ユダの接吻
GM:すきゃっと
※「ダブルクロスThe 3rd Edition」は、有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチの著作物です。
キャラシート
PC1:"スモークスタック"永良ゆづり(キャラシート) PL:ひなた
PC3:"フェザリー・リード"羽海束沙(キャラシート) PL:いちま
PC4:"クイーン・オブ・ローゼス"シキ(キャラシート) PL:ヤヒロギンジ
目次
・プリプレイ
・オープニング
・ミドルフェイズ
・クライマックスフェイズ
・エンディングフェイズ
プリプレイ
GM:というわけで早速セッションを始めていきましょう!
GM:まずは自己紹介から!
GM:名前を呼ばれたらキャラシを貼って元気よく自己紹介してください
GM:まずはPC1!永良ゆづりさん!
永良ゆづり:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYr7ychQQM
永良ゆづり:はーい。永良ゆづり(えいら-)。高校生の東京近郊・緑坂市支部UGNチルドレンです。
永良ゆづり:性格は温厚で情に厚く誠実と公正さを重んじますが、
永良ゆづり:初対面の人には塩対応と見た目の胡散臭さで感情を覆い隠します。
永良ゆづり:幼少期は家族を人質に取られ、やむを得ずFHの大規模テロ活動に加担したりしてましたが
永良ゆづり:現在はUGNに引き取られ、色々あってレネゲイドが齎す不条理な世界の変革を目指しつつ任務に勤しんでいます。
GM:色々あったんだなあ……
永良ゆづり:色々あった。35コマくらいの物量が……
永良ゆづり:レネゲイドに反応して自然発火する灰煙の生成・操作能力を持ってます。あと暗器で白兵っぽい立ち回りします。
永良ゆづり:また、自身が信頼に値する人間・品物の保有するレネゲイドに限り、浸透することでレネゲイド能力を爆発的に強化させる特性も持っています。
永良ゆづり:データはユーティリティガン積みハヌサラ白兵。
永良ゆづり:ロイス管理、火力支援、バディムと卑しく役目を稼ぎます。
永良ゆづり:以上、よろしくお願いします~~。
GM:器用万能~
GM:ありがとうございます そんな永良さんのハンドアウトはこちら!
ハンドアウト
永良ゆづり
シナリオロイス:羽海束沙
君は同僚である羽海束沙と二人で、キスしないと出られない部屋に閉じ込められてしまった。
一体この部屋を出るにはどうしたらよいのだろうか。謎めいた密室からの脱出劇が幕を開ける……
永良ゆづり:何?
永良ゆづり:欲望を隠すことに一切の躊躇いがない
GM:間違えました こっちです
ハンドアウト
永良ゆづり
シナリオロイス:ブレイドブラッド
君は元FH所属のUGNチルドレンだ。
癒えぬ傷を抱えて生きる君のもとに、過去からの来訪者が姿を現す。
“アークティック・ローゼズ”セル、“ブレイドブラッド”。
かつて君が所属していたセルのエージェント、即ち君の後輩だ。
“アークティック・ローゼズは健在だったのだ。“ブレイドブラッド”は君にある言葉を残し、姿を消す。
GM:なんか知らん後輩が出ます
永良ゆづり:後輩、いたんだ……知らなかった……
GM:先輩として頑張ってくださいね
永良ゆづり:そのセルに家族を奪われてるんですが……?
永良ゆづり:頑張ります
GM:よろしくお願いします ではお次!
GM:PC2の七戸瀬月夜さん!自己紹介をお願いします。
七戸瀬月夜:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY6ITL-AMM
七戸瀬月夜:私の名前は七戸瀬月夜。ななとせつきよと読みます。「なな」と「とせ」を別々に変換すれば変換できます。
GM:ほんとうだ
七戸瀬月夜:もちろん非実在名字で、その理由は特殊なFHセル「七戸瀬家」の娘として育てられたから。
七戸瀬月夜:よそからオーヴァードをさらってきて自分好みの一家をクリエイトしていたとんでもない連中でした。
GM:とんでもなすぎ
GM:お前も“家族”だ
七戸瀬月夜:今では他の一家がおおよそ全滅したため、幽霊屋敷と化した洋館を一人で管理しており、
七戸瀬月夜:本人も生きてはいるけどなんとなく幽霊っぽいです。足音を立てず近づいていたりする。
七戸瀬月夜:あと、こいつはピュアソラに狂った珪素が作り出しためちゃくちゃなピュアソラで
七戸瀬月夜:戦闘ではメジャーアクションを何もしません。セットアップで敵にデバフを与えて棒立ちしているだけ……!
七戸瀬月夜:こんなやつが本当に何かの役に立つのか?実質3人セッションではないのか……!
GM:なんてやつだ……!!
七戸瀬月夜:私自身すらこんな構成でどうなるのか分かってないので
七戸瀬月夜:役に立たなかったらごめん!本人の性格は協力的で穏やかなので……!協力するつもりは本当にあって……!
七戸瀬月夜:よろしくお願いします!
GM:ダイスデバフ数が狂ってるよ~~
GM:よろしくお願いします!そんな七戸瀬さんのハンドアウトはこちら!
七戸瀬月夜
シナリオロイス:七戸瀬紫霄
君は元FH所属のUGNチルドレンだ。
UGNから奪われた機密文書の奪還を命じられた君のもとに、過去からの来訪者が姿を現す。
“アークティック・ローゼズ”セル、七戸瀬紫霄。
元"七戸瀬家"の一員、行方不明となっていた君の“姉”だ。
紫霄は家族を奪ったUGNを未だに憎んでおり、その一員となった君を裏切者と誹り、攻撃を仕掛けてくる。
七戸瀬月夜:ギャッ 「姉」が出てきた
GM:なんか知ってる姉が出ます
七戸瀬月夜:ちなみに七戸瀬家は家族仲は本来良好でした そうじゃないと理想の家族ではないので……
七戸瀬月夜:そんなお姉さんと戦わなきゃいけないなんて悲しいよ
GM:そんな家族を引き裂くなんて……許せないUGN
七戸瀬月夜:おめーがやっ
たんだろ!!!
GM:姉妹で仲良くしてくださいね ではつぎ!
GM:PC3!羽海束沙さんお願いします
羽海束沙:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYktXziAQM
羽海束沙:羽海束沙(はねうみ・つかさ)です。永良さんと同じく緑坂支部のUGNチルドレンです。
羽海束沙:共にUGNに所属している両親のもとに生まれた一人娘で生来のオーヴァードという、生粋のUGN者です。
羽海束沙:基本的な性格は堅物委員長タイプですが、普通に子供なのでまあまあすぐに感情的になります。敬語とかよく消えがち。
羽海束沙:今回が全く初稼働のキャラクターですが、なんか既にかなり使い込んだような気がしています ふしぎ
GM:不思議だな~
羽海束沙:シンドロームはピュアノイマン。演算能力を活かした精密射撃を得意としており
羽海束沙:手持ちのEXレネゲイドの弾丸を変形させることで、空力効果を活用した曲線射撃などを行います。
羽海束沙:データ的には武芸の達人・フェイタルヒット・常勝の天才というノイマンジョックエフェクト3点と
羽海束沙:最強エンブレムことバディムーヴを乗せています。
GM:ジョックオブジョックじゃねーか
羽海束沙:みんなちゃんと考えて面白そうな構成やってるのにごめん 私だけこんなことやってて……という気持ちがちょっとある
羽海束沙:その分ちゃんと働くので許して下さい
GM:ほんとかな~
羽海束沙:そんな感じです。よろしくお願いします~
GM:よろしくお願いします!そんな羽海さんのハンドアウトはこちら!
羽海束沙
シナリオロイス:永良ゆづり
君は同僚である永良ゆづりと二人で、1時間抱き合わないと出られない部屋に閉じ込められてしまった。
一体この部屋を出るにはどうしたらよいのだろうか。謎めいた密室からの脱出劇が幕を開ける……
羽海束沙:!???
GM:間違えました こっちです
羽海束沙:どうして2回も同じ間違いを……
羽海束沙
シナリオロイス:“ダーリングトニア”
君は生まれながらのUGNチルドレンだ。
UGN日本支部長である霧谷雄吾から、君に直接の指令が下される。
任務はUGNから奪われた機密文書の奪還。君をリーダーとし、同じくチルドレンである“レベッカ”、“ダーリングトニア”と共に解決に当たってほしいという。
また霧谷は君に内通者の存在を示唆し、信用できる人材を登用するように言ってくる。
君の近くに、そのような相手がいただろうか。
羽海束沙:信頼できる人材……
羽海束沙:全てを理解しました 完璧に任務をこなしてみせます
GM:その意気です 頑張って部屋を脱出してね
羽海束沙:間違いを掘り返さないで
GM:ではラスト!PC4のシキさん自己紹介お願いします!
シキ:はーい!
シキ:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYzrHciwQM
シキ:シキ。とある街で小さな骨董屋を開いています。そんなにオシャレな感じじゃなく、品揃えに節操がなさすぎてジャンク屋呼ばわりされてます。
シキ:名字も何もないただのシキですが、戸籍を偽装する時は適当な名字と漢字を当ててるかも?
シキ:FHセル"チェッカード"の元実験体で、当時はリーダー格でした。セルの壊滅を生き延びた後は一緒に脱出したパートナーと二人でひっそり暮らしています。
シキ:ですが生来の仕切りたがりで見栄っ張りな性格が災いしついついトラブルを抱え込みがち。あらゆる事件に喜々として首を突っ込んでいきます。
GM:大変そう
シキ:いつも心配かけてごめんね~
シキ:シンドロームはウロボロス/エグザイル。影の茨を戦場に張り巡らせ自分の城に変えます。
シキ:データ的には氷の茨ドリブラー。一点でも攻撃が通れば強制移動エフェクトで相手のHPを複数回失わせます。
GM:コワすぎ!
シキ:エラッタで挙動がスッキリした巨人の影も組み合わせて更に倍率ドン!もうFHじゃないから一般ワークスでリビルドした結果、なんか安定感が増しました。
シキ:火力しか出せないので火力の要としてあらゆるものを破壊していこうと思います。よろしくお願いします!
GM:よろしくお願いします!そんなシキさんのハンドアウトはこちら!
シキ
シナリオロイス:“瓊音砕き”
君は実験施設から脱出した、元FHチルドレンだ。
初めての人間社会で暮らす君達は、慣れない生活に苦労を重ねていた。
そんな中、君と一緒に暮らすパートナーである“スカーレッド・スパロウ”ミツキから、思わぬ話を受ける。二人のもとにUGNから協力の打診があったというのだ。
施設を脱出する際に持ち出した他セルの情報は、君達とUGNにとって大きなアドバンテージと成り得る。UGNからの信用を得れば、今後の生活も好転するかもしれない。
君はミツキと共に、機密文書の奪還任務に乗り出すことになる。
GM:新生活応援キャンペーンです
シキ:これはオイシイ仕事ですね。なんの不安要素もない
シキ:二人の明るい未来のためにガンバリマス
GM:完全に不安の無い仕事です 頑張って!
シキ:やるぞー!おー!
GM:それではセッションを始めていきましょう よろしくお願いします!
永良ゆづり:宜しくお願いします~!!
七戸瀬月夜:よろしくお願いします!
シキ:よろしくお願いします!
羽海束沙:よろしくお願いします~
オープニング1
GM:OP1
GM:七戸瀬さん、羽海さんのシーンになります。登場どうぞ!以降登場侵蝕は1D10または1D3+3から選択してください。
羽海束沙:選べてお得だ
七戸瀬月夜:危ない、カウンターリモコンまた作ってなかった
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (39 → 44)
七戸瀬月夜:私は1d10でもいいぜ!
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 3)増加 (32 → 35)
七戸瀬月夜:やはり珪素イカサマダイスが発動してしまったようだな
GM:当たりを引いてる
羽海束沙:つよい
UGN緑坂市支部 会議室
GM:東京近郊・緑坂市。
GM:中央の小山岳地帯によって二つに隔てられる地形となるこの街のUGN拠点は、南北を繋ぐ中間の鉄道駅である。
GM:支部内の会議室、据え置かれたモニターには、一人の男が映し出されている。
GM:UGN日本支部長、霧谷雄吾。真っ直ぐ伸びた背筋と精悍な体躯。だが表情にはどこか疲れが滲んでいる。いつものことだ。
霧谷雄吾:「お疲れさまです、皆さん。お集まりいただきありがとうございます」
羽海束沙:「いえ、日本支部長からお声がけいただいたとあれば当然のことです」
羽海束沙:ぴんと背筋を伸ばし、常よりも僅かに強張った表情でその画面を見つめている。
七戸瀬月夜:深く会釈する。植物か、あるいは死体のように静かだ。
真坂世那:「霧谷さん直々のお仕事って~」
真坂世那:甘ったるい声を発する少女。チルドレン、“ダーリングトニア”真坂世那。
真坂世那:「一体なんなんですか~?世界とか滅んじゃったり?」
霧谷雄吾:「そこまではどうでしょうか」苦笑して「ただ、重要な任務であることは確かです」
霧谷雄吾:「世界はともかく、日本支部は揺らぎかねません」
七戸瀬月夜:口元に手を当てて、ぱちぱちとまばたきをする。
真坂世那:「マジすか」同席する二人に目をやる。
霧谷雄吾:「順を追って説明しましょう」
羽海束沙:「……なるほど、大事ですね」僅かに瞑目し、息を呑む。「一体、何が?」
霧谷雄吾:「事の発端は、日本支部の査察部から、ある機密文書が盗み出されたことです」
霧谷雄吾:画面越しにタブレットを見せる。そこに映し出されているのは、一冊の手帳だ。
霧谷雄吾:革張りで、ボタンで留められるタイプ。何の変哲もないものに見える。
七戸瀬月夜:『手帳』と手元のメモに書く。
七戸瀬月夜:『←革張りで、ボタンで留められるタイプ』
霧谷雄吾:「写しは無し、これ一冊のみ。内容の重要性ゆえに、デジタル化もされていません」
真坂世那:「そんなにヤバい内容なんです?」
霧谷雄吾:首肯して、「FHに潜入中のUGNエージェント達が記されたリストです」
羽海束沙:「……成程」
七戸瀬月夜:「……!」
霧谷雄吾:「業務の性質上、査察部には必要不可欠なものです。警備・保管も厳重なものでしたが……」
霧谷雄吾:「盗み出したのは、その査察部員だったようです」
GM:映像が切り替わり、一人の男の顔写真が映し出される。
GM:ごく普通の、何の特徴の無い成人男性。いかにも査察部員らしいと言えばそうかもしれない。
霧谷雄吾:「UGN日本支部、査察部所属エージェント“赤い猫(レッドキャット)”」
霧谷雄吾:「監視映像などいくつかの証拠から、彼が手帳を盗み出した犯人だと目されています」
羽海束沙:「彼の正体が、FH側の潜入工作員だったと」
霧谷雄吾:「まだそれも不明の段階です」
真坂世那:「でも悪い奴なんですよね。要はこいつを捕まえればいいと」
羽海束沙:「単にエフェクト等で行動を操られただけ、という可能性もある訳ですね」
霧谷雄吾:「……いえ」かぶりを振って
霧谷雄吾:「それは出来ません。彼は今朝、死体で発見されました」
羽海束沙:「……手の早い」
七戸瀬月夜:息を呑む。
霧谷雄吾:「犯人は不明。“赤い猫”の動機も不明。そして、手帳も見つかっていません」
七戸瀬月夜:「……。恐れ入ります。一つ、発言をお許しいただけるでしょうか」まっすぐに手を挙げる。
霧谷雄吾:「どうぞ、七戸瀬さん」
七戸瀬月夜:「“赤い猫(レッドキャット)”様の件、霧谷様、ご同僚様」
七戸瀬月夜:「……そして“赤い猫(レッドキャット)”様のご家族様にとって」
七戸瀬月夜:「大変痛ましく、悲しい出来事だったと存じます」
七戸瀬月夜:まっすぐ立ち上がって、胸に手を当てて言う。
七戸瀬月夜:「心からお悔やみを申し上げます」
七戸瀬月夜:まっすぐに着席する。
真坂世那:「おお~……?」七戸瀬さんをしげしげ見ている。
羽海束沙:「……」その纏う気配に吸い寄せられるように、言葉を止めて彼女を見る。
七戸瀬月夜:膝の上に手を当てて、背筋を伸ばした姿勢で座っている。
七戸瀬月夜:「発言は以上です」
羽海束沙:……本来、彼女のような対応が「普通」で、「今そんな事を話すのか」などと感じてしまった自分は悪い意味で慣れすぎているのだろうか、なんて事を考えて
羽海束沙:振り払うようにかぶりを振り、霧谷の方へと向き直る。
霧谷雄吾:頷き「……そうですね。私の知る限り、彼は真っ直ぐな志を持ったエージェントでした。残念でなりません」
霧谷雄吾:「……さて、皆さんにお願いしたいのは、この件の捜査です」
霧谷雄吾:「“赤い猫”の動機や足取り、周辺について。殺害した犯人」
霧谷雄吾:「そして何より、手帳の奪還です」
霧谷雄吾:「リストがFHの手に渡れば、潜入中のエージェント達の生命が危なくなります。それだけは何としても阻止しなくてはなりません」
七戸瀬月夜:真剣な表情で頷く。
霧谷雄吾:「“フェザリー・リード”。あなたをリーダーとして捜査チームを組織し、任務に当たってください」
羽海束沙:リーダーと名指しされ、僅かに目を見開いて
羽海束沙:「……承知しました。迅速に事にかかります」
真坂世那:「了解でーす。羽海ちゃん、七戸瀬ちゃん、よろしくね~」
七戸瀬月夜:二人に向けて一度ずつ、深く礼をする。
羽海束沙:「ええ、よろしくお願いします。"ダーリングトニア"、"レベッカ"」すっと立ち上がり、礼をする。
霧谷雄吾:「皆さん、よろしくお願いします。任務の成功を祈っています」
霧谷雄吾:「……ああ、羽海さんだけ、少し残って頂けますか。お話があります」
羽海束沙:「……え? はい、了解しました」
真坂世那:「おっ、はーい。行こ七戸瀬ちゃん」
七戸瀬月夜:「本日は貴重なお時間を割いて作戦説明を頂き、大変ありがとうございました」
七戸瀬月夜:「真坂様、とお呼びしてもよろしいでしょうか?」真坂に向かって言う。
真坂世那:「真坂様って!」笑って「真っ逆さまみたいでウケんね。世那でいーよ!」
真坂世那:「私も月夜ちゃんって呼んじゃおうかな~」
七戸瀬月夜:「――改めまして、七戸瀬月夜と申します。是非とも、力を合わせて成し遂げましょう。世那様」両手で真坂の手を握る。
七戸瀬月夜:「ぜひ!月夜とお呼びいただければ」
真坂世那:「うわっ手すべすべ!普段何使ってんの……」
霧谷雄吾:二人が退室してから、改めて口を開く。
霧谷雄吾:「さて、羽海さん。話というのは他でもありません」
霧谷雄吾:「今回の事件、内通者が関わっている可能性があります」
羽海束沙:「内通者……"赤い猫"だけではない、と」
霧谷雄吾:「はい。“赤い猫”の行動と殺害には不自然な点が多い」
霧谷雄吾:「また、彼の周辺でも行方不明者が出ています。何らかの形で関与が疑われます」
羽海束沙:「……成程。すると」
羽海束沙:「私だけに、このお話をなさったのは」二人が出ていった扉の方を見遣り。
羽海束沙:「……彼らについてもまた、疑ってかかるべきだと?」
霧谷雄吾:「はい。状況は火急です。捜査員全員の身辺調査を行っている猶予もありません」
霧谷雄吾:「既にFH方面からも、協力者を探しているところですが……」
霧谷雄吾:「羽海さん。あなたにもリーダーとして、信用できる人材を探して頂けるでしょうか」
羽海束沙:「……分かりました」胃が痛いな、と思いながら頷いて。
羽海束沙:「信用できる、人材……」
羽海束沙:しばらく逡巡するような間があって。「……それは、しかし」
羽海束沙:「私の、個人的な感情を……判断に交えることになるかと、思いますが」
羽海束沙:「……良いのでしょうか」
羽海束沙:良いも悪いもない。ただ、自分の中の言い知れない罪悪感が、他者からの肯定に渇いているだけだ。
霧谷雄吾:「ある程度主観的な視点が入るのは、人間である以上仕方のないことでしょう」
霧谷雄吾:「その上で私は、あなたの判断を信用しています」
羽海束沙:「……分かりました」
羽海束沙:その一言で、僅かに胸に安堵が訪れた事を自覚して。少しばかり情けなくなる。
羽海束沙:「その信頼にお応えできるよう、尽力致します」
七戸瀬邸
GM:その日支部を出た君──七戸瀬月夜が、自らが管理する洋館に帰る頃には、既に日が沈んだ後だった。
GM:君は明日からの任務に備えて準備を行ってもいいし、食事や睡眠をとってもいい。
七戸瀬月夜:長く家を離れることになるかもしれない。家の管理者として、やるべきことはいくつもあった。
七戸瀬月夜:「ただいま帰りました。お待たせしてしまいましたね」微笑みかける。
七戸瀬月夜:「チュウ太様。マウ助様」
七戸瀬月夜:一週間分のマウスのエサを自動餌やり機にあげ、可能な限りケージを綺麗にする。
七戸瀬月夜:また、家の隅々まで掃除して、不在の時にも恥じるところのないようにする。
七戸瀬月夜:「――数日ほど不在に致します。緊急のご連絡の際には以下の連絡先まで伝言メッセージを……」
七戸瀬月夜:綺麗な書体で縦書きに書いて、机の目立つ位置に広げて、文鎮を置く。
七戸瀬月夜:「台所も綺麗になりましたし、洗濯物も大丈夫なはず……」
七戸瀬月夜:「お夕飯は支部に向かうまでのどこかでいただきましょう。せっかく綺麗にお掃除したのですから、勿体ないですもの」
七戸瀬月夜:旅行かばんを引いて、洋館を出ます。
七戸瀬月夜:「行って参ります」お辞儀。
GM:そんな君の耳に、頭上から声が降ってくる。
七戸瀬紫霄:「どこへ行こうというの、月夜」
七戸瀬月夜:「――!」動きが止まる。誰の声なのかはすぐさま理解できる。
七戸瀬月夜:「……これは」
GM:声は屋敷の外ではなく、エントランスの上方から。
七戸瀬月夜:「失礼いたしました。お姉様。お姉様が……いらっしゃっていることに気付けず、妹として、不徳の至りです」
七戸瀬月夜:「どうか、ご無礼をお許しください。けれど……ああ」
七戸瀬月夜:「よく、ご無事で……!月夜は嬉しく思います!」
七戸瀬紫霄:一人の女が月夜を見下ろしている。病的に白い肌が目を引く、美しい人形のような女だ。
七戸瀬紫霄:「二階、北側の窓……」
七戸瀬紫霄:「相変わらず建付けが悪いのね。これじゃあ誰でも入って来られる」
七戸瀬紫霄:「不用心だわ」
七戸瀬月夜:「それは、大変申し訳ございません。いずれ修繕するための蓄えはしているのですが……」
七戸瀬月夜:「……私一人では、全く力が及んでおりません。情けない限りです……」
七戸瀬月夜:「お姉様は、どうして今になって……」
七戸瀬紫霄:「……お姉様?妹として?」
七戸瀬紫霄:「全くよく言えたものね」
七戸瀬紫霄:女の全身から、ぶわりとドレスのように広がる影。
七戸瀬紫霄:宙を舞うように、重力を感じさせない動きで君の前に降り立つ。
七戸瀬月夜:「……はい。私の言葉が足りず、気分を害されたと存じます。『どうして今になって』というのは……」
七戸瀬月夜:「……どうして、UGNの監視下にあるこの家に……戻ってきてしまったのか、と」
七戸瀬月夜:「そうお尋ねしたかったのです」
七戸瀬月夜:旅行用トランクに吊り下げられていたランタンを手に取り、掲げる。
七戸瀬月夜:火や電球が灯っているわけではないが、青い光が中から漏れているようにも見える。
七戸瀬紫霄:「……!」
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の色は白い。白く色素の薄い肌や髪が、薄青く照らされる。
七戸瀬月夜:「……私は何もいたしませんし、できません。お姉様もご存知でしょう」
七戸瀬月夜:「けれどお話を伺うことならできます。危険を犯してでも、この愚妹にお伝えしたかったことがあるのなら」
七戸瀬紫霄:「……この、恥知らずが……!」
七戸瀬紫霄:「何故UGNになど従うの!御爺様や御母様、みんなを奪ったUGNになど……!」
七戸瀬月夜:「ええ。私も、努めて憎まないようにしていても、心のどこかで……まだ、お姉様と同じように思ってしまいます。今でも」
七戸瀬月夜:「けれど私達から奪われてしまったお祖父様もお母様も――それ以上に奪ってきたのです」
七戸瀬紫霄:「だから、仕方がないと……?」
七戸瀬紫霄:「当然の報いだと言うの、月夜!」
七戸瀬月夜:「私は……もっと、何よりも、恥を知る必要がございます。けれどお姉様にそれを押し付けるつもりはありません」
七戸瀬月夜:「私達の家族が多くの人々から奪った分は、私は同じだけ与えたいと願うのです」
七戸瀬紫霄:「その為に、UGNに……?」
七戸瀬月夜:陰鬱に、ランタンの光が瞬いている。
七戸瀬紫霄:「奴らならそれが出来るとでも……」
七戸瀬月夜:「いいえ。この世界の誰も、代わりにそれを成してくれることはないでしょう。UGNも、FHも」
七戸瀬月夜:「けれど私は、家族を奪ったUGNのもとで戦うことこそが、何よりも困難なことだと思いました」
七戸瀬月夜:「自らの力でできる範囲の贖罪なら、誰にでもできることでしょう」
七戸瀬月夜:「――とても、できそうにないことだからこそ。私はそのように教わりました」
七戸瀬紫霄:「……」青い光に照らされた、月夜の顔を見つめる。
七戸瀬紫霄:「……今ならばまだ引き返せるわ」
七戸瀬紫霄:「またあの頃のように戻りましょう、月夜。もう一度姉妹として、私達家族の仇を討つの」
七戸瀬月夜:「引き返して、どこに向かえばよいのでしょう?」
七戸瀬月夜:「誰も戻ってくることはないのです。誰も。それを認めるだけのことに、本当に……とても、長い時間がかかりました」
七戸瀬紫霄:「私は戻って来たわ!!」
七戸瀬紫霄:「お父様やお兄様だって、きっとどこかで生きている……そうに決まっているわ」
七戸瀬月夜:ランタンを置き、両膝を地面に突く。
七戸瀬月夜:「私自身が、無知でいられた頃へと戻れないのです」
七戸瀬月夜:「……お姉様。どうか、お気の済むまでお仕置きをしてくださいませ」
七戸瀬月夜:目を閉じる。
七戸瀬紫霄:「違うわ、月夜……! あなたはUGNに洗脳されているのよ!」
七戸瀬紫霄:「あなたも覚えているでしょう、知っているでしょう、この世で最も大事な、尊ぶべきものが何か!」
七戸瀬月夜:「ええ。それはUGNの誰よりも、私達が知っていました。理想の絆で結ばれた、家族こそが……」
七戸瀬紫霄:「ならば、私と一緒に来なさい、月夜!」
七戸瀬紫霄:「今ならまだ、もう一度……家族としてやり直せるわ」
七戸瀬紫霄:「私達、今はたった二人の姉妹じゃない……」
七戸瀬月夜:「いいえ。……いいえ。私は……私自身が、私の贖罪に納得するまでは」
七戸瀬月夜:「取り戻そうとしないのだと決めました。……最も大事なものであってもです」
七戸瀬紫霄:「…………」
七戸瀬紫霄:「……そう……」
七戸瀬紫霄:「……本気なのね」
七戸瀬月夜:「はい」
七戸瀬紫霄:「……」
七戸瀬紫霄:暫しの沈黙。それから、紫霄の全身から爆発するように影が膨張する。
七戸瀬紫霄:凝固した影は無数の刃となって、月夜へと殺到する。
七戸瀬月夜:「……っ!」ズタズタに刻まれる。攻撃を回避する能力はあるが、使うことはない。
七戸瀬紫霄:「どうして避けないの、月夜……!」
七戸瀬紫霄:影の刃を振るいながら叫ぶ。
七戸瀬月夜:「あっ……っ、けほっ、んっ……」
七戸瀬紫霄:「それがあなたの言う贖罪の心算……!?」
七戸瀬月夜:「お、お姉様も」血を吐こうとする口を手で押さえる。
七戸瀬月夜:「とても……重い覚悟で……わ、私を、折檻なさっているのですから」
七戸瀬月夜:「………贖罪ではございません。誠意には誠意で返さなければ」
七戸瀬紫霄:「……ッ…………!」
七戸瀬紫霄:月夜の全身を切り裂き続けていた影の動きが、やがて止まる。
七戸瀬紫霄:傷付けられた月夜よりもむしろ息を荒げながら、紫霄がその姿を見下ろす。
七戸瀬月夜:地面に両膝をついて、目を閉じたままだ。服から覗く肌は全て赤い血にまみれている。
七戸瀬紫霄:呼吸を無理やりに整えるように深い息を吐き、口を開く。
七戸瀬紫霄:「……あなたは、まだ殺さない……」
七戸瀬紫霄:「……殺さないでおいて、あげる」
七戸瀬月夜:「……ん、ぷ、はっ」
七戸瀬月夜:「ありがとうございます……」
七戸瀬紫霄:「“アークティック・ローゼズ”」
七戸瀬紫霄:「……私が今、身を寄せている場所よ」
七戸瀬紫霄:「気が変わったら……」
七戸瀬紫霄:「……」
七戸瀬月夜:「大丈夫です」
七戸瀬紫霄:最後まで言いきらずに身を翻し、夜闇に消えていく。
七戸瀬月夜:「お姉様のことは、なんだって……」目を開けると、眼前には深い山の木々だけがある。
七戸瀬月夜:「……なんだって、分かっています。家族なのですから」
七戸瀬月夜:「私の血で……汚してしまった」
七戸瀬月夜:ぼろぼろになった衣服を引きずるように歩き出す。
七戸瀬月夜:「綺麗に……しないと……」
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可能です。
七戸瀬月夜:姉/七戸瀬紫霄/親愛/罪悪感:○/ロイス
羽海束沙:世那ちゃんがシナリオロイスだけど、もう少しお話してから取ろうかな~ 保留します
オープニング2
GM:OP2
GM:永良さんのOPです。登場どうぞ!
永良ゆづり:44+3+1D3
DoubleCross : (44+3+1D3) → 44+3+1[1] → 48
永良ゆづり:うそ、32スタートだから36
緑坂市 市街
GM:君は同僚である“フェザリー・リード”羽海束沙から、新たな任務の連絡と説明を受けた。
GM:今、君は市街地に出てきている。任務に備えて買い出し等をしてもいいし、家に帰って休養を取ってもいいだろう。
永良ゆづり:とつ、とつと歩道を歩いている。ハッチング帽子と丸眼鏡、肩にかかるストレートのブロンドに黒ジャージ服の少女。
永良ゆづり:一歩踏むたびに、右手に下げたレジ袋が揺れる。コンビニで購入した『蕩けるくちどけ杏仁豆腐』十数個。
永良ゆづり:束沙から任務の面子が全員女子であることは聞いている。さっぱりとしたスイーツは悪い選択ではないだろう。
永良ゆづり:「…………」左手をポケットに突っ込み、小箱を握り込む。
永良ゆづり:ココアシガーレット。杏仁豆腐と共に、こちらも彼女の好物だが。諸事情により今日はまだ"吸えていない"。
永良ゆづり:「んー…………」かつ、かつと。気持ち足早に、支部へ戻ろうとしている。
GM:そんな君の前に、不意に何者かが立ち塞がる。
永良ゆづり:「──っと?」
GM:躱そうとしても、更に進路に先回りされてしまう。
GM:そこに立っているのは、君よりやや小柄な少女だ。
永良ゆづり:「……ええっと。何か、用かしら」
GM:勝気そうな吊り目に、鮮やかな金髪。上目遣いにじろじろと君を見つめている。
“ブレイドブラッド”:「……アンタが永良ゆづり?」
“ブレイドブラッド”:「“スモークスタック”で合ってる?」
永良ゆづり:「(私の名前と……コードネームを、知っている?)」
永良ゆづり:「……だったら、どうだというの?」一歩、二歩と彼女から距離を取る。
GM:後ずさると、更に別の誰かにぶつかる。
永良ゆづり:「っ?」
“砂滑”:「……」
“砂滑”:背の高い、体格の良い男だ。無言のままじっと君を見下ろしている。
“ブレイドブラッド”:「何よ、まだそんなビビらなくてもいーじゃん」
“ブレイドブラッド”:ずい、と距離を詰め「ただ先輩に挨拶しただけなのにさ」
永良ゆづり:「コードネームで私を呼ぶ時点で、警戒レベルガン上がりせざるを得ないから」地を蹴り、跳躍。二人から更に離れ、大きく間合いを取る。
永良ゆづり:「……待った。先輩?」
“ブレイドブラッド”:「そんな逃げないでよ。話、聞いた方がいいと思うけどな~」
“ブレイドブラッド”:ニヤニヤと笑いながら、≪ワーディング≫を展開する。
“ブレイドブラッド”:周囲にレネゲイドの圧力が広がり、通行人たちが次々に倒れていく。
永良ゆづり:「それは、ウチにご足労して頂いた後でも?」
永良ゆづり:両腕をぐん、と振り、袖から二本一対の金属棒を取り出す。両の手に携え、掌でくるくると旋回させる。
永良ゆづり:峨嵋刺。中国武術に伝わる暗器の一種。回転する金輪を中指に嵌め込み、鍛鉄棒の両端で刺突、擒拿に使用する短兵器。
“ブレイドブラッド”:「やる気満々じゃん」クスクス笑いながらそれを見る。
永良ゆづり:「……話がしたいなら、まずは何者か名乗って貰ってもいいかしら」
永良ゆづり:「それと、私を"先輩"と呼んだことについても」
“ブレイドブラッド”:「あたしは“ブレイドブラッド”。そっちのデカいのは“砂滑(すなめり)”。」
“ブレイドブラッド”:「FH、“アークティック・ローゼズ”セルって言えば分かる?」
GM:“アークティック・ローゼズ”。それはかつて君が所属していた────させられていたセルの名だ。
永良ゆづり:「……っ!?」目を見開いて、それを隠す様に帽子を深く被る。
GM:児童オーヴァードを拉致し、投薬や脅迫によって無差別テロの尖兵に仕立て上げる過激派セル。
永良ゆづり:「まさか……まだ、活動していたのか」
GM:かつて君の衝動を強制的に暴走させ、大勢の命と君自身の家族を奪った張本人達でもある。
永良ゆづり:峨嵋刺を握る手が力む。家族の仇へと飛び掛かり、捻じ伏せたいという衝動を何とか抑え込んで。
永良ゆづり:「……その、セルのエージェントが。今更私に何の用が?」
“ブレイドブラッド”:「こっちは会うの楽しみにしてたんだけどな~」
“ブレイドブラッド”:「何人殺したんだっけ?300人くらい?」
永良ゆづり:ぎり、と。歯を食いしばる。
“ブレイドブラッド”:「マジやばいよね~!ウチのセルでもそんだけやったの、先輩くらいって話だし」
永良ゆづり:「貴女に、先輩などと呼ばれる筋合いはない」
永良ゆづり:「(家族を人質に取られ、嫌々従っている様には……見えない)」
“ブレイドブラッド”:「え~?連れないこと言わないでくださいよ先輩ー。同じセルのよしみでしょ?」悪戯っぽくクスクスと笑う。
永良ゆづり:「(ニ対一。退避を視野に入れて、どちらから攻撃するか────)」
“ブレイドブラッド”:「おっと」
“ブレイドブラッド”:君の考えを読んだように、不意に間合いに踏み込み、至近距離からじっと覗き込む。
永良ゆづり:「それ以上意味のない挑発するようなら、此方も対応せざるを得ないが」
永良ゆづり:今度は、距離を取らない。彼女の周りに、白煙が揺らぎ纏わい始める。
“ブレイドブラッド”:「先輩と今すぐやりたいのは山々ですけど~、今日はその為に来たんじゃないんですよね~」
永良ゆづり:「なら、何のために?」
“ブレイドブラッド”:くすりと笑い、「先輩に一つ、お願いがあって」
“ブレイドブラッド”:そうして耳元に口を近付け、
永良ゆづり:「─────っ」
“ブレイドブラッド”:「────」
永良ゆづり:「…………」
“ブレイドブラッド”:にんまり笑って顔を離す。
“ブレイドブラッド”:「分かりましたか?」
永良ゆづり:「……何が、なんだか。さっぱりよ」
永良ゆづり:きっと、彼女を睨みつける。浅く、呼吸を繰り返す。
“ブレイドブラッド”:「あは~、よく分かってる感じじゃないですか」
永良ゆづり:「私の事を、何処まで知っている?それで、一介のUGN人員が"お願い"を聞くとでも?」
永良ゆづり:口から吹き出した煙が、空を押しのけ立ち昇っていく。踏み込み、姿勢を低くして峨嵋刺を構える。
“ブレイドブラッド”:「アンタは聞くでしょう?先輩」
永良ゆづり:「そもそも──この場から、無傷で帰れるとでも?」
“ブレイドブラッド”:「試してみます?あたしはいいですけど」
“ブレイドブラッド”:好戦的な笑みを浮かべ、
“ブレイドブラッド”:「こうやってお願いした時点で、どうなるか分かると思うけどなあ」
永良ゆづり:「…………ち」
永良ゆづり:武装を袖に収める。
“ブレイドブラッド”:「流石、賢いですね。先輩」
“ブレイドブラッド”:口笛を吹いて、悠々と踵を返す。
“ブレイドブラッド”:「それじゃ、先輩、また会いましょう」
永良ゆづり:「だから、先輩と呼ばれる筋合いはないわ」
“ブレイドブラッド”:その言葉も丸きり無視し、“砂滑”と共に歩き去っていく。
“ブレイドブラッド”:「お願い、待ってますからね」
永良ゆづり:完全に二人の気配が消えるまで、歩道に立ち尽くし。
永良ゆづり:峨嵋刺と入れ違いで地面に投げ捨てたレジ袋を拾い上げる。幸い、中身は無事なようだ。
永良ゆづり:「…………」スマートフォンを手に取り、通話ボタンを押そうとして……やめた。
永良ゆづり:また、とつとつと歩き始める。監視が付いている可能性を考慮し、なるべく平静を保つ様装って。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可能です
永良ゆづり:“ブレイドブラッド”/疑念/〇警戒 以上
オープニング3
GM:OP3
GM:シキさんのOPです。登場どうぞ!
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 3)増加 (34 → 37)
某所 ジャンク店
GM:かつて姉妹と共にFHの研究施設を脱出した君は、古い工場を改装し、小さなジャンク店を営んでいた。
GM:だが外での暮らしは予想以上に知らないことばかりであり、生活は決して楽なものとは言えなかった。
GM:外では冬の風が吹く中、君は暖房の点いていない部屋でパートナーと炬燵に入っている。
ミツキ:「うぇ~っ……寒すぎる……」
ミツキ:殆ど顔だけを出した状態で、寒さに身を縮こまらせる少女。
シキ:「ストーブ壊れてからもう何日こうしてるっけ……」
シキ:同じく炬燵から顔だけを出した状態で、鼻をずびずび鳴らしている
ミツキ:「そうは言ってもなあ……」
シキ:「明日からもっとひどい寒波だってよ。流石にこのままじゃヤバそう~」
ミツキ:家計簿を取り出して眺める。
ミツキ:「今月もまた赤字だし、そんなの買う余裕無いよ~」
シキ:「そんなぁ……」更に炬燵に埋まる
シキ:「でも結構売れてなかった?盆栽とか」
ミツキ:「1回だけじゃん……結構高かったけど……」
ミツキ:「テンション上がってカニとか食べちゃったし……」
シキ:「やっぱそれか~」
シキ:「収入に対して出費が多すぎんよ~ミツキはさ~」
ミツキ:「え~……シキに言われたくない……」
ミツキ:「金銭感覚ゼロじゃん。この前もお使い頼んだら死ぬほど高いお味噌買ってきたし……逆にどこで買えるのアレ」
シキ:「いや、やっぱほら、日頃から良い物に囲まれてないと目利きは養えないって言うじゃん?」
シキ:「やっぱそこをケチってはいけないと言うか」
シキ:「プロ意識?」
ミツキ:「それで破産してたら世話無いじゃんか~」
ミツキ:「中身より財布本体のほうが高いやつじゃん」
ミツキ:「やっぱりジャンク屋なんて儲からないのかな~」嘆息、脱力してごろんと寝転がる。
シキ:「えーまだ始めたばっかじゃん。諦めるの早すぎ~」
ミツキ:「そもそも何の実績も無い、身元すら怪しいウチと取引してくれるとこなんて、全然無いしなあ」
ミツキ:「怪しいっていうか、無いしね、身元」
ミツキ:「全部偽装だし。バレたらやばいでしょ」
シキ:「え、アレってそんなヤバいの」
シキ:「ミツキがネカフェのパソコンでちょちょっとやったやつ」
ミツキ:「ヤバいよ。バレたら捕まっちゃうよ」
ミツキ:「そしたら一生警察で、三食カツ丼しか食べられない生活だから」
シキ:「三食カツ丼か~……」想像し
シキ:「あれ……今の生活よりマシかもな……」
ミツキ:「あたしは絶対やだよ!三食カニならともかく……」
ミツキ:「はぁーーっ……」頭の後ろで手を組み、息を吐く。
ミツキ:「……」
ミツキ:「……シキ、話あるんだけど」
シキ:「どうしたのさ改まって」
シキ:怪訝な顔でピョコンと炬燵の上に顔を乗せる
ミツキ:「……前にチラッと話してたの覚えてる?もうFHじゃないし、UGNに行くのもいいかもって」
シキ:「あー、言ってたねそういえば」
シキ:「結局あのあと色々あって、どっちつかずのままここまで来ちゃったけど」
ミツキ:「今さー……実はUGNから協力の依頼が来てるんだよね」
シキ:「えっそうなの!?」
シキ:立ち上がりかけて膝を炬燵にぶつける「あいたっ!」
シキ:「っていうかUGNの人なんて会ったことないんだけど!?いつバレたの!?」
ミツキ:天板から跳ねたみかんをキャッチして「そうなの」
ミツキ:「や、実は前からこっそり、イリーガルとして登録できないか掛け合ってて……」
シキ:「え、えぇ~……そういうことはちゃんと言ってよ~!」
ミツキ:「まだそんなに本気でってわけじゃなかったし……」みかんの皮を剥きつつ
ミツキ:「いざって時に選択肢が多いほうがいいでしょ」
シキ:「いっつも私のこと勝手だって怒るくせに!ミツキだって人のこといえないじゃんか~!」
ミツキ:「だから言ってるじゃん、今」
シキ:「事後報告じゃん!最初に言ってほしいの~!わかんないやつだな~」
シキ:炬燵の中でバタバタする
ミツキ:「それに実際、あたしもUGNのことはよく知らないしさ」
ミツキ:「本当に信用できるのか分からないし。もしかしたらFHのほうがマシかもでしょ」
シキ:「んーそれはそう……かも?」
シキ:「でもそれなら尚更危ないじゃん。ミツキ一人にそんなのと関わらせるなんてさ」
ミツキ:「大丈夫。今のところ、あたし達には手札があるから」
ミツキ:「施設(あそこ)出るときに持ち出した資料があるでしょ」
シキ:「ただでさえ無理できない身体なんだからもっと気をつけて……」
シキ:「手札?」
ミツキ:「他のセルの情報もたっぷり載ったやつ。UGNにとっては欲しくて堪らない情報でしょ」
シキ:「あぁー、ミツキとヒイラギががんばってまとめてたやつ。そういう使い道があったんだ」
ミツキ:「シキは外出るので夢中だったもんね~」
シキ:「なにさ~!人が何も考えてないみたいな!」
ミツキ:「まあとにかく、ここでUGNに協力して、恩を売るなり信用を得るなりすれば……今後の生活もちょっと楽になるんじゃないかと思う」
ミツキ:「戸籍もちゃんとしたやつが貰えるかもだし……色々と保護とか支援を受けられるかも」
ミツキ:「でもやっぱり、信用できるかは分からないし、絶対にやらなきゃいけないわけでもない」
ミツキ:「だから、最終的にはシキに任せるよ」
シキ:「なるほど……一理どころかめちゃくちゃ魅力的じゃん……」
シキ:「確かに元は敵だったし信用はできないかもだけど」
シキ:「それでもミツキが今切り出したってことは、そこもおおよそ見極めが付いたってことじゃない?」
シキ:「なら私は信じるよ。UGNじゃなくて、ミツキのこと」
ミツキ:「んん……」
ミツキ:「……そ。じゃ、やろっか」
ミツキ:剥いたみかんを一房、シキの口に放り込む。
シキ:「何だよその意味深な間は」
シキ:「もしかして照れてん……もがっ!?」
ミツキ:「ほら、じゃあ準備するよ」
ミツキ:「緑坂市だから、今から電車」
シキ:「もぐもぐ……って今から!?もー急すぎ~」
シキ:「店閉めてかなきゃいけないじゃん~」
ミツキ:「結構急ぎの話らしいからね。シキ、一人じゃ乗り換えできないでしょ」
シキ:「失礼な!乗り換えくらいできるもん!」
シキ:「この前親切なお婆さんに教えてもらったし、その前は小学生の子に教えてもらったもん!!」
ミツキ:「はいはい、偉いでちゅね~」
シキ:「もー!ホントなんだからね!!」
シキ:「じゃあ今日は後ろで見てろよミツキ!私が華麗に乗り換え切符を購入するとこ……」炬燵から出ようとして
シキ:「……ろ……」
シキ:「……ふぅ」体を震わせて再び炬燵に戻る。
ミツキ:「……何、どうしたの」
シキ:「……後5分」
シキ:「暖まってからにしては……いかがか……?」
ミツキ:「も~~~っ!シキ!」
GM:ジャンク店の前に臨時休業の報せが貼りだされ、小さな家の明かりが消えたのは、それからしばらく経ってからのことだった。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可能です
シキ:うーんミツキには取ってるので
シキ:ミツキのロイス 尊敬○/執着 をSロイスに指定して終了します。
GM:OK
ミドル1
GM:ミドル1
GM:合流シーンです。全員登場!
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (44 → 49)
永良ゆづり:36+3+1d3
DoubleCross : (36+3+1D3) → 36+3+2[2] → 41
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 5)増加 (37 → 42)
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 10)増加 (35 → 45)
UGN緑坂市支部 会議室
GM:翌日の朝、緑坂市支部の会議室。
GM:集合予定時刻を十数分後に控えた室内には、既に二人分の人影があった。
GM:“レベッカ”七戸瀬月夜と、“スモークスタック”永良ゆづり。
GM:君達は黙って他のメンバーの到着を待ってもいいし、何か会話を交わしてみてもいい。
七戸瀬月夜:「恐れ入ります……」では出現と同時に話しかけます。すぐ後ろに立って囁きかける。
七戸瀬月夜:しかも全身は包帯まみれだし、血が滲んでいる。
永良ゆづり:「……ん」頬杖を付いて、会議室の机に座っていた。
七戸瀬月夜:「本日から……一緒のチームでお世話になることになりました。"レベッカ"。七戸瀬月夜と申します……」ふかぶかー
永良ゆづり:「“スモークスタック”永良ゆづり。この緑坂市支部所属のチルドレン」
永良ゆづり:「……なんで任務が始まる前から死にかけてるの?」
七戸瀬月夜:「どうしてでしょう……」
永良ゆづり:「この任務に関係あることであれば、聞かせて頂いても?」
七戸瀬月夜:「あの……こちら、木野得屋の饅頭でございます」
七戸瀬月夜:「支部の皆様方で、分け合っておいしく召し上がっていただければ……」
永良ゆづり:「あ、どうも……じゃあ、こちらは」傍らに置いてあるレジ袋からがさごそ。杏仁豆腐を取り出す。
七戸瀬月夜:「わあ。ありがとうございます。大事に頂きたいと存じます」両手で受け取る。
永良ゆづり:「『蕩けるくちどけ杏仁豆腐』。シックストゥエルブの新商品」
七戸瀬月夜:「……シックストゥエルブとは?」
永良ゆづり:「え、コンビニ知らないの?」
七戸瀬月夜:「ああ。コンビニ。街の方にあるという……」
七戸瀬月夜:「……そんなものを。わざわざありがとうございます」
永良ゆづり:「……ああ、山奥の館に住んでるから。俗世に疎いってワケか」束沙から、人員の概要は大体聞いている。
永良ゆづり:「こっちで仕事をするなら、知っといて損はない。暇なときに寄ってみて」
七戸瀬月夜:「お気遣いありがとうございます。街にはたくさんのお店があって、とても楽しみです」
永良ゆづり:「で、その傷は一体……」
七戸瀬月夜:「あ……お話が逸れてしまい、大変失礼いたしました。この包帯のことを……ご説明いたしますと」
シキ:「こんにちはー!!」
シキ:バンッと勢いよく会議室の扉を開けて入ってくる。
永良ゆづり:「……元気がいいわね」
七戸瀬月夜:「こんにちは」包帯だらけ。
シキ:「わっかわいい……!お嬢様……」
永良ゆづり:「イリーガルにも協力を要請済と聞いている。貴女の名前は?」
シキ:「……が傷だらけ!?大丈夫!?」
永良ゆづり:「最後に説明してもらった方が二度手間にならずに済みそうね」
シキ:「あっとそうね!自己紹介自己紹介!!」
シキ:「私の名前はシキ。名字もなにもないただのシキ」
シキ:「一応戸籍弄った時に適当につけたやつはあるんだけど……」
シキ:「……あっいえ!なんでも無いです!」
七戸瀬月夜:「シキ様。今後お世話になることと存じます。七戸瀬月夜です。よろしくお願いします」
永良ゆづり:「気にしなくていいわ。この場では不要よ」
七戸瀬月夜:「こちら、つまらないものですが……」すすす、とまんじゅうを差し出す。
シキ:「ああこれはどうもご丁寧に……」
シキ:「う、美味っ!?」
永良ゆづり:名前もまともにない境遇の人間は、この業界ではそう珍しいことではない。
シキ:「世の中の人はこんないいもん食べてるのか……」
七戸瀬月夜:「また、傷のことでご心配をおかけしてしまい、大変失礼しました。今から説明させていただきます」
七戸瀬月夜:支部備品のノートパソコンを開き、プロジェクターに接続する。
永良ゆづり:「永良ゆづり。こちらもどうぞ」杏仁豆腐を渡しながら。
シキ:「UGN、いい人しかいないじゃん……!!」
七戸瀬月夜:「ええと……モニタ設定が2になっているのですね……。全画面のボタンは……」
永良ゆづり:「FHの治安が全体的に悪すぎるのよ。安定を取るならコッチの方がいいわ」
七戸瀬月夜:『FHエージェント(推定)による七戸瀬月夜襲撃の経緯について』
七戸瀬月夜:「それでは、これから説明を行わせていただきたく存じます」
永良ゆづり:「……わざわざパワポ作ってきたの?」首を傾げながら。
七戸瀬月夜:「はい。分かりやすいと思いまして……」
シキ:「よ!待ってました!!」大きな拍手
永良ゆづり:「別に口頭でいいのだけど……」
シキ:「えーすご!ドラマみたいじゃん!」
七戸瀬月夜:「まずは目次の方、『1.発生時刻』『2.襲撃現場』『3.被害状況』『4.襲撃容疑者』の順でご説明いたします」
シキ:ふんわりとしたお仕事ドラマのイメージが脳内に浮かんでいる
永良ゆづり:「……それ、束沙が来てからでいいかしら」
七戸瀬月夜:「羽海様にはすでにこのプレゼンでご説明いたしました。ではまず『1.発生時刻』の方から……」
七戸瀬月夜:写真や動く文字のアニメーションをふんだんに使ったプレゼンで説明しました。
永良ゆづり:「(何の突っ込みも無かったのか……)」
七戸瀬月夜:「……そして、『4.襲撃容疑者』がこちらとなります」七戸瀬紫霄の写真を堂々と展開する。
七戸瀬月夜:「七戸瀬紫霄。私のお姉様です。ご覧の通り、本当にお綺麗です」
シキ:「え、お姉さま!?」
七戸瀬月夜:「こちらは6年前のお写真ですが、別の日の撮影写真も見ていただきましょう。着物を着ていらっしゃる時のお姿など……」
永良ゆづり:「容疑者っていうか、現行犯よねもう」
永良ゆづり:「……あまり、容姿は似ていないようだけど」
シキ:「いや、なんかすんなり流しちゃってるけど」
シキ:「敵って月夜ちゃんのお姉さんなの?」
七戸瀬月夜:「はい」
シキ:「ええ~!?」
シキ:「それは、大丈夫なの……?」
七戸瀬月夜:「今回『FHエージェント(推定)』とさせていただきましたが、お姉様は現在“アークティック・ローゼズ”というセルに所属していると思われます」
永良ゆづり:「!?」がた、と机から跳ねる様に立ち上がる。
七戸瀬月夜:「あまり大丈夫ではありません……」悲しげに目を伏せる。
シキ:「そ、それなら尚更、月夜ちゃんをメンバーに入れていいのかな……?」
シキ:「お姉さんと戦って、もしかするとホラ……」
シキ:「もしかするかもしれないんだよ!?」
七戸瀬月夜:「シキ様。落ち着いてくださいませ」
七戸瀬月夜:「私が襲撃を受けた事件と今回の招集の件は、ぜんぜん関係はございません」
シキ:「そ、そうなの……?」
七戸瀬月夜:「今回の任務は機密文書の奪還と伺っておりますので……そうでしたよね、永良様」
永良ゆづり:「…………え、ええ」取り繕うように応える。
永良ゆづり:「(偶然か?なぜ、今になって活動の一旦がちらほらと)」
七戸瀬月夜:「この資料は、私の負傷についてご不安、ご心配をおかけしないよう自主的に作成いたしました」プロジェクターを切る。
羽海束沙:その時。がた、と再び扉の開く音がして
シキ:「ううん……」腑に落ちない様子で唸る
羽海束沙:銀縁の眼鏡をかけた少女が、ノートPCを両手に抱えて入ってくる。
羽海束沙:一同の顔を見渡してから、腕時計にちらりと目を落とす。
永良ゆづり:「……お疲れ様、束沙」
羽海束沙:「集合5分前。皆さん、よく揃っているようですね」
シキ:(なんか思ってた感じと違うな……UGNの人っていうより、これじゃまるで……)
ミツキ:「こんにちは~」羽海さんに続いて入ってきて「ウワーッホントに大怪我してるーっ」
シキ:「あっミツキ!」ぱっと顔を上げる
シキ:「説明はもう済んだの?」
永良ゆづり:「確かに。聞いた話では、その子で全員ね」
真坂世那:「おはようございまーす!皆さんよろしく……マジじゃん!話には聞いてたけど……」
羽海束沙:「ええ、お疲れ様……そちらが、もう一人の外部協力者の」抱きつかれたシキさんに改めて目を向ける。
シキ:「ども!シキっていいます!」
永良ゆづり:「ものの見事に、女子が揃ったわね」シキさん、真坂さんを順に眺めて。
ミツキ:「大体聞いてるよ~。あ、皆さん初めまして。ミツキです。そっちのシキの……うーん……何だ……?」
羽海束沙:「ええ。今回の作戦班の指揮を執ります。"フェザリー・リード"こと羽海束沙です」
七戸瀬月夜:深くお辞儀をする。
羽海束沙:「よろしくお願いします」すい、と真っ直ぐに頭を下げる。すぐに顔を上げる。
真坂世那:「えーっ超痛そう……大丈夫なん月夜ちゃん……?」
永良ゆづり:「“スモークスタック”永良ゆづり、よろしく」
七戸瀬月夜:「ご心配痛み入ります。プレゼンでも説明いたしましたが、治療可能な負傷であるとのことでした。ありがとうございます」
シキ:「私達と同い年くらいなのに責任者なんてすごいなぁ」
真坂世那:「無理はしないでね……?」「ね~、偉いよねー束沙ちゃん」
七戸瀬月夜:「本当にすごいです」杏仁豆腐のカップを両手で包むように持っている。
永良ゆづり:「本人がそう言うなら……まぁ、良いの、か」小さく嘆息しつつ。
羽海束沙:「ええと、どうも。……年の割に、所属歴は長いので」
羽海束沙:褒められ方に少しむず痒そうにしながら、髪をかきあげる。
ミツキ:「じゃ、このメンバーで例のリストを追ってくわけですね?」
羽海束沙:「ええ、そうなります」頷く。「皆さん、事件の状況については、既に説明を受けているかと思いますが」
羽海束沙:「敵の正体、目的、“赤い猫”殺害の手段、犯人……何にしても、情報が不足しています」
永良ゆづり:「それも、日本支部長から直接飛んできた要請で。猶予はあまりないと聞いている」
真坂世那:「なる早ってことね~」
真坂世那:「こんだけいれば余裕じゃん?速攻で片付けて打ち上げ行こ!どこにする?カラオケ?」
羽海束沙:「ええ。明らかにすべき事は幾つもありますが、まず何より最優先となるのは手帳の奪還……」
永良ゆづり:「片付けてから決めましょう」杏仁豆腐を押し付けて。
七戸瀬月夜:「カラオケ……」
真坂世那:「はーい……あっこれ新発売のやつ!」
シキ:「あ!いいね~!行こ行こ!!そのあとサイゼでオールしちゃお!」
羽海束沙:「……"ダーリングトニア"。貴方は随分と楽観的ですね」呆れたように溜息。
真坂世那:「いや~……そんな深刻にしてても気負っちゃうし?」
ミツキ:「とりあえず全部終わってからでしょ~」
七戸瀬月夜:「サイゼ……」
永良ゆづり:「気負う気負わないは自由でしょう。しっかりとリーダーの指示に従ってくれるなら、だけど」
永良ゆづり:「束沙こそ、あまり一人で背負い込まないでね」
羽海束沙:「……確かに、まあ。別に、皆さんが仕事後のカラオケをモチベーションにすることは自由ですが……」
羽海束沙:「私が?……そう見えたかしら」
永良ゆづり:「……いえ。念のためよ、念のため」
羽海束沙:「そう……ええ。心得ているわ、大丈夫よ」
永良ゆづり:「頼もしい。兎も角、よろしくお願いするわよ、リーダー」
羽海束沙:そう口にして、少し考える。彼女にならば、この「裏切者探し」の件を打ち明けてしまっても構わないだろうかと。
羽海束沙:「どうも。こちらこそ、頼りにさせてもらうわ」思考とは裏腹に、いつものようにそっけない口調で応じた。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得・購入判定可能です。
永良ゆづり:ロイス保留。購入はボディマでも
七戸瀬月夜:ロイスはまだかも。購入は私もボディアーマーかな
七戸瀬月夜:6dx>=12
DoubleCross : (6DX10>=12) → 10[1,5,6,8,9,10]+10[10]+9[9] → 29 → 成功
永良ゆづり:2dx>=12
DoubleCross : (2DX10>=12) → 7[3,7] → 7 → 失敗
七戸瀬月夜:スゲ~
永良ゆづり:すご
GM:やば
シキ:これはお嬢様
羽海束沙:さっきシナリオロイスに取らなかったので、真坂世那:◯連帯感/疑念 で取っておきます
七戸瀬月夜:UGNハイパーメガアーマー
羽海束沙:ピュアソラ・社会力だ
シキ:ロイス 七戸瀬月夜 親近感/不安○ で取得
永良ゆづり:この卓バディム3枚だったっけ
シキ:すごい
七戸瀬月夜:え!?そうなの
七戸瀬月夜:そんなことしちゃいけないでしょ
七戸瀬月夜:チルドレンだからって……!
羽海束沙:あらっ そういえばそう
シキ:私は応急にしとこう
永良ゆづり:いや、2枚になってる
七戸瀬月夜:2枚でもめちゃ強い
シキ:1dx>=8
DoubleCross : (1DX10>=8) → 3[3] → 3 → 失敗
GM:社会性なし
羽海束沙:私もボディアーマーしてよ
羽海束沙:2dx>=12
DoubleCross : (2DX10>=12) → 8[5,8] → 8 → 失敗
羽海束沙:失敗、おわり
シキ:奥さんに任せてるからな~
永良ゆづり:バディムの重ね掛けはOKかしら
GM:OK!
羽海束沙:じゃあシキちゃんにバディムーヴするか
永良ゆづり:シキさんにバディム
羽海束沙:します
シキ:み、みんな!
七戸瀬月夜:最強だ
シキ:これが絆の力…
シキ:UGNって最高の組織ですね
GM:介護されてる……
羽海束沙:分かってもらえたようで何よりです
シキ:購入成功して終了よ~
永良ゆづり:緑坂市支部の教養を見せつけていけ
ミドル2
GM:ミドル2
GM:情報収集シーンです シーンPCは侵蝕順で永良さん、全員登場可です
永良ゆづり:41+3+1d3
DoubleCross : (41+3+1D3) → 41+3+1[1] → 45
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 5)増加 (42 → 47)
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d3+3(→ 4)増加 (49 → 53)
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 5)増加 (45 → 50)
GM:というわけで現在判定できる情報項目はこちら!
・“赤い猫” 《情報:UGN》難易度7
・リストの行方 《情報:UGN/FH/噂話》難易度11
・“アークティック・ローゼズ”セル 《情報:FH》難易度8
GM:クリアすると新しい項目が空いたりするかもしれません
羽海束沙:ふんふん
GM:また、シキさんは情報:FHについて+2の修正が与えられます。
シキ:やった~!
七戸瀬月夜:とりあえず一番難しいリストのやつやろうかな
七戸瀬月夜:社会に自信ニキ
羽海束沙:お願いしたい~ 後ろでバディムを構えているので…
七戸瀬月夜:そうだバディムが2枚あるんだった……どうなってるんだこの卓は
シキ:では私は溢れ出るFH補正で“アークティック・ローゼズ”セルかな
シキ:腐っても安心
永良ゆづり:頑張って~~
七戸瀬月夜:じゃあ能力訓練:社会は購入に取っておいていいかな。リストの行方を情報:UGNで振ります。
七戸瀬月夜:6dx+1>=11
DoubleCross : (6DX10+1>=11) → 7[1,1,2,3,4,7]+1 → 8 → 失敗
七戸瀬月夜:ウワ~ッ
七戸瀬月夜:ワア~~…ン
羽海束沙:バディム!達成値+3!
七戸瀬月夜:ありがと~♡
GM:何だとぉ……
羽海束沙:ジャスト成功だぜ
シキ:流石ね
永良ゆづり:やったぜ
シキ:こっちも行きます。“アークティック・ローゼズ”セル
シキ:1dx+2>=8
DoubleCross : (1DX10+2>=8) → 8[8]+2 → 10 → 成功
シキ:ヨシッ
羽海束沙:じゃあ赤い猫いこうかな コネ:UGN幹部使用で
羽海束沙:4dx+2>=7
DoubleCross : (4DX10+2>=7) → 10[1,5,7,10]+4[4]+2 → 16 → 成功
GM:こいつら~~
羽海束沙:うふふ
永良ゆづり:順調だぜ
シキ:優秀
GM:優秀チームが代
GM:では一旦開示しましょう
・“赤い猫” 《情報:UGN》難易度7
UGN日本支部、査察部所属エージェント。
正義感と責任感の強いエージェントだったようだが、それ故に査察部としての汚れ仕事に疲れ、疎み、UGN自体を見限ろうとしていたようだ。
復元された通信記録によれば、“ウェイブフィッシュ”と名乗るFHエージェントと取引を交わし、リストを引き渡そうとしていたらしい。
また、彼の恋人でもあったUGNエージェント“瓊音砕き”が行方不明となっており、何らかの形で事件に関与しているものと思われる。
→ ・“瓊音砕き”《情報:UGN》難易度9
・リストの行方 《情報:UGN/FH/噂話》難易度11
現在ごく一部のFHの間で、リストの存在が噂になっているようだ。
リストは現在、情報系セルが運営する完全会員制の裏オークションサイトで入札者を募っている状態らしい。
注目こそ集まっているようだが、あまりにも突然の話で確たる証拠も無く、その上出品者が身元を隠しているため、一部の物好きやリスクを厭わぬ手合いが入札しているに過ぎないようだ。
だが既にかなりの高値が付けられており、今後さらに価格は上がっていくものと見られる。
・“アークティック・ローゼズ”セル 《情報:FH》難易度8
“アークティック・ローゼズ”セルは、オーヴァードの解放を謳いUGNを敵視する、典型的な過激派セルだ。
投薬による強制的な侵蝕上昇・暴走や、人質を用いての脅迫などで、児童オーヴァードを無差別テロの道具に仕立て上げる手口で知られる。
数年前にUGNによる打撃を受けて沈静化していたようだが、ここ最近は再び活発な活動を見せ始めているようだ。
近辺で確認されているエージェントは、“ブレイドブラッド”、“砂滑”、“アンジェリカ”の三名。情報は少ないが、交戦記録からいずれも強力なオーヴァードと見られる。
現在はリストの存在を知り、確保に向けて動いているものと思われる。リストを追っていればいずれぶつかる相手となるだろう。
GM:→ ・“瓊音砕き”《情報:UGN》難易度9 が判定可能になりました。
永良ゆづり:浮いてしまったバディムを抱えつつ、“瓊音砕き”《情報:UGN》難易度9
永良ゆづり:2dx+1>=9
DoubleCross : (2DX10+1>=9) → 4[1,4]+1 → 5 → 失敗
永良ゆづり:悲しみ
GM:おっとォ~
GM:誰かしら再度登場侵蝕を振ることで再判定できるものとします
シキ:得意な人がやれるってわけね
永良ゆづり:社会雑魚の自分だと分が悪いので誰かにお願いしたいです……
永良ゆづり:バディムも残っている
七戸瀬月夜:じゃあ私が登場しよっと!
羽海束沙:出てもいいけどダイス2個だからにゃん
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 10)増加 (50 → 60)
七戸瀬月夜:どりゃ!侵蝕10じゃ!!
GM:かぶきおるわ
シキ:張り切りまくっている
七戸瀬月夜:もちろん瓊音砕き!調べまくってやる~~!
七戸瀬月夜:6dx+1>=9
DoubleCross : (6DX10+1>=9) → 10[2,5,6,7,8,10]+4[4]+1 → 15 → 成功
七戸瀬月夜:ヤッター成功だ~!
GM:つっ 強すぎる
シキ:ミス・パーフェクト
GM:これがピュアソラの力だってのかよ
七戸瀬月夜:これがピュアソラの力だ
永良ゆづり:強い~~
GM:ではめでたくクリア!情報開示します。
羽海束沙:やったね
・“瓊音砕き”について 《情報:UGN》難易度9
“瓊音砕き”はUGN所属の一般エージェントであり、モルフェウス能力者として主に戦闘任務に従事していたようだ。
“赤い猫”の恋人でもあり、二人は同棲していたらしい。
だが今回の事件に際して改めてデータと身辺を洗い直してみたところ、彼女はUGNに潜入していたギルドの工作員であったという疑いが強まった。
“赤い猫”の遺体の損傷もモルフェウス能力によるものであり、彼女の犯行という見方が濃厚だ。
依然として行方不明であり、足取りは掴めていない。
七戸瀬月夜:任務に恋愛を持ち込む色ボケオーヴァードどもが……!
GM:ファミリーレストラン 『ザイセリエA』
GM:各自のルートで情報を収集した君達は、まだ日が高い内に集合し、収穫を共有しあう運びとなった。
GM:昼時を少し過ぎた店内はそこそこの賑わいだが、それほど混み合ってもいない。話を聞かれる心配は少ないだろう。
真坂世那:「……で、みんなどんな感じ~?」
真坂世那:スマホを片手に山盛りのパフェをつついている。
永良ゆづり:「……申し訳ないことに、私は収穫なしね」
永良ゆづり:ポケットから小さな箱を手に取り、中から指ほどの大きさの白い棒を摘まむ。
七戸瀬月夜:「お仕事をお任せくださりありがとうございます。今回はご説明用の資料を作ってまいりました」MacBook Proを取り出します。
シキ:「超おいしい!」満面の笑みでテーブルに並べられた食事を頬張っている。
真坂世那:「あっ不良だ~」
永良ゆづり:窄めるように口に咥える。その隙間から紫煙が吐き出され、天井に昇り詰めていく。
真坂世那:「てかここ禁煙席だし!怒られるって!」
羽海束沙:「こちらも、幾らか進捗があったわ」ジェラートをすくいながら、周囲に目を配り。「……この場所でなら、話してしまっても大丈夫そうね」
永良ゆづり:「大丈夫よ、これココアシガレットだから」ぱき。
シキ:ミラノ風ドリア、ペペロンチーノ、カニグラタン、ハンバーグ等、皿はもう半分以上空になっている。
真坂世那:「煙出てるのに!?」
羽海束沙:「能力で煙を出してるんです。紛らわしいけれど……」
永良ゆづり:「私の能力よ。火のない所に煙を立てることが出来る」
真坂世那:「え~っ面白!かくし芸じゃん!」ケタケタ笑っている
永良ゆづり:「害はないから安心していい。なんならバフがつく」
七戸瀬月夜:「お店の席を使わせていただきながら持ち込みのお菓子を食べるのは、お店の方に悪いような気がいたします……」
羽海束沙:「でも、店員に注意されたら言い訳できないでしょ。ここではしまっときなさい」
永良ゆづり:「……そうね、そう思って貰ってもいいわ」苦笑しつつ。
永良ゆづり:「はいはい」そのままシガレットを飲み込む。
七戸瀬月夜:「お菓子がご所望でしたらメリンガータを頼みましょう」
シキ:「メリン……何それ?」
ミツキ:「何それ……?」声が重なる
七戸瀬月夜:「この、キルト地のような見た目のケーキで……いえ、情報の共有でした」
七戸瀬月夜:「申し訳ございません。すぐに始めさせていただきます。まずはリストの現状から説明いたします」
羽海束沙:「気になるなら頼むなりすればいいけれど、そうね。本題を忘れないで」
永良ゆづり:「サイゼで頼める冬限定デザート。ザイセにはあったかしら……」
シキ:「そ、そうだね!お仕事お仕事……!」
七戸瀬月夜:MacBook Proの画面を他の全員に見せ、『リスト(仮称)の所在調査についての報告 第一報』というスライドを開始します。
真坂世那:「すご!もう作ったの!?」
七戸瀬月夜:「リストは現在、不明な情報系セルが運営する会員制裏オークションサイトで入札者を募っているとのことです」
羽海束沙:「つくづく用意がいい……」
シキ:「あっすいませんこのメリンガータってやつ……はい」近くにいた店員に小声で伝える。
永良ゆづり:「オークション。リストの存在が真であることを知らない者からすれば眉唾ものだけど……」
七戸瀬月夜:リストが渡ったと思しき経路のアニメーションとともに、情報提供者の写真や参考文献などが出てくる。
七戸瀬月夜:「永良様の仰るとおりでございます。FH内でもこのリストの存在は疑わしいものという認識が一般的のようです」
七戸瀬月夜:「ただし、そうした怪しげな事柄であるほど手を出したがる方がFHには多いのも事実」
シキ:「あー確かにそういうとこあるかも」
七戸瀬月夜:「何度かの入札合戦を経て、昨日14:39時点での価格はこちらのようになっております」
永良ゆづり:「ぐうの音も出ない程の正論ね……」
真坂世那:「いち、じゅう、ひゃく、せん…… えっマジ?こんなに?」
シキ:「うぇ~0が多すぎて目が滑るよ~」
永良ゆづり:「なるほどね。不確定なモノだからこそ人気が集まっていると」
七戸瀬月夜:「非常に重要な、多くの人命に関わるリストがこのように扱われていることについては、私からも遺憾の意を表明いたします」目を伏せる。
永良ゆづり:「確かに、放っておけないわね。出品者から足取りを辿れれば理想的だけど……」
羽海束沙:「まあ、元よりそういう連中ですからね。命すらも資源のように見ていると言うべきか」
羽海束沙:「こちらで買い返すという手も考えられはするけど、あまり好ましくはない手段ね」
ミツキ:「その辺に関してはあたしからちょっとあるんだけど……」
ミツキ:「まあ、後にしよっか。他の方どうぞ~」
永良ゆづり:「入札に勝っても手に入るかすら怪しいけどねぇ」嘆息
シキ:「まーたミツキはそうやって勿体つけて……まあいいけどね」
七戸瀬月夜:「ご静聴いただきありがとうございました」ノートパソコンを閉じて一礼する。
羽海束沙:「そうね」息を付いて、スプーンを置き。「こちらは、"赤い猫"の素性について洗っていたわ」
羽海束沙:「結論から言うと、彼はクロです」
シキ:「クロって、じゃあ操られたとかじゃなくて」
永良ゆづり:「裏切り者だったってこと?」
七戸瀬月夜:「自らのご意思で行動されていたということだったのですね」
羽海束沙:「ええ。査察部としての活動の中で、かなり精神的に疲弊していたようで」
真坂世那:「悪いやつってこと!?」
シキ:「へぇ~、てか査察部っていったら超エリートなんでしょ?そんなブラックな部署なんだ……」
羽海束沙:「彼の端末の通信記録には、"ウェイブフィッシュ"を名乗るFHエージェントに、例のリストを渡そうと手配する会話内容が残っていました」
羽海束沙:「少なくとも、リストの紛失が彼の意思に基づくものであった事は疑いないでしょう」
羽海束沙:「更に、彼の恋人であったというUGNエージェント……"瓊音砕き"については、数日前から行方が掴めなくなっているようです」
永良ゆづり:「随分とタイムリーな失踪ね」
羽海束沙:「ええ。どういった因果かは、まだ分からないけれど……」
シキ:「痴情のもつれって奴かな?どこにでもあるよね~そういうの」
七戸瀬月夜:「……」両手を胸の前で合わせたまま、真剣に聞いている。
永良ゆづり:「ただでさえUGNの業務は機密性が高いし、精神の軋轢が恋人に向けられたという見方も出来るけど……」
真坂世那:「その恋人が殺したか、一緒に殺された?って感じなのかな」
羽海束沙:「いずれにしても、"瓊音砕き"は有力な容疑者と見るべきでしょうね」
永良ゆづり:「兎も角、"瓊音砕き"は重要参考人ね。捕まえて洗い浚い吐いて貰いましょう」
七戸瀬月夜:「"瓊音砕き"について」
永良ゆづり:「……あら?」
シキ:「……」羽海と永良を意味深な表情で見て
七戸瀬月夜:「私の方で調査していたことがございます。プレゼン資料については作成途中でございましたが……」
真坂世那:「えっ、そっちも?月夜ちゃん仕事早すぎない?」
シキ:「(ねえねえミツキ、あの二人さっきからちょいちょい妙に息合ってるよね?付き合ってんのかな?)」
七戸瀬月夜:「"赤い猫"事件を調べていらっしゃった調査部の方からの聞き取り結果ですので、特段私が優秀というわけでは……」
ミツキ:「(こんな時に何の話……ちゃんと集中しなよ~)」
羽海束沙:「いえ、何にしても助かります。聞かせてください」
七戸瀬月夜:「ただ、"瓊音砕き"様には、ギルドからの潜入工作員の嫌疑がかかっております」
七戸瀬月夜:「"赤い猫"様の遺体の傷口からはモルフェウス能力によるものと思われる破片が検出されました」
シキ:「(はいはい、こういう時だけマジメぶるんだもんな~)」
七戸瀬月夜:「これは"瓊音砕き"様のシンドロームと一致します」
真坂世那:「ええ~っ、真っ黒じゃん」
羽海束沙:シキからの視線や密談には気づかないまま、七戸瀬さんの話に聞き入っている。
羽海束沙:「……成程」
七戸瀬月夜:「そして外部流出したリストは、その情報を使った作戦が展開されるわけでもなく、営利目的の裏オークションに……」
羽海束沙:「FHというよりもギルドらしいと言えば、確かにそうね」
七戸瀬月夜:「はい」
シキ:「ってことは、最初からそれを狙って近づいたのかも?」
シキ:「ハ、ハニートラップ……的な?」頬を染めて
羽海束沙:「査察部のエージェントと恋愛関係にあった事からして、UGNの中枢情報に近づく目的だったのでしょうね」
ミツキ:「あり得るね。ギルドがやりそうなことだ」
七戸瀬月夜:「そんなことのために恋愛を!?」びっくりする。
羽海束沙:「ハニートラップ……確かに、そう言い換えた方が通りが良いか」
永良ゆづり:「ハニー……かは知らないけど、"赤い猫"の裏切りが"瓊音砕き"による唆しってこともあり得るのね」
シキ:「月夜ちゃんそこは驚くんだ」少しホッとした様子で
七戸瀬月夜:「すみません。びっくりしてしまって」
羽海束沙:「そりゃ、利益の為なら人だって殺す連中よ。恋愛こそ、奴らにとってみれば『そんなこと』なのでしょうよ」
七戸瀬月夜:「すごい。勉強になります」
真坂世那:「あんま学ぶべきやつじゃなさそうだけどな~」
永良ゆづり:「……そんなこと、ね」
シキ:「だとしたらマジ許せないね!乙女の純情を弄びやがってあのヤロ~!!」
羽海束沙:(弄ばれているのは男の方では……?)どうでもいい事だと思ったので口には出さない。
シキ:「っといけない。関係ないこと思い出しちゃった。話を戻してと……」
永良ゆづり:「じゃあ、今回はそういう乙女の敵を捕まえる仕事ってことで。皆で頑張りましょう」
真坂世那:「何にしても、セルもいくつか動き出してるみたいだし、うかうかしてらんないね」
シキ:「そういうこと!」
永良ゆづり:「そうね、直近で動きが活発化したセルの動向も気になるところだけど……」
シキ:「あ、そうそう。その動いてるセルについてちょっと当たってみたんだけど」
シキ:「月夜ちゃんが言ってた所、ガッツリ食いついてきてるみたいだね。“アークティック・ローゼズ”セル」
七戸瀬月夜:「“アークティック・ローゼズ”!」驚きます。
真坂世那:「おお、どしたん月夜ちゃん。知り合い?」
七戸瀬月夜:「シキ様。大変失礼いたしました。私が襲撃された事件は今回の任務にぜんぜん関係ないと申し上げましたが」
七戸瀬月夜:「関係ございました」深く頭を下げる。
永良ゆづり:「っ……」ドリアを掬おうとした、スプーンを握る手に力が入る。
シキ:「いやいや、月夜ちゃんが謝ることじゃないよ!むしろ事前情報のおかげで詳しく調べれたっていうか」
七戸瀬月夜:「はい。以前のプレゼンでご説明申し上げた通り、お姉様……襲撃犯が現在所属している可能性が高いセルが“アークティック・ローゼズ”となります」
真坂世那:「バリバリ関係してるじゃん!」
シキ:「そのセル、もともとクスリやら拉致洗脳やらあくどいこと沢山やってたみたいで、一回UGNに凹まされてるんだけど」
七戸瀬月夜:「なんという危険組織」
シキ:「最近になってまた復活してきたみたいなんだよね。頭が変わったりしたのかな」
シキ:「名前がわかってるのは“ブレイドブラッド”、“砂滑”、“アンジェリカ”」
シキ:「この中で知ってる奴いたりする?」
羽海束沙:「いえ……どれも、聞いたことがない名ね」
七戸瀬月夜:「"アンジェリカ"はお姉様のコードネームでございました」
七戸瀬月夜:「同一人物である可能性は非常に高いと存じます」
永良ゆづり:「……前者二人は、聞いたことがある。小柄で金髪の女子と、無骨な大男だった、かと」
ミツキ:「少なくとも3人。みんなでリストの確保に動いてるとすれば、厄介だね」
羽海束沙:「会ったことがあるの?」永良さんに。
永良ゆづり:「……過去の任務で、調べる機会があった。データベースに残っている情報はさほど無いようだけど」
永良ゆづり:「セルの前線で活動に足り得るオーヴァードとみられる。ってくらい、ね」
羽海束沙:「成程ね。……確かに、警戒すべき相手ではあるけれど」
シキ:「とりあえず、全員顔がわかってるんならやりやすそうだね」
永良ゆづり:「……ええ、気を付けた方が良さそう」グラスの水を飲み干しながら。
七戸瀬月夜:「……」
シキ:「てか、月夜ちゃんが"レベッカ"でお姉さんが"アンジェリカ"なんだ……変わったコードネームの付け方ていうか」
永良ゆづり:「まるで、人名で揃えようとしているみたい」
七戸瀬月夜:「ふふ。そう見えますでしょうか?」
羽海束沙:(問題は、警戒できるかどうか)七戸瀬さんを見る。彼女が姉からの攻撃に対して抵抗しなかった、という話は報告の中で聞いている。
シキ:「大抵はもっと大仰な意味の名前にするじゃん?FHって特にこう、自分とこのセルのコンセプトがはっきりしてるっていうかさ」
七戸瀬月夜:「私達は家族でございましたので」
七戸瀬月夜:「大きな名を名乗る必要はなかったのでしょう」
七戸瀬月夜:テーブルの水を眺めながら言う。
ミツキ:「へ~、家族……うちとちょっと似てるね」
シキ:「うん、そだね……」
羽海束沙:「……家族、ですか」
永良ゆづり:「不思議よね。片や、人を操り道具や兵器に仕立て上げるセルもあれば」
永良ゆづり:「人員同士に親族の繋がりを作るセルもある。こうも、違いが出るものなのか」
シキ:「……月夜ちゃん、最初に言った話に戻っちゃうけど」
七戸瀬月夜:「はい。なんなりと」
シキ:「“アークティック・ローゼズ”セルがここまで事件に関わっている以上、お姉さんと戦うことになる可能性は高いと思う」
七戸瀬月夜:「はい。私もそのように考えております」
シキ:「もしそうなって、この中の誰かが危険に晒されたら」
シキ:「私は迷わずお姉さんを殺す」
シキ:「それでも大丈夫?」
七戸瀬月夜:「いいえ。大丈夫ではございません」
シキ:「ま、そりゃそうだよね……」
七戸瀬月夜:「ですが、そうであればなおさら、私が同行する必要があると存じます」
七戸瀬月夜:「誰にもお姉様を殺させることのないよう、そしてこの中の誰かが危険に晒されないよう――」
七戸瀬月夜:「力を尽くすことが、この任務における私の役割であると理解しました。一命を懸けて取り組まさせていただきます」
シキ:「そっか……月夜ちゃんがそこまで言うからには心意気だけの話じゃないっぽいね。実際にそうする力があるってことか」
七戸瀬月夜:「……シキ様。厳しいお言葉は私の心情をお気遣いしてのことと存じます。本当にありがとうございます」
シキ:「……ううん。私が嫌な思いしたくなかっただけ。変なこと言ってごめんね」
羽海束沙:「……私からも一つ、訊いてもいいかしら」
七戸瀬月夜:「羽海様も、どうぞなんなりとご質問くださいませ」
羽海束沙:「貴方にとって、お姉さんの存在が今も大切なものであるという事は理解しました。なら」
羽海束沙:「家族として、彼女の傍にいたいとは思わないのですか?」
七戸瀬月夜:「………………」
七戸瀬月夜:「………思います」
羽海束沙:「ならば、どうしてUGN(ここ)に?」
羽海束沙:「……率直に言って、私は今」
羽海束沙:「貴方のことを……信じてしまって良いものか、悩んでいます」
永良ゆづり:「……束沙?」
七戸瀬月夜:「……。私の感覚は、どうも外で育った方とは離れているようで、すぐに信頼していただくことは難しいかもしれません」
七戸瀬月夜:「けれどこれは、私の中では、とても筋が通っていることです」
七戸瀬月夜:「私達の家族の幸せは、多くの人々の不幸と、犠牲の上で成り立っていました」
七戸瀬月夜:「それは家族の内側を見続けていた私には見えなかった事柄でした。ですから、私達の所業を精算するのであれば――」
七戸瀬月夜:「家族とともにいてはならないと考えています。それがどれだけ幸せなことでも、再び家族の外に目を向けることはできなくなってしまうでしょう」
羽海束沙:じっと目を合わせたまま、彼女の言葉を聞き届ける。
羽海束沙:「……そう。分かりました」
羽海束沙:「嫌なことを言ってごめんなさい。でも」
羽海束沙:「口先で信じる振りをしながら腹を探るよりは、はっきり疑っていると言葉にした方が」
羽海束沙:「私の性には合っていた、から」
七戸瀬月夜:「……ありがとうございます。羽海様も、私と同じようなものの考え方をされるのですね」
七戸瀬月夜:「私も、自分が聞く側であればどう思うのかと考えることがあります――」
七戸瀬月夜:「愛している肉親のことを、組織として敵対するからといって『今は嫌いだ』とか『殺してしまっても良い』と答える人間は」
七戸瀬月夜:「果たして信用を受けるに値するのでしょうか?」
シキ:「あはは、成程ね。確かに嫌かも」苦笑する
羽海束沙:「……貴方、よく真面目って言われてそうね」
羽海束沙:「私もよく言われる」
永良ゆづり:「ホントにね」
真坂世那:「ぽいな~」笑う。
羽海束沙:「……全部信じる、とは、まだ言えないけれど」
シキ:「同じ真面目でも、束沙ちゃんはヒイラギタイプで月夜ちゃんはヒサギタイプって気がするな……」一人で納得して頷いている
羽海束沙:「今の言葉が皆……貴方の本心からのものだったら良いと、期待しているわ。七戸瀬月夜さん」
七戸瀬月夜:「ありがとうございます」深く頭を下げる。
永良ゆづり:「(……家族、か)」ガラス窓の外へ目をやり、行き交う子供連れの家族に目をやる。
永良ゆづり:「(守るために、手放すものの取捨選択を迫られた時。七戸瀬さんは家族の絆を信じて答えを出した)」
永良ゆづり:「(では、私は──)」
ミツキ:「……さて!」
ミツキ:ぱし、と両の掌を合わせて。
シキ:「わっびっくりした」
ミツキ:「じゃあこの辺で、さっき先送りにした話をしよっか」
ミツキ:「七戸瀬さんがプレゼンしてくれた、例のオークションサイトだけど……」
羽海束沙:「何か案が?」
ミツキ:ノートPCを開きつつ「流石に色んなセルが利用してるだけあって、セキュリティは万全でね」
七戸瀬月夜:「インターネットに強いブラックドック能力者もおりますでしょうしね……」
ミツキ:「そうなんだよね~。クラッキングどころか、紹介を受けた正会員じゃないと入札すら出来ないようになってるんだよね」
シキ:「えぇ~?じゃあどうすんのさ?」
永良ゆづり:「迂闊に手が出せないわね。此方も専門家を呼ぶとか?」
ミツキ:「……なんですけれども、はい」
羽海束沙:「確かに、それくらいでなければこんな金額の支払いを預けることなんてできないでしょうものね……」
永良ゆづり:「はい」
ミツキ:PCのモニタを見せる。そこにはログイン済みのアカウント管理画面が表示されている。
ミツキ:「ログインできております」
永良ゆづり:「あら」
シキ:「できてる!!」
羽海束沙:「へっ」
羽海束沙:「これは、どういうこと……?」
七戸瀬月夜:「すごい」
ミツキ:「いや、言っちゃえばなんてことはないんだけどね」
ミツキ:「あたし達の元セル……"チェッカード"って言うんだけど。研究とか実験を主な活動にしてたセルでね」
ミツキ:「そこで使う素体とか薬品を裏ルートで仕入れてたらしくて。そのアカウントがまだ残ってたってわけ」
シキ:「おお~!」
七戸瀬月夜:「ミツキ様達も元の所属はFHだったのですね」
七戸瀬月夜:グラスを両手で包むようにして水を少しずつ飲んでいる。
永良ゆづり:「なるほど、理屈は分かったけど。"チェッカード"なるセルの他人員は、このアカウントを知っているの?」
シキ:「でかしたミツキ!物持ちが良い女!!」
シキ:「知りませんでした」しれっと
ミツキ:「そこは大丈夫。"チェッカード"はもう全滅してるから」
永良ゆづり:「なら、安心ね」二人を見つつ。
羽海束沙:「壊滅したセルのアカウントでも、普通に使えてしまうのね……」
シキ:「そうそう。生き残った子はまだいるけど、多分他の子も知らないんじゃないかな?研究員が使ってたアカウントでしょ」
永良ゆづり:「それどころか、過去の取引実績で信頼もそれなりにあるでしょうし。渡りに船ね」
ミツキ:「壊滅したのも地下での話だから、まだ知られてないだろうしね」
ミツキ:「それで、UGNに打診してみたら……」
羽海束沙:「成程。それなら、向こうに手を打たれてる心配もないかしら」
ミツキ:「これくらい予算が下りました」電卓アプリを叩く。0が相当数並んでいる。
七戸瀬月夜:「こ、こんなに」
七戸瀬月夜:「差し出がましい疑問なのですが、本当によろしいのでしょうか?これだけの金額が反社会的組織の手に渡ってしまうということになるのでは……」
羽海束沙:「全く良くはないけれど……この手帳を失うことに比べれば、ずっとマシという判断なんでしょう」
永良ゆづり:「それだけ余裕がないのよ。そもそも日本支部長直々の指令なのだから」
ミツキ:「でもやっぱり、回収込みじゃないとこの額は出せないって言われちゃったね~」
シキ:「あ、やっぱそうなるんだ」
羽海束沙:「落札することが絶対条件という訳ね」
七戸瀬月夜:「失敗のできない作戦ということですね」
ミツキ:「最低でも持ち逃げだけはされないようにしないと。直接の受け渡し含め、その辺の荒事はみなさんにお任せします」
永良ゆづり:「……了解したわ」
シキ:「私も頑張るからね!大船に乗ったつもりで大丈夫!!」
七戸瀬月夜:「この作戦に臨むやる気は誰にも負けないと自負しております」
七戸瀬月夜:ぐっ、と両手を小さく持ち上げて握る。
羽海束沙:「サイトとしての信頼性を捨ててまでそんな事をしてくるかは、微妙な所だとは思うけれど……私達がUGNであると突き止めたなら、構う必要もないか」
シキ:「てかこの勢いでオークションも潰しちゃえば良いんじゃない?予算も回収できて一石二鳥!!みたいな」
ミツキ:「そこまで上手くいくかは謎だけど~」
ミツキ:「あくまでセキュリティが固いのはサイト本体だけだから、他のセルにはガセ情報を流してこれ以上の入札を控えさせる方向で動いてみるね」
ミツキ:「首尾よく落札でき次第連絡するから、それまではまた情報収集と準備をお願いする感じになるかな」
七戸瀬月夜:「了解いたしました」
ミツキ:「誰が出てくるか分からないけど、穏便に済むかどうかは怪しいからね~」
羽海束沙:「……助かります。了解しました」
シキ:「ヤバ、ミツキなんでもできるじゃん」
シキ:「よっし!無事成功させてカニ鍋食べるぞ~!!」
七戸瀬月夜:「大変有能で素晴らしい方だと思います」
七戸瀬月夜:「私からも、多大な貢献に感謝申し上げます」頭を下げる。
ミツキ:「えぇ~、や、そんな褒められても……ええ~……?」
シキ:「そうそう全然大したこと無いってば~、家ではダラダラしてるだけだしぃ」何故か自分も照れる
七戸瀬月夜:「?」
羽海束沙:「そうね。これだけよく働いてくれるなら、エージェントとしてスカウトしたいくらいかも」
七戸瀬月夜:「ミツキ様とシキ様は一緒に暮らしていらっしゃるのですか?」
永良ゆづり:「某市程ではないけど、いつでも人員不足だからね。人が多いに越したことはないし」
シキ:「ん?うんそうだよ。私らも家族だからね」
ミツキ:「あ~……まあ~……」歯切れ悪く目を逸らす。
七戸瀬月夜:「どちらなのですか?」
ミツキ:「そ、そうだね……一応……一応ね!」
シキ:「なんだよ照れんなよ。うりうり」肘で小突く
ミツキ:「(余計なこと言わないでよ!)」机の下で足を蹴る
永良ゆづり:「……仲が良さそうで何より」
七戸瀬月夜:「そういうことならば、ますます安心ですね」
七戸瀬月夜:「家族の……絆は、何よりも強いですから!ぜひ、ともに頑張りましょう」
真坂世那:「うん、頑張ろ頑張ろ~」
真坂世那:空になったパフェの容器から顔を上げ、笑顔で口を開いた。
GM:オークションは無事に成立し、落札者である君達のもとには、出品者から受け渡し場所の連絡があった。
GM:そこは人里離れた僻地であり、UGNどころかFHの目も届かないような場所だ。
GM:君達はミツキの運転するワゴン車に乗り込み、一路目的地へと向かっていた。
七戸瀬月夜:「恐れ入ります。会話をしても構いませんでしょうか。シキ様」耳元でささやきます。隣同士の席だが……
シキ:「ひゃっ!びっくりした」耳元で囁かれて飛び上がる
シキ:「もう、全然遠慮しないでいいのに~」
七戸瀬月夜:「失礼しました。声が小さいもので……」
シキ:「何でも好きなこと話して!私も月夜ちゃんともっとお話したいと思ってたし!」
七戸瀬月夜:「ありがとうございます!」
七戸瀬月夜:おじぎをして、前の座席に額をぶつける。「あいた」
七戸瀬月夜:「……お恥ずかしいです。ええと、シキ様は……普段、どのようなお仕事をされているのでしょうか?」
シキ:「こら!ミツキ!月夜ちゃんが頭ぶつけちゃったでしょ!もっと席引く引く!」
シキ:「お仕事?んーなんていうか……」
シキ:「骨董品とか、古くなった機械とかを改修して売ってる……アンティークショップ?みたいな」微妙に自信なさげ
シキ:「ぜんぜん儲かってないんだけどね~」
七戸瀬月夜:「それは素晴らしいお仕事ですね!機械の修理がお得意なのですか?」
七戸瀬月夜:「それとも、骨董品の目利きに自信があるとか……私はそのどちらもなくて、いつも困っております」
シキ:「ミツキが機械に強いからね~。ブラックドック能力者だし」
シキ:「目利きの方は……まあ……ぼちぼち?」目を逸らす
七戸瀬月夜:「確かに、とてもインターネットに強いお方でした」
七戸瀬月夜:「私はこの歳でネットショッピングとMicrosoft Officeが少し使えるようになったくらいだというのに……」
シキ:「え~?でも月夜ちゃんだってほら、説明の時に用意してくれたスライドとかすごくわかりやすかったじゃん!」
七戸瀬月夜:「えへへ。練習して作れるようになりました」
シキ:「パワポでしょ?パワポ!!かっこいいな~憧れるな~」
七戸瀬月夜:「ありがとう存じます。ふふ。今後ともより精進してまいります……!」
七戸瀬月夜:ぐっ、と両手を握る。
七戸瀬月夜:「それで、シキ様はアンティークショップでは……」
七戸瀬月夜:「接客など対応していらっしゃるのですか?あるいは帳簿の管理など……」
七戸瀬月夜:「どれも非常に重要なお仕事かと存じます」
シキ:「そうだね~、帳簿の管理はミツキに任せてるかな。私数字苦手だし」
七戸瀬月夜:「それもミツキ様が」
シキ:「接客もまあ、ミツキがやってることが多いかなぁ。基本いっつも家にいるから」
七戸瀬月夜:「それもミツキ様が」
シキ:「……」
七戸瀬月夜:「…………」
シキ:「……あれ!?私仕事何やってんだっけ!?」
七戸瀬月夜:「……大丈夫です!現在は様々なライフスタイルが許容されゆく時代だと私は勉強いたしました」
七戸瀬月夜:「多様性の時代です。シキ様も自信をもってくださいませ」
シキ:「そ、そうだよね!?私にしかできないことがきっとあるよね!?」
七戸瀬月夜:さすがに察するものがあり、はげましモードに移行する。
七戸瀬月夜:「それに、ミツキ様が得た情報を元にこうしてシキ様が現場に向かっているわけではありませんか」
七戸瀬月夜:「運転しているのもミツキ様ですけど……」
シキ:「な、なにをおっしゃるミツキちゃん!」どぎまぎしつつ
シキ:「これは……そう!"任せている"の!」
七戸瀬月夜:「信頼関係……!?」
シキ:「上に立つ人間は時に自分で何でもしてしまいがち!なぜならその方が早いから!!」
七戸瀬月夜:「なるほどそうかもしれません」
シキ:「けどそれじゃあ人は育たない!何事もやってみさせることで、組織としての総合力が養われるの!!」
七戸瀬月夜:「つまりシキ様は、今も本当は自分で運転もできるところを、敢えてミツキ様に任せている……!」
シキ:「そのとおり!!できないのではなく、あえてやらない!!」
シキ:「覚えておきなさい月夜ちゃん。これが経営者の心構えってやつよ」
七戸瀬月夜:「なるほど~」
シキ:「フッ、もちろんいよいよとなれば私の本気を見せるのもやぶさかではないけどね……」
七戸瀬月夜:「ええと、お仕事以外の話だと……その」
七戸瀬月夜:メモ帳をめくっている。『お友達』『趣味』『家族(打ち消し線)』『犬と猫のどちらが好きか』
七戸瀬月夜:「あ!……とってもいい天気でございますね!シキ様」
シキ:「え?そ、そうね?」外を見る。俄か雨が降りそうだ。
七戸瀬月夜:「このくらいがちょうどいい天気とも言えましょう」
シキ:「ん、んん~~」
七戸瀬月夜:「も、申し訳ございません。いい天気というのは多少言い過ぎでございました」
シキ:「もう!最初に言ったじゃん、遠慮しなくて良いんだってば!!」がばっと肩を寄せる
七戸瀬月夜:「ふわわ」
シキ:「友達なんだから、小粋な会話とかそつない話題の振り方とか」
シキ:「そんなん気にしなくていいの!言いたいことを好きに言っちゃえば良いんだから」
七戸瀬月夜:「そうなのですか……!」
七戸瀬月夜:「では、シキ様はお胸がとても大きいのですね……」押し付けられているので、感じたままの感想を言う。
シキ:「おやおや、月夜ちゃんもスキですねぇ~」
シキ:ニヤつきながらもっと押し付ける
七戸瀬月夜:「わわわ」
七戸瀬月夜:「好きというわけでは、その」
シキ:「あはは、わかってるって~じゃれてるだけ~」
シキ:「小さい頃お姉さんとしたことない?」
七戸瀬月夜:「一緒にお風呂に入ったりなどは……」
シキ:「お風呂!いいな~羨ましいな~!」
七戸瀬月夜:「けれどお姉様はお胸について少し思うところがあったようで、じきに入らなくなり……」
七戸瀬月夜:「よく考えたらシキ様のような体型の方のことがお嫌いだったのかも……」
シキ:「そ、そうなんだ……」
シキ:「別に大きくても良いことばっかじゃないよ?肩凝るし……」
七戸瀬月夜:「なので咄嗟にそのことが思い出されてしまい、胸の話などを。失礼いたしました……」
シキ:「って、月夜ちゃんに行っても仕方ないか」
七戸瀬月夜:「あ!肩が凝る人間が嫌いとも仰っていました」
七戸瀬月夜:「どうしてなのでしょう?」
シキ:「もうそれ役満じゃん!」
七戸瀬月夜:「役満とは?」まばたきをする。
シキ:「役満ってのはマー……いや、月夜ちゃんには早すぎる!」
七戸瀬月夜:「いずれご教授いただければ幸いです」
シキ:「あんな汚い世界のことは知らなくていいの……!そのままの貴方でいて」麻雀マンガの知識だけで語っている。
七戸瀬月夜:「しかし、家族のお話はあまりしないほうがよいと決めておりましたけれど……」
七戸瀬月夜:「……やはり、一度口にしてしまうとどうしても話が弾んでしまいます」
七戸瀬月夜:「シキ様はお嫌ではありませんでしたか?」
シキ:「ぜんぜん!いいじゃない家族の話。私も好きだよ」
シキ:「もう会えないとしても……いや、会えないなら尚更さ」
シキ:「思い出くらい大事にしてあげないと、かわいそうだと思わない?」
七戸瀬月夜:「……私もUGNで活動を始めた頃は、会う方皆に家族のお話をしておりました」
シキ:「へぇ~、なんでやめちゃったの?」
七戸瀬月夜:「どのような料理を好きだったか、休日にはどんなスポーツをしていたのか、大お兄様が書いた詩のことだとか……」
七戸瀬月夜:「……お姉様のお話だって、何度もしたことがございます。けれど、UGNチルドレンは――勿論、FHチルドレンの多くも」
七戸瀬月夜:「親御様の顔も知らない方や、あるいは不幸な家庭に痛ましくも生まれてしまった方など」
七戸瀬月夜:「必ずしも家族の話題が好かれるものではないと学んだのです」
シキ:「あ~……そっか、そういうケースも有るのか」
シキ:「優しいね月夜ちゃんは。その人たちを哀しませたくなかったんだ」
七戸瀬月夜:「はい……」
七戸瀬月夜:「それに私の幸せな思い出も、多くの人々を犠牲にして作り上げてきた日常でした」
七戸瀬月夜:「私の家族は、実は血縁関係はなくて……私も拉致されて家族の一員に加わっていたのだと、後から聞きました」
シキ:「……」
七戸瀬月夜:「"七戸瀬家”は家族の作成が目的のFHセルだったのです」
七戸瀬月夜:「ですから、私が自分の家族の幸せを語ること自体も、人を不快にさせてしまうことなのかも……と、後から気づきました」
シキ:「……そか、そうだよね。FHのセルが普通の家族な方がおかしいか」
シキ:「えと、月夜ちゃんの元の家族については何かわかってるの?」
シキ:「拉致される前の、産みの親?ってやつ」
七戸瀬月夜:「それは……」
七戸瀬月夜:「…………」
七戸瀬月夜:「……調べるのが、怖くて……」
シキ:「そっか……」
シキ:「無理もないよね……どんな手段で拉致されてきたかわかったもんじゃないし」
七戸瀬月夜:「とてもひどい両親で、私を捨ててしまっていたのならよいのに……と、残酷なことを考えてしまうこともあります」
七戸瀬月夜:「けれど、もしも両親のどちらかでも……。私のことを待ち望んで、愛していたのなら」
七戸瀬月夜:「私は、そんな本当の家族の幸せを裏切って、家族を作ってしまっていて……」
シキ:「……違うよ」
七戸瀬月夜:「……」
シキ:「裏切ったのは月夜ちゃんじゃない」
シキ:「一番最初が嘘だっただけ。ただそれだけじゃん」
七戸瀬月夜:「……そう仰ってくださる方もいます。けれど私は、本当の両親から子を奪った家族の皆も愛しているのです」
シキ:「いけないこと?」
シキ:「私もね、ずーっと嘘つかれてたんだ。好きな人に」
七戸瀬月夜:「……好きな方がいらっしゃったのですか?」
シキ:「うん。もう死んじゃったけどね」
七戸瀬月夜:「それは……大変に痛ましく思います。お悔やみ申し上げます」
シキ:「あはは、そんな惜しまれるようなやつじゃないよ。自分の実験のためだけに私達姉妹を弄んだ奴なんだから」
シキ:「そう、私達もはじめは、あいつが仕組んだおままごとだった」
七戸瀬月夜:「家族のようなものでしたか?」
シキ:「家族だよ。一番最初が嘘でも」
シキ:「その後に育んだ絆は本当」
七戸瀬月夜:「それは……私も、心からそう思います!」
シキ:「でしょ?だからさ、負い目なんて感じる必要ないじゃん」
七戸瀬月夜:「それは……」
七戸瀬月夜:「……いいえ。それは、私にとっては違うのです」
シキ:「そう?」
七戸瀬月夜:「もしも、それを良しとしていたなら、私は……今もFHとして生き残った家族とともに暮らしていたでしょう」
七戸瀬月夜:「少なくともお姉様は、そうしたいと思っております。そのように誘われました」
七戸瀬月夜:「でも私は……家族皆が犯した罪を精算して、負い目を感じることなく、あの日々の幸福を思い出したい……」
七戸瀬月夜:「……だからUGNとして戦うのです」
シキ:「真面目だなぁ……色々損してそう」苦笑して
シキ:「けど、うん……」
シキ:「きっと、親の教育が良かったんだろうね」
七戸瀬月夜:「ありがとう存じます」
七戸瀬月夜:きっちりと足を揃えて、お辞儀をする。
七戸瀬月夜:「シキ様は、こうしたお話を嫌がると思っておりました」
七戸瀬月夜:「名字が『ない』と仰っておりましたから」
シキ:「確かに親はいないかな。私の家族は姉妹だけだから」
シキ:「でも、楽しいよ。月夜ちゃんが楽しそうに話してるから、私も楽しい」
七戸瀬月夜:「それは、とても嬉しく思います……」
シキ:「ま、他所でも話せばいいのにとはもう言わないけどね~。月夜ちゃんがそこまで決意してることだし」
シキ:「けどさ、もしどうしても話したくなった時は」
シキ:手作りの名刺を渡す。
シキ:「ウチの店に来なよ。どうせ暇だし」
七戸瀬月夜:「私、シキ様のお得意なことが分かりました」
シキ:「私は、嫌がらないからさ」
七戸瀬月夜:「――お客様と仲良くなることがお得意なのですね。ぜひ、伺わせていただきます」
シキ:「お待ちしております。っと」
シキ:「いっやぁ~、いっそのことウチの妹になってくれないかなぁ~」だらしなく崩した顔を外に向けた。
羽海束沙:「……ねえ」揺れる車内で、ぽつりと隣に腰掛ける少女にだけ聞こえるような声。
永良ゆづり:「ん、何かしら」目深に被っていた帽子を持ち上げる。
永良ゆづり:「やっぱ吸ってもいいことになった?」
羽海束沙:「それはダメ。普通に煙が籠もるし、窓を開けたら気づかれやすくなるし……そうじゃなくて」
羽海束沙:「私、ちゃんとやれているかしら。リーダーとして」
永良ゆづり:「ちぇ。喫煙者に厳しい世の中ね」取り出しかけた紺色の小箱をポケットに突っ込む。
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:「別に、弱気になったとかではないけれど」
羽海束沙:「貴方の眼から見た意見を聞いておきたくて」
永良ゆづり:「そう、ね。私視点ではちゃんと出来ているし、背中を預けられると思っているわ」
羽海束沙:「ん……そう、ありがとう」
永良ゆづり:「ただ。リーダー以外にも、何か背負っているものがある様に感じる」
永良ゆづり:「今の所、任務は上手くいっていると思うけど……何か、懸念事項でもあるのかしら」
羽海束沙:「……別に」少し逡巡してから呟く。「さっき、ほとんど言ったようなものだけどね」
永良ゆづり:「あ、ホントにあるんだ」カマかけ。
羽海束沙:「……」じとっとした抗議的な眼を向けた後。
羽海束沙:「今度の件、内通者が関わってるでしょ。それで」
羽海束沙:「捜査に関わる全員の身辺調査も、ちゃんとする時間がなかったって"リヴァイアサン"は言ってた」
永良ゆづり:「急を要する事態だものね」
羽海束沙:「そう。……だから、ここにいるメンバーの事も疑ったほうが良いでしょ」
永良ゆづり:「…………そう、ね」再び、帽子を深めに被り直す。
永良ゆづり:「そういう意味では、束沙は余り適任っぽくはなさそう」
羽海束沙:「何。騙されやすそうって?」
永良ゆづり:「七戸瀬さんへ馬鹿正直に気持ち伝えてたじゃない」
羽海束沙:「あれは……だって、状況的に疑いを向けない方が不自然でしょ。疑念そのものを無理に隠すメリットは、多分ないし」
羽海束沙:「答えさせることでボロが出るという事も、あるでしょうし」
永良ゆづり:「そうね。あの場面では微妙だったかもしれないけど──」
永良ゆづり:「もしも……私が裏切り者だったら、どうするつもり?」
羽海束沙:「……」じっとその眼を見て。
永良ゆづり:「……」見つめ返す。
羽海束沙:「……冗談で言ってるなら、頬でも抓んでやろうかと思ったけど」
永良ゆづり:「私は嘘が付けないのよ」
羽海束沙:「……貴方を」視線を逸らす。「今回の作戦に呼んだのは、私の個人的な判断」
羽海束沙:「疑わなくていい相手が一人増えるからよ」
羽海束沙:「よりによって、そこで見誤っていたなら……それはもう、救いようのない話ね」
永良ゆづり:「……そ。ご指名頂き、ありがとうございます」
羽海束沙:「仲間と組織を自ら危険に晒した咎を、何としてでも償う方法を探す……としか言えないかしら」
羽海束沙:「後は、そうね。貴方という裏切者が相手なら」
永良ゆづり:「そこで後ろ向きにならない所は、束沙の良い所ね」
羽海束沙:横目にもう一度目を合わせて。「情に訴えかけてみる、とか?」
永良ゆづり:「…………っ」ちょっと、肩をびくつかせて。
永良ゆづり:「そういうの、反則だと思うんだけど」
永良ゆづり:視線から背く様に、車窓へと目をやる。
羽海束沙:「先に反則みたいな仮定を持ち出したのはそっちでしょ」
永良ゆづり:「……そう、反則だからこそ。逆手に取ることができる」
永良ゆづり:「私には前科がある。止むを得ず、多くの人を手に掛けた……前科が」
羽海束沙:「だから、また利用できるって?」
羽海束沙:「それもまだ、仮定の話?それとも」
永良ゆづり:「可能性はゼロではない、というだけよ」
羽海束沙:「その先のこと、話してくれる気になった?」
永良ゆづり:「……聞いても、良い話ではないけれど」
羽海束沙:「……そっちじゃなくて。いえ、そっちも話したいなら聞くけれど」
羽海束沙:「何か、あるんじゃないの?言い出しにくい事情」
永良ゆづり:「…………」ポケットから紺色の小さな箱を取り出して、口に咥える。
永良ゆづり:「カマかけを喰らった後に、同じ手口に仕掛けてもあしらわれるだけよ」
羽海束沙:「……そう。今後の参考にするわ」
永良ゆづり:「ただ、私だけ隠すというのもフェアじゃない、か」
永良ゆづり:咥えただけで、煙は出ない。仕草だけ、いつもと同じ。
羽海束沙:「え……?」
永良ゆづり:「家族を人質に取られた児童オーヴァード5名」
永良ゆづり:「『"沢山の人を殺せ。一番多く殺した者の人質だけを解放する』」
永良ゆづり:「被害者は一般人294名。鎮圧に駆け付けたUGN構成員4名。そして、人質の家族」
永良ゆづり:「児童のうち4人はジャーム化し、最後に残った私はUGNに保護され。今、こうして任務に付いている」
羽海束沙:「そう。……それが、貴方の罪なんだ」
永良ゆづり:「ええ。これで貴方は、私が『大切な人間のために、他の全てを犠牲にする』人間であると理解した」
永良ゆづり:「それでもまだ、私の事を信頼できる?」
羽海束沙:「それはまた別の話ね」
永良ゆづり:「一緒だと思うけど」
羽海束沙:「生きている限り、人間には変わっていく機会があるわ」
羽海束沙:「犯罪者であっても、人命が尊重されるのは」
羽海束沙:「その機会を尊重するためよ。……私は、そう思ってる」
羽海束沙:「たとえテロリストが相手であっても、彼らの更生の可能性を見出そうとする」
羽海束沙:「疑って相手の未来を否定するよりも、可能性を信じたいと考える」
羽海束沙:「私はそういう人間だし……UGN自体、そういう組織だと思う」
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:「だからこそ。貴方や彼女達はいま、ここにいるんでしょう」
羽海束沙:ちら、と視線で七戸瀬さんやシキさん達を示しながら。
永良ゆづり:「そう、ね。人は確かに変わる。私自身も、子供だったあの時と今が同じ性質のままだとは思っていない」
永良ゆづり:「”サンディーヴァ”の事件でも、貴女の考えに触発され、過去の清算よりも未来を優先するようになった」
永良ゆづり:「貴女の考えは、間違っていない。正しいと思う」
永良ゆづり:「────だから」
永良ゆづり:「この先、何があっても。貴女が折れずに人の更生を信じられる様、祈っているわ」
羽海束沙:「……なんだか」
羽海束沙:「いえ、別に、不服とかではないのだけれど」
羽海束沙:「『祈る』って、ちょっと距離ができてない?」
永良ゆづり:「…………言葉の綾よ」
羽海束沙:「以前は、支えると言ってくれたと記憶しているのだけれど」
羽海束沙:「……いえ、そうよね。悪かったわ」
永良ゆづり:「支えてるじゃない。今、必死に。貴女の進む未来を少しでも」
羽海束沙:「そう……そうよね。変に物覚えがいいと、細かい所を気にしてしまうの」
永良ゆづり:「あまり細かい所をちくちくすると、恋人に嫌われるわよ」
羽海束沙:「何、その言い回し。いないけれど」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「そろそろ、着きそうね。準備しましょう」
羽海束沙:「自分で振っておいて……ええ、了解よ」
永良ゆづり:「(……私だって)」
永良ゆづり:「(私だって、貴女が名前で呼んでくれないこと、ちょっと気にしてるんだから)」
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
七戸瀬月夜:
リーダー/羽海束沙/誠意:○/不安/ロイス
友人/シキ/連帯感:○/ヒモという単語を知らないがそれに相当する概念/ロイス
七戸瀬月夜:購入はボディアーマー買えてない人がいたらボディアーマーにしよう
羽海束沙:七戸瀬月夜:◯誠意/不信感 でロイス取ります
永良ゆづり:まだロイス保留かなぁ
シキ:月夜ちゃんのロイスを 親近感○/慢心 に変更。
シキ:完璧な大人の女の包容力を見せつけてしまったと思っている。
羽海束沙:かわいい
七戸瀬月夜:自信がありすぎる
永良ゆづり:2dx>=12 もう一度ボディマ
DoubleCross : (2DX10>=12) → 8[3,8] → 8 → 失敗
永良ゆづり:ぐぬぬぬぬぬ 以上
七戸瀬月夜:では私がボディアーマーチャレンジだッ
七戸瀬月夜:6dx>=12
DoubleCross : (6DX10>=12) → 10[3,3,5,6,10,10]+9[1,9] → 19 → 成功
羽海束沙:ボディアーマー買えたのは月夜ちゃんだけだったかな
羽海束沙:すごい
永良ゆづり:安定感がすごい
七戸瀬月夜:やったあ!永良ちゃんにあげちゃお
永良ゆづり:やったー!ありがとう!!
羽海束沙:私もボディアーマーに挑んでよ
永良ゆづり:ありがたく装備して以上
羽海束沙:2dx>=12
DoubleCross : (2DX10>=12) → 8[3,8] → 8 → 失敗
羽海束沙:失敗してターンエンド
七戸瀬月夜:バディムーヴと財産使ってもだめかしら
永良ゆづり:財産1点使うかどうか微妙よね……
シキ:あっしもボデマチャレンジするでヤンス
GM:これで購入は最後かもしれないという噂があります
永良ゆづり:なんと
七戸瀬月夜:なっ噂が流れてきた
羽海束沙:あら じゃあ使っておこうかな
永良ゆづり:じゃあ束沙にバディム
羽海束沙:わあい 財産1を使い、12に届きました
羽海束沙:手持ちの財産は0です。装備して終わり!
シキ:1dx>=12
DoubleCross : (1DX10>=12) → 7[7] → 7 → 失敗
シキ:こっちはバデムでも無理!
七戸瀬月夜:というか私構成的にそもそもボディアーマーいらなかった
七戸瀬月夜:私のを脱いでシキちゃんにあげよう
羽海束沙:そういえば狙われないんだった
シキ:月夜ちゃんの脱ぎたてを!?
シキ:家宝にします
七戸瀬月夜:あー!どうしてシキちゃんが月夜ちゃんのボディアーマー着てるんですかーっ!?
GM:警察呼んだ方がいいですか?
シキ:誤解なんです!
シキ:月夜ちゃんの温もりが残るボデマを装着して終了
ミドル3
GM:ミドル3
GM:シーンPCは永良さん、全員登場可です
永良ゆづり:45+3+1d3
DoubleCross : (45+3+1D3) → 45+3+1[1] → 49
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 2)増加 (60 → 62)
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d3+3(→ 4)増加 (53 → 57)
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 1)増加 (47 → 48)
GM:出品者に指定された受け渡し場所は、山奥にある巨大なダムの傍らだった。
GM:山の深い緑に囲まれて、水面は静かに、だが悠然と広がっている。
真坂世那:「でっかいねー!」
真坂世那:はしゃいだ様子で柵から身を乗り出す。
七戸瀬月夜:「はい……とても雄大です」耳元で囁く。
真坂世那:「ひぇっ!?」
真坂世那:「わーー!!落ちる落ちる!!」
羽海束沙:「……どこから見られているとも分かりませんね。警戒を怠らないように」
永良ゆづり:「人の目には付かないし、取引に都合のいいロケーションなのは分かるけど」
永良ゆづり:「実際問題、本当に受け取れるのかしら」
七戸瀬月夜:「申し訳ございません。大丈夫ですか」がんばって世那ちゃんを支えます。
真坂世那:「ハァハァ……死ぬかと思った……月夜ちゃん手冷たくない?風邪?」にぎにぎする
羽海束沙:「何をやっているんですか……」真坂さんと七戸瀬さんの方にじとっとした目を向ける。
シキ:「…………」目を閉じたまま黙りこくっている。
七戸瀬月夜:「ご心配痛み入ります。平熱です」
羽海束沙:「取引相手への信用という意味でも勿論だけど、受け渡し中の横槍についても警戒すべきでしょうね」永良さんの言葉に。
ミツキ:「……ん……あれじゃない?」
GM:ミツキが目を向けた先、一台のバイクが近付いてくるのが見える。
GM:君達から少し離れた位置で停車し、フルフェイスのヘルメットを外すと、ばさりと長髪が露わになる。
GM:その顔は、資料で見た“瓊音砕き”のものだ。
“瓊音砕き”:「……多いわね」
シキ:「おいでなすっ……」「うわっ高っかヤッバ!?」思わず眼を開けた所でダムの高さに驚く。
七戸瀬月夜:「高いところが苦手だったのですか?ご無理をなさらずともよかったのに……」
永良ゆづり:「それだけ不安なのよ。本当にリストを受け渡して貰えるのかが」
七戸瀬月夜:シキちゃんの背中を撫で、手を握ってあげます。
“瓊音砕き”:ミツキのモニターでアカウントを確認し「……間違いないみたいね」
シキ:「び、びっくりしただけ!別に怖くは……ない!」
七戸瀬月夜:「怖いなら素直に仰っていただければ」
羽海束沙:「場所はそっちが指定したのだし、これくらいの用心は堪忍してもらいたいわ」
ミツキ:「シキ~、今真面目な話してるから~」
羽海束沙:「……騒がしいのがいるのはごめんなさい」
“瓊音砕き”:「警戒してるのはこちらも一緒。それ以上近付かないで貰えるかしら」
永良ゆづり:「気持ちは分かるけど……ではどうすれば?」
“瓊音砕き”:「代金が先。言った通り現金のみ。用意してあるかしら」
GM:車にはジュラルミンケースに入った現金が積んできてある。ずっしりとかなりの重さを感じる額だ。
羽海束沙:「ええ、こちらに」
“瓊音砕き”:「一つ投げて寄越して」
羽海束沙:重みのあるアタッシュケースを彼女に見えるように持ち上げる。
羽海束沙:「……分かった」改めて周囲を確認してから、それを放り投げて渡す。
“瓊音砕き”:油断なく君達に目を向けながら、中身の紙幣を何束か確認する。
“瓊音砕き”:「……確かに」
シキ:「そ、そっちも出すもん出してもらいましょうか!」
シキ:まだ若干膝を震わせながら叫ぶ
七戸瀬月夜:「早く取引を終わらせないとこの方がどうなるかわかりませんよ」
シキ:「(人質!?)」
“瓊音砕き”:「出した瞬間にこの人数に襲われたら堪らないわ。一人を残して、20メートルは下がって頂戴」
真坂世那:「(……どうする?)」目くばせする
羽海束沙:「……そういう事を言うなら、こちらもその拍子に逃げられては堪らないのだけれど」
“瓊音砕き”:「なら、精々足の速い人を残すことね」
“瓊音砕き”:「こちらとしてはこのまま帰っても構わない。どうする?」
永良ゆづり:「(どうしましょうか、リーダー?)」
羽海束沙:「……」しばらく沈黙があって。「分かった。そちらの要求に応じるわ」
羽海束沙:「私が残るから、皆は下がっていて」
ミツキ:「気を付けてね」
永良ゆづり:「…………ええ」
七戸瀬月夜:「お任せいたします」
羽海束沙:「……ええ。大丈夫、向こうもそう下手なことはしないはずよ」
“瓊音砕き”:羽海を警戒しつつ、幾つものケースを荷台に括り付ける。
シキ:「けど……大丈夫?束沙ちゃんの獲物は銃でしょ」
シキ:「もしも襲いかかってきたらさ……何なら私が残るよ?」
羽海束沙:「襲われる事よりは、逃げられることを警戒すべきでしょう」
シキ:「ん……了解」渋々引き下がる。
羽海束沙:「……仮にそうなったとしても、貴方達が駆けつける時間くらいは稼ぐわ」
シキ:「なんかあったら出られるようにだけしとく」
シキ:「頼もしいじゃん。さっすがリーダー」
羽海束沙:「頼りにしてるのはこちらも同じよ」
“瓊音砕き”:羽海以外が下がるのを確認し、「……いいわ」
“瓊音砕き”:「品物は、これ」
羽海束沙:「……」油断なく“瓊音砕き”の行動を見ている。
“瓊音砕き”:懐から、小さなケースを取り出す。
“瓊音砕き”:蓋を開いてみせると、中には確かに件の手帳が収められている。
“瓊音砕き”:「中身の確認は要るかしら」
羽海束沙:「……」ノイマンとしての記憶力を頼みに、写真で見たそれとの、細かな傷や汚れといった特徴を重ね合わせて。
羽海束沙:「いえ、確かに本物みたい」
“瓊音砕き”:「そう。それじゃあ」
“瓊音砕き”:手帳を手に取り、その身体が破裂した。
“瓊音砕き”:「がびゅ」
シキ:「は……?」
羽海束沙:「……!?」その直前まで、彼女に裏切りの様子は見えなかった。ましてや、この状況での自爆に利などあるはずもない──だとすれば。
“瓊音砕き”:上空から降ってきた巨大な赤い板──否、血の大剣に貫かれ、その身体は半ばから真っ二つにされている。
永良ゆづり:「─────っ、束沙、離れて!!」
七戸瀬月夜:「そんな……っ」口元を押さえる。
真坂世那:「いや……リストを!!」
永良ゆづり:待機していた場所から、地を蹴って駆け出す。
羽海束沙:「横槍よ!だから、ここで奪われる訳には……!」
"ブレイドブラッド":「きゃはははは!!」
七戸瀬月夜:ランタンを一瞬だけ灯し、消す。その場から姿が消える。
シキ:「───っ!!」呆けた声を出した次の瞬間、同様に駆け出している。
"ブレイドブラッド":甲高い笑い声と共に、大剣に続いて少女が急降下してくる。
"ブレイドブラッド":同時に、“瓊音砕き”の全身から血液が噴き出し、爆散する。
羽海束沙:その姿を視認すると同時、数度の銃声。彼女を仕留めるというよりも、手帳の傍から追い立てるような射撃を行うが。
GM:銃弾は空中で何かに弾かれ、届くことはない。
"ブレイドブラッド":血煙の中、手帳を手にした"ブレイドブラッド"がそこに立っている。
シキ:「なになになに!?仲間割れ!?」
"ブレイドブラッド":「あははは!貰っちゃったぁ~」にんまりと笑みを浮かべ、見せびらかすように手帳を振る。
シキ:応戦の間に羽海の元へと駆けつけ、庇うようにして前に出る。
永良ゆづり:「……"ブレイドブラッド"」
"砂滑":続いて、木立の影から長身の男が降り立つ。
"砂滑":「……」
七戸瀬月夜:フッ
七戸瀬月夜:"ブレイドブラッド"の背後で青い光が点灯する。どのようにしてか、後ろに出現している。
七戸瀬月夜:(手帳を渡すわけには……!)奪おうとします。
GM:その眼前に、きらりと光が瞬く。
七戸瀬月夜:「あ」
GM:ざあっ────
GM:不可視の結晶と影が入り混じった奔流が、月夜の行く手を塞ぐ。
七戸瀬月夜:かすり傷を負った瞬間、青い光の消失とともに姿が消える。
七戸瀬紫霄:それを操るのは、上空からゆっくりと降り立たんとする女。
七戸瀬紫霄:「……月夜」
七戸瀬月夜:姿は見えないが、そこにいることが分かるだろう。そのような能力である。
七戸瀬紫霄:周囲を渦巻いているのは大量のガラス片と、その乱反射に伴う影。
七戸瀬紫霄:「私の邪魔をしないで、月夜」
永良ゆづり:「それに"砂滑"と……貴女が"アンジェリカ"、か」
七戸瀬紫霄:「これ以上言うことを聞かないのなら、妹とは思わないわ」
七戸瀬月夜:「……それは嫌でございます」声だけがある。
七戸瀬紫霄:「……随分と聞き分けの無い子に育ったものね」
七戸瀬紫霄:「もう一度、躾け直してあげる必要があるかしら」
七戸瀬月夜:「……お姉様。どうしてこのようなことを」
七戸瀬紫霄:「知れたことでしょう。私はUGNを許さない」
七戸瀬紫霄:「そのリストがあれば、奴らに痛手を与えてやれる。復讐することができる」
七戸瀬月夜:「お姉様にはもっと安全に暮らしてほしかったのです。このようなことは、お姉様といえど身が持ちません――」
七戸瀬紫霄:「身の安全なんて、求めてなどいないわ」
七戸瀬紫霄:「昔の私はあの時に死んだのよ。家族(みんな)と一緒にね」
七戸瀬紫霄:「今のあなたは見るに堪えないわ、月夜」
七戸瀬紫霄:「姉として、私が引導を渡してあげる」
七戸瀬紫霄:ガラスの破片が凝縮し槍となり、その切っ先を月夜へと向ける。
七戸瀬月夜:「もしも私に力が足りなかった時には、そのようにもなるでしょう。本望でございます」
七戸瀬月夜:「……戦闘するおつもりなのですね。ここで」
シキ:「“アークティック・ローゼズ”……はじめから横取りしようって腹だったわけね」
ミツキ:「いや……待ってよ」
ミツキ:「どうしてこの場所が分かったわけ?取引場所の指定も、サイトを介した秘匿通信のはず……」
ミツキ:(……内通者か)心中で呻く。
"ブレイドブラッド":「どうせ黙って行かせてくれないんでしょ?」
羽海束沙:(……しくじった。期限までに内通者を見つけ出せないまま、その潜伏を許してしまった)
"ブレイドブラッド":「せっかくだし、やろうよ!見てみたいじゃん?先輩の実力ってやつもさァ」下卑た笑みを浮かべながら永良を見つめる。
永良ゆづり:「…………だから」
永良ゆづり:「貴女に先輩と呼ばれる筋合いはない。何度も言わせるな」
羽海束沙:(一体、誰が? 分からない。ここでその疑問を提示して味方を混乱させるのは、きっと得策じゃないけれど……でも、こっち側に背中を預けられない人間が居ることも確か)
シキ:「とにかく!!」
羽海束沙:思考しながら、この場の全員を視界に収めるような立ち位置へ。
シキ:「こうなったからには全員ここでとっ捕まえる!細かいことはその後でみっちり!洗いざらい吐いてもらうからね!!」
"ブレイドブラッド":「アハハハッ!同じ穴の貉が、今さら気取ってんじゃねェーすよ、先輩ッ!」
“瓊音砕き”:「ごぁ、ぎ、ぷっ」
“瓊音砕き”:みちみちと肉の変形する音と、血の噴き出す水音。
羽海束沙:「同じものですか」"ブレイドブラッド"へ銃口を向ける。「貴方と彼女が、同じである訳がない」
シキ:「へ?」音の方を見る
“瓊音砕き”:“瓊音砕き”の全身が裏返り、ぐちゃぐちゃに変形し、血と肉の塊へと変わっていく。
“瓊音砕き”:やがて形作られるのは、凶悪な四肢に鉤爪を備えた、"ブレイドブラッド"の従者の姿だ。
シキ:「うわっちょ!?趣味悪すぎでしょ……!」
"砂滑":「……」尚も無言のまま、一歩前へと踏み出す。
永良ゆづり:「───リストは、そちらが手にした」
永良ゆづり:「それでも尚、こちらに害する様なら。それは"お願い"の対価を反故にしたと見なしてもいいか?」
羽海束沙:「……何を、言っているの?」
"ブレイドブラッド":「さて、どうですかね?」
羽海束沙:「"お願い"って、何のこと」
羽海束沙:「説明……しなさい、永良」
"ブレイドブラッド":「保険は二重三重に、というのが上のやり方なんですよ」
永良ゆづり:「そうでないなら、手を出すな。さっさと帰れ」
"ブレイドブラッド":「帰っていいならそうしますけど~」ニヤニヤしながら君達を見る。
真坂世那:「え、何言ってんの……逃がしちゃダメでしょ!」
シキ:「そうそうそうだよ!リスト回収しないと任務失敗なんだから!!」
シキ:「それじゃなくてもたった今、重要参考人が殺されちゃたんだし!」
"ブレイドブラッド":「ハ!まあこっちとしては好きにやらせてもらいますよ」
シキ:「どういうことなのか、スッキリハッキリさせてもらうからね!!」
"ブレイドブラッド":「先輩ごと全員殺しちゃえば、お願いなんて何の意味も無いんだから!」
GM:ミドル戦闘を開始します。
"砂滑"[15]“瓊音砕き(クリムゾンビースト)”[10]“アンジェリカ”[10]
(10m)
PC
GM:NPCカードが使用可能です。
ミツキ
効果:メジャー判定の直前に使用。ダイス+7個。シーン1回。
真坂世那
効果:ダメージ判定の直前に使用。ダメージ+(20-イニシアチブ値)。シーン1回。
真坂世那:「うおおお……!」
真坂世那:一同が臨戦態勢に入るや否や、明後日の方向に走り出し、柵に頭をぶつける。
真坂世那:そのまま柵に頭をぶつけ続けながら、走り続けている。
七戸瀬月夜:「どうされましたか、世那ちゃん。敵の攻撃でございますか」ふ、と背後に出現するが、そのまま置いていかれる。
真坂世那:「あっ気にしないでいいから!始めといて!」
GM:ラウンド1
GM:セットアップから!
七戸瀬月夜:みんな早いんだよなあ敵
七戸瀬月夜:これは《攻撃誘導》は抜きで《甘い芳香》するべき。範囲対象で敵全員の行動値を-10します。
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の修正値を4(→ 4)増加 (0 → 4)
GM:ゲェ~ッ やばすぎる
シキ:『RED CROWN』《原初の黄:氷の茨》LV5 ラウンド中エンゲージから離れたキャラクターはHPを5D10失う
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を4(→ 4)増加 (62 → 66)
羽海束沙:《常勝の天才》対象は自分を除くPC全員。このラウンドの攻撃力を+20します。
シキ:シキの侵蝕率を3増加 (48 → 51)
七戸瀬月夜:ヤベ~
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を6増加 (57 → 63)
永良ゆづり:私はセットアップなし。バフは貰ってもいいのかしら?
羽海束沙:永良さんだけ対象から外すかまあまあ悩んでしまったけど
羽海束沙:それやり出すと本当に連携が取れなくてミドル戦闘がおしまいになる可能性があるかもしれないと思ったのでやめました
永良ゆづり:では、ありがたく頂きますね!
七戸瀬月夜:「お姉様が……そちらにいらっしゃるのであれば、私の能力についてもご存知のはず――いえ」青いランタンの灯火が揺れる。
七戸瀬月夜:「『知ってしまっている』はず……」ふ、と灯りが消える。七戸瀬月夜の存在を認識できなくなる。
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜は幻覚使いだ。ただし、ないものをあると見せかけるものではなく、その逆。『不在の幻覚』の使い手。
七戸瀬月夜:あるはずのものを探そうとしてしまうが、見つからない――それも戦闘の最中に。
七戸瀬紫霄:「……!」瞠目する。
七戸瀬紫霄:「……惑わされないで。それが狙いよ」
"ブレイドブラッド":「て言っても、いきなり背後から首切られたらたまんないんですけど~……」
七戸瀬紫霄:(……そういったことはしない、筈。知っている通りのあの子なら……)
羽海束沙:「……先程の、発言から」ゆっくりと口を開く。
七戸瀬紫霄:(……いや、こうして気を取られている時点で、既に術中か……!)
羽海束沙:「"スモークスタック"を、敵方の内通者と判断します。ですが」
羽海束沙:「目下"アークティック・ローゼズ"との交戦にあたっては、協力可能なものとも考えます」
羽海束沙:「状況の完了後、改めて彼女を拘束すること」声が感情的にならないよう、つとめて淡々と口にする。
ミツキ:「……OK、リーダーに従います」
永良ゆづり:「…………」無言のまま。峨嵋刺を袖より取り出し、柄を握り込む。
羽海束沙:立て続けに数発の銃声。銃口は上方。放たれた弾丸は何に命中するでもなく、青空へと吸い込まれ消えていく。
シキ:「……わかったよ。とにかく、今は目の前の敵に集中ってことで」
七戸瀬月夜:「承知しました」どこかから声が聞こえる。
羽海束沙:後ろ手に出されたハンドサインが、それらが重力と気流の影響を受けながら帰還し着弾、隙を作り出す時刻を示す。
羽海束沙:埒外の物理演算能力が、そうした結果の予測を可能にしている。
シキ:「いいねぇ~この感じ、懐かしいかも」
シキ:自身の影から伸びた茨が、冠のように頭上に絡みつく。
シキ:同時に、影が少しずつ周囲に伸び、『根』を張っていく
シキ:「んじゃ、ちゃっちゃと済ませちゃお」
GM:イニシアチブ 行動値9 永良さんの手番です。
永良ゆづり:はーい
永良ゆづり:マイナーで敵エンゲージに戦闘移動
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》
GM:対象は!
永良ゆづり:対象どうしようかな とりあえずクリムゾンビーストで
GM:OK判定どうぞ!
永良ゆづり:6dx7+4
DoubleCross : (6DX7+4) → 10[1,2,5,6,8,9]+5[1,5]+4 → 19
永良ゆづり:低い!
クリムゾンビースト:ドッジしちゃお~
クリムゾンビースト:13DX>=19
DoubleCross : (13DX10>=19) → 10[2,2,2,4,5,6,6,7,8,8,10,10,10]+9[2,3,9] → 19 → 成功
クリムゾンビースト:…………
永良ゆづり:わぁお
シキ:成功しちゃった!
七戸瀬月夜:コラ!!
七戸瀬月夜:ドッジをやめなさーい
GM:てへっ……
GM:避けました
永良ゆづり:仕方なし、では侵蝕+4の53で以上
永良ゆづり:目深にハッチング帽を被り直しつつ、とんとんと靴先の帳尻を合わせる。
永良ゆづり:任務前のルーティーン。暗殺者然とした、簡易的な作法。
永良ゆづり:口から吹き出した煙が、木々を押しのけ立ち昇っていく。
永良ゆづり:「可能性はゼロではなかった。例えば、他者の体内に自身の血液を忍ばせて」
永良ゆづり:疾走。獣めいて態勢は低く。体躯のばねに弾かれるかの如く駆け抜け。
永良ゆづり:「約束を反故にする行動を取れば、すぐさま遠隔操作で血液を爆発させるような能力とか」
永良ゆづり:肉薄。間合いは瞬かず疾く。靴裏が食い込む程に地を蹴り、血と肉の塊に迫る。
永良ゆづり:「とにかく。そういう類の仕込みがあるのかと思っていた」
クリムゾンビースト:異形の怪物と化した“瓊音砕き”の身体。
クリムゾンビースト:常人では不可能な、全身を折り曲げるような異常な駆動で攻撃を躱す。
永良ゆづり:狙い穿つは、元の人型が保有した心の臓腑。オーヴァードの血脈の中枢、レネゲイドの炉心。
永良ゆづり:貫かんとする峨嵋刺の針は、しかし避けられてしまう。
永良ゆづり:「だが、こうして一斉に襲い掛かり、束沙の初動を許したということは」
永良ゆづり:「結局はブラフだった。最初から、人質になど取られていなかった」
クリムゾンビースト:永良の一撃は寸前で空を切る。或いは連携があれば届き得た攻撃だったかもしれないが──
"ブレイドブラッド":「よ~~~~っっぽど怖かったんですねえ、先輩?」
羽海束沙:……共に任務に当たる中で、何度となく見た突撃の初動。
羽海束沙:支援となる射撃を合わせるべきタイミングも、手に取るように分かる。……分かっていた、はずだ。
永良ゆづり:「──そういうことでいいんだな?"ブレイドブラッド"」
"ブレイドブラッド":「ご想像にお任せします♡私はウソをついたつもりは無いですけどね?」
"ブレイドブラッド":「小細工なんてしなくても、機会なんていくらでもありますから」
永良ゆづり:「十分だ。先手さえ取られてないのなら……幾らでも、取り返しは利く」
永良ゆづり:永良ゆづりを中心として旋回する白煙が、急速に密度を増していく。
羽海束沙:(……本当に?実際のところ自分は、どれほど彼女の事を理解できていたと言うのか)
羽海束沙:引金を弾けば、確かめられたかもしれない。彼女と自分の間の連携が、確かに生きているという事を。
羽海束沙:だが、できなかった。指先を躊躇させたものは、あるいは。
羽海束沙:(自分は、信じていた。そして、既に一度間違えた。それがこの結果だ)
羽海束沙:(だから……怖いとでも、言うのか?)
羽海束沙:馬鹿らしい、と胸中で吐き捨てて否定する。(自分で出した指示だろうが。自分がこなせなくて、どうする)
GM:イニシアチブ 行動値8 羽海さんの手番です。
羽海束沙:はーい
羽海束沙:マイナーでストライクチップの効果を発動。ダイス+2して
羽海束沙:メジャーで「鵺白羽」エフェクト無し射撃。"ブレイドブラッド"を射撃してみます。なんか一番危なそうだし……
GM:判定どうぞ!
羽海束沙:4dx+28 命中
DoubleCross : (4DX10+28) → 10[1,5,8,10]+6[6]+28 → 44
GM:いや ブレイドブラッドはいないですね
羽海束沙:あっいなかった!
GM:クリムゾンビーストでいいかな
シキ:そうじゃん!
羽海束沙:了解 クリムゾンビーストにしときます
"ブレイドブラッド":13DX>=44 ドッジ
DoubleCross : (13DX10>=44) → 10[2,2,2,4,4,5,5,6,7,9,9,10,10]+7[4,7] → 17 → 失敗
羽海束沙:うっかりしていました 失礼
クリムゾンビースト:結構頑張ったが……
羽海束沙:5d10+7 おりゃっダメージ
DoubleCross : (5D10+7) → 31[8,8,5,4,6]+7 → 38
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメ+1D+15どうぞ 侵蝕56
羽海束沙:あっありがとう~
GM:ホギャ~~ッ
羽海束沙:38+2d10+15
DoubleCross : (38+2D10+15) → 38+8[4,4]+15 → 61
羽海束沙:諸々が有効です
GM:痛すぎるッピ!!
クリムゾンビースト:瀕死です マジ?
羽海束沙:深く息を吸う。自分の中の動揺を抑え込みながら、銃を構える。
羽海束沙:造形弾・羽縫。使用者の意思に感応し、自ずから形状を変化するR改造弾。
羽海束沙:羽海束沙がそれを用いるのは、空力効果に自身の望む変化を付けるためだ。
羽海束沙:演算能力との併用によって、自在の弾道を創出する。鉛弾を翼の如くに舞わせる、故に"フェザリー・リード"。
羽海束沙:立て続けに四射。虚空へ向けて放たれたそれは、糸で吊るされたように異様な円弧を描いて飛び、クリムゾンビーストの急所を次々と撃ち抜く。
クリムゾンビースト:「ぐぴ、ぎゅ、ェッ……」
クリムゾンビースト:肉塊からくぐもった悲鳴めいた音が漏れ、次々に体積が削り取られる。
永良ゆづり:弾丸が身体を貫くたび、内部が炸裂し、火と煙が傷口より零れていく。
永良ゆづり:永良ゆづりが生成する白煙は、レネゲイドに反応して自然発火する性質を兼ね備えている。
永良ゆづり:羽海束沙が的確に狙い撃った急所に先んじて、煙を忍ばせていた。いつもの手口だ。
クリムゾンビースト:「ぶふ──もぁ──ご……」
クリムゾンビースト:異形がのたうち、辺りに肉の焼け焦げる匂いが立ち込める。
羽海束沙:「……貴方、どうして」唇を噛む。それ以上の言葉は続かない。
羽海束沙:こうしていつものように手を貸してくれる。彼女の心が分からない。ただ苛立ちが募る。何も話してくれない事への。
GM:行動値6 シキさんの手番です。
シキ:はい!マイナーで戦闘移動しエネミーのエンゲージへ
シキ:『BLUE BLOOD』《原初の赤:吹き飛ばし》LV1《妖しの招き》LV1《傍らに立つ影:斥力の槌》LV1《コンセントレイト:ウロボロス》LV3
シキ:ウェポンケースから混沌なる者の槍を装備し、"砂滑"に攻撃!
GM:判定どうぞ!
シキ:9dx7+4
DoubleCross : (9DX7+4) → 10[1,4,9,9,9,9,10,10,10]+10[1,2,3,3,4,5,7]+2[2]+4 → 26
シキ:そこそこ
"砂滑":ドッジします。
"砂滑":10DX>=26
DoubleCross : (10DX10>=26) → 10[1,1,1,3,3,4,4,5,7,10]+4[4] → 14 → 失敗
シキ:よしよし
GM:ダメージどうぞ!
シキ:3d10+12+20 装甲有効
DoubleCross : (3D10+12+20) → 23[8,10,5]+12+20 → 55
"砂滑":痛い!
シキ:一点でもダメージが通った場合、今のエンゲージから2m移動し、再びエンゲージ引き寄せ、更に2m移動します。
シキ:その前に!
シキ:『WHITE ORB』《巨人の影》LV1
シキ:《原初の黄:氷の茨》のLVを+2
シキ:エンゲージから離れる度にHPを7D10失ってもらいます
七戸瀬月夜:ヒエ~ッ
シキ:シキの侵蝕率を3増加 (51 → 54)
GM:やめたまえ
シキ:まずは一回目の移動!
GM:妨害ありません ダメージどうぞ
シキ:7d10
DoubleCross : (7D10) → 32[4,5,3,1,9,1,9] → 32
シキ:死んでないなら二回目行きます
GM:来い!
シキ:7d10
DoubleCross : (7D10) → 34[6,10,3,5,1,4,5] → 34
"砂滑":まだ生きてます
七戸瀬月夜:カードゲームの一番治安の悪いタイプのコンボ?
シキ:しぶと!
羽海束沙:生きてる!?
永良ゆづり:タフやなぁ……
シキ:シキの侵蝕率を11増加 (54 → 65)
シキ:「……ちょっと心配だったけど、あれならなんとかなりそうかな」羽海と永良を横目に
シキ:「なら、私は……」
シキ:影の茨が大地をのたうち、一直線に伸びていく
シキ:「さっきから黙ってるお兄さん!」
"砂滑":「……」
"砂滑":黙ったままシキに目を向ける。
シキ:茨は地面へと溶け込み、その道を幾つもの升目で区切っていく。
シキ:互いの陣地を示すように、赤と黒に塗り分けられた市松模様(チェッカード)。
シキ:「一曲……踊りましょ!」
シキ:一瞬で"砂滑"の眼前へと肉薄し、影の中から巨大な槍を取り出して跳ね上げる。
"砂滑":「……」
シキ:影で編まれた無骨な槍の先には、小さな光が灯っている。
"砂滑":反撃はない。緩慢な動きで避けようとする。
シキ:欧州の古い町並みにあるガス灯に、そのまま穂先を着けたような不可思議な造形。
シキ:「遅いっての!」
シキ:影の茨がその先に回り込み、網目状になって砂滑を絡みとる。
シキ:その網はゴムのようなしなりをもって、大男の身体を反対方向に弾き出す。
"砂滑":「……!」
シキ:「どりゃああああ!!」
シキ:その動きに合わせて、槍の切っ先を男にを突き立てる。
シキ:「まずは一人……ん?」
"砂滑":鮮血が噴き出す。機械か死体かのような不気味な男だが、その肉体は歴とした人間であるようだ。
"砂滑":だが、その連撃を受けても、死んでいない。
"砂滑":切先を掴み、引き抜いて押し退ける。
"砂滑":「……」
"砂滑":血を流しながらも、再びゆらりと立ち上がる。
シキ:「へぇ……見た目以上に頑丈みたいじゃん」
シキ:「しつこい男は嫌いじゃないけどね。そっけないよりずっとマシ」
シキ:「んじゃ、もうちょいテンポ上げようか」愉しげに唇を舐める。
GM:行動値5 "砂滑"の手番です。
"砂滑":待機します。
"ブレイドブラッド":「……何よ、おじさん。どうしたの」
"ブレイドブラッド":「何突っ立ってるのよ?いつもみたいに戦いなさいよ」
"ブレイドブラッド":不可解な様子、怪訝な表情で"砂滑"に声を掛けるが──
"砂滑":「…………」
"砂滑":まるでそれも耳に入らないかのように、口を開かず、動こうともしない。
GM:行動値4 月夜さんの手番です。
七戸瀬月夜:エンゲージから5mだけ敵方向に進みます。
七戸瀬月夜:いや、離れる方に行くか。5m下がります。
七戸瀬月夜:メジャーアクションで隠密。以上です。
七戸瀬月夜:「……お姉様。もう遅いですよ」
七戸瀬月夜:「私は……お姉様を攻撃したりなどいたしません。けれどお姉様も、私を攻撃することはできない……」
七戸瀬月夜:虚空からの声だが、さらに偏在するように、さらに方向は定まらなくなっていく。
七戸瀬紫霄:「く……」
七戸瀬月夜:青い光がふ、と消えて、気配も見えなくなる。
七戸瀬月夜:消えたからといって攻撃手段はないし、何かができるわけではないことを、『家族』である紫霄は知っている。
七戸瀬月夜:だが、ただ『気になる』だけのことが脅威になる。
七戸瀬紫霄:目を凝らし、集中力を研ぎ澄ませて妹を探すが、残り香すらもまるで感じ取れない。
七戸瀬紫霄:(あの頃から、更に……)
七戸瀬紫霄:(……ブラフかもしれない。攻撃をしてくる?どちらも出来るような子では……)
七戸瀬紫霄:(いや……あれからもう、何年経った?私は今の月夜のことを、まるで知らない……)
七戸瀬紫霄:じりじりと焦燥だけが募っていき、集中力が削り取られていく。
GM:行動値0 クリムゾンビーストと七戸瀬紫霄の手番です
七戸瀬紫霄:マイナーなし
七戸瀬紫霄:メジャー 《コンセントレイト:ウロボロス》+《飢えし影》+《パラライズ》+《細胞侵蝕》
七戸瀬紫霄:対象……
七戸瀬紫霄:choice[永良,羽海,シキ]
DoubleCross : (choice[永良,羽海,シキ]) → 永良
七戸瀬紫霄:永良ゆづり!死ね~ッ
永良ゆづり:ゆづぇ~~っ!!
七戸瀬紫霄:12DX7+4
DoubleCross : (12DX7+4) → 10[2,3,3,4,5,7,7,7,9,9,10,10]+10[2,3,7,8,9,9,9]+10[1,2,5,9,10]+10[4,7]+10[8]+4[4]+4 → 58
永良ゆづり:たっか
七戸瀬月夜:強すぎ
永良ゆづり:ガードしてみよ ダメージどうぞ
七戸瀬紫霄:命中で硬直・重圧・ランク3邪毒付与です
七戸瀬紫霄:6D10+5 ダメージ
DoubleCross : (6D10+5) → 44[7,9,1,8,9,10]+5 → 49
永良ゆづり:ガード3装甲8。差し引き37点
永良ゆづり:死!!リザレクト
シキ:NPCカード使っても無理?
羽海束沙:重圧きついなあ
GM:ダメージ減らせる効果は無いかな?
永良ゆづり:ですねぇ
永良ゆづり:56+1d10
DoubleCross : (56+1D10) → 56+2[2] → 58
永良ゆづり:HP2で蘇生。硬直と重圧とランク3邪毒も喰らって以上
シキ:あっ+か。勘違いしてた
GM:クリムゾンビーストも行動します
クリムゾンビースト:メジャー《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《鮮血の一撃》+《血の宴》+《渇きの主》+《ブラッドバーン》
クリムゾンビースト:対象は七戸瀬さん以外の3人!死になさい!
クリムゾンビースト:16DX7
DoubleCross : (16DX7) → 10[1,3,4,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,9,10,10]+10[1,6,6,7,7,7,8,10]+10[3,8,9,9,10]+10[5,6,6,7]+1[1] → 41
クリムゾンビースト:装甲無視です
永良ゆづり:逐一振るダイスがデカい
羽海束沙:一応ドッジ!
羽海束沙:2dx+1>=41
DoubleCross : (2DX10+1>=41) → 3[1,3]+1 → 4 → 失敗
シキ:ドッジするしか無い
羽海束沙:だめです
永良ゆづり:4dx+1>=41 ドッジ
DoubleCross : (4DX10+1>=41) → 8[1,2,4,8]+1 → 9 → 失敗
シキ:5dx+1>=41
DoubleCross : (5DX10+1>=41) → 9[4,6,6,7,9]+1 → 10 → 失敗
シキ:ムリムリの無理
クリムゾンビースト:死ねェ~~ッ
クリムゾンビースト:5D10+15
DoubleCross : (5D10+15) → 28[4,7,6,2,9]+15 → 43
クリムゾンビースト:更に渇きの主で20点回復します
永良ゆづり:だめ!リザレクト
羽海束沙:倒れます!リザレクト
クリムゾンビースト:美少女のパワーがどんどん入ってくるぞい
永良ゆづり:58+1d10
DoubleCross : (58+1D10) → 58+3[3] → 61
シキ:《リザレクト》!
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 3)増加 (65 → 68)
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d10(→ 5)増加 (63 → 68)
永良ゆづり:HP3で蘇生。以上
羽海束沙:羽海束沙のHPを5に変更 (28 → 5)
シキ:HP3で蘇生
GM:クリンナップ
クリムゾンビースト:《不死者の恩寵》
クリムゾンビースト:4D10+10 HP回復
DoubleCross : (4D10+10) → 20[6,2,5,7]+10 → 30
クリムゾンビースト:ドンドン元気になる
永良ゆづり:邪毒3を解決して死亡してもう一回リザレクト
永良ゆづり:61+1d10
DoubleCross : (61+1D10) → 61+2[2] → 63
永良ゆづり:大分リザレクトが美味しい。HP2になって以上
GM:1ラウンド終了。
七戸瀬紫霄:紫霄の周囲を渦巻く無数のガラス片が、光を乱反射して不規則な輝きを放つ。
七戸瀬紫霄:「UGN……!」
七戸瀬紫霄:その煌めきを受けながら、端正な顔を憎悪に歪ませる。
七戸瀬紫霄:ガラス片の生み出す光が、同時に夥しい影を生み出し、それが紫霄の能力媒体と化す。
七戸瀬紫霄:やがてガラスと影、二つの刃が入り混じった凶悪な奔流が生み出される。
永良ゆづり:「(エンジェルハィロゥ?いや、これは──)」
七戸瀬紫霄:「私は、貴方たちを許さない……!」
七戸瀬紫霄:「私の家族を奪い、その上……」ぎしり、と歯を軋ませ
七戸瀬紫霄:「もうこれ以上、妹を誑かすなッ!!」
永良ゆづり:「(ち、影の方が本質か!)」
七戸瀬紫霄:刃の嵐が君達に襲い掛かる。同時に異形の怪物が跳躍、巨大な鉤爪を振るう。
クリムゾンビースト:「お あァアァアッ!!」
シキ:「げっ!?一緒に来た!?」"砂滑"と対峙している横から怪物の鉤爪が襲いかかる。
シキ:肩口を深く切り裂かれ、更に反動で吹き飛ばされて大きく後退する。
永良ゆづり:襲い来るガラス片と影断が四肢を裂き、続く鉤爪の一撃で胴を大きく抉られる。
羽海束沙:「ぐっ……!」魔獣の一撃に引き裂かれながら、自ずから弾き飛ばされるようにして爪の射程を逃れる。泥に塗れながら立ち上がる。
"ブレイドブラッド":「やだぁ、痛そう~♡」わざとらしく体を揺らし、くすくす笑う。「大丈夫ですかぁ?血がびゅーびゅーって出てますよぉ?」
永良ゆづり:傷口より侵蝕する影が全身に回り、リザレクトしてもなお身体の自由を奪っていく。
"ブレイドブラッド":「降参したほうがいいんじゃないですかぁ?今から10秒以内なら許してあげますよぉ~?」
シキ:「いやマジで痛いから!みんな、まだやれる?」肩を押さえながら立ち上がる。
七戸瀬月夜:「ご無事でございますか、皆様……」声だけがある。
永良ゆづり:「大口を叩く前に、逃げた方が身の為だ」だが、倒れ伏すことなく再び敵を見据えて。「もう容赦はしない」
羽海束沙:「……随分と、楽しそうね。家族を人質に取られてるとか、そういうのじゃないみたい」静かに睨み上げる。「遠慮なくやれる」
シキ:「よっし、皆まだまだこれからって感じだね。心配しないで月夜ちゃん」
"ブレイドブラッド":「アハハハッ!強がりもそのザマじゃ惨めに見えちゃいますね?かわいそ~」
"ブレイドブラッド":「泣き叫びながら命乞いしてもらうのが楽しみです♡」
GM:ラウンド2
GM:セットアップ!
永良ゆづり:なし
七戸瀬月夜:今回と同じように全体に行動値修正をかけて全員先手を取ってもらうプランと、単体対象にダイスデバフと行動値修正をかけるプランがあります。
シキ:『RED CROWN』《原初の黄:氷の茨》LV7 ラウンド中エンゲージから離れたキャラクターはHPを7D10失う
七戸瀬月夜:ダイスデバフはお姉様相手なら完全無力化可能。クリムゾンビーストはちょっとダイスが残るから厳しいかな 回避はしやすくなるかも
七戸瀬月夜:いや、全体行動値修正は範囲選択じゃないから同じエンゲージの味方も巻き込むんでした
七戸瀬月夜:今のエンゲージってどうなっていますか?
羽海束沙:デバフがないとクリビとお姉様は行動値10かあ
GM:え~っと
GM:エネミー・永良・シキ (10m) 羽永 (5m) 七戸瀬
GM:こうかな
七戸瀬月夜:フーム
七戸瀬月夜:ただ行動値範囲修正で全員0になっても、味方側から動けることは変わらないので
シキ:砂滑さんは4m離れてますね。ふっとばしたので
GM:そうだ
七戸瀬月夜:砂滑さんに先手取られちゃうかなって程度ですね
七戸瀬月夜:行動値修正の方がいいかな?
永良ゆづり:それでいい感じがします
シキ:私はそれで良いと思う!
羽海束沙:砂滑さんは何もしない気配ありますしね
GM:やめろ~~
羽海束沙:それでいきますか
七戸瀬月夜:了解しました!《甘い芳香》でエネミー二体および永良シキの行動値を-10。
七戸瀬月夜:全員行動値0になるはず。
GM:邪毒サイレンとか撃つよ ほんとほんと
GM:ぎえ~~~~~
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を4(→ 4)増加 (66 → 70)
GM:では行動値変わって、イニシアチブ 行動値15 "砂滑"の手番です
"砂滑":待機します。
七戸瀬月夜:怖いよ~~
シキ:恥ずかしがり屋さんなのかな
七戸瀬月夜:ホントはいい人なのかも
羽海束沙:周りが女の子ばかりだから……
GM:では行動値8、羽海さんの手番です
羽海束沙:はーい。そんなに火力はないけどどこ叩こうかな
羽海束沙:ビーストがさっき死にかけてたけど結構回復してるから仕留めるのはむずかしそう
羽海束沙:でもまあビーストかな……範囲攻撃してくるし
羽海束沙:マイナーでストライクチップ発動、メジャーでクリムゾンビーストを攻撃します。
GM:恋!
羽海束沙:4dx+28 命中!
DoubleCross : (4DX10+28) → 8[4,6,6,8]+28 → 36
クリムゾンビースト:スーパー・ドッジをします
クリムゾンビースト:13DX>=36
DoubleCross : (13DX10>=36) → 10[1,2,2,4,5,5,5,6,6,7,8,9,10]+2[2] → 12 → 失敗
クリムゾンビースト:失敗しました
GM:ダメージどうぞ!
羽海束沙:4d10+7
DoubleCross : (4D10+7) → 26[10,9,5,2]+7 → 33
羽海束沙:諸々有効です
クリムゾンビースト:死にません いっぱい回復したので
羽海束沙:くそ~
羽海束沙:(与えた傷が、見る間に癒えている……あれと長期戦をするのは、まずい)
羽海束沙:発砲。先程までの曲射ではない。一直線に放たれた弾丸が、魔獣の指先を撃ち抜く。
羽海束沙:そうして割れた爪が弾かれて、主の眼窩へと突き抜ける。全て、自身の内で導出した物理運動の結果通りに。
クリムゾンビースト:「み ぐぷっ」
羽海束沙:(……効いてはいる。だが、これでも……)先程のような支援もない。致命傷には届かない。
クリムゾンビースト:元が人体だったとは思えぬ血塊の異形から、身体を構成する血液が噴出する。
クリムゾンビースト:だが、倒れない。傷口は見る間に塞がり、再構成されていく。
GM:行動値4 七戸瀬さんの手番です。
七戸瀬月夜:もう私の手番来ちゃうのか!ではマイナーでジェネシフトします。
七戸瀬月夜:振るのは2個。どりゃ!
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を2d10(→ 18)増加 (70 → 88)
GM:アージ撃つ気マンマンやんけ~~~~~
七戸瀬月夜:すげー上がった!メジャーで再び隠密します。サヨナラ!
七戸瀬月夜:風景のそこかしこに青い光が時折過ぎる。
七戸瀬月夜:ダムの湖面の上。遠くの山の木々の隙間。物理的に七戸瀬月夜がいるはずのない位置にも。
七戸瀬月夜:"レベッカ"の認識撹乱能力は戦局に有意に影響を及ぼす……とされているが、何もしていないようにも見えるかもしれない。
"ブレイドブラッド":「……何……?」
"ブレイドブラッド":ふざけているように見えても、兵士としての警戒は身に付いているのか、怪訝な、嫌そうな顔で光に集中を削がれる。
"ブレイドブラッド":「何してんのよ、あいつ……?」
GM:行動値0 永良さんとシキさんの手番です。
永良ゆづり:私から~
永良ゆづり:マイナーで重圧を解除
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》対象はクリムゾンビースト
永良ゆづり:7dx7+4
DoubleCross : (7DX7+4) → 10[2,4,6,9,10,10,10]+10[1,2,5,7]+10[10]+2[2]+4 → 36
GM:判定どうぞ!
永良ゆづり:良い感じ
"ブレイドブラッド":13DX>=36 ドッジ
DoubleCross : (13DX10>=36) → 10[3,4,5,5,6,6,6,7,8,8,10,10,10]+6[2,6,6] → 16 → 失敗
永良ゆづり:こわ~
GM:ダメージどうぞ!
シキ:NPCカード使う?
永良ゆづり:したらば真坂ちゃんのカードを使用しまーす
永良ゆづり:
>真坂世那
>効果:ダメージ判定の直前に使用。ダメージ+(20-イニシアチブ値)。シーン1回。
GM:ギャア~~
永良ゆづり:イニシアチブはなんと0!
GM:おのれ七戸瀬月夜……!
永良ゆづり:(4+1)d10+11+20
DoubleCross : (5D10+11+20) → 30[10,6,1,8,5]+11+20 → 61
永良ゆづり:61点、装甲有効。
クリムゾンビースト:死!
シキ:よっしゃ!
GM:侵蝕もあげてね
永良ゆづり:忘れてた。侵蝕67で以上
真坂世那:「はっ……はっ……」
真坂世那:戦闘が始まってから、柵に向かって走り続けていた。
真坂世那:何度も柵にぶつかっていた頭部は柵に一体化するようにめり込み、全身が不規則に震え続けている。
真坂世那:「……もういいか!行くよ!」
真坂世那:懐からナイフを取り出し、その場で何度も素振りを繰り返す。
真坂世那:柵から怪物に向き直った瞬間、溜め込んだエネルギーが解き放たれるかのように、周囲に衝撃波が吹き荒れる。
真坂世那:真坂の輪郭が大きく歪み、ゴムのように伸びたと見えたのは一瞬のこと。
真坂世那:超絶の加速で、ナイフは既に怪物の頭部を深々と抉り抜いている。
クリムゾンビースト:「び……」
クリムゾンビースト:噴き出す鮮血。それでも尚再生しようと断面が蠢いて──。
永良ゆづり:「いいよ、その再生手伝ってあげる」
永良ゆづり:宣言に呼応するかのごとく。頭を失った怪物の周囲に白煙が旋回し、纏わりついていく。
永良ゆづり:永良ゆづりの白煙が持つ、もう一つの性質。"信頼に値する"モノが携えるレネゲイドに対し、爆発的な強化を齎す。
永良ゆづり:怪物の再生能力は先の攻撃で証明済みだ。十分に信頼に値する。
永良ゆづり:結果。
永良ゆづり:怪物の再生能力が身体と四肢のレネゲイドをあらかた食い潰し、18個の頭部が歪に繋がったまま再生され。
永良ゆづり:生物としての機構を失い、自重に耐え切れず崩れ落ちた。
真坂世那:「げっミスった……!?あっいやゆづりちゃんか!ナーイス!」
永良ゆづり:「何そのバグ技みたいなやつ。こっちまでバグみたいになったんだけど」
"ブレイドブラッド":「あ~っ!せっかく作ったのに……!なんてかわいそうなことするんですか先輩~!」
GM:同じく行動値0、シキさんの手番です。
シキ:はい!マイナーはなし。
シキ:メジャーで『PURPLE SCEPTER』《原初の赤:吹き飛ばし》LV1《コンセントレイト:ウロボロス》LV3
シキ:七戸瀬紫霄に攻撃します!
GM:判定どうぞ!
シキ:判定前に、ミツキのNPCカードを使用
シキ:ダイスを+9するぜ!
GM:この野郎~
シキ:16dx7+4
DoubleCross : (16DX7+4) → 10[1,1,3,3,3,4,4,4,5,7,7,8,8,10,10,10]+10[1,2,3,7,7,8,9]+10[1,3,6,9]+3[3]+4 → 37
シキ:悪くない
七戸瀬紫霄:ガード、《自動触手》
七戸瀬紫霄:12点ダメージ返します
シキ:ぐえ~やらしい
シキ:バデムもらえればダメージ増えるんだけどな~
永良ゆづり:忘れてた、バデム
シキ:やった!ありがとうございます!
GM:なんだとぉ……
シキ:12点貰ってリザレクト
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 9)増加 (68 → 77)
シキ:そしてダメージを出すぜ!
GM:来やがれ!
シキ:5d10+12 装甲有効
DoubleCross : (5D10+12) → 24[1,9,4,8,2]+12 → 36
七戸瀬紫霄:生きてます
シキ:一点でも通れば4m移動
シキ:そして7d10ダメージ!行くぜ
シキ:7d10
DoubleCross : (7D10) → 39[9,7,5,8,2,7,1] → 39
七戸瀬紫霄:ギャーッ
七戸瀬紫霄:HP0 《蘇生復活》します
シキ:シキの侵蝕率を6増加 (77 → 83)
永良ゆづり:耐えよる
シキ:しぶとい女ぜよ
シキ:「(よくわからないけど、あの大男からは戦う気が感じられない)」
シキ:「……なら、作戦変更かな」
シキ:影の槍を地面に突き立てると、茨の成長が勢いを増す。
シキ:「ミツキ!ちょっとの間あの硝子なんとかできる?」
ミツキ:「えぇ~?ムチャばっかり言うんだからな~、シキは」
ミツキ:そう言いながらも、足元から紫電が走る。
ミツキ:「今回も赤字かなあ」
シキ:「埋め合わせはちゃんとしたげるから!」
ミツキ:「ちゃんと形あるものでね」
ミツキ:ミツキの操作で幾つものドローンが浮遊し、銃撃と共に“アンジェリカ”へと飛翔する。
シキ:その効果を確認する前に"アンジェリカ"へ向けて走り出している。
七戸瀬紫霄:「この……!」
七戸瀬紫霄:ガラス片の渦がドローンを呑み込む。が、同時にそれらに仕込まれた爆薬が起爆。
七戸瀬紫霄:爆風と閃光でほんの一瞬、ガラスと影が根こそぎ吹き飛ばされる。
七戸瀬紫霄:「……なっ……」
シキ:「さっきから聞いてたけどアンタ───」その一瞬の空白に飛び込む
シキ:「ひとつ勘違いしてるよっ、とぉ!!」
シキ:影の槍を振り回して、"アンジェリカ"を弾き飛ばす。
七戸瀬紫霄:「あ、ッ……!?」
七戸瀬紫霄:華奢な身体が軽々と吹き飛ばされる。
シキ:その先に影の茨が回り込み受け止める。
シキ:影で編まれたそれは、中世の拷問具のようなシルエットで彼女を拘束する。
七戸瀬紫霄:「うぁっ……ッ……あぁああぁッ……!」
シキ:「月夜ちゃんはアンタを拒んでなんかいない」
七戸瀬紫霄:白い肌から鮮血が迸り、激痛に身悶えする度にさらに茨が突き刺さる。
シキ:「あの子の生き方を拒絶してるのはアンタの方」
シキ:「これからもお姉ちゃんでいたいなら、少しは妹離れしないと」
七戸瀬紫霄:「黙、り……なさい……!」
七戸瀬紫霄:ガラスの刃が茨を切り裂き、痛みに震えながら立ち上がる。
シキ:「言っとくけど、アンタが思ってる何倍も堪えるよ」
シキ:「妹を殺すのはさ」
七戸瀬紫霄:「そんな、こと……」
七戸瀬紫霄:「……そんなことはね……!」
"ブレイドブラッド":「あらあら、盛り上がってきましたねぇ」
"ブレイドブラッド":「じゃあそろそろ、あたしも我慢できないんで。混ぜてもらっちゃおっかなー」
"ブレイドブラッド":ニヤつきながら怪物の残骸を変形させ、巨大な血の剣を形作り──
"ブレイドブラッド":その腕が、不意に掴まれる。
"ブレイドブラッド":「はっ?」
"砂滑":「……」
"砂滑":万力のような力で“ブレイドブラッド”を掴み上げているのは、“砂滑”だ。
"ブレイドブラッド":「……ちょっと……何のつもり?」
羽海束沙:「何、仲間割れ……?」
"砂滑":その言葉が終わらぬ内に、少女の鼻面に肘を叩き込む。
"ブレイドブラッド":「うぐっ……!?」
"砂滑":“ブレイドブラッド”が怯んだ瞬間、その手から手帳を奪い取る。
"砂滑":そして──それを、君達の方へと投げ渡す。
七戸瀬月夜:「ど、どうして……?」
"ブレイドブラッド":「……ッ……あんたッ……!!」
"砂滑":「車を出せ!!」
"砂滑":「俺はUGNだ、今の内に……がぁっ……!?」
シキ:「よっと……!」茨を伸ばして手帳をキャッチしつつ
"砂滑":“砂滑”の身体を、血の刃が串刺しにする。
永良ゆづり:「"砂滑"!?」
"ブレイドブラッド":「ざッッけんなッ!!この野郎ッ……!!」
羽海束沙:「潜入調査者がいるなんて、聞いてなかったけど……」
シキ:「よくわかんないけどサンキュ……ってちょっと!?」
羽海束沙:「この行動を見せられたら、疑ってもいられない」
"砂滑":「ぐ……あ……」刺されながらも、尋常ならざる膂力で“ブレイドブラッド”を抑え込む。
七戸瀬月夜:「ミツキ様、車を……!」声だけが響く。
"砂滑":「早くしろ……!!」
永良ゆづり:「……っ!」踵を返す。
ミツキ:「う、うん……!」
羽海束沙:「……了解」
ミツキ:急いで車に乗り込み、全員を拾ってハンドルを切る。
七戸瀬紫霄:「待ちなさい!……月夜……!!」
羽海束沙:せめてもの援護射撃を何発か"ブレイドブラッド"目掛けて放ちながら、身を翻して車内へと滑り込む。
七戸瀬月夜:「お姉様。私は……お姉様のことを案じております!」
"ブレイドブラッド":「死ねッ……!!」
七戸瀬月夜:「どうかご無事で。健やかに。それを祈ってやみません」
七戸瀬紫霄:「月夜……!待って……!」
七戸瀬月夜:青く強い光が車内の後部座席に灯った。既にそこに座っている。
GM:“ブレイドブラッド”が大振りの刃を振りかぶった瞬間、“砂滑”は大きく跳躍して離脱。
GM:血だらけのまま、車内に転がり込む。
"砂滑":「だ、出せ……」
七戸瀬月夜:「離れていても、家族は一つなのです!どうか……忘れずに!」
シキ:「うわっ!お兄さんやるじゃん!」
羽海束沙:「全員揃っているわ、急いで!」
シキ:「これで後腐れなし!ほらミツキ!全速前進!!」
ミツキ:「も~~、何なのさこれ~~!」悲鳴のように言いながらも、思い切りアクセルを踏み込み、ワゴンは急発進する。見る間に“ブレイドブラッド”たちを引き剥がし、見えなくなっていく。
永良ゆづり:「随分とタフね……ともかく、助かった」
"砂滑":「いや、こちらこそ……」
"砂滑":「でも……今は、少し……」
"砂滑":「…………」
羽海束沙:「……ええ。貴方の話は、後で聞かせてもらいます」
シキ:「だ、大丈夫……?死んだりしないよね……?」
シキ:「さっき私思いっきりぶっ刺しちゃったんだけど……」
"砂滑":血だらけで気絶するが、命に別状は無いように見える。再生能力の強いオーヴァードなのだろう。
羽海束沙:「いえ。まだリザレクトが効いています」
シキ:「ホッ……」力強い呼吸を見て胸をなでおろす。
羽海束沙:「この様子であれば、休んでさえいれば命に別状はないでしょう」
ミツキ:「まあ、この人も何も言わなかったし……それよりさ」
ミツキ:ハンドルを握りながら、ミラーで後部座席の面々を確認する。
ミツキ:「いま問題なのは、どうしてこの場所が敵にバレてたか……でしょ」
ミツキ:鏡面越しに向けられたその目は、猜疑に満ちたものだった。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
永良ゆづり:まだ保留。以上
七戸瀬月夜:あと一枠しかないんだよな~。永良ちゃんかクライマックスの相手に取ろう
羽海束沙:表面をを切り替えます。永良ゆづり:◯信頼/当惑 → 信頼/◯当惑
シキ:永良ゆづり 連帯感/不安○ で取得
七戸瀬月夜:疑われてる~
シキ:羽海束沙 信頼/心配○ で取得
シキ:以上!
羽海束沙:あとシキさんに ◯連帯感/不安 で取ります 以上!
七戸瀬月夜:私も羽海さんのを誠意:○/不安から誠意/不安:○にしましょう
マスターシーン
"ブレイドブラッド":「はぁっ……!はぁっ……!」
"ブレイドブラッド":“砂滑”と永良たちを取り逃がし、怒りが収まらない様子で爪を噛む。
"ブレイドブラッド":「何よ……何なのよあいつ……!」
"ブレイドブラッド":「裏切者……!ふざけんな、くそ、くそっ……!」
七戸瀬紫霄:「……“ブレイドブラッド”」
七戸瀬紫霄:静かに様子を眺めていた紫霄が口を開く。
七戸瀬紫霄:「もう……やめにしましょう」
"ブレイドブラッド":「……」
七戸瀬紫霄:「もうリストは奪われてしまった……こんなこと、続けても意味が無い」
七戸瀬紫霄:「貴方だって……分かっているはずよ」
七戸瀬紫霄:「私も…… ……ぐっ……!?」
"ブレイドブラッド":“ブレイドブラッド”が、紫霄の胸倉を掴み上げる。
"ブレイドブラッド":「……あたしには全然分かんないわよ」
"ブレイドブラッド":「意味が無い?あたしはちっともそんな風には思わない」
"ブレイドブラッド":「意味ならあるわ。大いに」
"ブレイドブラッド":「あれを手にすれば、どれだけの利益になるのか分からないわけじゃないですよね?」
"ブレイドブラッド":「力も、金も……何だって思いのままです」
"ブレイドブラッド":「あんただって、それが欲しくてこの話に乗ったんでしょう?」
七戸瀬紫霄:「……違う。私はそんなもの欲しくない」
七戸瀬紫霄:「そんなものの為に、大勢を傷付けて、UGNと戦うなんて……馬鹿げているわ」
"ブレイドブラッド":「いいえ。いいえ、いいえ!」
"ブレイドブラッド":「じゃあ、何よ。反省でもしろっていうの!?」
"ブレイドブラッド":「好き放題カラダん中弄くり回されて、友達もみんな殺されて……」
"ブレイドブラッド":「あいつらの言うとおりに散々戦って……今度はUGNのために戦えって!?」
"ブレイドブラッド":「それで今さら、つらかったね、もう大丈夫だよなんて慰められて、今までのこと悔みながら生きていけばいいわけ?」
"ブレイドブラッド":「冗ォー談でしょ!?そんなクソみたいな人生、最悪すぎる……!」
"ブレイドブラッド":「……あたしは絶対に嫌。ここまで失くしたものが全部間違いだったなんて、無意味だったなんて思いたくない」
"ブレイドブラッド":「あたしはあたしの人生を肯定してやる。あたしはあたしのやり方で、絶対幸せになってやる」
"ブレイドブラッド":「その為なら、何を踏み躙ったって……構わない」
七戸瀬紫霄:燃えるような憎悪に満ちた少女の瞳に、紫霄は己の影を見た。
七戸瀬紫霄:そしてその幼さを残した容貌に、似ても似つかぬはずの、妹の面影を見た。
七戸瀬紫霄:静かに目を閉じ、頷く。
七戸瀬紫霄:「……分かったわ。“ブレイドブラッド”」
七戸瀬紫霄:「お付き合いしましょう。せめて私だけでも」
ミドル4
GM:ミドル4
GM:シーンPCは永良さん。全員登場可です。
永良ゆづり:68+3+1d3
DoubleCross : (68+3+1D3) → 68+3+3[3] → 74
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 3)増加 (83 → 86)
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d3+3(→ 6)増加 (68 → 74)
永良ゆづり:67だった。73で
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 3)増加 (88 → 91)
GM:深い山の木々の合間を、君達を乗せたワゴンは走っていく。
GM:現状、周囲に敵の気配は無いが、まだ人里まではかなりの距離がある。通信状態も悪く、油断できない状況だ。
真坂世那:「いや、でも……」
真坂世那:「こうやってリストは取り返したわけだし!任務的には成功ってことじゃん!?」
真坂世那:緊迫した空気を和ませようとするかのように笑顔を作り、『ダークソウル3』のパッケージを開ける。
羽海束沙:「いいえ。無事に持ち帰って初めて成功です」
シキ:「家に帰るまでが任務だって言うもんね~」
羽海束沙:「この先でまた、先程のような襲撃がないとも限らない」
ミツキ:「……ていうかさ、説明してほしいんだけど……色々と」
シキ:「……そだね。この先も襲撃があるなら尚更」
ミツキ:疑いの目を隠そうともせず、永良さんを見る。
羽海束沙:「……ええ。見えている危険性については、明らかにしておくべき」
シキ:「その時までに、チームの不安要素は解消しとかないとだね」
羽海束沙:「"スモークスタック"。貴方と彼らとの間に、何があったのか」永良さんを睨みつける。
羽海束沙:「この作戦中、貴方は何をしていたのか」
永良ゆづり:「…………」無言のまま、帽子を目深に被って。
真坂世那:「や、みんな深刻すぎっしょ~!そんな責めなくてもさあ……」取り出したディスクをぺきぺきとへし折っていく。
羽海束沙:「説明してください」つとめて冷淡に告げる。
真坂世那:「ゆづりちゃんも話しづらいっしょ!もうちょいリラックスしてさ~……」
永良ゆづり:「私の言葉に、価値があるようには思えないけど」
羽海束沙:「それを判断するのは貴方ではないわ」真坂さんの言葉を無視したまま答える。
永良ゆづり:「……概ね、先の場で見聞きした通りだと思うけど」
シキ:「てか世那っちの行動もだいぶ不可解だからね……?状況的にツッコミが後回しにされてるだけで……」
永良ゆづり:「任務の収集が掛かったタイミングで"ブレイドブラッド"にリストの提供を持ち掛けられ、約束を反故にされたので破棄した」
七戸瀬月夜:「それは、その……"ブレイドブラッド"様が、永良様の後輩で」
七戸瀬月夜:「……妹のようなものだったから、そうしたのでしょうか?」
永良ゆづり:「私自身がセルに所属していたとは欠片も認識していないけど」
永良ゆづり:「向こうからすれば、似た様なモノなのかもしれない」
シキ:「てことは、別に昔の誼で協力しようとしたわけじゃないと」
羽海束沙:「それでも。あの取引の情報を彼らに提供したのは、貴方で間違いないんですね」
永良ゆづり:「さぁ」
真坂世那:「……」不安げに羽海と永良の顔を見比べる。
真坂世那:ポーチから何か小型の、干からびた爬虫類のようなものを取り出し、指で腹を裂いていく。
羽海束沙:「『さぁ』?」苛立ちを顕にする。「答えられない質問をしたつもりはありませんが」
シキ:「ひぇっ……」真坂の手元から目を背ける
永良ゆづり:「事実、私にも不明だもの。“アークティック・ローゼズ”が私に接触したのはその一回のみ」
永良ゆづり:「提供する手筈はおろか、この受け渡しの場に来ることだって知らされていなかった」
羽海束沙:「……では、取引というのは持ちかけられただけであって」
羽海束沙:「貴方自身の意思では彼らに益する行動は取っていない……と、そう主張するわけですか」
永良ゆづり:「そうね。……ただ」
永良ゆづり:「もし、予定通り私達が競り落としたリストを手に入れたのち、彼女達から受け渡しの方法が提示されれば」
永良ゆづり:「貴方達を適当に騙くらかして渡しに行くつもりだったわ」
羽海束沙:「……」
七戸瀬月夜:「……そこまでする理由はあったのですか?リストは多くのUGNの潜入人員の人命に等しいもので……」
真坂世那:パシャパシャとポラロイドカメラのシャッターを切り、君達の写真を撮っていく。
真坂世那:「そ……そうだよ。どうしてそんな……」
七戸瀬月夜:「それがFHの手に渡るということが何を招くのかも、霧谷様から説明を受けていらっしゃったはずです」
シキ:「約束って言ってたね。そういえば」
シキ:「よっぽど魅力的な条件だったの?その約束ってのは」
永良ゆづり:「…………そう、ね」
永良ゆづり:「まぁ、細かいことは"砂滑"が話してくれるでしょう。裏切ったことに変わりはないわ」
羽海束沙:「濁さないで」詰めるように言う。
羽海束沙:「どうして、裏切ろうと思ったの」
羽海束沙:「……どうして」
永良ゆづり:「…………」目を逸らす。
真坂世那:現像した写真を、ハサミで顔の部分だけを切り取っていく。
羽海束沙:「……私なんかに、話す気はないって?」
永良ゆづり:「必要を感じないだけだ。嘘はついていない」
羽海束沙:「……そうね。こういう所で、嘘を吐くような貴方じゃないもの」
羽海束沙:「でも、私には必要なのよ」
羽海束沙:「まだ……心のどこかで、貴方にはどうしようもない事情があったんじゃないかって思いたがってる」
永良ゆづり:「……そうやって」
永良ゆづり:「馬鹿が付くくらい真面目で、素直で、危なっかしいから」
永良ゆづり:「私なんかに足元を掬われるんだ」
羽海束沙:「……だから。そうやって、悪者ぶるなら」
羽海束沙:「私達を裏切ったって言うなら、最後までちゃんとやってよ」
羽海束沙:「全部説明して。……でないと」
羽海束沙:「私も、諦められないから」
永良ゆづり:「…………」小さく、息をついて。
永良ゆづり:GM、RHOを開示したいです。
GM:許可します。
永良ゆづり
RHO
君は“ブレイドブラッド”に脅迫されている。
リストが手に入り次第、それを彼ら“アークティック・ローゼズ”に引き渡す。
さもなくば、羽海束沙の命は無いと。
永良ゆづり:「貴女の命」
シキ:「……」先程まで二人の口論をオロオロと見守っていたが、その答えを聞いてどこか納得した表情を浮かべる。
羽海束沙:「……何、それ」
永良ゆづり:「リストを渡さなければ、羽海束沙の命は無いと脅しを受けた」
羽海束沙:「……っ」
永良ゆづり:「理屈の説明は一切受けてないけどね。事前の仕込みがあればレネゲイド能力で実現可能でしょう」
永良ゆづり:「事実かどうか調べようとすれば、その前に起動されるかもしれない。だから、従うしかなかった」
羽海束沙:「だからって……そんな脅しを、信じてたの」
永良ゆづり:「『可能性はゼロではない』」
羽海束沙:「取引の条件を呑めば、あいつらが言う通りにするって事も」
羽海束沙:「信じてたんだ。……私じゃなくて、あいつらの事を」
七戸瀬月夜:「羽海様。それ以上はおやめくださいませ」
永良ゆづり:「“ブレイドブラッド”が言った通りだ」
永良ゆづり:「怖かったんだよ。リストがFHの手に渡って多くの潜入捜査官が死に、裏切り者として私が処罰されるよりも」
永良ゆづり:「束沙が居なくなるかもしれない可能性の方が、ずっと」
羽海束沙:「……っ。何、それ……」
七戸瀬月夜:「……正しい判断というものが、あるかもしれません。その時に必要なことを選択して、恐れや執着に勝って、正しく何かを見極めることもできたのだ、と」
七戸瀬月夜:「けれどその正しさが、その時に直面した恐れや不安を助けてくれることがあるでしょうか?」
永良ゆづり:「ああ、昔から私はそれができなかったんだ。七戸瀬さん」
永良ゆづり:「“アークティック・ローゼズ”。児童オーヴァードを拉致し、投薬や脅迫によって無差別テロの尖兵に仕立て上げる」
永良ゆづり:「その実験のために、児童オーヴァードの衝動を強制的に暴走させ、大勢の命と人質に取られた家族を失った」
永良ゆづり:「私もその一人だ。家族を人質に取られ、300名ほどの一般人を屠った」
七戸瀬月夜:「…………とても……言葉に尽くせぬほど、お辛く、そして悲しい思いをされたのですね」
羽海束沙:「…………」
羽海束沙:
七戸瀬月夜:「けれど、差し出がましいことを申し上げますと」瞳を上げる。
七戸瀬月夜:「永良様は間違っております」
永良ゆづり:「重々承知している」
七戸瀬月夜:「いいえ。ご存知ではないでしょう。『自分が悪いのだから』と、『自分は間違うのだから』と」
七戸瀬月夜:「自棄になって、誰かに頼ることもできなくなってしまうことこそが」
七戸瀬月夜:「何よりも、一番、間違ったことなのです」
永良ゆづり:「…………」
永良ゆづり:「そうだ。脅迫された後に、束沙に連絡しようとしてすぐに止めた」
永良ゆづり:「頼るべき場面なのに頼れない、昔からずっと変わらない私の性質」
永良ゆづり:「……知られたく、なかったんだ」
永良ゆづり:「私が、未だこんな体たらくだと、束沙に知られてしまったら……」
永良ゆづり:「人は更生できるという、貴女の根幹を揺らがしかねないと、思ってしまったんだ」
羽海束沙:「……馬鹿なこと、言わないで」
永良ゆづり:俯いたままの顔から、膝元に雫が落ちる。
羽海束沙:「貴方を苦しませてまで尊重しなきゃいけない信念なんて、あるわけがない」
羽海束沙:「あるのだとしても、そんな代物に価値はないわ」
永良ゆづり:「……っ」
羽海束沙:「……私は、ただ」
羽海束沙:「そんなに、怖いのなら……自分を曲げてしまうくらい、苦しかったのなら」
羽海束沙:「『助けて』って言って欲しかった」
永良ゆづり:「……また、幻滅されてしまったかな」
羽海束沙:「ちょっと違うわ」
羽海束沙:「ただ、腹が立っているの」
羽海束沙:「私を頼ってくれなかった貴方と」
羽海束沙:「貴方が寄り掛かることができないくらい、頼りなく見えていた自分自身に」
永良ゆづり:「違う!そんな、束沙が悪くなんか────」
羽海束沙:「……そうじゃないわ」
羽海束沙:「私が、貴方に言ってほしい言葉は、そうじゃない」
羽海束沙:「……ねえ、ゆづり。どうかもう一度、機会をくれないかしら」
永良ゆづり:「……き、かい?」
羽海束沙:「いま胸にある、この気持ちを許すことは」
羽海束沙:「きっと、私一人じゃできないから」
羽海束沙:「……もう一度、貴方の助けになる機会が欲しいの」
永良ゆづり:「…………」袖で、目元を拭う。
永良ゆづり:「束沙」
羽海束沙:「……うん」
永良ゆづり:「頼っても、いいか?」
羽海束沙:「ん。任せて」
永良ゆづり:「……ありがとう」ほっとしたような、安堵の声色と表情で。
羽海束沙:「……ふふ。どういたしまして」こちらも、張り詰めていたものが解けるような微笑みを浮かべる。
シキ:「…………ぷはぁっ!」張り詰めていた空気が緩んだのを感じ取って、思わず止めていた息を吐く
七戸瀬月夜:「……」両手を膝の上に置いて、そわそわした様子でいる。
シキ:「いや~!どうなることかと思ったけど、これで仲直りだね!」
永良ゆづり:「……あ」周囲を見やる余裕ができて。
羽海束沙:「あっ……えっと」その様子に気付いて、やや恐縮するように目を伏せる。
永良ゆづり:「す、済まなかった。もう大丈夫」
シキ:「良いの良いの!それだけ二人が想い合ってるってことなんだから」
永良ゆづり:「むしろ、貴方達を危険に付き合わせてしまった。それこそ謝らねばならないな」
シキ:「こういうのはとことんやらないと後々しこりを残すしね!」
永良ゆづり:「……っ!!」かぁ、と忽ちに顔が紅く。
真坂世那:「うんうん、よかったよかった。マジどうなることかと思ったよ~」笑いながら手袋をはめる。
真坂世那:手元の材料をまとめてミキサーに入れ、塩化メチレンを注ぎ入れ、何かの香辛料を振りかけてスイッチを入れる。
羽海束沙:「……こほん。"スモークスタック"の行動に関しては、未遂であった事も考慮し、本作戦中は不問とします」
真坂世那:「骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝。骨貝」ミキサーに話しかけている。
羽海束沙:「報告後、改めて本部から処罰の通達がくる可能性はありますが……今はそれよりも、目下の事を」
ミツキ:「……や、ちょっと待って」
ミツキ:「一件落着的な空気だけど……聞いていいですか」
羽海束沙:「結局、取引の情報が漏れた経緯は不明のまま……何でしょう?」
ミツキ:「そうですよね?そっちに関しては何も分かってないよね?」
シキ:「野暮なこと言うなよ~?ミツキはそこんとこ空気読まないからな~」
シキ:「……あっ」
シキ:「そうじゃん!?ゆづりちゃんが漏らしてないなら他に漏らした奴がいるってことじゃん!」
永良ゆづり:「……私の他にも、まだ敵方に与する者が?」
"砂滑":「……それに関しては……」
"砂滑":不意に声がする。
"砂滑":後部座席から、のそのそと“砂滑”が起き上がろうとしている。
永良ゆづり:「"砂滑"。気が付いたのね、傷は大丈夫?」
七戸瀬月夜:「無事でございますか。お体に問題はございませんか」
シキ:「む、無理しないで寝てて大丈夫だよ?」妙に優しげ
"砂滑":「ああ……大丈夫だ。丈夫なのだけが取り柄だから」
"砂滑":「……それに関しては、僕から説明できると思う」
永良ゆづり:「聞かせて貰えるかしら」
羽海束沙:「……知っているの? 内通者の正体を」
"砂滑":「……まずは改めて、事の経緯から説明しよう」
"砂滑":「先程も言った通り、僕はUGNエージェントだ。今回の件より前から、“アークティック・ローゼズ”に潜入していた」
"砂滑":「日本支部査察部は以前から、“赤い猫”の不穏な動きには気付いていたんだ」
七戸瀬月夜:「左様でございましたか」
シキ:「じゃあ、敢えて泳がせてたってこと?」
"砂滑":「いいや。実際に動くまで確たる証拠は掴ませなかった……だがそのお陰で、リストが奪取されてすぐに動くことが出来た。“ウェイブフィッシュ”を名乗り、FHとしてリストを確保しようとしていたんだ」
羽海束沙:「"ウェイブフィッシュ"って、貴方の事だったの……」
七戸瀬月夜:「”ウェイブフィッシュ"!"赤い猫"様の当初の取引相手はUGNの潜入工作員だったのですね……」
七戸瀬月夜:「けれど、実際のリストは"瓊音砕き”様の手に」
"砂滑":「ああ。残念ながら」頷く。
七戸瀬月夜:「どうしてなのでしょう?」
"砂滑":「元々、“瓊音砕き”の目的はリストの奪取だったんだろう。恋人になったのもその為かもしれない。或いは、リストを盗み出すのをそそのかしたのも彼女かもしれない」
"砂滑":「だが“赤い猫”は思惑通りには動かなかった」
"砂滑":「リストを取引した金で、“瓊音砕き”とどこか新天地に逃げ延びようとでもしていたのかもしれないな」
シキ:「“瓊音砕き”的にはそれじゃ困るから、殺して奪ったと」
シキ:「でも、結局あいつもオークションで売る気だったんだよね?」
"砂滑":「ああ。目当ては金だったはず。“赤い猫”と一緒にいても手に入ったかもしれないが……」
七戸瀬月夜:「そんな、お酷いことを……」
永良ゆづり:「可哀そうなことね」
"砂滑":「……リストが奪われたことで、僕の立場も危うくなった。UGNに戻ろうかとも思ったが……」
"砂滑":「結局、リストが明かされれば今後いつまでも報復の危険性はある。それに窮地に立たされているのは自分だけでなく、全ての工作員だったからね」
"砂滑":「そのまま、FH側として確保に向け動くことにしたんだ。それでああいうことになった」
七戸瀬月夜:「……"砂滑"様。ご立派な決断でございました。私からも、敬意と感謝を申し上げます」
シキ:「………」気まずそうに目を逸らす
七戸瀬月夜:「えっと……シ、シキ様も、どうかお気になさらず……」
"砂滑":「ああ。仕方なかったことだ。気にしないでくれ」
羽海束沙:「……あの状況であれば仕方ないでしょう。それに、もしも責任があるとすれば、リーダーとして攻撃指示を出した私の方よ」
七戸瀬月夜:「いつだって先のことは分かりません!目の前の戦いに一所懸命に取り組んだ証明でございます」
シキ:「いや……確かに知らなかったとはいえ……あんだけボコボコにしてしまい……一歩間違ってたら殺してたし……」
永良ゆづり:「お互い、命が残っただけで良しとすべきでしょう。今はそれより」
シキ:「ごめんなさい!!この通り!!」狭い車内で平身低頭する。
"砂滑":「いや。あの状況なら僕もそうする。こうして死ななかったわけだから、もういいんだ」
"砂滑":「……そう。今はそれより、内通者の話が先だな」
"砂滑":「……言いにくいことなんだが」気まずそうに目を泳がせる。
永良ゆづり:「……?」
"砂滑":「……君だ」
"砂滑":視線は七戸瀬月夜のもとで止まる。
シキ:「へ?」
七戸瀬月夜:「私でございますか?」
羽海束沙:「君……って」その視線を追うように目をやって。
永良ゆづり:「そう、なの?」
シキ:「いやいやいや!なんかの間違いじゃない!?」
シキ:「ほら、月夜ちゃんもキョトンとしてるじゃん!」
羽海束沙:「……そのように判断した理由は?」
七戸瀬月夜:「……」考え込む表情。
"砂滑":「……“アンジェリカ”に攻撃を受けなかったか?」
"砂滑":「その時、端末を仕込まれている筈だ。攻撃に紛れ込ませて……」
七戸瀬月夜:「仰る通りでございます。任務を受けて自宅に戻った際、一度、姉様の攻撃を受けました」
七戸瀬月夜:「……!」
GM:本来は《知覚》での判定が必要ですが、今なら髪に混じった《まだらの紐》が見つけられます。
七戸瀬月夜:なんてこった~~
"砂滑":「……以来、君達の会話は“アンジェリカ”に聞かれていた。取引場所が分かったのも、その所為だ」
羽海束沙:「……すると、今も?」
七戸瀬月夜:「……シ…………」車内を見渡す。
七戸瀬月夜:「……っ。シキさま。私の体を見ていただけますか?」
シキ:「え!?あっ、うん!まっかせて!!」
七戸瀬月夜:「はじめに謝罪させていただきます。大変申し訳ありませんでした。お姉様の攻撃を受けたのは、私自身の意志で――」
羽海束沙:静かに息を呑む。月夜さんの身体から何が飛び出すかと、警戒しながらその様子を見守る。
GM:では、髪に混じって一房の影が混ざり込んでいるのを発見できます。
GM:手で握るなどすれば簡単に破壊できます。
永良ゆづり:「……なるほど、『保険は二重三重に』という意味合いがよく分かったわ」
シキ:「"砂滑"さんはちょっと眼を閉じてて……いや、やっぱ良い。多分これだわ」
七戸瀬月夜:「自分だけが背負う痛みなのだと、そう思っておりました。けれどお姉様は……私よりも、ずっと成長していらしたのですね」
シキ:「痛みとかはないと思うけどじっとしててね……」
永良ゆづり:「でも、それなら私もこの任務に配置されていたことは知っていた筈」
永良ゆづり:「あんな真正面から襲撃しなくても良かったんじゃないかしら」
シキ:七戸瀬さんの束ねた髪から影を一房つかみ取り、握りつぶす。
七戸瀬月夜:「……すぐに見つけることができて、不幸中の幸いでございました」やや顔を赤らめながら、開こうとしていた胸の前を閉じます。
"砂滑":「“ブレイドブラッド”は人を信用しない性質だ」
"砂滑":「君が脅迫通りにリストを渡してくる保証も無かったからな」
羽海束沙:「彼女の気性を知っているんですね。なら、今はどうだと思います?」
永良ゆづり:「なるほど、ご足労なこと。私のことを調べた上であんな脅迫を……」
羽海束沙:「リストを奪うための襲撃は、貴方の活躍もあって失敗した。私達はこうして逃げようとしている」
"砂滑":「当然、追ってくるだろうな……。そう簡単に諦める奴じゃあない」
"砂滑":「悪いが、僕はしばらく動けそうにないが……」
七戸瀬月夜:「”砂滑"様がいらっしゃる以上、車を捨てて逃げるわけには参りません」
永良ゆづり:「それさえ分かれば十分だわ。ありがとう」
"砂滑":「……待ってくれ。問題はそれ以外にも残っている」
永良ゆづり:「あら」
真坂世那:「まだあるの~~?」ミキサーで練った団子状の物体を、ライターで炙っている。
永良ゆづり:「それが許されるなら私もシガレット吸ってよくない?」
"砂滑":「そもそも、“アークティック・ローゼズ”が“レベッカ”に端末を仕込み、“スモークスタック”を脅迫したのは……」
"砂滑":「匿名での情報提供があったからだ。君達がこの任務に関わっていると」
"砂滑":「それがなければ、そもそも初動から成立していない」
永良ゆづり:「匿名の情報提供者。それこそ、内通者の所業じゃない」
七戸瀬月夜:「確かに、事前に私や永良様がこの任務に就いていると知らなければ」
羽海束沙:「……"ダーリングトニア"、『それ』もこの状況下で必要な行為なのかしら」能力性質的に必要な事だと思って見過ごしていたが、流石に見かねて声をかける。
七戸瀬月夜:「事前に接触することなどできなかったはず」
真坂世那:「 」
シキ:「でも、このメンバー以外で任務のこと知ってる人なんていたっけ?」
"砂滑":「ああ。だからまだ、問題は解決しては……」
シキ:「あの霧谷ってオジサンくらいじゃない?」
ミツキ:「わーーーっ!!ちょっと!!何あれ!?」
ミツキ:運転していたミツキが、いきなり大声を上げる。
永良ゆづり:「そうだったらもう日本支部は……む」
羽海束沙:「おじさっ……日本支部長ですよ。彼はまず除外して構わないでしょう」
羽海束沙:「って、何!?」
GM:車の前方に、何か巨大な赤い柱が降ってくるのが見える。
GM:それはあまりにも大きな、拳だ。
シキ:「うわわ!?ミツキ回避!回避ーッ!!」
ミツキ:「いやどこに避けろって……!!」
GM:轟音と衝撃。巨腕の一撃が道路を粉砕し、車内の君達は激しくシェイクされた。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
永良ゆづり:七戸瀬月夜/〇連帯感/不安 シキ/〇連帯感/不安 で取得
羽海束沙:永良ゆづり:信頼/◯当惑→◯尽力/憤懣 に変更します。
七戸瀬月夜:仲間/永良ゆづり/同情:○/困惑/ロイス
羽海束沙:あと1枠は残しとこう 以上で!
シキ:永良ゆづり 安堵○/不安 に変更 羽海束沙 応援○/心配 に変更
シキ:以上!
クライマックス
GM:クライマックス
GM:全員登場です。 [21:51]
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (74 → 79)
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を1d10(→ 2)増加 (91 → 93)
シキ:シキの侵蝕率を1D10(→ 3)増加 (86 → 89)
永良ゆづり:73+3+1d3
DoubleCross : (73+3+1D3) → 73+3+2[2] → 78
GM:横転したワゴン車。外から地響きと共に、めきめきと樹木のへし折れる音が聞こえてくる。
ミツキ:「いったぁ……何あれ~……」
羽海束沙:「っ……敵襲、ですかっ」
シキ:「何がどうなってんのさ~……」
永良ゆづり:「ちぃ……早く出るわよ、二撃目が来る!」
七戸瀬月夜:「全身が痛いです」
GM:車から這い出した君達に、巨大な影が差す。
GM:木々を薙ぎ倒して歩いてくるのは、先程の怪物を数十倍まで膨らませたような、異形の巨人だ。
羽海束沙:「これって……まさか、"ブレイドブラッド"の能力?」
永良ゆづり:「にしては、余りにも誇大化し過ぎているような……」
シキ:「いやでっか……怪獣じゃん」
GM:よく見ればあちこちに毛皮や羽毛、鹿の角のようなものが見える。周囲の生物を片っ端から媒介にしたのだろう。
GM:クライマックス戦闘を開始します。
“ブレイドブラッド”[6]
(5m)
クリムゾンビースト[10]“アンジェリカ”[10]
(10m)
PC
(5m)
真坂世那
ミツキ:「でかすぎるでしょ~~……!」
羽海束沙:「あんな力の使い方をして、自分も無事で済まないでしょうに……!」
永良ゆづり:「よっぽど、はらわた煮えくりかえってるのでしょう」
七戸瀬月夜:「私達の逃走ルートに関わらず、一帯を根こそぎにするつもりだったとしか……考えられません!」
永良ゆづり:「後輩だとは微塵も思ってないけれど……まぁ、少しくらい目に物を見せてあげようか」
シキ:「うん。こうなったからには逃げ場なし!蹴散らすよ!!」
七戸瀬紫霄:「……月夜」
永良ゆづり:大蛇めいた白煙が周囲に吹き荒ぶ。臨戦態勢。
七戸瀬紫霄:地響きの中、破壊された路面に静かに降り立つ。
七戸瀬月夜:「お姉様……」
七戸瀬月夜:「……お姉様。私を追跡した手際、大変に」一礼する。
七戸瀬紫霄:「……」
七戸瀬紫霄:妹の顔をじっと見つめ、小さく息を吸う。
七戸瀬月夜:「お見事にございました。月夜では、まだお姉様の力には及ばないと改めて骨身に染みました」
七戸瀬紫霄:「……月夜……。もう一度だけ聞くわ」
七戸瀬紫霄:「……こちらに来る気は、無いのね」
七戸瀬月夜:「ございません。それはUGNや、FHなどという枠組みとも関係はなく」
七戸瀬月夜:胸に手を当てる。「私は、その時が来るまで家族の誰とも幸せに暮らすつもりはございません」
七戸瀬月夜:「――もしもお姉様が私を追ってUGNに来るのであれば、私はUGNからも離れる覚悟です」
七戸瀬紫霄:「……どうして、そこまで……」
七戸瀬月夜:「私は今は、見知らぬ誰かのために、私達の家族の罪を雪ぐために力を尽くすことができております」
七戸瀬月夜:「けれど、また家族とともに暮らせば、そうできなくなってしまうでしょう。愛しているからです」
七戸瀬紫霄:「……それなら、私は?」
七戸瀬紫霄:「私はどうすればいいの、月夜」
七戸瀬紫霄:「私は……認めたくない」
七戸瀬紫霄:「あの日々が、あの幸福が偽物だったなんて」
七戸瀬紫霄:「今更、間違いだったなんて言われても……」
七戸瀬紫霄:「そんなこと、認められるわけがない……!」
七戸瀬月夜:「お姉様だって、分かっているはずです。私達の家族の何が誤っていて、何が正しかったのかを」
七戸瀬月夜:「正しき部分を受け入れ、過ちは自ら正す。先に進むためには、それこそが必要なことなのです。お姉様」
七戸瀬紫霄:「……私は……たとえ過ちであったとしても」
七戸瀬紫霄:「もう一度……あの頃に戻れればそれでいい」
七戸瀬紫霄:「失くしたものを取り戻せれば、それで。貴女も同じ気持ちだと思っていたのに……」
七戸瀬紫霄:「……そうじゃないのね。月夜」
七戸瀬月夜:「お姉様。まだ戦うことを選ぶというのであれば、私はその辛さや苦しみも受け入れましょう」
七戸瀬月夜:「けれど今度は……折檻に当たって差し上げるつもりはございません」
七戸瀬紫霄:「……どうして貴女はそこまで強いの、月夜……」
七戸瀬紫霄:「私はもう、嫌……」
七戸瀬紫霄:「これ以上、貴女と戦うなんて……」
七戸瀬紫霄:掠れた声を漏らし、深く項垂れる。
羽海束沙:「……ごめんなさい」銃を構えたまま、月夜さんの傍で静かに吐き出す。「間違った判断だったとは思っていないけれど、それでも」
羽海束沙:「貴方の言葉と覚悟を疑ったことを、詫びるわ」
羽海束沙:「……"それ"は険しい道よ」
羽海束沙:「ともすれば、自分を苛む痛みだけが残る選択かもしれない」
羽海束沙:「それでも、その決意を忘れずに未来へ進み続けるなら、きっといつか」
羽海束沙:「"貴方達"が望む場所に辿り着けると──私は、信じているわ」
羽海束沙:七戸瀬さんのロイスを ◯誠意/不信感→◯信頼/不安 に変更します。
七戸瀬月夜:「……感謝いたします」
七戸瀬月夜:「お姉様のことは、どうか私にお任せくださいませ」
GM:セットアッププロセス
クリムゾンビースト:衝動判定 Eロイス【堕落の誘い】
GM:衝動判定、難易度9
GM:失敗した場合、即座に侵蝕が100まで上昇します。
永良ゆづり:3dx+2>=9
DoubleCross : (3DX10+2>=9) → 5[2,5,5]+2 → 7 → 失敗
永良ゆづり:つ、つかさ~~!!
七戸瀬月夜:まるで意志が強そうなロールしておきながら実は全然意志技能なんてないんだよな
シキ:4d10>=9
DoubleCross : (4D10>=9) → 20[10,4,2,4] → 20 → 成功
羽海束沙:永良さんにバディム!
七戸瀬月夜:4dx>=9
DoubleCross : (4DX10>=9) → 8[3,6,7,8] → 8 → 失敗
永良ゆづり:あざます!!
七戸瀬月夜:ほら!
羽海束沙:7dx>=9 いし
DoubleCross : (7DX10>=9) → 10[2,2,4,6,8,10,10]+3[2,3] → 13 → 成功
シキ:強固な意思
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を2d10(→ 14)増加 (79 → 93)
永良ゆづり:七戸瀬さんにバディム!
七戸瀬月夜:シキちゃん強ーい って
シキ:シキの修正値を2D10(→ 14)増加 (6 → 20)
七戸瀬月夜:これ4d10じゃんシキちゃん!
七戸瀬月夜:イカサマ娘め!
羽海束沙:ほんとだ
羽海束沙:でも10が出てるから成功かも
七戸瀬月夜:ありがと~永良ちゃん
永良ゆづり:ほんとだ
七戸瀬月夜:そうですね どっちにしろ成功ではある
シキ:あれっほんとだ!
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を2d10(→ 15)増加 (93 → 108)
永良ゆづり:78+2d10
DoubleCross : (78+2D10) → 78+17[8,9] → 95
シキ:ややこしいので振り直します
七戸瀬月夜:おおお侵蝕率の力が入ってくるぞい
シキ:4dx>=9
DoubleCross : (4DX10>=9) → 10[2,4,6,10]+8[8] → 18 → 成功
シキ:あんまかわんなかった
羽海束沙:強い
七戸瀬月夜:振り直しても同じくらい意思が強いぜ
GM:強い……
永良ゆづり:つよ~~
シキ:シキの侵蝕率を2D10(→ 10)増加 (89 → 99)
シキ:侵蝕も理想的
七戸瀬月夜:永良ちゃん衝動侵蝕の出目悪いな~……
永良ゆづり:何とかなる何とかなる
"ブレイドブラッド":「あはははっ!」
"ブレイドブラッド":上方から声。巨人の胸元から少女が分離して、君達の前に降り立つ。
永良ゆづり:「"ブレイドブラッド"……」
"ブレイドブラッド":「どうです先輩?見えますかこれ?」血液の巨体を叩く。
永良ゆづり:「見えるとも。どれだけ食い散らかせばここまで肥大化するんだ」
"ブレイドブラッド":「可愛いでしょう?この子に掛かれば、先輩たちなんてみぃ~んな蟻さん以下のクソ雑魚ですよ?」
永良ゆづり:「先刻、私の事を同じ穴の貉と言ったな」
永良ゆづり:「その振る舞いと態度から、貴女の事をずっとセルの体制側だと思っていたが……」
永良ゆづり:「私と同じ立場なのか?」
"ブレイドブラッド":「……はぁ……?」
"ブレイドブラッド":「何が言いたいの」
永良ゆづり:「何を握られている。何故セルに従っている」
永良ゆづり:「やむを得ず、セルの手先として動いているのなら。その呪縛を解く手伝いをしよう」
"ブレイドブラッド":「ふざけたこと言わないで」
"ブレイドブラッド":明らかに苛立った様子で怒気を放つ。
"ブレイドブラッド":「あたしは自分の意思でこうしてるの」
"ブレイドブラッド":「縛られてるのはあんたの方でしょう?先輩」
"ブレイドブラッド":《禍々しき血潮》
永良ゆづり:「っ……!?」
"ブレイドブラッド":ラウンド間、ブラム=ストーカーエフェクトの攻撃力上昇
永良ゆづり:「確かに、大分長いこと縛られていた。解いて貰ったのはつい最近」
"ブレイドブラッド":全身から血液が噴出、収束し、その手に紅蓮の大剣を形作る。
永良ゆづり:「私は貴女の事情など知らない。だがな」
永良ゆづり:「茨の道を進んでも、何も為せるものはない。"先輩"が断言する」
"ブレイドブラッド":「黙れよ、負け犬が……!」
"ブレイドブラッド":「あたしはあんたとは違うッ!惨めに贖罪や反省で人生を浪費したりなんてしない!」
永良ゆづり:「だから、周りを全て蹴落とすやり方で上り詰めようと?」
"ブレイドブラッド":「そうよ。あたしは何もかも手に入れて、幸せになってやる」
"ブレイドブラッド":「そうでなきゃいけないの……!」
永良ゆづり:「それこそ人生の浪費だ。UGNに居れば分かるが……この世には、化け物がそこかしこに居る」
永良ゆづり:「いずれそいつ等とかち合って、取り返しが付かなくなるだけだ」
永良ゆづり:「その前に、一度負け犬になっておけ」
永良ゆづり:目深にハッチング帽を被り直しつつ、とんとんと靴先の帳尻を合わせる。
永良ゆづり:任務前のルーティーン。暗殺者然とした、簡易的な作法。
永良ゆづり:口から吹き出した煙が、木々を押しのけ立ち昇っていく。
永良ゆづり:「かかってこい、後輩」
"ブレイドブラッド":「あんたを倒して証明してやりますよ、先輩」
"ブレイドブラッド":「このあたしが最強だってことをね……!」
真坂世那:《先陣の火》行動値+20
永良ゆづり:《限界突破》。《凍てつく刃》をラウンド中2回使用可能にします。侵蝕98
真坂世那:行動値15>35
シキ:『RED CROWN』《原初の黄:氷の茨》LV5 ラウンド中、エンゲージを離れたキャラクターはHPを5D10失う。
シキ:シキの侵蝕率を3増加 (99 → 102)
羽海束沙:「天来石」《常勝の天才》PC全員の攻撃力を+20
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を6増加 (93 → 99)
シキ:100超えたのでLV6に
七戸瀬月夜:《攻撃誘導》《甘い芳香》を七戸瀬紫霄に。このラウンド七戸瀬月夜を対象に含まない攻撃のダイスを-12個、行動値を-12。
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を7(→ 7)増加 (108 → 115)
シキ:「にしてもでっかいな~。UGNの仕事っていっつもこんなん相手にしてるわけ?」
シキ:空を覆い隠すほどの血の巨人を見上げる。
シキ:その歪な姿から、先程相対した“瓊音砕き”の成れの果てを思い返し
シキ:「ホントの所はどう思ってたのか聞いてみたかったんだけど、間が悪かったもんは仕方がないか」
シキ:「惚れた腫れたに他人が首突っ込むのも野暮ってもんだよね」
シキ:「んじゃまあ、行きますか!」
シキ:森の木々に混じって、影の茨が大地を侵食していく。
シキ:「どんだけデカかろうが、盤面の上では女王(クイーン)には勝てない」茨の冠が額を飾る。
シキ:「たっぷり絞らせてもらうよ!私らの生活費を!!」
羽海束沙:「……あんなのが相手でも、面倒見良いこと言ってるんだから」少し離れた場所にいる永良を横目に、聞こえないような声で呟く。
羽海束沙:「貴方が悪者ぶるなんて、やっぱり向いてないのよ」
羽海束沙:ふと、この任務を受けた時の事を思い出す。
羽海束沙:信頼できる人間を招くようにと指示を受けて、最初に貴方の事を思い浮かべた。
羽海束沙:その選択を信じ切ることは、思っていたよりも簡単ではなかったけれど。それでも。
羽海束沙:「……貴方を選んで、良かった」
羽海束沙:その声をかき消すように、重ねて銃声が響く。無数の凹凸と歪曲を刻まれた変形弾が、風の中を泳ぐように飛翔する。
羽海束沙:環境要素を加味して数十秒先までの物理運動結果を予測されたそれらは、それぞれが敵対者の将来行動を阻害する座標に「配置」されている。
GM:イニシアチブ
七戸瀬月夜:《インターセプト》を使用します。
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を6(→ 6)増加 (115 → 121)
GM:その前に
七戸瀬月夜:なにっ
真坂世那:行動値35でイニシアチブ行動します。
永良ゆづり:はえぇ~~
七戸瀬月夜:な……なんだあっ
シキ:何をする気だっ……?
真坂世那:焦げた青色の、団子状のものを取り出し、口に放り込む。
真坂世那:ボリボリと音を立て、むしゃむしゃと咀嚼しながら、不味そうに顔を歪める。
真坂世那:①『ダークソウル3』の生産第3~第8ロット分のディスクを細かく割る。
真坂世那:②アカハライモリの成体(北緯36度以南で生まれたもの)の胆嚢、術式対象の顔写真、塩化メチレン20ml、カルダモン適量を加え、ミキサーにかける。
真坂世那:③17秒以内にチャートC(別紙参照)の通りに呪文を唱える。
真坂世那:④全体が青色に変色した場合は灯油、ピンク色に変色した場合は菜種油を用いた火で表面が焦げるまで炙る。
真坂世那:⑤術者が摂食し、保持しているワードを解除する。
真坂世那:「うん。必要だったよ」
真坂世那:《裏切りの真名》
真坂世那:PC全員に7D+12のダメージを与えます。
永良ゆづり:は?
シキ:なんでや!
羽海束沙:何っ
真坂世那:7D10+12
DoubleCross : (7D10+12) → 39[1,8,7,8,2,3,10]+12 → 51
真坂世那:リアクション不可。
永良ゆづり:ひえ~~死、リザレクト
羽海束沙:倒れます。リザレクト。
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を1d10(→ 10)増加 (99 → 109)
永良ゆづり:98+1d10
DoubleCross : (98+1D10) → 98+4[4] → 102
羽海束沙:羽海束沙のHPを10に変更 (5 → 10)
七戸瀬月夜:うぐぐ~っ、いきなり攻撃されてはタイタス復活せざるを得ない
七戸瀬月夜:家族のロイスは切れないしな……申し訳ないけどリーダー羽海さんのロイスで復活。
羽海束沙:100を超えたので《常勝の天才》による攻撃力上昇が24になります。
シキ:ぶっ潰れます。 真坂さんに 親近感/困惑○ でロイスを取って即昇華
シキ:HP14で復活
七戸瀬月夜:HPは11。
真坂世那:予備動作どころか、攻撃のモーションすら無い。
真坂世那:瞬間君達全員に、身体が内側から引き裂かれたかのような激痛が走る。
羽海束沙:「な、っ──」
真坂世那:目には見えないが、幾つもの内臓に致命的なダメージが発生している。
永良ゆづり:「──っ、な?」
七戸瀬月夜:「ひっ!んくっ、ぶ!!」その場でねじ切られるように回転して倒れ、高い悲鳴を上げる。
七戸瀬月夜:「……っ、……ど、どうして………っ」
羽海束沙:「か、ふっ」その場に膝と片手をつく。静かに口元から血が溢れ出る。
シキ:「か───は……?」口内から淀んだ血を吐き出し、膝をつく
永良ゆづり:体内が千切れるような感覚。膝を付き、体勢が崩れ落ちる。
永良ゆづり:「……なるほど、匿名の内通者ってのは。貴女か」
真坂世那:「いやぁ、もうちょっと首尾よく行くかと思ってたんだけどね~」
シキ:「ちょ……?なにこれ……世那っちがやってんの……?」
真坂世那:「どっちも正解~」
真坂世那:ケラケラと明るく笑う。
羽海束沙:「初めから、ここまで潜り込まれていたとは……情けない話、ね」
七戸瀬月夜:(FH出身者ではなく……まさか、数少ないUGN側の人員に、内通者が……)
シキ:「てか車の中でやってたのこれの仕込み!?あんまりにも堂々としてたからツッコんじゃ悪いかなって黙って見てたのに!!」
七戸瀬紫霄:「月夜……?何?何が……」
"ブレイドブラッド":「……?」
永良ゆづり:「……“アークティック・ローゼズ”に与する者でもないでしょう。何が、目的?」
真坂世那:「ギリギリまで粘りたかったんだけどね~。せっかくのUGNとしての立場は惜しいしさ」
真坂世那:「まあ、でも。もうあそこまで言われちゃったら、ちょっと考えれば私だって分かっちゃうしさ」
真坂世那:「目的?そりゃあ当然、それだよ」
真坂世那:手帳に目を向ける。
真坂世那:「私は“インセクティヴァルス”セルの現代魔術師、“ダーリングトニア”」
真坂世那:「悪いけど、ここの全員死んでもらって、あたしがそれ貰ってくね」
七戸瀬月夜:「お姉様……逃げて……!」
七戸瀬紫霄:「……!?」
"ブレイドブラッド":「ふざけんな……!それはあたしのよ……!」
GM:改めてイニシアチブです
七戸瀬月夜:それなら《インターセプト》!
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を6(→ 6)増加 (115 → 121)
GM:何をする気だ……
七戸瀬月夜:何をするだと?
七戸瀬月夜:何もしないための《インターセプト》だよ……!
七戸瀬月夜:PCのエンゲージから右に1mだけ移動し、メジャーで隠密します!
GM:ギェ~~ッ最悪女!
七戸瀬月夜:「……っ」地面に倒れ、全身の激痛に耐えながら、取り落したランタンに指を伸ばす。
七戸瀬月夜:「はやく、灯りを、消し…………」
七戸瀬月夜:フッ
七戸瀬月夜:青い光が消えると同時に、その姿はどこにもない。
七戸瀬月夜:奇襲を狙っている、と考える者がいるかもしれない。あるいは一人だけ逃走を図り、情報を持ち帰っているとも。
七戸瀬月夜:幽霊のような沈黙だけがある。
真坂世那:「……また消えた……」
真坂世那:(……逃げられたらまずいか?いや……)
真坂世那:「出てきなよ、月夜ちゃん」
真坂世那:「仲間を残して逃げられるような子じゃないでしょ?君は」
七戸瀬月夜:「……世那様。そうお呼びしても、よろしいのでしたね……」
七戸瀬月夜:「……ご存知でないのなら……公正に。教えて差し上げます。どうすれば……私の能力の影響下から逃れられるのか……」
七戸瀬月夜:「簡単なことをすればよいのです」
真坂世那:「?」
七戸瀬月夜:「…………私のことを、『考えないよう』にするということ」
七戸瀬月夜:「それだけです」声はそれでぱたりと止む。
真坂世那:「……月夜ちゃん?」返事は無い。
真坂世那:「……ははっ」
真坂世那:「難しいこと言ってくれるね」
GM:イニシアチブ 行動値35、“ダーリングトニア”の手番です
真坂世那:待機します。
GM:行動値10、クリムゾンビーストの手番です。
クリムゾンビースト:《赫き剣》+《破壊の血》武器作成
クリムゾンビースト:メジャー《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《鮮血の一撃》+《血の宴》+《渇きの主》+《ブラッドバーン》+《殺戮領域》
クリムゾンビースト:対象は七戸瀬さん以外の3人!
永良ゆづり:ゆづぇ~~っ!!
七戸瀬月夜:む、クリムゾンビースト君って射程延長エフェクトありますか
GM:アッない!
羽海束沙:移動しないと届かなさげ
七戸瀬月夜:そういうこと!
GM:武器を作らず……歩いていきます……
七戸瀬月夜:のこのこやってきた
シキ:トコトコトコ
永良ゆづり:いらっしゃい
クリムゾンビースト:来たぞ!死ね!!
クリムゾンビースト:20DX7
DoubleCross : (20DX7) → 10[2,2,2,3,4,4,5,6,7,7,8,8,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[3,3,3,4,5,6,7,7,7,7,8,9]+10[2,3,4,6,7,10]+10[2,8]+10[8]+1[1] → 51
羽海束沙:死ぬやんけ
永良ゆづり:6dx+1>=51 ドッジ
DoubleCross : (6DX10+1>=51) → 9[2,3,7,9,9,9]+1 → 10 → 失敗
羽海束沙:4dx+1>=51 ドッジチャンス
DoubleCross : (4DX10+1>=51) → 10[4,6,6,10]+10[10]+4[4]+1 → 25 → 失敗
羽海束沙:頑張った
七戸瀬月夜:すごい出目!
シキ:7dx+1>=51 ドッジ
DoubleCross : (7DX10+1>=51) → 6[1,2,3,5,5,6,6]+1 → 7 → 失敗
シキ:ぜんぜんだめ
永良ゆづり:《炎陣》束沙をカバー。侵蝕104
羽海束沙:この子ってば……
シキ:いいな~
クリムゾンビースト:喰らえ~~ッ
クリムゾンビースト:6D10+25
DoubleCross : (6D10+25) → 27[3,10,5,2,2,5]+25 → 52
永良ゆづり:《子羊の歌》シキさんのダメージを自分に。侵蝕108
GM:こ……こいつ!
七戸瀬月夜:自己犠牲……!
シキ:ゆ、ゆずchang!
シキ:いえゆづり様
シキ:お肩を揉ませていただきます……へへへ……
永良ゆづり:で、真坂世那/感服/〇警戒 にしてタイタス化して蘇生。HP14で以上
クリムゾンビースト:血の巨人が巨体に見合わぬ俊敏さで動き出す。
クリムゾンビースト:薙ぎ払うように剛腕を振るい、周囲の木々やガードレールごと君達を吹き飛ばす!
永良ゆづり:「巨体になっても、攻撃方法は変わらないな」
シキ:「威力はちょっと桁違い……!だけどね!!」
永良ゆづり:皆の一歩前に出て、城壁の如く白煙を前方へ構成、収束、縫合。
シキ:丸太を何本も束ねたような腕に弾き飛ばされる寸前で、永良の白煙に包み込まれる
シキ:※削除
羽海束沙:その破壊を前に、半端な防御の意味はないと悟り走り出す。……いつものように立ち上る煙を見て、その陰へと移動する。
シキ:※削除
永良ゆづり:剛腕の打撃を受け、しなる様に衝撃を吸収する。引っ掛けた木々が千切れ、道路脇の電柱がへし折れるものの。
シキ:「ケホッ、ケホッ!あれ!?私生きてる!?」
永良ゆづり:「……っ、流石に。全員分は無理か」血反吐を吐きながら。攻撃の成果を、自身一人の命のみに落とし込んだ。
羽海束沙:「……ごめん、助かった」彼女が肩代わりしている痛苦を思えば胸も痛むが、感傷に脚を止める訳にはいかない。
羽海束沙:慈悲を思うならば早く片付けることだ。だからこそ簡素な言葉になる。
羽海束沙:全て、いつも通りのこと。
永良ゆづり:「ええ。順に制圧していきましょう」
永良ゆづり:「頼んだわよ」
GM:行動値8 羽海さんの手番です
羽海束沙:マイナーでストライクチップ起動。メジャーでクリムゾンビーストを射撃攻撃します。
羽海束沙:6dx+28 命中
DoubleCross : (6DX10+28) → 4[1,1,3,3,4,4]+28 → 32
GM:失礼、行動値9で永良さんの手番です
永良ゆづり:アンジェリカさんは待機でよいかしら?
七戸瀬月夜:お姉様は行動値0でございます
羽海束沙:デバフ受けてるわね
七戸瀬紫霄:はい……
永良ゆづり:あ、そうだった。じゃあ頂きまーす
永良ゆづり:マイナーなし
永良ゆづり:《C:ハヌ》《音速攻撃》対象はクリムゾンビースト
永良ゆづり:10dx7+4
DoubleCross : (10DX7+4) → 10[1,3,3,3,3,3,4,8,8,8]+10[5,9,10]+10[1,7]+4[4]+4 → 38
永良ゆづり:どこからか3が飛んでこないかなぁ……
羽海束沙:バディム!
永良ゆづり:わぁい!!41!!
クリムゾンビースト:17DX>=41 ドッジ
DoubleCross : (17DX10>=41) → 9[1,2,3,3,4,5,6,6,6,7,7,8,8,8,9,9,9] → 9 → 失敗
GM:くそ~~
GM:ダメージどうぞ!
永良ゆづり:(5+1)d10+11+24
DoubleCross : (6D10+11+24) → 39[6,10,9,1,5,8]+11+24 → 74
永良ゆづり:装甲有効、74点
GM:?????
GM:痛すぎ!!
クリムゾンビースト:大きくなってるので死にはしません
永良ゆづり:なるほどね 侵蝕112
永良ゆづり:剛腕の打撃を完全に吸収しきった煙が、唐突に霧散し。大蛇めいて巨体を這うように昇っていく。
永良ゆづり:身体が大きくなっていれば、急所の範囲も、穿った時のダメージも上がっている筈だ。
永良ゆづり:地をつま弾き、疾駆。束沙の支援弾丸を足掛かりに、一歩、二歩。白煙と共に巨体の正中へと跳躍。
永良ゆづり:峨嵋刺で貫き穿つは心の臓腑。即ち、全身に所狭しと伸びる血脈の中枢にして炉心。
永良ゆづり:その体躯を支えるため、絶えず流入と放出を繰り返すレネゲイドの塊に、白煙が引火し。
永良ゆづり:────炸裂。爆破。熱焼。
永良ゆづり:再生すら追い付かぬほどに、逃げ道を防ぐかのように、全身を焼き焦がし抉っていく。
クリムゾンビースト:巨体が炎上し、周囲にぼとぼとと血塊が降り注ぐ。
クリムゾンビースト:低い唸り声が轟き、地響きを立ててよろめくが、まだ倒れはしない。
"ブレイドブラッド":「涙ぐましい努力ですね~、先輩?」
永良ゆづり:「逐一悪態を付かなきゃ気が済まないのか」
"ブレイドブラッド":「そんなことしたって無駄ですよ。その程度じゃぜぇんぜん効きませんから♡」
GM:改めて行動値8 羽海さんの手番です
羽海束沙:はーい。改めて、マイナーはストライクチップでメジャーでクリムゾンビーストを攻撃
GM:判定どうぞ!
羽海束沙:6dx+28
DoubleCross : (6DX10+28) → 10[2,3,3,7,7,10]+9[9]+28 → 47
GM:回りすぎ
羽海束沙:あと3あるといい感じかも
永良ゆづり:バディム
羽海束沙:わあい 50です
シキ:仲良しがよ
GM:ラブラブカップルがよ!
七戸瀬月夜:仲良きことは美しきかな
クリムゾンビースト:17DX>=50 ドッジ
DoubleCross : (17DX10>=50) → 10[1,2,2,4,5,5,6,6,6,6,7,7,9,9,10,10,10]+10[6,7,10]+8[8] → 28 → 失敗
永良ゆづり:《凍てつく刃》1回目。ダメ+1D+18どうぞ。侵蝕115
羽海束沙:あぶな~
羽海束沙:わあい
GM:ダメージ来やがれ~~っ
羽海束沙:自分でも《フェイタルヒット》します
羽海束沙:5d10+7+6d10+1d10+18
DoubleCross : (5D10+7+6D10+1D10+18) → 31[9,8,6,5,3]+7+25[3,2,4,4,2,10]+10[10]+18 → 91
羽海束沙:諸々有効!
シキ:でっか
GM:おかしいでしょ
GM:だがまだ死なぬ
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を4増加 (109 → 113)
永良ゆづり:マジかよ……
羽海束沙:めっちゃタフ~
羽海束沙:「……随分と、そのデカブツに自信があるみたい」何もない空へ向けて銃弾を連射しながら、"ブレイドブラッド"を見上げる。
羽海束沙:「そうまで言われると、純粋に興味が出てくるわね」
羽海束沙:「そいつが倒れた時、貴方はどんな言葉を吐くのかしら」
羽海束沙:変形歪曲した弾丸が、空力によって円弧軌道を描きながら魔獣の身体へと迫る。巨体を支える脚部へと雨粒のように重ねて打ち付ける。
クリムゾンビースト:血飛沫が散り、血の巨人が体勢を崩す。
羽海束沙:姿勢が崩れた所へ、更に銃撃を重ねる。今度は直線の射撃。滞留する白煙を潜る中でその速度を増した弾丸が、巨人の胸に当たると同時に炸裂する。
羽海束沙:……"スモークスタック"の白煙によるレネゲイド増強作用。
羽海束沙:その効果は、術者が対象を強く信じている程に力を増す。……ならば、今は。
羽海束沙:答えとなる巨人の叫びが耳に届いて、僅かに口元を緩めた。
クリムゾンビースト:弾丸と炎の衝撃に体積を削り取られ、巨体は木々を薙ぎ倒して転倒。噴出した血と巻き上げられた土砂とが辺りに降り注ぐ。
"ブレイドブラッド":「UGN……!」
"ブレイドブラッド":犬歯を剥き出しに、羽海を睨みつける。
"ブレイドブラッド":「可哀そうなそいつを救ってでもやったつもり?馬鹿らしい……!」
羽海束沙:「……そう。貴方には、そういう風に見えているの」
"ブレイドブラッド":「そんなの何の意味も無い自己満足よ……!この偽善者!!」
羽海束沙:「偽善者には向かないわ。表の世界では何一つ讃えられることのない仕事よ」
羽海束沙:「でも、そうね。自己満足というのは、外れてはいないかも」
羽海束沙:「私は、自分の納得できる道を進みたいだけ。……それは、貴方にも分かる理屈でしょう?」
"ブレイドブラッド":「何も知らない奴が、知ったような口を…………!」
GM:行動値6 シキさんの手番です。
シキ:マイナーなし
シキ:メジャーで『BLUE BLOOD』《原初の赤:吹き飛ばし》LV2《妖しの招き》LV2《原初の白:斥力の槌》LV2《コンセントレイト:ウロボロス》LV4
シキ:混沌なる者の槍でクリムゾンビーストへ攻撃します
シキ:12dx7+4
DoubleCross : (12DX7+4) → 10[2,3,5,5,5,5,5,6,6,7,8,10]+10[6,7,8]+5[4,5]+4 → 29
シキ:ちょっと怖い
"ブレイドブラッド":この程度の達成値俺でも避けられるぜ
クリムゾンビースト:17DX>=29
DoubleCross : (17DX10>=29) → 10[1,2,2,4,4,4,6,6,7,8,9,9,9,10,10,10,10]+9[1,3,5,9] → 19 → 失敗
GM:くそ~~~~~~
GM:ダメージどうぞ!
永良ゆづり:《凍てつく刃》2回目。ダメ+1D+18どうぞ 侵蝕118
シキ:有り難い!行くぜ!
シキ:3d10+12+24+1d10+18 装甲有効
DoubleCross : (3D10+12+24+1D10+18) → 16[3,5,8]+12+24+4[4]+18 → 74
GM:なんだと…………
GM:え~~……
シキ:一点でもダメージが通った場合、4m移動し、元のエンゲージに引き寄せ、更4m移動
クリムゾンビースト:移動するまでもなく死にました……
シキ:そうとはな……
永良ゆづり:悲しいね
羽海束沙:サッカーボールにもならなかったぜ
シキ:じゃあ《巨人の影》だけ使っとくぜ
シキ:氷の茨のLVを+2
シキ:シキの侵蝕率を3増加 (102 → 105)
シキ:シキの侵蝕率を11増加 (105 → 116)
GM:ヒエ~
シキ:「よーっし今なら!!」
シキ:体勢を崩した巨人目掛けて、影の茨が殺到する。
シキ:巨人が纏う血液を、レネゲイドを養分としながら、急速に成長、その巨体を侵蝕していく。
シキ:「ゆづりちゃん!もっと煙炊いちゃって!」
永良ゆづり:「分かっている」巨体に纏わりつき膨れ上がる白煙が、茨の成長と範囲を押し上げる。
クリムゾンビースト:茨に拘束され、くぐもった咆哮と共にのたうち逃れんとする。
クリムゾンビースト:「ゴ ア アァアア ア……」
シキ:「もう遅いよ。ここはもう私の庭、薔薇の女王の影の城」
シキ:茨によって区切られた盤面の周囲を、城塞のような影が囲む。
シキ:影の茨は倒れ伏した巨人を大地に縫い付け、頭を垂れさせる。
シキ:それはまさしく、処刑台に引き立てられた罪人の姿
"ブレイドブラッド":「な……」
"ブレイドブラッド":「ま、待て……!」
シキ:「ごめんね。貴方が操られてるだけってのは知ってるけど」
クリムゾンビースト:地面を揺らしながら暴れようとするが、影の茨からは逃れられない。
シキ:「慈悲をくれてあげる。私には、これしかできないから」
シキ:影で編まれた断頭台。その刃を支える一本の茨を、手に取った槍で斬り落とす。
シキ:漆黒の刃は一瞬で巨人の頸を落とした。
シキ:残った胴体は、茨に侵食され瞬く間に朽ちていく。
クリムゾンビースト:巨大な頭が地に転がると、制御を失った身体が元の血液に戻り、流れ出していく。
"ブレイドブラッド":「……嘘、でしょ……」
"ブレイドブラッド":信じ難いものを見た顔で瞠目し、唇を戦慄かせる。
"ブレイドブラッド":「何なのよ、あんた……」
シキ:「嘘じゃないんだな~これが」得意げに笑って
シキ:「私達は"盤外個体"(フェアリーピース)」
シキ:「思惑(ルール)通りに動くような駒じゃないんだよ。最初っから」
GM:行動値6 “ブレイドブラッド”の手番です。
"ブレイドブラッド":マイナー《赫き剣》+《破壊の血》武器作成
"ブレイドブラッド":メジャー《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《紅の刃》+《サンドシャード》+《血の宴》+《デトネイトモード》
"ブレイドブラッド":対象永良・羽海・シキ!
"ブレイドブラッド":20DX7+4
DoubleCross : (20DX7+4) → 10[1,2,2,2,2,3,3,4,4,6,7,7,7,7,8,8,9,9,10,10]+10[1,2,5,6,7,7,8,9,10,10]+10[1,5,6,7,9,10]+10[3,4,10]+3[3]+4 → 47
永良ゆづり:でか~~っ
シキ:回しよるわ
羽海束沙:ひええ ドッジします
シキ:ドッジ!
羽海束沙:4dx+1>=47 アホほど回れ~っ
DoubleCross : (4DX10+1>=47) → 10[6,8,9,10]+8[8]+1 → 19 → 失敗
羽海束沙:だめだったよ
シキ:5dx+1>=47
DoubleCross : (5DX10+1>=47) → 9[1,2,2,6,9]+1 → 10 → 失敗
永良ゆづり:6dx+1>=47
DoubleCross : (6DX10+1>=47) → 10[6,8,8,8,8,10]+6[6]+1 → 17 → 失敗
シキ:むりぽ
永良ゆづり:《炎陣》束沙をカバー 侵蝕120
"ブレイドブラッド":5D10+72 ダメージ
DoubleCross : (5D10+72) → 24[2,8,6,1,7]+72 → 96
羽海束沙:ありがたい……
羽海束沙:でも一応まだロイス無傷で、消耗も少なめのキャラなので厳しそうならカバーしなくてもいいよとは伝えておくわね
シキ:消し炭!ゆづりちゃんのロイスを昇華して復活。
永良ゆづり:あっ、ごめん
永良ゆづり:《子羊の歌》シキさんのダメージを自分に。侵蝕124
シキ:ゆづちゃん……!
永良ゆづり:テロの犠牲者のロイスをタイタス昇華して蘇生。以上
シキ:有り難く頂いて昇華は取り消します。無理はしちゃダメよ……
永良ゆづり:《子羊の歌》はこれで使い切りよ~
"ブレイドブラッド":「誰だろうと、知ったことじゃないわよ……!」
"ブレイドブラッド":崩れた巨人を構成していた大量の血が、別の形に再構成されていく。
"ブレイドブラッド":生み出されるのは、あまりにも巨大な血の剣。
"ブレイドブラッド":天蓋の如く聳え、その刃を君達に向ける。
"ブレイドブラッド":「ここまでやって……ここまで失くして……」
"ブレイドブラッド":「もう止まれないのよ!あたしが誰より強くなきゃ!!そんなの間違ってるでしょうが!!」
"ブレイドブラッド":木々を切り裂きながら、君達に向け大剣が振るわれる。
永良ゆづり:朱の剣閃を縫い留める様に、白煙が旋風を起こし瞬時に巻き付いていく。
永良ゆづり:「……後輩すぎる」
永良ゆづり:大剣を薙ぐ際の空気抵抗を嵩まし、威力を蹴落としていく。彼女の握力は、自身が生成した血を手繰る分で限界の筈だ。
永良ゆづり:「そうやって、退路も視野もかなぐり捨てて、自分の決め打ちに全て注ぎ込んで」
永良ゆづり:「昔の私を見てるようだ。なんかものすごいデジャブを感じてる、今」
"ブレイドブラッド":「ぐ……ッ……!?」
"ブレイドブラッド":全力の一撃を受け止められ、明らかな動揺が走る。
"ブレイドブラッド":「あたしはっ……!あんた達みたいにはならない……!」
"ブレイドブラッド":「反省だの、贖罪だの……そんなことしたって、過去は消えない!」
永良ゆづり:「そうだ。過去は消えない。消えた物は帰ってこない」
"ブレイドブラッド":「そんな無意味なことの為に、一生そんな辛気臭い顔で無駄に過ごすつもりはない……!」
永良ゆづり:「だけど意味はあるさ。享受するのは私達ではないかもしれないけどね」
永良ゆづり:「何にせよ。私は、私達の様な者をこれ以上生みたくないから、この場に立っている」
永良ゆづり:「だから、貴女を見過ごせない」相殺しきれなかった衝撃を、自身の命で代替し。笑みを見せたままズタボロの身体を再生する。
GM:行動値0 紫霄の手番です。
七戸瀬紫霄:月夜さん以外のPCを攻撃するにはダイスが足りず、月夜さんは隠密なので攻撃できない……
七戸瀬紫霄:ならば……やるしかないですね
七戸瀬紫霄:《知覚》での対決を宣言します!
七戸瀬月夜:あっ、お姉ちゃんひどい!
七戸瀬月夜:これが実際封殺してしまうことのデメリットでもある……!何も出来ないので対決できてしまうわけ
七戸瀬紫霄:最早正々堂々……勝負するのみ!
七戸瀬月夜:負けないぞ~!
七戸瀬紫霄:6DX+2 知覚
DoubleCross : (6DX10+2) → 7[4,4,4,5,5,7]+2 → 9
七戸瀬月夜:これならいける……!
GM:隠密側のリアクションとなるので、9以上を出せれば隠密成功です。
七戸瀬月夜:4dx
DoubleCross : (4DX10) → 10[1,1,2,10]+5[5] → 15
七戸瀬月夜:やった!隠れんぼ対決大勝利
七戸瀬紫霄:ウワーーーッッ
シキ:すっご~い!
GM:見つかりませんでした…………
七戸瀬月夜:悲しい
七戸瀬紫霄:「…………」
七戸瀬紫霄:激しい戦闘の中、長い息を吐く。呼吸を整え、深く集中していく。
七戸瀬紫霄:探るのはただ一人、妹の気配。彼女の能力は知っている。見つけさえしてしまえば、無力化できるはず。
七戸瀬紫霄:だが──
七戸瀬紫霄:「……思えば」
七戸瀬紫霄:「昔から、かくれんぼだけは……一度もあなたに勝てたことはなかったわね。月夜……」
七戸瀬月夜:「……私は、います」
七戸瀬月夜:「お姉様。家族が離れ離れになってしまっても、まだ、私は生きております」
七戸瀬月夜:「見えなくても、離れていても――」声だけがある。傍にいるようにも、地平線の向こうから聞こえるようにも思える。
七戸瀬月夜:「……幸福な家族の絆がなくなることはありません。きっと、死んでしまったとしても」
七戸瀬紫霄:「……認めましょう」
七戸瀬紫霄:「この期に及んで、私はこれ以上あなたを傷付けられはしない」
七戸瀬紫霄:「きっとこんなことに、意味は無いのでしょうね」
七戸瀬紫霄:「それでも、私は引き下がれない」
七戸瀬月夜:「……お姉様」
七戸瀬紫霄:「約束したのよ、見届けると」
七戸瀬紫霄:“ブレイドブラッド”に視線を向ける。
七戸瀬月夜:「“ブレイドブラッド"様のことですね」
七戸瀬紫霄:「今私が見捨てたら、あの子は本当に一人になってしまう」
七戸瀬紫霄:「短い間の、ほんのか細い繋がりだったけれど……」
七戸瀬紫霄:「あの子も、私の家族だったから」
七戸瀬月夜:「……ああ。やはりお姉様は……私が慕っていた、お姉様でございます」
七戸瀬月夜:「ならば、見届けてくださいませ。そして幸運にも難を逃れることができたのなら――」
七戸瀬月夜:「……お姉様が支えてあげてくださいませ」
七戸瀬月夜:「それは、私を見つけようとするよりも、遥かに……私達に近づくことなのだと、そう信じます」
七戸瀬紫霄:答えは無い。ただ静かに、虚空に向け瞑目した。
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の能力への唯一の対処手段は『考えようとしない』ということ。しかしそれは正確な表現ではない。
七戸瀬月夜:『考えない』ために必要なのは、何よりも『考える』ということなのだ――七戸瀬月夜以外の誰かのことを。
GM:クリンナップ……は無いかな
GM:ラウンド2
GM:セットアップから!
羽海束沙:もうないです
シキ:『RED CROWN』《原初の黄:氷の茨》LV8 ラウンド中、エンゲージを離れたキャラクターはHPを8D10失う。
永良ゆづり:どうしよっかな
シキ:シキの侵蝕率を3増加 (116 → 119)
七戸瀬月夜:世那ちゃんにダイスデバフかけてもなんだか意味がない気がするな……!やはりお姉様を拘束した方がよさそうだ
七戸瀬月夜:いや、そう思ったけど違うな。
七戸瀬月夜:今エンゲージどうなっていますか
“ブレイドブラッド”[6]
(5m)
“アンジェリカ”[10]
(10m)
永良ゆづり[9]羽海束沙[8]シキ[6]
(1m)
七戸瀬月夜[4]
(4m)
真坂世那(15)
シキ:クリビは死んだッピ!
七戸瀬月夜:ブレイドブラッドもエンゲージ動いてないままかしら
GM:こうですね
GM:ブレイドブラッドもサンドシャードで飛ばしてるので動いてないです
七戸瀬月夜:ブレイドブラッドを封殺したい……が、お姉様を動かすのもよろしくないな
七戸瀬月夜:やっぱりお姉様に《攻撃誘導》にかかってもらうしかないか
七戸瀬月夜:行動は決まりました!お姉様に《攻撃誘導》のみ。
シキ:行動値的にはみんなブレイドブラッドに先手撃てるしね
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を3(→ 3)増加 (121 → 124)
永良ゆづり:《限界突破》を使用します。
永良ゆづり:《凍てつく刃》を指定。侵蝕127
GM:ではイニシアチブ
真坂世那:《黒星粉砕》
シキ:なんなのこいつ……
永良ゆづり:マジか
真坂世那:範囲攻撃なので 七戸瀬さん以外の3人にダメージを与えます
真坂世那:7D10
DoubleCross : (7D10) → 41[5,10,4,5,8,8,1] → 41
シキ:死!今度こそゆづりちゃんのロイスを昇華して復活します。
羽海束沙:倒れる!"砂滑":◯感服/罪悪感 で取って昇華復活。
永良ゆづり:シキさんのロイス昇華で復活。以上
羽海束沙:羽海束沙のHPを11に変更 (10 → 11)
真坂世那:「準備いい?」
永良ゆづり:「よくない」
真坂世那:隠し持っていたのか、衛星電話を片手に口を開く。
シキ:「な~んかやな予感……」身構える。
真坂世那:ぱちぱちと手元で起こる小さな火から、燻る煙を吸引する。
真坂世那:「3,2,1……はい」
真坂世那:①『週刊少年ジャンプ 2014年17号』の読者アンケート葉書の備考欄に『prActice』と4回記入する。
真坂世那:②父方の親類の血液をイチョウの葉で起こした火で沸騰させ、発生した煙を吸引する。
真坂世那:③北海道札幌市の『ライトビル』屋上北側の隅を裸足で蹴る。
真坂世那:瞬間、目鼻口……君達の顔面の穴という穴から、血が噴き出す。
真坂世那:体内へのダメージ。酩酊感と共に激しい頭痛が襲い来る。
羽海束沙:「今度は何を──っう」
シキ:「ぶふっ……うっ、く……」
羽海束沙:警戒を緩めた瞬間はないつもりだった。因果関係を超越した干渉に身を襲われたとかろうじて理解する。
永良ゆづり:「………っ、拙いな。リストを所持してる限り、挟み撃ちになる」
真坂世那:「あ、上手く行ったよ~。ありがとね。じゃ、お土産よろしく!」
シキ:「マジでどういう理屈なんだよこれ……」
真坂世那:にこやかに電話をしまい、君達を見る。
真坂世那:「結構しぶといなあ。まだ死なないんだ」
シキ:赤く染まった視界を拭いながらフラフラと立ち上がる。
シキ:「こんなわけわかんない死に方願い下げだっての」
羽海束沙:「……本来の"ダーリングトニア"の能力は、奇行にも見える"まじない"で都合の良い結果を引き寄せる類の物だと聞いていたけれど」
羽海束沙:「明らかに、そういうレベルを超えている……」
真坂世那:「言ったでしょ?魔術だよ」
真坂世那:「現代の科学や医学も元々は、根拠の無い呪術とそう変わりはなかった……」
真坂世那:「それらと同じように、忘れ去られた魔術を現代の実用レベルまで押し上げたのが我が“インセクティヴァルス”セル」
真坂世那:「私たちは現代の魔女ってこと。これから死ぬ皆には関係ないけどね~」
羽海束沙:「……そう。勉強になるわ」頭痛を堪えながら、目鼻の血を拭う。「講義の続きは、貴方を捕縛した後で聞かせてもらう」
GM:行動値10 七戸瀬紫霄の手番です。
七戸瀬紫霄:今度こそ見つける!《知覚》で判定します。
七戸瀬月夜:ふふ……無駄無駄
七戸瀬紫霄:6DX+2
DoubleCross : (6DX10+2) → 8[1,2,4,4,5,8]+2 → 10
七戸瀬月夜:勝負!
七戸瀬月夜:4dx
DoubleCross : (4DX10) → 10[2,3,9,10]+2[2] → 12
七戸瀬月夜:わーいわーい
シキ:勝ってる!
七戸瀬紫霄:にゃあ~~~~~っ
羽海束沙:つよい
GM:見つかりませんでした…………
七戸瀬月夜:もっと頑張ってください♡知覚よわよわお姉様♡
永良ゆづり:つよつよ
GM:行動値9 永良さんの手番です。
永良ゆづり:マイナー戦闘移動で真坂世那と同一エンゲージに。
永良ゆづり:メジャー《C:ハヌ》《音速攻撃》対象は真坂世那
永良ゆづり:10dx7+4
DoubleCross : (10DX7+4) → 10[1,3,3,5,5,5,5,6,6,9]+3[3]+4 → 17
永良ゆづり:ひっく!
羽海束沙:バディムーブ!
真坂世那:こりゃ避けちゃうな~
永良ゆづり:ありがとう……!!
真坂世那:《浄玻璃の鏡》でドッジします
シキ:こいつ…
永良ゆづり:マジか!
真坂世那:10DX+6>=20
DoubleCross : (10DX10+6>=20) → 9[1,1,3,4,5,6,7,7,8,9]+6 → 15 → 失敗
真坂世那:くそ~~~~
シキ:あらあら
永良ゆづり:あぶな~~
羽海束沙:セーフセーフ
永良ゆづり:(3+1)d10+11
DoubleCross : (4D10+11) → 21[3,7,5,6]+11 → 32
真坂世那:だいぶ減ります
永良ゆづり:侵蝕131。だいぶ増えてきたな……
永良ゆづり:「どれだけ準備があるか次第だが……ダメだな、アイツは放っておけない」
永良ゆづり:大剣の捕縛に使用した白煙が破裂。周囲一帯がホワイトアウト。
永良ゆづり:魔術の使い手というからには、肉体面の性能にはそれほど成長点を割いていないはず。
永良ゆづり:迂回を繰り返し、視界を塞いで、聴覚で欺いて。
真坂世那:「やばっ……!」
真坂世那:異常を察知し、その身体がすり抜けるように地面に潜ろうとするが。
永良ゆづり:狙いは首。死角から這い寄る蛇の様に、肉薄し。右手に携えた峨嵋刺で、一点を貫く。
真坂世那:「げぅっ……!」
永良ゆづり:「何から何まで魔術頼りか?体力はそれほどではなさそうだ」
真坂世那:鮮血が迸る。脛まで土と一体化した状態で、首元を抑える。
真坂世那:「マジ痛いんだけど……!こいつ~……!」
永良ゆづり:「思い返せば、貴女が今回の発端だ。随分と好き勝手やってくれたな」
真坂世那:「気付かない方が悪いんでしょ~?」
真坂世那:目に涙を浮かべながら、その場で一定の動きでナイフの素振りを始める。
永良ゆづり:「手離れの良い呪いなどない。藪蛇を突いた報い……しっかりと身に刻んでもらおう」
永良ゆづり:真坂と永良の周囲には、未だ白煙が滞留している。後手に繋ぐための布石。
GM:行動値8 羽海さんの手番です。
羽海束沙:はい。マイナーでストライクチップ、メジャーでブレイドブラッドに攻撃します。
羽海束沙:6dx+28 命中
DoubleCross : (6DX10+28) → 10[1,2,2,4,6,10]+6[6]+28 → 44
"ブレイドブラッド":ガード!
GM:ダメージどうぞ!
羽海束沙:ダメージに《フェイタルヒット》
羽海束沙:他にダメージ支援あれば……
羽海束沙:なさげなので振ります
羽海束沙:5d10+7+6d10
DoubleCross : (5D10+7+6D10) → 20[7,5,3,3,2]+7+36[6,6,3,5,10,6] → 63
羽海束沙:羽海束沙の侵蝕率を4増加 (113 → 117)
"ブレイドブラッド":イ~~ッ
"ブレイドブラッド":HP0
"ブレイドブラッド":《不死不滅》で復活します
羽海束沙:白煙を伴う真坂世那への攻撃に潜むようにして、引金に指をかける。
羽海束沙:視線が追うは"アンジェリカ"の更に向こう、"ブレイドブラッド"の影。
羽海束沙:(……あれだけの規模の従者を生成した事で、かなりの消耗をしているはず)
羽海束沙:(先程の攻撃に、その翳りは見えなかったけれど……だとしても、人はそこまで無尽蔵ではない)
羽海束沙:空を向いた銃口が、白煙を巻き込むようにして放たれる。
"ブレイドブラッド":「がッ……!!」
羽海束沙:薄平たく歪曲した数発の弾丸群が円弧を描き、"ブレイドブラッド"へと迫る。
"ブレイドブラッド":銃弾に貫かれ、鮮血が散る。
羽海束沙:二手、三手と血の守りを砕き崩した先。胸部に命中した一発が、煙を巻いて激しく炸裂した。
"ブレイドブラッド":「……ぎぃいいいっ……!」
"ブレイドブラッド":迸った血の花が空中で静止、そのまま血の大剣に吸い込まれていく。
"ブレイドブラッド":「あた、しは……」
"ブレイドブラッド":「負、け……ない……!」
羽海束沙:「……私達のことを、陰鬱な顔だと言っていたけれど」
羽海束沙:「今の貴方は、とても苦しそうな顔をしているわ」
"ブレイドブラッド":「だ、ま、れぇえええぇっ……!!」
"ブレイドブラッド":掠れた声で絶叫し、憎悪に満ちた顔を上げる。
GM:イニシアチブ
"ブレイドブラッド":《加速する刻》
シキ:あっこいつ!
"ブレイドブラッド":《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《紅の刃》+《サンドシャード》+《デトネイトモード》+《ギガノトランス》+《亡者の爪牙》
"ブレイドブラッド":《亡者の爪牙》により変異暴走:破壊が起動
七戸瀬月夜:あっ!
"ブレイドブラッド":攻撃対象がシーン(選択)からシーンになります。
シキ:見境なし野郎~!
七戸瀬月夜:選択じゃないシーン攻撃には命中してしまう~
羽海束沙:隠密にも当たっちゃうのか
"ブレイドブラッド":対象はPC全員と“ダーリングトニア”!
永良ゆづり:わぁお
羽海束沙:お姉様は対象外なのか
GM:そうだった 姉もです
シキ:逃げられなかった
羽海束沙:入ってた
"ブレイドブラッド":20DX7+4
DoubleCross : (20DX7+4) → 10[1,1,2,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,7,8,8]+10[3,5,8]+10[8]+3[3]+4 → 37
真坂世那:10DX+6>=37 《浄玻璃の鏡》
DoubleCross : (10DX10+6>=37) → 7[2,2,3,3,3,4,5,6,7,7]+6 → 13 → 失敗
シキ:ドッジ!
シキ:5dx+1>=37
DoubleCross : (5DX10+1>=37) → 4[1,1,2,4,4]+1 → 5 → 失敗
永良ゆづり:7dx+1>=37 ドッジ
DoubleCross : (7DX10+1>=37) → 10[2,2,6,7,9,9,10]+4[4]+1 → 15 → 失敗
七戸瀬紫霄:ガード
羽海束沙:6dx+1 ドッジ
DoubleCross : (6DX10+1) → 8[1,2,2,7,8,8]+1 → 9
七戸瀬月夜:4dx+1>=37
DoubleCross : (4DX10+1>=37) → 9[2,4,8,9]+1 → 10 → 失敗
"ブレイドブラッド":ダメージ!
"ブレイドブラッド":4D10+72+24 装甲無視
DoubleCross : (4D10+72+24) → 24[6,8,3,7]+72+24 → 120
シキ:でっか
羽海束沙:これ世那ちゃん死んでそう
真坂世那:HP0、復活エフェクトありません
羽海束沙:しんでる…
シキ:まきぞえで…
七戸瀬月夜:永良さんに《奇跡の雫》。
永良ゆづり:!?
羽海束沙:真坂世那のロイスを切って復活。HPは11で変わらず。
七戸瀬月夜:私は永良さんのロイスを切って復活だ
七戸瀬紫霄:HP0、《魂の錬成》で復活。
永良ゆづり:ではHP10で蘇生!ありがとう~~
シキ:束沙ちゃんのロイスを斬って復活!
七戸瀬月夜:七戸瀬月夜の侵蝕率を6(→ 6)増加 (124 → 130)
"ブレイドブラッド":「あたしの……邪魔を……する奴は……」
"ブレイドブラッド":血の巨剣がボコボコと沸騰するように激しく波打ち、形を変えていく。
七戸瀬紫霄:「……“ブレイドブラッド”!!それ以上は……!」
"ブレイドブラッド":静止の言葉も耳に入らぬ様子で、剣にありったけのレネゲイドを注ぎ込む。
"ブレイドブラッド":「全、員…………」
"ブレイドブラッド":一本の巨大な剣が、視界を埋め尽くさんばかりの無数の剣へと変わる。
羽海束沙:「あいつ……まだ、あんな力が残って……」
"ブレイドブラッド":「くたばれぇええええッ……!!」
"ブレイドブラッド":無差別に、全方位に。夥しい数の血の刃が解き放たれる。
"ブレイドブラッド":敵味方の区別なく、紅の剣がすべてを貫いていく。
永良ゆづり:「……っ、これは、防げな────」
シキ:「やっば……っ!」
七戸瀬月夜:「……!」不在の幻覚。通常はたとえ全方位攻撃であろうと、自分を意識した攻撃に当たることはない……だが。
シキ:茨が根を張った地面ごと抉り取られ、切り刻まれる。
七戸瀬月夜:「けふっ」この能力の弱点はもう一つある。真の意味で『考えなしの』攻撃であること。無差別攻撃であるほど、捉えられることになる。
七戸瀬紫霄:「う、あぁッ……!」胸元を穿たれながらも、狂乱する少女に手を伸ばす。
七戸瀬紫霄:「ブレ、イ……!」
七戸瀬月夜:木に縫い付けられるように胸を串刺しにされている。
羽海束沙:「っ、ぐ……!」無数の刺突に身を切り刻まれる。かろうじて身体を捻り、手足を盾に、幾つかの臓器だけを守る。
真坂世那:「あぶな……ッぐ!?」
真坂世那:地面に潜って逃れようとする寸前、腹を貫かれる。
真坂世那:「や、ば……うわぁああぁああッ!?」
真坂世那:地面の中に『落ちていく』悲鳴。声は次第に遠ざかり、やがて聞こえなくなった。
"ブレイドブラッド":「はぁッ……はぁッ……!」
シキ:「世那っ……!」つい先程まで味方だった少女の断末魔に、つい声を上げてしまう。
永良ゆづり:「逃がすか、ぐ、くう……!」真坂世那を白煙で掴もうとして、全身を突き抉る痛みに押し止められる。
"ブレイドブラッド":乱れた髪、滝のような汗。悪鬼の形相で君達を見る。
"ブレイドブラッド":「まだ……生きてるの……」
羽海束沙:「……っ、あいつ……」消えた真坂さんの方を一瞥するが、すぐに目の前の脅威へ向き直る。
シキ:「それはこっちの台詞……無茶しすぎでしょ」血塗れの身体を引きずり立ち上がる。
永良ゆづり:「そっちこそ、いい加減に……」身体を修復し、立ち上がろうとして。
シキ:「戻れなくなっても知らないよ」無数に刻まれた裂傷が、時間を巻き戻すかのように塞がっていく
七戸瀬月夜:「……は、くふっ……。世那様は……」
七戸瀬月夜:「……」
永良ゆづり:脚に力が入らず、崩れる様に倒れ込む。二度の圧潰めいた攻撃を一人で受け止め、修復に費やした分のツケが返ってきた。
羽海束沙:「っ、ゆづり……」引きずるように歩きながら、倒れた永良を庇うような位置に立つ。
七戸瀬月夜:木に寄りかかりながら、"ブレイドブラッド"を見る。
七戸瀬月夜:「どうか、もう、おやめください……そのような、痛ましいことは……」
"ブレイドブラッド":「やめるわけ、ないでしょうが……」
"ブレイドブラッド":最早ジャーム化も辞さないのだろう。限界を越え、更にレネゲイドを昂らせる。
永良ゆづり:「待て!それ以上は……」
"ブレイドブラッド":「あんたら全員……ちゃんと死ぬまで切り刻んであげる……!!」
七戸瀬月夜:「……」ランタンが倒れ、ガラス部分が割れている。
七戸瀬月夜:青い光のようなものが漏れているが、実際には光ではない。
七戸瀬月夜:人間にそう知覚させているだけの何か――七戸瀬月夜のレネゲイドの発現形態と表現できるかもしれない。
七戸瀬月夜:それが地面に散って、倒れた永良の方にまで届いている。
七戸瀬月夜:(……永良様)
永良ゆづり:「……っ、これは」蒼光に包まれ、自身の意志に関係なく途切れた筋繊維が繋がっていく。
永良ゆづり:彼女が携えていたランタンと同じ光、則ち彼女の能力の一端だと理解して。
永良ゆづり:「助かる。これなら、まだ間に合うかもしれない」
七戸瀬月夜:「……お願い申し上げます」深く一礼する。
GM:行動値6 シキさんの手番です。
シキ:マイナーはそのまま
シキ:メジャー『CASTLE BLACK』《原初の赤:吹き飛ばし》LV2《妖しの招き》《コンセントレイト:ウロボロス》LV4
シキ:混沌なる者の槍でブレイドブラッドへ攻撃。ダメージを与えた場合、自分のエンゲージに引き寄せた後4m移動させます。
GM:判定どうぞ!
シキ:12dx7+4
DoubleCross : (12DX7+4) → 10[2,4,4,5,6,7,9,9,9,10,10,10]+10[1,2,2,4,9,9,10]+10[3,3,8]+6[6]+4 → 40
シキ:キリのいい数字!
"ブレイドブラッド":ガード!
シキ:ではダメージだします!
永良ゆづり:《凍てつく刃》ダメ+1D+18どうぞ。侵蝕134
GM:来い!
シキ:うおおお!漲ってきたぞ!
シキ:5d10+12+1d10+18 装甲有効
DoubleCross : (5D10+12+1D10+18) → 26[1,8,8,1,8]+12+1[1]+18 → 57
"ブレイドブラッド":ムッ!
"ブレイドブラッド":《赤河の支配者》
"ブレイドブラッド":ダメージ軽減します
シキ:なにぃ
"ブレイドブラッド":57-1D10-10
DoubleCross : (57-1D10-10) → 57-7[7]-10 → 40
シキ:結構減らすじゃん
"ブレイドブラッド":ぐっ……
"ブレイドブラッド":HPは40……
永良ゆづり:ぴったり
"ブレイドブラッド":復活エフェクトはありません。
GM:七戸瀬紫霄に戦闘継続の意思が無いため、戦闘終了です。
永良ゆづり:やった~~
七戸瀬月夜:勝った~!
シキ:よっしゃ~~~
シキ:シキの侵蝕率を8増加 (119 → 127)
シキ:「……や、流石にもう見てらんないわ」口の中に残った血を吐き捨てる。
シキ:「ちょっと髪型とか喋り方とか似てるしさ。悪い冗談って感じ」
シキ:「性格はあの子の方がだいぶマシだけど」
シキ:「思い出したら余計ムカついてきたな……とにかく!」
シキ:「一回みっちり絞ってやる!そんなとこでイジケてないで……」手を振り上げる。
シキ:「こっちにこーーいっ!!!!」
シキ:大地に撒き散らされた夥しい赤い血と、すべてを黒く飲み込む影の茨
シキ:それらが混ざり合い、区切られ、再び赤と黒の盤面を敷き詰める。
シキ:振り上げた手に合わせて伸ばされた茨は、"ブレイドブラッド"を一瞬で拘束し
シキ:女王の前へとその体を引きずり出す。
"ブレイドブラッド":「う、ぐぅっ……!?」
シキ:「おりゃ!!」
"ブレイドブラッド":刺に構わず茨を握り締め引き千切らんとするが、びくともしない。
シキ:引寄せられ、宙に浮いた少女へ向けて、渾身の右ストレートを叩き込む。
"ブレイドブラッド":「がはっ……!」
シキ:拳に纏わせた影の茨が、インパクトの瞬間ブレイドブラッドへと乗り移り、
シキ:シキの頭上を飾るものと同様に、冠となる。ただしそれは
シキ:彼女が操る血液を、先んじて汲み上げ養分として、更に拘束を強める茨の枷。
"ブレイドブラッド":枷に拘束され、身動きとれずに藻掻く。
"ブレイドブラッド":「ッ……こいつ……!」
"ブレイドブラッド":自らを引き裂いてでも脱出しようとして、全身から血が噴き出す。
七戸瀬紫霄:「“ブレイドブラッド”……!!」
"ブレイドブラッド":「ぐっ……あぁあああああッ!!」
シキ:「無駄だよ。この距離じゃ私には逆らえない」
シキ:「いい加減頭冷やしなって。でないと……」
"ブレイドブラッド":「あぁあ……あぁああああッ!!」
"ブレイドブラッド":自らの片腕を、内部から血液操作でバラバラに破壊する。
シキ:「なっ……」
"ブレイドブラッド":代わりに茨の拘束から逃れ、腕を犠牲に形成した血の剣でシキに斬り掛かる。
"ブレイドブラッド":「死──ねぇえええッ!!」
ミツキ:「……シキ!!」悲鳴に近い声が上がる。
永良ゆづり:────間合に忍び込むは白蛇。
シキ:「分からず屋……!」槍を取り出し迎え撃とうとする。が、一手遅い。
永良ゆづり:出力に任せた無鉄砲な振りを、両手で往なす。シキを捉えるはずだった紅刃は空を切り、地面に叩きつけられる。
"ブレイドブラッド":「────!!」
永良ゆづり:「見誤っていた。私の後輩などと侮って悪かった」
永良ゆづり:勢いを殺さず、白煙を右足と左肩に巻き付け、背中から地面に投げ落とす。
"ブレイドブラッド":「……!!」
"ブレイドブラッド":衝撃に息を詰まらせ、目を見開く。
永良ゆづり:「自身を省みぬ無鉄砲さは、最早私を超えているよ」
永良ゆづり:彼女の眼前に、峨嵋刺の切っ先を向ける。チェックメイト。
永良ゆづり:「だから。何故、それでも私達に負けてしまったのか……」
永良ゆづり:「頭を冷やして考え直してみるのが、先輩からのお勧めだ」
"ブレイドブラッド":「……く……」
"ブレイドブラッド":悔しげに顔を歪め、口を開こうとして。
"ブレイドブラッド":「…………」
"ブレイドブラッド":そのまま意識を失い、脱力する。
永良ゆづり:「……良かった」
永良ゆづり:「抵抗されてたら、普通に拙か……っ」
七戸瀬紫霄:「……」
永良ゆづり:意識を失い、彼女の隣に倒れ込む。
羽海束沙:「……随分とまた、無茶をして」静かに息を吐いて、彼女を抱き止める。
羽海束沙:それから一度、七戸瀬さん達の方を一瞥するが
羽海束沙:「どうか私にお任せくださいませ」と言った彼女の言葉を思い出す。僅かな逡巡の後、負傷した彼女達の手当を始める。
七戸瀬紫霄:周囲で旋回していたガラスの操作を止め、戦闘態勢を解く。
七戸瀬紫霄:静かに“ブレイドブラッド”に歩み寄り、その頭を撫でる。
七戸瀬紫霄:「……月夜」
七戸瀬月夜:「はい」
七戸瀬紫霄:「UGNという組織は……あなたから見て、信頼できる場所?」
七戸瀬月夜:「……月夜には、まだそれを断言してしまえるほどの経験はございません」
七戸瀬月夜:「信頼できない方も、信頼できる方もいらっしゃいます。……UGNも、FHや他の全ての世界と同じでした」
七戸瀬紫霄:「……そう……」
七戸瀬月夜:「ですが……FHを裏切ったこの私を信頼してくださる方も、います」
七戸瀬月夜:「辛いことばかりではないのです」
七戸瀬紫霄:「……」
七戸瀬紫霄:倒れた“ブレイドブラッド”を見つめる。
七戸瀬紫霄:「……この子を、預けても良い場所かしら」
七戸瀬月夜:「"ブレイドブラッド"様を、UGNに?」
七戸瀬紫霄:頷く。
七戸瀬紫霄:「このままでは……いずれきっと、取り返しがつかないところまで行ってしまう」
七戸瀬月夜:「……ええ。承知いたしました。お姉様が安心して預けることのできるよう」自分の胸に手を当てる。
七戸瀬月夜:「私が力を尽くします」
七戸瀬紫霄:「……そう……。……良かった」
七戸瀬紫霄:「あなたなら安心して託すことが出来る」
七戸瀬紫霄:言って立ち上がり、踵を返す。
シキ:「……アンタは」
シキ:「アンタは、これからどうするつもり?」
七戸瀬紫霄:「……分からないわ」
七戸瀬紫霄:「でも、一緒には行けない」
七戸瀬月夜:「……」
七戸瀬月夜:「……"ブレイドブラッド"様が、お目覚めになられたなら」
七戸瀬月夜:「七戸瀬紫霄は、姉のように貴女を案じていらっしゃったのだと」
七戸瀬月夜:「……そうお伝えいたします」
七戸瀬紫霄:それを聞いて、ふっと笑みを浮かべる。
七戸瀬紫霄:「嫌がるわね、きっと」
七戸瀬紫霄:ガラスが舞い上がり、乱反射の中に姿を消す。
七戸瀬月夜:「……」静かに、頭を下げている。姉が消えた後もずっと。
七戸瀬月夜:「う、うう」
七戸瀬月夜:「………ぐすっ、う、ううっ……」
シキ:「月夜ちゃん……」背を震わす少女の肩を擦る。
七戸瀬月夜:「い、いかがいたしましたか、シキ様?……う、あぅ……」
シキ:「ん……何ていうか、きっとお姉さんは、月夜ちゃんの気持ちを大事にしてくれると思う」
七戸瀬月夜:「もちろんでございます……だって、だってお姉様は」
七戸瀬月夜:「私の……お姉様なの、ですから……」
シキ:「……そだね。けどさ」
シキ:「赤の他人が、偶然出会っちゃうってことは、あると思わない?」
七戸瀬月夜:「そんなこと、仰らないでください…………」
七戸瀬月夜:「……会いたくなって……しまいます……」
シキ:「あるよ、きっと」その手には一枚の紙切れが握られている。
シキ:少女にも渡した、ジャンク屋の名刺。
シキ:「私、営業活動には余念がないから」
シキ:「うちは骨董屋だからね。持てないものを預かっとくのが仕事なの」
七戸瀬月夜:「……ふふ」はらはらと泣きながら、小さく笑う。
七戸瀬月夜:「ふふふ……」
GM:バックトラックです。
GM:Eロイスはこちら
クリムゾンビースト
《ファイトクラブ》
《ありえざる存在》
《堕落の誘い》2個分
《悪夢の鏡像》
《変異する悪夢》
GM:6個です。振る方はどうぞ!
永良ゆづり:思ったよりあった
七戸瀬月夜:振らないやつはアホ!
永良ゆづり:振ります!
羽海束沙:一応ふります
永良ゆづり:134-6d10
DoubleCross : (134-6D10) → 134-43[4,9,10,3,10,7] → 91
羽海束沙:117-6d10
DoubleCross : (117-6D10) → 117-32[1,7,3,10,5,6] → 85
シキ:ふるのだ!
永良ゆづり:91-4d10
DoubleCross : (91-4D10) → 91-31[7,9,5,10] → 60
永良ゆづり:4点!
シキ:127-6d10
DoubleCross : (127-6D10) → 127-30[8,3,1,10,4,4] → 97
七戸瀬月夜:130-6d10
DoubleCross : (130-6D10) → 130-23[3,3,1,3,10,3] → 107
羽海束沙:85-4d10 1倍
DoubleCross : (85-4D10) → 85-13[1,2,7,3] → 72
羽海束沙:5点です
七戸瀬月夜:この出目なら1倍でチャレンジ。
シキ:ロイス3、倍振り
シキ:97-3d10
DoubleCross : (97-3D10) → 97-17[5,2,10] → 80
七戸瀬月夜:107-4d10
DoubleCross : (107-4D10) → 107-13[1,4,3,5] → 94
GM:全員帰還!
GM:いつもの15点にEロイス5点、計20点に侵蝕ぶんを加えて経験点進呈します!
羽海束沙:25点です~
永良ゆづり:24点!
シキ:25点!
七戸瀬月夜:25点になりました
七戸瀬月夜:シキさんはSロイスあるんじゃない?
GM:そういえばそう
GM:というわけで諸々合わせて贈呈!お疲れさまでした~
シキ:そうじゃん!
永良ゆづり:頂きます!もぐもぐ
七戸瀬月夜:おいしいね
シキ:Sロボーナスで30点!うまうま
エンディング1:七戸瀬月夜、シキ
GM:斯くして、リストは無事にUGNに戻り、事件は収束。君達の任務は完了した。
GM:重傷を負った“砂滑”は翌日には既に新たな任務に就き、姿を眩ました“アンジェリカ”の足取りは今も不明のままだ。
GM:戦闘中に消失した“ダーリングトニア”が見つかることはなく、行方不明として処理されたが、
GM:アラバマの地方紙の片隅を飾った、民家の2階に突如現れた圧死体と彼女とを結びつける者は誰もいなかった。
GM:事件から数日。シキとミツキの営むジャンク店には、元の通りの平穏な日常が戻ってきていた。
シキ:「というわけで~」ガラッと店の扉を開ける。
シキ:「今夜はカニ鍋だーーーッ!!」
シキ:朝から店番をミツキに任せていたが、たった今大きなクーラーボックスを抱えて帰ってきた。
ミツキ:「やった~~」
ミツキ:炬燵から出ないまま手だけで万歳する。
シキ:「ストーブも直ったし灯油も買えたし」
シキ:暖かな炎を揺らすストーブに当たりながら
シキ:「これでなんとか冬が越せるね~。UGN様様だ」
ミツキ:「UGNはどうだった?シキ」
シキ:「ん、そうねー」
シキ:「思ったより綺麗なばっかりのとこじゃないってのはわかったよ。今回の事件だって身から出た錆みたいなとこあったしね」
ミツキ:「そうだねぇ」
ミツキ:「なにガニ?ズワイ?タラバ?」
シキ:「毛ガニ!」両手で取り出して持ち上げる。
ミツキ:「毛ガニだ~」
シキ:「北海道直送だよ~。一尾サービスしてもらっちゃった」
ミツキ:「タラバガニってカニじゃないらしいね」
シキ:「あっ聞いたことある!」
シキ:「ヤドカリ?の仲間なんだっけ?」
シキ:「でもカニとヤドカリって一緒じゃない?」
ミツキ:「そうなんだ?美味しければどうでもいいけど」
シキ:「だよね~」
ミツキ:「でもさあ、ぶっちゃけお金なら、FHで稼いだ方がいっぱい手に入るじゃん?」
ミツキ:「あれこれ束縛もされないしさ」
シキ:「確かにまあ、せっかく自由になったのにまた小難しい規則に縛られるってのもね」
シキ:「私ら、自由を愛する女だし」
ミツキ:「その上で、UGNのほうに付くメリットがあるとしたら……何?」
ミツキ:「っていう話を、シキに聞きたい」
シキ:「今日は随分結論を急ぐじゃん。よっぽどカニが待ちきれないと見た」
シキ:「ま、答えちゃうけどね。結論は決まってるんだし」
ミツキ:「あたしはぶっちゃけどっちでもいいんだけど…… うん、何?」
シキ:「UGNには友達がいる」
シキ:「どっちでもいいなら、結局そこじゃない?」
シキ:「あの組織の理念とか、正義とかは正直ピンとこない。きっとFHみたいに好き勝手やるよりは、世の中にとってマシなんだろうけど」
シキ:「それを守るために犠牲になる人もきっといるんだろうね。それが嫌になっちゃう人も」
ミツキ:「……成程ね。シキらしい」
シキ:「けど、あの子たちはそうじゃないからさ。自分の正義があって、それを投げ出したりはしない」
シキ:「だから、あの子たちの敵にはなりたくないかな」
ミツキ:「ま、言った通りあたしはどっちでもいいからさ」
ミツキ:「可愛い妹の意見を聞いてあげようかな~。お姉ちゃんとして」
シキ:「はぁ~!?いきなりお姉ちゃんぶんなし!」
シキ:「ミツキが決められないから私が引っ張ってあげてるんですけど!」
シキ:「むしろ私の方がお姉ちゃん指数が高いと思わない?」
ミツキ:「わかったわかった、シキのほうがお姉ちゃんだね~。お~よしよし」
シキ:「やめろ~!それ以上やったら一番後ろの脚しかカニあげないから!」
ミツキ:「はいはい」のそのそと炬燵から這い出て、ごきごき関節を鳴らしながら立ち上がり伸びをする。
ミツキ:「……じゃ、カニの前に仕事片付けてこようかなあ」
ミツキ:「店番よろしくね」
シキ:「へ?仕事って?」
シキ:「ミツキの仕事はここの店番じゃん。サボりか~?」
ミツキ:「この店の稼ぎだけじゃ不安定すぎるでしょ」
ミツキ:言って、シキが見たことのない通帳を炬燵の天板に置く。
ミツキ:中々の額の収入が定期的にある様子が見て取れる。
シキ:「こ、これは……っ」
シキ:「ミツキ……!!」肩を掴む
シキ:「あんた……ばか!!自分の体はもっと大事にしなさいよ……!!」涙ぐむ
ミツキ:「バカ」額をはじく
シキ:「あぅ」
ミツキ:「普通にネットで色々してるだけだっての」
ミツキ:「シキには外の世界の厳しさを知ってほしかったから、今まで黙ってたの」
ミツキ:「でもま、それもそろそろ必要なさそうだから」
シキ:「そ、それってつまり……最初から……」
シキ:「だ……」
シキ:「騙したなーっ!!ホントはいつでもストーブ直せたんじゃん!!」
ミツキ:「別にいいでしょ~。あたしだって寒い思いしてたんだから」
シキ:「うぅ~っ!その間も懐はこんなにあったかかったんじゃん!」通帳を指指す。
シキ:「不安に怯える私を見て内心ほくそ笑んでたんだ!ミツキのいじわる!」
ミツキ:「あたしだってつらかったよ……でもシキのためを思って心を鬼にして……うっうっ……」
ミツキ:「んじゃ店番よろしくね~」
ミツキ:ひらひら後ろ手に手を振って、ケロッとした顔で2階に上がっていく。
シキ:「あっ待てこらっ!!」
シキ:怒鳴った背が一瞬で見えなくなって
シキ:「………」机の上に残された通帳を見る。
シキ:「………なんだよ、もう……」
シキ:「もう少し頼ってくれたっていいじゃん……」
シキ:通帳を畳んで、鍵付きの棚へとしまう。
シキ:ミツキの心配も、優しさも理解しているつもりだ。それでも、これは絶対自分からは使わないようにしようと心に決めて。
シキ:「………」
シキ:一応もう一度金額を数える。
七戸瀬月夜:「恐れ入ります」
七戸瀬月夜:すぐ背後の耳元で囁く。
シキ:「いち、じゅう、ひゃく、せん…………ひゃぁっ!?」
七戸瀬月夜:「……失礼いたしました。お邪魔しております」きっちり一礼する。
シキ:通帳を放り投げ、慌てて空中でキャッチし後ろに隠す。
シキ:「つ、月夜ちゃん!?」
七戸瀬月夜:極めて存在感が薄く、物音もない。闇の中で微動だにせず佇んでいると、衣服や人形の類に見えてしまいそうだ。
七戸瀬月夜:「お久しぶりでございます、シキ様。以前シキ様にいただいた連絡先を元に……」
七戸瀬月夜:両手でつまんだ名刺を胸の前に出す。
七戸瀬月夜:「……訪れてみたのですが。ご迷惑だったでしょうか?」
シキ:「う、ううん!!全然そんなことない!!」ぶんぶんと手を横にふる。
シキ:「来てくれて嬉しいよ!ごめんね~全然気付かなくて」
七戸瀬月夜:「いいえ、いつものことですので……問題ございません」
七戸瀬月夜:「以前皆様で打ち合わせしたお店、ザイセリエAでも水のグラスの数が一つ少なく……」
シキ:「そうだったの!?」
シキ:「も~ダメだよそういう時はちゃんと店員さんに言わないと」
シキ:「ささ、立ち話も疲れるでしょ。座って座って」手頃な椅子を出す。どう見ても商品だが。
七戸瀬月夜:「ありがとう存じます。これはお客様用の椅子だったのですね」
七戸瀬月夜:言われた通り、きっちりと脚を揃えて座ります。
シキ:「今お茶出すからね~。コーヒーと紅茶どっちが好き?」
七戸瀬月夜:「では、お紅茶をいただきます。お気遣いありがとうございます」
七戸瀬月夜:「そうでした、こちらつまらないものですが……」
七戸瀬月夜:菓子折りを差し出します。
シキ:「ええ!?これはこれはご丁寧に……」反射で受け取りつつ
シキ:「でも、月夜ちゃんはお客さんなんだからこんな事しなくていいんだよ?」
シキ:「もっと気軽に、ふらっと手ぶらで来てくれればいいんだから」
七戸瀬月夜:「……?ええ、来客としてこちらに参りましたので……ご主人であるシキ様に失礼のないようにと」
シキ:「いーのいーの!お客さんにもてなされたらこっちの面子が立ちません!」
七戸瀬月夜:「わ、わかりました。それではもっと手ぶらになればよろしいのですね」
七戸瀬月夜:ランタン、バッグ、財布、ハンカチなどを綺麗に並べていく。
シキ:「そうそう!むしろ先に連絡してくれれば、ミツキが隠してるとっておきのお菓子出して待ってるんだからね」
シキ:「ってちがーう!ごめん!私が悪かった!!」
七戸瀬月夜:「こちらこそ、申し訳ございません。シキ様のお店でお買い物をするために来たのではなく……」
七戸瀬月夜:「……ただ、どのようなお店をしていらっしゃるのかを見てみたくなったのです」
シキ:「あはは、良いよ全然。うちは冷やかしOK」
シキ:「私も月夜ちゃんが来てくれただけでやる気出ちゃうしね」
七戸瀬月夜:「陶器や人形だけではなく、このような電子機器なども扱われているのですね」
七戸瀬月夜:8年前くらいの型落ちのデスクトップを見る。
シキ:「うん。むしろそっちが主力かな~」
シキ:「見た目はボロいけど、中身はミツキがいじってるからね。ぶっちゃけかなりお買い得だよ~」
七戸瀬月夜:「シキ様もミツキ様も、立派でございます。それぞれ得意なことを活かしてこうしてお仕事をしていらして……」
シキ:「い、いやぁそれ程でもあるかな~」複雑な表情で照れる。
七戸瀬月夜:「どうして、お二人とも……レネゲイドの世界のお仕事を続けていらっしゃるのですか?」
シキ:「ほえ?どうしてって……」
シキ:「んー……」少し考え込む
七戸瀬月夜:「シキ様はもちろん、覚悟の上のことかと存じています。けれど、傷つけられたり、傷つけたりすることの辛さを知った上で……」
七戸瀬月夜:「例えばシキ様には、どのようなご理由があったのだろう……と、考えこんでしまうのです」
シキ:「そういや、この前も月夜ちゃんの事情ばっか教えてもらっちゃってたもんね。不公平っちゃ不公平か」
七戸瀬月夜:「誰かに話すことがお辛いことなのでしたら、仰らなくとも構いません」
七戸瀬月夜:「私の場合は、常に口に出して戒めておきたいことでしたので……あの時はシキ様に問い質していただいて、むしろ嬉しく思いました」
シキ:「いやぁ、月夜ちゃんと比べると私のは全然大したことないっていうか。特別な理由とかじゃ全然ないんだけど」
シキ:「そうだなぁ、一つはやっぱりそれが一番得意だからかな。この店、儲かってるように見えないでしょ?」客が一人もいない店内を見渡す。
七戸瀬月夜:「けれど、ご自身のお店を持っているだけでも立派でいらっしゃいます」はげましモード。
シキ:「へへ……よせやい。褒めても値切らないぞっ」満更でもなさそう
シキ:「あともうひとつは、やっぱり」
シキ:「……これ、恥ずかしいからミツキにも言わなかったんだけどね」
シキ:「困ってる人が多いから。かな」
七戸瀬月夜:「……困ってる人が」
シキ:「月夜ちゃんには釈迦に説法だろうけど、レネゲイドの世界と普通の日常には、まだまだ大きな溝がある」
シキ:「そこに嵌って動けなくなっちゃう人はいっぱいいるわけじゃん?それで、手を差し伸べられる人は限られてる」
七戸瀬月夜:真剣な表情で、こくこくと頷く。
シキ:「昔ね、絵本で読んだんだ」
シキ:「弱くて小さな、黒い魚の群れの中に、一匹だけ速く泳げる赤い魚がいて」
シキ:「その子は群れの目になって、みんなの力を合わせてサメやイルカを追い払うの」
シキ:「私はその話が好きで……」
シキ:「けど私の妹は、それが嫌いだった」
七戸瀬月夜:「どうしてなのですか?」
シキ:「その子は他人を信じない子だったから。人の中の正しさとか優しさとか、そういうの」
シキ:「だから、赤い魚が犠牲になってるように見えたのかも」
七戸瀬月夜:「その魚も、もしかしたら目になりたくはなかったのかもしれないと……そう思ってしまったのですね」
シキ:「だからね。私その子に約束したんだ」
シキ:「私がその魚になる。あなたの目になってあげるって」
シキ:「まあ今は離れて暮らしてて、どこにいるかもよくわからないんだけど」
七戸瀬月夜:「……妹様のことを、今でも愛しておられますか?」
シキ:「モチのモチ!だから、見られてないからって約束破るわけにも行かないでしょ」
七戸瀬月夜:「だからシキ様は、妹様のために……他の多くの皆様の目になることを、決めたのですね」
シキ:「あ、改めて言葉にされると恥ずかしいけど……」
シキ:「まあそんなとこ。じゃないと、私が私に胸を張れないから」
七戸瀬月夜:「――とても素敵な理由でございました。お教えいただいたこと、心より感謝いたします」微笑む。
シキ:「どういたしまして」はにかんで
シキ:「これミツキには言わないでね?アイツ独占欲強いから」
七戸瀬月夜:「けれどシキ様……。大変申し上げにくいのですが……」
シキ:「けどミツキも、私のそういうとこを好きになってくれたと思うんだよね~」
シキ:「だから尚更やめられな……」
シキ:「ん、なに?」
七戸瀬月夜:「レオ=レオニ様の著作『スイミー』のお話でしたら、数の多い魚のほうが赤い魚で、目になる一匹は黒い魚でございました……」
シキ:「……うそ!?そうだっけ!?」
七戸瀬月夜:「はい……」
シキ:「え……じゃあ私が読んでたあれは……?パチもん?」
シキ:「あー……まてよ……?そういえば赤黒逆だったか……?」
七戸瀬月夜:「だ、大丈夫です!思い出は本物なのですから」
七戸瀬月夜:「あっ、その……記憶違いがあったとしてもです!」
シキ:「……そ」
シキ:「そうだよね!?大事なのは気持ちだよね!?」
シキ:「赤とか黒とか……細かいことは気にしない!!」
七戸瀬月夜:「左様でございます!」
シキ:「よし!この話は終わり!」冷や汗を垂らしながら切り上げて。
シキ:「そだ、月夜ちゃん。晩ごはんまだでしょ?一緒に食べてかない?」
シキ:「カニは皆で食べたほうが美味い!残してももったいないしね~」
七戸瀬月夜:「そ、そんな……シキ様とご一緒にお夕飯だなんて」
七戸瀬月夜:「ご迷惑ですし……失礼ですし……」テレテレ
シキ:「迷惑でも失礼でもないって!むしろ一緒に食べたいの!」
七戸瀬月夜:「そ、そういうことでしたら……お言葉に甘えて、お呼ばれしたいと存じます」
七戸瀬月夜:(――たくさんの魚。私達にとってのそれは、家族だった)
シキ:「じゃあ決まりっと!待ってて。今ミツキ読んでくるから!」
七戸瀬月夜:(けれど、群れを一度失ってしまった魚でも、なお)
シキ:ドタバタと階段を駆け上がっていく。
七戸瀬月夜:(だからこそ、誰かと繋がらずにはいられない。誰かの役に立つことを願わずには……)
七戸瀬月夜:(家族が与えてくれる愛とは、そのようなものなのだと思います。きっと)
七戸瀬月夜:椅子に座ったまま、手紙を取り出して開く。
七戸瀬月夜:任務から屋敷に帰った時には誰もいなかったが、それでも自分の置き手紙に重なるように、手紙だけが残されていた。
七戸瀬紫霄:それは万年筆で書かれたらしい、ごく短い手紙だった。
七戸瀬紫霄:『月夜へ』
七戸瀬紫霄:『こんな形でしか言えなくて、御免なさい』
七戸瀬紫霄:『もう一度会えば、きっと心が揺らいでしまうから』
七戸瀬紫霄:『私はセルを離れます。行く宛ては決まっていないけれど、どこか遠くに行く心算です』
七戸瀬紫霄:『自分が何をすべきなのか、何が出来るのか。もう一度よく見つめ直してみたいと思います』
七戸瀬紫霄:『いつか』
七戸瀬紫霄:そこで暫く筆が止まったのか、紙面にはインクが滲んでおり。
七戸瀬紫霄:『いつかもう一度、あなたと暮らせる時がくることを、願っています』
七戸瀬紫霄:『その時まで、この家のことはあなたに任せます』
七戸瀬紫霄:『私の大切な家を守ってくれていて、ありがとう』
七戸瀬紫霄:『身体に気を付けて あなたの姉より』
七戸瀬紫霄:『追伸 二階の窓ははやく直しておくように』
七戸瀬月夜:(……大丈夫。私達は、どこにだって行けます。お姉様)胸に手紙を当てながら、目を閉じる。
七戸瀬月夜:(私達は多くのことを間違えてしまったけれど……それでも、お祖父様が……どうして"七戸瀬家"を作ったのか)
七戸瀬月夜:(強い絆さえ、その心にあれば。どれだけ孤独になったとしても――)
七戸瀬月夜:(――オーヴァードはジャームにはならない)
七戸瀬月夜:(いつだって一緒です。お姉様)
七戸瀬月夜:いつの間にか灯っていたランタンの青い光を、静かに消す。
エンディング2:永良ゆづり、羽海束沙
羽海束沙:UGN緑坂支部、その事務棟裏手。
羽海束沙:私有地であり、一般利用者の目に付く事はまずない。
羽海束沙:見るからに未成年の少女が喫煙まがいの行為をしていたとして、騒ぎになることはないだろうという了解から、自然と彼女と自分の溜り場になっていた。
羽海束沙:近くの自販機で買った紅茶に口をつけながら、壁にもたれている。
永良ゆづり:「あ、居た」
永良ゆづり:ダッフルコートを羽織り、吐く息を白くしながら彼女の元に歩いてくる。
羽海束沙:「……どうも。もう大丈夫なの、怪我は」
永良ゆづり:「"ヴァンノワール"事件の時の束沙ほどじゃない。一日寝たら何とかなったさ」
羽海束沙:「それ引き合いに出されちゃ何も言えん」
羽海束沙:もう片方の手には、彼女とつるむようになってから携帯するようになったココアシガレットの菓子。開けたその口を目の前に差し出す。
永良ゆづり:「ん……」慣れた手つきで、差し出された小箱からシガレットを1本取り出し。
永良ゆづり:先端を軽く摘まむ。すると煙草の様に煙が上がり、冬の風に揺れる。
羽海束沙:こちらも一本取り出して、口元で咥えながら。「貴方の"後輩"も、一応無事らしいわよ。侵蝕率も落ち着いて来てるって」
永良ゆづり:「そっか。傷が回復した頃に見舞いにでも行ってやるか……」
永良ゆづり:────そっと、顔を近づける。
羽海束沙:「噛み付かれないように気を付けなさ」目を見開く。「い、よ……」
永良ゆづり:咥えたシガレットの先端どうしが重なり。
永良ゆづり:立ち昇る煙は、一つから二つに。
永良ゆづり:「……今回。色々と、すまなかったな」
羽海束沙:「……いきなり顔を近づけられると、びっくりするんだけど」抗議するように呟いて。
永良ゆづり:「いい加減慣れてよ。何回繰り返したと思ってるの」
羽海束沙:「別に、いいけど……」煙と一緒に吐き出す。
羽海束沙:「そうやって謝罪されると、私だって色々謝らなきゃいけない」
羽海束沙:「最終的な交戦で勝利できたからいいものの、向こうの仕掛けた策にやられてばかりだったわ」
永良ゆづり:「逆だ。先手で策を張り巡らされて、ほぼ負けの状況から最後に勝ちを拾ったんだ」
永良ゆづり:「色々偶然はあったけどね。束沙は十分上手く立ち振る舞ったと思うよ」
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:「そうかしら。オークションの策も、殆どミツキさんの案だったし……」ゆっくりと瞑目して
永良ゆづり:「ずるくない?」
羽海束沙:「……悪いわね。なんか、弱音ばっかり出てきてる」
永良ゆづり:「なんか、私ばっかり弱い所を見せて束沙に宥められる展開が多い気がする」
羽海束沙:「今、見せてるつもりだったんだけど。弱い部分」
永良ゆづり:「そうじゃなくて、もっとこう……涙を見せたりする位追い込まれたりとか……」
羽海束沙:「いやに具体的な要求ね……」
永良ゆづり:ふーっと、口から白い息と煙が吹き抜ける。
羽海束沙:「まあ確かに、私はそうそう泣いたりしないタイプだけれども」
永良ゆづり:「いつか、一度くらいはお目に掛かりたいものね」
永良ゆづり:「……さておき、リーダーってのは皆に任せっきりで十分だと思う」
永良ゆづり:「策を考案したり実行に移すのにも、徒党だけじゃ纏まらない。統率あってこそ」
羽海束沙:「……ありがと。ちょっと元気出た」
羽海束沙:「理屈では分かってても、誰かにそう言ってほしいみたい。私」
永良ゆづり:「……そっか。良かった」
永良ゆづり:そのまましばらく、無言で煙を蒸かせて。ダッフルコートのポケットに入れた手が、微かに揺れている。
永良ゆづり:取り出すか否か、迷っているような。そんな落ち着かない様子で。
羽海束沙:「……さて。そろそろ、休憩時間も終わり……」腕時計に目を落としてから、君の方へと振り返り。その震えに気付く。
羽海束沙:「……どうかした?」
羽海束沙:「寒くて凍えてる、って感じには見えないけど」
永良ゆづり:「…………いや、もう少し。あと10分くらい居てもいいんじゃないか」
羽海束沙:「不良ね。……まあ」
羽海束沙:「今度の貴方は頑張ったし、少しくらい我儘を聞いてあげてもいいけれど」立ち去ろうとした足を止めて、再び壁に背を預ける。
永良ゆづり:「助かる」ふーっ、と。やや過剰に煙を吐き出す。
永良ゆづり:「…………………ん、ん~~~~」
羽海束沙:「何。言いにくいこと?」
永良ゆづり:「いや、言いにくいっていうか。その……あー……」
羽海束沙:「またどこかの誰かに脅されてるとか?」茶化すように言う。
永良ゆづり:「そんなんじゃない。そんなんじゃなくて」
永良ゆづり:「………はい」
永良ゆづり:突き出すように、赤いリボンとチェックの包紙で包装された小箱を差し出す。
羽海束沙:「……え? ああ」
羽海束沙:そういった出来事には無関心だが、無知でも無関係でもない。ただ、忘れていたことを思い出したように頷いて。
永良ゆづり:「……既製品だから。不味くはないと思う」
羽海束沙:「そういえば、今日だったわね。バレンタイン」
永良ゆづり:「別にお返しとかはいい。いつもお世話になってる御礼みたいなものだから」
羽海束沙:「ありがとう……悪いわね。私、用意してなくて……」
永良ゆづり:押し付けるだけ押し付けて、帽子を目深に被ってそっぽを向く。
羽海束沙:「同僚や同性の友人同士で贈り合う習慣もあるとは聞いたから、社交の為に用意したほうがいいのかとも考えたけれど」
羽海束沙:「忙しくて手が回らなかったから……」
羽海束沙:両手でそれを受け取り、まじまじと見つめる。
永良ゆづり:「だからいいって。気にしなくて」
羽海束沙:「……そう?なら、いいけれど……」
羽海束沙:「そういえば、自分がする時の参考までに聞きたいのだけれど」
永良ゆづり:「参考?」
羽海束沙:「いえ。皆、どのくらいの付き合いの相手までに渡しているものかなと思って」
永良ゆづり:「…………」
羽海束沙:「貴方は今日、何人くらいに渡したの?こういうの」
永良ゆづり:「初めて」
羽海束沙:「……そう、なの」
永良ゆづり:「私が、そんな社交性の高い生き物に見える?」
羽海束沙:「いえ……嫌味のつもりじゃなかったのよ。ごめんなさい」
永良ゆづり:「……実際、ずっと無縁だと思ってたんだけど」
永良ゆづり:「こうして、渡してみると。日頃の感謝とか、気持ちを伝える為に結構いい手段なんだなって感じた」
羽海束沙:「……ふふ」微笑ましげに笑みを零す。
永良ゆづり:「な、なにさ」
羽海束沙:「いえ。なんか、普通の女の子に近づいてきてるんじゃない?って思ってね」
羽海束沙:「勝手に嬉しくなっただけ」
永良ゆづり:「……そう。それは、良かった」
永良ゆづり:表情は帽子で隠す。されど、髪の隙間から見えた耳の先は紅く染まっていて。
羽海束沙:「……」何も言わず、しばらくその姿を見つめて。
羽海束沙:「……やっぱり、今日しておこうか。お返し」
永良ゆづり:「え、だって用意してないって……」
羽海束沙:そう言うや、しばし手元の端末を操作して
羽海束沙:「そう、用意してないから」
羽海束沙:ぎゅ、と君の手を握る。誘うように歩き出す。
永良ゆづり:「え、ちょ。流石にこれ以上は休憩時間が……」
羽海束沙:「大丈夫よ。午後は休みにさせてもらったわ、今」
永良ゆづり:「マジか」
羽海束沙:「これでも、スクールへの潜入は仕事の一つだから。学生人気のお店のこととか、多少は知ってるのよ」
羽海束沙:「美味しいケーキの店、連れて行ってあげる」
永良ゆづり:「…………」呆気に取られた様な顔で。
永良ゆづり:「束沙も、何というか……変わったな」
羽海束沙:「そうかしら」
永良ゆづり:「ああ。まるで、普通の女の子みたいだなぁって」
永良ゆづり:握られた手を握り返す。
羽海束沙:「むしろ、普段がちゃんとしてるように見せてるだけかもよ」
羽海束沙:「普通の女の子のまま、こんな仕事やれないもの。少なくとも、私はそういうタイプ。……まあ」
羽海束沙:「貴方の前で繕わなくなって来てるというのは、そうかもね」
永良ゆづり:「そっか。それなら……」くす、と。普段の仏頂面が柔らかな笑みに染まって。
永良ゆづり:「本当の束沙、もっと色々知りたいなぁって思う」
羽海束沙:「時間の問題じゃない?少なくとも」
羽海束沙:「当分は一緒にやって行くつもりでしょ。貴方も、私も」
永良ゆづり:「ええ。今後とも、よろしく」
羽海束沙:そっけなくそう口にする後ろ姿は、ほんの少しだけ耳が朱に染まっていた。