが、この男の命にはまだ届かない。
穂村 姫乃:「仁達の攻撃が先にお主の命を刈り取るか、この炎が焼き尽くすまでお主が粘るか」
穂村 姫乃:「見届けさせてもらうとしよう」
穂村 姫乃:「何せ儂、気は長い方じゃからな」
水上ケイ:「っ……はッ……!」燃え上がりながら尚、獰猛に笑う。
水上ケイ:「火の神と言ったか。なるほど、確かに効いちゃいるが……」
水上ケイ:「"あいつ"の熱に比べりゃ、てんで温いよなァ……!」
水上ケイ:見るからに強がりだ。己を奮い立たせるための。
穂村 姫乃:「……情に厚く不器用な意地っ張り」
穂村 姫乃:「似た者同士ばかりじゃの、ここは」

GM:クリンナップ。邪毒処理と増援判定。
水上ケイ:15喪失。まだ生きています
GM:1d100 増援チャレンジ
DoubleCross : (1D100) → 61

GM:あっ来ましたね
亜藤 蘭介:ゲッ
永良ゆづり:ぎゃあ
穂村 姫乃:この流れで来るのか
GM:1d100 
DoubleCross : (1D100) → 61

久遠仁:ここから……
GM:えーとこれだと

[ 魄柱・再火(00)、 “アースリー・ケイヴ” (06)、
久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]
20m
[バース戦闘部隊A(08)]

GM:こうなりました。
亜藤 蘭介:ウッギャ~!
久遠仁:こないで

GM:1ラウンド目終了。2ラウンド目へ。
GM:セットアップから。
永良ゆづり:なし!
久遠仁:なし
穂村 姫乃:なし
水上ケイ:《進化の末脚》《進化の重鱗》《進化の大爪》 攻撃力+15、行動値+15、装甲+15
水上ケイ:行動値21になります。
亜藤 蘭介:ありませギャーッ!
"バース"戦闘部隊A:こちらはなし。

GM:ではイニシアチブ。行動値23、久遠さんから。
久遠仁:マイナーなし
久遠仁:メジャー≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:対象水上くん!
GM:どうぞァ!
久遠仁:8DX7+7
DoubleCross : (8DX7+7) → 10[2,3,3,5,6,6,10,10]+10[4,9]+5[5]+7 → 32

水上ケイ:《竜鱗》。ダメージどうぞ。
久遠仁:4D10+24+5 装甲有効
DoubleCross : (4D10+24+5) → 18[4,1,9,4]+24+5 → 47

水上ケイ:そのダメージは……弾く!
久遠仁:冗談だろ……
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (71 → 75)
GM:演出どうぞ
久遠仁:次とまとめます!
GM:OK!

GM:行動値21、水上の手番。
水上ケイ:先程と同様、待機からの《加速する刻》
水上ケイ:未行動のまま行動します。
水上ケイ:マイナーなし。メジャー「領域送掌」 《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《鬼の一撃》《オーバーエヴォルヴ》《形なき剣》《深き傷痕》
GM:エフェクト情報開示。

・エフェクト情報「オーヴァーエヴォルヴ」
タイミング:メジャー 技能:白兵 難易度:対決 対象:単体 射程:至近
このエフェクトの射程・対象は変更できない。
このエフェクトを組み合わせた攻撃で対象が1点でもダメージを受けた場合、対象はそのシーン中、エフェクトの使用による侵食率の増加が2倍になり、「制限:80%」「制限:100%」「制限:120%」のエフェクトを使用できない。
戦闘開始2ラウンド目以降にのみ使用可能。1ラウンド1回、シナリオLV回。

水上ケイ:対象は……これで封じる事のできるエフェクト数が多い順のロジックなので、永良さんへ。
水上ケイ:命中いきます。
水上ケイ:29dx+11@7
DoubleCross : (29DX7+11) → 10[1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,5,6,6,7,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10]+10[1,1,3,4,5,5,5,5,5,6,7,8,8,9,10]+10[2,3,5,7,9]+10[4,7]+1[1]+11 → 52

亜藤 蘭介:えっ…永良!
永良ゆづり:5dx+1>=52 とりあえずドッジ
DoubleCross : (5DX10+1>=52) → 10[1,2,3,6,10]+7[7]+1 → 18 → 失敗

永良ゆづり:カバーも大丈夫。来い!
水上ケイ:6d10+65 諸々有効
DoubleCross : (6D10+65) → 42[9,8,8,1,8,8]+65 → 107

永良ゆづり:即死ぃ!!
永良ゆづり:64+1d10
DoubleCross : (64+1D10) → 64+2[2] → 66

永良ゆづり:HP2で蘇生!以上!
GM:OK!汚染も上げておいてね
永良ゆづり:そういや忘れてた。2回死んでるので6→8で。
GM:では演出。

久遠仁:踏み込み。同時に、刃を振るう。
久遠仁:音の速度を遥かに超えた斬撃。関節部を狙い、前腕を断ち落とさんとして。
久遠仁:「──」
久遠仁:水上自身が反応するより先に、久遠が兜の中瞠目する──刃が通らない。
水上ケイ:ガギンッ! 火花の散る如き金音。
水上ケイ:「……二度目だぜ。関節を狙うって分かってんなら」
水上ケイ:「受けようはある」真っ直ぐに伸び切った腕。その実、曲がりようはない。関節の隙間を補修するように甲殻質が展開されている。
久遠仁:(──まずいな)
久遠仁:無言のまま思案する。
久遠仁:(自己進化を得手とする相手に、手番を与え過ぎた──)
水上ケイ:剣撃を受けた反動から一転、沈み込む。文字通りに姿が消える。
水上ケイ:その実、土を削り地中を潜航する土竜の歩法。砂煙と共に浮上し、永良の背後を取る。
久遠仁:「永良!」
水上ケイ:未だ燃え盛る逆の腕を以て。繰り出される掌打は、果たしてその衝撃自体が必殺であると同時、オルクスの因子による人体侵略。
水上ケイ:「──領域送掌」
永良ゆづり:「────っ」立ち込める土煙が視界を遮り、反射による対応が許されない。
水上ケイ:"アースリー・ケイヴ"がその身の内側に宿す進化領域──自身の細胞を際限なく改変・適応させ続ける機構。
水上ケイ:この男の領域送掌は、それを反転させる。
水上ケイ:──永良の全身の細胞が自ら歪み、軋む。筋肉が、文字通りに泡立ち・弾ける。細胞そのものの操作による破壊的退化。
水上ケイ:骨をより脆く、知覚神経をより鈍く、生命活動に必要なあらゆる臓器を縮み衰えさせ、機能を奪う。
水上ケイ:因子を注ぎ込んだ対象を、不完全にして活動不可能な生物へと作り変え、貶める一打。
水上ケイ:尋常であれば他者への干渉に向かない領域──だが、
水上ケイ:こうして相手の肉体を砕き"内側"に潜り込んだ瞬間であれば、それが可能となる。
亜藤 蘭介:「永良っ────!」間に合わない。逡巡の間に放たれる、必殺にして致命の一撃。その威力は己が身で知っている。
永良ゆづり:「あ、ぐぁ────」背後から掌底を叩き込まれ、骨が砕け、肉が断たれ。
永良ゆづり:土の上に叩きつけられる。自身の異常に気付いたのは、直後に《リザレクト》を行使した瞬間。
羽海束沙:「こいつ、っ……!」振り返り、位置を補足すると同時に水上を銃撃。両の眼を狙った発砲。
水上ケイ: 「……殺す覚悟はとうに済ませちゃいるが」それをかわし、後退しながら呟く。
水上ケイ:「知った顔にこいつを使うのは。いい気分がしねぇな」
永良ゆづり:掬い上げた骨が手から零れ落ちる。繋ぎ合わせた肉が脆く軋む。
永良ゆづり:重なること、全身を苛む脱力と怠惰。戦闘に赴くに当たり、必要な全ての要素が抉られていく。
永良ゆづり:通常の倍ほどにレネゲイドを沸き立たせ、身体に鞭打って立ち上がる。が。
永良ゆづり:復活に際し上がった侵蝕値を倍にします。侵蝕68に。
GM:了解、そうなります。
永良ゆづり:「(……これは、無理だな。私はもうまともに戦えない)」
永良ゆづり:「(だが、もう一手くらいなら────)」

GM:イニシアチブ。行動値9、永良さん。
永良ゆづり:待機しまぁす……
GM:OK。では
GM:続けて行動値8、"バース"戦闘部隊Aの手番
"バース"戦闘部隊A:マイナー、戦闘移動《縮地》。20m前進し、他キャラクター全員にエンゲージ。
GM:で、単体攻撃なんだよな。ターゲットはダイスします
GM:1d4
DoubleCross : (1D4) → 4

"バース"戦闘部隊A:亜藤くん対象で
亜藤 蘭介:ゲッ
亜藤 蘭介:甘んじて受ける!
GM:あっすみませんミス
GM:エネミーデータ見間違えてた!移動はしない!
亜藤 蘭介:ということは…?
亜藤 蘭介:対象も…?
GM:いや……対象はそのままかな……
亜藤 蘭介:ちくしょうかかってこいや!
"バース"戦闘部隊A:すみません、改めてマイナーなしから
"バース"戦闘部隊A:メジャー《コンセントレイト》《悪魔の影》《死神の瞳》《拘束する大地》《鮮血の鎖》
"バース"戦闘部隊A:13dx+5@7 命中
DoubleCross : (13DX7+5) → 10[1,2,2,4,4,5,5,6,6,6,8,10,10]+10[1,3,8]+1[1]+5 → 26

亜藤 蘭介:ンニャ~~~!
GM:ダメージなし 命中で次のリアクション不可+次に受けるダメージが5D増加+次に行う判定のC値が1増加+そのラウンドの判定ダイス5個減少
亜藤 蘭介:ヤバすぎる!
亜藤 蘭介:ドッジ!
亜藤 蘭介:6dx+1>=26
DoubleCross : (6DX10+1>=26) → 10[3,5,7,9,9,10]+4[4]+1 → 15 → 失敗

亜藤 蘭介:ひぃん…
"バース"戦闘部隊A:では、上記デバフを受けてもらいます。
永良ゆづり:差し挟んで《炎陣》でカバー。侵蝕+2*2の72。
亜藤 蘭介:すまない助かります!
GM:OK。では上記受けてもらいます。
GM:では演出。

GM:……激戦である。多大なレネゲイドが漏出している。迅速な行動をしていようとも、近くにいれば気づく者もいるだろう。
GM:ましてや、魄柱が守り手を集めるべく呼びかけている。
GM:……中には混乱し、即座に反応できない者、自分の置かれている境遇を受け止めることのできない者もいたが。逆もまた。
"バース"戦闘部隊A:「……水上!? すまない、随分と遅れてしまった」およそ傷つける手段のない男が、既に満身創痍となっている姿に驚きつつ。
"バース"戦闘部隊A:数名のオーヴァードが現れる。ランクとしては中位以下といったレベルの連中だ。
水上ケイ:「……テメェらか。手伝うのは良いが」
水上ケイ:「巻き込まれねぇように気を付けろ。……正直、他を気にしてる余裕がない」
"バース"戦闘部隊A:「……ああ、分かってる」
"バース"戦闘部隊A:陣形を組み、共同して領域を編み上げる。クーデターに際して行った、単独で強力なオーヴァードに抗しうる力のない者同士のもの。
"バース"戦闘部隊A:仕留めるためではなく、動きを妨げ、隙を作り出すための。
亜藤 蘭介:「新手か」
永良ゆづり:「(一人一人にニア程の威迫は感じないが、徒党を組まれては十分に厄介──)」
"バース"戦闘部隊A:亜藤の周囲の風が揺らめき、鈍い頭痛が走る。片足に力が入らない。周辺重力と身体機能に干渉する操作。
"バース"戦闘部隊A:赤、黒、青。数色の形の異なる魔眼が、君の周囲を取り巻くように浮遊している。
亜藤 蘭介:己が判断の鈍さに舌を打つ。
亜藤 蘭介:「これ、は────」
亜藤 蘭介:予想外の間接的なダメージ。周囲を浮遊する魔眼を切り裂かんとするも、穴が空いた風船のように漏出するレネゲイド。重く響く頭痛に、手から力が失われていく。
永良ゆづり:「っ、亜藤さん!」
永良ゆづり:退化の呪に全身を蝕まれながらも、無理矢理駆け出す。
"バース"戦闘部隊A:……そして、そこまでが序の動作。魔眼が互いを光条で結び、より強力な領域を形成しようと。
"バース"戦闘部隊A:「捕らえたっ……!」
永良ゆづり:魔眼による領域干渉。先ほどの様に、攻撃で生まれる風は使えない。
永良ゆづり:仮にあったとしても。今の自分では十分な精度を出すことはできないだろう。
永良ゆづり:だから、愚直に。
永良ゆづり:魔眼のテリトリーから、力任せに亜藤蘭介を押し退けた。
亜藤 蘭介:「よ、せ」永良、と続けて彼女の名を口にする前に。
亜藤 蘭介:受け身すらままならず、無様に地を転がって。弾かれるように体勢を立て直す。
"バース"戦闘部隊A:「なっ……」咄嗟に押し入る者がいるとは予想しなかったが。それで発動を止めることもない。
"バース"戦闘部隊A:数色の光輝が領域を結ぶ。バロールの物理的な領域封鎖。そうして捕らえた相手の神経感覚を狂わせる機構。
"バース"戦闘部隊A:万全であれば、力を注げば振り払うこともできるだろう程度の出力。だが、今その猶予は。
永良ゆづり:「────っ、う」だが、注ぐべき力を枯渇した自分に為す術はなく。
永良ゆづり:神経を揺さ振られ、立ち続ける事すら儘ならず。すなわち、光の檻の中で倒れ伏した。
永良ゆづり:意識はまだある。だが最早、他人の助けなく立つことすら難しい。
亜藤 蘭介:彼女の元へと駆け寄って。光の残滓を纏めて切り払う。
羽海束沙:「っ、貴方いま……!」声に微かに怒気が混じっている。
永良ゆづり:「……ち、がうでしょ」
永良ゆづり:既に聴覚すらまともに稼働していない。ただ、掠れた声で。
永良ゆづり:霞んだ視界の端で捉えた、光の檻を砕く者への叱咤を。
亜藤 蘭介:生成した分体は増援部隊に。本体は水上を見据えたままで。
亜藤 蘭介:倒れ伏した彼女の、声を聞いて。
亜藤 蘭介:「………」一時の間、顔を歪め。
亜藤 蘭介:「すまん」
亜藤 蘭介:決意を帯びた瞳に、炎が灯る。

GM:イニシアチブ。行動値5。亜藤さんの手番です。
亜藤 蘭介:はい。
亜藤 蘭介:マイナー無し。
亜藤 蘭介:メジャー、コンボ:"羅紗切"。《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》+《砂塵霊》
亜藤 蘭介:対象は水上ケイ。
GM:命中どうぞ
亜藤 蘭介:羽海さんのNPCカード1番の使用を宣言。
亜藤 蘭介:命中判定のダイスを+10個、攻撃力を+10!
羽海束沙:了解、判定どうぞ
亜藤 蘭介:22dx7+6
DoubleCross : (22DX7+6) → 10[1,1,2,2,3,3,3,4,4,4,5,5,5,5,8,9,9,9,9,9,10,10]+10[2,2,3,3,3,5,6,8]+10[7]+10[10]+5[5]+6 → 51

亜藤 蘭介:よしよし
水上ケイ:回避はできんよな……《竜鱗》で受けます。
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメージ+1D+15
亜藤 蘭介:水上も辛いよな。亜藤、ダメージいきます。
亜藤 蘭介:ありがと~!
永良ゆづり:侵蝕+3*2の78
亜藤 蘭介:6d10+31+10+15+1d10
DoubleCross : (6D10+31+10+15+1D10) → 31[6,9,9,3,1,3]+31+10+15+5[5] → 92

亜藤 蘭介:装甲を無視!
GM:シザリパで92……
亜藤 蘭介:(シザリパの効果に準拠)
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を10(→ 10)増加 (85 → 95)
水上ケイ:戦闘不能です。
水上ケイ:《魔獣の証》復活します。
亜藤 蘭介:勝った…?
亜藤 蘭介:アアーン!?
GM:4d10級エフェクトなので、後で回想ターンが発生します。よろしくね
GM:演出どうぞ。

亜藤 蘭介:傍らの分体を、永良の元へと待機させたまま。
亜藤 蘭介:静かに息を吸い、吐き出して。
亜藤 蘭介:地を砕けんばかりに踏みしめて。三歩で奴の懐に。
亜藤 蘭介:奴の眼前で体動を捻る。
水上ケイ:その出足を視ている。こちらも踏み出し、迎え撃つべく甲殻に覆われた剛腕を構える。
亜藤 蘭介:それは、遠心力の勢いを乗せた、只の斬り払い。
亜藤 蘭介:亜藤蘭介との幾多の模擬戦の経験を経た水上ケイであれば。何度も目にした筈のそれ。
亜藤 蘭介:然して。
亜藤 蘭介:振るわれる刃の速さも。
亜藤 蘭介:踏み込みの強さも。
亜藤 蘭介:一撃に乗せた想いも、何もかもが。
亜藤 蘭介:以前よりも遥かに上回っている。それだけの一太刀。
亜藤 蘭介:その技に華は無く。弛まぬ鍛錬と幾度の死線を潜った果てに得た、己だけの刃。
亜藤 蘭介:何回、何百回、何千回、何万回と。
亜藤 蘭介:繰り返し振るってきた淀みない動作で。
水上ケイ:──反応する。あまりにもよく知った所作で振るわれるその輝線を、
水上ケイ:右手で掴み、至近の間合で相手を抑えんとする動き。
亜藤 蘭介:小柄な体躯に見合わない、重く響く一撃が。
水上ケイ:半身と共に僅かに沈んだ逆手が、そうして封じた対手にカウンターを放つべく動き出している。
水上ケイ:単純である。迅速である。強力である。故に付け入る隙がない反撃。何度も君が打ち込んでは、叩き伏せられてきた返し手。
亜藤 蘭介:間隙を縫うように右手を抜けて。
亜藤 蘭介:更に回転。
亜藤 蘭介:ここで奴が放つ、返しの一撃に。
亜藤 蘭介:伸びきったその対手を切り上げるように払う。
水上ケイ:「……ッ!」
水上ケイ:白刃よりも硬いその巨腕を、斬るではなく滑らせられた。
水上ケイ:自ら最大加速を付けて伸び上げたその運動は、容易に止められるものではない。
亜藤 蘭介:0.01秒にも満たないその瞬間。再生と防御の速度を僅かに上回った刃が。
水上ケイ:──少なくとも、次の一撃を叩き込まれるよりは遅い。
亜藤 蘭介:袈裟斬りに叩き込まれる。
水上ケイ:認識。己が命を狩らんとする刃が、眼前に迫っている。
亜藤 蘭介:深く。水上ケイの体内の領域を犯しうるほどに。
水上ケイ:手を出すには間に合わず、ただ受け切るには、そこに乗せられている念はあまりに重い。
亜藤 蘭介:「ようやく」
亜藤 蘭介:ぽつりと吐く。
亜藤 蘭介:「取れたな。一本」
水上ケイ:「が、あっ……」
水上ケイ:心の臓を覆うように、暖かな熱が走る。肉が引き裂かれ、血が溢れ出している。
水上ケイ:「っ……て、めえ」
水上ケイ:風をきるような声。弾きあげられて伸びきった腕が、だらりと垂れる。膝をつく。
亜藤 蘭介:血に濡れた刃を乱暴に振り払い。血を吹き出しながら膝をつく男を見下ろして。
亜藤 蘭介:「もう終わりか?」
水上ケイ:「……強く、なりやがってよ」
水上ケイ:「こいつが……いつものやつなら」
水上ケイ:「そう言ってたかもしれねぇな」
水上ケイ:強がる声とは裏腹に、掠れるような呼吸が大きくなる。明らかに限界を超えている。
水上ケイ:「だが……」
水上ケイ:明滅する。声が聞こえる。己が心臓の、更に奥から。
水上ケイ:「俺、は……」
水上ケイ:"サンディーヴァ"の鍵が外れる。またしても、悪夢が解き放たれる。

水上ケイ:──陽の射さないアパートの一室で、野良犬みたいに生まれ育った。
水上ケイ:この比喩はつまり、誰かが捨てたゴミの中から今日の糧になりそうなものを漁って食う生活という事だ。
水上ケイ:酒浸りの父と母は絶えず不機嫌で、いつだって憂さ晴らしの拳骨を振るう理由を探していた。
水上ケイ:冷蔵庫や食卓にあるものに手を出す事は許されなかった。
水上ケイ:兄妹は揃って水道の水を飲んで、何日も洗濯されないままのボロ布を巻いていた。
水上ケイ:寝ている間に蹴っ飛ばされないように、交互に寝ずの番をした。
水上ケイ:何も知らないから、親とはそういうものだと思っていた。
水上ケイ:どこまでも理不尽で、一方的な支配の繋がり。
水上ケイ:……だから、断ち切る事も簡単だった。
水上ケイ:妹が腹を蹴られて死んだ日に、俺は特別な「力」に目覚めた。
水上ケイ:リビングにはすぐにあいつらの死体が転がった。
水上ケイ:ぐちゃぐちゃになるまでそれを踏んづけてやったあと、産まれて初めて腹いっぱいになるまで飯を食べた。
水上ケイ:馬鹿馬鹿しいほど楽な仕事だった。最初からこの力があったなら、どれだけ楽だっただろうか。
水上ケイ:だが、それだけだ。
水上ケイ:笑っても嘆いても、腹がいくら満たされても、妹の体温は戻らなかった。

水上ケイ:──結局のところ、この世界は力だ。
水上ケイ:強いやつは、より自由に生きられる。
水上ケイ:食いたいものが食えて、生かしたいやつを生かせて、殺したいやつを殺せる。
水上ケイ:学もコネもない前科者のガキが、裏社会の用心棒のような真似をして、
水上ケイ:しばらくそこらの大人並の暮らしをする事ができたのも、それだけの力があったからだ。
水上ケイ:……俺と雇い主達をぶちのめして、捕まえた俺を実験動物さながらに扱う事ができていたのも、
水上ケイ:"アモーガ"(あいつら)に力があったからだ。
水上ケイ:"バース"のランク評価の中で他の奴らを蹴落とし、「失格」の烙印を押される事なく生きていられたのも、同じことだ。
水上ケイ:なら、それを失えばどうなるか。
水上ケイ:その結果を、俺は既に知っていた。

水上ケイ:……強くならなくちゃいけない。
水上ケイ:どんな外敵にも、困難にも、屈しない力が欲しい。
水上ケイ:誰よりも身を削って力を求めた。研究員の連中が提供する、リスクの高い強化ドラッグにだって手を出した。
水上ケイ:最初は、ここにいる連中をみな敵だと思っていたから。自分が蹴落とされる側にならないために。
水上ケイ:いつからかは、マコト達を──"バース"の皆を大切に思っていたから。
水上ケイ:こいつらが妹みたいに死ぬ所を、見なくて済むように。
水上ケイ:後からいくら無残に復讐を果たした所で、何も戻らないし満たされない。
水上ケイ:そうだ。間に合わなくちゃ意味がないんだ。結局の所、それが俺の中の「焦り」の正体だったのだろう。
水上ケイ:強迫観念めいた、強さへの渇望。その願いはただ
水上ケイ:あいつらが死にそうな時に、それを防げるだけの力を──

水上ケイ:──結局、俺は間に合わなかった。
水上ケイ:投影機が映し出す先に、マコトの屍が映し出されていた。誰一人欠けずに自由になるという計画は、失敗した。
水上ケイ:放送機から忌まわしいアナウンスが響く。俺達に殺し合えと言う。
水上ケイ:誰が火蓋を切ったのだったか。「不意を打たなければ殺される」と焦燥に駆られた奴が、最初の引き金を引いて
水上ケイ:そこからは雪崩のように殺し合いが始まった。
水上ケイ:「ッ、こいつら……!」
水上ケイ:クーデターの計画が形になっていたのは。皆の信頼を勝ち得て、ここまでの結束を実現できたのは
水上ケイ:何より、天城マコトが強かったからだ。
水上ケイ:「彼と共になら、やれる」という前提を皆が信じていたからだ。
水上ケイ:「1位(あいつ)」の死が晒された今、その結束はもはや意味を持たない。
水上ケイ:"マーシャル・ヘイヴン"を容易に討ち果たした相手と戦う事はあまりにも危険すぎると、この場にいる誰もが確信していた。
水上ケイ:……俺自身とて、それは例外ではなかった。だが、それでも。
水上ケイ:「馬鹿、共がッ!!」
水上ケイ:声を張り上げる。迸る熱線と電光を、腕の装甲で弾きながら、戦火の只中に躍り出る。
水上ケイ:戦線が硬直する。あまりにも強大な戦力。下手に動けばその殺意が、自分へ向けられるという恐怖。
水上ケイ:何でも良い。馬鹿なことをやめて、止まってくれるなら。
水上ケイ:「そんなに……」
水上ケイ:「そんなに、命を奪い合いたいかよ……!?」
水上ケイ:「俺は……」
水上ケイ:「俺には、もう無理だ」
水上ケイ:「クソ親共を殺した時とは違う」
水上ケイ:「無理なんだよ……!お前らを殺して、生き延びるなんてのは……!」
水上ケイ:「それをしなくて済むようにするために、俺は生きてきたってのに!!」
水上ケイ:数秒。嘆きともつかない怒声が、この場を支配した。
水上ケイ:「……お前らは、違うのかよ」
水上ケイ:「自由になりたいって言ったんだろ!? お前らの、見てた希望は」
水上ケイ:「その程度で、諦めれるモンだったのかよ……!」
水上ケイ:──退路が必要だ。
水上ケイ:ただ感情に訴えかけるだけでは、限界がある。
水上ケイ:殺し合うしか選択肢がないのではなく、「逃げ延びることができる」という可能性の提示。
水上ケイ: マコトの仇を取ることもできない俺に叶う、唯一の希望の提示。つまりは──
水上ケイ:「──あああああッ!!」
水上ケイ:咆哮。複合遺伝子の同時獣化。
水上ケイ:甲虫めいた装甲と獣の爪を備えた右腕が、埒外の膂力を以て隔壁を撃ち貫く。
水上ケイ:幾重の轟音を経て、拳大の穴が開いた。
水上ケイ:複数のモルフェウス・バロール能力者が協力して錬成した特殊素材の防護壁。
水上ケイ:既に何人かが挑んで傷一つ付けられなかったそこに、拳大の風穴が開いた。
水上ケイ:自己修復が機能するよりも早く、その空間を引き裂き広げるべく爪を差し込み──
"ヴィローシャナ":「──そいつは、駄目だよ。認められない」
"ヴィローシャナ":「そういう真似は、君達には許可されていない」
水上ケイ:「ガ、なッ……!」
水上ケイ:直後、全身が捩じ切られるような錯覚を覚えた。
水上ケイ:獣化解除。細胞が悲鳴を上げ、死んだように硬直している。
"ヴィローシャナ":「生き延びたいなら、選択肢は一つだけ」
"ヴィローシャナ":「初めから言っているだろう。さあ」
"ヴィローシャナ":「本気で、殺し合ってくれよ」
GM:ざわめき。猜疑心。殺気。
GM:水上ケイの気魄に圧倒され、その行動を眺めていたオーヴァード達が。再び戦闘を開始する。
水上ケイ:「っ、クソが……!」
水上ケイ:「テメェ、"ヴィローシャナ"! 何しやがった……ッ!?」
水上ケイ:スピーカーへ向かい、叫ぶ。応答はない。
水上ケイ:言いながらも、直感的に理解はしていた。
水上ケイ:これが、"ヴィローシャナ"──あの女が隠し持っていた能力。そして、マコトを殺すために用いた切り札なのだろう。
水上ケイ:"それ"がどうやっても抗し得ない類の力であると、本能が知らせてくる。
水上ケイ:そして、砲火。衝撃。獣化の解けた水上の肉体を雷が焼き、鋼が引き裂く。
水上ケイ:それは"生き延びるための、当然の判断"だった。天城マコトがいない今、最も強い者が、目の前で隙を晒している。
水上ケイ:「……っ、あ。お前ら」
水上ケイ:──力が、足りない。この支配を跳ね除けるだけの、強さが。
水上ケイ:「俺のことは、いいから」
水上ケイ:──結局、また、"間に合わなかった"。
水上ケイ:「早く、っ……」
水上ケイ:言葉が途絶える。
水上ケイ:心臓が激しく熱される。声に血が混じる。
水上ケイ:「……っ……逃げ、て」
水上ケイ:……死が近づく。平時の再生能力も、今は全く機能しない。
水上ケイ:「生き、ろ……」
水上ケイ:戦火の中で虚しく響く、己の声を聞きながら
水上ケイ:そうして、"生前の水上ケイ"の意識は途絶えた。

水上ケイ:(……そうだ、俺は)
水上ケイ:(間に合わなかった。何一つ、手が届かなかった)
水上ケイ:ふらついた足取りで、立ち上がる。
水上ケイ:「……次は、間に合わせる」
水上ケイ:うわ言のように呟く。足取りは対手の方ではなく、魄柱へと向かう。
水上ケイ:「今、分かった。俺が鍛え続けていたのは、そのためだ」
亜藤 蘭介:奴の眼を通して見た景色。脳内に流れ込んだ記憶に愕然と立ちすくむ。
亜藤 蘭介:「水上……」
水上ケイ:「どんな外敵にも屈しない力。仲間を守ってやれるだけの強さ」
水上ケイ:「それが、俺の夢だ。ガキの頃から、ずっと……それだけを」
水上ケイ:大きく息を吐く。力尽きたように、黒い怪樹に背を預ける。
水上ケイ:「それだけを、叶えるために」
亜藤 蘭介:既に虫の息だ。放っておけば消えゆくだけの命に他ならない。
水上ケイ:……否、"辿り着いて"いる。
水上ケイ:……どくり、と
水上ケイ:男の背後にある魄柱が、生物のように脈を打つ。
水上ケイ:「生きてきた……足掻いて、来たんだ……ッ!」
水上ケイ:その樹皮に、水上ケイの背より伸びた血管めいた触肢が差し込まれている。
水上ケイ:魄柱より流れ込む真紅の樹液が、男の肉体へと注ぎ込まれていく。
水上ケイ:「……俺の、能力の。最大の長所は」
水上ケイ:「"適応"することだ。あらゆる生態、あらゆる環境に」
水上ケイ:──ドッ ド グン
水上ケイ:ド   クンッ
水上ケイ:《巨神獣化》
水上ケイ:男の全身が膨張する。怪樹の組成が溶け出し、見る間に巨人の手脚として再構成されていく。
水上ケイ:限界近い命が、その樹の生命力と溶け合うようにして。混ざり合い、生まれる。
水上ケイ:聳え立つ。翡翠色の甲皮に覆われた鎧めいた巨躯が、
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:君達を見下ろしている。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「まだ、終わってねえ」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:声が空気を震わせる。「第二ラウンドだ」
亜藤 蘭介:正に慮外の力。想像だにしないその執念。
亜藤 蘭介:額から流れる汗を拭わずに。口から出た言葉は。
亜藤 蘭介:「さて」
亜藤 蘭介:「戦うか」
亜藤 蘭介:虚勢に過ぎない一言。
亜藤 蘭介:攻勢を諦めない一言。

GM:では、改めてエンゲージを提示します。

[ “人魄柱混成態アースリー・ケイヴ” (21)、
久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]
20m
["バース"戦闘部隊A(8)]

GM:これを以って勝利条件が「魄柱:再火の撃破」から「人魄柱混成態アースリー・ケイヴ」の撃破に変更されます。
GM:また、両ユニットが合体した結果
GM:装甲値・HP・共通して所持しているエフェクトのレベル・基本能力値が合計されています。
GM:説明は以上です。
亜藤 蘭介:オゲゲーッ
久遠仁:おしまい
穂村 姫乃:ヤバじゃん
永良ゆづり:ぐぬぬぬ……
GM:質問があれば承りますが……
GM:あ、あと巨神獣化してるのでドッジはできなくなってます。
亜藤 蘭介:なるほどねえ
穂村 姫乃:質問は大丈夫です!
GM:OK、では進めます

GM:イニシアチブ。行動値4で穂村さんへ。
穂村 姫乃:マイナーもメジャーも無し。待機する。
GM:OK、では
GM:イニシアチブ待機手番。加速のため未行動だったアースリー・ケイヴへ
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:マイナー、《千変万化の影》白兵技能のレベルを5上昇
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:メジャー「ウィルド・ジャクト」《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《鬼の一撃》《形なき剣》《要の陣形》《深き傷痕》
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:《未知なる陣形》を持っているため、対象はPC全員。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:34dx+16@7 命中
DoubleCross : (34DX7+16) → 10[1,1,1,2,2,2,2,3,4,4,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10]+10[1,2,2,2,4,4,5,6,6,8,9,10]+10[7,7,10]+10[5,9,9]+10[5,10]+3[3]+16 → 69

亜藤 蘭介:やめなさ~~~~い!
永良ゆづり:ひえぇ……
亜藤 蘭介:ドッジ!
穂村 姫乃:エッグいんじゃが!?
亜藤 蘭介:6dx+1>=69
DoubleCross : (6DX10+1>=69) → 9[3,4,4,7,8,9]+1 → 10 → 失敗

亜藤 蘭介:無
穂村 姫乃:メジャー放棄して蘭介を庇うぞ
永良ゆづり:リアクション不可
亜藤 蘭介:ううすみません!
久遠仁:《復讐の刃》
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (75 → 81)
久遠仁:リアクション放棄して反撃
GM:復讐どうぞ!ダメージもいきます
久遠仁:7DX9+7
DoubleCross : (7DX9+7) → 10[1,1,1,2,3,10,10]+7[2,7]+7 → 24

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:7d10+70 諸々有効 ガードすると攻撃力+40 受けるとこのシーンで次に行う攻撃の攻撃力-30
DoubleCross : (7D10+70) → 41[5,9,1,10,6,8,2]+70 → 111

久遠仁:3D10+24+5 リアクション不可
DoubleCross : (3D10+24+5) → 22[8,9,5]+24+5 → 51

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:そこそこ通ります。まだ元気
穂村 姫乃:消し飛んでリザ!
久遠仁:あっ死んでリザレクト
久遠仁:81+1D10
DoubleCross : (81+1D10) → 81+2[2] → 83

穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 6)増加 (55 → 61)
永良ゆづり:当然即死!!
永良ゆづり:ん……リザするか……
永良ゆづり:78+1d10
DoubleCross : (78+1D10) → 78+2[2] → 80

永良ゆづり:よし、2倍で侵蝕82!
亜藤 蘭介:マジ?
GM:上手い……汚染も上げておいてね~
永良ゆづり:汚染値は9!
穂村 姫乃:最強
穂村 姫乃:汚染値は10!
GM:では演出。

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:君達の頭上、にわかに空が翳る。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:それは巨体が揺らめき、動き出したということ。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:無数の蔦枝を編むようにして形成した疑似筋肉繊維質。それを、水上ケイの領域特質によって腕らしく練り上げたもの。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:仮初の巨腕、なれど天を遮るほどの。左右に六、合わせて十二本。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:……重く、巨大なるほどに鈍いとは物理法則における自然である。だが、必然ではない。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:我々人間が、己が百分の一以下の矮躯たる羽虫を素手で掴み捉える事ができるように
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:膨張した体積に見合う量の運動機能が、そこに詰まっているのであれば──格闘戦において、巨きく・重いこと以上の有利はない。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:翡翠色の巨塊が、拳となって降り注ぐ。尋常の拳速と変わらぬ速度で着弾するそれらは災害そのもの。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:喩えるならば──隕石が意思を持ち、狙いを定め、暴風雨めいて間断なく落ちてくるような。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:一撃ごとに、コンクリートの地表にクレーターが刻まれていく。撃ち、重ねること三十打。震災と見紛うほどの衝撃。
永良ゆづり:「…………」襲い掛かる圧潰の群れを知覚することも儘ならず。
永良ゆづり:地に伏せたまま、ただ受け入れようとして。
羽海束沙:「……永良!」引っ手繰るように、その手を掴む。
羽海束沙:雨礫の如く下される剛撃の嵐の中。満身創痍の永良ゆづりの手を引き、走る。
羽海束沙:不意に脚を止めては、折れ曲がる。無秩序にして不規則な歩み。
羽海束沙:その実、ノイマン・シンドロームの超反応と物理演算の賜物。
羽海束沙:その拳の速度を視認し、比較的衝撃のマシな空間を数秒毎に渡り歩く。
永良ゆづり:「……つか、さ」譫言の様に呟き、ただ力無く引っ張られる。
羽海束沙:「撃ち抜けなかったのは、ごめん。だけど」轟音の中、囁くような距離で告げる。
羽海束沙:「本気なの。言ったでしょう」
羽海束沙:「貴方に傷ついて欲しくないと」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:歩くだけで傷を負うほど脆い身体で。ましてや、五感の全てが霞んだ状態で。
永良ゆづり:彼女に庇われたこと。そして、私を思い遣る言の葉が。
永良ゆづり:何故だか、鮮明に知覚できた。
亜藤 蘭介:巨体が揺らめき、天に翳りが差したその間に。無傷で回避は不可能と脳内で結論付けて。
亜藤 蘭介:天体と見紛うばかりのそれから、視線を外さずに。己が身に降りかかる衝撃に備える。
穂村 姫乃:身構える蘭介の前に。踏み出す影がある。
穂村 姫乃:「先の返礼と行こうかの」
亜藤 蘭介:「穂村────っ!?」
穂村 姫乃:通常の人間であれば致死量の筈の鮮血が舞い散る。それは逆巻く火の渦となって。
穂村 姫乃:辛うじて蘭介のみを荒れ狂う衝撃の群れから包み込む。
亜藤 蘭介:小柄な己の身の前に飛び出した、さらに幾分か小さなその背に。目を見開いて。
亜藤 蘭介:己の五体が無事であることに驚愕し。己のため、寸前で身を呈した古代種の少女に視線を移す。
穂村 姫乃:「お主も言っとったじゃろ」
穂村 姫乃:衝撃に打ち据えられながらも常と変わらぬ笑みを湛えて。
穂村 姫乃:「今この場で最もあやつに有効な駒は誰じゃ?」
亜藤 蘭介:ぎり、と歯噛みして。
亜藤 蘭介:「有難う」
亜藤 蘭介:短く返礼の言葉を述べたあと。改めて得物を構え直す。
久遠仁:巨腕が地を揺らすと同時。誰の目にも留まらず、その上を駆け登る影がある。
久遠仁:《軽功》と呼ばれる体術。久遠仁にとっては、ビルの壁も水面も、平地と何ら変わりはない。
久遠仁:たとえそれが、巨人の剛腕であっても。
久遠仁:刃持つ竜巻が吹き抜けたかのように、翡翠色の巨腕に刃創が刻まれ、夥しい血飛沫が舞う。
久遠仁:だが、その代償は大きかった。
久遠仁:「……ぐ……」
久遠仁:極限の高速機動。人体の限界を超えたその領域に踏み込むべく埋め込まれた特殊骨格を以てしても、尚限界は存在する。
久遠仁:身体と侵蝕率、共に重度の負荷。兜の中、誰にも見せぬよう喀血する。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「ッ……!」乱撃が止む。引き裂かれた腕の傷は、紛れもなく己とこの魄柱に返って来ている。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:そして、神火の毒は未だその身の内で燻り続けている。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……ここまでしても」呟く。「猶予はねぇ、か」

GM:クリンナップ。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:邪毒で15HP喪失。まだ生きています
GM:1d100 増援
DoubleCross : (1D100) → 29

GM:来ちゃったな
GM:1d100
DoubleCross : (1D100) → 95

亜藤 蘭介:こないで
穂村 姫乃:まだ来るのか
久遠仁:オイオイオイ

[ "人魄柱混成態アースリー・ケイヴ" (21)、
久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]
20m
["バース"戦闘部隊A(8)、"バース"戦闘部隊B(7)]

GM:こうなりました。
亜藤 蘭介:ギニャ~~~~~

GM:では3ラウンド目。
GM:セットアップ。エネミー側はなし。
亜藤 蘭介:ありません。
永良ゆづり:なし!
久遠仁:なし
GM:みんなないかな。ではイニシアチブ。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:《加速する刻》
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:マイナーなし
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:メジャー「領域送掌」 《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《鬼の一撃》《オーバーエヴォルヴ》《形なき剣》《深き傷痕》
亜藤 蘭介:テメ~~~~
永良ゆづり:ラウンド1回かこれ!
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:対象は
GM:1d2
DoubleCross : (1D2) → 1

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:久遠さんへ。
亜藤 蘭介:あかん
久遠仁:ぎゃ~
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:34dx+16@7 命中
DoubleCross : (34DX7+16) → 10[1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,4,4,5,5,5,6,6,6,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,10,10,10]+10[2,3,3,3,4,4,5,5,6,7,7,7,8,9]+10[3,5,9,10,10]+10[7,8,10]+10[4,5,8]+1[1]+16 → 67

久遠仁:《復讐の刃》
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (83 → 89)
久遠仁:7DX9+7 リアクション不可
DoubleCross : (7DX9+7) → 10[1,2,4,6,7,8,9]+7[7]+7 → 24

久遠仁:失礼、傷跡があるのでドッジします
GM:いいよ~ 侵蝕戻しておいてね
久遠仁:7DX+1>=67
DoubleCross : (7DX10+1>=67) → 10[3,5,5,7,7,8,10]+10[10]+2[2]+1 → 23 → 失敗

穂村 姫乃:メジャー放棄で庇います
久遠仁:ありがとうございます……
GM:OK
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:7d10+70
DoubleCross : (7D10+70) → 36[2,3,3,8,7,5,8]+70 → 106

GM:ガードすると+40 傷30 ダメージでシーン中の侵蝕2倍、80%/100%120%を使用封印
穂村 姫乃:いったいんじゃがマジで!
穂村 姫乃:リザレクト
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 5)増加 (61 → 66)
穂村 姫乃:71まで上昇じゃな
GM:OK 汚染も上げておいてね
GM:では演出……

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:四方より伸びる腕が、五指を開いて。吹く風を鎖すと共に、退路を封じる。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:先程のような拳撃──ではない。久遠仁を狙い、掴み上げるような動き。
久遠仁:「ッ──」
久遠仁:限界まで加速能力を行使した直後。逃げ場を失い、硬直する。
穂村 姫乃:その背を小さな手がとんと押す。
穂村 姫乃:そのまま入れ替わるように自分から掌へと飛び込んで。
久遠仁:「……穂村さん!?」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「──そいつの速度を止めたかったんだが」そのまま、掴み込む。「テメェも厄介には違いねぇ」
穂村 姫乃:「ふふ。脅威と思われてるなら光栄じゃな」
穂村 姫乃:「天城の取り損なった神の首。お主に取れるか?水上」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「煽りやがる」獣化・巨大化・融合を経て、既に元の容貌を失った巨人が獰猛に嗤う。「やってやるよ──」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:穂村の肉体を、埒外の膂力に任せて肉体を握り潰す。単純にして不可避の致命傷。それと同時に
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「──領域送掌」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:刷り込む如く、体内へと流し込まれる領域因子。肉体の歪な進化変形を促す掌上の支配域。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:それが今や、四方より同時に叩き込まれた。見る間に肉体が自壊・機能停止へと向かい始める。
穂村 姫乃:「くは」 華奢な体躯が枝のように折れ曲がる。
穂村 姫乃:骨は砕け、肉は潰れ。まともな人間であればとうに命などなくなるだろう形になって。
穂村 姫乃:しかし奇妙なことに。血が流れない。
穂村 姫乃:肉体を包む皮膚から、その中身まで溶け落ちようとしているにも拘らず。一滴も血が落ちない。
久遠仁:「ぐ……!」
穂村 姫乃:「く、ふ」
久遠仁:一閃。人体であれば手首の腱に当たる場所を深々と切り裂き、僅かに緩んだ掌上からその身体を掠め取る。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「ッ……!」生命では何かを掴んでいるような違和感を訝るが、それよりも早く鈍痛が指の上を走った。
久遠仁:「助かった、有難い……が、無茶しすぎだぞ、あんた……!」
穂村 姫乃:「何、案ずるな。なるほど人の子であれば堪える攻撃じゃろうが」
穂村 姫乃:「儂とはいささか相性が良い。この通り、な」
穂村 姫乃:抱えられたその体の内部に炎が灯る。零れることなく循環する血液全てが炎となって穂村の身体を駆け巡る。
穂村 姫乃:否、否。それが血液と呼ばれるのは、あくまで人の子の言葉を借りているだけだ。
穂村 姫乃:穂村姫乃はレネゲイドビーイングなのだから。本性を現したその身体は一片に至るまでレネゲイドで構成されている。
穂村 姫乃:砕けたはずの骨も、潰れたはずの肉も、駆け巡る血の一滴も。全ては形をもったレネゲイドそのもの。
穂村 姫乃:ゆえに水上ケイの領域送掌は致命になり得ない。彼が操るのはこの地に生まれ進化を遂げてきた生物たちの因子。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……ああ」その全てを理解した訳ではないが。思い出す。「テメェで人じゃねえって言ってた意味が」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「今、少し理解ッた」
穂村 姫乃:「うむ。流石に聡いの、お主も」
穂村 姫乃:進化の系図からも命の連鎖からも外れて生れ落ちた穂村には。
穂村 姫乃:噛み合わず届かない。
久遠仁:「そうは言ってもな……! ……」
久遠仁:「……神社があるって言ってたっけか。ここを出たら、参拝させて貰うよ」
久遠仁:「たっぷり賽銭持ってな」
穂村 姫乃:「おう、頼むぞ。ここからは遠いし、どうせなら皆を誘って観光に来い」
穂村 姫乃:「大サービスとして、儂自ら道案内をしてやろう」
久遠仁:「ハハッ……そいつはご利益がありそうだ」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……もう終わった後の話とは、景気がいい。堪えてない訳じゃねぇだろうに」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「次は捉える」遙か高みより睨みつけ、吐き捨てる。

GM:イニシアチブ。行動値23、久遠さんの手番です。
久遠仁:マイナーなし
久遠仁:メジャー≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:対象アースリー・ケイヴ
久遠仁:9DX7+7
DoubleCross : (9DX7+7) → 10[2,2,3,5,5,6,8,8,10]+10[4,5,10]+5[5]+7 → 32

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:《竜鱗》で受けます。
久遠仁:無理そうだけどダメージ~
久遠仁:3D10+24+5
DoubleCross : (3D10+24+5) → 14[6,6,2]+24+5 → 43

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:通ら……ぬ!
久遠仁:だろうな……しかしデバフは消えました
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (83 → 87)
GM:そうやって解除してくるとはね……
GM:演出どうします?
久遠仁:軽くやります
GM:どうぞ!

久遠仁:その姿を捉えることすら困難な黒影が、巨体を駆け登る。
久遠仁:両腕、両足、胴体、頭部。
久遠仁:全身至るところに、常人の知覚速度ではほぼ完全に同時の斬撃を見舞い。
久遠仁:一足遅れて、硬質の残響が鳴り響く、が──。
久遠仁:「……ふむ」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:全身を駆け巡るその速度を、知覚・反応することはできない。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:だが、先程のように引き裂くとはいかず。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……浅い。いや、浅くなった」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「堪えてるんだろう。傷が」静かに、分析するように呟く。
久遠仁:驚きはない。むしろ納得したように頷く。
久遠仁:「硬いな、やはり」

GM:イニシアチブ21。アースリー・ケイヴの手番
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:マイナーなし。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:メジャー、メジャー「ウィルド・ジャクト」《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《鬼の一撃》《形なき剣》《要の陣形》《深き傷痕》
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:対象PC全員。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:34dx+16@7 命中
DoubleCross : (34DX7+16) → 10[1,1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,7,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[2,2,6,6,6,8,8,8,8,9,9,10]+10[1,3,3,4,8,9,9]+10[1,10,10]+10[3,7]+2[2]+16 → 68

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:回避ダイス-6です。
久遠仁:《復讐の刃》 リアクション放棄反撃
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (87 → 93)
永良ゆづり:とりあえずドッジ、自動失敗
久遠仁:7DX9+7 リアクション不可
DoubleCross : (7DX9+7) → 10[2,2,4,4,8,10,10]+2[1,2]+7 → 19

亜藤 蘭介:ドッジ自動失敗!
穂村 姫乃:ドッジ
GM:ぼんやりしててずっと形なき剣の補正忘れてた
穂村 姫乃:は自動失敗!
亜藤 蘭介:クゥン……
GM:カバーありましたらどうぞ~ 復讐も了解です
GM:ガードすると攻撃力+40 受けるとこのシーンで次に行う攻撃の攻撃力-30です
永良ゆづり:なくてもまず成功しないしな……
永良ゆづり:私かなぁ、メジャー放棄で亜藤くんカバー。
亜藤 蘭介:ウウーッありがとうございます!
永良ゆづり:でもって、《凍てつく刃》の攻撃力+1D+15とバディムを久遠くんに。
久遠仁:ありがたい!
GM:OK。他はカバーとかなさそうかな
永良ゆづり:侵蝕+3*2の88。以上!
GM:ないならダメージいきます。復讐の刃もダメージどうぞ
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:7d10+70 諸々有効
DoubleCross : (7D10+70) → 32[1,5,5,4,6,7,4]+70 → 102

永良ゆづり:死!リザレクト……
久遠仁:3D10+24+5+1D10+15
DoubleCross : (3D10+24+5+1D10+15) → 21[8,4,9]+24+5+1[1]+15 → 66

永良ゆづり:88+1d10
DoubleCross : (88+1D10) → 88+5[5] → 93

穂村 姫乃:吹っ飛んでこっちもリザ!
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 2)増加 (71 → 73)
永良ゆづり:及第点、倍付けで98!
穂村 姫乃:倍にして75、汚染値は12!
永良ゆづり:汚染値は10!
久遠仁:死、リザ!
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:割と通った。生きてます。
久遠仁:93+1D10
DoubleCross : (93+1D10) → 93+8[8] → 101

久遠仁:ぎゃ~~
久遠仁:汚染値は5>6
GM:OK。では演出

人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:根を張り、足の自由の効かない身体は、翻せばどこまでも踏ん張りが効くということ。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:その安定性を頼みに、大樹と化した自らの巨躯を後方へと寄せる。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:己が背骨を、弓弦の要領で引き絞る動き。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:ぐわん──と、自身の肉体そのものを矢と見立て、反動によって弾き飛ばす。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:ただ高速で移動するだけで台風めいた風を巻き起こす、数千トンの巨体。その影が一閃し、突き出した無数の腕が同時に繰り出す拳撃。君達もろとも地表を抉り飛ばす。
亜藤 蘭介:既に男は"集中(コンセントレイト)"を始めている。
亜藤 蘭介:己が最大の攻撃を繰り出さんが為。およそ身中全てのレネゲイドを一点に集めながら。
亜藤 蘭介:眼前に迫る巨大な脅威に対して。防御に転じる意識すら割かないほどに。
永良ゆづり:「……つ、かさ」彼女に支えられながら、弱弱しい声で。
羽海束沙:「……貴方」自身に寄り掛かる、衰弱する彼女を見てから、後方を一瞥。
羽海束沙:戦場より離れた地点には、退避に向けて"ビー"が待機している。
羽海束沙:彼女をそこまで連れていけば、戦線から離脱させる事もできるだろうが。
永良ゆづり:「…………」引っ張ろうとすると、僅かな抵抗が返ってくる。
羽海束沙:「……。まだ、やるのね」その眼を見る。彼女の意志はまだ、途切れていないと確かめて。
永良ゆづり:「銃、かし……て」
羽海束沙:すぐにその意図を理解した。拳銃を手渡す。
羽海束沙:彼女に言ってやりたい事は幾らでもある。だが、今はその場合ではない。
永良ゆづり:受け取ると、手元全体を覆う様に白煙が纏わりつき、忽ち銃身に吸い込まれていく。
永良ゆづり:身体はまともに動かないが、レネゲイド能力は活きている。稼働に必要な燃料が倍付けになっているとはいえ。
羽海束沙:「受け取った」静かに、それだけ告げて。視線は周囲へ。
羽海束沙:上方、死が降り来る数秒前。ただ気力によって耐える者、神速の反撃を試みる者。そして、決着の一撃へ向けて気を研ぎ澄ます者。
永良ゆづり:闘いの中で何度も見せた、白煙による支援能力。どのように展開すれば良いか、明晰なる頭脳と珠玉の思考回路を携えた、貴女であれば。
羽海束沙:然り。過去の連携の記憶を基にしたシミュレートより、判断は一瞬。銃声二連。
羽海束沙:一つは亜藤蘭介の足元へ。地に着弾すると同時に炸裂。
羽海束沙:一つは巨人の体表へ。今しも動き出さんとする久遠仁の出足より、到達・切断地点を予測した。
永良ゆづり:瞬時に旋回する煙が亜藤蘭介を取り巻く。役割は、不可侵の白き城壁。
永良ゆづり:天災に相応しき乱打を捌き、弾き、滑らせ、着弾地点へと誘導される様に往なしていく。
亜藤 蘭介:周囲舞う白煙に、僅かに何言かを呟いて。攻勢に至るまでの集中を継続させる。
永良ゆづり:同時に、巨躯の表皮を煙が蛇めいて奔る。風に吹かれて揺らごうとも、決して消えぬ白き影の侵略。
永良ゆづり:役割は、膨大なるレネゲイドに賛美された頑強な鎧へ、瑕疵を生み出すため。
久遠仁:およそ秒速340メートル。
久遠仁:空気中を音が伝わる速度──所謂音速。
久遠仁:それは常人であれば到底追いつき難い、知覚の遥か彼岸にある速度であるが
久遠仁:能力発動中の久遠仁にとっては、欠伸が出るような速度でしかない。
久遠仁:加速中に振るった斬撃の刃鳴は、久遠の主観では至極緩慢に拡散・伝達していき
久遠仁:当然の帰結として、その伝わり方も手に取るように把握することが出来る。
久遠仁:故に、熟練の職人が叩いた音だけで作品の良し悪しを測るように。あるいはレーダーやソナーのように。
久遠仁:音の伝わる対象の内部構造までをも、つぶさに理解することが出来る。
久遠仁:先の攻撃は、超硬質の全身を切り刻もうとしたのではない。
久遠仁:その構造を──弱点を探るための、布石だ。
久遠仁:長い年月を掛けて練り上げられた本来の水上の身体組成──能力領域であれば存在しない、即席の融合だからこそ生まれ得る、僅かな間隙。
久遠仁:その位置を割り出す為の一手だ。
久遠仁:嵐のように振るわれた無数の触腕、それに引き裂かれつつも同時に足場として、仮面の男は既に巨体へと取り付いている。
久遠仁:「ここだろう?」
久遠仁:胸部の側面、人体で言う前鋸筋の位置。
久遠仁:ぞぶり、と。
久遠仁:深々と白刃を突き立て
久遠仁:「うォ──らあぁアアァアッ!!」
久遠仁:咆哮と共に、力任せに引き裂く。
久遠仁:同時、"スモークスタック" の白煙がレネゲイドに反応して着火。
久遠仁:内から身を焼き焦がす業火として、炸裂した。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「ガ、あッ……!」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:然り。即興で、未だ馴染みの浅い融合だ。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:水上ケイ自身の戦闘センスによってその巨体を駆使してこそいるが、一個体としての完成には遠い。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:漏れた叫びを噛み殺せども、噴き出す血は止まらない。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「ッ……やるな」それでも、動揺するなと己に命じる。目の前の相手の力量を称え、思考を次へと向ける。
穂村 姫乃:「……ふふ」
穂村 姫乃:乱打に吹き飛ばされた体を起こす。あれだけ傷ついたゆづりがなおも戦っている中、一人倒れるつもりはない。
穂村 姫乃:「ようやく底が見え始めた、か」
穂村 姫乃:とはいえそれぞれ再生限界も近づきつつある。駆け付けた援軍に手を回す余裕もない。
穂村 姫乃:「……頼むぞ。蘭介」
穂村 姫乃:集中を続ける背中へとつぶやいた。

GM:続けてイニシアチブ、行動値9。永良さん
永良ゆづり:先ほどのカバーで放棄済み~。
GM:あ、そうだった失礼!
GM:したらばイニシアチブ8
GM:戦闘部隊Aの手番です
GM:1d4
DoubleCross : (1D4) → 4

"バース"戦闘部隊A:さっきと同じく、マイナーなし
"バース"戦闘部隊A:メジャー《コンセントレイト》《悪魔の影》《死神の瞳》《拘束する大地》《鮮血の鎖》
"バース"戦闘部隊A:対象亜藤さん。
亜藤 蘭介:やめなさ~い!
"バース"戦闘部隊A:13dx+5@7 命中
DoubleCross : (13DX7+5) → 10[2,2,2,4,4,6,6,6,6,6,7,7,10]+10[1,6,8]+10[10]+1[1]+5 → 36

GM:命中で次のリアクション不可+次に受けるダメージが5D増加+次に行う判定のC値が1増加+そのラウンドの判定ダイス5個減少
亜藤 蘭介:ドッジ!
亜藤 蘭介:6dx+1>=36
DoubleCross : (6DX10+1>=36) → 10[2,3,8,9,9,10]+6[6]+1 → 17 → 失敗

亜藤 蘭介:無っス!
永良ゆづり:もっていけ!!《炎陣》!!
亜藤 蘭介:永良~~~~~!!!!!!!;;;;;;
永良ゆづり:侵蝕102!!以上!!
GM:OK、では上記デバフ覚えておいて!
GM:で トループが続くし演出はまとめていくか
GM:イニシアチブ7、戦闘部隊Bの手番
"バース"戦闘部隊B:マイナーなし
"バース"戦闘部隊B:メジャー《コンセントレイト:オルクス》《大地の牙》《大地の加護》《雷の槍》《振動球》《破砕の音》
GM:1d4 単体なのでチョイス
DoubleCross : (1D4) → 4

亜藤 蘭介:おい!!
"バース"戦闘部隊B:亜藤さんに
亜藤 蘭介:そんな~~!
"バース"戦闘部隊B:12dx+5@7 命中
DoubleCross : (12DX7+5) → 10[1,2,2,3,3,4,5,5,8,8,8,9]+10[2,3,4,7]+1[1]+5 → 26

亜藤 蘭介:ドッジ!
亜藤 蘭介:6dx+1>=26
DoubleCross : (6DX10+1>=26) → 10[2,4,5,7,8,10]+7[7]+1 → 18 → 失敗

亜藤 蘭介:がんばった
GM:当たると防具破壊です
亜藤 蘭介:他にデバフあります?
GM:他はない!
亜藤 蘭介:了解!じゃあボデマくんには犠牲になってもらいましょう
亜藤 蘭介:ダメージどうぞ!
"バース"戦闘部隊B:3d10+32
DoubleCross : (3D10+32) → 18[9,8,1]+32 → 50

亜藤 蘭介:強くない?
亜藤 蘭介:死にます。リザレクト!
亜藤 蘭介:95+1d10
DoubleCross : (95+1D10) → 95+3[3] → 98

GM:OK!汚染も上げといてね~
亜藤 蘭介:HP3!汚染値7→8
GM:では演出。

GM:水上ケイが文字通り身を擲つ事で粘り、戦闘は継続する。形を変えども魄柱の機能は未だ健在。
GM:そして、その間にもさらなる加勢が到着している。
"バース"戦闘部隊A:「俺達が動きを抑える。その間に、お前らの全力叩き込め!」
"バース"戦闘部隊A:数人のバロール系能力者が、各々の魔眼を走らせる。狙いはこの状況で一人、決着のための一撃を狙って脚を止めている男。亜藤へと。
"バース"戦闘部隊B:「っ……任せろ!」眼前の巨人に慄き、僅かに脚を止めつつも。すぐに臨戦態勢を取る。
亜藤 蘭介:「─────っ」内心で舌を打つ。己の力が最適に至るまではあと僅か。
亜藤 蘭介:其れ迄で、凌げるか。
永良ゆづり:「……っ」弾丸に込めた白煙の残量は僅か。全ては防ぎきれない。
永良ゆづり:僅かな逡巡のち、神経を犯し狂わせる魔眼の群れへと、白き影が流れていく。
永良ゆづり:魔眼の稼働に伴うレネゲイド反応の余波を火種に、発火。その役目を十全に果たすことなく、レネゲイドを焦がしていく。
永良ゆづり:────それで、使い切り。
亜藤 蘭介:「(永良─────!)」
"バース"戦闘部隊B:巨人の戦闘に巻き添えを食わないよう、距離を取ったまま、各々に狙いを付けている。
亜藤 蘭介:幾度にも渡る献身。それが戦術故の。彼女の戦いに臨む決意の表れだとしても。
"バース"戦闘部隊B:ロングバレルめいて直線形の領域展開。過剰に電気伝導性の高まった空間の上へ、電撃を疾らせる。
"バース"戦闘部隊B:閃光が炸裂する。それと同時、亜藤の手脚を襲う鈍い重圧。
"バース"戦闘部隊B:頭上に生成された空気圧の操作領域。気体そのものの重量を肥大化させている。
亜藤 蘭介:その金色に煌めく髪と、赤い眼を見る度に。決して拭えない、過去の悔恨で。胸が張り裂けそうになる。
亜藤 蘭介:「ぐっ、が──────!」
"バース"戦闘部隊B:そのまま、その領域が亜藤の身体へ被さるように"降りて"くる。無形の圧力が四肢を軋ませ、装甲を捩じ切る。
亜藤 蘭介:全身に走る激痛。服の内に纏った防具ごと、体内の骨も。その全てがひしゃげ、歪んで。
亜藤 蘭介:糸の切れた人形のように地に伏せる。
亜藤 蘭介:「ぐっ、む……」
亜藤 蘭介:荒い呼吸。節々が稼働する、最小限のレネゲイドで体内を修復させて。
亜藤 蘭介:男は立ち上がる。
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「"間に合った"」

GM:イニシアチブ5。亜藤さんの手番。
亜藤 蘭介:はい。
亜藤 蘭介:マイナーでジェネシフト。
亜藤 蘭介:98+1d10
DoubleCross : (98+1D10) → 98+1[1] → 99

亜藤 蘭介:フフ…
亜藤 蘭介:これもまた運命…
GM:いちおう砂の加護とかはオートなので即時侵蝕上がるよ
亜藤 蘭介:あっそっか
亜藤 蘭介:まあでもそのままで…
亜藤 蘭介:メジャー、コンボ:"Doislash"。《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》+《砂塵霊》+《ドッペルゲンガー》
亜藤 蘭介:対象は水上ケイ。
羽海束沙:支援いります?
亜藤 蘭介:羽海さんのおねがいします!
羽海束沙:どうぞ。ダイスと攻撃力を増やしておいてね
亜藤 蘭介:いつもすまないねえ…
亜藤 蘭介:26dx7+6
DoubleCross : (26DX7+6) → 10[1,2,2,2,2,3,3,3,4,4,5,6,6,7,7,7,7,7,8,8,9,9,10,10,10,10]+10[2,2,2,2,3,3,4,5,7,7,8,8,8]+4[1,2,3,4,4]+6 → 30

亜藤 蘭介:ひっく!
亜藤 蘭介:ガード不可!
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:《竜鱗》で受けます。
亜藤 蘭介:ダメージ判定にうつります。
久遠仁:ダメージ前に
久遠仁:《餓狼の爪》
亜藤 蘭介:わぁい!
久遠仁:攻撃力+30してください
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を3増加 (101 → 104)
亜藤 蘭介:固定値がすごい ではダメージ。
亜藤 蘭介:4d10+40+10+30
DoubleCross : (4D10+40+10+30) → 14[1,7,1,5]+40+10+30 → 94

亜藤 蘭介:装甲無視。
GM:えーと
GM:ううーん……
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:2点超過。戦闘不能
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:復活もありません。
亜藤 蘭介:やった~!!
亜藤 蘭介:では演出。

亜藤 蘭介:「水上ケイ」
亜藤 蘭介:変貌を遂げた巨躯を見上げながら、言葉を紡ぐ。
亜藤 蘭介:「その齢にして、並の攻撃を歯牙にもかけん強靭さ」
亜藤 蘭介:「想像だに出来んタフネス。飽くなき強さへの探究心から成る、見紛うばかりの成長性」
亜藤 蘭介:「あらゆる環境に対応する適応性。どれも目を見張らんばかりのものだ」
亜藤 蘭介:己が内の領域を操作し、生物の身体構造を書き換え。極限までに自己の成長を促す─────。
亜藤 蘭介:"ヴィローシャナ"が渇望した領域には至っていないものの。
亜藤 蘭介:既に"バース"の上位ナンバーは。誰もかもが通常のオーヴァードとは一線を画している。
亜藤 蘭介:しかし。
亜藤 蘭介:「それが、どうした」
亜藤 蘭介:「今例に挙げた全て。それのどれもこれも。お前の強さを支えている、一端に過ぎない」
亜藤 蘭介:「お前の、強さの根幹は」
亜藤 蘭介:「"間に合わなかった"己への悔恨、妄念」
亜藤 蘭介:「二度と大切なモノを奪われまいと己が敵に立ち向かう、決して揺らぐことのない、意志の強さに他ならない」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:静かに、その声の主を睨み下ろす。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「誰だって、そうだろうが。強さそのものは、どこまで行っても手段でしかねえ」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「違いない。俺の力は、ここにある命は。仲間を守るためにある」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……テメェは、どうなんだ。亜藤」
亜藤 蘭介:「……くくっ」
亜藤 蘭介:心底可笑しそうに笑って。
亜藤 蘭介:やはり、この男とは。気が合う。
亜藤 蘭介:故に。気に食わんのだ。
亜藤 蘭介:「俺は────」
亜藤 蘭介:「音すらも置き去りにする、迷いなき神速の刃も」
亜藤 蘭介:「目を疑わんばかりの技量から為される、攻防一体の白煙も」
亜藤 蘭介:「幾星霜も経て培われた、卓越したレネゲイドコントロールによる義憤の血炎も」
亜藤 蘭介:「何一つとして、持ち得ないが」
亜藤 蘭介:「仲間を。大切な命を。"本物を"」
亜藤 蘭介:目の前で失った妹が、己を庇って死した意味。今際の際に託された想いを。
亜藤 蘭介:変わり果て、異形の化性と化した己が生涯で唯一の好敵手。友と交わした約束を。
亜藤 蘭介:「他者のそれを踏み躙り。己が領域だと謳う輩に」
亜藤 蘭介:「絶対に負けてなるものかという、子供じみた反骨心だけは」
亜藤 蘭介:「人一倍だ」
亜藤 蘭介:その眼に炎が宿る。
亜藤 蘭介:かつてない規模の能力行使になるだろう。
亜藤 蘭介:身が張り裂かんばかりに極限まで凝縮し、研ぎ澄まされたレネゲイド。大気が揺れる。
亜藤 蘭介:『行くぜ。ランク2位』
亜藤 蘭介:『下剋上される準備は出来たか?』
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「……はっ。"本物"が、そんなに偉いかよ」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:息を吐く。十二の拳を握り固める。地が震え空が張り詰めるのは、眼前の矮小なる影を敵と認識しているが故に。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「"下剋上"か。そいつを口にするのは何度目だ?」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「テメェの口先は聞き飽きた」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「力づくで示してみろ」
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「今度は──ハンデはなしだ」
亜藤 蘭介:行くぞ。
亜藤 蘭介:呟いた言葉と共に。傍らの分体に向かって、無造作に腕を振るう。
亜藤 蘭介:開戦の火蓋を、斬って落とすように。
亜藤 蘭介:ぼんっ、という耳を劈くほどの破裂音。砕ける分体、爆風と共に舞い上がる土煙。
亜藤 蘭介:煙幕のように蘭介の姿がかき消えて。
亜藤 蘭介:間髪入れずに飛び出した複数の影が。怪樹と化した標的目掛け殺到する。
亜藤 蘭介:その数、左右に六、合わせて十二体。
亜藤 蘭介:身体の周囲舞う砂塵を足場に宙を駆けていき。
亜藤 蘭介:強蔦で編まれた複腕狙って、次々と斬りかかる。
羽海束沙:その動きを見ると同時、一瞬の演算。一射につき3万7千の射撃経路から、"最大の成果"を得るものを選び取る。
羽海束沙:立て続けに銃声。巨人と斬り結ぶその影へと伸ばされる蔓を撃ち落とし、あるいは巨腕の関節に鉛を食い込ませ動きを鈍らせる。
久遠仁:羽海の銃弾で動きを鈍らせたその巨体、その手足に、文字通りの瞬きの間に絡みついているものがある。
久遠仁:どこかの建築現場から調達したのか、硬質のワイヤーが幾本も結ばれて、その腕、その脚を縛り付けている。
久遠仁:伸びる先、巨体を縫い留める楔の役割を果たすのは──地上8階、地下5階の建造物。
久遠仁:戦場のすぐ傍らに聳える、かつての“アモーガ”セルの拠点。トチノ薬品ビル。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:腱を断たれ、肉を抉られながらも尚、それは必要な対価であると割り切っている。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:後退することはない──すれば押し切られると、戦闘勘が告げている。何より、
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:この樹(からだ)を守る事こそが仲間の守護に繋がるのであれば、この男は迎え撃つ他にない。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:懐に飛び込んだ十二の影へと繰り出す。掴み•千切り•殴り•引き裂き、千変にして防御不可能なる殺傷。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:一つ、また一つと塵へと還る──そう、塵だ。"本体"ではない。
亜藤 蘭介:あるいは、圧殺され。あるいは、身が千切れ。あるいは、殴殺され。あるいは、引き裂かれ。
亜藤 蘭介:あるいは、そう。
亜藤 蘭介:生物の身体構造に人一倍精通している、水上であれば。瞬く間に、その結論に至るだろう。
亜藤 蘭介:びきりとひび割れ崩れていく総数十六にも上る亜藤蘭介。その男の全てが。
亜藤 蘭介:"分体"であることに。

亜藤 蘭介:薄く、微かに。
亜藤 蘭介:白煙がたなびいた。

亜藤 蘭介:《炎の理》

亜藤 蘭介:分体が宿す紅の眼光が。巨人の視界全てを覆わんばかりに発光。
亜藤 蘭介:砕けたその身から吐き出される豪炎が。硬質のワイヤーを伝い、波のように広がって。瞬く間に巨人を包む。
亜藤 蘭介:瞬間。宙を舞い、粒子となった土塊を足場に、空を昇るように駆けていく双影。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:「──!」
亜藤 蘭介:姿形瓜二つの男が。両手に握った刃を天へと翳して。
亜藤 蘭介:その間にも炎は踊る。我先へと侵攻するのは、巨躯の内。
亜藤 蘭介:久遠仁が幾重にも刻んだ刃創から。穂村姫乃の血炎再生によりに破壊された指先の細胞から。
亜藤 蘭介:亜藤蘭介が命を削り生み出した魂の焔が。"人"と"魂柱"の混成態。その巨木すべてを焼き尽くさんとする。

亜藤 蘭介:同時に。
亜藤 蘭介:精神に強く干渉する魄柱と一体化した水上ケイの自意識へと奥深く流れ込むのは、亜藤蘭介の想い。
亜藤 蘭介:混ざり合い、二人の男を繋いだ、追想の陽炎。

亜藤 蘭介:男たちの姿が揺れる。

亜藤 蘭介:それは。
亜藤 蘭介:背伸びした言動で、兄たらんと胸を張る少年と、慈愛を帯びた目で兄を見る少女。

亜藤 蘭介:あるいは。
亜藤 蘭介:安らかな目で妹の寝顔を見る少年と。兄の背に寄り添い眠る少女。

亜藤 蘭介:あるいは。
亜藤 蘭介:何もかもを失っても、あの頃と変わらない笑みで剣を握る男と。姿形さえ変貌を遂げても、あの頃と変わらない笑みで拳を握る男。

亜藤 蘭介:あるいは。
亜藤 蘭介:敗北を喫し、悔しみを露わにする男と。朗らかながらも強かに笑い、手を差し伸べる男。

亜藤 蘭介:────あるいは。
亜藤 蘭介:くだらない冗談を言い合って、共に飯を食い。
亜藤 蘭介:馬鹿な話で盛り上がる、男と男の姿。

亜藤 蘭介:それは苦しく。疎ましく。
亜藤 蘭介:この生命尽き果てるまで、俺たちを苛む呪いの記憶にして。

亜藤 蘭介:しかしそれでも尚。
亜藤 蘭介:輝かんばかりに青かった、俺たちの記憶。

亜藤 蘭介:本来であれば。北条サイカのような、記憶に干渉する能力を亜藤蘭介は持ち得ていない。
亜藤 蘭介:故に、これは。
亜藤 蘭介:周囲を揺蕩う、過剰なまでに蔓延した質、量、共に多大なレネゲイド。
亜藤 蘭介:極限までに活性化させたレネゲイドと命を薪に。生み出した亜藤蘭介の炎。
亜藤 蘭介:強い精神の干渉能力を有するEXレネゲイド、そのものと一体化した水上ケイ。
亜藤 蘭介:"サンディーヴァ"が掛けた記憶の枷の残滓。
亜藤 蘭介:数多のレネゲイドが影響し合い、奇跡のような確率で。
亜藤 蘭介:一時の間、お互いの心の根と根が繋がっただけ。

亜藤 蘭介:だからこれは。
亜藤 蘭介:束の間の夢。触れれば消える、泡影のような夢幻。
亜藤 蘭介:だけどこれは。
亜藤 蘭介:狂おしく、愛おしい程に魂を焦がす、この想いは。

亜藤 蘭介:「偽物なんかじゃない」
亜藤 蘭介:俺にとって。お前にとって。
亜藤 蘭介:紛れもなく──────────。
亜藤 蘭介:「本物だ」

亜藤 蘭介:青い夢幻と紅蓮の炎を切り裂いて。不屈の紫炎が刃に灯る。
亜藤 蘭介:刀身の先へ、先へと。柄を握りしめた手が焼かれんばかりに勢いを増すそれが。
亜藤 蘭介:真昼のように夜空を照らす。
亜藤 蘭介:確信めいた直感。
亜藤 蘭介:巨人にして、人魄柱混成態。狙うべくは。久遠仁が貫いた、その胸部。
亜藤 蘭介:奴の意識の源にして。力の核、その中心。
亜藤 蘭介:「───お」
亜藤 蘭介:残火が宙に二本の轍を描く。
亜藤 蘭介:「おおおぉおおぉおあああああぁあぁッ!!!!」
亜藤 蘭介:獣の様に咆哮を上げた男の命燃ゆ、渾身の"鋏撃(Doislash)"が。
亜藤 蘭介:翡翠色の甲皮を。怪樹の幹を。
亜藤 蘭介:"敵(とも)"の意志を。その全てを両断せんと放たれた。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:──分身だらけの揺動。直後に本命の一撃が来ることは分かっていた。故に、十分な警戒はしていた。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:久遠仁のように、対処不可能な速度がある訳でもない。それでも尚、その一撃に応じる事ができなかったのは。
人魄柱混成態アースリー・ケイヴ:僅かに一瞬。その気魄に、己が呑まれたからか。あるいは
水上ケイ:「──気が合うな」
水上ケイ:言っただろう。この世界で仲間達と共に過ごした時間は、そこで感じた想いは、俺にとっては本物だった。
水上ケイ:だから、お前もそうなんだよ。亜藤。
水上ケイ:決めたはずの覚悟が、僅かに緩んだ。思ってしまったんだ。俺は──
水上ケイ:──仲間を守るために身に着けた力の筈なのに
水上ケイ:どうして俺は、"仲間"と戦っているんだろうかと。
水上ケイ:「……っ、は。我ながら」
水上ケイ:「なんて、甘っちょろい……」
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「馬鹿野郎」
亜藤 蘭介:「甘いんじゃない」
亜藤 蘭介:震える唇で、ぽつりと零す。
亜藤 蘭介:顔に似合わねえくせに。
亜藤 蘭介:「優しいんだよ、お前」
GM:……巨木が、火焔と共に燃え落ちていく。
GM:そこより引き剥がされた青年の身体もまた、静かに崩れ落ちて。
GM:水上ケイという男の魂は、既にそこにはない。

GM:戦闘勝利条件を達成しました。
GM:前回同様、戦闘終了条件は「”ビー”のNPCカードの効果①を使用すること」となっています。
GM:まだエネミー自体は残っているため、戦闘を続行する事は可能です。
亜藤 蘭介:"ビー"のNPCカード①の効果の使用を宣言します。
GM:了解。では、これにてミドル戦闘2を終了します。

GM:シーンカット。ロイスのみ可能です。
穂村 姫乃:保留なので以上!
永良ゆづり:保留、以上!
亜藤 蘭介:保留します。以上!
久遠仁:保留で以上!
亜藤 蘭介:あ、
亜藤 蘭介:すみません攻撃時の侵蝕上げるの忘れてたので今上げちゃいますね。すみません。
亜藤 蘭介:永良ゆづりの侵蝕率を15(→ 15)増加 (102 → 117)
GM:あ、了解です。どうぞ
亜藤 蘭介:あっ!ごめん!
GM:永良さんのあげちゃった
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を15(→ 15)増加 (98 → 113)
亜藤 蘭介:こう!
GM:オッケ~
GM:では進行。

◆Masterscene04:せかいのうらがわ◆

GM:──またしても君達は、夢を見る。
GM:自分ではない誰かの人生を。否、かの少女の過去を。
GM:遠いスクリーンに映し出された、映画の中の出来事のように。
GM
 :──いつもより、梅雨入りの早い年だった。
 :その日も朝からずっと、細かな雨がやまずに降っていた。
 :お母さんが病気で倒れて数日が経った頃の事だ。
 :あたしはお父さんに招かれて、リビングでとある訪問者の話を聞いていた。
 :なんでも、お母さんの病気に関するとても大切な話があるのだというから
 :あたしも、子供なりに懸命に集中して耳を傾けていた。
医師:「──新種のウイルスなのです。レネゲイドウイルス、と呼ばれております」
 :お父さんが連れてきた学生時代の友人だという医師は、そんな聞き慣れない言葉を口にした。
 :そこから続く説明は、かなり荒唐無稽にも聞こえた。子供のあたしの耳にさえ。
 :人間を超人に変える病が、すでにこの世界に蔓延していること。
 :症状が進行すると理性が破壊されて、普通の人間のような社会生活を送れなくない存在──「ジャーム」と呼ばれる状態になってしまうこと。
 :……そして、お母さんももう。既に「ジャーム」になってしまっていること。
 :どこかまだ、それらの情報を現実として咀嚼しきれないまま
 :それでも集中を切らさないよう、あたしは神妙な顔をして頷いていた。
 :(お父さんは、どんな顔をしているのだろう)
 :ふとそう思って見上げると、じっと石像のように口元に手を置いて、険しい顔をしていた。
 :あたしも、それでなんだか不安になって、心臓のあたりがきゅっと縮まる思いがした。
医師:「……しかし、何より厄介なのは病そのもの以上に、この病を扱う社会の方です」
 :医師先生は、そんなことは気にせず話を続ける。
医師:「各国政府は、この病を『存在しないもの』として扱おうとしています」
医師:「発症者も、それを知る者も皆。事故に見せかけて世界から抹消されるのです」
医師:「……現に、おかしいとは思いませんか?このような病は」
医師:「誰か一人でも発症した時点で、普通なら大きなニュースになるはずだ」
お父さん:「……。どうして、そのような……」
医師:「一つには社会の混乱を防ぐため、でしょうか」
医師:「しかし何より、独占的に研究を行うためでしょうね。そうさせるだけの魅力というか……可能性がある力だ」
お父さん:「可能性って……人が、あんな風になってしまうようなウイルスであっても、ですか」
医師:「だからこそ、そこまでするのだとも言えましょう」
お父さん:「いや。それでも、ネットやメディアを通して告発すれば……」
医師:「……何度も、それを試みた者はいます」
医師:「実際に電波に乗せて放送した者も。ですが、全て『なかった』事になった」
お父さん:「……」
医師:「……どうしても、と言うならば」
医師:「試しに、どこかの匿名掲示板やSNSにでも書き込んでみるといいでしょう」
医師:「私の言った事が真実だと、すぐに証明できますよ。……絶対にお勧めはしませんがね」
お父さん:「……いや、分かった」
医師:「敵は、あまりにも強大です。……私どもも、この状況を覆せるとまでは思っていません」
医師:「医者として、我々にできることは」
医師:「治療によって症状を抑え込み、こうして先に真実を伝える事で……君達のような人々が、政府の手から守ることだと」
医師:「今は、そう考えています」
 :「……お母さんは」
 :重苦しくなっていく空気に耐えられず、ふと口を挟んでしまった。
 :「お母さんは、ちゃんと治るんでしょうか」
 :「その、ジャームっていうのになっても……」
 :「また、前みたいに、元気に……普通に……」
 :言いながら、目を伏せてしまった。
 :これまでの話の流れから、きっとその答えは芳しくないものであると分かっている。
 :……分かっていたのに、聞いてしまった。
 :案の定、医師先生は静かに首を振って。
医師:「今はまだ。……しかし、そのための研究を私達の組織は進めています」
医師:「監視者たちに見つからないよう、極秘裏に」
 :「……そう、ですか」
医師:「それと……辛い事だとは思いますが」
医師:「お母さんには、極力近づくことのないようにしてください」
医師:「今は幸い、安定していて積極的な害意もないようですが」
医師:「……人を襲わない保証はできません。たとえ家族であっても」
 :「……」
 :……言われなくても、あたしは怖くて近づけていなかった。あれから、一度も。
医師:「それに、ジャームには近づくだけで他者の精神を汚染する性質があります。つまり……」
医師:「無闇に接触を繰り返せば、お二方も清花さんと同じようになってしまうリスクがあります」
 :「……はい」
 :あたしは小さく頷いて、先生に間違いを正された生徒のように縮こまった。
 :頼れるはずの大人──お父さんにも、すごいお医者の先生でさえ、
 :お母さんの事は、どうにもできない問題なのだと分かった。
 :……だったら、あたしなんかに何ができるんだろう。
 :想像する。
 :このまま、お母さんは社会から隠れて、「化け物」として
 :あたしやお父さんと言葉を交わすことも許されまま、孤独に死んでいくのだろうかと。
 :そう思うと、胸にぽっかりと孔が開いたみたいで、
 :痛くて、息苦しくて、何もかもが淀んで見えた。
医師:「……もし、よろしければ。北条くん」
医師:「私達の研究活動を、支援してはいただけませんか」
 :お父さんはその提案に「分かりました、いいでしょう」と応じた。
 :快く、というよりは。他に縋る事のできるものもなかったから、なのだと思った。
 
 :それから一週間後。
 :お母さんは家を出て、あの医師先生の所属する研究機関に入院する事になった。
 :あたしは、お母さんが家からいなくなった事に少しだけ安心した。
 :それから、そんな自分が怖くて、憎らしくなって。一人でわんわんと泣いた。
 :お父さんは、前よりも家を空けることが多くなった。
 :仕事の他に、医師先生の研究機関を支援したり、お母さんの見舞いに行っていたり、
 :他にジャームを治療する方法がないか探していたりしていたようだ。
 :あたしは、うちに一人で居る事が多くなった。
 :お父さんは「ごめんね」と謝ってくれたけれど。文句なんて、言うはずもなかった。
 :あたしにできるのは結局、「良い子」でいる事だけなのだから。
 :お父さんの代わりに掃除と料理と選択を覚えて、学校でも良い成績を取った。
 :庭のアスチルベに水をやることも、ちゃんと忘れずにこなしていた。
 :……そうやって約束を守っていれば、いつか
 :お母さんが元気になって、うちに戻ってきてくれるんじゃないかと思ったから。
 
 :──医師先生の研究機関の実体が、「ギルド」と呼ばれる犯罪組織の一部門であった事をあたしが知ったのは
 :それから何年も後のこと。
 :あたしが全てを失って、UGNに保護された時だった。

◆Middle10:退避・リビング◆

GM:全員登場です。登場侵蝕と汚染上昇は不要です。


GM:──次に君達が目を覚ましたのは、どこかの洋館のリビングだ。
GM:何も映らない真っ暗なテレビの傍には、大きなソファが二つ、向かい合うように置かれている。
GM:窓の外にはしとしとと雨が降っているが、先程の廊下と同様に開くことはできない。
GM:値の張りそうなクロスのかけられたダイニングテーブルと、そこに備え付けられた椅子は
GM:君達が先程眼にした記憶夢の中で、北条親子と医師が会話していた場所と同じものだ。
”ビー”北条サイカ:「……ごめんなさい。また、不快なものを」
”ビー”北条サイカ:記憶の漏出を自分で抑えられないことに、やや憔悴した様子で。
久遠仁:「……」
久遠仁:今見たものを反芻するように、兜の内で黙り込んでいたが。
久遠仁:屈んで、その顔を覗き込むようにして。
久遠仁:「疲れたろう、北条」
久遠仁:表情は見えない。が、笑い掛けているのが分かる。
久遠仁:「囲まれて危ないところだった。お陰で助かったよ」
久遠仁:「ありがとう。今は……ゆっくり休んでくれ」
”ビー”北条サイカ:「それは……確かに、消耗はありますが」三度使えば限界を迎えるほどの力を、既に二度行使している。
”ビー”北条サイカ:「戦闘の時は、ほとんど巻き込まれない位置にいましたから。あたしよりも、皆さんの方がずっと……」
”ビー”北条サイカ:そうは言いつつも、ところどころ負傷はしている。あの戦闘規模からしてやむない事ではあるが。
亜藤 蘭介:床に片膝を立て座っていた男が、閉じていた目を開ける。
亜藤 蘭介:「残党を掃討する余力など、俺達には欠片も残されていなかった」
亜藤 蘭介:「……あともう少しだけ、力を貸してくれ。北条」
”ビー”北条サイカ:「……ええ、当然。いえ」安心させるように、どこか疲れた笑顔を作る。
”ビー”北条サイカ:「こちらこそ、です」
穂村 姫乃:「うむ。それにな、サイカ」
穂村 姫乃:「どちらがよりなどと話し始めればキリがない。何より、儂らが幾ら疲れておってもお主の疲れが消えるわけじゃなかろ?」
穂村 姫乃:「疲れたものは疲れた。休むべきときじゃから休む。それで良いんじゃって」
”ビー”北条サイカ:「えっと……じゃあ、皆で休みましょうってことで」
穂村 姫乃:うんうんと頷いて。
永良ゆづり:「……実際、今の所。私達は上手く事を進められてる」
永良ゆづり:「変に気を遣って、これから先に響いたら本末転倒だもの」
羽海束沙:「ええ。元よりこの人数で、援軍も望めない状況です」
羽海束沙:「無理をしないで、と常ならば言いたい所ですが。全員に無理を押し付ける必要がどうしても出てくる……」
羽海束沙:「……"ビー"。この場所は、あとどれくらい持ちそうですか」
”ビー”北条サイカ:「ん……」額に手を当てて、少し考え込んで。「さっきより短いかも。20分くらい、でしょうか」
久遠仁:「ふむ……一息くらいはつけるかな」
永良ゆづり:「……了解、十分よ」床に突っ伏したまま。先の戦闘で受けた肉体・神経の衰弱を若干引き摺っている。
羽海束沙:「まあ……あまり長い時間を休息に充てるのも、敵に猶予を与えることになりますからね」
穂村 姫乃:「うむ、了解した」
穂村 姫乃:「先と同じでそれぞれ散って休憩で良いな?」
亜藤 蘭介:表に出る疲労の色を隠せないまま呟く。「ああ」
亜藤 蘭介:「………あと、1本」

GM:では、ここで汚染値制御判定を行います。
GM:技能は《意志》《RC》《交渉》のいずれか。
GM:難易度は6です。君達に干渉する魄柱が減ったので、また少し難易度が下がっている。
亜藤 蘭介:オッ イイネ~
永良ゆづり:5dx+2>=6 《意志》一品ケット
DoubleCross : (5DX10+2>=6) → 9[3,4,6,7,9]+2 → 11 → 成功

亜藤 蘭介:あっじゃあ
穂村 姫乃:RCで判定
亜藤 蘭介:仁さんに加護打ちます
亜藤 蘭介:+4どうぞ
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (113 → 116)
穂村 姫乃:3dx+14>=6
DoubleCross : (3DX10+14>=6) → 7[1,4,7]+14 → 21 → 成功

久遠仁:ありがとうございます~~
久遠仁:9DX>=6 交渉
DoubleCross : (9DX10>=6) → 10[1,1,5,5,7,9,9,10,10]+9[3,9] → 19 → 成功

亜藤 蘭介:4dx+4>=6 思い出ブランケット
DoubleCross : (4DX10+4>=6) → 10[1,2,9,10]+7[7]+4 → 21 → 成功

GM:みんなあぶなげないぜ
GM:では制御値の計算
GM:汚染値制御判定に成功する……成功したので1点
GM:夢骸体のオーヴァードおよび洗脳オーヴァードを倒す(自分の手でHPを0にする必要はなく、同シーンで戦闘不能になることを確認すればOK)……水上ひとりで2点
GM:魄柱を破壊する……破壊したので2点
GM:偽ハンドアウトに記載されたシナリオロイスを倒す(同上)……亜藤さんだけ2点
GM:となるため
GM:亜藤さんは7点、他の3人は5点です。それぞれこの数値分の汚染値を下げてください
GM:また、同じ数だけD10ダイスを振って侵蝕を下げることができます。
亜藤 蘭介:汚染値8-7=1
永良ゆづり:10-5=5!
亜藤 蘭介:116-7d10
DoubleCross : (116-7D10) → 116-37[7,6,8,2,2,5,7] → 79

久遠仁:汚染値6>1
永良ゆづり:102-5d10
DoubleCross : (102-5D10) → 102-32[10,10,2,7,3] → 70

穂村 姫乃:12から5引いて7
穂村 姫乃:73-5d10
DoubleCross : (73-5D10) → 73-24[2,8,5,6,3] → 49

久遠仁:104-5D10 侵蝕率
DoubleCross : (104-5D10) → 104-25[10,9,1,4,1] → 79

久遠仁:流石に上がってきたな……
GM:流石にね

穂村 姫乃:リビングの端、窓の手前に陣取る。
穂村 姫乃:止まぬ雨をぼんやりと見ながらポーチからひどく古い煙管を取り出し――。
穂村 姫乃:(いや、窓が開けられないなら止めた方が良いか)
穂村 姫乃:思い当ってしまい直す。つい癖で吸おうとしてしまった。
穂村 姫乃:過去について思い返すとき。一人で思索に耽るとき。そう言ったときにこの煙管を吹かすと不思議と落ちつくのである。
穂村 姫乃:とはいえ吸えないものは仕方ない。代わりのように腕を組み、瞼を閉じる。
穂村 姫乃:―――
穂村 姫乃:この煙管を手にしたのも今となってはもう二百年は昔のことだ。
穂村 姫乃:とある宿屋で酒を飲んでいたそのときに、偶然同席した旅人。名は良英。
穂村 姫乃:酒が入っていたのもあってかやたらとウマが合い、話の流れで賭けをした。
穂村 姫乃:勝ったものが相手の持ち物を一つ得る。それで勝ち取ったのがこの煙管だ。
穂村 姫乃:悔しがりながらも持っていきやがれと笑った顔をよく覚えている。
穂村 姫乃:―――
穂村 姫乃:もう一人煙管ですぐに思い浮かぶ顔がある。いつぞや気紛れで入り込んだ花街の下働きのお美代だ。
穂村 姫乃:遊女たちが持つ喧嘩煙管を羨んで、この煙管をくれないかと強請られた。
穂村 姫乃:思い出の品だからと断ると唇を尖らせて、代わりになるかは分からんがと渡したお守りを渋々受け取った。
穂村 姫乃:文句を垂れていた割に、自身の知らぬ土地で作られたそれを見る口元が緩んでいたのをよく覚えている。
穂村 姫乃:―――
穂村 姫乃:そのお守りを買ったのは確か陸奥を巡った頃。山奥の村に唯一の古びた神社でのこと。
穂村 姫乃:一人でそこを守っているという神主の与吉もまた老いた男だった。まさしく好々爺という穏やかな笑顔を浮かべていた。
穂村 姫乃:自身の神社を思いだしたのもあってなんだか放っておけず。銭をはたいて賽銭を投げ込みお守りを買った。
穂村 姫乃:旅の身だというのにご無理をなさるなとこちらを気遣う言葉をよく覚えている。
穂村 姫乃:―――
穂村 姫乃:神と言えばでいつかの些細な悪戯と少女を思いだす。あれは大和の南の方だったか。
穂村 姫乃:通りすがりの子供らが旅人を珍しがって集るので、実は儂は神様なんじゃよと明かして見せたとき。
穂村 姫乃:嘘つけと笑う子供らの中で、一人だけその言葉を信じた娘が居た。周りからははなと呼ばれていた。
穂村 姫乃:その純粋さが愛らしいからと村を出る前に内緒で火を使う姿を見せてやった。
穂村 姫乃:怖がるでもなく目をキラキラと輝かせる様をよく覚えている。
穂村 姫乃:―――
穂村 姫乃:少女の姿に重なるように思いだす姿がある。そちらもまた少女で、だけどまだほんの数十年の記憶。
穂村 姫乃:退魔を生業とする鞍馬の家の出の癖に、退治に来たはずの儂と意気投合して任務を放り出して。
穂村 姫乃:家の愚痴やら親の愚痴やら、あるいは遊びや日常への憧れとか。幾つも取り留めなく話をした。
穂村 姫乃:そこらの少女と何も変わらない、あどけなさの滲む横顔をよく覚えている。
穂村 姫乃:―――
穂村 姫乃:覚えている。覚えているとも。この長き旅路で関わってきた愛しき彼ら彼女らを。
穂村 姫乃:かつて確かに結ばれた絆。穂村姫乃を穂村姫乃たらしめる楔。数百に上る旧友達の記憶。
穂村 姫乃:ああ、だけど。
穂村 姫乃:ただの挨拶でなく。叶わぬと承知の口約束でなく。あるいは優しいつもりの嘘でなく。
穂村 姫乃:『またな』と口にしたことなど会っただろうか。
穂村 姫乃:……思い返すまでもなく、そんな記憶は何処にもない。
穂村 姫乃:時が経てども老いぬ不老の身だ。それ故に狙われる身だ。流れ続ける旅の身だ。
穂村 姫乃:再会など、心のどこかでほんの少し望むだけのものだった。誓うようなものではなかった。
穂村 姫乃:「ああ、全く」
穂村 姫乃:ふと開いた眼に、並んだ二匹の兎が映る。
穂村 姫乃:「友達甲斐があるのはお主の方じゃろ」
穂村 姫乃:ゲーセンで笑っていた顔を、彼女に勝ちたいとそう吠えた顔を、またねと誓いあったあの顔を。
穂村 姫乃:覚えていよう。再び会えるその時まで。

GM:---
GM:5年前 UGN傘下某病院R棟
GM:---
GM:北条邸での事件より数日。久遠仁は、事件の後始末や犯人の操作などに手を尽くしていたが
GM:あの時に救い出した少女が快復し、眼を覚ましたと聞いて。任務を中断、その病室を訪れていた。
北条サイカ:「……」どこかやつれた雰囲気の女の子。白い入院衣を着て、ベッドの上に横たわっている。
北条サイカ:オーヴァードの治癒力によって身体はすっかり快復しているように見えるが、視線はどこか虚ろだ。
久遠仁:病室のドアがゆっくりと2回ノックされて、長身の男──否、少年が入室してくる。
久遠仁:「おや……起きてたかい? お邪魔するよ」
北条サイカ:「あ……おはよう、ございます?」ぼんやりした様子でそう応じて。
久遠仁:常に着けている騎士甲冑めいたマスクを外し、素顔を晒している。
北条サイカ:「……じゃ、なかった。もうお昼……」傍らの時計を見る。
久遠仁:「そうさなあ。もうそれくらいの時間だ」笑って
久遠仁:「もうご飯は食べたかい」
北条サイカ:「いえ……」ゆっくり首を振る。
久遠仁:「そうか……それじゃあ腹が空くだろう」
久遠仁:「どれ、見ててご覧」
北条サイカ:「……?」
久遠仁:ベッドの隣、来客用の椅子に腰を下ろし、少女の前に手を差し出す。
久遠仁:何も握られていない。空手だ。
北条サイカ:じっとそれを見ている。
久遠仁:「1、2、3」
久遠仁:パッと、少女が見守る中、突然手の中に棒付きのキャンディーが現れる。
北条サイカ:「ひゃっ」
北条サイカ:眼をぱちくりとする。「すごい……手品師さんなんですか?」
久遠仁:「いやァ、そんな大層なもんじゃあないさ」
久遠仁:種のある手品ですらない、ただ超高速の手技だ。だからこそ、見破られることもないのだが。
北条サイカ:「あっ、いや」こほんと咳払いをする。「いきなりお仕事のことを訊くのは失礼なんでした。ごめんなさい」
久遠仁:「看護師さんには内緒だぜ」そう言って飴を手渡す。
北条サイカ:「あ、そんな……」受け取って良いのかな、という顔をしながら手に取る。
久遠仁:(良く躾を受けてるらしいな……)大きな邸宅のことを思い出し。
久遠仁:「挨拶が遅れたね。俺は久遠仁」
北条サイカ:「あっ。あたしは、北条サイカっていいます」
北条サイカ:「それで……ええと」
北条サイカ:少し言葉を迷ってから。
北条サイカ:「……もしかして、なんですけど」
北条サイカ:「貴方が、あたしのこと助けてくれたんですか?」
久遠仁:「うん?……誰かから、そう聞いたかい?」
北条サイカ:「いえ……そういう訳じゃ、ないんですけど」
北条サイカ:「すごく痛くて苦しい目に遭って、このまま死ぬんだな、って思った時に」
北条サイカ:「あたしのこと抱きしめて、声をかけてくれた人がいたのを……覚えてて」
北条サイカ:「だから、声を聴いて、そうかな?って……」
北条サイカ:「あ、その。勘違いだったらすみません、急に変なこと言って……」自信なさげにそう話してから。どうにも恥ずかしくなってきた様子で。
久遠仁:「ふむ……」顎に手をやり、少しだけどう答えるべきか考えて。
久遠仁:「……いや、勘違いじゃないさ」
久遠仁:「確かにそれは俺だよ。……と言っても、別に恩義に思う必要なんて無いからな」
久遠仁:「……あー……分かりづらいな。つまり……」
久遠仁:「気にしなくていいってことさ。あの場に居たのが誰でも、きっと同じことをしただろうさ」
北条サイカ:「んん……?」どこか釈然としない様子で首を捻って。「だとしても、ありがとうございます」
久遠仁:「うん……どういたしまして、かな」深刻になりすぎないように笑って
北条サイカ:「……居合わせた、ってことは」
北条サイカ:「その……知ってるんですか? あたしのうちで、何があったのか」
北条サイカ:「実を言うと、その……あたしはあんまり、はっきり覚えていなくて」
久遠仁:「……」
久遠仁:記憶が混乱しているとは聞いていたが、本当に何も覚えていないのか。
久遠仁:「そうだな……」
久遠仁:「……ああ。知っているよ」
北条サイカ:「……あたし。目が覚めたとき、喉が渇いてて」
北条サイカ:「看護師さんに言って、お水をいただいたんです」
北条サイカ:「透明な、ガラスのグラスだったんですけど」
北条サイカ:「……握った時に、うっかり割ってしまいました」
北条サイカ:「"落とした"んじゃないんです。ただ"握った"だけ」
北条サイカ:「あたしの身体、おかしくなってるんですよね……?」
北条サイカ:「……分かるんです。普通にしていても」
北条サイカ:「自分の身体の中に、変な力が湧いてきてること」
北条サイカ:「それに……あたしがこんな風になってても、お父さんとお母さんは」
北条サイカ:「お見舞いにも来てくれてない」
北条サイカ:「……教えて、ください。知っているのなら」
久遠仁:「……。……そうさな……」
北条サイカ:伏せがちに碧い眼を君へと向ける。諦観と恐怖と、僅かな期待が入り混じったような色。
久遠仁:掌を組んで、じっと目を合わせて。
久遠仁:「体質……って分かるかい?」病気という言葉を避けて
北条サイカ:「アレルギーとかそういうの、ですか」
久遠仁:「おや、詳しいね。でも、もっと広く……背が高いとか、低いとか。力が強いとか、脚が速いとか、そういう色んな人がいるだろう?」
北条サイカ:「それは……確かに、あたしも運動は得意な方でしたけど」
北条サイカ:「そういうレベルのことなんでしょうか……」
久遠仁:「『俺たち』はそういう、普通にない力が出せる体質なんだ」
久遠仁:「君だけじゃない。実は俺もそうでね。他にもそういう人は沢山いるんだ」
北条サイカ:「……そんな、体質が」
北条サイカ:実のところ、ずっと前にそれに近い話を聞いてはいるのだが。
久遠仁:「ああ。格好良くないかい?アニメとか漫画の主人公みたいでさ」不安を与えぬよう、軽い調子を作って言う。
北条サイカ:初めて聞いたという顔をする。暴走と両親の喪失に伴う過剰なストレスから、母のジャーム化やそれによって崩壊していった家庭のこと──自身を苛むものに関する記憶を失っている。
北条サイカ:「超人……みたいなやつですか」
北条サイカ:自分の知る幾つかのアニメや漫画を思い浮かべながら。「本当にあるんですね、そんなこと……」
久遠仁:「そうとも。炎を出したり、空を飛んだりできる人もいるんだぜ」
久遠仁:「そういう人たちが集まって、力の使い方を訓練もしてる」
久遠仁:「君も色々と教わることになるだろうから、何も心配することは無いよ」
北条サイカ:「でも、ニュースなんかでそんな話聞いたことありませんけど……」
久遠仁:「そりゃあ、秘密の話だからな。ヒーローって、そういうものだろう?」
北条サイカ:自分の手の指を握ったり開いたりしている。力の具合を確かめるように。
久遠仁:「君も、秘密にしてくれよな」人差し指を口に当てる。
北条サイカ:「ああ……じゃあ、久遠さんもヒーローなんですね」
北条サイカ:「ん、分かりました。誰かに言ったりしません」
久遠仁:「んん……まあ、そういうことになるのかな……」少し困ったような、面映ゆそうな様子で。
久遠仁:「ああ、いい子だ。頼むよ」
久遠仁:「ただ……」
久遠仁:「この力は、いい人だけが使えるわけじゃないんだ」
久遠仁:「悪い奴らも、この力を悪いことに利用しようとしてる」
久遠仁:「……君のお父さんとお母さんは、そういう奴らに狙われたんだ」
北条サイカ:「……」
北条サイカ:「……もう、いないんですか」
久遠仁:「……」
久遠仁:「ああ」
久遠仁:誤魔化さず口にする。
北条サイカ:「……そっか」
北条サイカ:「そう、なんだ……」
久遠仁:「すまない」
久遠仁:「俺が、助けるのが間に合わなかった」
北条サイカ:「っ、う"……ううっ」
北条サイカ:涙声で声を漏らす。抱き寄せたシーツに顔を埋める。
北条サイカ:「あやまら、ないで……っ」
久遠仁:何も言わず、ただ寄り添うように、その小さな頭を大きな掌で撫でる。
北条サイカ:「あ、あやまられても……あたし、いまっ」
北条サイカ:「いいよ、って言えない……からっ……」
久遠仁:「……それでいい」
久遠仁:「恨んでくれていいんだ」
久遠仁:「それでいいから、せめて」
久遠仁:「悲しみに押し潰されないでくれ」
北条サイカ:「いやなの」
北条サイカ:「貴方をそんな風に思うのは」
北条サイカ:「あたし、嫌だから……だから……」
北条サイカ:恩人を恨みたくはないけれど、「家族が死んでしまったけどいいよ」なんて口にできるはずもない。どっちも選べない。
北条サイカ:だから……どうすればいいんだろう。
久遠仁:「……そうか……」
久遠仁:「……なら、サイカちゃん」
久遠仁:「君は、強くなるしかない」
久遠仁:「何より残酷で、険しい道になるが……」
北条サイカ:「強く……」
久遠仁:「悲しみを抱えて、それを誰のせいにもせずに生きるには」
久遠仁:「君自身が強くなるしかないんだ」
北条サイカ:「……」
久遠仁:「君はもう、十分に傷ついた」
久遠仁:「前を向いて、立ち上がるのは難しいかもしれない」
久遠仁:「だが俺は……出来ることなら」
久遠仁:「君に、笑って生きていけるようになってほしい」
久遠仁:「その為なら……君がそれを望むなら。いや、望まなくとも」
久遠仁:「俺は、何だってする」
北条サイカ:「……どうして、そこまで」ぽつり、と零すように言う。
久遠仁:「……さて……どうしてだろうな」
久遠仁:この時にはまだ、その答えは見つかってはいなかった。
久遠仁:「ただ……君は今、こうして生きてる」
久遠仁:「せっかくなら、笑顔で……楽しんだほうが良いと思わないか?」
久遠仁:「今は難しくても、いつか……君が、そうなれるといいと俺は思う」
北条サイカ:「……」悲しみを誰のせいにもせずに生きる、という事は。
北条サイカ:「自分のせい」として引き受けるということなのだろう。
北条サイカ:「自分を恨んでくれていい」と言った彼は。あたしなんかには底も見えないくらい、優しくて強い人だ。
北条サイカ:その姿が、眩しさが。どこか寂しそうにも見えて。
北条サイカ:見えない所で沢山の痛みを抱えて、それでも笑っていられる人なのだろうと思って。
北条サイカ:あたしがいつか、この人に並ぶくらいに強くなれば
北条サイカ:その痛みを、少しくらい引き受けてあげられるのだろうか。
北条サイカ:……そんな風に考えたのは、実のところ優しさではなくて
北条サイカ:頼るものをなくした子供が、誰かと繋がりたいと思っただけの事なのかもしれないけれど。
北条サイカ:「……。考えてみます」
北条サイカ:ともあれ、それが最初の一歩だった。彼女がUGNチルドレンとして生きるようになった事の。

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:数年前 UGN支部事務棟裏
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永良ゆづり:等間隔で植えられた木々の一つに、凭れ掛かる様に立っている。
永良ゆづり:「…………」ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
永良ゆづり:偶然見つけたにしては、とてもよく出来た"隠れ処"だ。隣接する建物に窓も少なく、大人達から滅多に見つからない。
永良ゆづり:窄めるように口に咥え、手で覆う。すると忽ちに白い煙が伸び、生い茂る木の葉をすり抜けていく。
羽海束沙:「……貴方。何をしているんですか」
羽海束沙:いつの間にか君の後ろに立っている。冷え冷えとして、咎めるような口調。
羽海束沙:四角い銀縁眼鏡をかけた、目つきのきつい少女だ。
永良ゆづり:「!」不意に呼び掛けられ、肩をびくつかせる。
永良ゆづり:「……なに。何か用?」顔だけ振り向いて、淡々と返す。
羽海束沙:「……悪びれもしないんですね」少し呆れたようになって。
羽海束沙:「貴方、未成年でしょう。"スモークスタック"、永良ゆづり。20XX年生まれの15歳」
永良ゆづり:「そう、だけど。でも、貴女には関係ないんじゃない?」
永良ゆづり:咥えた白い棒を手に、口から白い息を漏らす。
羽海束沙:「っ、貴方ね……!」君の手からその棒を引ったくる。
永良ゆづり:「っと」
羽海束沙:「裏の仕事してるうちに、遵法精神までなくしちゃったタイプなわけ?」
羽海束沙:「そりゃ、私達。必要に迫られてそういう手段を取ることはあるけれど」
羽海束沙:「だからって、未成年喫煙だなんて……」
羽海束沙:「大体、どこで買ったんですか、これ。年齢認証は?」
永良ゆづり:「駄菓子屋」
羽海束沙:「はあ? ふざけたこと……」
永良ゆづり:「その棒、よく見てみて」
永良ゆづり:「よく出来てるでしょう。ココアシガレットっていうんだけど」
羽海束沙:「……えっ」
永良ゆづり:ポケットから小さな紺色の箱を取り出す。知る人ぞ知る、シンプルで馴染み深いパッケージ。
永良ゆづり:「ええっと、年齢認証いるっけ。お菓子って」
羽海束沙:「…………」
羽海束沙:「そう……お菓子だったのね」
羽海束沙:「いえ……ごめんなさい。私の早とちりだったわ」
羽海束沙:ほのかに赤面しながら頭を下げる。
永良ゆづり:「いや、いいよ。確かに紛らわしいから、こんな所で吸ってるだけだし……」
羽海束沙:「いえ。私こそ、強引に取り上げたりしたわけだし……」
永良ゆづり:「……というか。コードネームを知ってるなら、私の能力も知ってるんじゃ」二本目を口に咥える。
羽海束沙:「…………いや。待って」
羽海束沙:「そうよ。お菓子なら、なんで煙出てるの……?」
永良ゆづり:「……あ、知らないんだ」
羽海束沙:「能力って……貴方、いや」
羽海束沙:「煙が出るんでしょう? 想像はつくけれど……」
永良ゆづり:「そ。火のない所に煙を立たせることが出来る」
羽海束沙:「なんで出してるの……?」
羽海束沙:「紛らわしいって自分でも分かっているんでしょう……?」
永良ゆづり:「うん。だから、こそこそ隠れてやってる」
羽海束沙:「……待って。理解が追いつかない」
羽海束沙:こめかみに指を置いて、待ったのポーズ。
永良ゆづり:「ん」風が流れるたび、細長い煙がたなびく。特に何かを待つ様子もなく。
永良ゆづり:「確かに、何でこんなこと始めたんだっけなぁ」
羽海束沙:「大体、普通の人に見つかったらどうするつもりなのよ」
羽海束沙:「能力の煙だから……って言って説明が済むの、身内だけなのよ?」
永良ゆづり:「…………」ぽきり、と。シガレットを嚙み切る。
永良ゆづり:「貴女、随分と真面目だね」
羽海束沙:「……。貴方と比べれば、大抵の人はそうでしょうよ」
永良ゆづり:「違うね。それは、迷惑を被った場合でしょう?」
永良ゆづり:「責を背負ってない限りは、大抵の人は見て見ぬ振りをすると思う」
羽海束沙:「それは……そうかも、しれないけど」
羽海束沙:「だから、何? 私みたいなタイプは気に食わないって?」
永良ゆづり:「別に。いいと思う」
永良ゆづり:「ただまぁ、UGNって集団の一員としては、あまり向いてなさそうだなぁってくらい」
羽海束沙:「……何、それ」
羽海束沙:「喧嘩売られてるの? 私」
永良ゆづり:「貴女は、喫煙する私の小さな悪事を見逃せなかった」
永良ゆづり:「さっき言ってたよね。私達の仕事はやむを得ず、"そういう手段"を取ることもあるって」
羽海束沙:「……言ったわよ」
永良ゆづり:「人の生き死に、殺し殺されは不条理が付き纏う。それが悪意であっても、善意であっても」
永良ゆづり:「遵法精神なんて、オーヴァードから遠く離れたモノを謳う貴方に、その全てを割り切れるとは思えない」
永良ゆづり:「……いくら身体が丈夫でも、心の軋轢には無力だからね」
羽海束沙:「……そりゃ、表の世界の法とは離れてるわよ。今の私達の実態はね」
羽海束沙:「だけど、これがずっとそのままで良い訳じゃない」
羽海束沙:「時間をかけてでも、少しずつ変えていく必要がある」
羽海束沙:「そりゃ、"仕方ない"で諦めれば今の自分は楽になるかもね。でも」
永良ゆづり:「でも?」
羽海束沙:「皆が、"このままじゃよくない"という意識すら忘れてしまったら。いつか本当に"それでいい"事になってしまう」
羽海束沙:「私は、そっちの方が恐ろしい」
永良ゆづり:「……へぇ」
永良ゆづり:「その、皆が目指すべき"良き世界"のために、自分を犠牲にしようって話?」
永良ゆづり:「真面目は真面目でも、度を越してるよソレ」
羽海束沙:「違うわ。小さな諦めを繰り返す事に慣れてしまうと、いずれ大事なものをなくしてしまうって話よ」
羽海束沙:「大体、UGNなんてものは。見て見ぬ振りをするのが下手な人間の集まりでしょう」
永良ゆづり:「それは、その通り」肩を竦める様に。
羽海束沙:「そんな気質の人間が。無理に自分の心を折ることを繰り返してる方が、よほど不健全ではないかしら」
永良ゆづり:「……真面目な上に、負けず嫌いで強情なんてね」
羽海束沙:「それに、私は犠牲になるつもりなんてないわ」
羽海束沙:「ただ命懸けで戦ってるだけ」
羽海束沙:「それは貴方も同じでしょう?」
永良ゆづり:「……ふぅ」帽子のつばを摘まみ、目を覆う様に傾ける。
永良ゆづり:「悪かったわ。私の負けよ」
羽海束沙:「……勝ち負けを競っていたつもりはないけれど」言いつつも、少しムキになっていた自分に気付いて。トーンを僅かに落とす。
永良ゆづり:「見て見ぬ振りの下手さにも種類がある。最初は、貴女がダメな方の種類だと思ってたけど」
永良ゆづり:「そうではなかったみたい」
羽海束沙:「……。理解してもらえたなら、何よりよ」
永良ゆづり:「これも、こそこそ隠れて吸うようなことは止める」
永良ゆづり:三本目のシガレットを指に滑らせ、くるくると回転させる。
羽海束沙:「そうね。なまじこそこそしてるから、怪しい感じもあったし……」
永良ゆづり:「貴女の前で吸う様にする」
羽海束沙:「えっ」
羽海束沙:「別に、そこまでしなくても……問題にならない程度に好きにしてもらえればいいけれど……」
永良ゆづり:「私の勝手よ」
永良ゆづり:「周りからどう捉えられようと、真面目な貴方の傍であれば治外法権になるでしょうし」
羽海束沙:「治外法権、って……」
永良ゆづり:「この建物裏も、貴女の様な人に見つかるって分かっちゃったしね」
羽海束沙:「それ。もしかして私、貴方の誤解を解くのにいいように使われてる……?」
羽海束沙:「ていうか、そこまでして煙は出したいの……!?」
羽海束沙:「普通にココアシガレットを食べるという選択肢は……!?」
永良ゆづり:「流石、"フェザリー・リード"羽海束沙。その頭脳は伊達じゃないね」
永良ゆづり:「一日二本で大丈夫。よろしくね」
羽海束沙:「……名乗るタイミング失ったなって思ってたけど」
羽海束沙:「そう、そっちも知っていたのね。この支部に来て日も浅いのに」
永良ゆづり:「そりゃあ、同僚のことは一通り知っときたかったし」
永良ゆづり:「きっと同じ任務を任されることもあるだろうしね」
羽海束沙:「……貴方も、思ったほど不真面目ではないみたいね」
永良ゆづり:「真面目かなぁ」
永良ゆづり:「……貴女と一緒にされたくないかな」
羽海束沙:「……何よ。別に、一緒にはしてませんけど」
永良ゆづり:「それなら結構。それなりの付き合いになりそうだしね」
羽海束沙:「……うん。こちらこそ、よろしく」
永良ゆづり:「よろしく」終始、淡々として。手を小さく振りつつ建物裏を離れていく。

永良ゆづり:――――生真面目な性格のチルドレン、だとは聞いていたが。
永良ゆづり:随分と肝が据わっているみたいだ。彼女から"責"を掠め取るのは、相当難しいだろう。
永良ゆづり:この世界は不条理の塊で、UGNはその真っただ中にあるようなものだ。
永良ゆづり:私利私欲のために、尊い希望や目的のために、大切な誰かを護るために、簡単に人が死ぬ。
永良ゆづり:だからといって。やむを得ず"そういう手段"を取ることが許される筈はない。
永良ゆづり:例え全ては無理でも。なるべく。出来る限り。
永良ゆづり:そして、それを纏めて背負うのは相応しい者だけでいい。
永良ゆづり:指で遊ばせていたシガレットを咥え込み。すぐに噛み砕いた。

GM:---
GM:数日前 UGN緑坂市支部付食堂
GM:---
GM:亜藤蘭介が連続失踪事件の調査任務に加わってから何日か経った頃。
GM:昼休みのピークは過ぎて、人気も一旦は潮を引いた頃である。食事に訪れた折に偶然、支部長である"飯綱"の姿を見かけた。
亜藤 蘭介:「前、よろしいですか」
"飯綱":「おや。貴方ですか」
亜藤 蘭介:刺し身定食、大盛りのカツ丼、山盛りの野菜サラダ。
"飯綱":「構いませんよ」いつもと変わりない、貼り付けたような笑みで応じる。
"飯綱":わかめ蕎麦を黙々と食べていた。七味を多く入れたのか、スープはうっすらと赤い。
亜藤 蘭介:山盛りの品数を乗せたお盆をテーブルの上に。一礼して座る。
亜藤 蘭介:「辛そうですな」
亜藤 蘭介:箸を手に、頂きます。と呟いてから、黙々と食い始めつつ。
"飯綱":「ああ。若い時分から、こっちの方が好きでしてね」
"飯綱":「内臓を労るため、これでも控えてはいるのですが」
亜藤 蘭介:「趣味嗜好は俺たちにとって」
亜藤 蘭介:「日常へと回帰するための、欠かせないものですから」
亜藤 蘭介:「……飯綱支部長、ほどのお人になると」
亜藤 蘭介:「健康に一層、普段から気を使われているのは……下としても、喜ばしいでしょう」
亜藤 蘭介:「この街で、あなたの代わりが務まる人間は他に居ない」
"飯綱":「……フフ。食事一つで、そこまで持ち上げられるとは」
"飯綱":「いや、確かに仰る通りだ。支部長が不摂生で倒れては、示しがつきませんからね」
"飯綱":「……」しばし、続ける言葉を迷うようにして。
"飯綱":「どうです。こちらの街での活動は、不自由ありませんか」
亜藤 蘭介:手に持った箸を置き、ごくりと水を飲んでから。
亜藤 蘭介:「不自由も何も」
亜藤 蘭介:「外様の自分に。こうも足並みを揃え、協力する意を汲んでくれるとは」
亜藤 蘭介:「UGNとて、一枚岩ではない」
"飯綱":「協力を要請した側としては、当然の努力です」
"飯綱":「しかし何分、お話した通り。事態の隠蔽にかなり人手を割かれている状況でしたから」
亜藤 蘭介:「………失踪事件について」
亜藤 蘭介:「今だ、具体的な手がかりを達するには得られていないのが現状です」
亜藤 蘭介:面目次第もございません、と頭を下げ。
亜藤 蘭介:「ただひとつ。分かったのは」
亜藤 蘭介:表沙汰にはなっていないとはいえ。
亜藤 蘭介:1000人にも上る人間が。失踪する事件が起こっている街とは、とても思えないほどに。
亜藤 蘭介:「街を行き交う人々の顔は。明るかった」
亜藤 蘭介:「それがUGNの仕事、と言えば。それまでの話かもしれません」
亜藤 蘭介:「しかし、俺は」「その"当たり前"に命を費やし、職務を全うしている」
亜藤 蘭介:「今も人知れず、処理に追われている彼らや」「陣頭に立ち、彼らを導くあなたの手腕に」
亜藤 蘭介:「感服するばかり、です」
"飯綱":「……フフ。今のお言葉、私だけが聞いてしまったのは」
"飯綱":「少々、役得が過ぎますね」
"飯綱":「貴方の言う通り、それは私だけの手柄ではないのですから」
亜藤 蘭介:ふっ、と笑って。
亜藤 蘭介:「同じ言葉を。今も調査に励む支部の方が口にしていましたよ」
亜藤 蘭介:「随分と、慕われているようです」
亜藤 蘭介:「この支部には……長くから?」
"飯綱":「フフフ……そうだったとは。貴方も中々、人を口説くのが得意なようで」
"飯綱":「長く……と言えば、長い方でしょうね」
"飯綱":少し、続く言葉を考えるように。グラスの水を一口飲んでから。
"飯綱":「……私が学生だった頃に、"大拡散"がありましてね」
"飯綱":「UGNが影も形もなかった頃です。いや、影くらいはありましたか」
"飯綱":「しかし、少なくともこの街に支部というものはなかった」
"飯綱":「そんな所に、いきなり訳のわからない怪物が湧いて出てきた訳です」
亜藤 蘭介:この街で育ったのか、と。心のなかで口にして。得心が言ったように頷いて。
"飯綱":「当然、警察の手には負えませんでしたし……まあ、中々大変な状況になった」
"飯綱":「表向きの騒乱という意味では、今よりも酷かったでしょうな」
"飯綱":「私自身も、その折に覚醒した口だった訳ですが……」
"飯綱":「それ以前より武術を修めてはいましてね。自分が他人より強いという自覚はあった」
"飯綱":「そこに、オーヴァードになった事による……まあ」また少し言葉に悩んで。
"飯綱":「今となって思えば、全能感のようなものでしょうな」
"飯綱":「とにかく、自分が立ち向かわねばという意識があった訳です」
亜藤 蘭介:「耳が痛いですな」
亜藤 蘭介:似たような経験を経て。大切なものを失っている身だ。
"飯綱":「そうやって……大した考えもなしに、敵という敵に立ち向かっているうちに」
"飯綱":「こういう立場に収まっていましたね」
"飯綱":「こうして命が無事であるどころか、五体満足なのは……まあ、幸運としか言いようがありません」
"飯綱":「思い出すほどに、何度死んでいてもおかしくなかった。後進には真似をさせたくないものです」
亜藤 蘭介:「……先程」
亜藤 蘭介:「支部に所属するチルドレンの戦闘訓練を、少しだけ。拝見させて頂きましたが」
亜藤 蘭介:「各員の、目を見張るようなレベルの高さの理由が。少し、分かりました」
亜藤 蘭介:「貴方の背を見れば」
亜藤 蘭介:「自身と。その周りの皆の居場所を守るために今の今まで戦い抜いた、貴方だから」
亜藤 蘭介:「その力になりたい、と。日々努力を怠らんのでしょう」
"飯綱":「……フフ。流石にそこは、教練担当者の成果ではないでしょうか」
"飯綱":常の笑みに覆われて、照れ隠しともそうでないともつかない。
"飯綱":「しかし、ありがたく賛辞として受け取っておきましょう」
亜藤 蘭介:「今は」
亜藤 蘭介:「末席ですが。俺も、その内のひとりです」
亜藤 蘭介:いつの間にか全て平らげていた空の器をトレイに乗せて。席を立って。
"飯綱":「……おやおや」
"飯綱":「では、引き続き。そのご厚意に甘えさせて頂くとしましょうか」
亜藤 蘭介:浮かべている彼のその笑みが、果たして本物なのか。判断する術を俺は持たないが。
亜藤 蘭介:「"飯綱"殿」
亜藤 蘭介:「これは、あー……」
亜藤 蘭介:「極めて個人的な……申し出、なのですが」
"飯綱":「ふむ」
亜藤 蘭介:「事件が収束に向かい。全てが終わり一息付いた、その暁には」
亜藤 蘭介:傍らの黒い、ウェポンケースを肩に背負って。
亜藤 蘭介:「一手、ご指南頂いても?」
"飯綱":「あまり、人に教える事は得手ではないのですが……」
"飯綱":「その程度の御礼で良ければ、ええ。幾らでも」
亜藤 蘭介:「約束ですね」
亜藤 蘭介:「……もし、俺が一本取れたなら」
亜藤 蘭介:「また、聞かせて下さい」
"飯綱":「何をでしょう」
亜藤 蘭介:「"飯綱"でも、"支部長"でもない」
亜藤 蘭介:「貴方の話を」
"飯綱":「……ふむ」一瞬、笑みが消える。
"飯綱":「あまり、詳しい事情は明かせないのですが」
"飯綱":「大事な人との約束でしてね。私の身の上の多くを、伏せているのは」
亜藤 蘭介:「ならば」
亜藤 蘭介:「全力で、挑めばよろしい」
亜藤 蘭介:「……一回りは歳の離れた小僧に」
亜藤 蘭介:「負けるのを、恐れているのであれば、の話ですが」
"飯綱":「フフフ。いや、何」
"飯綱":「他所に請うて借りている支部員を相手にすれば、躊躇いも抱きましょう」
"飯綱":「"全力"はお約束できませんが。ええ」
"飯綱":「一本も取らせない事であれば、お約束しますとも」
"飯綱":「……借りている、とは申しましたが」
"飯綱":「だからと言って、好ましくありませんからね」
"飯綱":「あまり舐められたままお帰しするのは」
"飯綱":笑顔のままそう言い捨てて、既に食べ終えていた食器を下げ、立ち去る。
亜藤 蘭介:支部長ほどの立場となれば。周囲から生まれる軋轢も想像を絶するものだろう。
亜藤 蘭介:"強さ"を誇るだけでは指導者は務まらない。
亜藤 蘭介:"飯綱"が常に浮かべているそれは。彼なりの処世術なのかもしれない。
亜藤 蘭介:または。俺の想像も及ばない、彼の過去から為る、偽りの仮面なのかも。
亜藤 蘭介:しかし。
亜藤 蘭介:安い挑発と分かった上で。去る間際に浮かべたあの笑みだけは。
亜藤 蘭介:「……行くか」
亜藤 蘭介:トレイを片付け、事務棟へ足を運ぶ。
亜藤 蘭介:「(俺も)」
亜藤 蘭介:「(感じていますよ)」
亜藤 蘭介:支援要請を受けて。この街に派遣され。
亜藤 蘭介:命を預けるに相応しい人が。
亜藤 蘭介:貴方で良かったと。

"ビー"北条サイカ:「……そろそろ、時間です」
GM:声が、君達を過去から現在へと引き戻す。
GM:以前と同じように、君達の留まっている空間に少しずつ歪みが生まれ始めている。
"ビー"北条サイカ:「急かしてしまってすみません。皆さん、もう動けますか?」
穂村 姫乃:「うむ。問題ない」
永良ゆづり:「――あぁ、大丈夫」微睡みに尾を引かれつつも、立ち上がる。
羽海束沙:「……ええ。十分な休息でした」
GM:靄が晴れていく。"緑坂市"へと帰ってくる。
GM:そして今、空に見えているのはただ一つ
GM:三本目の魄柱、黒色の怪樹──ではない。
GM:数十分前まで大樹が存在したはずのその場所に在るものは、無骨な白銀色の巨塔だった。

GM:シーンカット。ロイス、購入が可能です。
亜藤 蘭介:ロイス保留。
穂村 姫乃:ロイスは保留、購入はブルゲチャレンジ
久遠仁:ロイス保留で応急キット
亜藤 蘭介:侵蝕が不安だから加護はやめとこう
久遠仁:3DX+2
DoubleCross : (3DX10+2) → 10[3,10,10]+10[2,10]+4[4]+2 → 26

久遠仁:ええ……
亜藤 蘭介:もったいないおばけ
穂村 姫乃:1dx+1>=20
DoubleCross : (1DX10+1>=20) → 3[3]+1 → 4 → 失敗

久遠仁:2+2D10 即使用
DoubleCross : (2+2D10) → 2+18[8,10] → 20

永良ゆづり:ロイス保留。購入はブルゲ
久遠仁:久遠仁のHPを20に変更 (2 → 20)
穂村 姫乃:無理、以上!
永良ゆづり:3dx>=20
DoubleCross : (3DX10>=20) → 9[5,5,9] → 9 → 失敗

亜藤 蘭介:ブルゲチャレンジ
永良ゆづり:以上!
亜藤 蘭介:3dx+1>=20
DoubleCross : (3DX10+1>=20) → 6[3,5,6]+1 → 7 → 失敗

亜藤 蘭介:~おわり~
GM:みんな終わりのようね では進行

◆Middle11:魄柱討滅-3 / みなみ緑坂駅前の戦い◆

GM:全員登場です。登場する時は汚染値を1上昇させてください。
永良ゆづり:汚染値6
穂村 姫乃:汚染値8
亜藤 蘭介:汚染値2
久遠仁:汚染値1>2


GM:---
GM:みなみ緑坂駅 元・駅前広場
GM:---
GM:三本目の魄柱──全長数百メートルのそれを覆う如くに築かれた、白銀色の金属塔。今、君達はその足元近くにまで来ている。
GM:その側面。敷き詰める如くに配置された数万の砲塔が展開し、空を睨んでいる。
羽海束沙:「……あれは。"鎧"、かしらね」
久遠仁:「ハハハ……成程」
久遠仁:「ここに来るのは分かってるもんなァ」
羽海束沙:「魄柱を守るための。そして、私達を迎え撃つための」
羽海束沙:「作戦は順調だったし、十分に急いだつもりだった……けど」
羽海束沙:「それでも、時間を与えすぎたみたい」
亜藤 蘭介:「萩原カノンか」首をごきりと鳴らして。
永良ゆづり:「確かに一筋縄では行かなそうだけど、アレもオーヴァード能力の範疇でしょう?」
永良ゆづり:「まずは術者を叩く。話はそれから」
穂村 姫乃:「じゃな。流石にアレを壊すのはちと手間がかかりすぎる」
穂村 姫乃:「素直に儂らと顔を合わしてくれると良いんじゃが……」
羽海束沙:「そうしたい所だけど。……見当たらないわね」
亜藤 蘭介:「……奴も当然、対策は打っている筈」
久遠仁:「さて、作ったのが鎧ならいいが……」巨大な塔を見上げ
久遠仁:「もし城のつもりなら、居るのは天守閣ってことになっちまう」
亜藤 蘭介:「俺たちに踏み入らない選択肢は無いが」
久遠仁:「せめて前線に出る将ならいいんだが」肩を竦める。
羽海束沙:「……あの見境なく取り付けたハリネズミみたいな砲からして」
羽海束沙:「中に引きこもってるんじゃないかしら」
永良ゆづり:「上に居るならそれはそれ。私達は樹を切りに来たのだから」
永良ゆづり:「地に這う根でもこそぎ落としましょう。慌てて出てくるかもね」
"ビー"北条サイカ:「……。皆さんが、あれの中に入るんでしたら」
"ビー"北条サイカ:「あたしも、今回は一緒に行きます」
"ビー"北条サイカ:「すみませんが、この壁の外から退避させる事はできませんから」
久遠仁:「……体力は持ちそうかい?」
"ビー"北条サイカ:「……正直に言うと、分かりません」
"ビー"北条サイカ:「あまり能力を使いすぎると、もう一度さっきのように皆さんを退避させる事が厳しくなるかもしれませんが……」
"ビー"北条サイカ:「……それでも。外で待ちぼうけるよりは、役に立てるはずです」
羽海束沙:「……。術者を倒せば消える類の壁であれば、外で待ってもらってもいいかもしれないけど」
羽海束沙:「これだけ周到な相手なら、自爆スイッチくらいは用意しててもおかしくないわね」
亜藤 蘭介:「……その確たる保証もない」
亜藤 蘭介:「増援部隊の事も考慮すると」
亜藤 蘭介:「やはり、北条に同行して貰うのが無難ではある」
久遠仁:「無理はするな……と言いたいところだが……。今回ばかりは頑張ってもらうしかなさそうだなぁ」
穂村 姫乃:「ならば、ビーに負担がかかり過ぎんうちに儂らで片を付けるしかないかの」
穂村 姫乃:「時間との勝負なのは元からじゃし。速攻で行くとしよう」
久遠仁:「おう。それなら得意分野だ」
永良ゆづり:「そう。私は構わないけど……」
永良ゆづり:「なるべく、私達の傍を離れない様に。それだけ」
"ビー"北条サイカ:「……ええ。分かっています」永良さんに。

GM:という所で、NPCカードに追記が行われます。
GM:「NPCカード:”ビー”北条サイカ」に以下が追記されました。

②「ブリンク・バインド」
タイミング:オート
制限:ラウンド1回。ただし、3回使用すると①「微小夢界・退避領域」の使用回数が1回減少します。
効果:ダメージロール直前に使用。ダメージを+5d10する。

亜藤 蘭介:やった~!
久遠仁:つよい
永良ゆづり:つよぉい
穂村 姫乃:つよつよ

GM:では、改めてミドル戦闘3です。この戦闘は前後半に分かれます。
GM:前半は防衛鎧塔を突破する簡易判定群を行います。エンゲージの概念はありませんが、ラウンド制で進行します。
GM:後半は通常の戦闘を行います。
GM:また、前半において7ラウンド経過で"ビー"の体力が限界を迎えるため、この場合にも①「微小夢界・退避領域」の使用回数が1回減少します。
亜藤 蘭介:……やべえ!
GM:その場合でも後半に突入することはできます。
GM:大まかな概要としてはこのくらいかな……後は個別の判定説明になっていきます。
GM:というわけで1つ目

・鎧塔攻略-フェイズ1
魄柱を君達より守るべく錬成されたこの機構には、入口などという物はない。接近し、突入口を開く必要がある。
無論、下手に接近すれば砲撃に晒されることは避けがたいだろう。

・進行判定
技能:任意の命中判定技能
難易度:「カヴァーチャ・射撃迎撃システム」との達成値対決
必要フェイズ進行値:90
備考:装甲無視効果を含む場合、達成値+10されます。
成功時:達成値ぶんを「進行値」として加算。このフェイズの進行値が合計90を超えた場合にフェイズ突破となります。
失敗時:「カヴァーチャ・射撃迎撃システム」がダメージロールを行い、判定者にダメージを与えます。このダメージに対してはカバーリングが可能です。また、次に誰かが行う進行判定の達成値が+10されます。

GM:フェイズ1に関しては以上です。フェイズ1の突破条件を満たすと、フェイズ2に移行します。
GM:ひとまず説明は以上です。何か質問あればどうぞ
久遠仁:大丈夫です!
永良ゆづり:大丈夫!
亜藤 蘭介:おkです!
穂村 姫乃:OKです!
GM:OK。ではちょっと挟み忘れた演出があったので、それだけやってから
GM:ラウンド進行に移行します。

萩原カノン:「……そう。みんな、負けちゃったんだ」
萩原カノン:呟く。黒い大樹の根に背を預け、レンズ越しに君達の姿を覗き見る少女。
萩原カノン:「そんな気はしていたんだ」
萩原カノン:「私の人生がこんなに、何もかも上手くいくはずないって」
萩原カノン:「……それでも、私は」
萩原カノン:「足掻けるだけ足掻くって、決めたから」
萩原カノン:息を吸い、集中する。
萩原カノン:広範に展開した自身の錬成物に、研ぎ澄ませた神経を張り巡らせるような感覚。
萩原カノン:「……さて。どこまで、やれるかな」
萩原カノン:眉間に皺を寄せる。激しい頭痛。かつてない規模の高速錬成で、己の身体には相当な無理をさせた。
萩原カノン:それでも、ここで倒れるわけにはいかない。
萩原カノン:「来るよ。"カヴァーチャ"」

GM:1ラウンド目。セットアップから。
永良ゆづり:なし!
亜藤 蘭介:ありません。
久遠仁:なし。
穂村 姫乃:無し
GM:ではイニシアチブへ。行動値23、久遠さんどうぞ
久遠仁:≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫ で判定します
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (79 → 83)
久遠仁:8DX7+7
DoubleCross : (8DX7+7) → 10[1,2,2,2,3,9,10,10]+10[5,9,9]+10[1,10]+10[9]+10[8]+2[2]+7 → 59

GM:OK。では防御システムも判定
GM:タイミングは同時とします。後乗せ可、同値の場合はPC有利
カヴァーチャ・射撃迎撃システム:《カスタマイズ》《アタックプログラム》《ペネトレイト》
カヴァーチャ・射撃迎撃システム:10dx+20@10
DoubleCross : (10DX10+20) → 10[1,2,3,4,5,5,5,6,7,10]+2[2]+20 → 32

GM:成功。進行値59となります。
GM:59/90
GM:演出はフェイズ突破時にまとめてやりましょうか
久遠仁:はーい

GM:ので、続けて行動値9。永良さんどうぞ
永良ゆづり:待機~

GM:では5の亜藤さん
亜藤 蘭介:待機します~

GM:では4の穂村さん~
穂村 姫乃:はーい。まずはマイナーでオリジン:レジェンドだけ起動
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2増加 (49 → 51)
穂村 姫乃:メジャーは蝕む赤だけで行きます
穂村 姫乃:3dx+24
DoubleCross : (3DX10+24) → 10[3,10,10]+8[4,8]+24 → 42

カヴァーチャ・射撃迎撃システム:エフェクトは先程と同じ。
カヴァーチャ・射撃迎撃システム:10dx+20@10
DoubleCross : (10DX10+20) → 10[1,1,2,4,4,4,5,7,9,10]+1[1]+20 → 31

穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1増加 (51 → 52)
GM:成功。進行値101/90となり
GM:フェイズ1突破です。
永良ゆづり:やった~~
穂村 姫乃:いぇーい
亜藤 蘭介:勝利!
久遠仁:やったね
GM:相談しつつ演出どうぞ。

GM:突入を決め、踏み出すと同時。姿を補足された君達に、無数の砲口が向けられる。
GM:射出機構から撃ち放たれるのは、ルアーめいて無数の返し針を備えた投擲槍だ。
GM:コンクリートの地面を突き破るほどに強靭なその刃を獲物の肉体に食い込ませ、動きを封じようとする為の。
GM:狙いはそう正確ではないが、質量に任せた飽和的な射撃によってそれを補っている。
GM:脚を止めれば、数秒で穴だらけになる事だろう。
久遠仁:「ハハハ。穏やかじゃないな」
久遠仁:「こっちで道を確保する。壁の方、任せていいかい」
穂村 姫乃:「頼もしいな。任されよう」
久遠仁:「じゃあ、頼んだぜ」
久遠仁:言うなり、久遠の姿が掻き消える。
久遠仁:一同に迫る投擲槍が、半ばで軌道を逸らし、明後日の方向に着弾する。
久遠仁:放たれる無数の槍。暴力的な物量のそれはしかし、面々に届くことは無い。見えない障壁に守られているように、ひとつ残らず軌道を変え、あるいは撃墜されていく。
久遠仁:高速で飛来する投擲槍。それらを足場とし、久遠が空中を飛び回って迎撃しているのだ。
穂村 姫乃:「うむ、流石は久遠。これならば」
穂村 姫乃:「こちらも城攻めに集中できるというもんじゃな」
穂村 姫乃:瞬きの内に髪と目を赤く染めた穂村がすっと手を前へ掲げる。
穂村 姫乃:同時に鮮血が飛散し、正面の壁へと着弾。壁を大きく赤へと染め上げて――。
穂村 姫乃:染めた一面全体を焼き尽くすべく燃え盛る。
穂村 姫乃:「人の子に当たらんと分かっとると加減せんでいいから楽なんじゃよな」
GM:赤熱。見る間に融点を超えて、壁面がどろりと溶け落ちていく。数人は通れそうな穴が開く。
穂村 姫乃:「よし。久遠が払ってくれとるうちにさっさと入るぞ」
羽海束沙:「……相変わらず、いい仕事」呟く。久遠撃ち漏らしがあった時のために銃を構えていたが、必要なかった。
亜藤 蘭介:「全く」頼りになる奴らだ、との言葉を慎んで。
永良ゆづり:「ええ、見事ね」周囲に白煙を揺蕩たせながら。
"ビー"北条サイカ:「ええ。ありがとうございます、お二人とも……!」
GM:ではそうして、内部へと足を踏み入れると。
GM:君達が行き当たったのは、明かりの点いた広い空間だ。
GM:すぐ背後で、先程開けた孔が修復されていく。退路が失われる。
GM:同時に左右より出現する、身の丈3メートル近い武装機械人形の群。人為的に作り上げたEXレネゲイド。
GM:既に包囲されている。これらを退け、更に奥層へと続く壁を破壊する必要がある。
久遠仁:「ほう……規模だけじゃなく技も効くとは、良い腕してるな」いつの間にか追い付いて、内部に入っている。
亜藤 蘭介:「正に、島津の退き口か」
亜藤 蘭介:「怖じ気付いたのなら。休んでいても構わんぞ、久遠」挑発的に笑って。得物を構える。
久遠仁:「ハハッ。気を遣ってくれてるのかい、亜藤さん」
久遠仁:「それじゃあ、お手並み拝見させて貰おうかな」

GM:では、フェイズ2の判定に入ります。

・進行判定
技能:任意の命中判定技能
難易度:「金剛機人」群との達成値対決。ただし「金剛機人」は多数いるため、3度判定を行い、最も高い達成値を採用できます。
装甲無視効果を含む場合、達成値+10されます。
範囲攻撃効果を含む場合、達成値+10されます。
必要フェイズ進行値:130
成功時:達成値ぶんを「進行値」として上乗せ。このフェイズの進行値が合計130を超えた場合にフェイズ突破となります。

失敗時:「金剛機人」がダメージロールを行い、判定者にダメージを与えます。このダメージに対してはカバーリングが可能です。また、次に誰かが行う判定の達成値が+10されます。

GM:このフェイズの説明は以上です。
GM:質問なければイニシアチブ進行へ。
亜藤 蘭介:あ、質問なんですが
GM:はいはい
亜藤 蘭介:3度判定する場合、侵蝕の増減はどうなるんでしょうか
GM:あ、ちがう
GM:3回判定してくるのは敵だけです
亜藤 蘭介:あっそっか! ありがとうございます
GM:あっちのほうが数が多いので
GM:書き方が悪かったな ごめんね
亜藤 蘭介:いえいえ! ありがとうございます!
GM:他はいいかな。では改めてイニシアチブ

GM:待機手番の行動値5、亜藤さんからどうぞ。
亜藤 蘭介:はい!
亜藤 蘭介:マイナー無し。
亜藤 蘭介:メジャーで《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を7(→ 7)増加 (79 → 86)
亜藤 蘭介:12dx7+6
DoubleCross : (12DX7+6) → 10[1,1,1,2,4,4,4,5,6,7,8,8]+10[1,4,9]+2[2]+6 → 28

亜藤 蘭介:お前…
GM:ではエネミー側の判定。
金剛機人:10dx+6@8 1回目
DoubleCross : (10DX8+6) → 10[1,3,5,5,5,7,7,8,9,10]+6[4,6,6]+6 → 22

金剛機人:10dx+6@8 2回目
DoubleCross : (10DX8+6) → 10[2,3,5,5,7,8,8,10,10,10]+10[2,2,2,5,8]+3[3]+6 → 29

金剛機人:10dx+6@8 3回目
DoubleCross : (10DX8+6) → 10[2,2,3,3,6,8,9,9,10,10]+10[5,7,7,8,8]+1[1,1]+6 → 27

永良ゆづり:バディム
亜藤 蘭介:サンキュー永良
GM:達成値29なので
永良ゆづり:亜藤さんの達成値を31に!
GM:バディムが乗って31。成功になります
GM:あと装甲無視だから+10補正入りますね……
永良ゆづり:あ、そっか。強い
亜藤 蘭介:あっすみません41ですね
GM:なのでバディムなくても成功はしてる
GM:では進行値:41/130 です
永良ゆづり:でも打てるのこのタイミングしか残ってないからそのままで~
GM:それはそのとおり

GM:では演出は後でまとめるとして、続けて永良さんどうぞ
永良ゆづり:はいさい
永良ゆづり:マイナーなし
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》装甲無視で+10補正
永良ゆづり:羽海ちゃんのNPCカード①を使用。
羽海束沙:はいはい。どうぞ~
永良ゆづり:ありがと!ダイス+10個して判定
永良ゆづり:(8+10)dx7+6+10
DoubleCross : (18DX7+16) → 10[1,1,2,3,3,3,3,4,5,6,7,7,7,8,9,9,10,10]+10[1,4,4,5,5,7,7,10]+5[3,4,5]+16 → 41

GM:つよ
GM:では対決側の判定
金剛機人:10dx+6@8 1回目
DoubleCross : (10DX8+6) → 10[1,2,3,4,6,6,6,8,8,10]+10[5,5,9]+1[1]+6 → 27

金剛機人:10dx+6@8 2回目
DoubleCross : (10DX8+6) → 10[1,1,2,3,4,6,6,8,10,10]+10[2,2,8]+6[6]+6 → 32

金剛機人:10dx+6@8 3回目
DoubleCross : (10DX8+6) → 10[1,2,3,8,8,9,9,9,10,10]+10[1,1,1,7,7,7,10]+4[4]+6 → 30

GM:だめです
永良ゆづり:ついでに②のバディムも貰っときたい!
GM:OK。では達成値44で成功
GM:進行値:85/130 です
GM:でもって
GM:<知覚>で判定してください。難易度10
GM:全員やって大丈夫です
永良ゆづり:とりあえず、侵蝕が74になって
久遠仁:何だ~?
久遠仁:3DX>=10
DoubleCross : (3DX10>=10) → 4[1,3,4] → 4 → 失敗

亜藤 蘭介:4dx>=10
DoubleCross : (4DX10>=10) → 7[5,6,7,7] → 7 → 失敗

永良ゆづり:2dx>=10
DoubleCross : (2DX10>=10) → 10[1,10]+2[2] → 12 → 成功

永良ゆづり:目星成功
穂村 姫乃:2dx+1>=10
DoubleCross : (2DX10+1>=10) → 5[2,5]+1 → 6 → 失敗

GM:では、成功した人は以下の情報を得られます。

・情報:設置接触型爆弾
カヴァーチャ内部の壁や天井に埋め込まれ、刺激によって起爆する爆弾。
前半フェイズにおいて、何らかの判定達成値でゾロ目を出した場合に起動し、判定者に3D10の装甲有効ダメージを発生させる。カバーリング可能。

永良ゆづり:うえぇ……
久遠仁:ひぇ~~
GM:達成値44を出したため、爆発します。
GM:3d10
DoubleCross : (3D10) → 16[8,1,7] → 16

GM:16のダメージ。装甲有効。
亜藤 蘭介:なんてことを…
永良ゆづり:即死リザ
永良ゆづり:74+1d10
DoubleCross : (74+1D10) → 74+8[8] → 82

永良ゆづり:む。HP8になって蘇生して以上。
GM:では演出へ。

金剛機人:五体を分厚い装甲で覆った、白銀色の金属巨人だ。
金剛機人:人間の胴ほどもあろう巨腕で君達を捕らえようとしてくる。その速度・格闘能力そのものはさしたるものではないが、
金剛機人:ただ触れれば高圧の電流が流し込まれる。何より、単純に頑丈な造りをしている。
金剛機人:体躯と数の差を活かし、掴み、踏み潰さんとする飽和圧殺戦術。
金剛機人:閉鎖した空間でこの数に狙われ続ければ、消耗は免れ得ない。
亜藤 蘭介:ヒト同士の戦いとは異なり。オーヴァードの戦闘において。身の丈の有利は然程重要ではない。
亜藤 蘭介:幼児ほどの体躯でも。ヒグマすら片手で持ち上げる膂力を有し、音すらも越える速さで機動し得るなんて話は、特段珍しい話でもない。
亜藤 蘭介:凝然。巨腕がその小さな体躯に振れる寸前。男の姿がかき消える。
亜藤 蘭介:地を滑るように機人の股を潜り抜けると同時、刃で片膝を断ち。
亜藤 蘭介:跳ねるように宙で起き上がりざま、その背を開くように一刀両断。
金剛機人:反応できない。元より自我らしい自我はなく、命令を忠実に実行するばかりの器だ。
亜藤 蘭介:「……随分、柔いな」
亜藤 蘭介:「あいつと比べたら」
金剛機人:自身の知覚を上回る瞬発を前に、その挙動は一瞬の停止を産む。そのまま斬り裂かれていく。
永良ゆづり:周囲に流転する白煙を纏いながら、巨人の群れへと踏み込む。
永良ゆづり:如何に頑丈といえど。駆動する構築物を模す以上、必ず隙間が生じる筈だ。
永良ゆづり:例え極小の幅であっても、流動する煙であれば忍び込める。
永良ゆづり:そして一度踏み込めば、巨人の燃料たるレネゲイド反応の余波を火種として、
永良ゆづり:駆動の要たる関節を尽く炸裂させ、機能不全に陥れる。
羽海束沙:三発の銃声。永良が飛び込んだ方向、複数の巨人の間を跳弾させる軌道。
羽海束沙:その銃弾が装甲を射抜く事はないが。自身の知覚に入り込んだ敵性飛翔体に、巨人の注意が集まる。
永良ゆづり:羽海束沙が生じさせた隙を縫う様に、巨人達の傍を奔り抜けていく。
永良ゆづり:忽ち、巨人達の手足が音を立てて吹き飛び崩れ落ちる。
永良ゆづり:「(五、六、七──)」
永良ゆづり:だが、八体目の巨人が右足を崩した瞬間。
永良ゆづり:「──っ、あ」
永良ゆづり:危機への知覚が、背筋を刺す。
羽海束沙:彼女が走り抜けるに合わせて支援射撃、のはずだった。巨人の足関節を射抜いて挫き、動きを僅かに止めるための。
羽海束沙:その内の一つが跳弾し床に触れると同時、炸裂した。
羽海束沙:「……え」
羽海束沙:「永良っ!?」
永良ゆづり:瞬時に体躯を返し、白煙を伸ばして巨人数体を引き寄せる。
永良ゆづり:狙いは道連れ。砕け散る巨人諸共、熾烈なる爆発にその身を焦がしながら。
羽海束沙:停止しかけた思考を呼び戻す。原因を探る。自分が弾種を間違えた、訳ではない。むしろ床の方が起爆したように見えた。
永良ゆづり:「……げほっ、なるほど」身体を修復し立ち上がる。節々に火傷を残しつつも。
羽海束沙:「貴方……っ」起き上がった君を見る。一瞬、泣きそうな顔を浮かべて。
永良ゆづり:「床……壁や設備等に紛れて、刺激により起爆する爆弾が設置されてる」
永良ゆづり:「今は、私が抜けてた。気を付けて」変わらず、淡々と、仲間に呼び掛けて。
羽海束沙:「いいえ……私のせい。ごめんなさい」すぐに平静を取り戻す。戦いの場で感傷を表出させる事は致命になると教えられている。
羽海束沙:「次は、気をつける」どこかいつもより堅い口調で、それだけを告げる。
永良ゆづり:「……ええ、よろしく。畳みかけるわよ」再び踵を返し、残った巨人の群れへと向き直る。
永良ゆづり:気遣いや憂いは不要だと、示す様に。

GM:クリンナップ。ないと思うので、2ラウンド目へ。
GM:セットアップから。
亜藤 蘭介:なし!
永良ゆづり:なぁし
久遠仁:なし
穂村 姫乃:なし
萩原カノン:《集団錬成》
萩原カノン:このラウンド中、金剛機人の達成値を+10、攻撃力を+10します。
亜藤 蘭介:!?
永良ゆづり:突然のインターセプト
久遠仁:やばい

GM:イニシアチブ。行動値23、久遠さんから
久遠仁:マイナー≪骨の剣≫+≪死招きの爪≫
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を7増加 (83 → 90)
久遠仁:メジャー ≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:9DX7+7
DoubleCross : (9DX7+7) → 10[1,4,4,6,7,7,8,8,10]+10[4,6,9,10,10]+10[1,7,10]+10[7,10]+10[3,10]+4[4]+7 → 61

GM:つよいて!
金剛機人:10dx+16@8 1回目
DoubleCross : (10DX8+16) → 10[2,4,5,5,6,6,6,7,10,10]+10[1,8]+1[1]+16 → 37

金剛機人:10dx+16@8 2回目
DoubleCross : (10DX8+16) → 10[2,2,3,4,5,5,7,7,8,8]+4[1,4]+16 → 30

金剛機人:10dx+16@8 3回目
DoubleCross : (10DX8+16) → 10[3,4,4,5,6,7,8,9,9,10]+10[2,7,8,10]+10[1,9]+4[4]+16 → 50

GM:無理~~
GM:ええと……では
GM:146/130になるので フェイズ2突破です……
永良ゆづり:やったぁ
久遠仁:やった~
亜藤 蘭介:ロストシグナル最強!
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (90 → 94)
GM:先にちょっと巨人の強化演出だけします
GM:その後そのまま殴ってもらえれば……

GM:不意に、乳白色の靄が展開する。巨人たちの装甲を覆うように帯を広げる。
GM:直後、パキ、パキと音を立てて
GM:そこに触れた巨人のレネゲイドが、透明な結晶へと変化していく。
金剛機人:装甲の隙間から白い電光が漏れ出していく。見る間に機動性が上がっていく。
金剛機人:先程までは想像もつかなかったような速度で、その巨体を君達の陣形の間に押し入れてくる。分断、各個撃破を狙う動き。
久遠仁:「──悪いが」
久遠仁:眩い光が瞬くのが見えた。それは刹那の間に振るわれた、幾百もの刃の煌めき。
久遠仁:太刀風が吹き抜けて、その時には既に、久遠は巨人たちの後方に佇んでいる。
久遠仁:「こんなところで止まってられないんでな」
久遠仁:一斉に火花が弾け、鋼の機人たちの腕部、脚部、あらゆる関節部が切断され、バラバラに崩れ落ちる。
"ビー"北条サイカ:「わ、すごっ……」感嘆を零す。あまり能力を使わないようにはしているが、この数を相手取ると自分も動く必要があるだろうかと構えていた。
永良ゆづり:「(……随分と、掛かってるわね)」閃刃による一掃を確認し、足を止める。
永良ゆづり:「(先までの戦いと、違う状況と言えば────)」
羽海束沙:「永……"スモークスタック"。貴方……」言葉を切る。任務中はコードネームで呼ぶ事を自分に課しているが、知らずそれに背いていたと気づきつつ。
永良ゆづり:「……ん」振り返る。
GM:微かに、空間が揺らめく。領域への干渉反応。
羽海束沙:「さっきのは──」声が途切れる。
GM:君達を一人ずつ分断するようにして、多数の隔壁が展開する。
GM:それぞれが小さな部屋に閉じ込められるような封鎖。互いの声も聞こえない。
羽海束沙:「ッ、まずい……」肝が冷える。武器を構え直すと同時に、更に二つの異変に気づく。
羽海束沙:一つ。自分が閉じ込められたこの部屋が、さながらエレベーターのように動き出しているということ。縦だけでなく横にもだが。
羽海束沙:互いの距離を離し、仮に部屋を抜け出したとしても合流を不可能にしているのだろう。
羽海束沙:二つ。目眩のするような異臭が立ち込めてきている。既に口鼻を塞いではいるが、指先に僅かな痺れを感じる。
羽海束沙:(敵の能力を考えるに、金属反応から生じる毒ガス、か……?随分と即効性のある……)

GM:では、フェイズ3に移行します。
GM:毒気に耐えながら隔壁を破壊し、皆と合流できる位置へ移動するための判定です。

・進行判定
判定技能1:【肉体】
難易度:12
成功時:進行値+1

判定技能2:<知覚>
難易度:10
成功時:進行値+1 判定技能1の失敗時:シーン中、あらゆる命中判定のダイスが-2個される(3回まで重複)。次に自身が行う進行判定の達成値+4。
判定技能2の失敗時:「金剛機人」に遭遇、攻撃を受けます。次に自身が行う進行判定の達成値+4。

GM:今回は進行値をPC個別に管理します。
GM:進行値0の時は判定技能1を、進行値1の時は判定技能2で判定します。
GM:進行値2になったPCだけが、フェイズ4の判定に以降できます。
GM:また、フェイズ3の判定において自キャラクター以外に対する支援は行なえません。NPCカードも同様です。
GM:ややこしいと思うので質問あればどうぞ~
亜藤 蘭介:【肉体】判定は<白兵>の達成値は上乗せされるんでしたっけ?
GM:されないですね。この判定は、単純に毒に耐えつつ活動する事の判定という感じです。
亜藤 蘭介:了解です!
久遠仁:きつい!
亜藤 蘭介:あ、すみませんもうひとつ
亜藤 蘭介:判定技能1で失敗し続け
GM:はいはい
亜藤 蘭介:判定ダイスが触れなくなり、判定自動失敗し突破不可能になった場合はどうなりますかね?
GM:あ、それで減るのは命中だけなので
GM:肉体や知覚は振れます
亜藤 蘭介:あ、攻撃のか 失礼しました
亜藤 蘭介:あとは大丈V!
GM:ですです。後はタイタス化で解除という方法があります
亜藤 蘭介:なるほ~!
GM:あ、あともし2連続で失敗した場合 次の判定補正は+8です これも書き方が悪かった
GM:そんな感じで……
永良ゆづり:大丈夫です~
亜藤 蘭介:おいち~!
久遠仁:OKです~
穂村 姫乃:諸々了解です、こっちも質問大丈夫!
GM:OK。ではさっきが久遠さんだったので

GM:2ラウンド目行動値9、永良さんどうぞ
永良ゆづり:はぁい
永良ゆづり:マイナーなし、判定技能1を【肉体】で
GM:どうぞ~
永良ゆづり:6dx>=12
DoubleCross : (6DX10>=12) → 10[3,5,8,8,9,10]+9[9] → 19 → 成功

永良ゆづり:OK
GM:つよ。成功です
GM:永良さんの進行値が1に。
GM:これは演出個別にやった方がいいかな 混線するもんね
永良ゆづり:はいさい
永良ゆづり:じゃあ演出

永良ゆづり:権能の性質上、永良ゆづりに気体を介した攻撃は効きにくい。
永良ゆづり:白煙で押し流し、包み込むように自身から隔離すればいいからだ。
永良ゆづり:また、密閉空間に閉じ込める方策も永良ゆづりに有効とは言えない。
永良ゆづり:──破砕音と共に、壁の残骸が外向きに弾け飛ぶ。
永良ゆづり:「(……く、仲間と離れ離れにされたか)」
永良ゆづり:白煙を空間内に充満させ、意図的に気圧差を作り出せば。省力的に脱出が可能だからだ。
永良ゆづり:閉じ込められる間際、自身に呼び掛けた彼女の顔を想起させて。
永良ゆづり:「…………」無言のまま、急き立てられる様に走り出す。

GM:行動値5。亜藤さんの手番です。
亜藤 蘭介:はい。マイナー無し。
亜藤 蘭介:判定技能1【肉体】、ふります~
亜藤 蘭介:6dx>=12
DoubleCross : (6DX10>=12) → 10[3,7,8,9,9,10]+7[7] → 17 → 成功

GM:加護はつかわない?
GM:必要なかった……
亜藤 蘭介:いらな~い
亜藤 蘭介:成功するから
GM:こいつ……
GM:演出どうぞ~

亜藤 蘭介:「(不味いな)」
亜藤 蘭介:周囲覆う多数の金属障壁。各個に分断を図った敵の手腕。どれも計算尽くされた、巧みなもの。
亜藤 蘭介:何より脅威なのは。
亜藤 蘭介:腕に痺れが走る。柄を握る力が弱まっていく。
亜藤 蘭介:永良のように煙に巻くことも出来ず、根本として種としての強さが異なる穂村に対し、己は。この毒煙に対抗する手段など持ち合わせていない。
亜藤 蘭介:久遠はまあ……あの技量で、あのマスクだ(毒ガスにまで効果が在るのかは知らんが)。心配無用だろう。
亜藤 蘭介:鈍くなった頭で、左手の五指に小さな火を灯す。
亜藤 蘭介:「(気つけ位にはなるか)」
亜藤 蘭介:発火能力者は通常、自身が生成した火で負傷することは無い。
亜藤 蘭介:無意識の内、レネゲイドが己の身を防護しているから。
亜藤 蘭介:ならば、意図的に。そのスイッチを切れば────
亜藤 蘭介:火手で左手を握る。肉が焦げる、生臭い匂いが室内に充満し。
亜藤 蘭介:瞬間、目を見開き、領域を断ち切る刃一閃。
亜藤 蘭介:斬痕が走ると同時、鈍く音を立てて壁が崩れ落ちる。
亜藤 蘭介:ふぅ、と息を付き。呼吸を整えて。足を進めていく。
亜藤 蘭介:止まっている暇など無い。

GM:では行動値4、穂村さん
穂村 姫乃:はーい。まずマイナーで2個分ジェネシフトします
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2d10(→ 18)増加 (52 → 70)
GM:一気に上がった
穂村 姫乃:思ったより上がったけどまあ良しじゃろ。そんで技能1を判定。
穂村 姫乃:4dx>=12
DoubleCross : (4DX10>=12) → 9[4,5,9,9] → 9 → 失敗

穂村 姫乃:ううん、ダメか
GM:ではシーン中、命中判定のダイスが-2個と
GM:次にこの判定をする時に+4の補正がつきます。
穂村 姫乃:はーい
GM:演出は成功時にまとめての感じで!
穂村 姫乃:了解ですー
GM:2ラウンド目終了。

GM:3ラウンド目。セットアップから。PCはないよね
GM:エネミー側もないです。
GM:イニ23、久遠さんの手番。
久遠仁:肉体で判定
GM:どうぞ~
久遠仁:7DX>=12
DoubleCross : (7DX10>=12) → 10[1,1,5,8,9,9,10]+10[10]+6[6] → 26 → 成功

久遠仁:つよ
GM:いや強いて
GM:やる気出過ぎ
GM:では進行値1になります。演出どうぞ

久遠仁:「うーむ」隔壁を叩いて「次から次だな……向こうも手段は選んでいられんと見える」
久遠仁:「……おっと……まずいな」そこで、噴霧される毒ガスに気付く。
久遠仁:こういった手段は久遠にとって最大の弱点だ。常人と別の時間軸での高速稼動は、結果的にそうした有毒物質も常人の数十倍、数百倍の速度で蓄積することになる。
久遠仁:(一秒の猶予も無いな)
久遠仁:分厚い隔壁に対して刃を押し付け、大きく円を描くように動かす。
久遠仁:それを、一瞬の内に数百回繰り返す。
久遠仁:瞬時に生まれた膨大な摩擦熱で隔壁が溶断され、くり抜かれたような大穴となって外へと繋がった。
久遠仁:「さて……速いところ合流せんとな……。……どっちだ……?」

GM:続いて行動値9、永良さんです。
永良ゆづり:はいさい
永良ゆづり:マイナーなし、今度は<知覚>で判定
GM:目標10です。どうぞ
永良ゆづり:3dx>=10
DoubleCross : (3DX10>=10) → 7[2,3,7] → 7 → 失敗

永良ゆづり:ぐぬぬ
GM:では失敗。攻撃を受けます
金剛機人:《コンセントレイト》《ウルトラボンバー》《カスタマイズ》《スタンボルト》《スパークウェッジ》
金剛機人:Dロイス「愚者の黄金」起動。
永良ゆづり:き、急に本気過ぎない?
金剛機人:型がちがうやつなので……
金剛機人:14dx+6@7 命中
DoubleCross : (14DX7+6) → 10[1,1,2,3,4,5,5,5,6,6,6,7,8,8]+10[1,6,10]+10[7]+5[5]+6 → 41

金剛機人:5d10+40 装甲無視 このシーン内で次に他の対象に攻撃を行った場合に21のHPダメージが発生します。
GM:で、次にこの判定をやる時に+4補正です。
DoubleCross : (5D10+40) → 26[7,5,2,3,9]+40 → 66

永良ゆづり:そっか、スパークウェッジ
永良ゆづり:82+1d10 リザ
DoubleCross : (82+1D10) → 82+4[4] → 86

永良ゆづり:汚染値7、デバフと補正を喰らって以上。
GM:OK。これも演出は成功時に回すのがよさげかな……
永良ゆづり:はぁい
GM:OK、では次

GM:行動値5で亜藤さんどうぞ
亜藤 蘭介:ウス
亜藤 蘭介:マイナー無し。メジャーで判定技能2、<知覚>振ります。
亜藤 蘭介:判定前に《砂の加護》。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を3(→ 3)増加 (86 → 89)
GM:判定どうぞ~
亜藤 蘭介:7dx>=10
DoubleCross : (7DX10>=10) → 9[1,1,3,4,6,7,9] → 9 → 失敗

亜藤 蘭介:足りないのよ
GM:ではこちらも先程と同様に……
金剛機人:《コンセントレイト》《ウルトラボンバー》《カスタマイズ》《スタンボルト》《スパークウェッジ》
金剛機人:Dロイス「愚者の黄金」起動
金剛機人:14dx+6@7
DoubleCross : (14DX7+6) → 10[2,2,3,3,5,5,5,5,5,6,7,8,8,9]+10[4,5,8,9]+10[3,9]+3[3]+6 → 39

金剛機人:4d10+40
DoubleCross : (4D10+40) → 22[6,6,6,4]+40 → 62

亜藤 蘭介:死にますのリザ!
金剛機人:先程と同様のデバフが入ります。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 4)増加 (89 → 93)
亜藤 蘭介:HP4。
GM:OK。汚染も上げておいてね
亜藤 蘭介:おっとそうでした
GM:演出はさっきと同じで略!
亜藤 蘭介:汚染値3!
亜藤 蘭介:以上です!

GM:イニシアチブ4、穂村さんどうぞ~
穂村 姫乃:うむ。マイナー無しで技能1判定。
穂村 姫乃:4dx+4>=12
DoubleCross : (4DX10+4>=12) → 6[2,3,4,6]+4 → 10 → 失敗

穂村 姫乃:マジかぁ……
GM:Oh…
GM:ではデバフ2個目が入ります。次の判定に+8の補正。
GM:演出はさっきと同じでまとめる感じで……
GM:3ラウンド目終了。

GM:4ラウンド目。セットアップから。
久遠仁:なし
GM:PC側ないよね。敵もありません。
GM:久遠さんどうぞ~
久遠仁:知覚で判定します
久遠仁:3DX>=10
DoubleCross : (3DX10>=10) → 10[3,6,10]+8[8] → 18 → 成功

久遠仁:やった……
GM:つよ……
GM:では久遠さんはフェイズ3を突破
GM:フェイズ4判定を行えるようになると同時に
GM:仲間のフェイズ3技能2判定を代行することもできるようになります
GM:自分から探しに行くやつですね
久遠仁:はは~ん
GM:で、フェイズ4に入る前に演出……と思ったけど
GM:この判定とくに演出することなさそうだな
GM:まだ一人だし……
久遠仁:そうかも
亜藤 蘭介:代行が成功したりしたら
亜藤 蘭介:おいしそうですね
GM:なさそうならフェイズ4の説明やります
久遠仁:お願いします

GM:君は、先程の隔壁によって分断された時の事を思い出す。
GM:あの操作精度は、明らかにこちらの立ち位置・動きが見えている者の仕業だ。
GM:恐らくは中央にいる"カノンボール・シアター"が君達を知覚するための術が、すぐ近くにある。
GM:また、最初にここに踏み入ってから、鎧塔の内部にはずっと明かりが点いている。
GM:視覚以外で知覚する術を持っているのなら、君達の視界を奪ったほうが効果的なはずだ。
GM:それらに気付いて注意深く観察すれば、見つけられる。水道管めいて壁に埋め込まれた、細長い水晶管だ。
GM:その管内で光の屈折反射を繰り返す事で、術者の実質的な視野を延長・確保している。
GM:これら全てを見つけ出して破壊すれば、先程までのような正確な妨害を封じることができるだろう。

GM:……という感じで

・フェイズ4進行判定
技能:知覚
難易度:7
必要フェイズ進行値:35
成功時:達成値と同値の進行値を加算。フェイズ進行値35で次のフェイズへ以降。
失敗時:特になし。また、次にPCの誰かが行うフェイズ4進行判定の達成値が+5されます。

GM:という感じです。
GM:あ、あと
GM:フェイズ4に入ったので 久遠さんはNPCカードを使用できます。
GM:説明以上です。
久遠仁:やった~
GM:では演出は省略とのことなので、つぎ。

GM:4ラウンド目行動値9、永良さん。どうぞ~
永良ゆづり:はいさい
永良ゆづり:マイナーなし、<知覚>で判定
永良ゆづり:3dx+4>=10
DoubleCross : (3DX10+4>=10) → 5[2,4,5]+4 → 9 → 失敗

永良ゆづり:ぎゃうん
GM:おつらい
GM:行動値9だけど感覚1なんだな……
GM:ではまた……自爆野郎が来ます
永良ゆづり:破壊者のえらえらポイントですね
永良ゆづり:ぐえぇ
金剛機人:宣言はさっきと同様。
金剛機人:14dx+6@7
DoubleCross : (14DX7+6) → 10[1,2,3,3,4,4,4,5,5,5,6,6,9,10]+10[7,8]+10[2,10]+10[10]+10[8]+1[1]+6 → 57

金剛機人:6d10+40
DoubleCross : (6D10+40) → 30[2,1,9,3,7,8]+40 → 70

永良ゆづり:86+1d10 リザ
DoubleCross : (86+1D10) → 86+8[8] → 94

GM:同じエフェクトによるデバフは重複しないので、このままです
永良ゆづり:汚染値8、以上!
GM:はあい

GM:では行動値5、亜藤さんどうぞ。
亜藤 蘭介:はーい
亜藤 蘭介:マイナー無しで<知覚>振り
亜藤 蘭介:4dx+4>=10
DoubleCross : (4DX10+4>=10) → 6[1,3,3,6]+4 → 10 → 成功

亜藤 蘭介:ギリ!
GM:成功!では久遠さんたちと合流できます
亜藤 蘭介:おまたせ~

GM:では行動値4、穂村さん
GM:補正は8になってます。
穂村 姫乃:では3度目の挑戦
穂村 姫乃:4dx+8>=12
DoubleCross : (4DX10+8>=12) → 8[3,6,7,8]+8 → 16 → 成功

穂村 姫乃:さっき出てくれ
GM:成功!脱出できました
GM:進行値1に。
GM:演出どうぞ~

穂村 姫乃:「ふむ」
穂村 姫乃:壁の内側にて腕を組み目を眇める。
穂村 姫乃:先ほど外壁に穴を開ける際に能力を使ったせいで多少見極められたのか、今度の壁は随分と耐火性能が高い。
穂村 姫乃:力押しでは壁の表面がじりじりと焦げ付いていくばかり。そう容易くは破れまい。
穂村 姫乃:「少しばかり時間をかけてしまったの」
穂村 姫乃:故に、技による確実性を優先した。
穂村 姫乃:鮮血によって作られた巨大な錐。それがガリガリと独りでに壁を削り穿ち。
穂村 姫乃:壁の内部にて突如その質量全てを炎に変える。一瞬で食いつぶされた酸素から激しい気圧差が生じ――。
穂村 姫乃:結果として。巻き起こった爆風と共に壁は崩れ去った。
穂村 姫乃:「まあ毒はたいして効果のキツイものでもなし。今更少し派手に壊れたことで困ることもなし」
穂村 姫乃:「出遅れとらんかだけが心配じゃな」
穂村 姫乃:爆風にも毒ガスにも動じる素振りなく周囲を見渡した。
GM:4ラウンド目終了。

GM:5ラウンド目!
GM:セットアップは双方なしかなと思うので
GM:行動値23、久遠さんからどうぞ。
久遠仁:穂村さんの判定を代行します
GM:OK。知覚でどうぞ~
久遠仁:3DX>=10 
DoubleCross : (3DX10>=10) → 8[3,8,8] → 8 → 失敗

久遠仁:羽海さん!
羽海束沙:達成値+3!
羽海束沙:だけど……その
羽海束沙:ゾロ目なので……爆発します
久遠仁:ギャーッ
GM:3d10 爆発。装甲有効
DoubleCross : (3D10) → 20[8,2,10] → 20

久遠仁:UGNボディアーマーで8減らしてなんとか生きてます
GM:すごいぜ
久遠仁:久遠仁のHPを8に変更 (20 → 8)
GM:では3人合流するけど……演出します?
久遠仁:しますか
GM:それか永良さんのとこまで待つかな
GM:どっちでもいいよ
亜藤 蘭介:あーそれでもいいかも
久遠仁:そうかも
穂村 姫乃:そっちにしますか
GM:では待ちかな
永良ゆづり:ありがてぇ
穂村 姫乃:手番次ですし
亜藤 蘭介:1ラウンド……ここで待つ!

GM:そしたら行動値9、永良さんどうぞ~
永良ゆづり:知覚!
永良ゆづり:3dx+8>=10
DoubleCross : (3DX10+8>=10) → 8[3,7,8]+8 → 16 → 成功

永良ゆづり:OK
GM:無事突破!
亜藤 蘭介:やた~
GM:全員がフェイズ3をクリアしました
穂村 姫乃:やったぜ
久遠仁:よかった~
GM:では演出!

永良ゆづり:「────っと、見つけた」
久遠仁:「おう、永良じゃないか」そこら中を手当たり次第に駆けずり回って探していた。
久遠仁:「良かった。これで全員だな」
羽海束沙:「……! 無事、だったんですね」僅かに安堵したような息をつく。
永良ゆづり:「……私が最後ね。申し訳ない」
穂村 姫乃:「いやいや。儂は仁に見つけてもらって先を越しただけじゃよ」
穂村 姫乃:「あの壁に予想以上に手こずらされてしまっての。やはりヤツの錬成の腕は並外れとるな」
永良ゆづり:「ええ、一人も欠けていない様で良かった」
亜藤 蘭介:永良を見据え頷き、炭化した節々を再生させている。
羽海束沙:「その途中で、さっきとは別タイプの機械人形に出くわしたりしたわね。上手く追い払えたけど……」
羽海束沙:「また、さっきのような地雷を起動してしまって」
羽海束沙:久遠さんに少し申し訳無さそうな目を向ける。謝罪はすでにしたので、言葉にして繰り返すことはないが。
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「気にする必要はないわ。起爆しやすい場所を狙って設置しているだけでしょう」
羽海束沙:「……ありがと」微かな声で、永良さんにそう応じつつ。
久遠仁:「あまり居心地の良い城じゃあないな。ハハハ」
"ビー"北条サイカ: 「ええ。本当に、誰も欠けなくてよかった……また分断されないように、気をつける必要はありますけど」
久遠仁:「ああ。これで北条が消耗させられていたら一大事だった」
"ビー"北条サイカ:「ええ。そこは、運も良かったです……あたし一人になりましたけど、最小限の消耗で切り抜けられたかと」
穂村 姫乃:「何よりじゃな。であれば後は、術師本人の居場所を探るのみか?」
"ビー"北条サイカ:「そこもなんですが……先に、術者の"目"を潰すべきかと」
永良ゆづり:「……そうね。何処からか見てないと、ギミックの精度を保てないはず」
羽海束沙:「さっきの戦闘で崩落した天井の一部から、こういう物が見つかったわ」両端の折れた、細長い透明色の管のようなものをつまんで見せる。
亜藤 蘭介:「あの"自爆マネキン"の精密さは段違いだったからな」呟いて、羽海が掲げたものに視線を移す。
亜藤 蘭介:「む。これは……」
羽海束沙:「特殊な形をしているけれど、要はレンズのようなものです」
羽海束沙:「管内の光の屈折を利用して、視界を遠い場所まで送りつけてる」
羽海束沙:「これを血管のように建物中に張り巡らせる事で、私達の動きを把握していたんでしょう」
久遠仁:「要は、片っ端からこいつを探して潰していけばいいってことかな」
羽海束沙:頷く。「罅が入れば正常に機能しないものだから。それで、向こうもこっちの動向を今までのようには把握できなくなるはず」
穂村 姫乃:「器用な真似をしよるなぁ……。あい分かった」
永良ゆづり:「なるほど、了解」
亜藤 蘭介:「よく考えたものだ」
亜藤 蘭介:軽く手首を鳴らし、再び剣を握る。

GM:ではイニシアチブ5、亜藤さんどうぞ
亜藤 蘭介:はーい
亜藤 蘭介:う~んデメないなら無理に砂加護使うこともないか…
亜藤 蘭介:マイナー無し。
亜藤 蘭介:メジャーで<知覚>判定いきまーす
GM:どうぞ~
亜藤 蘭介:4dx>=7
DoubleCross : (4DX10>=7) → 10[3,3,9,10]+5[5] → 15 → 成功

GM:つよい
亜藤 蘭介:今???
亜藤 蘭介:いいが…
GM:進行値 15/35 です
GM:演出は成功時にまとめましょうか
亜藤 蘭介:はいはい

GM:では次!穂村さんどうぞ~
穂村 姫乃:続いて知覚判定行くぞ
穂村 姫乃:3dx+1>=7
DoubleCross : (3DX10+1>=7) → 7[3,3,7]+1 → 8 → 成功

GM:成功。23/35です。
穂村 姫乃:まあ良し
GM:演出は上に同じ!
穂村 姫乃:あ、永良ちゃんバデム頼んでも良い?
永良ゆづり:バディム入れるとゾロ目になっちゃう……
穂村 姫乃:あ、そっか。じゃあやっぱなしで!
GM:あ、そういえばバディム使ってなかったな
GM:さきさき進めちゃった 失礼
穂村 姫乃:いえいえ、大丈夫です
GM:ラウンド5終了。

GM:ラウンド6です。セットアップはなし
GM:イニシアチブ。久遠さんからどうぞ
久遠仁:知覚で判定します
GM:どうぞ~
久遠仁:3DX>=7
DoubleCross : (3DX10>=7) → 8[3,3,8] → 8 → 成功

久遠仁:まあよし
GM:31/35です。
GM:あと4点

GM:イニシアチブ9、永良さん
永良ゆづり:3DX>=7 知覚
DoubleCross : (3DX10>=7) → 10[1,7,10]+5[5] → 15 → 成功

永良ゆづり:OK
GM:つよい
GM:46/35でフェイズ4突破になります
GM:フェイズ5の説明の前に演出をどうぞ~

亜藤 蘭介:壁面から刃で薄く削り取った金属片。自動修復が行われる寸前で己がレネゲイドを込める。
亜藤 蘭介:粉々になったそれが蘭介の傍らで集束、ヒトの形を成したそれを次々と生成して。
亜藤 蘭介:「行け」
亜藤 蘭介:分体が命を受けた兵隊のように。壁面に埋め込まれた水晶管を、知覚可能な範囲にあるそれらを片っ端から荒々しく拳で砕いていく。
穂村 姫乃:この城を構成するすべては萩原カノンの手による錬成物であり、すなわち元をたどればレネゲイドそのものである。
穂村 姫乃:そして、ただ遮るために錬成された壁と目の代行として錬成された管とでは、その構成にも密度にも違いがある。
穂村 姫乃:ことレネゲイドコントロールに関しては卓越した腕を持つ穂村であれば、その差を見抜くことは不可能ではなく。
穂村 姫乃:「……これで5つは壊せたかの」
穂村 姫乃:壁の奥に隠されたそれを穿つように血と炎の槍を飛ばすことも、また容易い所業となる。
永良ゆづり:右手に携えた峨嵋刺で、壁の一点を貫く。
永良ゆづり:直ぐに自己修復が始まるだろうが。壁に埋まった水晶管の大本を抉れていれば作業は完遂している。
永良ゆづり:瞬間。壁面を疾走する様に、埋まった管が炸裂していく。
永良ゆづり:管に流入した白煙で内部を燃焼させ、葉先から根を辿って焦がす様に破壊工作を行っていた。
久遠仁:鞘の先を用い、一定間隔で壁を叩きながら通路を進んでいく。
久遠仁:不意にぴたりと足を止める。その位置だけ音の浸透、反響音が他と異なるのが、つぶさに分かった。
久遠仁:「そこか」
久遠仁:高速の刺突で、壁の奥、水晶管を正確に砕き割る。
久遠仁:「さて……これで大分減らせたはずだが……」
羽海束沙:「そうね。これで、向こうもこちらを補足することが困難になったはず……」
GM:事実、その通りだった。周辺にある全ての知覚器官を破壊し、術者からの追跡を絶った君達は
GM:隔壁を破壊し、更に深層へと進んでいく。
GM:迎え撃つ機人の配置も、その進軍速度に追いつかない。
GM:射撃・封鎖攻撃の捕捉精度も、見るからに落ちてきている。
GM:……そうして、今
GM:君達の目の前にあるのは、最も魄柱に近い防御階層。
GM:これまでの壁とは異なり、斬り裂き削ろうとも底の見えることのない巨大金属塊だ。
"ビー"北条サイカ:「ここを突破すれば、最後の魄柱が……」
GM:……不意に。天井から、何かの擦れるような音がする。
GM:轟くような音と共に、君達の頭上にある天井が、見る間に降下してきている。
GM:この部屋だけではない。恐らくは、このフロアを丸ごと潰す形で。
久遠仁:「おいおい……忍者屋敷か?」
穂村 姫乃:「流石にヤバなんじゃが。マジで何でもアリじゃなここ」
羽海束沙:「……こちらの姿が見えないならば、見境なくまとめて潰すというわけ」
"ビー"北条サイカ:「に、忍者屋敷でもここまでではしないでしょう……!?」
亜藤 蘭介:「言ってる場合か……!」
永良ゆづり:「それだけ形振り構っていられないのでしょう、ここを凌げばゴールは近い」
"ビー"北条サイカ:「ええ。とにかく、ここまで来たら壊して突き抜けるしか……!」

GM:……という感じで、フェイズ5に入ります。

・進行判定
技能:任意の命中判定
難易度:自動成功
必要フェイズ進行値:160

GM:成功時:達成値と同値の進行値を加算。160を上回ればフェイズ5、ならびに前半戦闘を突破。
GM:装甲無視は+20の補正が入ります。他よりも装甲値の高い壁なので。
亜藤 蘭介:やった~!
GM:また、クリンナップ毎に、天井からの圧殺によりPC全員が10D10のダメージを受けます。
久遠仁:ぎぇ~
GM:このダメージをカバーすることはできません。
GM:説明以上です。
GM:質問なければ判定に入っていきます
永良ゆづり:大丈夫~
亜藤 蘭介:OK!
久遠仁:大丈夫です
穂村 姫乃:OKです

GM:はあい では行動値5の亜藤さんから
GM:行動どうぞ~
亜藤 蘭介:はーい
亜藤 蘭介:マイナー無し。
亜藤 蘭介:えーとメジャーで《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を4(→ 4)増加 (93 → 97)
亜藤 蘭介:9dx7+6
DoubleCross : (9DX7+6) → 10[1,2,4,4,4,5,5,9,10]+3[1,3]+6 → 19

亜藤 蘭介:ウソだろお前
GM:装甲無視なので39かな
亜藤 蘭介:そうでした
GM:39/160 です。
亜藤 蘭介:以上ッス!

GM:OK。では行動値4の穂村さん
穂村 姫乃:ではNPCカードの羽海さんをお借りします
羽海束沙:どうぞ。ダイス+10個です
穂村 姫乃:ありがと!使うエフェクトは最低限の蝕む赤Lv5のみ!
穂村 姫乃:10dx+24
DoubleCross : (10DX10+24) → 9[1,2,2,3,5,5,5,7,8,9]+24 → 33

GM:ゾロ目だ~
永良ゆづり:とりあえずバディム。
GM:爆発回避!
永良ゆづり:羽海ちゃんのも乗せちゃいましょう
穂村 姫乃:助かった
羽海束沙:まだあったわね 乗せますか
GM:達成値39に。
GM:78/160 です。
穂村 姫乃:マジで助かる~!
GM:では演出は突破時に一括として

GM:クリンナップ。天井降下、上階数百メートル分の重圧が一階にかけられる事によるダメージ
GM:10d10 装甲有効
DoubleCross : (10D10) → 46[4,8,8,6,1,7,1,2,4,5] → 46

永良ゆづり:ぎゃーっ
亜藤 蘭介:死にんちゅ!
久遠仁:ぎぇ~~~
穂村 姫乃:えっぐい!
永良ゆづり:94+1d10 リザ
DoubleCross : (94+1D10) → 94+3[3] → 97

久遠仁:94+1D10 リザレクト
DoubleCross : (94+1D10) → 94+3[3] → 97

亜藤 蘭介:97+1d10
DoubleCross : (97+1D10) → 97+10[10] → 107

穂村 姫乃:蝕む赤で一点増えた後にリザ!
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 4)増加 (71 → 75)
亜藤 蘭介:クゥン…
永良ゆづり:汚染値9!
亜藤 蘭介:汚染値4!
穂村 姫乃:同じく汚染値9
GM:ではクリンナップならびにラウンド6が終了。

GM:ラウンド7。セットアップは双方なさそうなので
GM:久遠さんどうぞ。
久遠仁:≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫で判定
久遠仁:9DX7+7
DoubleCross : (9DX7+7) → 10[1,1,2,5,6,8,8,10,10]+10[1,2,6,7]+10[7]+10[7]+10[10]+10[10]+10[8]+4[4]+7 → 81

久遠仁:マジ?
GM:いややる気
GM:マジ?
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (94 → 98)
久遠仁:ミス
永良ゆづり:やりおる……
GM:これだと159/150になるが……
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (97 → 101)
亜藤 蘭介:草
GM:違う 159/160
穂村 姫乃:マジで出目が神がかってる
永良ゆづり:バ!
GM:バディムあれば突破じゃが……
GM:はい突破!
久遠仁:最強エンブレム!
GM:162/160
GM:最強なのは君だが……
GM:では演出。

永良ゆづり:口火を切って白煙が蛇めいて伸び、この場に居る皆の体躯や武器に纏わりつく。
永良ゆづり:「諸々は端折るけど、この白煙はレネゲイド能力の出力と効率を引き上げる」
永良ゆづり:「多少うっとおしいかもしれないけど、気にせずどうぞ」
久遠仁:「助かる、が……」迫りくる吊り天井、その膨大な質量を見上げる。
久遠仁:「参ったな。こういう力業は苦手でね」
久遠仁:久遠の能力はあくまで高速機動だ。その運動エネルギーはある程度の破壊力に繋がりはするものの、一定以上の広域・大質量攻撃には不向きだ。
久遠仁:ガシャン、と金属音。
久遠仁:先の戦いで機能停止した機人や、水晶管の捜索で破壊された瓦礫群。
久遠仁:それらがコマ送りのように見る間に堆く積み上げられ、挟み込まれ、天井の落下を僅かに遅滞させる。
久遠仁:「悪いが主役は頼むぜ、お二人さん」
亜藤 蘭介:久遠が稼いだ僅かな時間。直ぐ様握った刃を上段に構えて。
亜藤 蘭介:分厚い金属塊を見やって。一点集中。
亜藤 蘭介:並大抵の攻撃では風穴一つ空けることすら不可能。埒外のレネゲイドで構成されたそれを断つには。
亜藤 蘭介:硬化/再生/補修。"萩原カノン"による領域操作のサイクル、その間隙。
亜藤 蘭介:白煙纏う刃が燃焼。続けざま、振り下ろし、振り上げる。二筋の斬撃が壁面に走る。
亜藤 蘭介:壁面全てを断ち切るほどの技量も、出力も。己には無いが。
亜藤 蘭介:修復し、再生するまでの。秒数にして僅か。
亜藤 蘭介:しかし、オーヴァードにとっては十二分な時間の"切れ目"を生み出すことであれば。
亜藤 蘭介:「─────羽海、穂村!」
穂村 姫乃:「ああ。承った」
穂村 姫乃:二人が時間を稼いだ間、指先に開いた傷から血を抜き出して練り上げた紅い弾丸。それを羽海の方へと親指で弾き。
穂村 姫乃:「束沙、コイツを部屋中駆けまわるように撃ってもらえんかの」
穂村 姫乃:「それさえしてくれればあとは儂が任されよう」
羽海束沙:「ええ」その意図を確認する事もしない。淀みない手付きで装填を行いながら
羽海束沙:ただ速度を重視した連射。弾道に変化を付けるような変成はない。
羽海束沙:戦闘や崩落の影響で生じた亀裂・損傷部位を瞬時に分析し、そこにねじ込むようにしながら。天井と壁面に弾丸を刻み込んでいく。
羽海束沙:「ッ、ぐ……!」久遠が作り上げた支柱も崩れかかり、金属の天井に頭を押さえつけられる。
羽海束沙:膝を付き姿勢を崩しながら、それでも手を休めず撃ち切った。
永良ゆづり:「っ、束沙!」彼女の傍へ向かおうとして。
穂村 姫乃:「すまんの、ゆづり。今は動かん方が良い」
穂村 姫乃:「手荒く行くぞ」
永良ゆづり:「……ごめん、お願い」
穂村 姫乃:胸の前で柏手を打つように
穂村 姫乃:神社参りの三々九度のように胸の前で手を打つ。パチンという音がいやに響いて――。
穂村 姫乃:埋め込まれた弾丸によって一切の瓦礫が溶け落ちる。燃焼という過程さえ置き去りにして。
穂村 姫乃:元より、管の破壊の際に使われた永良の煙が充満した部屋だ。火種は十二分に足りていた。
穂村 姫乃:そこに普段の液状とは違う、一つ一つに普段使う量の優に数倍を込めた弾丸という起爆剤が合わされば。
穂村 姫乃:雪崩のように尽きず振っていた筈の瓦礫さえ十分に溶かせるだけの熱量がそこに顕現していた。
穂村 姫乃:「……うむ。酸素の問題もなさそうじゃな」
穂村 姫乃:居並ぶ5人の顔つきを確認した上で頷いて。
穂村 姫乃:「流石にこの規模を燃やし尽くすと何が起こるか分からんでの。束沙とゆづりの手を借りたお陰で危ない橋を渡らんで済んだ」
亜藤 蘭介:げほ、と咳き込んだあと。「竈神、ここに在りと言った所か」
永良ゆづり:「……ええ。圧巻、ね」
羽海束沙:「見事、と言う他ないわね……それじゃあ」
羽海束沙:一連の熔撃で目の前に開いた大穴と、その向こうに見える黒い樹皮を見やって。
羽海束沙:「早く、抜けましょうか」
久遠仁:「いよいよ本丸か」
"ビー"北条サイカ:「……ええ」身体に付いた煤と血を払い落とす。少しやつれた顔で言う。「本当に、ようやく」


GM:---
GM:魄柱防衛鎧塔カヴァーチャ 1F中核部
GM:---
GM:円筒状の城の内側。無数の銀線が網のように張り巡らされた空間だ。
GM:そう広いスペースではない。中央には、相対するは三度目となる黒い巨木。
萩原カノン:その根本に腰掛け息を切らす、白髪の少女が一人。
萩原カノン:「……ああ」
萩原カノン:「来ちゃった」
萩原カノン:君達を目にして、呟く。
永良ゆづり:「こんにちは、萩原カノン」同じく、彼女の姿を捉えて。
久遠仁:「……“カノンボール・シアター”」
久遠仁:「一応聞くが…… その木、切らせてもらうわけにはいかんかね」
久遠仁:「ここまで来られた時点で、勝ち目が薄いのはあんたも分かってる筈だ」
萩原カノン:「……優しいね」ふう、と息を吐く。
萩原カノン:「私が勝つ筋道が薄いのは、そうかもね。だけど」
萩原カノン:「私達の勝利条件は、そこじゃないから」
永良ゆづり:「(……私、達)」
GM:君達のタイムリミットは、北条サイカ本体のジャーム化。……ひいては、そうして拡張した能力の行使による、夢界の定着。
GM:はっきりと語ることはしないが。あの道中の悪辣な罠も、彼女にとっては時間を稼ぐための戦いであったのだろう。
永良ゆづり:「だけど、こちらも引けない。押し通らせてもらう」
永良ゆづり:両腕をぐん、と払い。袖先から二本一対の峨嵋刺を取り出す。臨戦態勢。
穂村 姫乃:「儂らが時間切れになればそちらの勝ちか。厄介な勝負ではあるが」
穂村 姫乃:「ゆづりの言うとおり、互いに引けるわけでも無し。こうするしかないんじゃろうな」
亜藤 蘭介:「………」
穂村 姫乃:本性を現したまま僅かに苦笑する。いつでも戦闘に移れる構え。
亜藤 蘭介:前の"自分"と。眼前に座り込む、儚げな雰囲気の彼女とは。あまり親しげに会話をした記憶はない。
亜藤 蘭介:"離脱"する間際には少しづつ心を開き、打ち解けた様子があったものの。元来、人付き合いが得意では無いタイプだったのだろう。
亜藤 蘭介:戦闘の火蓋が切って落とされれば。"敵"とゆっくりと会話する間などない。
亜藤 蘭介:この中で、一番、彼女が心を開いていたのは。
亜藤 蘭介:柄の握りを直し。姿勢を低く。
亜藤 蘭介:「羽海」
亜藤 蘭介:「話すなら、今。この瞬間だけだ」
羽海束沙:「……」一瞬、迷った様子を見せて。
羽海束沙:何も言わず、いつものように銃を構える。
羽海束沙:「時間がないと、言った所でしょう。私は……」
萩原カノン:そう話す少女の目を見つめながら、ゆっくりと立ち上がる。
萩原カノン:「……こんな風に、再会したくはなかったな」
萩原カノン:「次に会った時は、また」
萩原カノン:「あなたに歌を聴いてもらいたいと、思ってたんだ」
萩原カノン:「あれからまた……少しは、上達したと思うから」
羽海束沙:「……」伺い知れない感情の籠もった目で、それを見つめ返す。
羽海束沙:「そうでしょうね」
羽海束沙:「貴方の姿勢を見ていれば、分かる」
羽海束沙:「きっと来月には、もっと上手くなっているんでしょう。素人の私にも、はっきりとわかるくらい」
萩原カノン:「それは……来年には、更にもっと?」
萩原カノン:「期待、してくれてるんだ……うれしい、な」ふふ、と疲れたように笑う。
羽海束沙:「……ええ。期待してた」
羽海束沙:「見届けてみたかったわ。貴方の生きた未来を」
羽海束沙:仮初とはいえ、一度はそれを守ると決意した身だ。だからこそ
羽海束沙:"もうひとりの自分"に、別れを告げるために。
羽海束沙:「でも、私は──私達は」
羽海束沙:「認めるわけにはいかない」
羽海束沙:「たとえ、貴方達が犠牲者なのだとしても」
羽海束沙:「この街の日常を犠牲にする、そのやり方に」
羽海束沙:「未来を与えることは、できない」
萩原カノン:「……ええ。知っているわ」
萩原カノン:「貴方達は、優しくて正しい。……妬ましいくらいに」
萩原カノン:「私は、こうやって誰かを踏み躙る方法でしか」
萩原カノン:「幸せになる努力を知らない」
萩原カノン:「……惨めで、どこまでも間違ってる。そんな事は分かってる」
萩原カノン:「私ひとりの事なら、諦めてたかも」
萩原カノン:「だけど、これは」
萩原カノン:「私だけじゃなくて、みんなのものだから」
萩原カノン:白い光輝の帯が、少女を包む。先程まで遠隔に受けていたものとは別質の。
萩原カノン:「……壊させない。たとえ、差し違えたって」

GM:ミドル戦闘3、後半に入ります。
GM:まず衝動判定です。目標値は9。
GM:この判定に失敗しても暴走はしませんが、成功で汚染値が+1、失敗で汚染値が+3されます。
久遠仁:4DX>=9
DoubleCross : (4DX10>=9) → 9[1,4,6,9] → 9 → 成功

久遠仁:汚染値2>3
永良ゆづり:4dx+2>=9 一品ブランケット
DoubleCross : (4DX10+2>=9) → 9[5,6,6,9]+2 → 11 → 成功

永良ゆづり:汚染値10
久遠仁:101+2D10 侵蝕率
DoubleCross : (101+2D10) → 101+7[3,4] → 108

亜藤 蘭介:4dx+4>=9 思い出ブランケット
DoubleCross : (4DX10+4>=9) → 10[3,7,9,10]+8[8]+4 → 22 → 成功

亜藤 蘭介:107+2d10
DoubleCross : (107+2D10) → 107+11[10,1] → 118

穂村 姫乃:5dx+1>=9
DoubleCross : (5DX10+1>=9) → 9[4,4,6,7,9]+1 → 10 → 成功

穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2d10(→ 9)増加 (75 → 84)
亜藤 蘭介:汚染値5。
穂村 姫乃:汚染値10
GM:OK。では、エンゲージを表示します。

・エンゲージ
[ 魄柱・債苛(00)、“カノンボール・シアター”(16) ]
10m
 [ 久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:続けて、諸々の条件を確認します。
GM:勝利条件:「魄柱・債苛」の破壊
GM:戦闘終了条件:”ビー”のNPCカードの効果①を使用すること
GM:補足1:前回同様、ここでネームドエネミーを撃破しないまま戦闘終了した場合、それらのキャラクター全員との戦闘が後ほど追加で発生します。
GM:補足2:今回は増援イベントが発生しません。ほぼ閉鎖した空間なので……。
亜藤 蘭介:アヤッタ!
GM:説明は以上。
GM:では、ラウンドの進行に入っていきます。

GM:ラウンド1。セットアップ。
GM:エネミー側はありません。
亜藤 蘭介:ありません。
久遠仁:なし
永良ゆづり:なし!
穂村 姫乃:無し!
GM:OK。では加速もなし
GM:行動値23、久遠さんからどうぞ。
GM:シーン継続効果は適用されているものとします。
久遠仁:マイナーなし
久遠仁:メジャー≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫+≪獅子奮迅≫
久遠仁:エンゲージしつつ攻撃、対象は魄柱と萩原カノン
GM:OK。命中どうぞ
久遠仁:10DX7+7
DoubleCross : (10DX7+7) → 10[4,5,5,6,8,8,9,9,10,10]+10[1,5,7,8,9,10]+10[5,6,7,10]+10[1,8]+2[2]+7 → 49

永良ゆづり:バディム
GM:つよ……
久遠仁:ありがとうございます 52に
GM:ではリアクションですが
萩原カノン:こっちはガード。
魄柱・債苛:《復讐の刃》します
久遠仁:ゲッ
久遠仁:仕方ないな……
久遠仁:≪デビルストリング≫
久遠仁:打ち消します
魄柱・債苛:ギャッ
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (108 → 114)
魄柱・債苛:何もできない……!
GM:ではダメージどうぞ。
久遠仁:ダメージ!
久遠仁:6D10+30+10
DoubleCross : (6D10+30+10) → 31[9,10,2,1,7,2]+30+10 → 71

GM:つ、つよ
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を8増加 (114 → 122)
萩原カノン:《領域の盾》自身で魄柱へのダメージをカバーします。
久遠仁:何だと~
萩原カノン:装甲とか差し引いてダメージ。めちゃ痛い。
GM:演出どうぞ。

久遠仁:刀身の無い刀を抜き、掌へと当てる。めきめきと腕部が蠢き、腕が鞘であったかのように、金属骨格が刃を形成する。
久遠仁:「……悪いが、時間が無いんでな」
久遠仁:兜の中で視線を動かす。その先には“ビー”の姿。
久遠仁:「少し急がせてもらう」
久遠仁:刀を構えた久遠の姿が、萩原カノンの視界から消失する。
萩原カノン:「……!」この男の異能が埒外の速度にある事は知っている。先程までのカヴァーチャを介した遠隔戦闘の中で、何度も目にした。
萩原カノン:視認してからの反応では間に合わない。「消えた」事が見えた時点で、既に遅れている。
萩原カノン:その移動経路を捕捉することもできない。自身と魄柱への経路を封じるように、最小限の防壁を錬成する。
萩原カノン:極限まで磨かれたその錬成においては、領域内におけるその「錬成する速度そのもの」が達人の打速の域にある。
萩原カノン:常人の目には、「瞬間的に壁が現れた」としか見えないだろう。だが、それすらも──
久遠仁:「自分から」
久遠仁:「逃げ場を塞ぐか?」
久遠仁:その声が耳に届いた時には、既に。
久遠仁:萩原の五体は斬り裂かれている。夥しい血飛沫が舞う。
萩原カノン:「あ、ッ……」
萩原カノン:血を吐く。自分の意識が残っていることを確認。引き裂かれた手脚を、乳白色の水銀めいた物体が繋ぎ直す。
久遠仁:「……見上げた覚悟だ」
萩原カノン:「っ、まだ……」
久遠仁:表情を映さぬ兜が、血に塗れたその姿を見据える。
萩原カノン:僅かに一瞬、後方を見やる。魄柱に傷はない事を確かめて、なおも向かい合う。

GM:行動値16。萩原の手番です
萩原カノン:マイナー《インフィニティウェポン》《ハンドレッドガンズ》《ヴィークルモーフィング》《黒曜の鎧》《シールドクリエイト》
萩原カノン:2種類の装甲を獲得。行動値-6。
萩原カノン:メジャー「崩壊するアルケウス」《コンセントレイト》《サンドシャード》《棘の縛め》《要の陣形》《ペトリファイ》《クリスタライズ》
萩原カノン:オート《砂の加護》《砂塵霊》
萩原カノン:インフィニティウェポンで攻撃。対象は久遠さん以外の3人。
久遠仁:そんな……
萩原カノン:命中で行動値-20と硬直付与です。
永良ゆづり:ゆづぇーっ!!
亜藤 蘭介:らんらんすーっ!!
穂村 姫乃:キッツいが!?
萩原カノン:18dx+7@7 命中
DoubleCross : (18DX7+7) → 10[1,2,2,3,3,3,3,4,4,5,5,5,6,7,8,8,9,10]+10[2,2,2,4,7]+10[7]+4[4]+7 → 41

亜藤 蘭介:とりあえずドッジ!
亜藤 蘭介:7dx+1>=41
DoubleCross : (7DX10+1>=41) → 8[2,4,4,7,7,8,8]+1 → 9 → 失敗

亜藤 蘭介:うん!!!
穂村 姫乃:一応ドッジ
穂村 姫乃:5dx>=41
DoubleCross : (5DX10>=41) → 9[1,5,5,7,9] → 9 → 失敗

穂村 姫乃:無茶言うな
永良ゆづり:6dx>=41 ドッジ
DoubleCross : (6DX10>=41) → 10[1,6,7,9,9,10]+4[4] → 14 → 失敗

永良ゆづり:カバー考えます
萩原カノン:5d10+41 装甲無視
DoubleCross : (5D10+41) → 28[5,2,10,4,7]+41 → 69

GM:あ、ごめん
GM:見てからカバーしていいよ
永良ゆづり:《炎陣》で穂村さんをカバー、侵蝕99。
穂村 姫乃:すまん、助かる!
亜藤 蘭介:死亡。穂村さんのロイスをタイタス昇華。
GM:OK。では永良さん亜藤さんに命中
永良ゆづり:99+1d10
DoubleCross : (99+1D10) → 99+5[5] → 104

亜藤 蘭介:HP14で復活。
永良ゆづり:汚染値11!
亜藤 蘭介:汚染値6。
GM:はーい。では演出

萩原カノン:彼女が帯びる領域。それが持つ気配が、にわかに変化して。
萩原カノン:「ッ……!」表情が苦痛に歪む。自ら皮を裂き、肉を焼くような感覚。その実態は
萩原カノン:良質なレネゲイドを多く含む材質。自身の肉体そのものを材料とした錬成。
萩原カノン:全身の表皮が硬直し、結晶化していく。表情のない人形の水晶そのもののような姿になって。
萩原カノン:──それと同時。同質の領域が、君達の後方に展開されている。
萩原カノン:そこに触れた君達の表皮もまた、硬直していく。ただし術者のそれとは異なる、自由な動きを封じるための材質へと。
萩原カノン:更には空気そのものが金属へと編成され、手に脚に纏わり付いていく。
萩原カノン:殺意によって行われるコーティング。癒着し、圧殺する。一切筋肉を硬直させ、関節を戒めるための。
永良ゆづり:だが、初めに塗装領域に触れたのは人ではなく、煙。
永良ゆづり:全方向を覆い不定の形を取って常に流動する、永良ゆづりの白煙に死角はない。
永良ゆづり:だが、領域まるごど覆い尽くすほどの密度もない。必要なのは取捨。
永良ゆづり:「────っ」ぐらり、と白煙が延び。穂村姫乃と領域の間を埋める様に滞留する。
穂村 姫乃:「……すまんの、助かる」
穂村 姫乃:礼は零しながらも振り向くことは無い。油断なく萩原を見据え続けている。
亜藤 蘭介:殺意を帯びたレネゲイドが纏わり、絡み、侵蝕していく。
亜藤 蘭介:体内の肉、骨。全身が鉄塊と化したよう。立つことすらままならない。
萩原カノン:白煙を振り払い、穂村姫乃へまで届かせるべく操作しようとするが。
萩原カノン:相殺される。レネゲイドもろともに凝固した煙が、地に落ちて割れ音を鳴らす。
永良ゆづり:「(……手段は違えど、萩原カノンも搦手で此方の手数を削ごうとしている)」
永良ゆづり:「(大切なのは、数少ない一撃をなるべく重く、確実に叩き込むこと)」
永良ゆづり:四肢が鈍色に塗れ、身動きが取れなくなる身体を鑑みながら、最適解を。
亜藤 蘭介:「(っ、ふぅ────)」
亜藤 蘭介:必要なのはイメージ。限界を越えた再生機能で。全身の細胞に己のレネゲイドが行き渡るよう。
亜藤 蘭介:今暫くの時間が要る。直ぐ様、攻撃の態勢に移る事が可能な猶予などは有るまいが。それは。全身が一塊の水晶体と化した奴もまた同じ。
亜藤 蘭介:地に伏せたまま、永良を。次いで穂村に視線を移し。巌しいその眼で、己が意志を伝える。

GM:行動値4の穂村さんどうぞ。
穂村 姫乃:はーい。まずはマイナーで相手のエンゲージまで移動。
穂村 姫乃:メジャーでコンボ、神事起こし:蝕む赤Lv5+ブラッドスパイクLv3+災厄の炎Lv5
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)、攻撃力+24、ランク5の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+8
穂村 姫乃:当然魄柱と萩原両方を対象とります。
穂村 姫乃:すみません、普通に移動だと届かないんでマイナーで氷の回廊だけ使います!
GM:OK、どうぞ
GM:あ、あと
GM:命中前にこれがあった
萩原カノン:《守護の大楯》自身を対象に含む攻撃のC値を+1
穂村 姫乃:うわ、面倒な
亜藤 蘭介:ここで
亜藤 蘭介:《砂の加護》+《砂塵霊》を穂村さんに。
亜藤 蘭介:判定ダイス+5とダメージ+16どうぞ。
穂村 姫乃:助かる!では判定
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を6(→ 6)増加 (107 → 113)
穂村 姫乃:6dx11+24
DoubleCross : (6DX11+24) → 10[3,6,8,8,9,10]+24 → 34

萩原カノン:こちらはガード
魄柱・債苛:《復讐の刃》で反撃
萩原カノン:《領域の盾》で魄柱をカバー。
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメージ+1D+18
永良ゆづり:侵蝕が107になって以上。
GM:他なければダメージどうぞ。
穂村 姫乃:あ、サイカちゃんのNPCカードも使います
”ビー”北条サイカ:了解です。ダメージを+5D10
久遠仁:≪餓狼の爪≫ ダメージ+30してください
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を3増加 (122 → 125)
穂村 姫乃:24+16+1d10+18+30+5d10+4d10
DoubleCross : (24+16+1D10+18+30+5D10+4D10) → 24+16+3[3]+18+30+23[4,3,5,5,6]+27[10,6,10,1] → 141

穂村 姫乃:我ながらでっかいな
GM:ええ……
萩原カノン:ガード装甲差し引いてもそれは……無理!
萩原カノン:《魂の錬成》復活します。
魄柱・債苛:復讐ダメージ
魄柱・債苛:8dx@7
DoubleCross : (8DX7) → 10[4,5,8,8,8,9,9,10]+10[2,3,6,8,9,9]+10[5,5,8]+1[1] → 31

魄柱・債苛:4d10+20
DoubleCross : (4D10+20) → 25[1,7,7,10]+20 → 45

穂村 姫乃:それは儂も無理!侵蝕上げてからリザレクト!
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を9増加 (84 → 93)
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を1d10(→ 8)増加 (93 → 101)

久遠仁:────ぴ し っ
久遠仁:小さな音が響く。見ると、萩原の錬成した堅牢な装甲に、幾つもの金属片が突き刺さり、表面に罅を走らせている。
久遠仁:それは彼女自身が創り出した機械人形の装甲片。それを釘と金槌の要領で撃ち込んだ。
久遠仁:その傷はすぐにでも再生・再錬成される程度の小さなものだ。だが──
亜藤 蘭介:ひび割れた僅かな隙間狙い、穿たれるは銅の槍。
亜藤 蘭介:這いずるようにして、壁面へと辿り着いた亜藤蘭介が。
亜藤 蘭介:無数に張り巡らされた銅線を両断し、己のレネゲイドを注入。
亜藤 蘭介:瞬間的に掌握、錬成した即席の飛来物。攻撃のためでなく。
亜藤 蘭介:攻撃の間を作る為、生み出したフェイク。
萩原カノン:「……ッ!」自身の身を守るため、肉体を犠牲に作り上げた装甲だ。薄くとも、その硬度は"カヴァーチャ"の隔壁を遥かに上回る。
萩原カノン:だが、そこに神速の技を加える事で僅かに罅が刻まれた。その修復瞬間を狙い撃つ亜藤の一撃。対応しない訳には行かないと判断。
萩原カノン:右手に振るう、糸状の金属刃。鞭のごとくにしなり振るう。それら全てを叩き落とす。
穂村 姫乃:その間隙のさ中を縫って。彼女の鎧を穿たんと武器が錬成される。
穂村 姫乃:赤く、紅く、朱い。固められた血によって構成された一本の杭。
穂村 姫乃:どこか禍々しく、しかし神々しい。圧縮されたその量は優に人の致死量を超える。
永良ゆづり:彼女の赫杭には、竈神への供物として奉られた白煙が篭められている。
永良ゆづり:塗装領域から一人を守るために三割を。残る七割、ありったけを注ぎ込んだ。
永良ゆづり:如何な堅牢なろ城を突き崩す、一撃必殺の神槍を生み出すため。
穂村 姫乃:「さて。行こうか」
穂村 姫乃:呟きが床に落ちるより早く。杭は人外の理により弾かれるように飛んでいく。
萩原カノン:銅線への対処に気を取られ、僅かに遅れて反応する。
穂村 姫乃:狙いはただ一つ。装甲に覆われた奥、萩原カノンの心の臓へと向けて。
萩原カノン:飛来する、人ならざる威圧感を孕むただ一本。
萩原カノン:直感的にそれが致死にして本命の一撃であると悟る。
萩原カノン:両手を前に突き出す。ドミノめいて、無数の防御壁が立て続けにその飛翔経路上に生え並ぶ。
萩原カノン:一枚、また一枚と。破砕音と共に、投げ放たれた槍はその防御壁を貫通していく。
萩原カノン:(──だが、減速もしている)手を伸ばし、掴む。レネゲイド鍛造によって異常硬度を誇る水晶に覆われた両手が。
萩原カノン:「ッ……!」激しい熱に、表情を歪ませながらも。その速度を殺しきり──
”ビー”北条サイカ:──それこそが一瞬の幻夢。気中に放たれた自身の気化体液を媒介とした知覚干渉。
”ビー”北条サイカ:久遠仁の刻みつけた罅の隙間から、既に萩原カノンを侵食している。この瞬間に毒牙を剥く。
萩原カノン:「──か、っ」
萩原カノン:胸を貫く痛苦が、意識を現実へと引き戻す。
萩原カノン:伸ばした手は空を切って。真紅の槍は自身の胸へと到達している。
穂村 姫乃:「……すまんの」
穂村 姫乃:目標へと到達した深紅の槍が、紅蓮へと開花する。
穂村 姫乃:「人々のため、友との約束のため。お主を逃してはやれん」
穂村 姫乃:内部の煙を食い尽くした炎が爆風を起こしながら燃え上がり、萩原カノンを飲み込んだ。
萩原カノン:「っ、あ……あああああッ!!」
萩原カノン:胸の奥で爆ぜる熱に、表面を覆う装甲は意味を為さない。
萩原カノン:そして、それが如何に耐熱性に優れた金属であろうとも。覆われた内側そのものは血肉の通う人体である。
萩原カノン:「っ、が……ああ……っ」掠れる声と共に、装甲が弾けるように剥離していく。
萩原カノン:身を投げ出すように、倒れ伏す。
萩原カノン:……そうして、灼熱に閉ざされたその意識に、小さな灯が点る。
萩原カノン:走馬灯にも似て。枷の外れた悪夢が、脳裏に映し出される。

萩原カノン:──人に触れるのが怖かった。
萩原カノン:いいや、今でも怖がっている。
萩原カノン:私がそれをするのはいつも、誰かを殺める時だったから。
萩原カノン:犠牲者になるのは、お父さんが連れて来た顔も名前も知らない人間だった。
萩原カノン:大抵はぼろぼろに怪我をしていて、まともな服も着ていない。
萩原カノン:口と手足に枷を嵌められていて、そうでなければ手足は既に斬り落とされている。
萩原カノン:「綺麗な石を作れ」とお父さんは言う。私は言われるがままに手を触れて、力を込める。
萩原カノン:人肌の柔らかな感触が、少しずつ固まっていくのを手のひらに感じて、
萩原カノン:やがて、そこには一塊の石が出来上がる。
萩原カノン:綺麗な色形に錬り上がると、お父さんは私の頭を撫でて褒めてくれた。
萩原カノン:上手く集中できなくて、燻んだ石を作ってしまった時は
萩原カノン:ただ一言「できないのか?」と言った。その眼差しに、私は何よりも怯えていた。
萩原カノン:人が死んでいくのは怖かったけれど、お父さんに失望される事はもっと怖かったから
萩原カノン:そういう時、私は「次こそはできます」と言って、新しい犠牲者を用意してもらった。
萩原カノン:……そうやって、いつか実験が成功したなら
萩原カノン:昔みたいに、優しいお父さんに戻ってくれるんじゃないかと思っていた。

萩原カノン:……結局、そんな事はなかった。
萩原カノン:結局、お父さんが幼い頃の私を──血の繋がってもいない私を、家族と呼んで大切にしてくれたのは、
萩原カノン:人間の絆のというやつが、私の錬成能力に対して好影響をもたらす可能性を考えての事だったらしい。
萩原カノン:そこに有意な影響がないと判断したお父さんは、私に優しくする事をやめた。
萩原カノン:それだけの話だった。初めから私は、愛されてなどいなかった。
萩原カノン:やがて、お父さんは私の能力に限界を見たのだ。
萩原カノン:自分の研究の目的である、賢者の石の錬成には及ばないと。
萩原カノン:それはつまり、お父さんにとって、私を手元に置いておく価値がなくなったということだった。
萩原カノン:私は値札を付けられて、他の組織に売られた。
萩原カノン:彼にとっては私が傍にいることよりも、研究資金を確保する事の方がずっと大切だった。
萩原カノン:結局……私の手元に残ったのは、この能力と
萩原カノン:あの人に気に入られるために、何人もの命を手にかけ続けたという罪だけだった。

萩原カノン:……いつか自由になって、そうしたら
萩原カノン:お父さんを殺しに行こう。
萩原カノン:もう一度会って、思ってたこと全部ぶつけて。心臓を刺して。
萩原カノン:それで、私も一緒に死んでしまおう。
萩原カノン:いつしかそれが、私の生きる目的になった。
萩原カノン:いくつもの組織を売り渡されて。その度に身体を刻まれ、飲まされた薬品の副作用に捻じ切れるような痛みを受け、兵士として新しい罪を重ねながら
萩原カノン:だけど、その目的だけは決して忘れなかった。

 :「……それが、君の理由なのか」
萩原カノン:「そうだよ。だから……君が本気なら、反乱に手を貸してもいい」
 :「……力になってくれるのはありがたい。お前の生きる理由について、俺に口出しする権利もない。だが……」
 :「お前が自ら死ぬと言うのは。どうも、惜しい」
萩原カノン:「……なんで?」
萩原カノン:純粋に、疑問だった。自分のような人間に、そんな言葉をかける事が。
 :「何故、と言われると」
 :「俺がお前の事を仲間だと思っているから……だろうな」
萩原カノン:「ただの……協力関係、でしょう?それも、たった今結ばれたばかりの……」
 :「それは……そうなんだが」
 :「だとしても、自分から死ぬのは勿体ない。死んでしまえば、何もできないんだからな」
萩原カノン:「別に……やりたい事なんて、他にないし」
 :「どうかな。探してみるのも一興だろう。……あるいは、よく思い返してみるかだ」
 :「今まで生きてきた中で、心惹かれたもの」
 :「一つくらい、覚えがあったりしないか。君は俺と違って、"外"を知っているんだから」
萩原カノン:……安い文句だ、そう言ってやりたかったけれど。
萩原カノン:思い出が過ぎった。初めて人を殺した日、その夕方。
萩原カノン:あの優しいお父さんが、「今日はこれが"材料"だよ」と言って、初めて生きた人間を運んできて。
萩原カノン:そんなの、上手くできるはずもなくて。だけど、お父さんに見放されることが怖くて。
萩原カノン:吐き気を堪えながら、必死にその人の全身を作り変えて。悲鳴が、耳にこびりついて。
萩原カノン:……気がつくと、街の外にいた。外に出てはいけないと言いつけられていたのに、その教えも破って。
萩原カノン:帰らなくては、と思った。お父さんにこれ以上、愛想を尽かされたくなかった。……案の定、このあと生まれて初めてってくらいにひどく叱られたんだけれど。
萩原カノン:振り返る視界の端に。煌びやかな街頭スクリーンが見えた。
萩原カノン:その中で、綺麗な服を着た女の子が歌っていた。
萩原カノン:まだ幼い私に、歌詞の意味なんて分からなかったけれど、
萩原カノン:彼女は心から歌う事が好きでそうしているのだということは、伝わってきた。
萩原カノン:そのことが私には、眩しくて、羨ましくて
萩原カノン:こうして、誰かの言いなりになって
萩原カノン:好きでもない人殺しをしている自分の事を思うと、泣き出しそうになってしまった。
萩原カノン:『お父さん』は私が人を殺したくなんかないと言えば、聞き入れてくれるだろうか──
萩原カノン:──胸をつくそんな感傷を、捨てた。
萩原カノン:私が、お父さんの『娘』で居続けるために。
萩原カノン:いま思えば、あの時が……私が自由に生きられる、最後のチャンスだったのかもしれない。
萩原カノン:もうとっくに過ぎた場所だ。
萩原カノン:今ではもう、人を殺すことにもすっかり慣れてしまった。
萩原カノン:私という人間は既に、そういう風に育ってしまった。
萩原カノン:……だけど。あの日諦めたものに、また手を伸ばしても良いのだとしたら。
萩原カノン:お父さんに捨てられてから、もう誰も信用しないと決めていたけれど。
萩原カノン:もう一度だけ、信じてみようと思ったんだ。
萩原カノン:40人全員を必ず生かすと言った、この男を。

萩原カノン:──結局、私はまた裏切られた。
萩原カノン:天城は死んで、「全員で生きる」という夢は途絶えた。
萩原カノン:だったら、もう。道は一つしかない。
萩原カノン:……いいや、分かってる。
萩原カノン:本当は、私が先に裏切ったんだ。
萩原カノン:天城はきっと、最後まで私達のために戦おうとした。
萩原カノン:私の心が、弱かったから。先に壊れただけなんだ。
萩原カノン:……水上は、私よりもずっと強いんだろう。
萩原カノン:私達の目の前で、今。せめて誰かを逃がそうと足掻いてる。
萩原カノン:馬鹿なやつだ、ともう一人の自分が嘲笑う。
萩原カノン:天城を殺せるようなやつが向こうに居るなら、そこを抜けたって死ぬしかないのに。
 :「無理なんだよ……!お前らを殺して、生き延びるなんてのは……!」
 :「それをしなくて済むようにするために、俺は生きてきたってのに!!」
萩原カノン:……うるさい。静かにしてよ。
萩原カノン:馬鹿な事を言うのはやめて。こうなったらもう、言いなりになるしかないんだ。
萩原カノン:貴方でさえ、壁一枚壊そうとしてそのざまなのに。他のやつらが着いて行けるはずないでしょう?
 :「……お前らは、違うのかよ」
 :「自由になりたいって言ったんだろ!? お前らの、見てた希望は」
 :「その程度で、諦めれるモンだったのかよ……!」
萩原カノン:……やめて。お願いだから、これ以上、私の心をかき乱さないで。
萩原カノン:皆の都合なんて、もう考えていられない。
萩原カノン:私が生き残る事だけを。私が勝ち残って、自由になる事だけを──だって、そうでしょう?
萩原カノン:「自分だけじゃない」と、皆を生かして助けると言っていた天城は、どうなった?
萩原カノン:皆の戦いを止めて逃がそうとした水上(あなた)は今、どうなってる?
萩原カノン:──私は、同じ轍は踏まない。
萩原カノン:冷徹になれ。取り乱せば、生き残れない。
"ヴィローシャナ":「生き延びたいなら、選択肢は一つだけ」
"ヴィローシャナ":「初めから言っているだろう。さあ」
"ヴィローシャナ":「本気で、殺し合ってくれよ」
萩原カノン:……そうだ。殺すしかない。
萩原カノン:槍を構える。射出機構の狙いを定める。
萩原カノン:目の前で、自分よりも位階の高いたった一人の"バース"が、無防備な背を晒している。
萩原カノン:これ以上の好機はない。だから、射った。
萩原カノン:それだけだ。それだけの話なんだ。
萩原カノン:これが殺し合いだって分からない、貴方が悪いんだ。
萩原カノン:そう、己に言い聞かせながら。末期の声を聞く。
萩原カノン:世界が、閑かになっていく。
萩原カノン:私をざわめかせるものが、消えて……否。
萩原カノン:最後の刹那、振り返った彼と目線が交わって。
 :「……っ……逃げ、て」
 :「生き、ろ……」
萩原カノン:「────」
萩原カノン:振り絞るように発された言葉が、ずっと耳にこびり付いて。
萩原カノン:涙が視界に滲む。固まった筈の決意が、崩れていく。
萩原カノン:なんで、恨み言の一つも吐かないの?
萩原カノン:なんで、私なんかに生きろなんて言うの?
萩原カノン:……なんで、あなたたちは
萩原カノン:そんなに、優しいの
萩原カノン:──そうして生まれた、意識の間隙。
萩原カノン:ここはまだ、戦場の最中であるのに
萩原カノン:足を止め、耳を傾けたこと。それが、萩原カノンの敗因であり死因。
萩原カノン:「か、っ……」黒い茨が、心臓を抱く。
萩原カノン:肉を抉られ、力を吸われていく感覚。だけど
萩原カノン:誰が殺したか、なんて事はどうでもよかった。
萩原カノン:最後まで、心は激しく乱されて。私はどうすべきだったのか、何のために生きていたのか。
萩原カノン:何一つ答えの出ないまま、萩原カノンの命は潰えた。

萩原カノン:「……ああ。なんで」
萩原カノン:肉体が焼け焦げていく。喉がひどく渇いて、だけど
萩原カノン:鮮烈な記憶の中、意識だけがはっきりしている。
萩原カノン:「今になって、思い出すかな」
萩原カノン:灼熱の中、人影が揺らめく。ふらり、と立ち上がる。
萩原カノン:爆炎によって破砕した自身の内臓を塗り固め、補うように。白銀色の金属が、傷口を覆っていく。
萩原カノン:あの時どうすれば良かったのか。結論は出ない。だけど
萩原カノン:今からどうすればいいのか。たった一つ、分かっている事がある。
萩原カノン:「……勝たなく、ちゃ」
萩原カノン:「この樹を、守って……みんながまた……生き返ったら。今度こそ」
萩原カノン:「あいつに、伝えないと」
萩原カノン:「あの時。撃って、ごめんなさいって」
亜藤 蘭介:伝播する記憶。漏出する萩原カノンの想い。
亜藤 蘭介:致命に至る一撃をその身に受けて尚、勝利への渇望、贖罪への執念で立ち上がる眼前の女は知る由も無いが。
亜藤 蘭介:今と同じように、水上ケイという男の。今際の際の記憶と、その想いを垣間見た俺たちは知っている。
亜藤 蘭介:奴が最後まで悔いていたのは。全ての仲間を守りきること敵わず、支配を跳ね除ける事が出来なかった己自身。
亜藤 蘭介:それは、"生き延びるための当然の判断"だ
亜藤 蘭介:─────あの時に萩原カノンが選択した行いは。何一つとして、間違ってなどいない。
亜藤 蘭介:「あるいは、奴なら」
亜藤 蘭介:「何と言うだろうな」
亜藤 蘭介:淋しげに、力なく笑った次の間には。
亜藤 蘭介:瞳の奥に炎を宿し、一歩、また一歩と前へ。
亜藤 蘭介:「萩原カノン」
亜藤 蘭介:「貴様にその機会を与える事は、出来ない」
萩原カノン:「……知ってる」
萩原カノン:それだけ応じて、自身の前方の空間に無数の金属刃を展開する。
萩原カノン:待ち受ける。……覚悟は済んでいる。あの時よりも、ずっと固く。

GM:イニシアチブ0。永良さんと亜藤さんです。
亜藤 蘭介:はーい
GM:お好きな方から行動どうぞ
亜藤 蘭介:マイナーで硬直解除してメジャーで萩原さんに全力移動エンゲージします。
亜藤 蘭介:自分は以上!
GM:演出はいまやったやつかな、OK
永良ゆづり:私もマイナー硬直解除、全力移動で接敵。以上
GM:OKです。永良さんの方はなにか演出します?
永良ゆづり:大丈夫~
GM:はあい。では

GM:敵側イニシアチブ0。
魄柱・債苛:することがないので待機。
魄柱・債苛:もとい、手番放棄。

GM:クリンナップ。
萩原カノン:邪毒による15ダメージ。生存。
GM:冒頭で言ったように、増援判定はありません。
GM:1ラウンド目終了。

GM:2ラウンド目です。セットアップから。
亜藤 蘭介:ございません!
永良ゆづり:なし!
久遠仁:なし
GM:敵側もなし。

GM:イニシアチブ23。久遠さんからどうぞ。
久遠仁:メジャー≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:対象は萩原さん
GM:支援なければどうぞ~
GM:あっどうぞじゃないわ
萩原カノン:《守護の大楯》C値を+1してください。
久遠仁:ゲッ
久遠仁:まあコンセントレイト3だから大丈夫だが……
萩原カノン:そうじゃん……
萩原カノン:何このエフェクト……
亜藤 蘭介:《砂の加護》《砂塵霊》 判定ダイス+5 ダメージ+16 どうぞ。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を6(→ 6)増加 (113 → 119)
久遠仁:うお~
久遠仁:16DX7+7
DoubleCross : (16DX7+7) → 10[1,1,1,2,2,3,4,4,4,5,5,5,6,6,8,9]+10[3,7]+2[2]+7 → 29

永良ゆづり:バディム
久遠仁:ここで回らない
久遠仁:やった~
久遠仁:32です
萩原カノン:ガードします。
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメージ+1D+18 侵蝕が110。
久遠仁:ダメージ前に“ビー”さんのNPCカードを使用します
”ビー”北条サイカ:はあい、ダイス+5です。
久遠仁:ダメージ!
久遠仁:4D10+30+10+16+1D10+18+5D10 装甲有効
DoubleCross : (4D10+30+10+16+1D10+18+5D10) → 20[4,9,4,3]+30+10+16+8[8]+18+16[2,3,4,5,2] → 118

GM:ぎゃーっ
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (125 → 129)
萩原カノン:ガード値12、装甲51 残りHP25 倒れます。
萩原カノン:復活ありません。

久遠仁:萩原の記憶の中に垣間見た天城の顔に、彼の意志に想いを馳せる。
久遠仁:自分が“天馬”として生きた時間は僅かだ。実時間にしてみれば、ほんの数時間にも満たないだろう。
久遠仁:だが、それでも。そんな短い間であっても、分かることがある。それは彼らの記憶を直に目にすることで、より一層強くなった。
久遠仁:(……そうだろうな、天城)
久遠仁:(あんたの気持ちは分かるよ)
久遠仁:(皆いい奴らだ。桜崎も、日下部も、水上も、萩原も)
久遠仁:(護りたかったんだろう)
久遠仁:眼前の、“カノンボール・シアター”を見据える。
久遠仁:(あんたも)
久遠仁:「だが」
久遠仁:ゆっくりと、緩慢とも言える動作で、刃を構える。
久遠仁:「叶えてやるわけには、いかない」
久遠仁:「悪いな。俺には、それだけの力が無い」
久遠仁:「救えるものがどちらか片方なら──」
久遠仁:「俺の答えは決まっている。あんた達とは、相容れない」
萩原カノン:「……貴方が謝ること、ないよ」
萩原カノン:「先に失敗して死んだのは、私達の方なんだし」
萩原カノン:「でも……譲れないのは、一緒」
萩原カノン:「踏み躙らせてもらう」
萩原カノン:前方に刃の群、後方に無数の矢を番えながら。その掌に異様な密度の因子が収束していく。
永良ゆづり:「……貴女にも。貴方達の誰にも、落ち度はない」
永良ゆづり:刃の大群へと対峙するかのように。白煙が私達を取り巻き、覆い隠す様に広がっていく。
永良ゆづり:穂村姫乃が作り出した赫杭の残滓を取り込み、増長した煙の密度が、周囲の視認性を悪化させていく。
永良ゆづり:────子供は、境遇を選べない。
永良ゆづり:例え埒外の能力を携えようと、幼さゆえに閉ざされた世界にいるから。
永良ゆづり:勝手な大人の都合で容易く弄ばれ、費やされ、捨てられる。
永良ゆづり:そして、失ったものは二度と戻ってこない。
永良ゆづり:その不条理を越えて、仮初と知ってなお居場所を護ろうとする貴女達が。
永良ゆづり:「(……私には、眩しかった)」
永良ゆづり:「(今までずっと、あらゆる死を背負って、償いとするつもりでいたけれど)」
永良ゆづり:「(独りよがりで、ずっと逃げてただけだって。思い知らせてくれた)」
永良ゆづり:金属に塗れた手を、握る。瞬く間に煙が拡散し、視界がホワイトアウトする。
永良ゆづり:「だから、ありったけをぶつけてきて」
永良ゆづり:「その上で、押し通る」
久遠仁:一面の白煙を突き破って、黒い影が躍り出る。
久遠仁:それは仮面を着けた久遠仁の姿。萩原に向け、大上段に刀を振りかぶる。
萩原カノン:──その速度に付いていくことはできないと、端から諦めている。視界も封じられた。故に
萩原カノン:事前に仕込んだ。自身の周辺に入り込んだ「異物」を、半自動的に塗装・封殺する領域術式。
萩原カノン:即応錬金。踏み出したその脚が、振り下ろしたその腕が。鈍色に閉ざされる。動きが鈍る。
萩原カノン:──それと同時。本体が動いている。静かに、柔らかに触れるような掌打。
萩原カノン:相手を弾くのではなく、惹きつけるような勁の運び。接触そのものを目的とした格闘術。
萩原カノン:すなわちは、領域送掌──"カノンボール・シアター"のそれは、触れた相手の体内そのものの変成。
萩原カノン:先程のような、表皮だけではない。肉体の内側からの干渉により、血を/肉を/骨を/腱を/神経を/内臓を
萩原カノン:一瞬の内に作り変える。作り替える破壊的錬金術の極限。
萩原カノン:完了まで、1秒。1秒の内に身体機能が停止し、次の1秒で物言わぬ金塊へと成り果てる──
萩原カノン:その黄金色は、愚者の黄金と呼ばれるもの。賢者の石へとなりそこねた結晶の光輝。
萩原カノン:ただし、それは
萩原カノン:(……黒、色?)
萩原カノン:──その"素材"が、"オーヴァードの肉体"であればの話だ。
萩原カノン:白煙の渦中、僅かにその違和感に気づくのが遅れた。指先に引っかかる、黒い炭のような「成り損ない」の結晶体。
萩原カノン:(何、故)思考する。違和感の原因。そして、すぐに思い当たる。
萩原カノン:先程も己が致命傷を負う原因となった、何らかの能力による認識干渉。これは、つまり──
”ビー”北条サイカ:──相手の心が望む、『都合のいい結果』を幻視させる夢魔の異能の産物。まばたきほどに微かな夢。
”ビー”北条サイカ:(貴方は、強く勝利を願った。目の前の敵を討つ事に集中した)
”ビー”北条サイカ:(だからこそ、その夢に溺れる)
”ビー”北条サイカ:再度の認識干渉。彼女が見紛えた"久遠仁"の実態は、亜藤蘭介が作り上げた砂の影法師だ。
”ビー”北条サイカ:そして、本物はいま──
久遠仁:既に、萩原カノンの背後に立っている。
久遠仁:太刀筋も、抜刀すらも誰の目にも映らず。
久遠仁:鍔鳴りの音が響く。同時、切り裂いた彼女の全身、二十八箇所──その全てから、血飛沫と共に白煙が反応、爆炎として発火する。
萩原カノン:「ッ……!」悲鳴もなく。一瞬にしてその影が燃え上がる。
萩原カノン:無数の斬線に引き分かたれんとする己の五体を、またしても錬成によって繋ぎ止めようとして
萩原カノン:だが、修復は間に合わない。何本かの手脚が外れたまま、ぐらり、とバランスを崩したように倒れ込む。
萩原カノン:ガシャン、と水晶の砕ける音。鎧が剥がれ落ちる。
萩原カノン:「……ああ」
萩原カノン:「私も……ここまで、みたいだ」
萩原カノン:「……そっか」呟いてから、もう一度。噛みしめるように。「届かなかったか」
羽海束沙:「……」銃口を突きつけたまま、歩み寄る。
羽海束沙:数秒、睨み合って。……おもむろに銃を下ろす。これ以上の追撃は不要と判断した。
萩原カノン:「……実は、ずっと」
萩原カノン:「言わなくちゃいけなかった事が、あって」
萩原カノン:沈黙を破る。力ない声。
萩原カノン:「初めに……この夢界の街で、自由になった時」
萩原カノン:「真っ先に、あの人の居場所を探した。……だから、分かった」
萩原カノン:「……"緑麗"セル。萩原照」
羽海束沙:「……!」その言葉に、目を見開いて反応する。
萩原カノン:「倒して、くれていたんでしょう。貴方達が……」
羽海束沙:「……北条家に干渉していた、ギルドの研究機関"カドゥルー"」
羽海束沙:「"緑麗"は、そこと研究提携していたFHセル」
羽海束沙:呟く。自身の脳内から情報を引き出し、確かめるように。
羽海束沙:「"ブリンクブレイド"を保護した時の一件があって……それを切欠に、私達が芋蔓式に潰した組織。その一つ」
羽海束沙:「"アンフィプテレ"萩原照は」
羽海束沙:「その時に、こちらのエージェントと激しい抵抗を行い……死亡している」
羽海束沙:「……"覚えている"」倒れ伏す少女の目を見て、告げる。「私が、撃ったから」
萩原カノン:「……ふふ。そっか」
萩原カノン:「正直。最初は、さ……何してくれてるんだ、って思った」
萩原カノン:「私の人生の一部を……奪われた、って思ったから」
萩原カノン:「だけど、ね」
萩原カノン:「……あの人の研究所が、ただの空き地になってたのを見て」
萩原カノン:「ざまあみろ、って思った」
萩原カノン:「それと、一緒に」
萩原カノン:「私の人生は、"それだけ"じゃないんだって事も……思い出した」
羽海束沙:「……貴方の事情なんて、知らなかった」
羽海束沙:「ただ、必要なことをしただけよ。……それ以上でも、それ以下でもない」
萩原カノン:「……だとしても、さ」
萩原カノン:「この世界で。僅かの間、仮初だとしても」
萩原カノン:「私が、幸せな夢を見れたのは」
萩原カノン:「私が、復讐者としてじゃなく……一人の子供として、夢を追いかけられていたのは」
萩原カノン:「貴方のおかげ、だから……」
羽海束沙:「……何、それ」
萩原カノン:「味方に……なってあげることは、できないけど、さ」
萩原カノン:「伝えて、おきたくて」
萩原カノン:「貴方の仕事は、ただ私を否定しただけじゃないってこと」
萩原カノン:「貴方のやり方で、ちゃんと」
萩原カノン:「誰かを救えているってこと」
羽海束沙:「っ……!」
萩原カノン:「……あは」
萩原カノン:「そういう顔も……するん、だ……」
萩原カノン:目を閉じる。そのまま、"萩原カノン"の魂は消失して。
羽海束沙:「っ、本当に……こっちの、台詞よ」
羽海束沙:吐き捨てながら、少女の身体を炎から引き離し、傍へと寝かせる。
羽海束沙:「なんで、そんなに優しいの。最期の最期まで……」
羽海束沙:続く言葉を発さず、呑み込む。口にすれば、自分を乱してしまいそうだと思ったから。
羽海束沙:(どうして、そんな貴方達が)
羽海束沙:(こんな風になるしか、なかったのよ)
羽海束沙:(感謝なんてしないでよ)
羽海束沙:(私は、貴方達を助けられなかった)
羽海束沙:"アモーガ"セルの拠点へと乗り込んだ日の事を思う。
羽海束沙:あの突入作戦が、あと数週間。いや、数日早ければ。
羽海束沙:私達は、生きた彼らに出逢えていたのだろうか。
羽海束沙:……かぶりを振る。雑念を振り払う。
羽海束沙:意味のない仮定を捨て、銃を構え直す。巨木へと向き直る。
永良ゆづり:「……束沙」術者を失って溶け落ちた金属を払いながら、彼女の元へ。
羽海束沙:「……何」
永良ゆづり:「そんな真正面から狙ってどうするの。そういう戦形じゃないでしょうに」
永良ゆづり:「整理できてないなら、一旦下がってていい。他の誰かがやる」
羽海束沙:「あ……」指摘されて初めて気づく。自分の視野が随分と狭まっている事に。
羽海束沙:「……ごめん。少し、混乱してた」
羽海束沙:「でも、大丈夫……ここで、気持ちを切らしたら」
羽海束沙:「それこそ、脚が止まりそうだから」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「なんか、随分と頼りなくなったね」
羽海束沙:「……余計な、お世話」
永良ゆづり:「北条さんの夢界で、最初に会った時のことを観返してたんだけど」
永良ゆづり:「あの時、私を説き伏せた真面目な貴女とは大違いだ」
羽海束沙:「……失望したって?」
永良ゆづり:「……逆。安心した」
永良ゆづり:「貴女も、ちゃんと他人の言葉に揺さぶられて、信念を見失うことがあるんだなって」
羽海束沙:「何よ……それ」
羽海束沙:「そんなの……あるに決まってるでしょう。私を、どれだけ冷血だと思ってたのよ」
永良ゆづり:「……じゃあ、さ」
永良ゆづり:「私の"人の死を背負う"ってやつ、束沙が否定してくれた時みたいに」
永良ゆづり:「私も、貴女の信念を支えてみようかなって」
羽海束沙:「……。もう十分、頼りにはしてるつもり、だけど」
永良ゆづり:萩原カノンだった身体の方に、目線を向けて。
永良ゆづり:「"カノンボール・シアター"。貴女の……貴女達の願いを叶えることはできない」
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"の目的は絶対に阻止するし。この異界も、この魄柱も、欠片一つ残さない」
永良ゆづり:桜崎ニアに示された。私に人の死を背負う資格はないと。
永良ゆづり:羽海束沙に正された。私に人の死を背負う意味はないと。
永良ゆづり:なら、この薄汚れた手で代わりに何ができるのか。あれから、ずっと考えていた。
永良ゆづり:この世界は不条理で、UGNはその真っただ中にあるようなものだ。
永良ゆづり:私利私欲のために、尊い希望や目的のために、大切な誰かを護るために、簡単に人が死ぬ。
永良ゆづり:────だけど。不条理に付き合わされた世界がある限り、
永良ゆづり:その恨み辛みをいくらかき集めたところで、きりがないと思い知らされた。
永良ゆづり:この異界で、幾度も、幾度も、夢を介して見せられたから。
永良ゆづり:だから。結局。必要なのは、根底を覆すこと。
永良ゆづり:「(……あの時、束沙が言ってくれたこと。やっぱり全部正しかった)」
永良ゆづり:心の中で自嘲しながらも、"いつも"と変わらず淡々と言葉を紡ぐ。
永良ゆづり:「代わりに、約束する」
永良ゆづり:「貴女達の様な子供が一人でも少なく。一人でも生まれずに済む様に」
永良ゆづり:「この世界の在り方を"変えていく"様にするって」
羽海束沙:「……ええ」
羽海束沙:そうだ。結局の所、それしかない。
羽海束沙:彼女たちは、とうに過ぎ去った後の過去で。
羽海束沙:私達が手に付けられるのは、未来だけだ。
羽海束沙:「……ありがとう。おかげで、思い出した」
羽海束沙:「大丈夫。もう、迷ってない」
羽海束沙:深く息を吐く。思考が冴えていく。
永良ゆづり:「……そ。良かった」彼女の"いつも"を見て。少しだけ、表情が和らいで。
永良ゆづり:「じゃ、まずは残りの仕事を片付けよう」
羽海束沙:幾度の戦いを経て消耗し、傷だらけであるはずの仲間が。今は、かつてなく頼もしく見える。
羽海束沙:「ええ……合わせます、いつも通りに」

GM:イニシアチブ4。穂村さんの手番です
穂村 姫乃:はい!マイナー無しのメジャーでコンボ行きます。
穂村 姫乃:神語り告げ:蝕む赤Lv6+ブラッドスパイクLv4+災厄の炎Lv6+プラズマカノンLv4
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)、攻撃力+50、ランク6の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+12
GM:対象は魄柱よね。判定どうぞ
穂村 姫乃:そうなります。後羽海さんのNPCカードも使用して、
穂村 姫乃:12dx+26
DoubleCross : (12DX10+26) → 10[3,3,5,5,8,8,9,9,9,9,10,10]+6[1,6]+26 → 42

羽海束沙:ダイス+10の攻撃力+10です。どうぞ
魄柱・債苛:《復讐の刃》
GM:命中です。ダメージどうぞ。
魄柱・債苛:8dx@7 こっちも命中
DoubleCross : (8DX7) → 10[2,2,4,6,6,8,8,10]+10[2,10,10]+10[3,10]+2[2] → 32

魄柱・債苛:4d10+20
DoubleCross : (4D10+20) → 30[9,7,5,9]+20 → 50

穂村 姫乃:5d10+60
DoubleCross : (5D10+60) → 18[2,9,3,2,2]+60 → 78

魄柱・債苛:そのダメージは……まだ残ります
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を12増加 (101 → 113)
久遠仁:《デビルストリング》
魄柱・債苛:あっ。では反撃はなかったことに
魄柱・債苛:邪毒6ももらいます。重い……
久遠仁:《復讐の刃》を打ち消します
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (129 → 135)
GM:OK。では演出どうぞ

穂村 姫乃:消え去ったカノンに対し目をやった後。
穂村 姫乃:「ふむ。丁度侵蝕も頃合いじゃし」
穂村 姫乃:「また少しばかり、神様ぶるとしようかの」
穂村 姫乃:瞳を閉じ、手を合わせる。瞼の裏に思い浮かべるのは合わせて四十七音の言の葉。
穂村 姫乃:「ひふみ、よいむなや、こともちろらね」
穂村 姫乃:高く、だけど掠れることは無く。長く、だけど淀むことは無く。
穂村 姫乃:「しきる、ゆゐつわぬ、そをたはくめか」
穂村 姫乃:三、五、七と区切るようにして読み上げる。通称ひふみ祝詞。
穂村 姫乃:「うおえ、にさりへて、のますあせゑほれけ」
穂村 姫乃:浄化・開運・病気平癒・苦難除去・息災延命・除災招福。
穂村 姫乃:そして、鎮魂のために用いられる最も力を持つとされる祝詞。
穂村 姫乃:とつとつと読み上げられるその言霊に呼応するように、いつの間にか彼女の足元から魄柱へ伝った血に細波が立ち。
穂村 姫乃:導火線のように燃え伝った火が柱ごと包んで燃え広がる。
穂村 姫乃:「お焚き上げ、というやつじゃな」
穂村 姫乃:その炎は消え去ることは無い。柱が燃え尽きるその瞬間まで。
魄柱・債苛:ぞわ、と。大樹の陰が揺れる。自身を侵す熱を振り払うかのように
魄柱・債苛:数百の刃持つ枝が、風を切り炎の中に揺らめく。それが消えぬ火とも知らぬまま。
魄柱・債苛:やがては焔火を纏う黒枝が、その煙の中より伸び出る。己を苦しめる熱源を辿り、術者の元へと
久遠仁:「──おいおい」
魄柱・債苛:その火種を絶たんとする、本能的反応。蜘蛛の巣めいて、穂村姫乃を掴まんと枝々が広がり──
久遠仁:穂村に迫る、燃え盛る無数の大枝。彼女に触れる前に半ばから切断され、一つ残らず地に落ちる。
久遠仁:炎を纏って降り注ぐ枝の中、紅の輝きが銀の仮面と刃を照らす。
久遠仁:「罰が当たるぜ」

GM:イニシアチブ0。永良さんと亜藤さん
GM:行動したい方からどうぞ。
亜藤 蘭介:手番放棄かなあ
GM:永良さんはどうです?
永良ゆづり:こちらも放棄で……
GM:OK。では今の魄柱もメジャー行動はないため
GM:クリンナップ。
魄柱・債苛:邪毒レベル6の処理
魄柱・債苛:残りHP12。戦闘不能です。
GM:ミドル戦闘3、勝利条件を達成しました。
GM:NPCカード効果を使用し、戦闘を終了しますか?
久遠仁:使用します。
GM:では、戦闘終了です。軽く演出。

魄柱・債苛:抵抗する術を失い、消えぬ炎に身を焦がされたその巨木は
魄柱・債苛:間もなく朽ちて、崩れ落ちていく。
GM:それが引き金となったように。術者である萩原が倒れ、力を失った鎧塔もまた崩壊を始める。
”ビー”北条サイカ:「っ、逃げますよ!皆さん、あたしの傍へ……!」
久遠仁:「ああ、北条、頼む!」
”ビー”北条サイカ:体力の限界も近いらしい。過去三度のそれよりも、少し長い「溜め」があったあと
”ビー”北条サイカ:《ワーディング》──崩壊する炎と鋼と枝々の中で、君達の視界が霞み・微睡んでいく。

GM:シーン終了。ロイスのみ可能です。
穂村 姫乃:保留!以上!
久遠仁:ロイス保留!
亜藤 蘭介:ロイス保留で以上です。
永良ゆづり:ロイス保留~
GM:OK。進行します

◆Masterscene05:そしてめをさます◆

GM:──またしても君達は、夢を見る。
GM:追想する。かの少女の過去を。
GM:遠いスクリーンに映し出された、映画の中の出来事のように。

 :あたしの家の日常が壊れてから、長い時間が経った。
 :お母さんの病が良くなったという報告は、一度もなかった。
 :お父さんは日に日に忙しくなっているようで、うちに一度も帰ってこない日も珍しくなくなっていた。
 :たまに帰って来てうちで休んでいる時も、ご飯を食べている時も
 :お父さんはいつも、どこか重苦しい表情をしていて。
 :あたしがお母さんの事を訊ねると、痛みを誤魔化すような笑顔を作って「大丈夫だよ」などと言う。
 :だから、次第にあたしもお母さんの事を話題に出さなくなっていった。
 :……それは勿論、忘れたって訳じゃない。
 :たまにお母さんの部屋の前を通りがかって、誘われるように扉を開けると
 :空っぽの部屋に、もうずっといないはずのお母さんの残香があって
 :そこでぼんやり立っていると、まるであたしの胸まで空っぽになったような気がして。ぐすぐすと泣いてしまう事があった。
 :お母さんと一緒に使っていたベッドで寝ているお父さんだって、同じような感傷を抱いたんじゃないだろうか。
 :うちで夜を越す数が減ったり、リビングのソファで眠りにつくような事が増えたりしたのは
 :お母さんがいなくなった寂しさを、感じたくないからなんじゃないだろうか。
 :あたしは、そんな風に思っていた。

 :──そうして、5年前のあの日
 :前触れもなく唐突に、何もかもに決着がついた。
お父さん:「あそこの研究所は、ダメだ。もう、あいつらを頼る訳にはいかない」
 :お父さんは、忌々し気にそう言った。
 :ことお母さんの治療に関する事で、お父さんが悲観的な言葉を吐くことは滅多になかったから
 :あたしはかなり驚いたし、それだけ深刻な事なんだろうとも思った。
 : ……思った所で、どうすることもできなかった訳だけど。
 :更には研究所に入院していたはずのお母さんを車に乗せて連れ帰ってきたというのだから、あたしはしばらく混乱して固まってしまった。
 :実際、そうするだけの事はあった訳だと。今になっては思う。
 :この時お父さんは、うちの訪れた、あの医師先生の研究所──"ギルド"組織の一つ"カドゥルー"が
 :ジャーム化治療を名目に出資者を募り、人体実験を繰り返して
 :その「副産物」として発生した成果を元に、レネゲイド兵器を製造販売までしている事に行き着いていた。
 :この時のあたしに全部を説明することはなかったけれど、やはり、
 :そんな連中にお母さんを預けてはおけないと、そう考えたのだろう。
 :……それだけならまだ、大丈夫だったのかもしれない。
 :だけど、奴らに頼らずお母さんを治す方法を探すために、研究資料を持ち出した事が──結果的に、致命傷になった。
 :"カドゥルー"の奴らにとって、あたし達は「敵」という事になった。

 :お父さんは研究所からお母さんを連れ帰ったと同時、
 :信頼できる護衛だという人を二人、雇って連れて来ていた。
 :家でもしお母さんが暴れた時のために、対処してもらう為らしい。
 :あたしはと言えば、この期に及んでまだ能天気なものだった。
 :ともあれお客さんが来たのだからと、人数分のお茶を用意する為に台所へと向かっていた。
 :……トレイを手にしたままエントランスホールを通って、リビングに戻ろうとした時に
 :ひゅん、と鼻先を血の匂いが掠めた。窓ガラスに音もなくヒビが入って、割れた。
 :頬に、ぬるいものがふりかかる感覚。
 :手で触れると、どろっとした血が流れ出ていた。
 :悲鳴をあげようとして、声が出なかった。喉が潰れている訳でもないのに。
 :……そこでようやく、あたしの耳の鼓膜が破れて、血が流れ出ているのだと分かった。
 :パニックになる。周囲を見渡す。エントランスの1階の方に、人影があった。お父さんが、あたしの方を見た。
 :同時に、お母さんの傍に立っていた護衛の人達が、胸から血を噴き出して倒れ伏すのが見えた。
 :お父さんの口元が動く。きっと、「逃げろ」と言っていた。
 :何から?疑問の答えが出るよりも早く、玄関口に立っている見知らぬ人影が目に入った──こちらを、見られた。背筋が寒気立つ。
 :(殺される)
 :そう直感する。背を向けて走り出そうとする──ダメだった。
 :一人の腕らしきものがぐにゃりと伸びて、あたしのお腹を鷲掴みにした。
 :「ぉ、がっ」
 :内臓がぎゅるんと捻れたみたいな感覚があって、天地が逆転した。
 :骨も何本か折れたと思う。痛みの上に痛みが重なって、どこを怪我したのかも分からない。
 :気がつけばあたしは、やつらの足元に転がされていた。
 :脳の中を掻き回されたみたいに、上も下も分からない。
 :色んな所がめちゃくちゃに痛くて、泣き出したくても上手く声が出ない。
 :歪む視界の端に映るもの。
 :ゴーグルで隠した顔の下、口元に浮かぶ下卑た笑い。血に汚れたカーペット。
 :──お母さんが、鬼みたいな怖い顔になって、あいつらに襲い掛かる姿。
 :角や尾の生えたその姿は、ほとんど怪物みたいで。怖くて仕方ないはずなのに、何故だか怖くなかった。
 :「お母さんは、あたしを傷付けられた事に怒っている」だなんて──そんな都合のいい事を、考えてしまっていて。
 :「──おかあ、さん」
 :何年かぶりに、そう呼んでいた。
 :届いたかどうかも分からないし、果たしてその先に、勝負と呼べるような事は起きなかった。
 :当たり前だ。……いつも優しくて、喧嘩なんて一度もした事のないような人だったんだ。
 :ジャームになったって、あたし達の事を襲ったりしなかった。
 :あの日の夜に持っていた誰かの腕も、果たして誰のものでもなかった。
 :一部のサキュバスのジャームに発現する事のある特異性質。己の夢を現実世界に投影・定着させる能力。
 :……お母さんはただ、自分のレネゲイドに喚起されて、人の血を啜る夢を見ていただけだった。
 :「お母さんは、誰も殺してなんかいない」と言った──お父さんは、結局のところ正しかった。
 :たとえ訳のわからない病気に侵されたって。怪物に成り果てたって。そういう人なんだ。
 :だから、結果はあまりにも簡単に
 :怪獣みたいに真っ黒で太い腕が
 :お母さんの身体を握り締めて
 :「っ、あ」
 :「やだっ」
 :縮むは一瞬
 :風船みたいに簡単に、破裂させた
 :「ぁ──」
 :……お母さんが、死んだ。
 :真っ黒な血の塊になって、どろりと溶けた。
 :(どうして。なんで──)
 :悲しみを受け入れる猶予はもちろん、泣き叫ぶ時間すらも奴らは与えてはくれない。
 :──すとん、と。
 :冷たいナイフが一本、あたしの腕に刺さっていた。
 :柄の部分まで文字通り、氷で作られているようなやつだ。
 :それが突き刺さった部分からじんわりと浸透するように、あたしの身体が凍り付いていった。声にならない悲鳴が漏れる。
 :……だけど、それがまだ五分の一。
 :その敵があたし目掛けて投げていたナイフは、同時に五本。
 :残る四本は、あたしを庇うように立ったお父さんの背に刺さっていた。
 :あたしがその事を理解するよりも早く、お父さんの大きな体は
 : 目の前で真っ白に凍り付いて、動かなくなっていった。
 :「やっ、やだ……」
 :「あ……ああぁ……」
 :崩れ落ちたあたしに覆い被さるように、お父さんの身体が倒れ込んだ。
 :氷みたいに冷たくなっていくその体温が、肌越しに伝わってくる。
 :「う、ぁ、ああああ」
 :涙が溢れだす。悲しいのか、痛いのか、怖いのか、自分でも訳が分からなくなっていって。
 :「おとうさんっ、おかあさんっ……!」
 :叫ぶ。喉が枯れる。指先が、熱くなっていく。
 :……初めは凍傷かと思ったけれど、なにか違う。
 :凍り付いていたはずの身体が、『まるで何かの病に侵されたみたいに』激しく熱を帯び始めていて。
お父さん:「ごめん……」
お父さん:「ごめんよ、彩花……」
 :震える声で呟く。お父さんの、最期の言葉が『聞こえた』。
 :破れたはずの鼓膜が、治っている。
 :折れた骨も、凍り付いた腕も。不思議とまだ動かせる。
 :(──なに、これ)
 :こんなに傷だらけなのに。生まれて始めて感じるくらい、身体が軽い。
 :(どういう、こと……?)
 :何もかも、分からない事だらけだけれど、
 :たった二つ、分かったのは。
 :あたしもお母さんと同じ、化け物になったらしいって事と。
 :今のあたしなら、こいつらを──
 :──お父さんとお母さんの仇を、取れるかもしれないってこと。
 :「ッ……が、アアアア……ッ!!」
 :その事に気づくと同時、生まれて初めてってくらいの叫び声が出た。
 :熱に浮かされるようにして、あたしは。目の前の敵へを襲いかかる。
 :……殆ど怒りと本能のままに暴れたのだろう。そこからどんな風に戦ったのか、思い出すことはできない。
 :だけど。ただ一つ、頭の片隅で。
 :「もっと早くこの力があったなら」と──そんな風に考えた事だけを、覚えている。

◆Middle12:退避・エントランスホール◆

GM:全員登場です。汚染・侵蝕の上昇はありません。


GM:──次に君達が目を覚ましたのは、どこかの洋館のエントランスホールだ。
GM:相当に広い空間で、手入れの大変そうな高い天井にシャンデリアが吊るされている。
GM:正門正面には二階廊下へと続く踊り場があるが、例によってその窓や扉が開くことはない。
"ビー"北条サイカ:「っ……あ。一気に来る……な」
"ビー"北条サイカ:息を乱し、崩れ落ちる。瞳から生気が消えている。
"ビー"北条サイカ:「もう少し、我慢してるつもりだった……のに」
久遠仁:「北条!」
久遠仁:崩れる肩を支える。
久遠仁:「……大丈夫か、北条……!」
"ビー"北条サイカ:「すみません……大丈夫、です」君に身体を預けたまま言う。
"ビー"北条サイカ:「あと10分は、持ち堪えて……みせます、から」
"ビー"北条サイカ:「どうか、その間に……皆さんは、休んでください」
久遠仁:「…………」
久遠仁:無言の内に言葉を呑み込んで。
久遠仁:「すまない……ありがとうな、北条」
"ビー"北条サイカ:「……えへへ」力なく笑う。
"ビー"北条サイカ:「お役に立てたなら、何より……です」
"ビー"北条サイカ:身体を預けたまま、皆の方を見渡して。「……すみません。どうか、皆さん」
"ビー"北条サイカ:「後を、お願いします」

GM:では、ここで汚染値制御判定を行います。
GM:技能は《意志》《RC》《交渉》のいずれか。
GM:難易度は6です。前回から変化がないのは、最後の一本を斬ったことで代わりのもう一本が夢界内に出現しており
GM:干渉本数自体は変わっていないためです
GM:判定をどうぞ。
亜藤 蘭介:6ならみんな素振りで行けるかァ…よし
永良ゆづり:5dx+2>=6 <意志>判定一品ケット
DoubleCross : (5DX10+2>=6) → 10[1,5,7,10,10]+10[1,10]+2[2]+2 → 24 → 成功

永良ゆづり:OK
亜藤 蘭介:4dx+4>=6 意志 思い出ブランケット
DoubleCross : (4DX10+4>=6) → 10[5,6,7,10]+2[2]+4 → 16 → 成功

穂村 姫乃:6dx+14 RC
DoubleCross : (6DX10+14) → 10[4,4,7,9,9,10]+7[7]+14 → 31

久遠仁:5DX>=6 交渉
DoubleCross : (5DX10>=6) → 9[3,4,6,7,9] → 9 → 成功

久遠仁:みんな高くない?
GM:つよい……
穂村 姫乃:なんかハチャメチャ成功したの
GM:では精算
亜藤 蘭介:流石に動揺している仁さん
GM:汚染値制御判定に成功する……成功したので1点
GM:夢骸体のオーヴァードおよび洗脳オーヴァードを倒す(自分の手でHPを0にする必要はなく、同シーンで戦闘不能になることを確認すればOK)……カノンで合計2点
GM:魄柱を破壊する……破壊したので2点
GM:全員5点です。
亜藤 蘭介:5→0
永良ゆづり:汚染値が11-5=6に。
久遠仁:汚染値3>0
GM:汚染値と侵蝕を減らしてください。マイナスにはならないので、最低値0です。
亜藤 蘭介:あっうそ 6だったので1です
穂村 姫乃:10から減らして残り5
永良ゆづり:110-5d10
DoubleCross : (110-5D10) → 110-33[7,4,9,8,5] → 77

亜藤 蘭介:119-5d10
DoubleCross : (119-5D10) → 119-32[10,8,9,4,1] → 87

久遠仁:135-5D10
DoubleCross : (135-5D10) → 135-40[10,8,6,7,9] → 95

穂村 姫乃:113-5d10
DoubleCross : (113-5D10) → 113-23[5,3,5,7,3] → 90

久遠仁:やべ~~
GM:出目つっよ
亜藤 蘭介:出目は良いんだよな 元が高すぎるだけで…
久遠仁:いや出目はいいんだけど……
GM:また、クライマックス戦闘前のため
GM:NPCカード:”フェザリー・リード”羽海束沙に効果が追加されます。

③カバーリング
タイミング:オート、任意のダメージロール前
制限:効果参照
PC一人をカバーリングする。
使用後、このキャラクターのNPCカードはシナリオ中使用できなくなる。

永良ゆづり:待って
亜藤 蘭介:デメが あの
穂村 姫乃:めっちゃ無理しようとしとるんじゃが!?
GM:言っておくと死ぬわけじゃないよ
GM:でもクライマックスだしやれることはやらんと……というあれです
久遠仁:羽海さん……
永良ゆづり:束沙……


亜藤 蘭介:「改めて……感謝を。北条」久遠にその身を預ける彼女の、虚ろな瞳をしかと見据えて。
亜藤 蘭介:「君の協力無しでは。俺たちは決して、此処まで辿り着くこと叶わなかった」
"ビー"北条サイカ:「や、はは……お互い様、ですよ」
"ビー"北条サイカ:「皆さんが、こうして来てくれなければ」
"ビー"北条サイカ:「あたしがこの世界で一人、頑張ってた事も……全部、無意味になっちゃう所でした、から」
穂村 姫乃:「それでも、じゃよ。儂からも感謝を言わせてくれ、サイカ」
穂村 姫乃:「お主が居らねば、墓まで持っていくと誓ったはずの記憶を全て夢に溶かしたまま忘れるとこじゃった」
穂村 姫乃:「我ながら阿呆な寝坊にも程がある。悔やむにも悔やみきれん」
穂村 姫乃:「故に、儂らを起こしてくれてありがとう」
"ビー"北条サイカ:「それは……そういう能力、ですから。あまり自分を責めることは……」
"ビー"北条サイカ:「だけど、ええ……どういたしまして、です」
"ビー"北条サイカ:くたびれた微笑みを浮かべる。
永良ゆづり:「……此処まで予定通り。領域内にある3本の魄柱を斬り倒すことができた」
永良ゆづり:「その成果を得るために、貴女に重荷を背負わせてしまっている、と思う」
永良ゆづり:「ここまで頑張ってくれたことに感謝を。……そして」
永良ゆづり:「きっと、無駄にはしない。待っていて」
"ビー"北条サイカ:「……ええ。信じてます」
"ビー"北条サイカ:「皆さんならきっと、この街の皆を救ってくれるってこと」
羽海束沙:「"この街の皆と、貴方を"よ」遮るように言う。
羽海束沙:「皆の言う通り。今回貴方のした仕事は、私達に不可欠で……見事なものでした」
羽海束沙:「だからこそ、万に一つも。貴方を犠牲にするなんて結末は、受け入れ難い」
羽海束沙:「だから……ちゃんと、自分も助けられる準備をして待っておくこと。そうでないと、届かない手もある」
羽海束沙:「……なんて、ここにいる貴方に言っても伝わらないのかもしれませんが」
"ビー"北条サイカ:「……。ありがとう、ございます」
"ビー"北条サイカ:「覚えておきます。きっと」
"ビー"北条サイカ:僅かに目を伏せて応じる。
久遠仁:「……ほら、北条。分かったろう?皆、君に感謝してるのさ」
久遠仁:「ここは謙遜せず、存分に褒められておくべきだと思うがね」
久遠仁:「よくやったのさ、君は」
久遠仁:「……俺の、自慢の後輩だ」
"ビー"北条サイカ:「うう……分かってます、けど……」
"ビー"北条サイカ:「やっぱり、あたしが原因でこうなってて、こんなに褒められてていいのかなっていうか……」
久遠仁:「北条が悪いわけじゃないって、そう何度も言ってるだろう」
"ビー"北条サイカ:「そ、それは、そうなんですけど……!」
久遠仁:「やれやれ、昔からこうなんだ。いい子過ぎて困るだろう?」皆に。
亜藤 蘭介:ふっ、と温かい目でそのやり取りを微笑ましく見ている。
穂村 姫乃:「全くじゃな。何もかもを背負おうとしても潰れるだけじゃぞ?」 悪戯っぽく笑いかける。
羽海束沙:「ええ……調子に乗るのも才能の内ですよ。ある程度まではね」嗜めるように言う。
永良ゆづり:「……そう、ね。いい子なのは結構だけど、頼ることも覚えた方が良い」
"ビー"北条サイカ:「み、みんなして……」
"ビー"北条サイカ:「じゃあ……だったら、先輩」
"ビー"北条サイカ:「あたし、もうちゃんと一人前ですか」
久遠仁:「そうさなあ……」
久遠仁:兜越しに、じっとその顔を見つめる。感慨に耽るように。
久遠仁:「……まだまだ、世話を焼かせてほしいのは山々だがね」
久遠仁:「認めざるを得んだろうなあ、もう」肩を竦める。
久遠仁:「ああ、君はもう一人前のチルドレンだよ。北条」
"ビー"北条サイカ:「え……へへ」その言葉に、表情を綻ばせる。
"ビー"北条サイカ:「そっか……」
"ビー"北条サイカ:「……ね、先輩」
"ビー"北条サイカ:「もしも、ここにいる"ビー"の方のあたしが消えた後に」
"ビー"北条サイカ:「本物の方のあたしに、"ビー"の記憶が反映されていなかったら」
"ビー"北条サイカ:「その言葉、もう一度言ってやってくれませんか」
"ビー"北条サイカ:「……うっかり忘れちゃうには。かなり、惜しいので」
久遠仁:「分かったよ」
久遠仁:昔からそうしてきたように、大きな掌でわしわしと頭を撫でて。
久遠仁:「何度でも言ってやるから、安心しな」
"ビー"北条サイカ:「へへ……」
"ビー"北条サイカ:……と、そこで緩んでいた頬を戻す。僅かに瞑目。痛みを奥歯で噛み殺すような。
"ビー"北条サイカ:「……あの、もう一つだけ」
"ビー"北条サイカ:「伝えておきたいことが、あって」
久遠仁:「……うん?」
"ビー"北条サイカ:撫でられたまま、真っ直ぐに君の顔を見上げる。
"ビー"北条サイカ:くい、とか弱い力で袖を引く。
穂村 姫乃:「……ふむ」 弱弱しく握られた袖を見て。
穂村 姫乃:「儂、一服したくなってしもうたから踊り場の方行ってくるわ」
穂村 姫乃:「なんぞ積もる話もあるようじゃしな。解散と行こう」
穂村 姫乃:言いながら亜藤、永良、羽海をまとめるように引っ張って。
穂村 姫乃:「儂、こう見えて空気読むタイプじゃからな。馬に蹴られる前に去るとしよう」
穂村 姫乃:ニヤリと笑んでその場から離れていく。
永良ゆづり:「…………そうね」小さく息をついて。
羽海束沙:「馬に……」僅かに目を見開いて。「……あ、え。そういう事なんですか」
亜藤 蘭介:「ん……?」
久遠仁:「……馬……?」首を傾げる
"ビー"北条サイカ:「へっ?……え。ちょっと、そんなんじゃないですからねっ!?」頬に朱が差している。
羽海束沙:引っ張られながらふらふら歩いていく。
永良ゆづり:「束沙。私も吸っていいかしら……」
羽海束沙:「貴方のは吸うっていうか食べるやつでしょ。別に、好きにすればいいけど……」
亜藤 蘭介:「………ああ」そういうことか、と得心が言ったように頷いて。
亜藤 蘭介:遠ざかる二人の姿を目に、心中で呟く。
亜藤 蘭介:「(また会おう、"ブリンクブレイド")」
亜藤 蘭介:「(あの街で)」

羽海束沙:「……さっきは」二人を置いて離れていく最中に、ふと足を止める。君の目を見る。
羽海束沙:「その。助かったわ」
永良ゆづり:「……ん」視線に気づいて、足を止める。
永良ゆづり:「別に、大したことはしてないよ」
永良ゆづり:「そもそも全部貴女の受け入りだしね。お礼を言いたいのはこっちなくらい」
羽海束沙:「……そうね。自分で決めた立ち位置のはずだったのに」
羽海束沙:「ああも簡単に見失うんだもの。……私も、まだまだ子供ね」
永良ゆづり:「実際、子供だと思うけど」
羽海束沙:「あと何年かで大人でしょう」
羽海束沙:「二十歳になってから大人になろうとしたって、遅いもの。今のうちからなろうと目指すものよ」
永良ゆづり:「うん、やっぱり真面目」
羽海束沙:「うん、知ってる」
永良ゆづり:「束沙はやっぱりそうでないとね」
永良ゆづり:「こうやって、安心して煙草も吸えやしない」
永良ゆづり:慣れ親しんだ手つきで、ポケットから小さな箱を手に取る。
羽海束沙:「もう煙草って言いはるんだ、それ……」
羽海束沙:「……え、本当に煙草じゃないわよね?」少し慌てたように、君の持つ箱を覗き込む。
永良ゆづり:「んにゃ。いつものやつ」いつもの箱。
羽海束沙:「いつもながら、紛らわしい……」
羽海束沙:「……。一本、もらってもいい?」
永良ゆづり:「……え?」白い棒を取り出し、口に咥えようとして。
永良ゆづり:「いいけど、でも。どんな風の吹き回し?」
羽海束沙:「別に、ダメならいいけど……」
羽海束沙:「そ、そこまで言う?」
羽海束沙:「普通に……その、どういう味なのか知りたくなっただけなんだけど」
永良ゆづり:「へぇ……」更に箱から1本出して、束沙に。
羽海束沙:「ありがと」受け取り、少し眺めてから咥える。
永良ゆづり:「ストップ」
羽海束沙:「え」言われたまま手を止める。
永良ゆづり:こちらも咥えて、先端を軽く摘まんで煙を付けると。
永良ゆづり:──そっと、顔を近づけて。
永良ゆづり:束沙が咥えたシガレットの先端に。
永良ゆづり:永良が咥えたシガレットの先端を。
羽海束沙:「……!」固まったまま目を見開く。立ち上る煙と、君の顔とを交互に見る。
永良ゆづり:「……よし」やがて、束沙側のシガレットからも白煙が昇る。
羽海束沙:「よし、じゃないけれど……」
永良ゆづり:「え?だって、吸ってみたかったんじゃないの?」
永良ゆづり:ふーっと、口から白い息が吹き抜ける。
羽海束沙:「え……あ、本当だ。甘い空気が……」
羽海束沙:「その煙、単なるごっこ遊びの飾りかと思ってた……」
永良ゆづり:「色々工夫してるんだよ。ココアシガレットの風味を煙が取り込むようにね」
羽海束沙:「ええ……そうだったんだ……」
永良ゆづり:「そうすると、本当に吸ってるみたいだし。中々味わえない感覚でしょ?」
羽海束沙:「ええ……そうね。ちょっと新鮮だわ」
羽海束沙:ふう、とこちらも白い煙を吐き出しながら。
永良ゆづり:「私もね。"あの"貴女が喫煙してるとこなんて、中々見れるモノじゃない」
永良ゆづり:君の顔を覗き込みながら。ふふ、と小さく笑って。
羽海束沙:「そうね。イメージが崩れるもの」
羽海束沙:「また吸うにしても、貴方と二人きりの時だけにするわ」
永良ゆづり:「ええ。お望みとあらば、いつでも」
羽海束沙:「ありがと。……その時は、私も何か別のお菓子でも持ってくるわ」
羽海束沙:白い息を吐く。煙の立ち上っていく、高い天井を見上げる。
永良ゆづり:「いいね。他のお菓子に煙をくぐらせたこと、無くって」
永良ゆづり:「帰ったら、色々試してみよ」
羽海束沙:「そうね。帰ったら……」
永良ゆづり:二人が燻らせる煙が細く伸び、天井で薄く混ざり合う。
羽海束沙:「……これまで以上に、余裕のない戦闘になるわ」
羽海束沙:おもむろに口を開く。
羽海束沙:「だから、これまで以上に……無茶を重ねる事になると思う」
永良ゆづり:「ん……」
羽海束沙:「もちろん。死ぬつもりなんてものは、全くないけれど」
羽海束沙:「私は比較的……皆の中では、激しい攻撃を受けてない方だし」
永良ゆづり:「……その語り口は」
永良ゆづり:「最悪の場合は身を挺してでも何とかする、って聞こえるんだけど」
羽海束沙:「その認識で間違ってないわ」
羽海束沙:「咄嗟の事で貴方を驚かせるのは不本意だから。先に言っておこうと思って」
永良ゆづり:「……ちょっと。私に傷ついてほしくないとか散々宣っておいて」
永良ゆづり:「束沙が率先してそうしようだなんて、看過できないな」
羽海束沙:「……何よ。私だって、好きでやるわけじゃないわ」
羽海束沙:「大体……貴方だって、やめてないじゃない。身を挺して人を守ろうとするの」
永良ゆづり:「それは……凌いだ後の反撃を考慮して、私が庇った方が良いと思ったから」
羽海束沙:「それに……私だって、無理に止めてないわ」
羽海束沙:「ええ。貴方の能力は侵蝕負担が軽くて……それがチームとして、必要な判断だったと思ったから」
羽海束沙:「私のも、それと同じよ」
永良ゆづり:「……貴女の射撃支援は、チーム全体にとって相手を切り崩すための重要な一手」
永良ゆづり:「それを投げ打ってまで貴女がカバーに入ることの優先度は、相当低いと思ってる」
永良ゆづり:「きっと、貴女が間違えることはないと、思うけど」
永良ゆづり:「…………それ、だけ」
永良ゆづり:それきり、視線を落として黙り込む。
羽海束沙:「……。あくまで、支援火力よ。単体では決定打にならない」
羽海束沙:「勝負を終わらせる可能性があるのは、私以外の四人」
羽海束沙:「……私は、そう考えてる」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「正しいよ、束沙の言うことは、いつも」
永良ゆづり:「でも……」
永良ゆづり:「でも、私だって貴女に傷ついてほしくないんだ」
羽海束沙:「……ごめん」
永良ゆづり:「……っ」堪え切れず、両手で顔を覆う。
羽海束沙:「きっと、酷いことを言ってるのは分かってる……けど」
羽海束沙:「私がどうなっても、どうかパニックにはならないで」
羽海束沙:「それと、もう一度言うけど」
羽海束沙:「……私、絶対に死ぬ気はないから。信じて」
永良ゆづり:「……ああ。わかった」絞り出す様に、小さな声で。
羽海束沙:(……やっぱり、間違ってるよな。何もかも)
羽海束沙:(私が、こんな覚悟を固めなきゃいけないのも)
羽海束沙:(永良が、こんな風に受け入れなきゃいけないのも)
羽海束沙:(子供がそんな生き方をしなくちゃいけない世界は、間違ってる)
羽海束沙:(だから、変えるんだ。私が。私達が)
羽海束沙:(それを願いながら、できなかった子達の分まで)
羽海束沙:(……だからさ、永良)
羽海束沙:「生きて帰ろう」
羽海束沙:「ちゃんと人間のまま、元の日常に帰ろう」
永良ゆづり:「…………」ゆっくりと顔を上げて、君の瞳を見る。
羽海束沙:「約束」小指を差し出す。
羽海束沙:「気休めかもしれないけど、少しは効果あるよ」
永良ゆづり:(……やっぱり、向いてないよ。何もかも)
永良ゆづり:(ずっと、逃げてきたから。貴女の意志が、覚悟が、こんなにも怖い)
永良ゆづり:(自分が犠牲になれば、他の誰もが悲しまなくて済む筈だと思っていた)
永良ゆづり:(実際は真逆。こんなにも受け入れがたいなんて)
永良ゆづり:(願わくば、私の能力がもっと強ければ)
永良ゆづり:(貴女を守りつつ、貴女の望みを支える力があれば)
永良ゆづり:(……だからって、そんな高望みをしても何も変わらない)
永良ゆづり:(私に出来ることをこなすしかない。その中で最良の結果を目指すしかない)
永良ゆづり:(それが、私に課せられた贖罪だというのなら……)
永良ゆづり:「……ああ」小指を差し出す。
永良ゆづり:「約束だ。全員無事に、日常へと戻る」

"ビー"北条サイカ:「もう、みんなすぐそういう話に結びつけたがるんですから……」
"ビー"北条サイカ:少しむすっとした様子で去っていく人々を見送ってから。
"ビー"北条サイカ:「……あの。先輩」
久遠仁:「ああ。何だい、話したいことって」
"ビー"北条サイカ:「えっと……これまでに調べたことが、正しければ」
"ビー"北条サイカ:「本体のあたしは、今頃かなりジャーム化に近付いているはずです」
久遠仁:「……。……ああ」
"ビー"北条サイカ:「ここにいるあたしは、作られた時点で意識を分断されていますから……あっちがどうなっているかは、想像するしかありませんが」
"ビー"北条サイカ:「"サンディーヴァ"に、どんな精神干渉をされているかも分からない」
"ビー"北条サイカ:「だから……その」僅かに目を伏せる。
"ビー"北条サイカ:「貴方に、心ないことを、言ったりするかも……しれなくて」
"ビー"北条サイカ:「あたしは……その事が、怖い」
久遠仁:「うん…… ……うん?」
久遠仁:「……何だ、そんなことかい?」
"ビー"北条サイカ:「な、なんだって……」
久遠仁:「ハハハ!いや、すまんすまん」
久遠仁:「心配せずとも、そんなことは分かっているとも」
久遠仁:「それが君の本心じゃないことくらいな」
"ビー"北条サイカ:「……うん」
"ビー"北条サイカ:「だから、気にしないでください。きっと……」
"ビー"北条サイカ:「あたしは……先輩のこと、尊敬してます」
"ビー"北条サイカ:「貴方に救われたおかげで、今のあたしがいます」
"ビー"北条サイカ:「だから……どうか」
"ビー"北条サイカ:「この街のみんなを、救って」
"ビー"北条サイカ:「初めて会ったあの日に。見ず知らずのあたしを、助けてくれたみたいに」
"ビー"北条サイカ:「何があったって……あたしが憧れた通りの、かっこいい先輩でいてください」
久遠仁:「……んん……どうにもむず痒いな……」頭を掻く。兜を着けたままなので、ジェスチャーだけだが。
久遠仁:「まあ、しかし、そうだな。きっとそうするとも」
久遠仁:「この街を救うよ。北条が望むなら、まあ、誇れるくらいの先輩であろうじゃないか」
久遠仁:「だから君も、そう心配せずに待っていてくれよ」
"ビー"北条サイカ:「ふふ。むず痒いこと言うのは、お互い様です」
"ビー"北条サイカ:「……ええ。待ってます。きっと」
久遠仁:「必ず君を連れて帰る。俺はその為に来たんだからな」
久遠仁:「帰ったら、何がしたい?北条」
久遠仁:「何でもいいぞ。飯でも奢ってやろうか」
"ビー"北条サイカ:「やりたいこと。ううん……」
"ビー"北条サイカ:「まず皆に会って無事を伝えて回って、支部長には叱られて……」
"ビー"北条サイカ:「……いや、多分そういう事じゃないよなこれ。うーん……」
久遠仁:「おいおい……」呆れたように「遊び方も教えてやるべきだったかな」
久遠仁:「そんなに難しく考えないでくれよ。頑張ったご褒美なんだからな」
"ビー"北条サイカ:「それは……でも、頑張ったのはあたしだけじゃありませんし……」
久遠仁:「ほら、難しく考えてるぞ」
"ビー"北条サイカ:「だ、だってぇ……」
久遠仁:「こういう時は素直に貰っておくもんだ」
久遠仁:「あげたくて言ってるんだからな」
"ビー"北条サイカ:「じゃあ……その、どこでもいいんですけど」
"ビー"北条サイカ:「旅行、行きたいかもです。ちょっとしたやつ」
久遠仁:「へえ、旅行か。そいつはいいな」
"ビー"北条サイカ:「その……体感もうずっと、この街に籠もってますし。気晴らしっていうか……」
久遠仁:「分かった、手配しようじゃないか。友達と一緒か?何人くらいかな」
"ビー"北条サイカ:「……あ、う。えっと」
"ビー"北条サイカ:答えに迷う。何度か君の目を見上げる。
久遠仁:「? どうした?」
"ビー"北条サイカ:「いや。その……皆の都合とかも、あると思うので……」
"ビー"北条サイカ:「あ……あとあと、詰めていく感じで……」
久遠仁:「ん……そうだな、分かった」頷く
久遠仁:「ともあれ了解だ。楽しみにしておくといい」
"ビー"北条サイカ:「ええ。……ちなみに、先輩って」
"ビー"北条サイカ:「この仕事終わったら、お休みとかもらえたりします?」
久遠仁:「うん? ……そうさなあ……。特に予定は無いし、まあ、しばらくは休養になると思うが?」
"ビー"北条サイカ:「あ、そうですか……なるほどなるほど」
"ビー"北条サイカ:「参考にしますね。うん、ちょっとした参考に……」
久遠仁:「……?」
久遠仁:(激務を気遣ってくれたのだろうか……)
"ビー"北条サイカ:「……いや、ほら。だって、先輩が手配だけしてくれるって」
"ビー"北条サイカ:「なんか……悪いじゃないですか。それは……」
"ビー"北条サイカ:「どうせなら、一緒に行けた方が、楽しいですし……」
久遠仁:「……一緒に?」意外な言葉に少し固まって
"ビー"北条サイカ:「や、その。別に……無理にとは言いませんけどね」
"ビー"北条サイカ:「ちょっと思っただけっていうか……うん……」
久遠仁:「いやいや……折角の楽しい旅行に邪魔だろう、俺なんかがいちゃあ」
"ビー"北条サイカ:「……そんな風に思ってたら、こんな風に言ってませんけど」
"ビー"北条サイカ:僅かに俯いて、少し拗ねた風に言う。
久遠仁:「いや、しかしなあ……」腕組みをして。
久遠仁:「北条の友達の中に俺が混ざるのか? それは流石にどうかと思うんだが……」
"ビー"北条サイカ:「そう、ですかね……? 遠出する時にはむしろ、大人がいた方が安全……みたいなの、ありません?」
"ビー"北条サイカ:「後、そもそも……うちの支部チルドレンって、大体みんな忙しいですし」
"ビー"北条サイカ:「予定が合う子がいるかも、正直分からなくて……」
久遠仁:「どちらかと言えば俺が不審者の見た目だが…… ……うん?」
久遠仁:「そいつは困るというか……残念だな。そうしたら、どうするかな」
久遠仁:「そうさなあ……」
久遠仁:少し考え込んで。
久遠仁:「じゃあ、一緒に行くかい?」
久遠仁:「俺で良ければ、の話にはなるが」
"ビー"北条サイカ:「良い……って、言ってるじゃないですか」
"ビー"北条サイカ:「うん……行きましょ? 一緒に」
久遠仁:「分かった、分かった。しかし物好きだな、君も。ハハハ」
"ビー"北条サイカ:「べ……別に、変な意味じゃないですから。ただ……」
"ビー"北条サイカ:「あたしのこと、家族と同じくらい大事だって言ってくれたから」
"ビー"北条サイカ:「あたしも、それくらい気を許してるっていうか……そういう……」
"ビー"北条サイカ:言葉が尻すぼみになっていく。「……なんでもないです」
久遠仁:「ああ……ありがとう、北条」
"ビー"北条サイカ:耳が赤い。
久遠仁:「嬉しいよ、そう思ってもらえるなら」
"ビー"北条サイカ:「……うん」
"ビー"北条サイカ:「じゃあ、また……帰らなきゃいけない理由が、増えちゃいましたね」
"ビー"北条サイカ:くったりと微笑む。それと同時、君達のいる世界に、僅かに歪みが生じる。
久遠仁:「そうだな。実を言えばそれも目的だったんだが……」
久遠仁:「……おっと、時間かな」
"ビー"北条サイカ:「む、そうとは。抜け目のない……」
"ビー"北条サイカ:「……ええ。すみません」
久遠仁:「謝らないでくれ」
久遠仁:「ここまで、本当によく頑張ってくれたよ」
"ビー"北条サイカ:「……そうでしたね。素直に、受け取らないと」
"ビー"北条サイカ:「じゃあ……代わりに。先輩、みなさん」
"ビー"北条サイカ:「後は、お任せしました」
久遠仁:「ああ、任された」
久遠仁:「ありがとうな、北条」
久遠仁:「後は、ゆっくり待っていてくれよ」
"ビー"北条サイカ:……返答の猶予はなく。ぐらり、とその身体が倒れ伏す。
GM:君達の居た、"ビー"の夢界領域が晴れていく。辺りの風景が、"サンディーヴァ"の紡ぐ街へと還っていく。
久遠仁:倒れそうになる身体を受け止める。
久遠仁:「……」
GM:その身体は、全く知らない少女のものだ。静かに寝息を立てている。
久遠仁:「……貴方も、ありがとう」
久遠仁:少女を安全な場所に静かに寝かせて、夢界の街を見上げる。

GM:──初めにこの街に姿を見せていた、三本の魄柱(アンカレイジ)は伐採された。
GM:この夢界を維持するには、その力が不可欠だ。故に。
GM:駅前にあったものと入れ替わるようにして、新たな魄柱が姿を現している。
GM:恐らくはあれが、「生産」の権能有する、最初の魄柱。オリジナルの北条サイカに根付いた一つ。
GM:同時に、君達以外の人々──この夢界で過ごしていた者達が、気を失ったように倒れていくのが見える。
GM:すなわちは、"サンディーヴァ"が──夢界内部に取り込まれた十数万人の意識に対する干渉を、停止したという事。
GM:そのリソースを、君達の迎撃へと回すために。

GM:緑坂市山麓付近の森林、その中に聳え立つ一本の黒い巨木。
GM:久遠仁は、その場所に心当たりがある──あるいは、納得すら抱くかもしれない。
GM:南緑坂市白桜坂三丁目・旧北条邸。
GM:君があの少女と出逢った場所。
久遠仁:「……さて」
久遠仁:聳える巨木を遥かに見遣り、刀の柄頭に触れ、歩み出す。
久遠仁:「行くかね」
久遠仁:「迎えに」

GM:シーンカット。ロイス、購入が可能です。
久遠仁:ロイス保留で応急キット
久遠仁:4DX+2>=8
DoubleCross : (4DX10+2>=8) → 5[3,3,4,5]+2 → 7 → 失敗

久遠仁:財産1で購入
久遠仁:8+2D10 即使用
DoubleCross : (8+2D10) → 8+11[5,6] → 19

穂村 姫乃:こっちもロイス保留で応急キット購入
久遠仁:久遠仁のHPを19に変更 (8 → 19)
亜藤 蘭介:ロイス保留丸
穂村 姫乃:3dx+1>=8
DoubleCross : (3DX10+1>=8) → 5[1,2,5]+1 → 6 → 失敗

亜藤 蘭介:ブルゲチャレンジしましょう
亜藤 蘭介:4dx+1>=20
DoubleCross : (4DX10+1>=20) → 9[2,5,6,9]+1 → 10 → 失敗

穂村 姫乃:丁度2点あるからそれ使って購入して即使用
永良ゆづり:ロイス保留、購入は……うーん
穂村 姫乃:1+2d10
DoubleCross : (1+2D10) → 1+6[1,5] → 7

亜藤 蘭介:駄目でした
永良ゆづり:応急にしとくか
穂村 姫乃:穂村 姫乃のHPを7に変更 (1 → 7)
永良ゆづり:3dx>=8
DoubleCross : (3DX10>=8) → 10[1,6,10]+1[1] → 11 → 成功

羽海束沙:バディムーブの出番はなかったようね
永良ゆづり:5+2d10
DoubleCross : (5+2D10) → 5+15[8,7] → 20

永良ゆづり:以上!
GM:以上かな。では進めます。

◆Masterscene06:どこにもないゆめ◆

 :……長い、長い悪夢を見ていた。
 :お母さんもお父さんも死んでしまって、あたしだけが一人取り残される夢だった。
 :お母さんがある日いきなり病気で怪物に変わってしまって、お父さんは日に日に元気がなくなっていって、
 :最後には二人とも、あたしの目の前で死んでしまう夢。
 :そんなことあるはずないのに、どうしてか何度も夢に見てしまって
 :あたしは不安で仕方なかった。毎晩のように、泣きそうになってしまっていた。
 :我慢できなくなってその話をすると、お母さんは「大丈夫よ」と囁いて、優しく抱きしめてくれた。
お母さん:「……ほら。お母さんはちゃんと、ここにいるでしょう」
 :「……うん」
お母さん:「勝手に彩花を置いて、どこかに行ったりなんてしないのよ」
 :「うん……うん」
 :こうやって抱きしめられる事なんて、いつもの日常のはずなのに。
 :なんだかとても懐かしいような気がして、あたしの声は震えていた。
 :お母さんの言葉は何も間違ってなくて、この腕の中よりも安心できる場所なんてないはずなのに
 :なぜだかそれでも、不安は消えきらなかった。

お父さん:「……大丈夫か?彩花」
 :そんな事を考えていたから、お父さんは心配そうにあたしに声をかけてきた。
お父さん:「ご飯、合わなかったか?」
 :日曜日の朝の食卓。この日の家事は、うちではお父さんがやる事になっている。
 :スープを飲む手が止まっていたあたしを見て、不安になったらしい。
 :「えぇー?違う違う、ちょっと考え事してただけっ」
 :あたしは誤魔化すように笑って、バジルの浮いてる赤色のスープを一気に飲み干して見せた。
 :「っ、けほっ、えほっ」咽せてしまった。
お父さん:「ああ、何をやってるんだ……」
 :お父さんは呆れた様子で立ち上がって、あたしの背をさすってくれた。
お父さん:「別に、急かしたわけじゃないんだよ。ゆっくり食べなさい」
 :「うう……はい」
 :卓上のティッシュを何枚か取って、慌てて口元を拭く。
 :「ごめんね、お父さん……もう、大丈夫」
お父さん:「そうか?うん……」
 :「……何?」
お父さん:「いや……彩花も随分、大きくなったもんだなあと思って……」
 :「な、なによもぉー」
 :「そんな、久しぶりに会った親戚みたいなこと言わないでよ。毎日顔見てるじゃんっ」
お父さん:「いや……それは、そうなんだけどな。感慨というか……」
お母さん:「そうねぇ。ちょっと前までこんなに小さくて、毎晩ほっぺにチューしてあげないと眠れない子だったのに」
 :「お、お母さん……!?もう、いつの話よそれ!」
お母さん:「そうねえ、小学校に入る前の年くらいまでだったから……」
 :「具体的な答えを求めてるんじゃないの〜っ!」

 :……あたしの日常。幸せな家族の団欒。
 :ずっと続いてきて、これからも続くはずの日々。
GM:──コンコン、と
GM:ドアをノックする音。
 :今、それを蝕むものが。
 :何かが、あたしを呼んでいる。
 :……そうして、思い出す。
 :この世界の、本当のこと。
 :今ここにある幸福な日常を、脅かすもののこと。
 :「……大丈夫」
 :心配そうに見つめる、お父さんとお母さんに向き直って。あたしは告げる。
 :「あたし……強くなったんだよ」
 :「ちゃんと、成長してるんだ。心も、身体も」
 :「お父さんと、お母さんのことだって……」
 :「……今度こそちゃんと、守ってあげられる。だから」
お父さん:「彩花……」
 :手を差し伸べようとしたお父さんの手から、逃げるように扉へ向かう。
 :いま触れられたら、どこへも行けなくなってしまう気がしたから。
 :「お父さん、お母さん」
 :「──行ってきますっ」
 :名残惜しい視線を振り切って、
 :がちゃり、と扉の開く音がした。

GM:---
GM:緑坂市南部・夢界領域 旧北条邸
GM:---
サンディーヴァ:「ああ……ごめんね?起こしちゃって」
サンディーヴァ:黒い影の澱を纏う、女が友好的に笑いかける。
北条サイカ:「……う……」
北条サイカ:頭痛がする。節々が痛む。身体が重い。
北条サイカ:その感覚が、夢からの覚醒を教えてくれる。
北条サイカ:……その実、己が未だ微睡みの中にあると気づくだけの理性は。とうに擦り切れている。
サンディーヴァ:「できれば、君にはそのままそっちに居させてあげたかったんだけど……」
サンディーヴァ:「貴方にも出てもらうしかなくなっちゃったんだ」
GM:……絆が、人を日常へと繋ぎ止める楔であるのなら。
GM:人を、己が夢界へと繋ぎ止める絆を根付かせる事こそが
GM:「こちら側」へと手繰り寄せる術であると、"サンディーヴァ"は考えた。
GM:君達ひとりひとりに、この世界における友を与えたように。
GM:だから……夢界の柱の一部となって、"バース"の「日常」に干渉することのない運命にある彼女には
GM:彼女のためだけの、あり得ざる幸福を紡いであげることにした。
GM:彼女が孤独でも寂しくないように。そして
GM:もう二度と、元の現実に帰れないように。
サンディーヴァ:(……それでも、まだ。踏みとどまっているらしいのは)
サンディーヴァ:(自分の精神を切り分けて、この街に解き放っていたからか)
サンディーヴァ:失策だった。魄柱を介した人々の精神操作にリソースを割かれて、膨大な演算の中に彼女が紛れ込ませた抵抗に、気付くことが遅れた。
サンディーヴァ:(それとも……より強固な何かが、その心に根付いているのか)
サンディーヴァ:(……問題はない。この世界の日常を一時的にでも壊さなくてはいけなくなったのは、不本意だけれど)
サンディーヴァ:(崩れたものは、決着のついた後で元に戻せばいい。……私には、それができる)
サンディーヴァ:「……君も。この戦いに勝てば、また」
サンディーヴァ:「あっちの世界に、帰してあげるからさ」
サンディーヴァ:「だから……少しだけ、頑張れるかい?」
北条サイカ:「……うん」
北条サイカ:夢界の源泉にて、汚染を浴び続けた。その眼差しは昏い。
北条サイカ:「平気、だよ。あたしだって、もう……子供じゃないもの」
北条サイカ:「誰が相手だって、あたしは……」
GM:戦いの構えを取るように、腕を伸ばすにつれて。
GM:少女の背から生え伸びている、黒い巨木が枝を揺らす。
GM:これこそが、最初にして最後の魄柱。
GM:残る三本を生み出した豊穣の力を宿し、夢界を支える柱そのもの。
"魄柱・彩花”:「──あたしは、迷わない」
"魄柱・彩花”:己が庭へと踏み込んできた、「外敵たち」へと視線を向ける。
"魄柱・彩花”:「強く、なったんだ。今度こそ、間に合うように」
"魄柱・彩花”:「今度こそ、あたしが」
"魄柱・彩花”:「この世界を──お父さんとお母さんを、守る」
GM:──幸福な夢幻に心を壊された、少女の決意が響く。
GM:世界は書き換えられていく。生者は死人へ、死人は生者へ。
GM:その采配は、当然の日常を掴み取れかった子供達の独善であり──
GM:君達が守るべき日常の、敵だ。

GM:偽りを振り払い、夢幻を砕け。
GM:それがいかに甘く儚くとも。

GM:Double Cross the 3rd Edition「夢幻災禍のサンディーヴァ」
GM:ダブルクロス、それは──
 :きっと、あたしのことなんだろう。

◆Climax:魄柱討滅-4 / 北条邸跡地の戦い◆

GM:登場は全員です。侵蝕の代わりに汚染値が増加します。
久遠仁:汚染値0>1
永良ゆづり:汚染値7
亜藤 蘭介:汚染値1→2
穂村 姫乃:汚染値6


GM:……目に映る人という人が意識を失い、倒れ伏している。一般人も"バース"のオーヴァードも、そこに違いはなく。
GM:そこを潜り抜けて、君達は最後の魄柱の在処へと向かう。
GM:一歩、また一歩と歩を進める毎に
GM:一帯を覆う闇色のレネゲイドが、深く濃くなっていく。
GM:既に日は昇っているのに、夜に迷い込んだような情景。
GM:蜜を煮詰めたような甘い臭気が立ち込めている。
GM:……そうして、辿り着く。そこは静まり返った森の中。
GM:長く手入れされていない、古びた邸宅の門前。
"サンディーヴァ":「……そう。みんな、倒してきたんだね」
"サンディーヴァ":黒い影に覆われて、姿の霞んだ女が残念そうに呟く。
"サンディーヴァ":今であればその黒色は、許容量を超えて取り込んだ無数のレネゲイドが自ずと溢れ出して生まれる澱であると分かる。
"サンディーヴァ":「みんなの事を知れば、思いとどまってもらえないかと思っていたけど」
"サンディーヴァ":「ダメだったか」
"魄柱・彩花”:その傍ら。黒い大樹と、その根に融合し取り込まれている少女。
"魄柱・彩花”:白い肌は樹木と同化し、漆黒の枝が血管めいて張り巡らされている。
"魄柱・彩花”:美しい桜色だった髪は、枯れたようにくすんでいる。
久遠仁:「……北条……!」
久遠仁:声に焦燥と怒りが滲む。
"魄柱・彩花”:「……みんな」
"魄柱・彩花”:意識はある。虚ろな目が、君達を見る。
"魄柱・彩花”:「帰ってよ。諦めてよ」
"魄柱・彩花”:「でないと、あたし……」
"魄柱・彩花”:「ひどいこと、するよ……」
"魄柱・彩花”:懇願、というには弱く。幼子の駄々のような声音。
永良ゆづり:「……"サンディーヴァ"。その子に、何をしたの」再び対峙せし、黒い影の女を睨みつけて。
"サンディーヴァ":「およそ何でもできるようになった……と思っていたんだけどね」永良さんに応じて。
"サンディーヴァ":「やはり真に万能というわけではないし、私の力で取り込めない種類の能力というものもある」
"サンディーヴァ":「この夢界を作り出して、皆をもう一度再現するには。この子の協力が必要だったんだ」
"サンディーヴァ":「勿論、悪いとは思っているよ。可哀想だ、とも」
"サンディーヴァ":「どちらかと言えば、この子は私達に近い立場の子供だ」
"サンディーヴァ":「たまたまそういう環境に生まれたから、普通の子供みたいな日常を送れなかった」
"サンディーヴァ":「自由な選択肢もないままに。戦士として、強くなるしかなかった」
"サンディーヴァ":「そんな君達だから、できることなら」
"サンディーヴァ":「戦わずに仲間にしたいって思ったの」
"サンディーヴァ":「私は、"優しい"から」ふふ、と澱の向こうで笑う。
永良ゆづり:「……気遣いは不要だと、あの時も言っただろうに」
"サンディーヴァ":「それでも、気に入ってくれてはいたんでしょう?」
永良ゆづり:「……ああ」
永良ゆづり:「私には勿体ないくらいに甘美で」
永良ゆづり:「全てを擲ってでも縋り付きたくなるくらい、"優しい"夢だった」
永良ゆづり:仮初の記憶にしてはあまりにも鮮明で、目を瞑れば直ぐにでも浮かぶ。
永良ゆづり:朗らかで、世話焼きで、しつこくて。だけど、とても"優しい"少女の姿が。
永良ゆづり:「……彼女のお節介も、決して悪いものではなかった」
永良ゆづり:「だがそれは。"サタニアン・ガーデン"桜崎ニアのそれは」
永良ゆづり:「『普通』であろうと願ったゆえの優しさだった」
永良ゆづり:「今の貴方の"優しさ"が『普通』を目指した結果の産物には」
永良ゆづり:「どうにも見えなくて、ね」
"サンディーヴァ":「そりゃね。背負った罪は、なかった事にはならない」
"サンディーヴァ":「"ここにいる私"にはもう、皆と同じ普通の日常を過ごす資格なんてない」
"サンディーヴァ":「だから、"桜崎ニア"を再現したんだ」
"サンディーヴァ":「だから、昔の名前を捨てたんだ」
永良ゆづり:「……そうか」
"サンディーヴァ":「苦しみも、悲しみも、辛い記憶も。みんな消し去って……全部、私一人で引き受けて」
"サンディーヴァ":「皆が最期まで見ていた夢のような日常を、現実に描き出してあげること」
"サンディーヴァ":「そして……その日常を、守ること」
"サンディーヴァ":「それが、私の為すべきこと。ただ一つの贖罪」
永良ゆづり:「……私に、貴女の全てを否定することはできない」
永良ゆづり:「罪は消えない。その通りだ」
永良ゆづり:「償うために努力する。当然の流れだとも」
永良ゆづり:「だから。全てを背負って、自分だけが犠牲になろうとする貴女の姿は」
永良ゆづり:「……まるで、鏡越しの自分を見ている気分だ」
"サンディーヴァ":「……やっぱり? 君には、分かってもらえるような気がしていたんだ」
永良ゆづり:「ああ。かつての私もそういうクチだった」
永良ゆづり:「同族の気配を感じ取ったから、貴女は私を気遣ってくれたのだろうが」
永良ゆづり:「──私は逆だ」
"サンディーヴァ":「……逆?」
永良ゆづり:「今の貴方を見ていると、どうにも心が苛立つ」
永良ゆづり:「罪に"囚われた"者はこんなにも見るに堪えないのだと、突き付けられているようで」
"サンディーヴァ":「…………」
永良ゆづり:「私はつい最近、改心させられてな。背負うのを辞めたんだ」
永良ゆづり:「そんなものに時間と手間を使うより、ずっと有意義なことがあると教わって、な」
永良ゆづり:傍らに立つ同僚を、ちらりと見て。
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"」
永良ゆづり:「貴女を、その罪から解き放とうと思っている」
"サンディーヴァ":「……あはは。言ってくれるね」
"サンディーヴァ":「だけど私、こうしている事が苦しいなんて思ったこと、ないよ」
"サンディーヴァ":「むしろ、皆のために何かをできないまま生きている事のほうが、ずっと苦しくて耐え難い」
"サンディーヴァ":「"解き放つ"なんて、余計なお世話」
羽海束沙:「……余計なお世話も、優しさの内よ」
羽海束沙:「私の目には、今の貴方は十分に"可哀想"で」
羽海束沙:「"そこから解き放ってあげたい"と感じているわ」
羽海束沙:「たった一人で生き残って、自分が傷つくことを悲しんでくれる誰かもいなかった貴方に」
羽海束沙:「私達が、最後の贈り物をしてあげる。大人しく受け取るといい」
"サンディーヴァ":「……傲慢だなあ。そうでもなきゃ、"世界の守護者"なんて名乗っていられないのか」
"サンディーヴァ":「皆のことは守れなかったくせに」
羽海束沙:「……。それが、私の罪だとしても」
羽海束沙:「私は、過去に縛られる生き方はしない。……ましてや、貴方のように悲劇を繰り返すことは」
永良ゆづり:「……やっぱり、真面目だな」終始淡々としていた口調が、少しだけ柔らに。
羽海束沙:「その方が安心できるんでしょう?」前を見たまま軽口を返す。
永良ゆづり:「ああ、私には到底追い付けない」
永良ゆづり:目深にハッチング帽──は、今は被ってないけれど。せめて、とんとんと靴先の帳尻を合わせる。
永良ゆづり:任務前のルーティーン。暗殺者然とした、簡易的な作法。
永良ゆづり:「だから、せめて支えに回ってやるさ」
永良ゆづり:口から吹き出した煙が、淀に染まった空を押しのけ立ち昇っていく。
亜藤 蘭介:想像を遥かに越えた、この夢界の主が纏うレネゲイドの圧。それを目の当たりにして尚。
亜藤 蘭介:罪に目を背けるでもなく。ひとり背負ってこの道を歩むのでもなく。
亜藤 蘭介:ただ、お互いに寄り添い、支え合って。そう在りたいという未来を見据えながら。
亜藤 蘭介:強大な敵に挑まんとする、その背中は。
亜藤 蘭介:過去に囚われ、悔恨をひとり抱えて歩く道を決めた男にとっては、余りにも眩しすぎて。
亜藤 蘭介:「………ふ」自嘲気に笑みを零して。共に並び立つ。
亜藤 蘭介:「疎ましき現世での全てを忘れ」
亜藤 蘭介:「この甘い、甘い夢世界で陶酔に浸るのは、ああ────」
亜藤 蘭介:「悪くなかったとも」
"サンディーヴァ":「なら、こっちに来ない?」
"サンディーヴァ":「言ったでしょう。私、貴方達の事は」
"サンディーヴァ":「できれば、敵として討つのではなく。仲間にしたいって思ってる」
亜藤 蘭介:「或いは……」
亜藤 蘭介:「昔の俺であれば。頷いていたのかもしれん」
亜藤 蘭介:しかし、と首を横に振って。澱の向こうのその瞳を真っ直ぐと見据える。
亜藤 蘭介:「この世界で永遠に夢に浸るため」
亜藤 蘭介:「数多の"バース"と接触させたのは……悪手だったな」
亜藤 蘭介:この偽りの世界で生まれた、偽りの絆。
亜藤 蘭介:全てを理解しても尚。
亜藤 蘭介:己を"仲間"と想い、散った男との絆も。
亜藤 蘭介:今も尚、この夢界領域の侵蝕に対抗せんと命を賭して戦っている者たちを。
亜藤 蘭介:この街も。死線に臨む俺たちの命すら守らんと最善を尽くしている男との絆も。
亜藤 蘭介:「貴様の"優しさ"によって生み出された"それ"は」
亜藤 蘭介:「当たり前に大切なものが奪われて」
亜藤 蘭介:「必死に抱えていたものが零れ落ちていく」
亜藤 蘭介:「そんな。理不尽で、窮屈で、退屈な─────」
亜藤 蘭介:「俺たちの日常へと戻る為の"力"と化した」
亜藤 蘭介:握った刃の切っ先を向ける。決意の炎が刀身にゆらりと灯る。
亜藤 蘭介:「"今"を生きる人々の安寧を脅かす輩を」
亜藤 蘭介:「"日常の守護者(UGN)"は許さない」
亜藤 蘭介:「"サンディーヴァ"」
亜藤 蘭介:「悪いが。夢の続きは此処で終わりだ」
"サンディーヴァ":「……君がそっちの方が大事だって言うなら、しょうがない」
"サンディーヴァ":「立場の違いだ。何もかもを掬い取る事はできなくて、取捨選択が必要だと言うなら」
"サンディーヴァ":「私だって、迷いなく仲間達を選ぶ」
"サンディーヴァ":「君達を踏みつけにしてでも、続けて見せる。この夢を」
穂村 姫乃:「……お主のこの夢も、なるほど確かに優しいものではあるじゃろうな」
穂村 姫乃:「たとえ夢であれど、バースシリーズ達は間違いなく幸せに生きておった」
穂村 姫乃:「一時とは言えその一員となった身じゃしその程度は分かる。お主の夢は間違いなく彼らを救った」
穂村 姫乃:「後まあ、人の子気分を味わえたのも新鮮ではあった。他では体験しようがないことじゃし」
穂村 姫乃:「それでも。夢というのはままならんからこそ夢じゃし、いずれ覚めるからこそ夢じゃと思うんじゃよな」
"サンディーヴァ":「だからだよ。だからこそ……」
"サンディーヴァ":「その道理を引っくり返すのさ」
"サンディーヴァ":「私とこの子がいれば、それができる」
穂村 姫乃:「……そこなんじゃよなぁ」
穂村 姫乃:「どれだけ夢が優しかろうと、サイカなり街の人々なり裏で割を食う者が居る」
穂村 姫乃:「ならばやはり覚めねばなるまいよ。お主も言ったじゃろ」
穂村 姫乃:「たまたまこの街で暮らしていただけで、自由な選択肢もないままに、悪夢に飲まれる誰かが生まれてしまう」
穂村 姫乃:「それではただの悪夢の繰り返しになるじゃろうが」
"サンディーヴァ":「……どちらが割を食うかだよ」
"サンディーヴァ":「この街に生きている人々の方が大事だから、私達は黙って死んでいろ……って言うなら」
"サンディーヴァ":「私は、私の仲間達に味方する」
"サンディーヴァ":「それに……この子は気に入ってくれているみたいだよ。私の夢の世界を」
"サンディーヴァ":大樹の根に腰掛けるようにして魄柱と一体化した少女を、見やる。
"サンディーヴァ":「彼女の家族がみんな元気に暮らしてる、理想の日常」
"サンディーヴァ":「君に……君達に、それを取り上げる資格があるのかな」
穂村 姫乃:「資格か。ならば逆に問うがの」
穂村 姫乃:「お主に夢を見せる資格はあるのか?現実を歩む彼女を夢に落とす権利があるのか?」
穂村 姫乃:「理屈をこねくり回して正当性を見せかけるのは止した方が良い。そもそものお主の目的からして無理がある」
穂村 姫乃:「洗脳しなければサイカがお主に協力せんかった時点で、語るに落ちとるじゃろうが」
穂村 姫乃:「彼女が歩むべきは現でありこの外の世界。そこは揺らがんよ」
"サンディーヴァ":「……それは。彼女がそういう風に教えられて、育ったからでしょう」
"サンディーヴァ":「自分の意思で選んだ道が、当人の幸福につながるとは限らない」
"サンディーヴァ":「私は確かに彼女を利用してる。だけど、こればかりは本気で言っているよ」
"サンディーヴァ":「この世界から出て行ったとして、この子は幸せになれるのかな」
"サンディーヴァ":「ジャームになることが、そんなに恐ろしい?」
"サンディーヴァ":「……大切な人のいない世界で、正気のまま、ずっと生きていく事の方が」
"サンディーヴァ":「残酷な事だとは思わない?」
"サンディーヴァ":あるいはその言葉は、たった一人生き残った自分自身の心境か。
"サンディーヴァ":「それならいっそ、"普通"じゃなくなってしまった方が」
"サンディーヴァ":「よほど幸せになれるんじゃないのかな」
"サンディーヴァ":どこか縋るように、責めるように、君達に問いかける。
"サンディーヴァ":「……ねえ。答えてよ」
久遠仁:「……」
久遠仁:「……北条」
久遠仁:“サンディーヴァ”ではなく、少女に向けて声を掛ける。
久遠仁:「迎えに来たぞ」
久遠仁:「帰ろう」
"魄柱・彩花”:「……」虚ろに、君を見つめ返す。
"魄柱・彩花”:「……いらないよ」
"魄柱・彩花”:「帰ってって、言ったでしょ」
久遠仁:「悪いが、そういうわけには行かんなあ」
"魄柱・彩花”:「……分かったんだよ、あたし」
"魄柱・彩花”:「自分の大事なものは、自分の手で守るしかないんだって」
"魄柱・彩花”:「何が……UGNだ。世界の守護者だ」
"魄柱・彩花”:「あたしの本当に大事なもの、守ってくれなかったくせに」
"魄柱・彩花”:「みんなが、レネゲイドのことを隠したりしなければ」
"魄柱・彩花”:「お父さんは、あんなのに騙されなかったはずなのに」
"魄柱・彩花”:一語ずつ、自分自身の過去を。生きてきた道程を、切り捨てるような言葉を吐く。
"魄柱・彩花”:あるいはそれは、"サンディーヴァ"の精神干渉によって発露した結果であったのだとしても
"魄柱・彩花”:5年前から。彼女の心の奥底に、ずっと封じ込められて「なかったこと」にされていた
"魄柱・彩花”:おさなごの情動だったのかもしれない。
久遠仁:「ああ、そうさな」
"魄柱・彩花”:「……あなたが、もっと早く来てくれていれば!」
"魄柱・彩花”:少女の叫びと共に、夢世界の柱が揺れる。
"魄柱・彩花”:「あたしの……大切な人達は」
"魄柱・彩花”:「死なずに、済んでたかもしれないのに……!」
久遠仁:「その通りだ」
久遠仁:「UGNは世界を──より多くを守る為に、常にそうやって少数を犠牲にしてきた」
久遠仁:「たとえ其れが血を吐くような苦渋の決断の末の答えだったとしても」
久遠仁:「切り捨てられる側にとっては、到底認められることじゃあない」
久遠仁:「それだけは、“サンディーヴァ”と同じだ」
久遠仁:「だが──それが、現実だ」
久遠仁:「UGN(俺達)には、全てを救うだけの力は無い」
久遠仁:「守るべきものを傷付け、切り捨て、そんな不都合な現実を正面から見据えて」
久遠仁:「……認めなければ、戦い続けることは出来ない」
久遠仁:「ああ、そうだ」
久遠仁:「君にとっては、きっと……この夢の中に居たほうが、ずっと幸せなんだろう」
久遠仁:「大切なものを奪われ、失い、傷付いて」
久遠仁:「そんな現実は──きっと、悪夢より尚残酷だろう」
久遠仁:少女を見据える。あどけなさの残る、出会った頃の、幼子の面影を残す顔を。
久遠仁:「……だがな、北条」
久遠仁:「それでも君は、戦ってきたんだ」
久遠仁:しかし明確に、あの頃とは違った。彼女の5年の日々は、歳月は、その戦いは。確実に彼女を成長させていた。
久遠仁:「君は、負けなかった」
久遠仁:「絶望の底にあって、それでも前を向いた」
"魄柱・彩花”:「っ……」
久遠仁:「そこから立ち上がって、歩き出したんだ」
久遠仁:「そして、かつての君のように傷付こうとしている、誰かの為に戦えるようになったんだ」
"魄柱・彩花”:……そうだ。前を向かなければいけない、と思った。
"魄柱・彩花”:この人のように強くなって、他の誰かを守れる人になるんだと決めた。
"魄柱・彩花”:「……違う。ちがう……!」
"魄柱・彩花”:少女の肉体に深く根付いたレネゲイドが、その意志を誘導している。"サンディーヴァ"のエネミーエフェクト《ブレインジャック》。
"魄柱・彩花”:「そんなのは、全部……誤魔化し、なんだ」
"魄柱・彩花”:「いくら、他の人のために戦えるようになったって」
"魄柱・彩花”:「何百人、何千人、ひとを助けたって」
"魄柱・彩花”:「お父さんも、お母さんも……帰って、来ない」
"魄柱・彩花”:虚ろな瞳が、涙に滲んでいる。君を、射抜くように見る。
久遠仁:「……分かっているじゃないか、北条」
久遠仁:「君のお父さんとお母さんが、帰ってこないことも」
久遠仁:「それでも、君の戦いが、沢山の人を──」
久遠仁:「……俺を」
久遠仁:「救ってくれたことも。全てが事実だ」
久遠仁:穏やかに、少女に語り掛ける。
久遠仁:「北条。君はな」
久遠仁:「……笑えるようになったんだぜ」
"魄柱・彩花”:「……っ。だと、しても……!」
"魄柱・彩花”:「"こっち"には、いるんだよ……! お父さんも、お母さんも……!」
"魄柱・彩花”:「お母さんが、あたしのこと抱きしめてくれた!」
"魄柱・彩花”:「お父さんが、あたしの頭を撫でてくれた……!」
"魄柱・彩花”:「それを……否定するって、言うならっ」
"魄柱・彩花”:「あたしの大事なものを、また……奪うって言うなら!」
"魄柱・彩花”:「たとえ貴方だって、容赦しない……!」
久遠仁:「ああ」
久遠仁:「だからこれは、俺のエゴだ」
久遠仁:「俺は君の戦いを、ずっと見てきた」
久遠仁:「その日々を。挫折を。苦悩を。再起を。君が守ってきた、築いてきた全てを」
久遠仁:「それを、否定すると言うのなら」
久遠仁:「俺の大事なものを、奪うと言うのなら」
久遠仁:兜越しの視線を、北条サイカから“サンディーヴァ”へと移す。
久遠仁:「誰であろうと、容赦はしない」
"サンディーヴァ":「……そうか。うん」
"サンディーヴァ":「なら、仕方ない。本当に……残念だけれど」
"サンディーヴァ":「私の大切な人達の日常を、害するものは」
"サンディーヴァ":「私が、排除しなければ」
"サンディーヴァ":──あいつらに付けられたコードは、もう使わない。支配とは決別したから。
"サンディーヴァ":──あの人に貰った名前は、もう使わない。みんなを殺めて生き延びた私に、その資格はないから。
"サンディーヴァ":だけど、私はもう一人じゃない。
"サンディーヴァ":みんなの想いを、力を、過去を、背負いながらここに立っている。
"サンディーヴァ":彼らの熱は、今も胎(ここ)にある。だから──
"サンディーヴァ":「──私は"サンディーヴァ"」
"サンディーヴァ":「苦痛と、後悔と、呪いそのもの」
"サンディーヴァ":どろりとした影が、空を覆う。
"サンディーヴァ":「だからこそ、甘い夢を探してる」
"サンディーヴァ":……『黒』とは、無数の色彩を孕み収束した色だ。
"サンディーヴァ":それが展開する領域は、レネゲイドとなって彼女に吸収された"バース"それぞれが有していた因子の集合体。
"サンディーヴァ":無数の支配法則を束ね合わせることで、完全自在の統治領域を構築する事を目指す──
"サンディーヴァ":変化法則(バース)を束ねて編み上げる。"ヴィローシャナ"が単一自我宇宙領域(ユニバース)と呼んだその段階に
"サンディーヴァ":未だ至らずとも、最も近い所に辿り着いた領域異能者。
"サンディーヴァ":"モングレル・チェスト"千五百年の蠱毒結晶、その最果て。
"サンディーヴァ":その世界に取り込まれたものは、やがて一切万物が彼女という地獄の一部となる。
"サンディーヴァ":「──さあ」
"サンディーヴァ":「呑んであげよう。君達の背負うもの、全て」

GM:クライマックス戦闘を開始します。
GM:衝動判定です。目標値は12。
GM:成功で汚染値+1、失敗で汚染値+3と暴走。
久遠仁:3DX>=12
DoubleCross : (3DX10>=12) → 8[6,7,8] → 8 → 失敗

穂村 姫乃:6dx+1>=12
DoubleCross : (6DX10+1>=12) → 9[2,4,7,7,8,9]+1 → 10 → 失敗

亜藤 蘭介:3dx+4>=12 思い出ブランケット
DoubleCross : (3DX10+4>=12) → 10[5,5,10]+8[8]+4 → 22 → 成功

久遠仁:95+2D10
DoubleCross : (95+2D10) → 95+7[4,3] → 102

亜藤 蘭介:汚染値3
永良ゆづり:3dx+2>=12 思い出ケット
DoubleCross : (3DX10+2>=12) → 8[1,4,8]+2 → 10 → 失敗

穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2d10(→ 15)増加 (90 → 105)
久遠仁:汚染値1>4、暴走
GM:これまで同様、支援等はラウンド前なので1ラウンド目の制限にはカウントしません
永良ゆづり:束沙!
穂村 姫乃:あ、永良ちゃんも私に投げてもらっていい?
羽海束沙:誰に投げればいい?
永良ゆづり:とりあえず私の分は穂村さんにバディム!
久遠仁:羽海さんは永良さんにキスして
穂村 姫乃:羽海さんは永良ちゃんにお願い
永良ゆづり:束沙のは私にくれると嬉しい……!
亜藤 蘭介:久遠くん!裏に行こう!
羽海束沙:永良にね、了解 キスはしないけど
穂村 姫乃:バデムで成功になったので汚染値6!
永良ゆづり:ありがとう!!では達成値13で成功
永良ゆづり:77+2d10
DoubleCross : (77+2D10) → 77+17[9,8] → 94

亜藤 蘭介:87+2d10
DoubleCross : (87+2D10) → 87+3[2,1] → 90

永良ゆづり:汚染値は8になって以上!
亜藤 蘭介:よしよし
GM:エンゲージを表示します。

[ 魄柱・彩花(00)、“サンディーヴァ”(30)  ]
10m
 [ 久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:また、勝利条件等の確認を行います。
GM:勝利条件:敵全員を戦闘不能にする
GM:戦闘終了条件:PC達の勝利条件達成、またはPC達の全滅
GM:また、北条サイカは”サンディーヴァ”が使用した《ブレインジャック》の影響下にあり、”サンディーヴァ”を撃破することで意識を正常化・敵対状態を解除できます。
GM:また、"サンディーヴァ"が持つ以下のような能力が発動しています。これはEロイス3個分として数えます。

・単一自我宇宙領域(ニア・ユニバース)
タイミング:常時
効果:PCが手番を得た時点で<意志>による判定を行う。難易度は「そのキャラクターの夢界汚染値」。
失敗した場合、その手番における行動内容は"サンディーヴァ"が選択する。
"サンディーヴァ"が戦闘不能になった場合、この効果は解除される。

GM:こちらからは以上です。
亜藤 蘭介:理解を得ました
永良ゆづり:了解です!
久遠仁:分かりました……
穂村 姫乃:OKです
GM:OK。では戦闘ラウンドに移行していきます。

GM:ラウンド1。セットアップ。
"サンディーヴァ":「四十法節・因子解放」《螺旋の悪魔》《極限暴走》《喰らわれし贄》《破壊の渦動》《背徳の理》
"サンディーヴァ":暴走、シーン攻撃力+36、ダイス+10。シーン装甲無視。
亜藤 蘭介:ありません!
久遠仁:なし。
永良ゆづり:なし
穂村 姫乃:なし
"魄柱・彩花”:"サンディーヴァ":《アクセル》《ラピッドファクトリー》《活性の霧》
"魄柱・彩花”:"サンディーヴァ":味方全体の攻撃力+15、ドッジ-2、行動値+14

[ 魄柱・彩花(14)、“サンディーヴァ”(44)  ]
10m
 [ 久遠仁(23)、永良ゆづり(09)、穂村姫乃(04)、亜藤蘭介(05) ]

GM:行動値こうなります。

GM:イニシアチブへ。行動値44、"サンディーヴァ"の手番。
"サンディーヴァ":「カノンボール・シアター」マイナー《千変万化の影》RC技能のレベル+10《影の武具:インフィニティウェポン》、メジャー《コンセントレイト》《サンドシャード》《棘の縛め》《要の陣形》《ペトリファイ》《クリスタライズ》《ストライクモード》オート《砂の加護》《砂塵霊》
"サンディーヴァ":対象はPC全員。
"サンディーヴァ":命中で硬直付与、装甲無視 行動値-20です。
亜藤 蘭介:こ、これは……
久遠仁:ヤベ~ッ
"サンディーヴァ":また、このエネミーはEロイス「虚実崩壊」の効果により《能力強奪》の使用回数制限がなくなっている扱いとして
"サンディーヴァ":他者から奪ったものとして、シンドローム条件等を無視したエフェクトを複数取得しています。
"サンディーヴァ":26dx7+40
DoubleCross : (26DX7+40) → 10[1,1,1,1,2,3,3,4,4,4,5,5,6,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,2,3,3,3,4,6,9,9,9,10]+10[2,6,7,10]+10[1,9]+10[9]+3[3]+40 → 93

亜藤 蘭介:高すぎるが?
永良ゆづり:3dx+1>=93 ドッジ
DoubleCross : (3DX10+1>=93) → 9[3,3,9]+1 → 10 → 失敗

穂村 姫乃:6dx>=93
DoubleCross : (6DX10>=93) → 8[2,4,5,7,8,8] → 8 → 失敗

久遠仁:ガード 吸血アージなのでリアクション可能
亜藤 蘭介:7dx+1>=93 ドッジ
DoubleCross : (7DX10+1>=93) → 10[2,2,4,5,5,9,10]+5[5]+1 → 16 → 失敗

永良ゆづり:《炎陣》で侵蝕94→96。カバーリング
亜藤 蘭介:同じく《砂の結界》でカバーリング
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2(→ 2)増加 (90 → 92)
永良ゆづり:久遠くんで!
亜藤 蘭介:では穂村さんを。
久遠仁:ありがたい……
穂村 姫乃:助かる!
GM:OK。ではダメージ
"サンディーヴァ":10d10+43+5d10+15
DoubleCross : (10D10+43+5D10+15) → 47[2,2,6,8,6,3,4,4,4,8]+43+23[3,4,7,1,8]+15 → 128

亜藤 蘭介:死にまくります。リザレクト。
永良ゆづり:づぅえ~~っ!!リザレクト!
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1d10(→ 1)増加 (92 → 93)
永良ゆづり:96+1d10
DoubleCross : (96+1D10) → 96+4[4] → 100

永良ゆづり:汚染値9になって以上!
亜藤 蘭介:汚染値4。
GM:では演出。

"サンディーヴァ":無数に混ざりあった領域の闇の中から、特定形質の因子を抽出・増幅・行使する。
"サンディーヴァ":その制御は、既に一個人が物理的に可能な技量を超えている。
"サンディーヴァ":非戦闘時であっても、彼女の身体から常に黒い澱が漏れ出している事が、その証左でもある。
"サンディーヴァ":故に、その力を眼前の敵を滅するために使うとなれば──暴走する。女の輪郭がぼやけて、闇の領域の奥へと深く溶け込んでいく。
"サンディーヴァ":……それが、破壊の合図。君達の足元、大地が引き裂かれる。幾万本の黒槍が、剣山の如くに生え錬成されていく。
"サンディーヴァ":逃げ場のない、雨粒の如き刺突。返しのついた刃が君達の肉体を突き刺し引き裂いていく。
"サンディーヴァ":一撃ごと、その傷口へ"サンディーヴァ"の因子が雪崩込んでいき、
"サンディーヴァ":その身体を侵蝕する。肉体が、この空間そのものへと混ぜ溶かされていくような感覚を覚える。
"サンディーヴァ":──同時、空に影が差している。陽射しの閉ざされた世界に、更なる蓋をする巨塊。
"サンディーヴァ":数百メートルの上空。高層ビルほどの超巨大金属体が浮かんでいた。
"サンディーヴァ":一転、落下する。槍を以て射抜き、動きを封じ留めた者達を押し潰すべく。
永良ゆづり:「(あれは、萩原カノンの錬金支配)」
永良ゆづり:「(それをまるで、悪夢の様な出力で──)」
永良ゆづり:一線級の領域能力者群たる"バース"シリーズを、遍く取り込み己が権能とした"サンディーヴァ"の初撃。
永良ゆづり:この夢界で対峙したどの上位ランクよりも熾烈で、煙を差し挟む隙すら見当たらぬ三次元制圧。
永良ゆづり:加えて体躯への侵入を許せば、我々の権能が機能不全へと陥ることも経験が物語る。
永良ゆづり:後手に回れば為す術のない、無比なる圧潰と侵蝕の顕現。それを──
永良ゆづり:「(────信じていたとも!)」
永良ゆづり:永良ゆづりの白煙は、"信頼に値する"者と物のレネゲイドに爆発的強化を齎す。
永良ゆづり:"サンディーヴァ"の甚大なる領域能力が、その条件を完璧に、十二分に満たした。
永良ゆづり:ゆえに。先手を取って備え、完膚なく捌くという絵空事を。実現へと至らせる。
永良ゆづり:森の木々が生み出す死角に隠された、無数の白き影が飛び出し地を這い、
永良ゆづり:先んじて根ざす淀みの槍に覆い被さっていく。
永良ゆづり:堰き止めるのは到底不可能。だが、その強度を"歪"に押し上げるだけなら十分。
永良ゆづり:伸び奔る槍の"片面"のみに煙を浸透させ、その伸長速度を爆発的に増大させる。
永良ゆづり:即ち、槍が描く軌跡は左右異なる伸びゆえに大きく歪曲し、
永良ゆづり:本来刺し穿つべき標的を逸れ、一切の成果も生み出せぬ淀みの檻を成す。
永良ゆづり:その強度たるや、上空より落つる理想金属体の巨塊すら、貫き朽ち割るほどに。
永良ゆづり:「────っ、ぁ」
永良ゆづり:だが、それも今は一人。久遠仁の護りへと集中させて漸く。
永良ゆづり:己の体躯は為すすべなく抉られ。淀みの侵略を受け入れる。
永良ゆづり:混濁し、朦朧とする意識を何とか握り込みながら。
永良ゆづり:「(でも、要領は掴んだ。これなら、上手くいけば"利用"することも──)」
永良ゆづり:次なる一手のため。煙が大気へと溶けて姿を隠していく。
永良ゆづり:──それに、信頼に値し得るのは敵だけではない。
永良ゆづり:状況を即時に見通し、鑑み、"後の先"を得手とする味方も、既に動いている。
亜藤 蘭介:「(間に合う、か─────)」
亜藤 蘭介:亀裂が走り、割れた大地へとその身が投げ出される寸前。
亜藤 蘭介:己が能力を行使する寸前で。視界に入ったのは、先んじて底へと伸びゆく白煙。
亜藤 蘭介:その意図を把握する必要など有りはしない。此処まで共に、死線を潜り抜けた仲間の信頼を疑う必要も。
亜藤 蘭介:錬成された黒槍の地の獄。その地中から這い出るように現出するは数多の土分身。
亜藤 蘭介:主たる亜藤蘭介には目もくれず、歪に成長を遂げたその槍の上を疾駆し。
亜藤 蘭介:今、守るべきその者。宙でその小さな体躯を抱え。土がその身を囲うよう、覆うように姿形を変える。
亜藤 蘭介:まだ終わりではない。遅れて地へと降り立って。
亜藤 蘭介:揺るがない瞳で、砕き割れ、上空から雨のように降り注ぐ巨大金属片を見据えながら。
亜藤 蘭介:女の言葉が頭に響く。
亜藤 蘭介:────取捨選択。
亜藤 蘭介:人は何もかも掬い取ることなど出来ない。
亜藤 蘭介:同感だ。
亜藤 蘭介:「俺も。迷いなく選ぶ」
亜藤 蘭介:跳ぶ。穂村姫乃を襲う、岩のようなそれを目掛けて。
亜藤 蘭介:断ち切る。逸れた重塊、殺しきれない衝撃で右椀が砕け、身を蝕むレネゲイドに意識が混濁しても尚。
亜藤 蘭介:更に跳躍。持ち替えた左で無様に振るった切り払い。辛うじて受け流し、割れた金属片と、粉砕した己が身がぐちゃりと音を立て落下する。
"サンディーヴァ":「へぇ……?」闇の帳の向こう。僅かに目を細める。二人、届いていない事を確認して。
"サンディーヴァ":「凄いな。怯えてくれてもいいのに、とまでは言わないけれど」
"サンディーヴァ":「自我侵蝕に抵抗しながら、そこまで対応できるんだ」
"サンディーヴァ":「……怖いね。やっぱり君達は」
"サンディーヴァ":「紛れもなく、私達の世界の脅威だよ」
穂村 姫乃:「怯えてくれても、は流石にちと舐めすぎではないかの」
穂村 姫乃:「儂らが、中でも蘭介とゆづりが。ここでどれだけ死線を潜ったか」
穂村 姫乃:「むしろお主の方が知っとるはずじゃろ?」
穂村 姫乃:バースとの激闘を仕組んだのは、むしろ自分自身だろう?と仄めかすように問いかける。
"サンディーヴァ":「……言わない、と言ってるだろ。舐めてる訳じゃない」
"サンディーヴァ":「ただ……」
"サンディーヴァ":目の前で行われた連携の練度の高さを、改めて目にした。それが、ここまでの戦いの中で研磨された結果なのだとすれば。
"サンディーヴァ":「初めから、私が出るべきだったのかもしれないね」
久遠仁:「……まずいな」
久遠仁:永良の作り出した間隙に守られ、呻くように言う。
久遠仁:「俺より速いぞ」

GM:イニシアチブ23。久遠さんの手番です……が
GM:まずは意志判定をどうぞ。目標値は夢界汚染値分なので、4
久遠仁:うおお
久遠仁:4DX>=4
DoubleCross : (4DX10>=4) → 9[3,5,9,9] → 9 → 成功

GM:失敗すれば行動選択権が敵に移ります。
GM:成功。通常の行動が可能となります。行動宣言をどうぞ!
久遠仁:マイナーでコンボ【陣雲】
久遠仁:≪骨の剣≫+≪死招きの爪≫ 素手変更
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を7増加 (102 → 109)
久遠仁:メジャーでコンボ【絶影】
久遠仁:≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:全力移動でエンゲージしつつ攻撃、対象は“サンディーヴァ”
GM:命中どうぞ
久遠仁:10DX7+7
DoubleCross : (10DX7+7) → 10[1,4,4,5,6,7,7,8,8,9]+10[1,3,9,9,10]+10[1,8,9]+10[2,8]+10[8]+10[8]+10[9]+10[7]+2[2]+7 → 89

久遠仁:うお……
GM:やる気!
"サンディーヴァ":暴走中のためリアクション不可。
久遠仁:ダメージ!
久遠仁:9D10+30+10
DoubleCross : (9D10+30+10) → 54[3,8,10,4,8,9,5,1,6]+30+10 → 94

"サンディーヴァ":《デモンズウェブ》軽減します。
"サンディーヴァ":94-6d10
DoubleCross : (94-6D10) → 94-34[2,2,6,9,8,7] → 60

久遠仁:《デビルストリング》
久遠仁:いや
久遠仁:デモンズウェブは80制限か……
GM:あっそうですね
久遠仁:チィ~~ッ
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (109 → 113)
"サンディーヴァ":ダメージ通りました。まだ元気。
GM:演出どうぞ

久遠仁:──遥か太古の昔に死滅した、レネゲイドビーイングの化石。
久遠仁:久遠仁の全身に移植された金属骨格の正体とは、正確にはそういう物なのだという。
久遠仁:久遠がその能力を行使する際、彼らが語り掛けてくる衝動は、至極純粋な、ただ一つの声。
久遠仁:『もっと速く』『限界まで速く』。
久遠仁:数億年の歳月、時間という牢獄から解き放たれんとするかのようなその声。
久遠仁:常ならば黙殺し、制御すべきその声に。
久遠仁:(いいだろう)
久遠仁:今だけは。
久遠仁:(行こうじゃないか)
久遠仁:くるりと鞘を回転させ、柄を構える。掌からずるり、と金属が変形し、刃となって形成される。
久遠仁:研ぎ澄まされ、同時に鈍化していく感覚。1秒がその10倍、100倍にも希釈される。全ての音が引き延ばされ、やがて置き去りになって消え去っていく。
久遠仁:静止した時間の中を、久遠だけが歩み出し──
久遠仁:──金属を打ち鳴らすような、不協和音が轟いた。
久遠仁:黒槍の森を足場とし、四方八方から“サンディーヴァ”を斬り付けたその数、94回。それら全ての刃音が、一度に重なって響き渡る。
久遠仁:だが。
久遠仁:「……おいおい」
"サンディーヴァ":──否、君だけではない。
"サンディーヴァ":音よりも速い世界。「見えてるよ」と口元が動いた。
"サンディーヴァ":どろりとした闇を纏う腕が、動く。甲殻めいて硬質化した筋肉が、その刃を受ける。
"サンディーヴァ":……だが、90を超える斬撃負荷の中で。綻んだのは此方の方だ。
"サンディーヴァ":時間が動き出したと同時、真紅の血が噴き出す。
久遠仁:「参るよなあ、全く」呆れたように軽く刀を振る。「こっちは一芸(これ)しかないってのに」
"サンディーヴァ":「ふふ……そう言う割には、余裕がある」
"サンディーヴァ":「速度も神経反応も、私の方が上のはずだ。それでも、今の攻防の中で遅れを取った」
"サンディーヴァ":「この速さの中で過ごした経験なら、君の方が上。そうでしょう」
久遠仁:「なに、俺があんまり必死だと、後で気にする子が居るんでね」
久遠仁:「いつでも余裕を見せとくもんさ、先輩ってのは」
"サンディーヴァ":腕を引く。傷口を、澱が修復していく。「……なるほど、強い。あの子が信じていたわけだ」

GM:イニシアチブ、行動値14。"魄柱・彩花"の手番
"魄柱・彩花”:マイナーなし。
"魄柱・彩花”:メジャー「ブルーム・ブレイド」 《コンセントレイト》《アドレナリン》《シャドーテンタクルス》《原初の赤:渇きの主》《深き傷痕》《混色の氾濫》 14dx@7+10 攻撃力35 HP+28 装甲無視 次の攻撃が-10
GM:あっ全部コピペしちゃった
"魄柱・彩花”:まあいいや 対象は仁さん以外の3人です
"魄柱・彩花”:14dx7+10 命中
DoubleCross : (14DX7+10) → 10[1,2,2,2,3,4,5,5,5,5,6,9,9,10]+10[8,8,10]+10[2,9,9]+10[8,9]+5[5,5]+10 → 55

"魄柱・彩花”:また、エネミーエフェクト《毒持つ獣》の効果により
"魄柱・彩花”:命中時にランク4邪毒が付与されます。
亜藤 蘭介:ドッジ!
亜藤 蘭介:7dx+1>=55
DoubleCross : (7DX10+1>=55) → 10[2,2,5,8,9,10,10]+10[3,10]+1[1]+1 → 22 → 失敗

亜藤 蘭介:がんばり死
穂村 姫乃:一応ドッジ
穂村 姫乃:6dx>=55
DoubleCross : (6DX10>=55) → 8[1,2,2,4,5,8] → 8 → 失敗

永良ゆづり:4dx+1>=55 ドッジ
DoubleCross : (4DX10+1>=55) → 9[2,5,8,9]+1 → 10 → 失敗

亜藤 蘭介:ダメージ解決前に《砂の結界》で穂村さんをカバーリング。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2(→ 2)増加 (93 → 95)
GM:他ないかな
GM:ダメージ出します。
"魄柱・彩花”:6d10+35
DoubleCross : (6D10+35) → 33[6,10,8,2,5,2]+35 → 68

"魄柱・彩花”:次の攻撃が-10され、邪毒ランク4です
亜藤 蘭介:らん らんらら らんらん死
永良ゆづり:死んじゃう!ロイス「UGN」をタイタス化して蘇生、HP14で汚染値10。
亜藤 蘭介:飯綱さんのロイスをタイタス昇華。HP14で復活
亜藤 蘭介:汚染値5。
GM:OK。では演出

"サンディーヴァ":「さて……やっぱり、君の力を借りなくちゃいけないみたいだ」
"サンディーヴァ":久遠と対峙したまま、大樹の根となる少女に声をかける。「手伝ってくれるかい」
"魄柱・彩花”:「っ……あたし、は……」
久遠仁:「……北条」
久遠仁:「やめろ。聞いちゃいけない」
"魄柱・彩花”:「大丈夫……あたしは、強くなった」
"魄柱・彩花”:僅かに久遠の方を一瞥。しかし、すぐに後方に残る集団の方へと向いて。
"魄柱・彩花”:「もう、迷わない……誰かに任せっきりにも、しない……」呟く。自分に言い聞かせるように。
"魄柱・彩花”:「あたしが、守る……!」
"魄柱・彩花”:大樹が揺れる。無数の枝が広がり、手のひらのように変化していく。
久遠仁:「ッ……北条……!」
"魄柱・彩花”:前後左右天・五方を塞ぐように君達へと伸び、掴むべく迫る。
"魄柱・彩花”:咽せ返るような甘い香りが包む。"ブリンクブレイド"が使っていたそれと同質の知覚干渉。
"魄柱・彩花”:躱し防ぐ動作を、幻惑の中へと封じ込めんとする。
亜藤 蘭介:"サンディーヴァ"に侵され、摩耗した意識。粉々に砕けた半身を再生し、足を動かす時間の猶予も無い。
亜藤 蘭介:故に。辛うじて動く程度に治癒した左腕で。己が得物を、護るべき仲間目掛けて宙に放つ。
亜藤 蘭介:同時、"興津比売命"が踏みしめているその大地から生まれ出るようにして、土色の腕が伸びる。
亜藤 蘭介:宙でその柄を握った腕が鞭のように振るわれる。神の領域を侵さんとする無数の夢枝を、鋏刃が縦横無尽に薙ぎ払う。
亜藤 蘭介:「がっ────!」
亜藤 蘭介:然し、武器を失ったこの身に、対抗する術はなく。
亜藤 蘭介:この身を拘束した枝を通して、甘い快楽の香気が。脳髄の奥まで染み渡る。
"魄柱・彩花”:枝が爪めいてその身体を掴むと同時。
"魄柱・彩花”:黒いレネゲイドの花が咲き開いて、刃の花弁が肉体を引き裂き刻む。
"魄柱・彩花”:じゅくり、じゅくりと
"魄柱・彩花”:その傷口より、流れ出る血が吸い上げられていく。
"魄柱・彩花”:血肉もろとも、レネゲイドを奪い喰らう。それを糧として吸血花はいっそう咲き誇る。
"魄柱・彩花”:「降参、してください……でないと」
"魄柱・彩花”:「このまま、全部……吸い尽くします、から……っ!」
永良ゆづり:「────ち」煙を溶け込ませ強度へと作用する前に、出力その物を奪い去られては意味がない。
永良ゆづり:甘い香りに翻弄され、薄れゆく意思を何とか保たせながらも。
永良ゆづり:僅かな隙間を縫い、携えた峨嵋刺で枝を突き割り、花弁を足蹴に離脱する。
永良ゆづり:着地。だが、跳ね返る自重に耐え切れず、膝を突く。
永良ゆづり:「(──あ、れ)」
永良ゆづり:この夢界で幾度も他人を庇い、致命傷をその身に重ねてきた代償。
永良ゆづり:一度は目覚めた筈の仮初なる夢が、霞んだ意識を再び侵そうと忍び寄る。
永良ゆづり:「……だから、言ってるだろうに」
永良ゆづり:「気遣いは不要だと」
永良ゆづり:北条サイカ/○庇護/不安 を取得し、即タイタス化。
永良ゆづり:汚染値10→0

GM:永良亜藤が行動値下がっているため、イニシアチブ4
GM:穂村さんの手番です。行動どうぞ
穂村 姫乃:6dx+1>=5 手番前に意志判定
DoubleCross : (6DX10+1>=5) → 10[1,5,6,7,8,10]+2[2]+1 → 13 → 成功

穂村 姫乃:はい。マイナーとメジャーでそれぞれコンボ。
穂村 姫乃:神憑り始め:オリジン(レジェンド)Lv6+氷の回廊Lv2
穂村 姫乃:精神判定の達成値+12、飛行状態で戦闘移動、移動距離+4m、"サンディーヴァ"達のエンゲージに移動、侵蝕率+3
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を3増加 (105 → 108)
穂村 姫乃:神語り告げ:蝕む赤Lv6+ブラッドスパイクLv4+災厄の炎Lv6+プラズマカノンLv4
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)で"サンディーヴァ"とサイカちゃんを対象、攻撃力+50、ランク6の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+12
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を12増加 (108 → 120)
GM:OK。命中どうぞ
穂村 姫乃:6dx+26
DoubleCross : (6DX10+26) → 10[6,7,7,7,10,10]+7[5,7]+26 → 43

"サンディーヴァ":暴走中のためリアクションなし。
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメ+1D+18、侵蝕103
久遠仁:ダメージ前に《餓狼の爪》 ダメージ+30
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を3増加 (113 → 116)
"魄柱・彩花”:「ブルーム・ブラッド」《復讐の刃》
"魄柱・彩花”:リアクション放棄で反撃します。
久遠仁:《デビルストリング》
久遠仁:復讐の刃を打ち消します
"魄柱・彩花”:ぐぬ……キャンセルされました。
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (116 → 122)
GM:いずれも命中。ダメージをどうぞ。
穂村 姫乃:50+5d10+1d10+18+30
DoubleCross : (50+5D10+1D10+18+30) → 50+24[1,5,6,3,9]+3[3]+18+30 → 125

GM:いやつよ
"サンディーヴァ":《雲散霧消》《隆起する大地》
"サンディーヴァ":125-1d10+30+18
DoubleCross : (125-1D10+30+18) → 125-1[1]+30+18 → 172

GM:いやちがう
GM:49軽減ですね
GM:76点になります
穂村 姫乃:では、演出行きます
GM:ごめん数値計算してた どうぞ!

穂村 姫乃:「さて。守られた分働かんといかんな」
穂村 姫乃:からりと彼女が笑うと同時。彼女の前方一帯が赤く染まる。
穂村 姫乃:酷く整然とした血河。あるいは、彼女のためにあつらえられたレッドカーペットにさえ見えるような。
穂村 姫乃:「久方ぶりにマジのマジで行くとしよう」
穂村 姫乃:彼女の一歩目に合わせ、髪が、瞳が。本来の輝きを取り戻す。
穂村 姫乃:「――我が名は興津比米命」
穂村 姫乃:「大年神、そして天知迦流美豆比売の血を引く一柱」
穂村 姫乃:「我が兄興津彦命、及び火之迦具土神と並ぶ竈神三柱の一角なれば」
穂村 姫乃:――普段。穂村姫乃は自身を神とは名乗らない。
穂村 姫乃:「我が炎より逃れること能わず。我が炎は決して尽きることなく」
穂村 姫乃:彼女はあくまで、神を起源(オリジン)に持つレネゲイドビーイングだからだ。
穂村 姫乃:「汝の燃え尽きるその瞬間まで。絶えずその身を苛み焦がす」
穂村 姫乃:神の信仰より生まれ、神と違わぬ御業を持ち、神と同じ名を名乗り。
穂村 姫乃:だけど、神になれるわけではない。
穂村 姫乃:これはあくまでも、自身の起源を辿り唱えることで自身の能力を上乗せする行為に過ぎない。
穂村 姫乃:彼女は祈らない。神とは祈られるものだから。
穂村 姫乃:彼女は恐れない。神とは畏れられるものだから。
穂村 姫乃:彼女は膝をつかない。神とは跪かれるものだから。
穂村 姫乃:彼女はただ、不敵に笑み、炎を繰る。それが神であると考えているから。
穂村 姫乃:それは、神を起源に生まれた彼女の矜持であり。
穂村 姫乃:あるいは。神になれない彼女の信仰なのかもしれない。
穂村 姫乃:「さあ」
穂村 姫乃:いつの間にか"サンディーヴァ"と魄柱の懐まで到達した彼女は笑う。いつも通りに。
穂村 姫乃:「燃え尽きろ」
穂村 姫乃:周囲一帯を灼熱地獄に落とすように。炎が舞った。
"サンディーヴァ":「っ……!」あるいは真なる神ではないのだとしても、その神威を前に。澱の向こうの表情が怯えに揺らめく。
"サンディーヴァ":業火が漆黒を焼き焦がす。闇の澱が塗り潰されていく。
"魄柱・彩花”:「っ、こんな……っ!」広がった枝が燃え落ちていき、その端から再生していく。
"魄柱・彩花”:「駄目、させない……っ!」炎上する景色の向こうに、夢の終わりを幻視して。叫ぶ。
"魄柱・彩花”:不滅の炎を灯す枝が、牙の如く伸び上がった。穂村姫乃へと突き立てられる。
久遠仁:その寸前で、ばらり、と枝が断たれて落ちる。
久遠仁:北条サイカの眼前に、刃を携えた久遠仁が立っている。
"魄柱・彩花”:「あ……」
久遠仁:「……やめておけ、北条」
久遠仁:「君が傷付くだけだ」
"魄柱・彩花”:「っ……!余計な、お世話ッ……!」
"魄柱・彩花”:君の顔を睨みつける。追撃を加えようとして、しかし
"魄柱・彩花”:「かっ……」どくり、と大樹が大きな鼓動を打つ。北条サイカの肉体が跳ねる。
"魄柱・彩花”:既に一個の生命として、"魄柱"と深く結合している。当座の処置であった水上ケイの時とは比較にならないほど。
久遠仁:「……北条……!」
"魄柱・彩花”:樹が傷つけば、彼女の生命力が修復へと転換される。逆もまた同じ。
"魄柱・彩花”:すなわち。魄柱を滅するには、彼女の命を絶つ必要がある──君の前で、"ビー"が発した懸念。
久遠仁:「…………」
久遠仁:焦燥と裏腹に、思考はどこまでも澄み、冴え切っていく。
久遠仁:その統制を齎しているのは、ただ一つの感情──憤怒。
久遠仁:物言わぬ兜、誰にも見せぬその内側で、灼けつくような怒りが心を焦がしていく。
"サンディーヴァ":「このまま……私が死ぬまで燃え尽きないのか」
"サンディーヴァ":黒と赤の交じる熱の向こう。女の声がする。
"サンディーヴァ":「なるほど、随分と性質が悪いね」
"サンディーヴァ":「だけど、君は無事だ。使い手までもが焼かれる訳じゃない」
"サンディーヴァ":身を焦がす──穂村姫乃の放った焔が、
"サンディーヴァ":「ならば、私のものにしてしまえば良い」
"サンディーヴァ":血のような真紅ではなく、闇色に染まっていく。
"サンディーヴァ":《状態復元》HP5点喪失。邪毒を回復します。
穂村 姫乃:「お主に性質が悪いと言われるのは釈然とせんの」
穂村 姫乃:黒く染まりゆく炎を見ながら少しだけ唇を尖らせた後。
穂村 姫乃:「まあでも、儂が今操る分まで掌握できるわけでもあるまい。それなら」
穂村 姫乃:「燃え尽きるまで繰り返すだけじゃ」
穂村 姫乃:もう一度、にいと唇を吊り上げて笑う。

GM:イニシアチブ0。亜藤さんと永良さんの手番です
亜藤 蘭介:ではお先に。
亜藤 蘭介:意志判定します。
GM:あ、そうですね 行動前に意志判定をどうぞ
亜藤 蘭介:目標夢界汚染値は5。
亜藤 蘭介:4dx+4>=5
DoubleCross : (4DX10+4>=5) → 9[5,7,8,9]+4 → 13 → 成功

亜藤 蘭介:まだ舞える
GM:無事に行動できます。
亜藤 蘭介:"サンディーヴァ"に P感服/N○打倒 でロイスを取得しタイタス昇華。
亜藤 蘭介:不利な効果を全て打ち消します。
GM:OK
亜藤 蘭介:よって硬直と邪毒、行動値減などが解除!
亜藤 蘭介:マイナーで"サンディーヴァ"と彩花に接敵。戦闘移動。
亜藤 蘭介:メジャー、コンボ:"Doislash"。《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》+《砂塵霊》+《ドッペルゲンガー》
亜藤 蘭介:対象は"サンディーヴァ"
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を15(→ 15)増加 (95 → 110)
GM:命中どうぞ
亜藤 蘭介:16dx7+6
DoubleCross : (16DX7+6) → 10[1,1,2,2,3,4,5,6,6,6,6,7,8,9,9,10]+5[2,2,2,4,5]+6 → 21

亜藤 蘭介:出目…
"サンディーヴァ":回避したい……だが暴走中なのでリアクションなし
GM:ダメージどうぞ。
亜藤 蘭介:3d10+40
DoubleCross : (3D10+40) → 17[4,10,3]+40 → 57

亜藤 蘭介:装甲無視。
"サンディーヴァ":《氷雪の守護》軽減します。
"サンディーヴァ":57-6d10
DoubleCross : (57-6D10) → 57-28[2,4,3,5,4,10] → 29

"サンディーヴァ":いくらか通りましたが元気です。
GM:演出どうぞ。

亜藤 蘭介:黒炎纏うその女の先で。揺らりと立ち上がる男の影がある。
亜藤 蘭介:燃えている。
亜藤 蘭介:その男の背が、腕が、握る刃が。
亜藤 蘭介:己の命と絆の薪を焚べて。僅かに行使出来る発火能力を内外へ。
亜藤 蘭介:身中を蝕むレネゲイドも。体外で咲き乱れる無数の花弁も。その全て。
亜藤 蘭介:燃えている。
亜藤 蘭介:その男の魂が、瞳が、握る刃が。
亜藤 蘭介:その姿が。
亜藤 蘭介:《炎の理》
亜藤 蘭介:陽炎のように霧散する。
亜藤 蘭介:ふたりの
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:亜亜藤藤蘭蘭介介
亜藤 蘭介:がががががががが
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:揺
亜藤 蘭介:  れ
亜藤 蘭介:    て
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:    交
亜藤 蘭介:  差
亜藤 蘭介:し
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:  一
亜藤 蘭介:  振
亜藤 蘭介:  り
亜藤 蘭介:  の
亜藤 蘭介:  刃
亜藤 蘭介:  が
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:その領域を。
亜藤 蘭介:その支配を。
亜藤 蘭介:その地獄を。
亜藤 蘭介:その苦痛を。
亜藤 蘭介:その後悔を。
亜藤 蘭介:その呪いを。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:断ち
亜藤 蘭介:  │
亜藤 蘭介:  │
亜藤 蘭介:   斬らんと。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:瞬く間、"サンディーヴァ"の眼前で。
亜藤 蘭介:夢と現の境を引くように。
亜藤 蘭介:燃え盛る黒炎、塗りつぶされた闇の澱に。
亜藤 蘭介:一筋の白炎を刻み込まんと刃が振るわれる。
"サンディーヴァ":"サンディーヴァ"の闇の澱は、万色の因子の重なりであると同時に
"サンディーヴァ":触れるものを己へと同化する支配統一領域。
"サンディーヴァ":人の心であろうとも、神の焔であろうとも、己へ向けて振るわれる刃であろうとも
"サンディーヴァ":溶かし、沈ませ、封じ込めんとする漆黒の防壁となる。
"サンディーヴァ":──闇が、女の手が、振り下ろした刃に纏わり付く。虚脱・酩酊・力と意志を奪わんとして。
亜藤 蘭介:闇影のその向こう。振り抜いた刃を通して、確かに肉を断った感触は有る。
亜藤 蘭介:が。
亜藤 蘭介:「(直前で、腕が─────)」
亜藤 蘭介:振り抜く寸前。僅かに脱力した力と。
亜藤 蘭介:命を賭してでも、奴を斬る覚悟が。
亜藤 蘭介:「鈍ったか」
亜藤 蘭介:次なる手が迫る前、跳ねるように後方へとその身を退けて。
亜藤 蘭介:刃の柄が割れんばかりに、握る力を強めていく。
"サンディーヴァ":「──か、ふっ」
"サンディーヴァ":影に、斬線が走る。
"サンディーヴァ":闇の帯もろともに斬り裂かれた。理外の領域に包まれたその奥にある、生身の肉体から、血が噴き出す。
"サンディーヴァ":「これは……初めてだな。私がこんな風になってから」
"サンディーヴァ":刃の腹を蹴りつけ、踊るように距離を取る。初めて後退した。
"サンディーヴァ":「こと戦闘に関して、力不足かもしれないなんて思うのは」
"サンディーヴァ":僅かに、君達が押している。そうでなくとも元より、多くの敗北を知っている。
"サンディーヴァ":故に、その眼に油断はない。
亜藤 蘭介:「羨ましい限りだ」
亜藤 蘭介:「俺は、生まれてからずっと」
亜藤 蘭介:「それを抱えて、生きている」

GM:行動値0。永良さんの手番です
GM:意志判定をどうぞ
GM:汚染値0なのでファンブルでなければ成功です。
永良ゆづり:5dx+2>=0 <意志>一品ケット
DoubleCross : (5DX10+2>=0) → 10[3,8,9,9,10]+10[10]+6[6]+2 → 28 → 成功

GM:行動権利を確保しました。行動どうぞ。
永良ゆづり:ロイス:日下部ルリカをタイタス化して昇華。
永良ゆづり:自身の不利な効果を解除。残ロイス3個。
永良ゆづり:マイナーで接敵
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》《獅子奮迅》範囲(選択)化
永良ゆづり:対象は"サンディーヴァ"のみ。
GM:命中どうぞ
永良ゆづり:束沙のNPCカード①使用。判定ダイス+10個、攻撃力+10。
永良ゆづり:(11+10)dx7+6
DoubleCross : (21DX7+6) → 10[1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,7,7,7,7,8,9,9,10,10,10]+10[1,2,3,5,5,6,7,9,9,10]+10[4,6,9,9]+3[1,3]+6 → 39

羽海束沙:バディムーブもいる?
永良ゆづり:バディムもちょうだい!
羽海束沙:どうぞ 達成値+3です。
永良ゆづり:では達成値42
"サンディーヴァ":暴走中のためリアクションなし。
GM:ダメージどうぞ。
永良ゆづり:(5+1)d10+10+14 装甲無視
DoubleCross : (6D10+10+14) → 27[2,5,5,6,7,2]+10+14 → 51

"サンディーヴァ":《赤河の支配者》軽減します。
"サンディーヴァ":1D10+14
DoubleCross : (1D10+14) → 8[8]+14 → 22

"サンディーヴァ":22減らして29点に
永良ゆづり:侵蝕+8で111に。以上
GM:演出どうぞ!

永良ゆづり:未だ煌々と木々を燃え散らす、赤と黒の焔を裂くように。
永良ゆづり:獲物を狙う毒蛇のごとく、白き閃塵が音無く忍び寄る。
永良ゆづり:最中。指に嵌め込んだ金輪を支点に、峨嵋刺を掌で旋回させ、
永良ゆづり:煙を十把一絡げに巻き込み、重ね合わせ、一撃に籠めるべく凝縮。
"サンディーヴァ":ぐるり、と人形めいて身体を捻り反応している。いかに音なく迫ったとしても、この距離で展開した領域の主に死角はない。
"サンディーヴァ":左手、硬質化した腕甲で刃を受けるべく突き出しながら。
"サンディーヴァ":右手の指に、黒い焔を曳いて振るう。カウンターを狙う動き。
羽海束沙:──その流れを捉えている。超音速に匹敵する身体操作と反応を持つのだとしても
羽海束沙:二人で挟み撃つ瞬間には、選択肢はひどく制限される。踏み出す脚の経路上に置くようにして、地を這う如き経路の弾丸が放たれている。
"サンディーヴァ":銃声を聞いている。故に、その狙いすらも捕捉している。だが、防御のために僅かに姿勢が崩される。
永良ゆづり:充分だ。瞬きに等しき影の揺らぎを縫うように間合いを詰め、懐に潜り、肉薄。
永良ゆづり:靴裏が食い込む程に地を踏み抜き、淀みなき動作が標的を捉える。
永良ゆづり:峨嵋刺が貫き穿つは、"サンディーヴァ"が心の臓腑。
永良ゆづり:全身に伸びる血脈の中枢。オーヴァードであれば、則ちレネゲイドの炉心。
永良ゆづり:白き軌跡が影を抉り────炸裂。焦熱。延焼。
永良ゆづり:刺突を介して、体躯の中に流し込まれた白煙が牙を剥き。
永良ゆづり:溢れ出す黒き澱すら掬い上げ、遍く燃料として焦がしつくし。
永良ゆづり:黒き焔を、更なる赤で塗り潰す。
"サンディーヴァ":──必殺の間合に踏み込まれた。彼女の頭脳が、瞬時にそう理解したとしても
"サンディーヴァ":身に纏う数十人分のレネゲイドの全てが、その思考速度に追いつき束ねられる訳ではない。
"サンディーヴァ":人と技(エフェクト)の間に、ラグが生じる。故に、
"サンディーヴァ":「っ──!」腕を伸ばし、逆に君を抱き寄せるような動き。心臓から僅かに狙いを逸らす。
"サンディーヴァ":だが、発火する。レネゲイドの満ちたその肉体であれば、たとえ炉心そのものでなくとも
"サンディーヴァ":一人の身を焼き焦がす火焔を生み出すには、十分に過ぎる。
"サンディーヴァ":「っ、あ……ああっ……!」
"サンディーヴァ":苦悶を漏らす。黒と赤が混じり合う。身を融かす熱に削られた肉体に、闇が注がれて再生していく。
永良ゆづり:「(──出力は無尽蔵だが、束ねた権能の制御に穴と振れ幅がある)」
永良ゆづり:「(当然だ。能力など千差万別、意図的に全てを掌握するなど至難のはず)」
永良ゆづり:「(だからこそ、白煙の強化を跳ね退けることができない)」
"サンディーヴァ":「君、今の……」
"サンディーヴァ":息を切らしながら、引き寄せた永良の身体を投げるようにすかして間合を取り直す。
"サンディーヴァ":「……その距離で、私の心臓に引火させて。生きていられると思ったの?」
永良ゆづり:「……気遣いは不要だと何度言えば分かる」
永良ゆづり:「貴女こそ、随分と辛そうな顔をしておいて」
"サンディーヴァ":「辛いって? そりゃあ、辛いよ。今更だ」
"サンディーヴァ":「みんながいなくなった、あの時から」
"サンディーヴァ":「生きていることが辛くない時間なんて、一秒だってない」
"サンディーヴァ":「それに比べれば……この程度の、傷なんて」
"サンディーヴァ":「"足りない"よ。私が負うべき罰には、ずっと」
永良ゆづり:「……つくづく」
永良ゆづり:「私と同じ抱え方をする女だ」
永良ゆづり:「本来なら、そんな重い罪なんて一人が背負い切れるものじゃない」
永良ゆづり:「ただ、貴女は背負うだけの力を備えてしまっていたから」
永良ゆづり:「それが、楔になってしまった」
永良ゆづり:「背負ったつもりで、ずっと逃げ続けただけの私にとっては」
永良ゆづり:「"桜崎ニア"はとても、眩しくて」
永良ゆづり:「……貴女はとても、辛そうだ」
永良ゆづり:「例え我々を打ち倒し、夢界が元の姿を取り戻したとしても」
永良ゆづり:「その辛さはきっと、潰えることはない」
永良ゆづり:「貴女が一番、よく分かっているんじゃないか」
"サンディーヴァ":「きっと、そうだろうね」
"サンディーヴァ":「それでいいとさえ思ってる」
"サンディーヴァ":「私は、自分の幸せなんてものは捨てたんだ」
"サンディーヴァ":「私はただ、この夢界の守り手であり続ける」
"サンディーヴァ":「自分の傷を癒やすことも、みんなと交わることもなく。見送り続ける」
"サンディーヴァ":「そうでなければ、償いにならない」
永良ゆづり:「……その覚悟。貴女が抱えてしまった、もう一つの楔」
永良ゆづり:「だから、見るに堪えないんだよ」
永良ゆづり:「交わればいい。癒せばいい。守ることと相反しないはずだ」
永良ゆづり:「自分で罪を重くして、自分で楔を打ち付けて、自分で首を絞め続ける」
永良ゆづり:「貴女の償いが"足りる"時なんて、絶対に訪れない」
永良ゆづり:「……だから、私は"いつも通り"の手筈で、貴女を解き放とうとした」
永良ゆづり:「罪を軽くできないなら。楔を緩められないなら。絞める手を止められないなら」
永良ゆづり:「無理矢理終わらせるしか、ないんだから」
永良ゆづり:「……そうすることしか、できなくて。ごめん」

GM:では、イニシアチブ。クリンナップの前に
"サンディーヴァ":《加速する刻》行動します。
"サンディーヴァ":コンボ「マーシャル・ヘイヴン」 コンボ「マーシャル・ヘイヴン」 マイナーなし、メジャー《雨粒の矢》《無形の影》《シャドースクラッチ》《シングインザレイン》《クロスバースト》《焦熱の弾丸》《紅蓮の衣》オート《バーストブレイク》
"サンディーヴァ":対象はPC全員。
"サンディーヴァ":19dx+40@10 命中
DoubleCross : (19DX10+40) → 10[3,3,3,4,4,5,5,5,6,6,6,6,7,8,8,9,9,10,10]+7[2,7]+40 → 57

GM:ガードするとダメージ+35なだけで、特にデバフ等はないです
亜藤 蘭介:ドッジ!
亜藤 蘭介:7dx+1>=57
DoubleCross : (7DX10+1>=57) → 10[1,4,5,7,9,9,10]+10[10]+2[2]+1 → 23 → 失敗

穂村 姫乃:6dx>=57 ドッジ
DoubleCross : (6DX10>=57) → 10[4,5,8,8,8,10]+1[1] → 11 → 失敗

久遠仁:《復讐の刃》
永良ゆづり:4dx+1>=57 ドッジ
DoubleCross : (4DX10+1>=57) → 10[4,4,5,10]+5[5]+1 → 16 → 失敗

久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (122 → 128)
亜藤 蘭介:ダメージ前に穂村さんをカバーリング。《砂の結界》
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2(→ 2)増加 (110 → 112)
永良ゆづり:《炎陣》で久遠くんをカバーリング
GM:OK。ではダメージいきます
永良ゆづり:侵蝕が113になって……
GM:復讐も命中とダメージの方どうぞ
"サンディーヴァ":6d10+102+5D10 ガードすると+35
DoubleCross : (6D10+102+5D10) → 35[3,10,1,10,7,4]+102+23[4,8,6,1,4] → 160

永良ゆづり:《子羊の歌》亜藤くんのダメージを私に差し替えます。
亜藤 蘭介:え……永良!
永良ゆづり:侵蝕117!即死!
GM:全員殺したはずが一人にしか届いてない……
永良ゆづり:ロイス:テロの犠牲者を昇華して蘇生。ロイス残2。これで以上。
久遠仁:コンボ【万籟】 反撃します
久遠仁:8DX8+7 リアクション不可
DoubleCross : (8DX8+7) → 7[4,4,5,5,7,7,7,7]+7 → 14

GM:OK。汚染値も上げておいてね
永良ゆづり:汚染値1!
久遠仁:2D10+30+10
DoubleCross : (2D10+30+10) → 14[6,8]+30+10 → 54

GM:つよいな……
"サンディーヴァ":軽減札なし。喰らいます。
久遠仁:1点でもダメージ通れば《血染めの獣》
久遠仁:シーン間、白兵攻撃力+10
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (128 → 132)
GM:怖……
GM:演出入ります。

"サンディーヴァ":「……っ。余計なお世話だって、言ったでしょう」
"サンディーヴァ":「結局、君のしてることは」
"サンディーヴァ":「私の背負う罪を重くするだけ」
"サンディーヴァ":「私の贖罪に、立ちはだかるということは──」
"サンディーヴァ":闇が、赤熱する。融解の法則が励起する。「──私の手にかかるってこと、なんだから」
"サンディーヴァ":展開する、一触即蒸発の死熱領域。漆黒の渦が君達もろともに世界を舐めていく。
"サンディーヴァ":融け落ちた大地が崩壊し、数十メートルの大孔が開いた。
"サンディーヴァ":塵埃が超高温化・崩壊した事による副産物としての火焔が、灼熱の地獄を生み出していく。
"サンディーヴァ":その渦中にある君達の肉体をも融かし沈ませんとして、昏いレネゲイドの波濤が押し寄せる。
永良ゆづり:「──余計なお世話は、お互い様だったじゃないか」
永良ゆづり:大地の底より押し寄せる、赤熱せし澱の渦。天城マコトの結合支配。
永良ゆづり:「無理矢理に荷を下ろして、平穏な日常を送らせてくれたじゃないか」
永良ゆづり:本人が形成した死熱領域を遥かに上回る規模と熱量。到底凌ぐことも捌くこともできまい。
永良ゆづり:「だから、こっちだって容赦はしない。無理矢理外してやる」
永良ゆづり:ならば、"押し上げる"しかない。永良ゆづりの纏う白煙が、地の底へと落ちていく。
永良ゆづり:「駄々を捏ねたって、泣き喚いたって止めはしない」
永良ゆづり:領域の外周を強制的に励起。熱量をそのままに、波濤の向きを内へと重ね尖らせていく。
永良ゆづり:「すぐ、楽にしてやる」
永良ゆづり:やがて収束しきった死熱領域を、伸び降りた白煙で握り潰し。
永良ゆづり:逆流。煙を辿って永良ゆづりの元へと誘導され、その体躯を瞬時に焦がし、燃やし、溶かしつくす。
永良ゆづり:しかし、外に逃がすことはなく。全てを内に飲み込んで消化する。
永良ゆづり:結果。我々五人を殺しきるのにすら十二分なエネルギーを、たった一人にしか使えないままに、領域は役目を終え。
永良ゆづり:最後に、塵芥とした身体を無理矢理に巻き戻し。
永良ゆづり:「……私"達"が」ぽつりと、小さく呟いた。
"サンディーヴァ":「っ……なんで」絶句する。そこに立っている永良の姿を見て。
"サンディーヴァ":とっくに限界を迎えているはずの彼女が、あれほどの熱量を身に受けて未だ尚立ち続ける事に。
"サンディーヴァ":その動揺と、全力の融解領域展開による集中の反動が。僅かな間隙を生んだ。
久遠仁:生み出されたその刹那の間隙を縫って、飛び込む影がある。
久遠仁:既に“サンディーヴァ”の眼前。表情を映さぬ仮面。刃を携えた黒衣の姿は、罪を刈り取る死神めいて。
久遠仁:「笑わせるな」
久遠仁:平時の朗らかな声音が嘘のように、冷たく酷薄な声が響く。
久遠仁:「あんたの勝手な贖罪の為に、贖えぬ罪を犯すのか」
"サンディーヴァ":「っ──!」
久遠仁:「誰よりも奪われる痛みを知っている筈の、あんたが──」
久遠仁:“サンディーヴァ”の全身から血飛沫が舞い、同時に爆炎が噴出する。“スモークスタック”の能力反応。
久遠仁:全身に返り血を浴び、煌々と燃え盛る業火に照らされて、その姿を睥睨する。
久遠仁:「俺から、その子を奪うのか」
"サンディーヴァ":闇が爆ぜる。言葉にならない苦悶が溢れる。
"サンディーヴァ":ぽつ、ぽつと。腹部から滴る血が地に溢れては蒸発していく。
"サンディーヴァ":「……そうだよ。皆の夢のために、それが必要なら」
"サンディーヴァ":業火に向かう。防御と再生に注がれた闇の澱が、にわかに晴れて
"サンディーヴァ":君の知る少女の顔が映し出される。仮面越しの君の視線を、静かに受け止めている。
"サンディーヴァ":「どんな罪だって犯すさ」
"サンディーヴァ":「恨みでも、怒りでも。いくらでもぶつければいい」
"サンディーヴァ":「皆の代わりに、それを受け止めるために」
"サンディーヴァ":「私は、ここに、生きている」

GM:クリンナップ。
"魄柱・彩花”:邪毒ダメージの処理。15点を受け、まだ生存。
GM:他はみんな邪毒解除してたかな。では進行します。

GM:2ラウンド目。セットアップから。
亜藤 蘭介:ありません。
久遠仁:なし。
永良ゆづり:《限界突破》
永良ゆづり:《凍てつく刃》をラウンド中に2回使用可能とします。
永良ゆづり:侵蝕+3で120に。以上
"魄柱・彩花”:《アクセル》《ラピッドファクトリー》《活性の霧》
"魄柱・彩花”:エネミー2体に攻撃力+15、ドッジ-2、行動値+14
穂村 姫乃:無し

GM:イニシアチブ44。"サンディーヴァ"の手番
穂村 姫乃:その前にイニシアチブで割り込みます。
GM:あっどうぞ
穂村 姫乃:神垣侵し:氷熱の軍団Lv6
穂村 姫乃:射程:視界、対象:シーン(選択)でPC4人を指定、攻撃力+24、侵蝕率+10
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を10増加 (120 → 130)
亜藤 蘭介:たすかる~!
永良ゆづり:あざます!
久遠仁:最高の神
GM:あっと、了解です。演出とかします?
穂村 姫乃:じゃあちょっとだけ
GM:どうぞ~

穂村 姫乃:度重なる戦闘によって高められた侵蝕が、百と三十年ぶりの域へと到達する。
穂村 姫乃:元よりレネゲイドの操作を得手とする穂村の業が更に冴え、常ならば適わない所業を可能とするその領域に。
穂村 姫乃:「うむ。ほどよく温まってきた」
穂村 姫乃:「皆、少しばかり熱くなるぞ」
穂村 姫乃:柏手の音が響くと同時。久遠の、永良の、亜藤の、羽海の、そして穂村自身の。
穂村 姫乃:各々の手の甲に赤い印が浮かび上がる。そこから走る鮮烈な熱が全身へと駆け巡る。
穂村 姫乃:「間違っても舐めるでないぞ。口から含めばどうなるか儂にも分からん」
羽海束沙:「舐めませんよ……人を何だと思ってるんですか」
久遠仁:「……有難い」
穂村 姫乃:それは古代よりの力を秘めた彼女の血を使用した特殊な支援。
穂村 姫乃:人としての域を踏み越えぬままに、その力だけを一時的に与える。酷く緻密で繊細な操作を要求される、正しく"神業"。
穂村 姫乃:「まあそこは冗句じゃって。ともあれ」
穂村 姫乃:「このひと時のみ、お主ら全員儂の眷属のようなもんじゃ。好きなだけ振るうが良い」
亜藤 蘭介:「一切、笑えない冗談だが……」
亜藤 蘭介:全身を漲る、まだ底に眠っていた活力を促す熱に、満足げに頷いて。「助かるよ」
永良ゆづり:「……ともあれ、ご利益はありそうね」
永良ゆづり:全身に未だ残る火傷を意に介さず、再び立ち上がる。
永良ゆづり:「ありがとう」
羽海束沙:「……そうね。頼もしいわ」率直な感想。この規格外の敵を相手にして、自分の銃撃を通すには厳しいと感じていた故の。
"サンディーヴァ":「──温まってきたのは」
"サンディーヴァ":一歩、踏み出す。その掌の上にあるのは、無数の領域の混成濃縮体。
"サンディーヴァ":「こっちも同じ」
"サンディーヴァ":繰り出されるは、生まれ落ちてより戦い競い続けた子供らの研鑽が編み出した、領域能力者の絶技。
"サンディーヴァ":人の技の極点、その一つ。

"サンディーヴァ":改めて手番に入ります。
"サンディーヴァ":マイナー、《千変万化の影》:白兵技能レベル+10
"サンディーヴァ":メジャー、「領域送掌」《コンセントレイト》《紅蓮の衣》《炎神の怒り》《煉獄魔神》《クロスバースト》《獣の力》《獣王の力》《鬼の一撃》《インスタントボム》《ブラストフォーカス》《封印の楔》《能力強奪》《能力膨張》《トータルクリメイト》《オーバーエヴォルヴ》《キトリニタスの秘儀》
"サンディーヴァ":対象は永良さん。
永良ゆづり:ひぃっ!!
"サンディーヴァ":この攻撃で戦闘不能になった場合に蘇生不可。エフェクト全封印。エフェクト一つを強奪・強奪したエフェクトのレベルを+99。対象の制限:80%/100%/120%エフェクトの使用禁止。このシーン内の侵蝕率上昇が倍。ロイス枠全てを「Dロイス:愚者の黄金」に変更。
"サンディーヴァ":となります。
永良ゆづり:ええ……
久遠仁:何言ってんだこいつ
穂村 姫乃:無茶苦茶も大概にしろ!
亜藤 蘭介:マジっすか!?
"サンディーヴァ":15dx7+30 命中
DoubleCross : (15DX7+30) → 10[1,1,1,2,4,4,4,4,6,6,7,7,7,9,10]+10[3,3,4,4,8]+4[4]+30 → 54

永良ゆづり:5dx+1>=54 ドッジ
DoubleCross : (5DX10+1>=54) → 9[1,2,7,8,9]+1 → 10 → 失敗

永良ゆづり:そうか……
永良ゆづり:そうかー……
GM:カバー等なければダメージ行きます。
永良ゆづり:……束沙のNPCカード③を使用。
羽海束沙:OK。カバーしましょう。
永良ゆづり:お願いします……
GM:ダメージロール入ります。
"サンディーヴァ":6d10+83+70 ダメージ 装甲無視
DoubleCross : (6D10+83+70) → 41[7,3,9,10,2,10]+83+70 → 194

羽海束沙:諸々のダメージと効果を受け、戦線離脱します。
羽海束沙:以後このキャラクターのNPCカード効果を使用できません。
永良ゆづり:はい……
GM:演出へ入ります。

"サンディーヴァ":気中に満ちた領域因子、その黒色が一際に濃くなる。視界が狭まる。
"サンディーヴァ":先程までのような攻撃の予備現象、ではない。闇の中に身体を隠し、間合いを詰め
"サンディーヴァ":その必殺の一撃を、標的へと叩き込むための帳。
"サンディーヴァ":──気付いた時には、既に永良ゆづりの眼前に居る。
"サンディーヴァ":開いた右手の先、漆黒の因子が螺旋している。腕を鞭の如くにしならせながら、ぴたりと押し付けるような掌底。
永良ゆづり:「────っ」音も気配もなく、叩き込まれんとする掌底。
永良ゆづり:その挙動が意味する絶技を、永良ゆづりは身を以て知っている。
永良ゆづり:"バース"シリーズを尽く平らげた"サンディーヴァ"の、領域送掌。まず、再起など不可能だろう。
永良ゆづり:だが、やれるだけのことはやったはずだ。守れるだけのものは、守り切ったはずだ。
永良ゆづり:だから、これを受け止めるのが最後の──
羽海束沙:──読んでいた。この状況で、最も消耗している相手が狙われる事も
羽海束沙:彼女の身体が、既に限界に近い事も
羽海束沙:それでも、彼女は自分が犠牲になる事を許容するだろうという事も
羽海束沙:全て、見えていた。故に
羽海束沙:暗闇の中、"サンディーヴァ"が姿を見せた時には既に銃口を向けている。
羽海束沙:"次は、貴方に近付かせない。その前に私が撃ち抜く"
羽海束沙:過去の自分の言葉が蘇る。
羽海束沙:……一度はそれを反故にした。二度目はない。
羽海束沙:羽海束沙の頭脳は、予想する。演算する。数百万通りの射撃経路を、一瞬の内に辿り尽くす。
羽海束沙:この瞬間、自分の力量で"サンディーヴァ"の動きを止め、永良ゆづりを守るための一手を。
羽海束沙:──ただ一つ、答えが出ると同時。「ごめん」と唇が動いて。
羽海束沙:銃声。肘関節に抉り食い込ませる一射。繰り出される掌底の一撃が、僅かに遅れて。
羽海束沙:そこに、己が身体を滑り込ませる。君の前に、庇い立つ。
"サンディーヴァ":予想外の介入。僅かに眼を見開くが、止める事もない。そのまま
"サンディーヴァ":羽海束沙の身体を、女の手が撃ち貫く。
"サンディーヴァ":「──領域送掌」
"サンディーヴァ":接触。発熱。無数の領域法則が、少女の体内を侵略する。
"サンディーヴァ":融解蒸発。相手の身を守る肉体構造を崩壊させ取り払い、
"サンディーヴァ":異常成長。相手の肉体を歪んだ方向に膨張させ、身体機能を衰弱させる。
"サンディーヴァ":変化錬成。相手の持つレネゲイドそのものを結晶化し、その力を封じ込めながら
"サンディーヴァ":吸収強奪。その生命力を吸い上げ、己が一部として取り込む。
羽海束沙:「っ、あ──」
羽海束沙:徒に受けた訳ではない。自身が身に纏う装甲、その最も衝撃の少ないだろう部位・箇所を選び、そこで受けるように割り入った。
羽海束沙:だが、無意味な努力だ。一つ一つが致命となる法則侵略に、同時に身を晒されては
羽海束沙:その肉体は、瞬く間に崩れ落ちる。
永良ゆづり:「────え」
永良ゆづり:一部始終を、間近で見た。それでも、理解が及ばなかった。
永良ゆづり:ただ、目の前で崩れ落ちる彼女を、抱え込む様に支えて。
永良ゆづり:「……つ、かさ?」譫言の様に零す。
羽海束沙:『えい、ら』声は出ない。臓腑も、喉も、破壊しつくされている。半分が結晶化した顔の、唇だけを魚のように動かしている。
羽海束沙:『ぶじで』
羽海束沙:『よかった』
永良ゆづり:「……なんで」
永良ゆづり:「何で、よりにもよって、それを、受けて」
永良ゆづり:変わり果てた彼女を抱えながら。地を跳ねて"サンディーヴァ"から距離を取る。
永良ゆづり:退避領域での会話を忘れたわけじゃない。覚悟はしていたつもりだった。
永良ゆづり:ただ、私は思った以上に自己犠牲が染みついていて。
永良ゆづり:大切な人に庇われることに、全く慣れていなかった。
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「分かる。分かるよ、分かる、けど」
永良ゆづり:「貴女は、きっと、正しいことをした、けど」
永良ゆづり:「そんなとこまで、真面目に、ならなくたって」
永良ゆづり:「……本当に、馬鹿がつくくらい、真面目」
永良ゆづり:少しでも負担にならぬ様、ゆっくりと地に横たわらせ。
永良ゆづり:同時に、彼女に付き従い護る様に、白き煙を纏わせていく。
永良ゆづり:「待ってて」
永良ゆづり:「ちょっとだけ、無茶するけど。でも、約束は守るから」
永良ゆづり:ゆっくりと立ち上がる。離れたくない気持ちを、無理矢理抑え込んで。
永良ゆづり:踵を返し、再び戦場へと歩み行く。
永良ゆづり:術者を止めれば、領域送掌は解除される。これも、身を以て知っていること。
永良ゆづり:ゆえに一秒でも早く。仕事を終えれば。
永良ゆづり:「──"フェザリー・リード"」
永良ゆづり:「帰ったら、怒るから。覚悟しといて」
永良ゆづり:ロイス:羽海束沙をSロイスに指定します。

GM:イニシアチブ。行動値23、久遠さんの手番。
GM:まずは意志判定をどうぞ。
久遠仁:5DX>=4
DoubleCross : (5DX10>=4) → 9[1,3,4,8,9] → 9 → 成功

GM:成功。行動をどうぞ!
久遠仁:マイナーなし、メジャー≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪一閃≫
久遠仁:対象"サンディーヴァ"!
久遠仁:11DX7+7
DoubleCross : (11DX7+7) → 10[1,1,1,5,5,8,8,9,9,10,10]+10[1,2,7,8,8,9]+10[5,8,9,10]+10[1,2,9]+10[9]+3[3]+7 → 60

"サンディーヴァ":暴走、リアクションありません。ダメージをどうぞ。
久遠仁:ダメージ!
永良ゆづり:《凍てつく刃》攻撃力+1D+18。侵蝕+3
久遠仁:ありがたい!
永良ゆづり:侵蝕123!
久遠仁:氷熱の軍団も載せて……
久遠仁:7D10+30+10+10+24+1D10+18
DoubleCross : (7D10+30+10+10+24+1D10+18) → 33[8,10,2,3,4,4,2]+30+10+10+24+1[1]+18 → 126

GM:やっば
"サンディーヴァ":《デモンズウェブ》《赤河の支配者》軽減します。
"サンディーヴァ":6d10+1D10+14
DoubleCross : (6D10+1D10+14) → 37[10,4,8,4,4,7]+3[3]+14 → 54

GM:72点に軽減
久遠仁:ダメージ時≪血染めの獣≫
GM:こわいよ~
久遠仁:シーン間白兵攻撃力+10
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を8増加 (132 → 140)
GM:OK。演出どうぞ

久遠仁:「開き直って、自分を正当化するなよ桜崎ニア」
久遠仁:構えた刀をぐるりと回転させ、その切っ先を自分に向ける。
久遠仁:「あんたはただ、逃げたんだ。現実から」
久遠仁:「そして、都合の良い夢に逃げ込んだ」
久遠仁:血飛沫と共に、剣を自らの胸に突き立てる。身体を貫くかと思われた刃は、吸い込まれるように消えていく。
久遠仁:「北条サイカ(その子)を、お前と一緒にするな」
久遠仁:「その子は逃げなかった。目を背けたい、逃げ出したくなるような現実と、ずっと戦ってきた」
久遠仁:「北条は、お前よりずっと、強い」
"サンディーヴァ":「っ……。逃げた訳じゃ、ない……!」
"サンディーヴァ":「ずっと、聞こえてるんだ!感じるんだ!」
"サンディーヴァ":「みんなと一緒になってから、その声が、記憶が……!私の中で、ずっと響いてる!」
"サンディーヴァ":「……逃げた訳じゃない。叶えられなかった願いに、無念に」
"サンディーヴァ":「私は、向き合おうとしてきた! だから、こうなった……!」
久遠仁:「向き合った?」
久遠仁:「皆が──」
久遠仁:「天城が」
久遠仁:地獄めいた周囲の光景を見遣り。
久遠仁:「こんなことを望んだのか」
"サンディーヴァ":「……ッ!」
久遠仁:「いやァ」
久遠仁:身体内部の金属が血に塗れながら皮膚と肉を突き破り、変形し四肢を覆っていく。
久遠仁:形成されるのは、獣めいた威容。敵を裂き、地を掴み蹴る為の爪。外骨格。
久遠仁:「俺にはそうは思えんな」
永良ゆづり:「……悪いな、"サンディーヴァ"」手の甲に刻まれた印に繰られ、煙が夥しく密度を増す。
永良ゆづり:「貴女を解き放つ意志を変えるつもりはないが……"事情"が変わった」
永良ゆづり:獣めいて変貌した久遠仁に白煙が纏わりつき、その強度を爆破的に押し上げる。
永良ゆづり:「少しだけ、手荒くする」
久遠仁:クラウチングスタートじみた、異様な前傾姿勢。或いは、獲物を狙う獣のような。
久遠仁:ぼう、と白煙の残滓を残して、“サンディーヴァ”の視界からすら、久遠仁の姿が掻き消える。その二つ名の示す通り。
"サンディーヴァ":──優に超音速へ達する久遠の機動速度であろうとも、視認し追い越せる。そのはずだった。
"サンディーヴァ":だが、見失った。静から動へ、一瞬の意識の間隙を突く一歩。超人の速度世界で為される単純な武術技巧が、そうさせた。
"サンディーヴァ":後手を取った。それを認める。自身の身体を覆うようにして、茨めいた影の帯を展開し纏う。
久遠仁:────み し り
"サンディーヴァ":女の輪郭が闇の中に消える。触れれば対手の力を喰らい、己が懐へと引き寄せる捕食防衣。
久遠仁:巨大な掌に握り潰されたかのような、全方向からの異様な圧壊。
久遠仁:「オオォオオォオオオッ!!」
久遠仁:咆哮すらも遅れて届く。
"サンディーヴァ":「っぐ、あああッ!」
久遠仁:破壊の正体は至極単純な、超高速の殴打の嵐。
久遠仁:同時、白煙が反応。影の防護を吹き飛ばす爆炎となって巻き起こる。
"サンディーヴァ":闇の衣が爆ぜて飛ぶ。多数のレネゲイドを煮詰め練り上げた超高密度の肉体骨格が、軋み悲鳴を上げる。
久遠仁:「は────」
久遠仁:“サンディーヴァ”の濃縮されたレネゲイドを吸収し、白銀の骨格が黒く染まっていく──吸血衝動、その真髄。
久遠仁:「遅すぎる」
"サンディーヴァ":「ッ、お前……!」
"サンディーヴァ":破壊された肉体の修復も及ばない。闇色の泥と血が一緒くたになって、ぼとぼとと溶け落ちながら
"サンディーヴァ":怒りに染まった視線を向ける。
"サンディーヴァ":「……返せよ。それは」
"サンディーヴァ":その憤怒は、恐怖と一体のもの。自分が取り込んだ仲間のレネゲイドを奪われる事に対する怒り。
"サンディーヴァ":自分と、仲間との繋がりを喪失してしまう事への恐怖。
"サンディーヴァ":"それ"を欠いてしまえば、夢の中でみんなを再現する事さえできないのだから。
"サンディーヴァ":「お前なんかに、くれてやっていい物じゃない」

GM:ではイニシアチブへ。
"サンディーヴァ":《加速する刻》割り込みます。
"サンディーヴァ":マイナーなし。
"サンディーヴァ":メジャー、コンボ「サタニアン・ガーデン」《コンセントレイト》《無形の影》《シャドースクラッチ》《紅の刃》《散滅の腕》《蝕む赤》《縛鎖の空間》《完全なる世界》《張子の戦道具》《要の陣形》《ブレインジャック》
亜藤 蘭介:ヴァー!!!!
"サンディーヴァ":命中で 持続エフェクト効果解除 エフェクト武器解除 放心 重圧 自由行動権利喪失 となりますが
"サンディーヴァ":タイタス昇華効果の「不利な効果解除」を即時使用することでブレインジャックの影響も取り除けるものとします。
"サンディーヴァ":19dx+40@7 命中
DoubleCross : (19DX7+40) → 10[1,2,3,3,3,4,4,5,5,5,6,7,8,8,9,9,9,9,10]+10[2,4,4,5,6,7,8,10]+10[2,3,7]+10[8]+10[9]+10[7]+10[7]+10[9]+1[1]+40 → 121

GM:やるきがすごい
亜藤 蘭介:ワハハ
"サンディーヴァ":あ、対象はPC全員です。
亜藤 蘭介:7dx+1>=121 ドッジ!
DoubleCross : (7DX10+1>=121) → 10[1,2,9,9,10,10,10]+9[5,6,9]+1 → 20 → 失敗

GM:意志とRC、好きな方でリアクションをどうぞ。
亜藤 蘭介:あっそっちか
GM:そういう処理になるって昔QAで見た記憶
永良ゆづり:6dx+2>=121 意志品ケ
DoubleCross : (6DX10+2>=121) → 8[1,4,4,5,8,8]+2 → 10 → 失敗

久遠仁:《復讐の刃》で反撃
亜藤 蘭介:4dx+4>=121
DoubleCross : (4DX10+4>=121) → 6[5,5,6,6]+4 → 10 → 失敗

久遠仁:久遠仁の侵蝕率を6増加 (140 → 146)
GM:OK。まだ命中してないので復讐の刃に氷熱とかは乗る事にします
穂村 姫乃:RCで
亜藤 蘭介:これ
GM:あ、意志とRCじゃない 回避だった
亜藤 蘭介:おお
GM:意志と回避 ガバガバなこと言ってる
穂村 姫乃:あ、じゃあ意志で
亜藤 蘭介:カバーリングはできませんよね? ダメージじゃないし…
穂村 姫乃:7dx+1>=121
DoubleCross : (7DX10+1>=121) → 9[1,1,5,7,8,9,9]+1 → 10 → 失敗

GM:この攻撃はダメージが出るやつなのでカバーできます
亜藤 蘭介:ダメージもかあ…
永良ゆづり:ダメージ出るんだ
亜藤 蘭介:ドッジはさっきふったので自分はドッジ失敗扱いで!
亜藤 蘭介:では
亜藤 蘭介:《砂の結界》で穂村さんをカバーリング。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2(→ 2)増加 (112 → 114)
永良ゆづり:《炎陣》。侵蝕126になり、久遠くんをカバー。
久遠仁:助かりすぎる
GM:ではダメージを出します。
"サンディーヴァ":13d10+39+36+15 諸々有効
DoubleCross : (13D10+39+36+15) → 84[9,2,1,3,10,3,8,5,9,8,7,9,10]+39+36+15 → 174

亜藤 蘭介:し……死んじゃう!
永良ゆづり:デバフ乗せてこの攻撃力エグすぎるが……
GM:命中がやたら回ったのと、常時バフが2個乗ってるので……
永良ゆづり:《子羊の歌》を使用し、亜藤君のダメージだけを私に転移。
亜藤 蘭介:永良……ァ!
GM:ダメージで持続エフェクト効果解除 エフェクト武器解除 放心 重圧 及びブレインジャック効果です
永良ゆづり:これで羊は使い切り。侵蝕は130になって
GM:ダメージなくても命中した場合はブレインジャック効果を受けます。
永良ゆづり:Sロイスを護り切るより、護りたい人が居るので。
永良ゆづり:Sロイス:羽海束沙をタイタス化し、完全蘇生……と
永良ゆづり:《反撃の旋風》受けたダメージを最大120点まで返す。
GM:ひいっ
久遠仁:すごい
永良ゆづり:侵蝕+8の138。これで以上。
久遠仁:亜藤蘭介 ○連帯感/隔意
穂村姫乃 ○尊敬/脅威
永良ゆづり ○感謝/不安

GM:復讐の刃もダメージ出してね
久遠仁:以上でロイスを取得
久遠仁:反撃します
GM:あと汚染値の処理もお願いします
GM:反撃どうぞ~
久遠仁:9DX8+7 リアクション不可
DoubleCross : (9DX8+7) → 10[2,3,3,4,5,7,8,9,10]+7[4,7,7]+7 → 24

永良ゆづり:汚染値2。
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメ+1D+18。
永良ゆづり:これで使い切り。
久遠仁:八面六臂すぎる
永良ゆづり:侵蝕は143。残ロイス1。これで以上
久遠仁:3D10+30+10+20+24+1D10+18 ダメージ
DoubleCross : (3D10+30+10+20+24+1D10+18) → 13[4,3,6]+30+10+20+24+8[8]+18 → 123

GM:いやえげつない
"サンディーヴァ":《虚無への回帰》復讐の刃で受けるダメージを0点にします。反撃120の方は喰らう!
久遠仁:ギーッ
永良ゆづり:なんてこと……
亜藤 蘭介:おのれ~!
亜藤 蘭介:若菜篤郎のロイスをタイタス昇華して不利な効果を全て打ち消します。
亜藤 蘭介:させん…カバーは…
"サンディーヴァ":チッ……大分ふらふらになってますが立ってます
永良ゆづり:ぐぬぬ……
GM:演出へ。

"サンディーヴァ":「……ここまでだ。こんな戦いは、もう」
"サンディーヴァ":「私が、すぐに、終わらせてやる」
"サンディーヴァ":──"サンディーヴァ"が取り込んだ幾つもの領域因子は、完全には彼女に馴染まない。
"サンディーヴァ":己が物とするまでの鍛錬。肉体への適応過程。自然に生ずるはずのそれら全てを飛び越えて手に入れた力である故に。
"サンディーヴァ":だが、この一手だけは違う。レネゲイドを種子として、樹木を生育する異能。元々の桜崎ニアが発現していた領域。
"サンディーヴァ":それを、"サンディーヴァ"の出力で以て振るう。
"サンディーヴァ":──ぎしり、と
"サンディーヴァ":樹木の軋むような音が鳴る。初めから己が因子で場を満たし、展開していた領域なれば、生育は視認し難い程の一瞬。君達の肉体は、既に怪樹に囚われている。
"サンディーヴァ":"サンディーヴァ"からの半径30メートル、空間内の一切を埋め尽くすように。闇色の木々が蜜している。
"サンディーヴァ":その数万の枝が、君達に触れると同時。肌の内へと食い込み這入る。
"サンディーヴァ":枝の先端が血管、神経へと繋ぎ留められていく。その自我を"サンディーヴァ"へと接続し、管理するために。
"サンディーヴァ":(……さあ)繋がっている。君達の頭の中から、"サンディーヴァ"の声が響く。(屈しろ)
永良ゆづり:「……桜崎ニアの、植物支配」
永良ゆづり:「頼ったな。自身が元から備えた権能に」
永良ゆづり:「それを────待っていた」
永良ゆづり:永良ゆづりの体躯に生え伸びた無数の枝が。否、この場に居る全ての者に侵入せし澱みの領域が。
永良ゆづり:急速に枯れ落ち、干乾び、痩せ細り、そして塵へと還っていく。
永良ゆづり:原理は単純だ。ただ、白煙による権能の爆発的強化により、樹木の成長速度を強制的に押し上げただけ。
永良ゆづり:追い込まれれば、必ずこの権能を使うと"信じて"いた。
"サンディーヴァ":「な──」
永良ゆづり:「……貴女自身の権能だ。絡繰りはすぐに理解できるだろう」
"サンディーヴァ":理屈は分かる。だが──己の権能の中で、紛れもなく最高の錬度を誇る領域だ。純粋な構築強度が、他とは一線を画する。
"サンディーヴァ":「そんな……たかが一人のオーヴァードの能力が」
"サンディーヴァ":「干渉できる、はずが」
永良ゆづり:「違うな」
永良ゆづり:「私は、一人じゃない」
永良ゆづり:「この場に居る者。この夢界に飲み込まれた者。外で我々を待つ者」
永良ゆづり:「……私を信じてくれる、馬鹿真面目な同僚」
永良ゆづり:「背負うことを辞めたと言ったが……それは、己が罪の話だ」
永良ゆづり:「貴女に勝る点があるとすれば、それくらい」
永良ゆづり:「────で、だ」右手で、枯れ果てた樹木の一つに触れる。
永良ゆづり:「先も言ったが、"事情"が変わった」
永良ゆづり:竈神より賜りし印に白煙が纏わりつき、煌々と赤く輝き。
永良ゆづり:「無茶を通してでも、さっさと貴女を解き放つ。そのために」
永良ゆづり:「貴女の木、丸ごと神に捧げてもらうぞ」
永良ゆづり:────ごぅ、と。赤く、紅く、朱い焔が。
永良ゆづり:瞬く間に周囲の樹々へと燃え広がり。猛々しく火力を強めていく。
永良ゆづり:火のない所に、煙は立たず。
永良ゆづり:ならば────ありったけの火を注ぎ込んでやれば。
永良ゆづり:瞬間。夥しく膨れ上がる白き煙が、神の火を種として芽生え、育ち、昇っていく。
永良ゆづり:この場で永良ゆづりが見せた白煙とは、比べ物にならぬ密度と質量を蓄えながら。
永良ゆづり:忽ちに、天へと昇っていく。
永良ゆづり:その姿は。威光と異形を備えた、世界を喰らいし神蛇のごとく。
永良ゆづり:白き奔流は、小さな森を軽々しく覆い尽くし。
永良ゆづり:永良ゆづりが与し、信ずる者の力を奮い立たせる。
永良ゆづり:「────久遠さん。力を貸してください」
永良ゆづり:「戦いを、すぐにでも、終わらせるために」
久遠仁:「勿論」
久遠仁:その言葉、発したその音の波が、鼓膜を震わせるよりも速く。
久遠仁:白い帳の中から、“サンディーヴァ”へと躍り出る影がある。
久遠仁:刹那の領域。限りなくゼロに近い速度で加速、跳躍、肉薄。
久遠仁:久遠本人のトップスピードに遅れぬ速度で、外骨格が変形する。
久遠仁:右脚に集中した金属は、巨大な刃を形作り
久遠仁:絶速の回し蹴りと共に襲い来るそれは、影も音もなく振るわれる、首刈りの鎌そのもの。
久遠仁:常人、否、並のオーヴァードであれば、視認すら許されぬ域のそれは──
久遠仁:同時に、視認『出来てしまう』者であれば、全力を以て対応を余儀なくされる。
"サンディーヴァ":──そうだ。今度は、その出足を見失っていない。全てその眼に映し、理解している。
"サンディーヴァ":徒に受ければ、その一撃が己にとって致死ともなる事をも。
"サンディーヴァ":再三の戦闘で欠損し、修復の間に合っていなかった右腕が。一瞬にして膨張する。
"サンディーヴァ":再生したのではない。己の右腕を放棄して、それがあった場所に樹の腕を生やしている。
"サンディーヴァ":瞬間的に、己の全霊を込めた領域生成。一点に集中させたそれを以て受ける。
"サンディーヴァ":──戟音。黒い火花が散る。
"サンディーヴァ":その樹は触れるレネゲイドの一切を溶かし喰らう。"ロストシグナル"の振るう外骨格であろうとも。それがレネゲイド由来の構築物であるのならば、鍔迫り合いと共に溶かし取り込む。
"サンディーヴァ":全身を覆っていた澱が、瞬間的に右腕に収束している。他を捨てた、紛れもなく全力の構築密度。たとえ煙が爆ぜようとも、今度は霧散する事はない──
永良ゆづり:────否。
永良ゆづり:右腕に纏いし闇樹の鎧は、形成された瞬間から尽く衰え、枯れ果てていく。
永良ゆづり:この森は白き影で満ちた。ゆえに、桜崎ニアが発現させた澱みの樹々は。
永良ゆづり:一切の例外なく、最盛の時を刹那へと堕とされる。
"サンディーヴァ":「──な、っ」
"サンディーヴァ":"指先"の感覚が喪失する。そこにあったはずの樹腕が見る間に朽ちていく。
久遠仁:(────流石だ)
久遠仁:言葉もなく理解する。同時、即座に身体が動く。
久遠仁:空中、朽ちゆく黒樹を素手で掴む。身体を捻り、更に回転。
久遠仁:外骨格が蠢く。右の脚から左の脚へ。
久遠仁:刹那の攻防、風は止まない。神速は未だ、死んではいない。
久遠仁:「オ────ラァアアアアアアァアッ!!」
久遠仁:獣の咆哮。無防備なその身体に、必殺の蹴撃を叩き込む。
"サンディーヴァ":「──ッ!!」徒手隻腕となった身体で、なおも反応するが
"サンディーヴァ":己の自信を砕かれたこと。対手の鬼気気魄。それらに対する萎縮が、僅かに遅らせた。
"サンディーヴァ":「が、あっ……!!」
"サンディーヴァ":防ぎきれない。刃と化した久遠の肉体が、突き出した左腕ごと正中を斬り裂いた。
"サンディーヴァ":「っ……あ、こんな……っ」
"サンディーヴァ":文字通り、肉体を二つに分かたれている。再生は追いつかない。
"サンディーヴァ":黒い樹木を義肢として生やし、左の手脚を補修する。かろうじて踏み留まりながら、大きく息を切らす。
"サンディーヴァ":「……あり得ない。ふざけるな。そんな、こと……」
"サンディーヴァ":永良ゆづりを睨みつける。その瞳にある色は、怒りと絶望の入り混じったような。
"サンディーヴァ":「一人じゃない事が、そこまで人を強くするって言うなら」
"サンディーヴァ":「強くなるために、一人になるために、殺し合わされた私達は」
"サンディーヴァ":「そうまでして手に入れた、この力は」
"サンディーヴァ":「一体、なんだったって、言うのよ……!」
"サンディーヴァ":領域の主が慟哭する。世界が揺れる。その波に応じて、"サンディーヴァ"の精神干渉が深化する。
GM:そして、君達は刹那に幻視する。その少女の痛苦の記憶。"桜崎ニア"が死に、"サンディーヴァ"が生まれた刻の──

桜崎ニア:……負けた、と思った。
桜崎ニア:極限まで膨張した能力を制御し切れず生まれた、一瞬の間隙。
桜崎ニア:……"メルクリカル・スカイ"の最期の攻撃は
桜崎ニア:自分の中にあって、自分ではないものへと向けられていた。
桜崎ニア:(……ああ、私は)
桜崎ニア:("助けられた"のか)
桜崎ニア:愕然とする。
桜崎ニア:命の奪い合い、その終局にあって──ただ相手を生かすことを考えた少女の生き様、その眩しさと。
桜崎ニア:相手を蹴落とし生き延びるためだけに動き続けた自分自身の、浅ましさに。
桜崎ニア:優しい人になりたいと言いながら、結局、これが私なんだと。

"ヴィローシャナ":「──ああ。これにて、実験終了だ」
"ヴィローシャナ":「おめでとう。この戦いを生き延びたのは、君だ」
GM:白衣の女が現れる。"ヴィローシャナ"。
"ヴィローシャナ":「言っておくが、変な気は起こすなよ。君の身体は私に逆らえない」
"ヴィローシャナ":「君を生かすつもりなのも本当た。無論、自由にする気はないがね」
"ヴィローシャナ":「さあ、私の成果物よ。最後の仕上げと行こう」
GM:ごろん、と。肉塊が転がる。少女の目の前に差し出されたそれは
GM:首と胴の切り離された、天城マコトの遺骸。
桜崎ニア:「……っ」
"ヴィローシャナ":「折角の濃縮実験だ。彼の協力を得られなかったのは、残念ではあるが」
"ヴィローシャナ":「元より反逆の意志は固かったようだからね。妥当な判断ではあった……彼の死を見せつけた事で、君達の大半は実験に協力的になってくれた」
"ヴィローシャナ":「だが、どちらにしても。"1位"のレネゲイドを取り込まない手はない」
"ヴィローシャナ":「さあ、そいつを喰らえ。そうして、君の領域段階はまた一つ果てへと近づく」
"ヴィローシャナ":「それが済んだら、供物の時間だ」
"ヴィローシャナ":「君の身体に流れる血を、この匣へと返して貰う」
GM:女が懐より取り出す。遺産"モングレル・チェスト"。それより出でた血を以て人々に力をもたらす遺産。
GM:その契約代償は、より濃い血。
GM:眷属らを蠱毒濃縮する事で生まれる、さらなる力。
GM:遺産の力に魅入られたこの女と、そして歴代の契約者らは
GM:この匣に仕え、ただ死血輪廻を繰り続ける存在として生きている。
"ヴィローシャナ":「そうして、以前より凝縮された血と呪いが。次なる"バース"の世代を生み出す──」
GM:言葉を切る。"ヴィローシャナ"が違和感に気付くまでに、数秒。
"ヴィローシャナ":「……おい。"そいつを喰らえ"と言ったはずだが──」
GM:"モングレル・チェスト"の血を分け与えた事による契約拘束は、絶対だ。
GM:「喰らえ」と言われたなら、その言葉に逆らえる筈がない。
GM:……だが、目の前のこの少女は
GM:目を伏せ、遺体を見つめたまま動かない。……何故?
"ヴィローシャナ":「っ──!!」
GM:可能性に思い至った女の頬に、冷や汗が走ると同時。
GM:漆黒色の樹木が"ヴィローシャナ"の肉体を捕らえ、骨を抱き締め砕いている。
"ヴィローシャナ":「かっ……あ」
"ヴィローシャナ":「き……貴様っ、何故……!!」
GM:少女の瞳にもはや怒りはない。ただ冷淡な殺意の色が、"ヴィローシャナ"へと向けられている。
桜崎ニア:「……お前を殺すのは、一番最後だ」
桜崎ニア:「死んだ人間が、後悔することはない。絶望する事も、泣き叫ぶ事もできない」
桜崎ニア:「だから、お前が一番最後」

桜崎ニア:「……ああ」
桜崎ニア: 感嘆。それは、思念一つで目の前の相手を無力化できた、自分自身に対しての。
桜崎ニア:「私……こんなに、強くなってたんだ」
GM:感じていた。自らの肉体の内なる潮流。
GM:体内で混ぜ合わされていくレネゲイドの熱が、束ねられ、一筋の力へと成っていく。
GM:一個の濃縮体として「完成」する過程において
GM:声が/力が/記憶が、彼女の意識の中で混ざり合っていく。
桜崎ニア:「……そっか」
桜崎ニア:「そこにいるんだね、みんな」
GM:……故に、錯覚する。夢を見る。
GM:彼らはとうに死んでいるのだとしても。
桜崎ニア:「手を貸してくれるんだね。こんな私に」
GM:その現実を受け止めるには、少女の心の器はとうに壊れていた。
桜崎ニア:「……みんな、ありがとう。だけど」
桜崎ニア:「私には、もう。みんなの仲間でいる資格はないんだ」
桜崎ニア:「それが、よく分かった。ルリカに教えられた」
桜崎ニア:「だから……この力は。せめてもの償いのために」
桜崎ニア:「この身体は、皆の怨恨と苦痛を、一手に引き受けるために」
GM:その思考は自己完結する。他と交わる事なく、ただ一人で辿り着く。既にジャームと化しているが故に。
桜崎ニア:「……そうだ。私なんかが、こうまでして生き延びたのは」
桜崎ニア:「私のこの力の意味は」
桜崎ニア:「全部、そのためだったんだ」
桜崎ニア:「そうに決まってる」
桜崎ニア:「……そうでなければ」
桜崎ニア:「私なんかが生きている事の、説明がつかない」

桜崎ニア:「──やっと、分かったよ。マコト」
桜崎ニア:「自分がどれだけ傷付いたって」
桜崎ニア:「自分の中の何を差し出したって」
桜崎ニア:「私はいま、みんなに尽くしたくて仕方がない」
桜崎ニア:「ああ……これが」
桜崎ニア:「これが、"優しい"って事なんだね……」
桜崎ニア:──罪と呪いを背負い、生きていくと決めた。
桜崎ニア:だから、貴方にもらったこの名前は返そう。
桜崎ニア:私にはもう、相応しくないから。
桜崎ニア:……ああ、そうだな。地獄がいい。
桜崎ニア:いつか本で読んだ。無益な争い、殺生の罪業を負って死んだ者が落ちる場所。
桜崎ニア:永劫にも近い時間、罪が雪がれきる事はなく。傷つけ合い。苦しみ続ける──きっと、そのような名こそが
"サンディーヴァ":これからの私には、相応しいだろうから。

"サンディーヴァ":「……まだだ」
"サンディーヴァ":「私は、こんな所では終わらない。終わっては、いけない」
"サンディーヴァ":「私は、"サンディーヴァ"。この身は、この生命は」
"サンディーヴァ":「天に還すには、まだ穢れ過ぎている」
"サンディーヴァ":霧散したレネゲイドが、もう一度。"サンディーヴァ"の元へと収束し始める。
"サンディーヴァ":魄柱の枝枝が、主人へと課し付くように枝を垂れ伸ばす。
"サンディーヴァ":大樹より注がれた生気を以て、引き裂かれた肉体を修復した。
GM:……それは、即ち。魄柱へと繋がれている少女の命もまた、注がれているという事だ。
"魄柱・彩花”:「っ……」虚ろな表情が、俄に苦痛に歪む。
"魄柱・彩花”:だが、それで折れる少女ではない。敵意は消えていない。
久遠仁:「……北条……!」
久遠仁:「“サンディーヴァ”……!殺す気か、その子を!」
"サンディーヴァ":「……殺したくは、ないよ。私の望む夢界を作り上げるのに必要な、この子の特質は」
"サンディーヴァ":「まず見つかるものじゃないだろう。だけど……」
"サンディーヴァ":「確率は0って訳じゃない」
"サンディーヴァ":「代わりのできるものがいない私が死ぬよりは」
"サンディーヴァ":「いくらかマシだ」
久遠仁:「……」
久遠仁:「……そうか」
久遠仁:「とっくに壊れてるんだな、あんた」
久遠仁:怒りと憐憫の入り混じった声が響く。
久遠仁:「だから、夢の中で────」
久遠仁:「かつての仲間の、代わりを作った」
久遠仁:「関係のない人を、巻き添えにして」
久遠仁:「その人たちもきっと、誰かにとっては代わりの無い存在だというのに」
久遠仁:「あんたは自分の痛みを、他人に押し付けているだけだ」
"サンディーヴァ":「……君達が、私のやることが許せないって言うのは」
"サンディーヴァ":「もう十分、分かったよ」
"サンディーヴァ":「そっちだって、同じでしょう。分かってるはずだ」
"サンディーヴァ":「今更、何を説かれた所で」
"サンディーヴァ":「私はもう、止まらない。止まれない」
久遠仁:「ああ」
久遠仁:「だから、止めてやる」
久遠仁:「……俺には」
久遠仁:「その子の代わりは、いない」

GM:イニシアチブ14。魄柱・彩花の手番。
"魄柱・彩花”:メジャー「ブルーム・ブレイド」 《コンセントレイト》《アドレナリン》《シャドーテンタクルス》《原初の赤:渇きの主》《深き傷痕》《混色の氾濫》
"魄柱・彩花”:対象はPC全員。
"魄柱・彩花”:14dx7+10 命中
DoubleCross : (14DX7+10) → 10[3,3,3,3,4,6,6,8,9,9,9,9,10,10]+10[1,3,4,5,6,8,9]+10[1,9]+5[5]+10 → 45

亜藤 蘭介:ドッジ!
亜藤 蘭介:7dx+1>=45
DoubleCross : (7DX10+1>=45) → 7[1,3,3,4,4,7,7]+1 → 8 → 失敗

穂村 姫乃:ドッジ
GM:命中で次の攻撃が-10と邪毒4です
穂村 姫乃:4dx>=45
DoubleCross : (4DX10>=45) → 10[3,7,7,10]+4[4] → 14 → 失敗

久遠仁:9DX>=45 ドッジ
DoubleCross : (9DX10>=45) → 10[4,4,6,6,7,8,8,10,10]+10[2,10]+8[8] → 28 → 失敗

久遠仁:頑張った
亜藤 蘭介:すごいな?
永良ゆづり:6dx>=45 ドッジ
DoubleCross : (6DX10>=45) → 10[1,1,7,7,7,10]+1[1] → 11 → 失敗

亜藤 蘭介:ダメージ前に《砂の結界》で永良さんをカバーリング。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2(→ 2)増加 (114 → 116)
永良ゆづり:ありがとう~~!!
"魄柱・彩花”:5d10+35 ダメージ
DoubleCross : (5D10+35) → 36[3,4,10,10,9]+35 → 71

亜藤 蘭介:死にゅ……
亜藤 蘭介:水上ケイのロイスをタイタス昇華し復活。HP14。汚染値6。
久遠仁:HP0、天城マコトのロイスを昇華して復活します 汚染値5
穂村 姫乃:死ぬので、永良に〇連帯感/心配でとってタイタス化。HP13で汚染値6。
"魄柱・彩花”:こちらは渇きの主の効果で回復します。
GM:では演出。

"魄柱・彩花”:「っ、あ……はあっ……」
"魄柱・彩花”:息を乱している。戦闘以前から既に、他の魄柱の生成や夢界の維持に力を注いでいた。
"魄柱・彩花”:その制御者である"サンディーヴァ"が追い詰められるにつれ、彼女の肉体にかかる負担は増している。
"魄柱・彩花”:(……喉が、渇く……)
"魄柱・彩花”:木の根が水を求めるように。あるいは、彼女自身の吸血衝動に促されるようにして。
"魄柱・彩花”:昏い枝々が、波濤の如くに地を這いて伸びる。君達の手脚を絡め取り、生気を吸い付くさんと。
"魄柱・彩花”:再び、視界に闇の花弁が舞い散る。甘い芳香が五感を狂わせ、攻撃に対する抵抗を消散させんとする。
亜藤 蘭介:亜藤蘭介が能力を行使する際。その殆どは物体を媒介に己がレネゲイドを注力する。
亜藤 蘭介:己のレネゲイドの浸透率が一番高いのは、"土"。
亜藤 蘭介:故に。吸血の枝、それが地に伸びた瞬間の間に。
亜藤 蘭介:攻撃の出起こりを察知すると共に、地面が隆起し、次第に人の形を象ったそれが。己を絡み取らんとした蔦の身代わりとなり、砕け散って。
亜藤 蘭介:咄嗟に駆け寄った先。永良ゆづりの体躯を突き飛ばし。
亜藤 蘭介:「──────っ、ぐ」
亜藤 蘭介:耐え難き吸精と陶酔の前に、身に咲いた花弁を散らしながら地に伏せる。
永良ゆづり:「っ、亜藤、さ──」咄嗟に受け身を取ろうとして、立ち上がれず。
永良ゆづり:「(……あれ。力、入らない)」
永良ゆづり:腕は小刻みに震え、脚はだらんと地に崩れたまま。
永良ゆづり:十数回に渡る致死からの蘇生と、無尽蔵の出力を誇るオルクス能力者への領域干渉。
永良ゆづり:人としての限界はゆうに超え。森に満たされた白煙も少しずつ霧散し。
永良ゆづり:もはや戦うこともままならないのなら。せめて、謝罪を。
永良ゆづり:「ごめん、なさ……」
永良ゆづり:──違う。
永良ゆづり:「……いえ」
永良ゆづり:満足に動かなくなった身体へ白煙を纏わせ、失われた筋力の代替とし、立ち上がる。
永良ゆづり:"せめて"が罷り通るなら。まだ、一矢を報いる余地があるはず。
永良ゆづり:「助かりました」
亜藤 蘭介:淀む意識。歪む視界。
亜藤 蘭介:既に疲労困憊。とうに限界を越えた能力の多重行使。その身を呈し俺たちを支え続けた戦士。
亜藤 蘭介:倒れゆく彼女の姿を、誰が責めることが出来ようか。
亜藤 蘭介:だが、知っている。
亜藤 蘭介:"スモークスタック"永良ゆづりは。
亜藤 蘭介:「構わん」
亜藤 蘭介:消えそうな程に掠れた声。
亜藤 蘭介:しかし、此度もまた。立ち上がった彼女の背を目に映し、口の端を歪めて。
亜藤 蘭介:「(強い子だ───)」
穂村 姫乃:木の根から逃れる素振りはない。元より身体能力に優れてはないのだから、無駄な行動に意識は割かない。
穂村 姫乃:抵抗を減じようとする甘い香りの中、ただ一心に自身のレネゲイドを制御する。その結果。
穂村 姫乃:枝が触れた個所が一瞬にして燃焼し灰と化す。決して血を吸収してしまうことが無いように。
穂村 姫乃:「全く。何でも口に入れてはいかんと教わらなかったのか?」
穂村 姫乃:結果として体の体積の4割ほどが能力を失った灰と化していく中、サイカを揶揄うように笑いかける。
穂村 姫乃:人の子たちが誰一人として倒れない中、神が真っ先に退場など。到底らしくはないのだから。
"魄柱・彩花”:「っ……」なおも立ち上がる君達を見て、唇を噛む。「なんで……」
"魄柱・彩花”:「諦めて、くださいよ……あたしだって、できることなら」
"魄柱・彩花”:「貴方達を、わざわざ殺したくはない、のに……!」
"魄柱・彩花”:ジャームと結合し、感情を操作され、無数の力を行使されながらも尚。少女の精神には、どこか本来の善性の影が残っている。
"魄柱・彩花”:あるいは魄柱として無数のジャームの精神に干渉する中で、その末路に対する強い忌避感を育んだためか。
"魄柱・彩花”:またあるいは……いつか現の世界で交わした言葉が、その胸に残っているからか。
久遠仁:「……ふー、ッ……」
久遠仁:深く息を吐き、薄れそうになる意識を繋ぎ止める。
久遠仁:生気を求める枝に自ら腕を差し出すようにして、血を与える。
久遠仁:少しでも、少女の命が保たれるように。
久遠仁:「……5年振りかな」
久遠仁:「こうして、君に血をあげるのも」
久遠仁:状況にそぐわぬ朗らかな声色で、冗談めかして口にして。
久遠仁:「……少しは落ち着いたかい、北条」
"魄柱・彩花”:「……っ。何を、言って……いるんですか」
"魄柱・彩花”:「あたしは、敵なんですよ……!? 貴方達を、裏切って……それで……!」
"魄柱・彩花”:「そんな、自分から情けをかけるような……こと」
"魄柱・彩花”:「してもらう、義理は、ないんだから……ッ!」
久遠仁:「たとえ君がそう思っていても」
久遠仁:「俺は、君の味方だ」
"魄柱・彩花”:「……!」
"サンディーヴァ":「……耳を、貸しちゃいけない」
"サンディーヴァ":透き通るような声が、少女の耳を撫でる。
"サンディーヴァ":「落ち着いて、思い出すんだ。君が守るべきものは、何だったか」
"サンディーヴァ":「目の前のその男は、君にとって大切なその世界を、どうしようとしているのか」
"魄柱・彩花”:「……分かってる。大丈夫……何を、言われたって」
"魄柱・彩花”:はっきりと敵意を乗せた視線。その眦に涙が伝っている。
"魄柱・彩花”:「あたしはもう、迷わない……っ」

GM:イニシアチブ。行動値9、永良さんの手番です。
GM:意志判定からどうぞ。
永良ゆづり:6dx+2>=2 一品ブランケット
DoubleCross : (6DX10+2>=2) → 6[1,2,3,4,5,6]+2 → 8 → 成功

GM:成功!行動宣言をどうぞ
永良ゆづり:はいさい。マイナーなし
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》
永良ゆづり:対象は"サンディーヴァ"で~~
GM:命中どうぞ!
永良ゆづり:12dx7+6
DoubleCross : (12DX7+6) → 10[1,4,5,5,7,8,8,8,9,9,9,10]+10[1,2,2,4,6,6,7,7]+10[3,10]+10[9]+10[10]+1[1]+6 → 57

"サンディーヴァ":暴走なのでリアクションなし
GM:そのままダメージをどうぞ!
永良ゆづり:(6+1)d10+14
DoubleCross : (7D10+14) → 34[3,6,10,7,2,5,1]+14 → 48

永良ゆづり:装甲無視、48点
"サンディーヴァ":《隆起する大地》軽減します。
"サンディーヴァ":48-1d10-18
DoubleCross : (48-1D10-18) → 48-6[6]-18 → 24

永良ゆづり:侵蝕は147に。
GM:装甲無視痛いな……
GM:演出どうぞ!

永良ゆづり:「(……きつい、な)」
永良ゆづり:一歩踏み込もうとして、ぐらりと身体が揺れる。
永良ゆづり:辛うじて立ち上がったとはいえ、肉体が誇る本来の性能には遠く及ばない。
永良ゆづり:ならば、更に白煙を滾らせ、物量にものを言わせれば。
永良ゆづり:従来の様な強度を取り戻すことも、あるいは圧倒することも、可能かもしれない。
永良ゆづり:「(だけど、それは)」
永良ゆづり:それは、"人の身"に固執しなければの話だ。
永良ゆづり:レネゲイドに全てを委ね、己が身に巣食う衝動に身を任せれば。
永良ゆづり:即ち、ジャームになることを受け入れれば。

永良ゆづり:────足音が、すぐ傍に近づいている。
永良ゆづり:憎い。
永良ゆづり:大切な人を傷つけた者への"憎悪"が、ぐるぐると心に渦巻いていく。
永良ゆづり:憎い。憎い。憎い。
永良ゆづり:眼前に立つ怨敵を叩き伏せろと。全身がざわめいて、血が滾っていく。
永良ゆづり:憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。
永良ゆづり:火のない所に、煙は立たず。
永良ゆづり:ならば、ありったけの火を注ぎ込んでやれば。
永良ゆづり:人たらしめんと、己が身を縛り付ける、
永良ゆづり:"絆"さえ、焼べてしまえば────

:「生きて帰ろう」
:「ちゃんと人間のまま、元の日常に帰ろう」
:「約束」小指を差し出す。
:「気休めかもしれないけど、少しは効果あるよ」

永良ゆづり:「……ごめん、束沙」
永良ゆづり:「約束……破りそうになった」
永良ゆづり:ぐん、と。地をつま弾き、疾駆。
永良ゆづり:"いつも通り"右手に携える峨嵋刺を回転させ、周囲の白煙を纏わらせていく。
永良ゆづり:「(たとえ私が、この場でジャームに堕ちて。"サンディーヴァ"を打ち倒したとしても)」
永良ゆづり:「(それは、勝ちじゃない)」

永良ゆづり:貴方としては、本当に気休めのつもりだったかもしれないけれど。
永良ゆづり:差し出された小指に、結んだ約束は。
永良ゆづり:ただ逃げ続けてきただけの我儘で、弱弱しい私に。
永良ゆづり:守らせるくらいの力は、あったみたい。
永良ゆづり:だから。私は、レネゲイドなんかじゃなくて。
永良ゆづり:────自分の力を"信じる"ことにする。

永良ゆづり:その意志に呼応するかの様に。旋回する白煙が、急速に密度を増していく。
永良ゆづり:やがて嵐の如き疾風を束ねて。打ち出された弾丸の様に地を蹴り奔る。
永良ゆづり:生きて帰るために。ちゃんと人間のまま、元の日常に帰るために。
永良ゆづり:「(それが、私に課せられた贖罪の……第一歩だから!)」
永良ゆづり:"サンディーヴァ"の眼前で踏み込み、狙うは心の臓腑。
永良ゆづり:意志に支えられし白煙の疾風に乗って、峨嵋刺を突き立てようと、右腕を振り上げる。
"サンディーヴァ":「──!」その速度の接近にも反応している。領域の展開。煙を呑み、その力を減衰させ我が物へと還す黒い帯。
"サンディーヴァ":だが、その熱量を呑み切れぬまま。霧散し、引き貫くように突破された。振り上げられた刃は今、眼前に。
"サンディーヴァ":──その胸に、刃が突き立てられる。引き裂かれた女のレネゲイドの中核に、罅の入る音。
"サンディーヴァ":「っか、あ……ッ」
永良ゆづり:強大かつ緻密な領域制御を施す、"サンディーヴァ"の中核を着火石として。
永良ゆづり:────炸裂。爆壊。熱焼。
永良ゆづり:峨嵋刺を介し、体躯に流し込まれた煙が燃え盛り、焦がし尽くさんと牙を剥く。
"サンディーヴァ":──黒い影が、灼熱の渦の中へと沈む。肌に纏わる澱がその熱を防ぐには、あまりにも烈しい焔。
"サンディーヴァ":身を焼かれる苦悶の声が響く──それと同時、噴出する。"サンディーヴァ"の炉心より漏れ出したレネゲイドの奔流。
"サンディーヴァ":この少女が飲み干してきた数多の人々の異能と記憶。至近距離に立つ永良へ向けて、異常侵蝕のレネゲイドと過剰量の情報が流れ込み、汚染せんと。
永良ゆづり:「────っ、と」混沌へと陥る前に、踵を返して距離を取る。
永良ゆづり:「貴女の懐に踏み入るのは危険、というのは確かのようだが」
永良ゆづり:「まだ、その身体は耐えきれるのか?」
"サンディーヴァ":「っ……はぁっ……」
"サンディーヴァ":焔の中より、亡霊めいて再び姿を現す。胸部の亀裂は閉じず、そこからは煙めいた闇が溢れ出しているまま。
"サンディーヴァ":「余計な、お世話……そっちだって、ボロボロの、くせに」
永良ゆづり:「……そりゃあそうだ。散々……貴女がずたぼろにしたからな」
"サンディーヴァ":「耐えれるに、決まってる、でしょう……こっち、だって」
"サンディーヴァ":「半端な覚悟で、"地獄"を名乗ってる訳じゃない……!」
永良ゆづり:「なら、根競べだ」
永良ゆづり:「私達と、貴女。どちらが最後まで意志を繋げるか」
永良ゆづり:痛み以外の感覚を失った手で峨嵋刺を握り込み、再び構える。
"サンディーヴァ":「減らず口、を」胸より溢れ出したレネゲイドの奔流が、少女の右掌へと集まっていく。
"サンディーヴァ":次なる準備。君の大切な人を仕留めたあの技を、もう一度放つための。
"サンディーヴァ":「そんなの……受けて立つ、までもない」
"サンディーヴァ":「"サンディーヴァ"は……負けない」
"サンディーヴァ":「負けることなんて、許されない」

GM:イニシアチブ5。亜藤さんの手番です。
GM:意志からどうぞ~
亜藤 蘭介:はい。
亜藤 蘭介:4dx+4>=6
DoubleCross : (4DX10+4>=6) → 10[8,9,10,10]+7[1,7]+4 → 21 → 成功

亜藤 蘭介:あきらめないこころ。
亜藤 蘭介:では手番いただきます。
GM:どうぞ!
亜藤 蘭介:マイナー、《揺るぎなき心》。邪毒を回復します。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を1(→ 1)増加 (116 → 117)
亜藤 蘭介:メジャー、コンボ:"Doislash"。《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》+《砂の加護》+《砂塵霊》+《ドッペルゲンガー》
亜藤 蘭介:対象は"サンディーヴァ"。
亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を15(→ 15)増加 (117 → 132)
GM:どうぞ!
亜藤 蘭介:17dx7+6
DoubleCross : (17DX7+6) → 10[2,2,3,3,3,5,5,7,7,7,8,8,8,9,9,9,10]+10[1,2,2,3,4,7,8,8,9,10]+10[2,2,5,5,9]+6[6]+6 → 42

亜藤 蘭介:ようやく回ったね
"サンディーヴァ":暴走リア不。
GM:ダメージをどうぞ。
亜藤 蘭介:ダメージ前
亜藤 蘭介:Sロイス、"妹"をタイタス昇華。
亜藤 蘭介:効果はダメージバースト。ダメージ時に+5D。
GM:マジか……
GM:ダメージどうぞ……!
亜藤 蘭介:5d10+5d10+40-10
DoubleCross : (5D10+5D10+40-10) → 41[10,8,9,7,7]+32[4,5,5,10,8]+40-10 → 103

GM:うわ~~
亜藤 蘭介:装甲無視。
"サンディーヴァ":《雲散霧消》《氷雪の守護》
"サンディーヴァ":103-30-6d10
DoubleCross : (103-30-6D10) → 103-30-21[7,2,3,2,1,6] → 52

"サンディーヴァ":残HP16。倒れます。
"サンディーヴァ":《ラストアクション》即時行動《蘇生復活》HP1で回復
亜藤 蘭介:ヴァッ!?
"サンディーヴァ":即時メインプロセスを実行。
"サンディーヴァ":マイナー《無形の爪牙》《完全獣化》
"サンディーヴァ":メジャー、コンボ「アースリー・ケイヴ」《コンセントレイト》《無形の影》《シャドーテンタクルス》《形なき剣》《獣の力》[《獣王の力》《要の陣形》《鬼の一撃》《深き傷痕》
"サンディーヴァ":対象はPC全員。
GM:訂正。久遠さんいがいのPC3人。
亜藤 蘭介:ギャ~~~!!
久遠仁:やろ~~
"サンディーヴァ":23dx7+30 命中
DoubleCross : (23DX7+30) → 10[2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,5,7,7,8,8,8,8,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,1,3,4,4,4,7,8,8,9,10]+10[4,6,7,8,9]+10[5,6,8]+5[5]+30 → 75

亜藤 蘭介:ドッジ
亜藤 蘭介:7dx+1>=75
DoubleCross : (7DX10+1>=75) → 9[2,2,2,3,3,7,9]+1 → 10 → 失敗

穂村 姫乃:ドッジ
永良ゆづり:5dx+1>=75 ドッジ
DoubleCross : (5DX10+1>=75) → 7[2,2,5,6,7]+1 → 8 → 失敗

穂村 姫乃:7dx>=75
DoubleCross : (7DX10>=75) → 10[1,2,5,5,6,10,10]+7[5,7] → 17 → 失敗

永良ゆづり:《炎陣》。亜藤くんをカバー。
GM:カバーとかあればどうぞ
亜藤 蘭介:ありがとう~~~~
永良ゆづり:侵蝕149!!
亜藤 蘭介:やばば
"サンディーヴァ":8d10+52+30 次の攻撃の攻撃力-20 ガードで+35
DoubleCross : (8D10+52+30) → 51[10,6,6,3,8,3,7,8]+52+30 → 133

永良ゆづり:即死!最後のロイスの桜崎ニアをタイタス化して蘇生!
永良ゆづり:汚染値3。以上
穂村 姫乃:こちらも死ぬので仁さんに〇連帯感/愉快でとって昇華!HP13の汚染値が7!
亜藤 蘭介:では演出。
GM:どうぞ!

亜藤 蘭介:死闘に継ぐ死闘。
亜藤 蘭介:"サンディーヴァ"による精神汚染。"北条彩花"によるレネゲイドの吸収。
亜藤 蘭介:度重なる負傷。既にこの身は個のオーヴァードとして、抜け殻に等しかった。
亜藤 蘭介:「───────」
亜藤 蘭介:落ちる。
亜藤 蘭介:辛うじて握っていた意識の糸を、ゆっくりと手放して。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:夢を見る。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:取るに足らない相手だった。
亜藤 蘭介:仲間と幾度も訓練し、考え抜いた緻密な連携で、奴はあっけなく倒れ伏した。
亜藤 蘭介:─────故に解いてしまった。緊張の糸を。
亜藤 蘭介:奴の身が巨大な風船のように膨れ、今にも弾けんとするその寸前で。
亜藤 蘭介:自爆への脅威を背に、兄の身を庇うように眼前に飛び込んできた妹の顔は。信じられないほど穏やかで。
亜藤 蘭介:「────」
亜藤 蘭介:なにか、呟いた妹の言葉は。後にその一帯を焦土と化したほどの爆発に紛れて、俺の耳には届かなかった。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:一瞬の油断が、一生の後悔を生んだ。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:死の淵から目覚め、半ば抜け殻と化した己へと。
亜藤 蘭介:担当教官から手渡された一枚の紙。
亜藤 蘭介:───"除籍届"。
亜藤 蘭介:『今のお前が戦うのは、もう無理だ』
亜藤 蘭介:『復帰は、諦めたほうがいい』
亜藤 蘭介:あれが悪夢などではなく、紛れもなく現実なのだという事を実感させるには、十分な一言だった。
亜藤 蘭介:この薄っぺらな紙切れ一枚で、今まで投じてきた全てが無になるのだと思うと、笑いすらこみ上げて来たが。
亜藤 蘭介:己を慮っての言葉だろうということは理解出来たし、彼の立場であれば当然だろうとも思った。
亜藤 蘭介:元々、己はレネゲイドの出力に特段優れていた訳でも。
亜藤 蘭介:ピュアシンドロームとして、特異な能力を有していた訳でもない。
亜藤 蘭介:ましてや。片割れの異能を満足に行使できない"半人前(クロスブリード)"へと化した己に時間を割くよりは。
亜藤 蘭介:他の才ある人員を手厚く導いてやるべきだ。
亜藤 蘭介:UGNは決して、慈善団体などではないのだから。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:誰もいない、深夜の訓練場の真ん中で。
亜藤 蘭介:天窓から差す月明かりに照らされながら、光を失った目で宙を見る男がひとり佇んでいる。
亜藤 蘭介:────結局、書けなかった。
亜藤 蘭介:“記憶処理に同意します”
亜藤 蘭介:その最後の一文を前に。握ったペンがそれ以上、動くことはなかった。
亜藤 蘭介:ぐしゃりとそれを握りつぶし、投げ捨てて。
亜藤 蘭介:今まで、何度も繰り返し行ってきた能力で錬成した、掌に収まるほどの小さな銃を見る。
亜藤 蘭介:今にも形が崩れかけんとするそれを、随分と不格好になったもんだと。自嘲するように口の端を歪めて。
亜藤 蘭介:銃口を。側頭部に突きつけた。
亜藤 蘭介:こんなものでも、自身の頭を吹き飛ばすだけの威力は残っているだろう。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:既に、己には。
亜藤 蘭介:生きる目的が、無かった。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:許せなかった。
亜藤 蘭介:なにひとつ守れなかった己の弱さが。
亜藤 蘭介:矛先がなかった。
亜藤 蘭介:この絶望を、憎悪を、悔恨を向ける相手は、既に何処にもいない。
亜藤 蘭介:分からなかった。
亜藤 蘭介:なにひとつ敵わない、己よりもずっと強く優秀なあの妹が。己を庇ったその意味が。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:本当に大切な者を、零れ落としてしまったこの手で。
亜藤 蘭介:この先、一体。何が守れると言うのだ。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:引き金に指をかけたその刹那。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:目の前に、陽炎が揺らめいていた。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:「ひっ───」
亜藤 蘭介:「陽紗」
亜藤 蘭介:息がつまり、銃が手元から零れ落ちる。
亜藤 蘭介:強張った身体から力が抜ける。膝から崩れ、地に頭を擦り付けて。
亜藤 蘭介:咽び泣いて、許しを乞うた。
亜藤 蘭介:幻覚でも、幽霊でも、何でも良かった。
亜藤 蘭介:詰って欲しかった。責めて欲しかった。
亜藤 蘭介:だって。
亜藤 蘭介:若菜が行方を晦ましたのも。
亜藤 蘭介:柿崎も、陽紗が死んだのも。
亜藤 蘭介:掛け替えの無い、大切なものを失ったのも。
亜藤 蘭介:全部。
亜藤 蘭介:全部、全部、全部、ぜんぶ─────
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:「何もかも、俺のせいなんだ」
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:けれど。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:それは語らない。
亜藤 蘭介:死者は語らない。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:永遠にも感じられる時間が過ぎた後。
亜藤 蘭介:頭を上げ、涙で滲んだ視界に映ったのは。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:他の誰でもない、己自身の姿。
亜藤 蘭介:魂の片割れを犠牲に、己に宿った"特筆性能力(ディスクリプト)"。
亜藤 蘭介:亜藤蘭介のドッペルゲンガーが。
亜藤 蘭介:ぼろぼろになった身体で。訓練用の木刀をぎこちなく、ぶざまに。
亜藤 蘭介:しかし、懸命に。
亜藤 蘭介:何かを見据えて。無心にそれを振るっていた。
亜藤 蘭介:「やめろ」
亜藤 蘭介:そんな事に、意味なんか無いんだ。
亜藤 蘭介:今まで、注いできた努力を全て無碍にして。
亜藤 蘭介:例え、また戦場に戻っても。
亜藤 蘭介:「やめてくれ」
亜藤 蘭介:其処には居ない。
亜藤 蘭介:本当に愛するべき者も、本当に護りたいと思う者も。
亜藤 蘭介:誰も居ない、この世界で。
亜藤 蘭介:歩き続ける意味なんて───────。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:「堪るかよ」
亜藤 蘭介:背負わせて、堪るものか。
亜藤 蘭介:この、永遠に魂を苛む重荷を。罪を。呪いを。
亜藤 蘭介:これ以上、彼らが背負う必要はない。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:限界を超えたレネゲイドの活性化。命燃やし生み出した炎を纏って。
亜藤 蘭介:幽鬼のように立ち上がった男が。一歩、また一歩と。
亜藤 蘭介:歩んでいる。悠然と。然し堂々と。
亜藤 蘭介:万全の状態には程遠い。
亜藤 蘭介:己が身に残されたのは、吹けば飛ぶ程度。塵のようなレネゲイド。
亜藤 蘭介:柄を握る腕は千切れ欠け。踏み出す脚の骨は歪に皮膚を突き破っている。
亜藤 蘭介:だが。
亜藤 蘭介:それがどうしたというのだ。
亜藤 蘭介:そんな理由は。
亜藤 蘭介:この足を止める理由に。
亜藤 蘭介:──────何一つとして成り得ない!
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:「……数多の屍で積み上がった道の上に、俺たちは立っている」
亜藤 蘭介:「時には、道を違えることもあるだろう」
亜藤 蘭介:「時には立ち止まり、心身癒す必要も」
亜藤 蘭介:「時には道半ばで力果て、後に続くものたちの礎となることも」
亜藤 蘭介:この男が持っているのは。
亜藤 蘭介:前へ。ただ、前へ。
亜藤 蘭介:唯一、誰よりも勝ると。
亜藤 蘭介:他でもない、己自身が信ずる、呪いのような自己暗示だけ・
亜藤 蘭介:「前に進み続ける」という。
亜藤 蘭介:何事にも揺るがず。誰にも屈さず、侵されることのない。
亜藤 蘭介:鋼鉄のような意志だけ。
亜藤 蘭介:「それでも、人は終着の見えない道を歩き続ける。歩くしかない」
亜藤 蘭介:「それが。生きるという事だから」
亜藤 蘭介:「だから、有ってはならない」
亜藤 蘭介:「他者の道を踏み躙ってまで。その道を引き返すことは」
亜藤 蘭介:眼前の少女に向かって。その距離を。
亜藤 蘭介:「お前は。後戻りをしているだけだ」
亜藤 蘭介:「怖かったんだ────」
亜藤 蘭介:「差し伸べられた手を取るのが」
亜藤 蘭介:「己の全てを、許されるのが──────」
"サンディーヴァ":「何、を……」
"サンディーヴァ":──否。理解っていた。彼らの優しさを、誰よりも傍で見て知っていた自分だから。
亜藤 蘭介:"メルクリカル・スカイ"日下部ルリカ。
亜藤 蘭介:"カノンボール・シアター"萩原カノン。
亜藤 蘭介:"アースリー・ケイヴ"水上ケイ。
亜藤 蘭介:"サタニアンズ・ガーデン"桜咲ニア。
亜藤 蘭介:"マーシャル・ヘイヴン"天城マコト。
亜藤 蘭介:この世界を護るため。彼らに背を向けてなお。
亜藤 蘭介:彼らの声は/記憶は/力は。
亜藤 蘭介:"サンディーヴァ"の中で生き続けている。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:そして。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:この世界を砕くため。彼らと真正面から向き合って託されたもの。
亜藤 蘭介:彼らの夢は/願いは/想いは。
亜藤 蘭介:"俺たち"の中で生き続けている。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:さあ。勝負だ、"サンディーヴァ"。
亜藤 蘭介:貴様自身で吐いた言葉だ。今更、逃げるんじゃねえぞ。
亜藤 蘭介:俺たちが背負うこのすべて。
亜藤 蘭介:───呑めるものなら。
亜藤 蘭介:「呑んでみせろ」
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:"モルフェウス"シンドローム、亜藤蘭介が創造し、精製するは。
亜藤 蘭介:自己の分身にして、己が鏡像幻視、"ドッペルゲンガー"。
亜藤 蘭介:この夢幻世界で、亜藤蘭介が想像し、生成するは。
亜藤 蘭介:─────己が歩んできた道の足跡である。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:間合いまであと三歩。
亜藤 蘭介:男の姿が。
亜藤 蘭介:この夢界に混ざり合うように、揺らめいて。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:陽炎から飛び出す影は五つ。
亜藤 蘭介:空色の刃を握る影。
亜藤 蘭介:彼我の距離を縮め迫り、叩き込んだ一刀。その衝撃を刃先だけに加速させ、防御領域を僅かに断裂。
亜藤 蘭介:白色の刃を握る影。
亜藤 蘭介:領域の間隙を縫うように加えた一撃。澱の断面を覆う結晶の硬輝がその再生を一拍の間防ぎ。
亜藤 蘭介:水色の刃を握る影。
亜藤 蘭介:続け様に放った超硬度に発達を遂げた刃。轟音を響かせながら領域を破砕。
亜藤 蘭介:桜色の刃を握る影。
亜藤 蘭介:拳大に空いた風穴目掛け、茨の棘のように成長を遂げた刃先。内側から闇を、領域を、肉を、レネゲイドを喰い荒らし。
亜藤 蘭介:緋色の刃を握る影。
亜藤 蘭介:上段の構えから豪炎一閃。少女の身に。触れる一切を溶解、崩壊へと誘う煉獄の炎が舞い踊る。
"サンディーヴァ":──そうだ、知っていた。聞こえていた。
"サンディーヴァ":みんなが、私を許そうとしてくれてるってこと。
"サンディーヴァ":蘇ったみんなに出逢わなかったのは、自分自身が許される事が怖かったから。
"サンディーヴァ":みんなのいない未来を認めて、そこに向かって生きていく事が
"サンディーヴァ":私には、どうしたってできなかった。
"サンディーヴァ":過去を振り返るなという願いを。過去に縛られなくていいという祝福を。
"サンディーヴァ":ずっと、聞こえないふりをして。届いてないかのように振る舞って。
"サンディーヴァ":「……ああ」
"サンディーヴァ":無数の刃に引き裂かれた、その身体の感覚が薄れていく。取り込んだ数多のレネゲイドが空へと溶けて、己の制御を離れていく感覚。
"サンディーヴァ":「きっと、君の言う通りだ」
"サンディーヴァ":「私のしている事は、本当の意味での贖罪なんかじゃなくて」
"サンディーヴァ":「私の弱さ故に生まれた、我儘だったんだろう」
"サンディーヴァ":「認めたくなかった。既に起きてしまった喪失を」
"サンディーヴァ":「送り出されたくなかった。みんなのいなくなった世界に」
"サンディーヴァ":結局の所、それは、つまり。
"サンディーヴァ":「私は……寂しかったんだろう」
"サンディーヴァ":「……認めるよ。何もかも……認めた上で、私は」
"サンディーヴァ":血の混じった吐息を吐く。自身へと突き立てられた五色の刃を、慈しむように抱きしめて
"サンディーヴァ":「やっぱり、この夢を諦められない」
"サンディーヴァ":どろり、と刃が粘土のように溶け混じっていく。色彩が混じり、虹色を為して
"サンディーヴァ":やがて溶け合ったそれらは、黒一色の澱へと転じて、少女の身に纏わりゆく。
亜藤 蘭介:失せる握力。少女の声と共に刃を地へと落とし、荒い呼吸で地に膝を着いて。
亜藤 蘭介:「(届かずか────)」
亜藤 蘭介:その深い、闇の澱を眼に入れる。
"サンディーヴァ":それが、傷付いた肉体を癒やし、身体構造を作り変えていく。
"サンディーヴァ":手脚は引き締まった鋼のような甲殻を纏い、背には黒い翼を生やした姿。獣と言うよりは、悪魔にも似て。
"サンディーヴァ":──地を蹴り、跳躍。一瞬の内に100メートル近い高度へと。
"サンディーヴァ":黒い翼を広げ羽ばたかせては、その一振り毎に暴風が地を舐め、木々を折り砕き、砂塵を巻き上げる。
"サンディーヴァ":その全てが予備動作。踏み出すは五度目の翼撃の折、降下は一瞬。
"サンディーヴァ":──地上に獲物を見つけたハヤブサは、身体を丸め空気抵抗を極限まで絞る事で埒外の加速を実現する。
"サンディーヴァ":最大で400km/hにも迫る、自然界随一の飛翔速度──その所作を、元来音速を超える怪物の身体能力を以て模倣する。
"サンディーヴァ":少女の肉体が、一塊の弾丸と化して着弾した。魔影一閃。黒い軌線が、地表を掬い抉る──その表面に存在する物ごと。
亜藤 蘭介:身に迫る衝動を抑えるのも既に困難。この攻勢で払った代償は余りにも大きい。
亜藤 蘭介:日常への帰還、その希望を捨てるに等しい一撃でさえ尚。彼女の意思を断つには至らなかった。
亜藤 蘭介:だというのに。
亜藤 蘭介:憂いも、悔いも、無念も。
亜藤 蘭介:ある筈がなかった。
亜藤 蘭介:迫りくる、死への一撃を虚ろな瞳で見つめ─────
永良ゆづり:──"いつも通り"、白き灰煙が黒き軌跡を弾いた。
永良ゆづり:「……ここまで来れたのは、貴方の堅き意志もあってこそ」
永良ゆづり:「たとえ届かなくとも、折れることなく貫き通せば」
永良ゆづり:「引き返すことなく、進み続ければ」
永良ゆづり:「きっと皆で日常に帰れると、信じている」
永良ゆづり:淡々と、されど力強く、言葉を紡ぎながら。
永良ゆづり:亜藤蘭介の前に、毅然として"並び"立つ。
亜藤 蘭介:「永良────」
亜藤 蘭介:その絶技に、眼を見開いて。
亜藤 蘭介:そうだ。
亜藤 蘭介:幕を引くのは、俺のような人間じゃなくていい。
亜藤 蘭介:それに値するのは。帰るべき場所を、日常を。今の尚、抱え続けているもの。
亜藤 蘭介:大切なものを奪われないため。失わないために。
亜藤 蘭介:先の見えないこの道を。足を止めず、懸命に歩み進んでいる久遠仁、永良ゆづり。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:或いは───。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:先の一撃で消えた筈の、己の手甲に刻まれた赤き印が煌めいて。
亜藤 蘭介:黒の森、闇の暗霧を爛々と照らしている。
亜藤 蘭介:ヒトが進むべき、その道を、朝日よりも、眩い輝きで。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:"地獄(Sañjīva)"を具現せんと、払われることのない永劫の闇に囚われ。
亜藤 蘭介:終わることのない無限を彷徨う彼女を。出口へと誘い、導くに値するのは。
亜藤 蘭介:────悠久の永き刻を歩いてきたもの。
亜藤 蘭介:竈神三柱の一角にして火の神、興津比売命。その化身にして。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:幾つもの夢幻、災禍の中でも。
亜藤 蘭介:常に不敵に、然し陽気に。
亜藤 蘭介
亜藤 蘭介:「"太陽のように笑う女神(Sun Diva)"たる、貴女こそが相応しい」

GM:イニシアチブ4。穂村さんの手番です。
GM:意志判定をどうぞ。
穂村 姫乃:7dx+1>=7
DoubleCross : (7DX10+1>=7) → 10[2,3,6,6,8,9,10]+2[2]+1 → 13 → 成功

GM:成功!手番をどうぞ
穂村 姫乃:マイナーはなし、メジャーでサンディーヴァの身に対してコンボ行きます。
穂村 姫乃:神罰堕とし:蝕む赤Lv6+ブラッドスパイクLv4+災厄の炎Lv6+プラズマカノンLv4+フラットシフトLv1
穂村 姫乃:射程:至近、対象:範囲(選択)、攻撃力+50、ランク6の邪毒付与、HP3点消費、侵蝕率+0
GM:命中どうぞ!
穂村 姫乃:7dx+26
DoubleCross : (7DX10+26) → 10[4,4,5,6,9,10,10]+5[2,5]+26 → 41

"サンディーヴァ":暴走のためリアクションなし。
GM:ダメージをどうぞ。
穂村 姫乃:50+5d10
DoubleCross : (50+5D10) → 50+16[1,4,5,2,4] → 66

GM:ふむ……では
GM:このダメージの処理結果については、演出と並行しながら行っていきます。
GM:演出をどうぞ。

穂村 姫乃:「蘭介、お主存外気障よな」
穂村 姫乃:黒に覆われた地表の中で、業火が立ち上る。中心に立つのは当然。
穂村 姫乃:あどけなさと老獪さの同居する面差し。身軽な軽装に混じるいくつかの年代物。酷くちぐはぐで、だけど自然に其処にある。
穂村 姫乃:いつも通りの不敵な笑みを湛えた、穂村姫乃その人だ。
穂村 姫乃:「さて、サンディーヴァ」
穂村 姫乃:「ようやく認めたな。お主の罪の実態を」
穂村 姫乃:「お主の罪は。サイカをかどわかしたこと。この街を飲み込んだこと。人々を脅かしたこと」
穂村 姫乃:「そして何よりも。何よりも大切な筈のお主の仲間たちから目を逸らしたこと」
穂村 姫乃:炎が昂る。今や天をも焦がさんと燃え盛り、だけどその中心の姫乃の周囲だけが不思議と凪いでいる。
穂村 姫乃:「その罪に正面から向き合った今、お主は地獄そのものではなく一人の罪人となった」
穂村 姫乃:「自身の罪を認めんものを裁いても、そいつが罪を認めるわけではないじゃろ?」
穂村 姫乃:「罪を認めたそのときに。罪人は裁きの入口に立つ」
穂村 姫乃:古代種として培われた特異性。同時に、穂村姫乃個人の卓越した技量が成す特異現象。
穂村 姫乃:「故に、サンディーヴァ」
穂村 姫乃:「今より儂がお主を裁く」
穂村 姫乃:レネゲイドの使用と侵蝕の上昇という本来切り離せないはずの法則をも超える。
"サンディーヴァ":「っ……!」
穂村 姫乃:「天に届くには汚れすぎているというなら、我が炎が浄化しよう」
穂村 姫乃:「罰が足りぬというなら、お主の夢の半ばでの終わりを持って罰に替えよう」
穂村 姫乃:「此処でお主はこの世を去り、夢の世界は終わりを迎える」
"サンディーヴァ":「……いやだ」
"サンディーヴァ":「終わらせない……終わらせる、もんか」
"サンディーヴァ":呟くように口にする。それは今や、駄々を捏ねる幼子のような。
穂村 姫乃:「ならん。言ったじゃろ」
穂村 姫乃:「夢はいつか覚める。そのいつかが訪れた」
穂村 姫乃:「……そうじゃな、せめて」
穂村 姫乃:「お主が昇ったその先で。仲間たちとまた出会うよう取り計らおう」
穂村 姫乃:穂村姫乃は神ではない。穂村姫乃にそんな力はない。されど。
穂村 姫乃:神を名乗り、神として彼女を裁くと決めた。故にどこまでも神として振舞う。
穂村 姫乃:死後のその先、地獄ではなく天国にて。彼女と仲間たちが再会を果たすと。当然のように口にする。
"サンディーヴァ":「……そんな場所はない。そうでしょう」
"サンディーヴァ":「人は、死んだらそれまでだ」
"サンディーヴァ":「だからこそ、私は……地獄そのものになる事を選んだ」
穂村 姫乃:「ならそれこそが最大の間違いじゃな」
穂村 姫乃:「あやつらが地獄に堕ちると思うのか?」
穂村 姫乃:「お主はその身にあやつら全員を宿したというのに」
"サンディーヴァ":「……だから、だよ。だからこそ、"このまま"じゃいけない」
"サンディーヴァ":「だからこそ、"私"とみんなを切り分けた」
"サンディーヴァ":「幸福な日常を過ごすのを妨げる、痛みと苦しみと罪だけを、私が引き受けて」
"サンディーヴァ":「みんなと切り分けるための存在。だから、地獄なんだ」
穂村 姫乃:「それでも、地獄から理想郷は生まれんじゃろうよ」
穂村 姫乃:「地獄が見せる夢は、罰の前触れと決まっとる」
穂村 姫乃:「何よりも。お主一人に背負わせることをあやつらの誰も良しとはせん」
穂村 姫乃:「背負おうとしてしまったその傲慢こそ、お主の最大の罪じゃろうな」
穂村 姫乃:「……さて。問答も此処までとしようか」
穂村 姫乃:炎達が戒めを解かれたように昂っていく。罪人を檻の如く取り囲み、逃がしはしないとその熱を持って示す。
穂村 姫乃:「今より此処は大焦熱地獄。お主の殺生・妄語・その他諸々の罪を一切合切焼き払う」
穂村 姫乃:「まあ本来ならアホほど長いんじゃが。儂は裁きではなく焼くや煮たくが本職故、手短に行こう」
"サンディーヴァ":「……なら、それは」
"サンディーヴァ":「させる訳には、いかないな」無数の黒点が、少女の周囲に浮かび上がる。
"サンディーヴァ":雨粒の如くに展開する、数千個の魔眼。
"サンディーヴァ":それが形成するは一切遅滞、1/10000の減速領域──君達が既に知る、"メルクリカル・スカイ"の能力。
"サンディーヴァ":一度立ち入れば、数時間は抜け出すことの叶わぬ時間拘束帯。
"サンディーヴァ":たとえ形なき焔であろうとも、それは例外ではない。彼女へと届くまでの時間が、際限ない希釈によって延長され続ける。
"サンディーヴァ":(……最も、君達のこれまでを見れば)
"サンディーヴァ":冷静に。半ば確信を持った温度で思考する。
"サンディーヴァ":(この領域すらも突破し、私に熱を届かせるんだろう)
"サンディーヴァ":(だから、私は──逃げる事にする)
"サンディーヴァ":その遅滞領域は、僅かの隙を稼ぐためのもの。
"サンディーヴァ":並行して"サンディーヴァ"と魄柱・彩花の立つ場所に、漆黒の時空門が開きつつある。
"サンディーヴァ":「……この街がダメだとしても、また他の場所を見つければいい」
"サンディーヴァ":「力が足りないなら、他から奪って、もっと強くなればいい」
"サンディーヴァ":「私が、生きてさえいる限り」
"サンディーヴァ":「私の夢は、いつか必ず──」

"サンディーヴァ":ダメージを受ける直前、オートアクション。
"サンディーヴァ":コンボ「メルクリカル・スカイ」《瞬間退場Ⅱ》
"サンディーヴァ":自身と魄柱・彩花を指定し、このシーンから退場します。
GM:……ここで、最後の判定の説明です。
GM:この《瞬間退場Ⅱ》というエフェクトは
GM:「退場を望まないPCがいる場合、GMは何らかの対決を行わせて良い」とあるため
GM:"サンディーヴァ"の<RC>と攻撃者の命中で達成値を比較し、上回った場合には退場を阻止できるものとします。
GM:穂村さんの命中達成値は41。なので
GM:これを目標として"サンディーヴァ"が判定を行います。
穂村 姫乃:なるほど……
"サンディーヴァ":判定します。
"サンディーヴァ":《コンセントレイト》《無形の影》オート《砂の加護》《リミットリリース》
"サンディーヴァ":ダイス26個、固定値40、C値6
"サンディーヴァ":判定前に、オート《時の棺》
"サンディーヴァ":"サンディーヴァ"のRC判定の達成値を0にします。
GM:退場の阻止に成功しました。
GM:演出を再開します。

"サンディーヴァ":「夢界の手の内を知った者を帰すのは不本意だけれど、致し方ない」
"サンディーヴァ":遅滞する時間の帯に、到達を妨げられる焔の渦中にあって。魄柱そのものを通せる程の門を開きながら、君達へ話す。
"サンディーヴァ":「この街も、君達も……元に戻す」
"サンディーヴァ":「私は、どこか遠く……君達の目の届かない場所で」
"サンディーヴァ":「もう一度、この夢を紡ぐ」
穂村 姫乃:「……否」
穂村 姫乃:「逃げられんよ」
穂村 姫乃:赤い瞳は何かを見透かしたように細まり、言葉が既に定まった託宣の如く厳かに紡がれる。
"サンディーヴァ":「……そういう格好つけた口上は、もう十分だ」
"サンディーヴァ":「今度こそは間違えない。誰にも邪魔はさせない」
"サンディーヴァ":「さよなら。どうか、願わくば」
"サンディーヴァ":「二度と、君達と逢う事のないよう──」
GM:──不意に。
GM:少女を取り巻いていた減速領域の性質が、反転する。
GM:即ちは、加速する。"サンディーヴァ"と渦を巻く火焔との距離が、一瞬の内に零となる。
"サンディーヴァ":「な──」
GM:──"サンディーヴァ"の作り出した夢骸体が、生前の人間の記憶を辿り生み出された物であるのならば。
GM:亜藤が指摘した通りだ。彼女の宿すレネゲイドの内には、本来の持ち主の意志記憶が残留している。
GM:尋常であればそれは、主人の儘に従う力の一部でしかないだろう。死人とは、そういうものだ。
GM:……だが、あるいは。
GM:その者が、常軌を逸した執念を宿していたのであれば。
GM:その灯火を、闇の中にあって絶やすことなく
GM:喉笛を噛み切るべき一瞬を、伏して狙い続けていたのだとすれば。
GM:その危険性を、どこか"サンディーヴァ"自身も警戒してはいたのだろう。
GM:夢界に蘇った"バース"の中にあって、ただ一人世界を裏切った少女。
GM:蠱毒を最期の二人となるまで生き残る程の力を持っていた"メルクリカル・スカイ"の権能を、ここまで一度たりとも使用しなかったからには。
GM:だが、頼った。この最後の局面で。
GM:彼女が追い詰められ衰弱し、制御能力に綻びが生じた。致命にして、絶好の瞬間に──
GM:その魂は、牙を剥いた。
穂村 姫乃:「……全く」
穂村 姫乃:「優しい以上に負けず嫌いじゃな、お主」
穂村 姫乃:思わず零れた呟きは、きっとサンディーヴァには届かない。
穂村 姫乃:一瞬にして標的へと食らいついた業火が、ごうごうとぱちぱちと燃え盛る彼らが、音さえも飲み込んでしまうから。
穂村 姫乃:故に届く言葉はしっかりと発声された、神としての穂村姫乃から放たれたものだけ。
穂村 姫乃:「言った通り。逃げられんよ、サンディーヴァ」
"サンディーヴァ":「っぐ、あ……がッ……!」
穂村 姫乃:「裁きは此処で終わる。3万2000年にさえ及ばんこの業火の中で」
穂村 姫乃:「お主の罪は、お主もろとも燃え尽きて。後に残るは濯がれた魂のみ」
穂村 姫乃:「その身一つで、仲間の下へ逝くと良い」
穂村 姫乃:「あとこれは年長者からのアドバイスじゃけど」
"サンディーヴァ":身を焦がし纏わり付く火焔を振り払おうと、闇の帯を振るおうとして。しかし、霧散する。
"サンディーヴァ":亡霊の抵抗ひとつ抑え込めぬほど弱ったその少女に、今や神の裁きを凌ぐ程の力は残っていない。
穂村 姫乃:「鰯の頭も信心から。信じる者は救われる」
穂村 姫乃:「お主が真に仲間と笑い合える。そんな世界もあるじゃろ」
穂村 姫乃:「儂は信じる。お主も信じろ」
"サンディーヴァ":……信じないと決めた筈だった。
"サンディーヴァ":そんな、都合の良い妄想は。
"サンディーヴァ":どれだけ嘯いた所で、世界が自分達にとって良い方向に向かう事はない。
"サンディーヴァ":だから、自分が変えなくてはいけないと思った。この力で作らなければいけないのだと思った。
"サンディーヴァ":(……そのはず、だったのに)
"サンディーヴァ":(こんな、嘘吐きの甘言を。信じてもいいかもしれないと、思ってしまっているのは)
"サンディーヴァ":(私が、自分の弱さを思い知ったからだろうか)
"サンディーヴァ":灼熱の渦中。少女の身体を覆っていた、黒い澱が晴れていく。
"サンディーヴァ":意識が遠のいていく。霞んでいく視界の向こう。よく晴れた青空の中に、己が展開した漆黒の魔眼が溶けて行くのが見えて。
"サンディーヴァ":(……ああ、やっぱり)
"サンディーヴァ":思い出す。……あの日も、同じだった。あの子は自分の命を捨ててまで、私を自由にする事を選んだ。
"サンディーヴァ":それは恐らく、"ヴィローシャナ"に勝利するという、より大きな目的の為であって。
"サンディーヴァ":私の復讐は、彼女に勝たされた結果に過ぎない。……そうして、今もまた。
"サンディーヴァ":だから、認めるしかないだろう。この、戦いは
桜崎ニア:(君の、勝ちだな……ルリカ)
桜崎ニア:闇が晴れた後に、倒れ伏す少女の亡骸は
桜崎ニア:業火に焼かれながらにして苦痛は見えず。どこか穏やかな死顔をしていた。

GM:"サンディーヴァ"を撃破したため、《ブレインジャック》が解除。
"魄柱・彩花”:自ら戦闘を放棄、戦闘不能状態となります。
GM:これによりエネミーがいなくなったため、勝利条件を達成。クライマックス戦闘を終了します。

GM:──夢界の主人たる、"サンディーヴァ"が死んだ。
GM:彼女が纏っていた黒い澱、無数の死者のレネゲイドは。黒く煙のたなびくようにして、空へと溶け還っていく。
GM:そして、それと同時に。
北条サイカ:「……あ」
北条サイカ:目を見開く。少女の纏っていた敵意が、はたと途絶える。
北条サイカ:「……ああ。先輩、皆さん……」
北条サイカ:魄柱との結合が解けた訳ではない。混濁する意識を振り払う。
北条サイカ:どこか呆然とした眼差しで、君達を見て。
久遠仁:「……北条!」
久遠仁:すぐさま駆け寄る。「……目が覚めたか?」
北条サイカ:「逃げ、て」
GM:──少女がそう発すると同時。
GM:夢界が、揺れる。空に亀裂が走る。
GM:"ヴァンノワール"──この世界の外殻が軋み、悲鳴を上げている。
GM:そして。君達の脳内に、覚えのない過去記憶が流れ込んでくる。
GM:断片的で膨大な、人間の体験情報。この街に暮らす人間の過去生、その集積。
GM:脳機能を決壊させんばかりの勢いで雪崩れ込み、思考を侵蝕する──

GM:全員、衝動判定です。目標値は12。
GM:成功で汚染値+1、失敗で汚染値+3。
亜藤 蘭介:5dx+4>=12
DoubleCross : (5DX10+4>=12) → 9[2,3,7,9,9]+4 → 13 → 成功

永良ゆづり:6dx+2>=12 一品ケット
DoubleCross : (6DX10+2>=12) → 10[1,2,5,6,7,10]+2[2]+2 → 14 → 成功

久遠仁:5DX>=12
DoubleCross : (5DX10>=12) → 10[5,6,6,8,10]+9[9] → 19 → 成功

穂村 姫乃:8dx+1>=12
DoubleCross : (8DX10+1>=12) → 10[1,2,4,4,4,6,10,10]+10[2,10]+4[4]+1 → 25 → 成功

亜藤 蘭介:汚染値7。
久遠仁:146+2D10 侵蝕
DoubleCross : (146+2D10) → 146+14[5,9] → 160

GM:侵蝕も上げておいてね
久遠仁:汚染値5>6
亜藤 蘭介:ひい
永良ゆづり:149+2d10
DoubleCross : (149+2D10) → 149+13[7,6] → 162

亜藤 蘭介:亜藤 蘭介の侵蝕率を2d10(→ 14)増加 (132 → 146)
永良ゆづり:汚染値は4。以上
穂村 姫乃:穂村 姫乃の侵蝕率を2d10(→ 14)増加 (130 → 144)
穂村 姫乃:汚染値は8まで上昇

北条サイカ:「ごめん、なさい……これ、は」
北条サイカ:「あたしにも、抑えられなく、てっ……」
GM:"サンディーヴァ"が自身の権能の半分を注ぎ、育て上げたるレネゲイドの大樹。
GM:生産の権能を持ち、計画の核たる北条サイカの肉体と融合した、最も強大なる一つ。
GM:緑坂市の半分、十数万人の人間の意識記憶に同時に干渉し、死人すらも擬似的に蘇らせる埒外のEXレネゲイド。
GM:物理的に結合・同化したこの少女ですらも、それを制御する事は叶わない。
GM:領域内の樹木を儘に操作する、"サンディーヴァ"の規格外の力があって初めて成立していた統制。
GM:その均衡が崩壊し、暴走を始めている。
永良ゆづり:「っ……束沙!」記憶の濁流に堪えながらも、彼女の元へと駆け寄る。
羽海束沙:反応はない。未だ負傷から回復しておらず、意識はない。
亜藤 蘭介:濁流のように流れ込む、許容量を越えた情報の渦に頭を抱えながら。歪み、崩壊していく世界を睨む。
亜藤 蘭介:「不味いぞ」
永良ゆづり:「(──術者を打倒し、領域送掌の影響からは回復しているが……)」
羽海束沙:だが、衝動の影響を受けてはいるのだろう。どこかうなされたように苦悶している事が、微かな吐息から分かる。
穂村 姫乃:「術師無しで存続できるような規模の代物ではないからの」
永良ゆづり:「く……」表情に焦りを隠せぬまま、羽海束沙の身体を背負う。
穂村 姫乃:「こうなってしまっては誰も代替できん。暴走だけでも食い止めるしかないが……」
久遠仁:「…………」意識が混濁しつつも、それを兜の外に出すことは無い。
久遠仁:「……君が気にすることじゃあない」
北条サイカ:「まだ、です。これだけじゃ……ない」
永良ゆづり:「……どういう、こと?」
北条サイカ:「この魄柱に仕掛けられた、最後の術式……」
北条サイカ:「夢界を以て、世界を、塗り替えるための……っ」
GM:それは、"サンディーヴァ"の最終目的を達成するための手段。
GM:本来であれば、北条サイカのジャーム化による能力の成熟を待って起動するはずだった現実改変機構。
GM:最も、少女はまだ「こちら側」にいる。……だからこそ。
北条サイカ:「っ、"来ます"……!」
GM:それが、不完全なままに起動して──
久遠仁:「……北条!」
久遠仁:咄嗟に、少女の掌を握り締める。血に滑る手でも離さぬよう、強く力を込めて。
北条サイカ:「離れて」と発しようとした微かな声が、かき消されて。
北条サイカ:二人の視線が交わる。今にも泣き出しそうな顔が映る。
GM:そうして、世界は暗転し。

◆Climax:2◆

GM:登場は久遠さんのみです。
GM:登場侵蝕はありません。汚染値を1上昇させてください。
久遠仁:汚染値6>7


GM:──砂嵐が走る。世界が切り取られ、変遷する。
GM:見覚えのない公園・夕陽の海辺・雪の降る坂道・荒涼とした砂漠。
GM:一秒ごと、継ぎ接ぎされたフィルムのように、君達の居る場所が移り変わっていく。
GM:その感覚に、君は覚えがあるかもしれない。
GM:"ビー"が何度も使用していた、退避領域の生成能力。
GM:それの、より大規模なものが。無差別に周囲を巻き込みながら発生している。
GM:形を変え続ける世界の中で、君が握り締めた手だけが
GM:二人が離れることのないように繋いでいる。
北条サイカ:「っ……! 早く、止めないと……」
北条サイカ:「いけない、のに……!」
北条サイカ:息を乱す。君達との戦闘を経て、大きく消耗した身体で
北条サイカ:かろうじて意識を繋ぎ止めながら、暴走する大樹の制御を試みている。
久遠仁:「落ち着くんだ、北条」
北条サイカ:「っ、だけど……!」
久遠仁:「焦るのは損だぜ……どんな時でもな」
久遠仁:身を屈めるようにして、兜越しに額をつける。
北条サイカ:「あ……」
久遠仁:「……俺に何か、出来ることはあるかな」
北条サイカ:兜越しに、君の眼をじっと見つめる。少しずつ、呼吸が落ち着いてくる。
北条サイカ:「それは……」
北条サイカ:目を伏せる。何度か視線を迷わせてから
北条サイカ:意を決したように、もう一度。君へと視線を合わせる。
北条サイカ:「……お願いが、あります」
久遠仁:「うん」
久遠仁:頷く。
久遠仁:「何だい」
北条サイカ:「っ……」
北条サイカ:「このままだと、夢界に巻き込まれていた人達が……この街が」
北条サイカ:「あたしを、助けに来てくれたみんなが」
北条サイカ:「何より、貴方が」
北条サイカ:「あたしの手で……あたしの力で、壊されてしまう……から」
北条サイカ:「……だから」
北条サイカ:「あたしを、殺してください」
北条サイカ:……ひどい頼みごとをしているのは、分かっている。この棋に及んで、「自分なんて」と口にするつもりはない。
北条サイカ:ずっと前に解き放った自分の分体──力を失い霧散した"ビー"の記憶に、先程の奔流の中で触れる事ができた。
北条サイカ:いいや、そうでなくとも。
北条サイカ:分かっている。この人が、どれほどあたしのことを大切に想ってくれているのか。
北条サイカ:あたしが今、どれほど残酷な事を口走っているのかも。
北条サイカ:だけど。
北条サイカ:「……分かるんです。あたしは、もう」
北条サイカ:「この状況じゃ、どうにもならないってこと」
久遠仁:「…………」
久遠仁:ゆっくりと手を伸ばす。北条の顔にそっと触れると、僅かに赤い血の跡が残る。
久遠仁:それから、むに、と頬を引っ張る。
北条サイカ:「ん、うぇ」
北条サイカ:ひどくすべらかな感触と共に、頬が引き伸ばされる。
久遠仁:「……怒るぞ、次に言ったら」
北条サイカ:「…………っ」
北条サイカ:「……酷なことを言ってるのは、分かってるつもりです。でも……」
北条サイカ:「あたしだって、貴方の事が大切なんです……!」
北条サイカ:「貴方のことを、道連れにしてまで」
北条サイカ:「救われたくなんて、ない……!」
GM:輪転する世界を背の中心。ひどく泣き崩れた顔で、君に向かって叫ぶ。
GM:溢れ出した涙の粒が、握り締めた君の手の甲に落ちて触れる。
GM:少女が話している今この瞬間にも、暴走する魄柱から流れ込む情報の波濤が
GM:君の精神を蝕み、飲み込まんとしている。
久遠仁:「違う」
久遠仁:意識を蝕みつつある情報の洪水の中でも、揺らぐことは無い。
久遠仁:今その視線はただ一つ、ただ一点。その少女──北条サイカだけを見つめている。
久遠仁:「諦めるのは、最低の選択だ」
久遠仁:「それは手段ですらない。責任から、戦うことから逃げてるだけだ」
久遠仁:「言っただろう」
久遠仁:「『仕方ない』なんてのは」
久遠仁:「最後までやり切った奴にしか、言う資格が無い言葉だ」
久遠仁:「君は今まで、ずっと逃げなかった。俺はそれを誰よりも知っている」
久遠仁:「もう一回。今度も、最後までやってみないか」
久遠仁:「……心配するな。もし駄目なら」
久遠仁:笑みを浮かべる。見えなくとも分かる。
久遠仁:「俺が責任取って、刺し違えてやる」
北条サイカ:「……ああ」
北条サイカ:「そっか。あたしは」
北条サイカ:「やっぱりまだ全然、半人前だったんだな」
北条サイカ:「どうやったら、貴方に傷を残さないで済むかって。その事ばかり考えてて」
北条サイカ:「一番当たり前の、大切なことを。見失ってた」
北条サイカ:どこか疲れの抜けたように、息を吐いて。笑う。
北条サイカ:「……"サンディーヴァ"に捕まって、この街をめちゃくちゃにしてしまったこと」
北条サイカ:「あたしを助けに来てくれたみんなに、酷い事を言って傷つけたこと」
北条サイカ:「ここまで頑張ってくれた貴方に……これから更にもう一つ、大きな苦労をかけてしまうこと」
北条サイカ:「あたしはその責任を、取らなくちゃいけないから」
北条サイカ:握り締めた手を、ぐいと引き寄せる。
北条サイカ:「ええ、決めました」
北条サイカ:「あたしは最後まで、自分の命を諦めない。だから」
北条サイカ:「──信じてます、先輩」
久遠仁:「……君に責任なんて、あるものかよ」
北条サイカ:「……どうかな。あたし、背負いたがりなんです。誰かさんに似たのかも」
久遠仁:「だが、ああ。北条がそうしたいなら、気が済むまで付き合ってやる」
久遠仁:「それに……」
久遠仁:もう一度、強く手を握り返して。
久遠仁:「行くんだろ?」
久遠仁:「旅行」
久遠仁:「楽しみにしてるんだぜ」
北条サイカ:「……ふふ。もちろん」
北条サイカ:「あたしだって、すっごく楽しみにしてますから」

GM:では、ここで最後の選択肢と判定について説明します。

・「願いを聞き入れる:北条サイカにとどめを刺す」
自動成功。北条サイカはジャーム化する事なく死亡します。世界の歪みは停止し、エンディングへと移行します。

・「助ける:魄柱結合切断」
<白兵>難易度150。
北条サイカに対するロイスを取得している場合、達成値+10。Sロイスであれば+20。
同時に「夢界汚染値」の点数分、達成値にマイナスの補正。
この判定は、判定後にタイタス一つを昇華する/または侵蝕値を+5D10する事で再度判定し、達成値を上乗せする事が可能。
成功した場合、北条サイカはジャーム化する事なく生存したまま世界の歪みは停止し、エンディングへ移行します。

GM:以上です。

久遠仁:固定ロイス WH/北条サイカ ○庇護/心配
久遠仁:Sロイスに指定します。
GM:OKです。
GM:判定をどうぞ。
久遠仁:白兵で判定
久遠仁:《コンセントレイト:ハヌマーン》+《一閃》
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を4増加 (146 → 150)
久遠仁:11DX7+7+20-7>=150
DoubleCross : (11DX7+20>=150) → 10[1,2,2,3,4,4,6,6,7,7,9]+10[4,5,7]+2[2]+20 → 42 → 失敗

久遠仁:穂村姫乃 ○尊敬/脅威
久遠仁:タイタス化・昇華して再度判定
GM:どうぞ。
久遠仁:11DX7+7+20-7+42>=150
DoubleCross : (11DX7+62>=150) → 10[1,2,3,3,4,4,5,9,9,9,10]+10[3,4,8,10]+10[6,8]+6[6]+62 → 98 → 失敗

久遠仁:永良ゆづり ○感謝/不安
久遠仁:タイタス化・昇華して再度判定
GM:どうぞ。
久遠仁:久遠仁の侵蝕率を8増加 (150 → 158)
久遠仁:11DX7+7+20-7+98
DoubleCross : (11DX7+118) → 10[1,1,2,3,5,5,7,7,8,8,10]+10[2,4,6,8,9]+3[1,3]+118 → 141

久遠仁:亜藤蘭介 ○連帯感/隔意
久遠仁:タイタス化・昇華して再度判定
GM:どうぞ。
久遠仁:11DX7+7+20-7+141
DoubleCross : (11DX7+161) → 10[1,3,3,3,4,5,7,7,7,7,9]+10[3,7,7,10,10]+10[1,3,10,10]+10[3,8]+10[9]+10[10]+10[9]+1[1]+161 → 232

GM:目標値を超過、判定成功です。
GM:演出に入ります。

久遠仁:風が吹く。
久遠仁:それは音速を遥かに超えた高速機動の余波。
久遠仁:荒れ狂う情報の波濤の中、限界を超えて加速する。
久遠仁:久遠の能力行使においては、思考速度も運動速度と呼応して加速し
久遠仁:それは流れ込む、認識せざるを得ない情報の総量も、指数関数的に増大することを意味している。
久遠仁:一秒が数年にも感じられる、極限まで圧縮された情報の洪水。
久遠仁:何度発狂してもおかしくないその中で意識を繋ぎ止めたのは、ここまでの道程で目にした、彼らの姿だった。
久遠仁:穂村姫乃の情を。
久遠仁:永良ゆづりの覚悟を。
久遠仁:亜藤蘭介の意思を見た。
久遠仁:そして、思ったのだ。
久遠仁:あの時の自分の決意は。
久遠仁:たとえ知られることは無くとも、誰かの為に──UGNとして戦うと決めた、あの想いは。
久遠仁:決して、間違いではなかったのだと。
久遠仁:彼らの戦いが、その姿が、もう一度確かめさせてくれた。
久遠仁:そして。
久遠仁:限りなく引き伸ばされた一瞬の中で、小さな少女の笑顔を見つめる。
久遠仁:それを最初に教えてくれた、彼女の為ならば。
久遠仁:この笑顔の為ならば。
久遠仁:──俺は、何度でも立ち上がれる。
久遠仁
久遠仁:黒い大樹が、散る。
久遠仁:幹から枝先まで千々に切り刻まれ、再生しようとする因子すらも全く同時に。
久遠仁:全てが灰のように散っていく。
久遠仁:「……これで」
久遠仁:「悪夢(ゆめ)は終わりだ」

GM:──砂嵐が、静まっていく。
GM:走馬灯の如くに移ろい捲られ続けていた世界が、停止して。
GM:気がつくと君達は……森の中に二人、立っている。
北条サイカ:離れることのないように、握り締めていた手の中には
北条サイカ:君のよく知る、桜色の髪の少女の。いつもと変わりない温度があって。
北条サイカ:「また……助けてもらっちゃいましたね。貴方に」
久遠仁:「……何度だって助けるさ」
久遠仁:彼女のその小さな掌が現実であると、確かめるように握り締めて。
久遠仁:「おかえり、北条」
北条サイカ:ふわり、と花のような笑顔を浮かべて。応じるように握り返す。
北条サイカ:「ただいま、先輩」

◆Backtrack◆

GM:Eロイスの内訳を公表します。

・"サンディーヴァ"
虚実崩壊(魄柱の作成)
虚実崩壊(魄柱を媒介した夢界の作成)
虚実崩壊(自身のレネゲイドを元にした夢骸体の作成)
虚実崩壊(《能力強奪》の使用回数制限無効化)
虚実崩壊×3(単一自我宇宙領域)

・魄柱・彩花
ファイトクラブ
超越活性:《深き傷痕》×2

・天城マコト
ファイトクラブ
不滅の妄執
超越活性:《燃える魂》×3

・水上ケイ
ファイトクラブ
不滅の妄執
超越活性:《深き傷痕》×3

・萩原カノン
ファイトクラブ
不滅の妄執
さらなる絶望×3

・桜崎ニア
ファイトクラブ
不滅の妄執
あり得ざる存在:《蝕む赤》
あり得ざる存在:《紅の刃》

・日下部ルリカ
ファイトクラブ
不滅の妄執
破壊神顕現

・魄柱×3
究極存在
虚実崩壊(他者精神干渉)
あり得ざる存在:復讐の刃

GM:合計41個です。振りたい人はどうぞ
久遠仁:41個!?!?
穂村 姫乃:41って何
永良ゆづり:41……
亜藤 蘭介:はじめてみた
久遠仁:ふ 振ります
GM:41は……40より1個多い数だよ!
GM:振りな!
久遠仁:158-41D10
DoubleCross : (158-41D10) → 158-224[7,7,4,9,10,2,7,2,10,5,10,7,5,6,7,5,4,8,2,1,4,3,7,4,7,2,1,10,5,2,2,9,6,2,7,4,6,2,8,5,10] → -66

永良ゆづり:162-41d10
DoubleCross : (162-41D10) → 162-209[2,8,9,1,5,2,4,6,2,9,9,10,5,1,10,5,3,2,10,1,4,3,7,7,1,4,5,4,2,5,5,5,2,3,4,9,10,10,6,4,5] → -47

穂村 姫乃:一応振っとくか……
穂村 姫乃:144-41d10
DoubleCross : (144-41D10) → 144-222[9,2,7,1,3,10,6,1,7,4,3,9,10,7,8,6,7,2,7,4,4,5,8,7,7,8,5,7,9,4,3,7,6,6,1,4,2,9,4,1,2] → -78

久遠仁:2倍振りするか……
亜藤 蘭介:146-41d10
DoubleCross : (146-41D10) → 146-227[7,5,5,4,4,6,6,2,3,5,2,9,5,5,9,8,7,2,9,4,10,6,3,7,7,7,5,1,3,10,5,9,2,5,9,4,2,8,5,6,6] → -81

久遠仁:-66-4D10
DoubleCross : (-66-4D10) → -66-25[6,5,4,10] → -91

久遠仁:3点です
亜藤 蘭介:今気づいたんですけど
穂村 姫乃:こっちも二倍振りで
亜藤 蘭介:ルルブにはマイナスの際の経験点書いてないんスね
穂村 姫乃:-78-6d10
DoubleCross : (-78-6D10) → -78-26[3,10,1,6,1,5] → -104

久遠仁:そうなんだ……
GM:普通にマイナスにはならないんじゃない?
GM:シナリオ10点、いつもの5点、Dロイス6点、Eロイス41点なので
永良ゆづり:倍振るロイスが……ない!
亜藤 蘭介:そうだが…
GM:62+侵蝕です
亜藤 蘭介:0と同じ2点でいいのかな…?
GM:あとSロイスあるなら5点
永良ゆづり:じゃあ……0%だから2点で……
GM:そうだけど2倍で触れば3点固定になるよ
GM:そっか倍振りできないんだ……
亜藤 蘭介:そうなの
亜藤 蘭介:なので64点! すごい! いただきます!
永良ゆづり:でも誤差じゃない?
永良ゆづり:64点~~
GM:まあ経験点使う機会もないしね
穂村 姫乃:私も64点!
久遠仁:侵蝕3点とSロイスで70点!
久遠仁:2倍振りしたら65点じゃない?
GM:穂村さんはそうね
GM:そしたら263/3で
穂村 姫乃:あ、そっか
GM:88点いただきます
永良ゆづり:もう定期試験の点数なんよ
GM:あっ
穂村 姫乃:高得点
GM:カノン要塞に出てきた機人の愚者の黄金数えてなかったかも
GM:まあいいか めんどくさいし……
GM:見なかったことにします
久遠仁:見ませんでした
亜藤 蘭介:機人くん ごめんな
GM:ともあれ全員帰還! よかった!
永良ゆづり:やった~~!!
亜藤 蘭介:ワイワイ!
穂村 姫乃:やったぜ
久遠仁:いぇ~い

◆Ending00:合同◆

GM:──事は決した。
GM:最終的な結果だけを見れば、緑坂市が受けた被害は予想を大きく下回った。
GM:魄柱に干渉された精神衝撃により、オーヴァード化する者こそ発生したものの
GM:"ヴァンノワール"内部に閉じ込められた市民被害者のうち、99.9%が死亡・覚醒する事なく無事を確認されている。
GM:戦闘痕跡の処理や夢界干渉を受けた被害者の療養・経過観察、情報記憶処理などによって、支部全体としては今なお多忙な日々が続いてはいるが
GM:戦闘員である君達の任務としては、全く完了したと言っていいだろう。
GM:すなわち、"ヴァンノワール"事件対策戦闘部隊としての役は御免となる。
GM:そして……君達のチームは元より即席の部隊であり、本来の緑坂の支部員は永良と羽海だけだ。
GM:であれば、別れの際に慰労会の一つも開いて置こうという慣習に倣い、この日
GM:支部の一室を貸りて、一時の歓談に興じていた。
羽海束沙:「それでは、皆さん。改めて、本当にお疲れ様でした」ややかしこまって、ジュースの入ったグラスを手に。
羽海束沙:「全員の無事の帰還に、乾杯を」
永良ゆづり:「……お疲れ様」からん、と小さくグラスを揺らす。
羽海束沙:「……あ。こういう役回りは、年長者に譲るべきだったかしら」いそいそとグラスに口をつけつつ。ふと思い出したように、穂村さんを見遣る。
穂村 姫乃:「いや。かしこまった挨拶なんぞ普段せんからの」
穂村 姫乃:「それに誰が音頭を取ろうと杯の中身が変わる訳で無し。気にすることでもないぞ」
久遠仁:「あれだけの戦いで全員こうして帰ってこられたのは、僥倖としか言いようがないなあ」緑茶を片手に。
亜藤 蘭介:こくりと頷いて、静かにグラスを掲げてから。
羽海束沙:「神といえば、儀式や格式を重んずるもの……という訳でもないのですね」
羽海束沙:「いえ……ここまでの付き合いで、分かっていた事ではありますが」
穂村 姫乃:「まあ格式重んじとるんだったらカラオケ行ったりせんじゃろ。知らんけど」
亜藤 蘭介:「残念ながら。ひとりの犠牲者も欠けることなく……とは、叶わなかったが」
亜藤 蘭介:「今。この場に居る全員が。こうして此処に立っていることは。この上なく……喜ばしい」
羽海束沙:「……ええ、本当に」
永良ゆづり:「…………ええ」オレンジジュースをちびちびすすっている。
羽海束沙:何となく、自身の腹部の辺りを触れる。"サンディーヴァ"の必殺の一撃を身に受けた傷も、数日間に及ぶ集中治療の甲斐あってほぼほぼ完治している。
久遠仁:「皆には何度も助けられた。改めて礼を言わせてくれ」
久遠仁:「お陰で、北条も無事に取り戻せた」
羽海束沙:医療班へ差し入れを手に御礼を述べに向かったのは、つい昨日の事だ。
永良ゆづり:「…………」そんな羽海さんの様子を、遠巻きからじっと眺めている。
永良ゆづり:「……そう、北条さんは、大丈夫なのかしら」
亜藤 蘭介:「お互い様だろう」
羽海束沙:ちら、と永良の方を見る。……あの件の以後、しばしば何か物言いあり気な視線を彼女が向けてきているのを感じているが。
羽海束沙:実際に何かを言われた訳ではないし、こちらから問い詰めることもしてはいない。
永良ゆづり:「…………」つい、と目を逸らす。
羽海束沙:……自分らしくないな、とは思う。
亜藤 蘭介:「ああ。……経過観察中……とは聞いたが」
穂村 姫乃:「そうそう。あれだけの死線をくぐったあとでは救ったも救われたももはや無粋じゃろ」
久遠仁:「うん、大事は無いそうだ」マスクの隙間からストローで茶を啜る。
久遠仁:「皆さんによろしく、と」
永良ゆづり:「(本当にマスクから吸ってる……)」
羽海束沙:「そうですか。それは……本当に、何より」
亜藤 蘭介:「彼女は、チーム一の功労者だ」
亜藤 蘭介:「その内。直に礼は言うが……それまでは。俺たちの分まで、しっかり彼女を支えて。労ってくれよ、久遠」
亜藤 蘭介:珍しく、僅かに微笑みながら。グラスの中の炭酸水を呷っている。
永良ゆづり:「……そうね。きっと、貴方が一番適任でしょう」
久遠仁:「うん? ああ、分かった。ちゃんと伝えておくよ」微妙なニュアンスを理解しないまま頷く。
穂村 姫乃:「……ま、アレじゃな。儂らの分まで功労者を労わってくるんじゃな」
穂村 姫乃:理解してないのをにやにやと笑いながらリンゴジュースを呷る。
羽海束沙:「……そうね。"本当に素晴らしい働きでした"、と伝えておいてください」
永良ゆづり:「そういえば。穂村さんはこの後どうするのかしら」
永良ゆづり:「緑坂市にそう長く滞在するわけではないのでしょう、聞いてる限り」
穂村 姫乃:「儂か?まあいつも通りじゃな。2,3日ほど滞在して、その後はまた別の街を目指すつもりじゃ」
久遠仁:「何、もうかい?慌ただしいな」
久遠仁:「これだけの激務だったんだ、少しはゆっくりしてもいいんじゃないかい」
羽海束沙:「別の街……って、行き先は決めているんですか?」
穂村 姫乃:「まあ主観で言えば数年いたようなもんじゃし。観光地でも巡り終えたらそれでよいと思ってな」
穂村 姫乃:「行先は決めとらんが、まあ歩いてるうちに決まるじゃろ。西から来たしそれ以外で選ぶ」
亜藤 蘭介:「気まぐれというか。何というか……」彼女らしいと言えば彼女らしいが。
久遠仁:「ははっ!風のように自由だな。羨ましいよ」
永良ゆづり:「大したバイタリティねぇ……」
穂村 姫乃:「じゃろ?これで数百年通しとるからな!」 誉め言葉にからからと笑って。
久遠仁:「例の神社の方にも、近い内に参拝させてもらうとするよ」
穂村 姫乃:「うむ。良いとこじゃぞ。ちと遠いし見る物少ないからレンタカー借りた方が良いじゃろうが」
永良ゆづり:「まぁ、また気が向いたら緑坂へ。生きてる内は歓迎するわ」
穂村 姫乃:「……実際な。儂が旅をしとる理由の一番は、これが最も多く人と縁を繋ぐ生き方だと思っとるからじゃ」
穂村 姫乃:「そして、この街では実に多くの良縁に恵まれた。あやつら然りお主ら然り」
亜藤 蘭介:「……何処かに、腰を落ち着けようとは?」
穂村 姫乃:「それでは未来の縁を棒に振るかもしれんじゃろ?」
穂村 姫乃:「それに今の時代便利じゃからな。こういうもののお陰で」 ひょいとスマホを取り出して。
亜藤 蘭介:「未来……ははっ。成程」そうか、と呟いて。
穂村 姫乃:「一期一会で縁が途切れてしまうことも随分少なくなった」
久遠仁:「俺より現代に適応してるかもしれんな……」
穂村 姫乃:「ともあれ、アレじゃ。お主らには縁も所縁も出来たし、この先もまた会う機会があるじゃろうて」
穂村 姫乃:「なんなら困りごとでも起きたときに呼ぶと良い。近くに居れば駆け付けよう」
久遠仁:「神の助けとは頼もしい限りだなあ」
永良ゆづり:「神様に電話が繋がるの、風流さは欠片もないけど頼りになるわね」
羽海束沙:「霊験の確かな事は、今度で思い知りましたからね」
久遠仁:「ああ、勿論俺もだ。何かあったら呼んでくれよ、皆。なるべく速く行くとするから」
永良ゆづり:「それは本当に速そう……」
亜藤 蘭介:「古代種である、貴女とは……我々は。歩む速度こそ違えど」
亜藤 蘭介:「また道が交わる日も、訪れましょう」
永良ゆづり:「……しかし、早々人の手も借りたいことなんて起きない……とは」
永良ゆづり:「絶対に言えないのが悲しい所ね」
亜藤 蘭介:「N市はいつでも」永良、羽海、久遠に視線をやって。
亜藤 蘭介:「人員募集中だ」
永良ゆづり:「こわ……」視線から遠ざかる様に、一歩後ずさる。
穂村 姫乃:「魔窟じゃからのう」
久遠仁:「こういう事件が毎日のように起きてるんだろう?全くとんでもないところだな」
羽海束沙:「年が明けても、そこは変わりないんですね……」
亜藤 蘭介:「問題は山積みだからな……実力を肌で知ったお前たちを手放すのは本当に惜しいが」
亜藤 蘭介:「支部長殿の機嫌を損ねるのは避けたい所だ」
永良ゆづり:「……緑坂市が完全に平和になったら」
永良ゆづり:「考えない……ことも、ないくらい、ね」
羽海束沙:「まあ、支部としては今度の件は借りを作ったようなものでしょうし」
羽海束沙:「そちらが大変な時には、可能な限り手を貸す……という判断をする事になると思うわ。ここの支部長は」
久遠仁:「俺は前向きに検討してみるかな……」腕組みをして考え込む。
永良ゆづり:「…………」嘆息。
亜藤 蘭介:「期待して待っていよう……」久遠に視線を移して。
羽海束沙:「……やっぱり心配?」
羽海束沙:「あの子がそういう街に居ることが」
羽海束沙:久遠さんの言葉を勝手に推量する。
久遠仁:「ん……まあ、そうさな」素直に頷く。
久遠仁:「何、またこういう事があった時、近くに居てやれた方が良いと思ってな」
羽海束沙:「それは……そうでしょうね、きっと」
羽海束沙:「組織としてのUGNは、世界を守るものですが」
羽海束沙:「個人として守りたいものは、それぞれの中にあるものですから」
永良ゆづり:「個人……」
穂村 姫乃:「なら、それこそ転属でもしてやれば良いじゃろ」
穂村 姫乃:「前向きに検討というのもそういうことなんじゃろうし。ここの支部長殿はなかなか話の分かる男に見えたぞ?」
永良ゆづり:「……"飯綱"支部長は、確かに信頼のおける上司だと思うけど」
永良ゆづり:「割と得体が知れないのよね」
久遠仁:「支部員の意見か……亜藤さんから見るとどうなんだい?結構一緒に居ただろう」
羽海束沙:「まあ……誤解されやすい人であるのは、分かるけれど」
亜藤 蘭介:「そうだな……」
亜藤 蘭介:「確かに、掴みどころの無い方だ。あの鉄面皮も。支部長たらんとする、意志の現れなのかも知れんが」
亜藤 蘭介:「しかし、俺たちなら。もう知っているだろう」
亜藤 蘭介:「あの人はこの街を、住人を、指揮下の人員を。誰よりも深く愛し、想っている」
亜藤 蘭介:「命を預けるには、十分だと思うがね」そう呟きながら。懐から取り出したペンを握り、メモ用紙にすらすらと己の電話番号を書いて。
亜藤 蘭介:久遠にそっと手渡して。「……その気があるのなら、連絡してくれ」
亜藤 蘭介:「ゆっくりと考えると良い。……二人でな」
永良ゆづり:「勿論、十分だとは。とは言え、随分と持ち上げたね……」
亜藤 蘭介:「……そうか?」永良の言葉に頬を掻きながら。
羽海束沙:「……ええ、私も」
羽海束沙:「支部長として能力、人格とも信頼できる人間……と」
羽海束沙:「言っていいかと、思っています」
久遠仁:「違いない…… ああ、ありがとう。亜藤さん」「よく考えておくよ」
羽海束沙:少し言葉に迷いつつ口にする。
永良ゆづり:「……羽海さんが、そう言うなら」
永良ゆづり:「そうなの、でしょう、ね」ごくり。とジュースを流し込む。
羽海束沙:「……」一瞬、呼び名が変わっている事に訝るような眼を向けるが。
羽海束沙:特に何かを言うでもなく目を逸らす。
羽海束沙:「……穂村さんは」
羽海束沙:「あと数日、この街に滞在しているんでしたよね」
穂村 姫乃:「そうじゃな。それがどうかしたか?」
羽海束沙:話題を還るように口にして。
羽海束沙:「何をして過ごすんです?観光?」
羽海束沙:「必要なら、案内もできると思いますが……」
穂村 姫乃:「そうじゃな……」
穂村 姫乃:「なら――」

◆Ending01:穂村姫乃◆

GM:---
GM:緑坂市南部 繁華街地区
GM:---
GM:土曜日の昼前。月は8月、世間では夏休みの最中。
GM:駅から数分の場所にある繁華街の景色は、既に事件以前の活気を取り戻していた。
GM:学生と思しき私服の集団、小さな子の手を握り歩く親子連れが、頬に汗をかきながら右に左にと行き交っている。
穂村 姫乃:その人込みを縫うように歩く、黒髪に金の瞳の人影。
穂村 姫乃:この暑さの中に居ながら汗をかく様子はなく、そのせいかどこか涼し気で浮世離れしたような空気を纏っている。
穂村 姫乃:季節に合った軽装とやたらと膨れた鞄。鞄に下げられた二匹のウサギのマスコットの横に、同じシリーズの缶バッジが付けられている。
穂村 姫乃:(結局、なーんも取れんかったの。ルリカのやつどうやってたんじゃろ)
穂村 姫乃:お札が数枚消えるほどクレーンゲームに時間を費やしてみたものの、例のクッションもマスコットも取ることは出来なかった。
穂村 姫乃:かといって手ぶらで帰るのもと近場に会ったガチャガチャを回して出てきたのが件の缶バッジである。
穂村 姫乃:(コツがあるというし次からはアレも練習してみるかの。コスパ悪いのが難点じゃけど)
穂村 姫乃:――数日間の滞在の中で、あの夢の世界でルリカと共に回った娯楽施設を再び回った。
穂村 姫乃:別段やることそのものとしては普段と変わりはない。フラフラと遊び歩いているだけだから。
穂村 姫乃:ただ、こうやって記憶をなぞっておくことが重要であると。穂村姫乃はこれまでの数百年を通してよく知っている。
穂村 姫乃:(というか、今思い返すと初プレイのルリカに完敗しとったんじゃよな……。次会うまでに、もう少しは上達しておくか)
穂村 姫乃:ゲームセンター。映画館。バーガーショップ。
穂村 姫乃:本来の何十倍も引き延ばされた時間は、それでもなお短く。二人で紡いだ思い出は多いとは言えない。
穂村 姫乃:それでもその濃さを薄れさせないために。これからもまた繰り返し彼女との時間をなぞるだろう。
穂村 姫乃:(映画の二度目もなかなか悪くなかったな。やっぱ金髪が一番じゃとは思うが)
穂村 姫乃:(続編が来年に公開らしいし、それもまた見てみるか。そちらにも出てくるんじゃったか、どうだったか)
穂村 姫乃:再会がいつになるかは分からない。きっと映画の続編には間に合わないし、もしかしたらあの作品自体が忘れ去られた後になるかもしれない。
穂村 姫乃:リズムゲームがゲームセンターから姿を消して、映画館が古くなって取り壊されて、ハンバーガーショップだって撤退して。
穂村 姫乃:この街を元に作られたあの夢界と、変わり果てた現のこの街との共通点が一つもなくなるほどの年月が経つかもしれない。
穂村 姫乃:それでも。
穂村 姫乃:(……次に会うときには、何が限定メニューになっとるんじゃろうな)
穂村 姫乃:カラオケに行こう。ボウリングも、ダーツも行こう。それでファミレスに行ってパフェを頼もう。
穂村 姫乃:マリトッツォは見つからなくなっているかもしれないが、きっとまた別のお菓子が流行ってるからそれも食べよう。
穂村 姫乃:それを待てるのが古代種だ。そう生まれたことを、幸福だと思っている。生まれてからずっと。
穂村 姫乃:(……楽しみじゃな)
穂村 姫乃:人込みを抜け、立ち並ぶ建物も疎らになる。緑坂市の範囲を抜けたのだ。
穂村 姫乃:この街に別れを告げ、また新たな街へと歩いていく。そうして旅は続いていく。
穂村 姫乃:新たな縁と、思い出と、小さな旅の連れ二匹を得て。今日も穂村姫乃は歩いていくのだ。

◆Ending02:亜藤蘭介◆

GM:---
GM:UGN緑坂市支部 戦闘演習場
GM:---
亜藤 蘭介:複数の照明に照らされた広い空間。
亜藤 蘭介:体育館ほどの広さのそこは、UGN戦闘員の訓練施設のひとつ。
亜藤 蘭介:多少の能力の使用程度では傷一つ付かないよう、壁や床に強化が施してある。
亜藤 蘭介:故に。
亜藤 蘭介:「(全力だ)」
亜藤 蘭介:相対する、張り付いた面のような笑みを浮かべる男を見据えて。
"飯綱":装いも、作ったような笑みも、君が知る今までと変わりない。
"飯綱":違うのは、一本の真剣を握り正眼に構えていること。
"飯綱":殺意のようなものは感じられないが、集中していることは分かる。
"飯綱":「合図は、必要でしょうか」
亜藤 蘭介:「………では」
亜藤 蘭介:実力差は歴然。胸を借りるつもりで挑ませて頂きますとは、事前に告げているものの。
亜藤 蘭介:「今から3つ、数えます故」
亜藤 蘭介:勝ちを譲るとまでは。
亜藤 蘭介:「3」
亜藤 蘭介:言っていない。
亜藤 蘭介:にい、と呟いた直後には。瞬き一つの間に能力を行使、分体と同時に床を踏み抜きながら前へ突進。
亜藤 蘭介:稚拙で姑息な、戦術とはおよそ呼べない手管だが。己に手段を選んでいるほどの手数は無い。
亜藤 蘭介:頂きに手を伸ばすためなら。使える武器は、何でも使わせて頂く。
亜藤 蘭介:左方から狙うは上段の頭部。
亜藤 蘭介:右方から狙うは下段の脚部。
亜藤 蘭介:かつて夢界世界にて囚われた己が。水上ケイとの模擬戦にて、止めとなり倒れ伏した二撃。
亜藤 蘭介:並の手合なら防ぐこと困難な二撃が、正眼の構えで待受けんとする男に迫る。
"飯綱":男は動かない。ただ、ぬるい風が吹いた。
"飯綱":亜藤の手首から力が抜ける。
"飯綱":痛みも出血もない故に、「斬られた」と気付くまでに間があった。
"飯綱":振り抜こうとした剣が、すっぽ抜けて壁へと飛んで行く。
亜藤 蘭介:「(何─────)」
"飯綱":男は動いていない。彼が構える刃の間合にも、まだ入っていない。
"飯綱":次いで、思い当たる。剣戟による鎌鼬。ハヌマーンの基本的なエフェクトの一つ。
"飯綱":刃先は動かず、一閃の光輝すら眼に映らない。錬度と神速を極めた一撃。
亜藤 蘭介:が、と声が漏れた刹那には、手首から先が消え、遅れて鈍い痛みと吹き出す血流。
"飯綱":「では、これで一本」出だしの見えない突き。刃先を君の本体の喉元へと突きつけている。
亜藤 蘭介:ぴたりと足を止め、己に突きつけられた切っ先を眼に、静かに息を吐いて。
亜藤 蘭介:「───────」
亜藤 蘭介:「参りました」
"飯綱":「後を引かないように斬りましたから」
"飯綱":「少し休めば、リザレクトが効くでしょう」
亜藤 蘭介:視線を斬られた箇所に向ければ、既にその兆候が始まっているのが分かる。
亜藤 蘭介:「む……」
亜藤 蘭介:「赤子の手を捻るとは、正にこの事でしょうな」
亜藤 蘭介:悔しげにぼそりと呟く。
"飯綱":「何、今のはフェアではないでしょう。一方的に手の内を知ったままの立ち会いでした」
"飯綱":だから少し休めばもう一試合ができるように斬った、と暗に含んだ言い方をして。
亜藤 蘭介:言外に含まれた意味を察するようにふっ、と吹き出して。
亜藤 蘭介:「……では、それまで。少しお話を」
亜藤 蘭介:「先日は、慰労会の開催のご許可と、支部内の一室を快くお貸し出し下さった心遣い」
"飯綱":「ふむ」血の付いていない刃を鞘に納めて。
亜藤 蘭介:「ありがとうございました」
"飯綱":「皆さんの働きを考えれば、それくらいの許可は全く妥当でしょう」
亜藤 蘭介:光栄です、と頭を下げながら。
亜藤 蘭介:「一度、関わったのであれば。後処理のお手伝いをも、と考えたのですが」
亜藤 蘭介:「また少しばかり、その……"所属"の方が、ですね」
亜藤 蘭介:言い出し辛そうに口を開閉させている。
"飯綱":「ええ、元よりそちらの多忙さは心得ております」
"飯綱":「それに、人手不足ゆえの職掌の曖昧化はUGNの常とはいえ」
"飯綱":「貴方ほどの実力のエージェントであれば、片付いた事件の後始末に充てる事は」
"飯綱":「些か勿体ないと言えるでしょう」
亜藤 蘭介:「それこそ勿体ないお言葉ですが……」僅かに照れくさそうに。
亜藤 蘭介:「……人手こそ、不足しているかもしれませんが」
亜藤 蘭介:「この支部には。確かな実力と、信頼に値するものを持った人員が何人もいらっしゃる」
亜藤 蘭介:「永良と、羽海には……何度も、窮地を救って頂きました」
"飯綱":「光栄な事です」
"飯綱":「それで……私個人の話を聞きたい、という事でしたか」
"飯綱":いつかした会話を、思い出すように口にして。
亜藤 蘭介:「ええ─────」
亜藤 蘭介:かつて交わした約束だ。
亜藤 蘭介:"俺が一本取れた、その暁には────"
亜藤 蘭介:他者を立ち入らせたくない領域は。当然個々人が抱えているものだが。
亜藤 蘭介:「ただ、どうしても」
亜藤 蘭介:「貴方の、その強さを支えている根幹が」
亜藤 蘭介:「知ってみたくなった故に」
"飯綱":「そう大層なお話ができるかは分かりませんが」
"飯綱":「貴方であれば、伝えても問題ないでしょう」
"飯綱":「……ただ、他の方の前では知らぬ体を通していただきたくはありますが」
"飯綱":「では、改めて名乗りを」
羽海朱士:「"飯綱"こと、羽海朱士と申します」
亜藤 蘭介:「…………はっ」
亜藤 蘭介:「羽海……?」
亜藤 蘭介:何を聞いても動じずまいとしていたが。
亜藤 蘭介:思わず、呆然とした表情を浮かべてしまう
羽海朱士:「ええ。"フェザリー・リード"……束沙は、私の娘です」
羽海朱士:「あの通り、真面目な子ですから」
羽海朱士:「なるべく、仕事の場で家族扱いはされたくないと」
亜藤 蘭介:「生真面目なきらいのある、彼女であれば……納得ですな」まじまじと彼の表情を見つめて。
羽海朱士:「それに、身内が居ることを伏せておく事も」
羽海朱士:「私のような立場に居ると、意味がありますから」
羽海朱士:何も指輪を着けていない左手を見せて言う。
亜藤 蘭介:少しだけ迷うような素振りを見せたあと。
亜藤 蘭介:「奥様は……此度の事件で、市内に?」
羽海朱士:「いえ。妻もエージェントですが、この支部の所属ではないので」
羽海朱士:「今度の件に巻き込まれていた訳ではありません。……ただ、まあ」
羽海朱士:「貴方にこの話をしたのは、改めて父親として御礼を申し上げたかったからでもあります」
羽海朱士:「……娘に手を貸していただき、ありがとうございました」
亜藤 蘭介:「──────」
亜藤 蘭介:父親として。死地に愛娘を向かわせる決断。それに至るまでの苦悩や覚悟は、己には決して伺い知れぬものではないが。
亜藤 蘭介:「こちらこそ、感謝を。朱士殿」
亜藤 蘭介:「羽海束沙無くして、俺たちが"サンディーヴァ"を打倒することは有り得無かった」
亜藤 蘭介:「"フェザリー・リード"は」
亜藤 蘭介:「UGNとして、個の戦士としても。一人前ですとも」
羽海朱士:「……ありがとうございます」
羽海朱士:「父として、誇らしいことです」
亜藤 蘭介:少しだけ、羨ましそうに微笑んで。
亜藤 蘭介:「……貴方の秘した真実を、この私に打ち明けて下さった覚悟に」
亜藤 蘭介:「報いなければ成りますまい」
亜藤 蘭介:再生の終わった手を握り、開いて。
亜藤 蘭介:「順序が逆転してしまいましたが。─────問題ない」
亜藤 蘭介:「もう一手。ご指南頂いても?」
羽海朱士:「ええ、勿論」
羽海朱士:「あと二時間は使えます。貴方が付き合えるなら、ですが」
亜藤 蘭介:「知りませんよ」
羽海朱士:そう言って、再び柄に手をかける。
亜藤 蘭介:「今日の予定を。全て捨てる事になるやも」
亜藤 蘭介:そう笑って。柄を握り、刃を上段に構える。
羽海朱士:「ふふふ」
羽海朱士:「もしもそれほどの物が見れるならば、悔いはありませんとも」
羽海朱士:「期待していますよ」
羽海朱士:こちらも先と動揺、動きのない正眼に構える。
亜藤 蘭介:一点の隙の無い構え。繰り出される剣戟は正に神速。
亜藤 蘭介:で、あれば。
亜藤 蘭介:「(あの仮面男に一矢報いるため。練った対策が流用出来るかもな)」
亜藤 蘭介:……この街に残された爪痕は大きい。
亜藤 蘭介:"サンディーヴァ"の被害を受けた人々が、当たり前のように笑える日々が来るのは、何時になるのかは、検討も付かないが。
亜藤 蘭介:二人の少女の背を思い出す。
亜藤 蘭介:こうあるべきという未来を見据え、踠きながら、然し懸命に手を取り合って。
亜藤 蘭介:その道を歩む彼女らが居る限り。この街は、どんな脅威が迫ろうと。それを跳ね除けてみせるだろう。
亜藤 蘭介:いつものように、レネゲイドを傍に集束させて。
亜藤 蘭介:分体を造り出す。
亜藤 蘭介:……"サンディーヴァ"が犯した罪は、決して許されることのないものだが。
亜藤 蘭介:一つだけ。礼を言いたかった。
亜藤 蘭介:「(久々に、陽紗の顔が─────)」
亜藤 蘭介:その時ふと。分体がごう、と。
亜藤 蘭介:金色に燃え上がって。
亜藤 蘭介:「………」
亜藤 蘭介:「はは……」
亜藤 蘭介:「ただいま」
亜藤 蘭介:困ったような表情のあと、男は。少年のような笑みを浮かべた。

◆Ending03:永良ゆづり◆

GM:---
GM:UGN緑坂市支部 事務棟裏
GM:---
GM:市内中腹の駅を拠点としている支部本体から、少し離れた場所に存在する事務棟の裏手。
GM:駅の利用者の目に付く事もない、UGNの私有地だ。たとえ少女が喫煙まがいの行為をしていたとして、一般人に通報され大事になる事もなければ
GM:支部員自体が通りがかることも、そうない。
羽海束沙:そこの壁に背を預けるようにして。近くの自販機で買った紙パックのストローを、ちびちびと吸っている。
羽海束沙:何か用があって足を向けた訳ではない。そもそも、何かがあるような場所ではない。
羽海束沙:ただ休むだけなら、支部付の休憩室でも使えばいいのだし。
羽海束沙:……らしくもない、と思う。ここ最近の自分は、色々と。
羽海束沙:彼女の態度に違和感を感じるなら、彼女と話をすればいいだけのことだろうに。
羽海束沙:(……暑いな)
羽海束沙:傾きかけた陽射しが直に当たる時間帯だった。頬にじわりと汗が伝う。
羽海束沙:真夏の頃を過ぎたとはいえ、まだ夏日の続く頃だ。
羽海束沙:大人しく冷房の効いた屋内に戻るべきだろうと。空になった紙パックを握りつぶして、踵を返し──
永良ゆづり:「──────っ、あ」
羽海束沙:「……え」
永良ゆづり:ハッチング帽を目深に被った、黒ジャージ姿の少女が。目を見開いて立っていた。
永良ゆづり:「つか……」咄嗟に零れた言葉を切り、繕う様に口元に手を寄せて。
永良ゆづり:「……羽海さん。なんで、こんな所に」
羽海束沙:「何、って……休憩時間、だから」微妙に的の外れた答えを返す。
羽海束沙:「そっちこそ、どうしたの」
永良ゆづり:「こんな暑い時期に態々、外に出て?」
永良ゆづり:「私は、その……知ってるでしょう、ココアシガレットのこと」
永良ゆづり:「いつまでも、貴女に迷惑掛けられないから……」
羽海束沙:「……」手の甲で頬の汗を拭って。
羽海束沙:「それは……」私の前でだけ吸うんじゃなかったの、と口にしかけて止め。
羽海束沙:「どういう心境の変化なの、かしら」
永良ゆづり:「変化……って、私はいつも通りだけ、ど」歯切れ悪く。まるで、踏み込まれることを恐れるかのように。
羽海束沙:「……遠慮しようとしてるように、見えるから」
羽海束沙:「名前の呼び方だって、意識して変えてるんでしょう」
永良ゆづり:「っ……事件以前の呼び方に、戻しただけじゃない」
羽海束沙:「……。別に、貴方が戻したくなっただけなら、いいけれど」
羽海束沙:「…………」
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:数秒、迷うように視線を揺らして。もう一度君を見る。
羽海束沙:「私……その」
羽海束沙:「貴方に、嫌われるような事をした……かしら」
永良ゆづり:「っ!……違う、束沙は悪くない!」はっとした様に。
羽海束沙:「……また、名前で呼んでくれた」
永良ゆづり:「あ……」
永良ゆづり:「……駄目だ。やっぱり、束沙を目の前にすると」
永良ゆづり:「何も取り繕えなくなっちゃう」
羽海束沙:「取り繕うって、何を……」
永良ゆづり:「……正直、私も。よく分からなくて」
永良ゆづり:「でも、そのままにしたら。貴女の信念を支えるなんて、到底出来ないと思ったから」
羽海束沙:「……どういう、こと?」
永良ゆづり:「少し距離を取れば、元の木阿弥に収まる見通しだったんだけど」
永良ゆづり:「全然、駄目だった。寧ろ、膨れ上がってる」
羽海束沙:「…………」
羽海束沙:「……それは、私が聞いたほうがいい話?」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「……きっと、幻滅させてしまうと思うけど」
羽海束沙:「……でも、隠しきれそうな事でもないんでしょう?」
羽海束沙:「きっと幻滅しない、とまで約束はできないけれど……」
羽海束沙:「苦しいなら、無理に一人で背負うこともないんじゃないかしら」
永良ゆづり:「それなら、それでいい。貴方の足枷になりたくないし」
永良ゆづり:「……"サンディーヴァ"の件で、彼女の領域送掌から私を庇ってくれたでしょう」
羽海束沙:「……ええ」
永良ゆづり:「結果、貴女は再起不能になり。何とか残りの私達で打倒することが出来たけど」
永良ゆづり:「"サンディーヴァ"を倒した後も。夢界領域が跡形もなく消え去った後も」
永良ゆづり:「集中治療を受けて、回復した貴女を見るまで。ずっと……怖かった」
羽海束沙:「……ごめんなさい」
羽海束沙:「心配をかけてしまった事は……悪かったわ」
永良ゆづり:「……だから、悪いのは束沙じゃないって」
羽海束沙:「それは……今でも、あれが間違った判断だったとは思っていないけれど」
羽海束沙:「でも、心配されるだけの真似をした事は事実だし」
永良ゆづり:「そう、束沙は正しいことをした。納得だってしたつもりだった」
永良ゆづり:「あの戦闘では、貴女との約束があったから何とか持ちこたえられたけれど」
永良ゆづり:「……今は、駄目」
永良ゆづり:「貴女が私の前から消えてしまう可能性を、許容できない」
羽海束沙:「それは……」
羽海束沙:「私に戦って欲しくない、ということ?」
永良ゆづり:踏み込んだ問から逃れようと、取り繕う言葉を探すが。
永良ゆづり:「……そう」観念したように微かな声色で。
永良ゆづり:「勿論、貴女が強いことも。その想いを簡単に歪められないことだって承知している」
永良ゆづり:「でも、どうしても、考えと気持ちがズレて、戻せない」
羽海束沙:「……貴方」
羽海束沙:ふっと、どこか目を細めるように笑って。
羽海束沙:「こんな場所にいるには、優しすぎるみたい」
羽海束沙:「私は、どうしても……心のどこかで、納得してしまうから」
羽海束沙:「大切なひとが、戦いの中で傷付いてしまうことにも」
羽海束沙:「……いつか、斃れるかもしれない事にも」
永良ゆづり:「……メッキが剝がれてしまったのかも」
永良ゆづり:「私には。人の死を背負うだけの資格も、貴女に並び立つだけの器も──」
羽海束沙:「だから、さ」
羽海束沙:「無理にここにいなくても、良いと思う」
羽海束沙:「……資格、なんて言うつもりはないけれど」
羽海束沙:「過去の罪や、私との約束が」
羽海束沙:「貴方を縛って、苦しめてしまうくらいなら」
羽海束沙:「そんな生き方を、させてしまうくらいなら」
羽海束沙:「無理しなくていい、って……私は、そう思う」
羽海束沙:「言ったでしょう。私も」
羽海束沙:「貴方に、無理に傷付いて欲しくない……から」
永良ゆづり:「……この話をしたら」
永良ゆづり:「きっと、貴女はそう言うと思った」
永良ゆづり:「UGNから遠ざけることで、苦しみから逃がしてあげようって」
永良ゆづり:「でも、違うんだよ」
永良ゆづり:「この胸の苦しみの先に居るのは────貴女だけなんだ」
羽海束沙:「え……」
羽海束沙:その言葉の意味が呑み込めないという様子で、目を見開く。
永良ゆづり:「たとえ私が戦いから離れて日常に戻ったところで、貴女が戦い続けるのなら」
永良ゆづり:「一時たりとも、心の苛みが止むことはないと思う」
羽海束沙:「ど、どうして……?」
羽海束沙:「私だけが、そんなに……え……?」
永良ゆづり:「分かんないよ!!」
羽海束沙:「……っ」
永良ゆづり:「分かってたら、こんな、自分でも意味の分からない振る舞いなんかしない!」
永良ゆづり:普段の永良からは想像も付かない程に、堰を切って声を荒げる。
永良ゆづり:「貴女の夢を叶えたい!応援したい!支えたい!」
永良ゆづり:「でも、傷ついてほしくない!離れてほしくない!」
羽海束沙:「ご、ごめんっ……」
永良ゆづり:「……心配させたことで、貴女に、謝ってほしくなんか、ない」
永良ゆづり:眼鏡の内に堪り込んだ水が、頬を伝って零れ落ちる。
永良ゆづり:「……教えて、よ」
永良ゆづり:「何で、貴女のことで。こんな風に、なっちゃうの」
羽海束沙:「わ……私だって、分からない……」
羽海束沙:「……だって、貴方の気持ちなんだもの」
羽海束沙:「きっと……貴方が、見つけ出して……名前を付けるしか」
羽海束沙:「他にないんだと……思う」
永良ゆづり:「……はは。束沙でも、分からないことあるんだ」
羽海束沙:「分からない事だらけだよ」
羽海束沙:「人よりちょっと、多く知ってるだけ」
羽海束沙:「だから……だから」
羽海束沙:「……その、ああ言った矢先だけど」
羽海束沙:「もうしばらく、近くにいる訳には……いかない、かしら」
永良ゆづり:「……どういう、こと?」
羽海束沙:「だって……そんな風な貴方を、放っておけないし」
羽海束沙:「それに……私も、今」
羽海束沙:「貴方の言葉を聞いて……貴方と離れたくないって、思ってしまった……から」
永良ゆづり:「……っ!」
永良ゆづり:「何よ、それ。意味が分からないんだけど」
羽海束沙:「だって……私の近くにいても、そうでなくても」
羽海束沙:「貴方は、傷付いてしまうんでしょう」
永良ゆづり:「……多分」帽子を目深に直し、表情を隠す。
羽海束沙:「だったら、傍に居てくれたほうが」
羽海束沙:「何とかできる事もある……かも、しれないし……」
永良ゆづり:一歩、踏み込んで。
羽海束沙:一歩分近づいた目を、逸らさず見つめ返す。
永良ゆづり:視線を意に介さない。二歩、三歩と、彼女の傍へ。
永良ゆづり:「……貴女も、私も分からない、感情のこと」
永良ゆづり:「少しだけ、分かった気がする」
羽海束沙:「そう、なの……?」
永良ゆづり:「気がするだけ。でも────」
永良ゆづり:彼女の肩口に顔を寄せて。真正面から抱え込むように、彼女の背中へ手を回す。
永良ゆづり:「貴女は、きっと私を心配してくれただけでしょうけど」
永良ゆづり:「"離れたくない"って、貴女の口から漏れた時」
永良ゆづり:「どうしようもなく、嬉しかった」
羽海束沙:「……あ」
羽海束沙:一瞬、目を見開き硬直して。
羽海束沙:「わ、私も……!その」
羽海束沙:「貴方は、幻滅するかも知れないと言ったけれど」
羽海束沙:「貴方が、私を大切に想ってくれてる事は」
羽海束沙:「嬉しいと、思った」
永良ゆづり:「……っ」表情は、君から見えない。けれど、背中に触れる手が少しだけ震えた。
永良ゆづり:「そっ、かぁ」
永良ゆづり:「……貴女に話して、良かった」
羽海束沙:「……こっちこそ」
羽海束沙:「話してくれて、ありがとう」
永良ゆづり:「でも、一つだけ。言い返そうかな」
羽海束沙:「何……?」
永良ゆづり:「私の事を、何とかできるかもって。貴女は言ったけど」
永良ゆづり:「私だって、貴女の事を何とかしてみせる」
永良ゆづり:「貴女が傷つくのはやだけど、そのリスクを少しでも減らしたいなら」
永良ゆづり:「その役目は私がやる」
羽海束沙:「……うん。頼りにしてる」
永良ゆづり:寄せていた手を外して、ゆっくりと向き直る。
永良ゆづり:「やっぱり、敵わないなぁ」
羽海束沙:「……負かしたつもりはないんだけれど」
永良ゆづり:ポケットから、紺色の小さな箱を取り出し。
永良ゆづり:指ほどの大きさの白い棒を摘まんで、口に咥える。
永良ゆづり
永良ゆづり:貴女を監視するための方便として使った、ココアシガレット。
永良ゆづり:私が初めて"遊び"に興じたのは、オーヴァードに目覚めて間もない子供の頃。
永良ゆづり:最初は、小さな白煙を作り出すだけの弱々しいものだった。
永良ゆづり:周囲の誰もが持ちえない特別な能力に、特別感を抱いた幼い私は、
永良ゆづり:ココアシガレットで喫煙を偽装し、友人達に見せびらかした。
永良ゆづり:子供達も、大人達も。おもちゃか何かで作り出したのだと、気にも留めなかったが。
永良ゆづり:"専門家"であった彼ら──FHの連中は、直ぐにソレだと気付いたのだろう。
永良ゆづり
永良ゆづり:後から聞いた話だが、児童オーヴァードであれば誰でも良かったらしい。
永良ゆづり:強制的なR侵蝕の深化による、無差別テロ兵器としての運用を想定した投薬実験。
永良ゆづり:私の様な子供は、衝動の暴走を容易に誘導させやすい恰好のモルモットだったそうだ。
永良ゆづり:親族を人質に取り、薬を飲ませた上で。集めた子供達に連中はこう言い放った。
永良ゆづり:"沢山の人を殺せ。一番多く殺した者の人質だけを解放する"と。
永良ゆづり:私を含めて5人の子供が同時に投入され、ジャーム化を免れたのは私だけだった。
永良ゆづり
永良ゆづり:──結果、衝動の赴くままに私が奪った命は。
永良ゆづり:駅構内に居た294名の一般人。鎮圧に駆け付けた4名のUGN構成員。
永良ゆづり:そして。それだけの罪を犯してなお、救えなかった両親と妹。
永良ゆづり
永良ゆづり:事件以来、"遊び"をすると手が震えるようになった。
永良ゆづり:膨れ上がった猜疑心が。淀み切った罪悪感が。自身を苛み、締め付けるから。
永良ゆづり:私はそれを戒めだと考えた。
永良ゆづり:もう二度と、背負いきれぬ罪を生まないように。自らに打ち付けた楔として。
永良ゆづり:チルドレンとしてUGNに配属されて以降も、人目を避けてずっと繰り返した。
永良ゆづり:贖罪として人の死を背負うため、訓練と任務に明け暮れた私の権能は、日を追うごとに強度を増した。
永良ゆづり:いつしか、当時私を捕らえたFHの連中など、余裕で返り討ちできるほどに。
永良ゆづり:それでも、楔の痛みが消えることはなかった。
永良ゆづり
永良ゆづり:──そんな時。私の前に現れた、馬鹿真面目な同僚。
永良ゆづり:貴女を監視するため。ひいては、貴女に纏わりつく死を請け負って背負うために。
永良ゆづり:咄嗟に思いついた言い訳でしかなかった、付き合いの"遊び"だったけれど。
永良ゆづり:果たして、いつからだっただろうか。
永良ゆづり:戒めと苦痛でしかなかった"遊び"が、待ち遠しい時間に変わったのは──
永良ゆづり
永良ゆづり:「……いいや。ずっと、負けてる」
永良ゆづり:シガレットの先端から、煙が真っすぐに立ち昇っていく。

◆Ending04:久遠仁◆

GM:---
GM:1ヶ月後 関東地方某所 温泉旅館
GM:---
GM:事件の事が一通り落ち着いた後。
GM:君達二人が旅行先として向かったのは、都心から電車で数時間の山間にある、静かな温泉街だ。
GM:時刻は早朝。夏場とはいえまだ日も昇りきらず、ベランダには涼しい風が吹いている。
北条サイカ:白い頬を火照らせた浴衣姿の少女が、がらりとそのガラス戸を開けて姿を見せる。
北条サイカ:「あ、先輩。もう起きてらしたんですね」
久遠仁:広縁の小さな椅子に腰掛けて、外を眺めていた。そちらに目を向けて。
久遠仁:「……おはよう、北条」
北条サイカ:湿った前髪を指で繰り、少し整えてから。隣の椅子に腰掛ける。
北条サイカ:「へへ、おはようございますっ」
久遠仁:兜を外した素顔で大きな欠伸をする。少し乱れた浴衣から、鍛えられた胸元が覗いている。
久遠仁:「起きたら居ないから驚いたよ」
久遠仁:「一番風呂?」
北条サイカ:「ええ、開く時間を待って浸かってきました」
北条サイカ:「極楽でしたね~。こういう時間を過ごせるなら、いくらでも早起きできるってもんです」
久遠仁:「折角の休みくらい、ゆっくり寝ているのもいいと思うがね」笑って。
北条サイカ:「そういう先輩だって早起きしてるじゃないですかぁ」
北条サイカ:「よく眠れてます?」
北条サイカ:少し首を傾げて、覗き込むように。やや眠たげな君の目を見る。
久遠仁:「快眠だよ。何せマスクを外しているとずっと楽でね」肩を竦める。
久遠仁:「君は朝から元気だな……」
北条サイカ:「でしょうね! もっと便利に取り外せるようになればいいのに」
北条サイカ:「熱いお湯のおかげで目が冴えちゃいまして」
北条サイカ:「これは多分、夕方頃にどっと眠気が来るやつですね」
久遠仁:「はは、帰りは寝ててもいいぞ」
久遠仁:「……しかし、思えば北条とこんな風に過ごすのも珍しいというか、随分久し振りじゃないか?」
久遠仁:「会う時も殆ど、任務や訓練ばかりだったからな」
北条サイカ:「へへ、じゃあお言葉に甘えるかも……ええ、ほんとに」
北条サイカ:「完全なプライベートで会うの、どれくらいぶりでしょ……あたしの卒業式の時くらい?」
久遠仁:「お互い忙しかったからなあ」
久遠仁:「卒業式か……」
久遠仁:はたと何か考えるようにして。
北条サイカ:「ですねえ。あたしは支部が支部だったし……先輩は近くなら大抵ぱっと飛んで行けるから、何かと呼ばれちゃうし」
北条サイカ:「ん、どうかしました?」
久遠仁:「……いや、何」
久遠仁:「北条、もう進路は決まってるのか?」
久遠仁:「何か夢はあるのかい」
久遠仁:「将来の夢」
北条サイカ:「進路としては、このままUGNを続けようと思っていますけど」
北条サイカ:「夢、ですか。んー……」
北条サイカ:少し、口元に指を当てて考え込み。
北条サイカ:「……家族、かなあ」
久遠仁:「家族?」
北条サイカ:「その……やっぱり、自分の家庭を持ちたいかなあって」
北条サイカ:「や、その。今の同僚のみんなにも、支部長にも……もちろん、先輩にも。家族同然に良くしてもらってはいるんですけどっ」
北条サイカ:「……今回の事件で。お父さんとお母さんの……忘れていた事も、いろいろ思い出して」
北条サイカ:「あたしは……自分で思ってたよりもずっと、想われてたんだなって……思い出した、から」
久遠仁:「へえ!いいじゃないか」大きく頷いて
久遠仁:「うん。素敵な夢だな」
久遠仁:「結婚式をやる時は呼んでくれよな。バージンロードのエスコート役が居なかったら、俺がやってもいい」
北条サイカ:「…………」
北条サイカ:「……先輩は、やっぱり」
北条サイカ:『そういうお相手とか、いるんですか?』と口にしそうになって。止める。
北条サイカ:「……なんでもないです」
北条サイカ:不自然な間があって、目を逸らす。
久遠仁:「……ん?」小首を傾げる。
久遠仁:「何だい、北条」
北条サイカ:だって、この流れでそれを訊ねてしまったら……なんだか、そういう対象として意識してるみたいで。
北条サイカ:そりゃ……先輩の事は好意的に思ってますし、尊敬してますし、家族みたいに大切な人なのは本当ですけど。
北条サイカ:断じて、そういう対象ではないし……そういう浮ついた態度を持ち込むのは、失礼だと思うし……。
北条サイカ:「なんでもないですってばっ」
久遠仁:「絶対何でもなくないだろうに」困ったように笑う。
北条サイカ:「……むー」
北条サイカ:この人はどこまで見透かして言ってるんだろうか、とか。
北条サイカ:そういえばハヌマーンには声色から感情を読み取る能力に目覚める場合があるんだっけ、とか思いながら。両手で自分の頬をぺしぺしと撫でる。
久遠仁:「もう予定はあるのかい?」
北条サイカ:「全然、さっぱりです」
北条サイカ:「いや、まあ……告白とかそういうのは、時々されるんですけど」
久遠仁:「へえ!モテるんだな、北条」
北条サイカ:「……正直、あたしはそういうの、まだよく分かんなくて」
北条サイカ:「何を返せるかも分かんないから、受けるのも相手に申し訳ないかな……とか」
北条サイカ:「そんな風に、思っちゃって」
久遠仁:「まあ、焦ることでもないだろうさ」
久遠仁:「俺が13の頃なんて、そんな難しい事、これっぽっちも考えてなかったぜ」
北条サイカ:「……どんな事考えてたんですか?」
久遠仁:「部活の事とか、来週の漫画の事とか?」
久遠仁:「まだオーヴァードでもなかったしな。阿呆そのものだったぞ」
北条サイカ:「あ、普通に子供だ……」
北条サイカ:「へええ……先輩にもそんな時代あったんですねえ」
北条サイカ:何やら嬉しそうににやにやとする。
久遠仁:「そりゃあそうだろう。人のことを何だと思ってるんだい」
北条サイカ:「やあ、だって……あたしと出会った時には、もう今みたいな感じでしたし」
久遠仁:「いやァ、5年前だろう?結構変わったと思うがね」
北条サイカ:「先輩のそういう部分、あんまり見せてもらえたことなかったですから」
北条サイカ:「え~、でもずっとあたしに対してはなんか……大人っていうか、保護者っていうか」
久遠仁:「そりゃ、8歳の目から見れば凄く大人に見えたと思うがなあ。ははっ」
久遠仁:「人間自然に変わっていくものだろう。価値観だとか、考え方だとか」
北条サイカ:「んん。まあ……それは、そうかも」
久遠仁:「まあ、だからって訳じゃないが……そう悩まなくとも、いい相手ならいずれきっと見つかるさ」
久遠仁:「北条はいい子だし、可愛いからな」
北条サイカ:「んんっ」
北条サイカ:「か、可愛いって……」
北条サイカ:「あ、いえ。分かってますよ、あれですよね……目に入れても痛くないとか、そういう」
北条サイカ:弁明するような口調で両手をぶんぶんと振る。
久遠仁:「ん?」目を瞬く。
久遠仁:「何だ、可愛くないと思ってたのか?」
北条サイカ:「え?……あ、え」
北条サイカ:「や。そういう訳では……ないですけど……」
北条サイカ:自惚れとかなく、客観的に。自分は容姿が整っているとは思っているし。
北条サイカ:「……先輩があたしのことそう思ってたのは」
北条サイカ:「ちょっとだけ、びっくりしたかも」
久遠仁:「んー? いやあ……」まじまじと顔を見て。
北条サイカ:その視線を受けて、恥じらうように浴衣の袖で口元を隠す。耳が赤くなっている。
久遠仁:「……可愛いだろ?」平然と言う。
久遠仁:「やや贔屓目は入ってるかもしれんが……」
北条サイカ:「…………」
北条サイカ:「……あ」
北条サイカ:「ありがとうございます…………」
北条サイカ:弱々しい声で、吐き出すように言う。
北条サイカ:「……あの」
北条サイカ:振り切るようにかぶりを振って、君の方へと向き直り。
北条サイカ:「先輩が、あたしのこと大切にしてくれる理由は」
北条サイカ:「"ビー"の時の記憶で、教えてもらったと思うんですけど」
北条サイカ:「あたしの方の理由は、まだ言ってなかったと……思って」
北条サイカ:言葉を切る。まだ薄暗い空を見上げる。
久遠仁:「……うん?」
久遠仁:まだよく分かっていないながらも、姿勢を正して向き直る。
北条サイカ:「……許してあげたかったんです」
北条サイカ:「あの日、あたしに『恨んでくれて良い』と言った貴方に」
北条サイカ:「『俺が間に合わなかった』って、自分から責任を引き受けようとした貴方に」
北条サイカ:「あの日のあたしは……ちゃんと、言えなかったから」
北条サイカ:そっと、安心させるように君の手を握って。君の目を見る。
北条サイカ:「大丈夫です」
北条サイカ:「貴方のせいじゃ、ないです」
北条サイカ:「あの時の貴方は、できるだけの事を尽くした。だから……」
北条サイカ:「どうか、気にしないでください」
北条サイカ:ふわりと、花のように微笑みかける。
久遠仁:「…………」
久遠仁:「……そうか……」
久遠仁:深く、ゆっくりと息を吐き。静かに目を閉じる。
久遠仁:今でも、後悔と慙愧が絶えることは無い。
久遠仁:自分がもっと強ければ。そう思わないことはない。
久遠仁:“サンディーヴァ”のことにしても、そうだ。
久遠仁:出会った時点で手遅れだったのだろうか。もっと以前、“アモーガ”セルの存在を突き止め、“ヴィローシャナ”を止めることが出来ていたなら。
久遠仁:このような悲劇が起きることも、無かったのではないか。
久遠仁:世に悪の芽が尽きることは無い。UGNは常に後手に回り続ける。考えても詮無い事ことだと、分かってはいても。
久遠仁:どうしても、己の無力を、救えなかったもののことを考えてしまう。
久遠仁:……だが、それでも。
久遠仁:彼女のその笑み。その言葉は、きっと間違いなどではないだろうと思った。
久遠仁:それが自分にとって、何よりも救いだと思えて。
久遠仁:本当は、誰かにそう言って貰えるのを、ずっと望んでいたのかもしれないと思った。
久遠仁:「……ありがとう、北条」
北条サイカ:「……ふふ。こちらこそ、です」
久遠仁:僅かに頭を垂れる。その様は、苦難の旅経た巡礼の騎士めいて。だがその表情を隠す兜は、今は無い。
久遠仁:夜明け前の薄明の中、己のそれよりもずっと小さい、重ねられた掌を見つめる。
久遠仁:……あの日自分は、賽を振ったのだと思う。
久遠仁:そして恐らく、“メルクリカル・スカイ”──日下部ルリカも。
久遠仁:絶望の底、既に地獄にある人間は、そこから救い出された時に何を想うのだろう。
久遠仁:或いはそれは当人にとっては救いなどではなく、果てしなく続く苦難の道程を、更に引き延ばしたに過ぎないのかもしれない。
久遠仁:地獄の淵から這い出て、桜崎ニアは──“サンディーヴァ”は、自らの在り方を地獄そのものと化した。
久遠仁:では、北条サイカは?
久遠仁:己の行動が齎す結果は、誰にも予測など出来ない。
久遠仁:未来は都合の良い夢幻などではなく、常に霧の中を揺蕩っている。
久遠仁:齎されるものは、避けようのない災禍かもしれない。
久遠仁:答えはまだ出ていない。分かるのはずっと先のことなのかもしれない。
久遠仁:けれど、少なくとも。今の自分にとっては。
久遠仁:彼女のその掌の温もりが、他に代えようのない福音であり。
久遠仁:希望であり、未来であり。唯一つ信じるべき、真実だった。

GM:人の生きている限り。世に悲劇の尽きない限り。
GM:きっと誰しもが、「もしもこうだったら」と夢を見る。
GM:けれど、夢は夢だ。一夜限りの慰めでしかない。
GM:それと共に未来を歩む事は、決して叶わない。
GM:故に……本当の救いがあるとすれば、それは
GM:夢幻の甘美に溺れることなく、悲劇が齎す痛みに屈することなく
GM:未来を見て、今を生きる人の中にこそあるのだろう。

GM:……東の空に、新たな陽が昇り。二人の影を照らす。
GM:長い夢の刻が終わり、次なる一日が訪れる。

GM:Double Cross the 3rd Edition
GM:「夢幻災禍のサンディーヴァ」
GM:END